特許第6724542号(P6724542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724542
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】粘着剤および粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/14 20060101AFI20200706BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20200706BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20200706BHJP
【FI】
   C09J133/14
   C09J11/06
   C09J7/38
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-98124(P2016-98124)
(22)【出願日】2016年5月16日
(65)【公開番号】特開2017-206586(P2017-206586A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田邉 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武志
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−089438(JP,A)
【文献】 特開2015−173948(JP,A)
【文献】 特開2007−000338(JP,A)
【文献】 特開2004−010804(JP,A)
【文献】 特開2007−117681(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02878606(EP,A1)
【文献】 特開2017−095598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記(a−1)、(a−2)および(a−3)で示されるモノマー由来の構成単位を含む共重合体(A)可塑剤(B)ならびに硬化剤を含んでなる粘着剤であって、粘着剤は、共重合体(A)100重量部に対して可塑剤(B)を1〜50重量部含み、共重合体(A)は、共重合体(A)を構成する全モノマー中、下記含有量を含んでなることを特徴とする粘着剤。
(a−1)アルキル(メタ)アクリレート5〜49重量%
(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル0.01〜10重量%
(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート50〜80重量%
【請求項2】
(a−1)アルキル(メタ)アクリレートが、共重合体(A)を構成する全モノマー中、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート15〜44重量%および炭素数9〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート5〜34重量%含む請求項1記載の粘着剤。
【請求項3】
共重合体(A)が、酸性基を有するモノマー由来の構成単位を含まない共重合体(A)である請求項1または2記載の粘着剤。
【請求項4】
共重合体(A)が、さらにアミド結合を有するモノマー由来の構成単位を含む請求項1〜3いずれか記載の粘着剤。
【請求項5】
共重合体(A)が、さらに(a−4)アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル由来の構成単位を0.1〜25重量%含む請求項1〜4いずれか記載の粘着剤。
【請求項6】
共重合体(A)の重量平均分子量が、40万以上200万未満である請求項1〜5いずれか記載の粘着剤。
【請求項7】
可塑剤(B)が、脂肪酸エステル、エポキシ化油脂エステル、ポリアルキレングリコールエステル、リン酸エステルおよびクエン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種類である請求項1〜6いずれか記載の粘着剤。
【請求項8】
医療用である、請求項1〜いずれか記載の粘着剤。
【請求項9】
少なくとも下記(a−1)、(a−2)および(a−3)で示されるモノマーを共重合した後、可塑剤(B)および硬化剤と混合する粘着剤の製造方法であって、共重合体(A)を構成する全モノマー中、下記含有量で共重合することを特徴とする粘着剤の製造方法。
(a−1)アルキル(メタ)アクリレート5〜49重量%
(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル0.01〜10重量%
(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート50〜80重量%
【請求項10】
請求項1〜いずれか記載の粘着剤から形成された粘着層を有する粘着テープ。
【請求項11】
基材に、請求項1〜いずれか記載の粘着剤を塗工する粘着テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤および粘着テープに関する。更に詳しくは、医療用として皮膚貼付に好適に使用される粘着剤および粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚貼付用粘着テープは、一般に柔軟性のある支持体の片面に、必要に応じて薬物を含有する粘着層が形成された構成を有している。皮膚貼付用粘着テープの機能として、外部からの水や細菌、ウイルス等が体内に侵入するのを防ぐ事を求められると同時に、皮膚からの発汗による水分を蒸散させる透湿度(水蒸気透過度ともいう)も求められる。透湿度に劣ると、汗が皮膚と粘着層の間に貯留し、皮膚がカブレやムレなどの皮膚障害を起こし易くなる。また、粘着力を低下させテープが皮膚から剥がれ易くなる。剥がれを防ぐために粘着力を強くし過ぎると、剥離時に体表面の毛がむしり取られたり、角質剥離を生じたり、或いは皮膚面に粘着剤が残留したりする。
【0003】
これまでは貼付中は皮膚の曲面や伸縮、捻りなどの動きに追従するウレタン系の不織布が用いられてきたが、近年では、患部の固定を目的としたオレフィン系の不織布が用いられるニーズが増えてきている。その結果、透湿度を高めるためには官能基含有モノマーの共重合割合を高くしなければならないが、そうすると基材にオレフィン系不織布を使用した際には基材密着性が不足してしまう問題がある。
【0004】
特許文献1には、高い水蒸気透過性を有し、剥がれ難く、かつ剥がすときに皮膚を傷つけない適度の接着力及びそのような適度な接着力持続性並びに適度の凝集力を有する医療用粘着剤として、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が−35℃以下のアクリル酸アルコキシアルキルから誘導された単位を50wt%を超えて含む重合体を含む医療用粘着剤が開示されている。しかし、水蒸気透過率が高いものは粘着力が弱く、粘着力が強いものは水蒸気透過率が低い傾向にあり、水蒸気透過率と粘着力との両立ができていないという問題点がある。
【0005】
特許文献2には、医療衛生分野やスポーツ分野、美容健康分野などの外用用途に最適に用いることができる皮膚貼付用粘着剤組成物、および皮膚貼付用粘着テープとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜80重量%、アルコキシ基含有エチレン性不飽和単量体10〜60重量%、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体 1〜10重量%を含む単量体混合物から得られるアクリル系共重合体100重量部に、室温で液状またはペースト状のカルボン酸エステル20〜120重量部を含有する粘着剤組成物が開示されている。しかし、発汗時の剥がれ抑制のための耐水接着力には優れるものの、透湿度が低く、またオレフィン系基材への密着性については考察がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−275340号公報
【特許文献2】特開2002−065841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、透湿度と粘着力を両立した粘着剤は知られておらず、これらの特性を両立できる粘着剤および粘着テープが求められていた。さらに、皮膚貼付等の医療用として使用するには、皮膚に対し角質剥離の少ない良好な剥離性や、基材がオレフィン系不織布の場合でも密着性に優れ皮膚への糊残りが少ないといった事項も求められる。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高い透湿度と良好な耐角質剥離性を示す粘着剤および粘着テープを提供することである。さらには、上記課題に加えて、オレフィン系基材密着性に優れる粘着剤および粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、少なくとも下記(a−1)、(a−2)および(a−3)で示されるモノマー由来の構成単位を含む共重合体(A)ならびに可塑剤(B)を含んでなる粘着剤であって、粘着剤は、共重合体(A)100重量部に対して可塑剤(B)を1〜50重量部含み、共重合体(A)は、共重合体(A)を構成する全モノマー中、下記含有量を含んでなることを特徴とする粘着剤に関する。
(a−1)アルキル(メタ)アクリレート5〜49重量%
(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル0.01〜10重量%
(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート50〜80重量%
【0009】
また、本発明の実施態様は、(a−1)アルキル(メタ)アクリレートが、共重合体(A)を構成する全モノマー中、炭素数4〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート15〜44重量%および炭素数9〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート5〜34重量%含む上記粘着剤に関する。
【0010】
また、本発明の実施態様は、共重合体(A)が、酸性基を有するモノマー由来の構成単位を含まない共重合体(A)である上記粘着剤に関する。
【0011】
また、本発明の実施態様は、共重合体(A)が、さらにアミド結合を有するモノマー由来の構成単位を含む上記粘着剤に関する。
【0012】
また、本発明の実施態様は、共重合体(A)が、さらに(a−4)アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル由来の構成単位を0.1〜25重量%含む上記粘着剤に関する。
【0013】
また、本発明の実施態様は、共重合体(A)の重量平均分子量が、40万以上200万未満である上記粘着剤に関する。
【0014】
また、本発明の実施態様は、可塑剤(B)が、脂肪酸エステル、エポキシ化油脂エステル、ポリアルキレングリコールエステル、リン酸エステルおよびクエン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種類である上記粘着剤に関する。
【0015】
また、本発明の実施態様は、さらに、硬化剤を含む上記粘着剤に関する。
【0016】
また、本発明の実施態様は、医療用である上記粘着剤に関する。
【0017】
また、本発明の実施態様は、少なくとも下記(a−1)、(a−2)および(a−3)で示されるモノマーを共重合した後、可塑剤(B)と混合する粘着剤の製造方法であって、共重合体(A)を構成する全モノマー中、下記含有量で共重合することを特徴とする粘着剤の製造方法に関する。
(a−1)アルキル(メタ)アクリレート5〜49重量%
(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル0.01〜10重量%
(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート50〜80重量%
【0018】
また、本発明の実施態様は、上記粘着剤から形成された粘着層を有する粘着テープに関する。
【0019】
また、本発明の実施態様は、基材に、上記粘着剤を塗工する粘着テープの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により得られる粘着剤および粘着テープは、皮膚貼付に用いると、高い透湿度を有し、良好な耐角質剥離性があり、ムレやカブレなどの皮膚障害を引き起こし難い。また、皮膚から剥離する時の痛みは少なく、角質剥離がなく、オレフィン系基材を用いた際にも粘着層の皮膚への残留がない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の詳細を説明する。なお、本明細書では、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイルオキシ」、及び「(メタ)アリル」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリルまたはメタクリル」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリロイルオキシまたはメタクリロイルオキシ」、及び「アリルまたはメタリル」を表すものとする。
【0022】
本発明のアクリル系粘着剤は、下記(a−1)、(a−2)、(a−3)で示されるモノマー単位を含む共重合体を含んでなる粘着剤である。さらに場合によっては(a−4)を含むこともある。
(a−1)アルキル(メタ)アクリレート
(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル
(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート
【0023】
<(a−1)アルキル(メタ)アクリレート>
(a−1)で示されるモノマーであるアルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのアルキル(メタ)アクリレートの中でも、アルキル基の炭素数が4〜22のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が4〜16のアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルキル基の炭素数が8〜14のアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。本明細書において、炭素数4〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリロイル基中の炭素数を含まないアルキル基の炭素数が4〜22のアルキル(メタ)アクリレートを意味する。
皮膚貼付用粘着テープは、水に濡れる場合があり、ある程度の疎水性があることで粘着テープと皮膚の界面からの水の浸入を防ぎ、皮膚からテープが剥がれ落ちることを防ぐ効果がある。アルキル(メタ)アクリレートを使用することにより、疎水性が強まり、皮膚貼付耐久性が良好になる。特に、炭素数が4〜22のアルキル(メタ)アクリレートを1種或いは2種以上の組合せによって、粘着性と疎水性を付与し皮膚貼付耐久性を向上することができる。疎水性の調整のためには、炭素数が4〜22のアルキル(メタ)アクリレートを2種以上使用することが好ましい。
【0024】
アルキル(メタ)アクリレートは、共重合体を構成する全モノマー中、5〜49重量%が好ましく、10〜45重量%がより好ましく、15〜40重量%がさらに好ましい。49重量%以下であれば、粘着力を強くし過ぎることがなく耐角質剥離性に優れ、また透湿度に寄与するモノマー量も確保でき、良好な透湿度となる。一方、5重量%以上であれば、皮膚への粘着性を確保でき、皮膚貼付耐久性も発現する。
炭素数が4〜22のアルキル(メタ)アクリレートを2種以上使用する場合は、炭素数が4〜8のアルキル(メタ)アクリレートが15〜44重量%、好ましくは15〜40重量%、炭素数が9〜22のアルキル(メタ)アクリレートが5〜34重量%、好ましくは5〜30重量%であることが好ましい。
【0025】
<(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル>
(a−2)で示されるモノマーである水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテルの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロシキブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及び8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコールアリルエーテル等の水酸基を有するアリルエーテルが挙げられる。これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび4−ヒドロシキブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0026】
水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテルは、共重合体を構成する全モノマー中、0.01〜10重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましく、0.1〜5重量%がさらに好ましい。水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテルの量が、0.01重量%以上であれば、硬化剤と十分な架橋構造が形成でき、粘着剤が皮膚に残留しにくくなる。一方、10重量%以下であれば、過度な架橋構造を回避でき、皮膚への粘着性を確保することができる。
【0027】
<(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート>
(a−3)で示されるモノマーであるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリレートのエステル構造のアルコール由来部分として、アルコキシアルキル基が結合した(メタ)アクリレートであれば、特に限定されない。
【0028】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、アルコキシ基の炭素数が1〜12であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1〜18であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。アルコキシ基の炭素数が1〜4であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1〜8であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルコキシ基の炭素数が1〜2であり、アルコキシ基に結合するアルキレン基の炭素数が1〜4であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0029】
このようなアルコキシアルキル(メタ)アクリレートの例としては、2−メトキシメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−エトキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及び2−エトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0030】
アルコキシ基は親水性が高いため、水蒸気の保持と放出に優れると考えられる。充分な透湿度を得るために、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、共重合体を構成する全モノマー中、50〜80重量%が好ましく、50〜75重量%がより好ましく、55〜75重量%がさらに好ましい。50重量%以上であれば充分な透湿度が得られ、80重量%以下であれば十分な皮膚への粘着性を発現する。
【0031】
(a−1)モノマーは疎水性が高く、後述する(a−4)モノマーは親水性が高いため、これらは互いに相溶性に優れず、(a−1)モノマーと(a−4)モノマーのみからなる共重合体は、相分離し易く、粘着性や保存安定性の低下を引き起こす恐れがある。共重合体を構成するモノマーとして(a−3)モノマーを使用することにより、(a−1)モノマーと(a−4)モノマーとの相溶性を向上させ、粘着性や保存安定性を向上すると考えられる。
【0032】
<(a−4)アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル>
【0033】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、下式(1)で表わされる化合物である。

CH2=CR1−CO−(OZ)n−O−R2 式(1)

(式(1)中、Zはアルキレン基、R1は水素またはメチル基、R2はアルキル基、nは2以上の整数を表す。)
式(1)において、Zは炭素数2〜3のアルキレン基、R2は炭素数1〜2のアルキル基、nは2〜20の整数であることが好ましい。
【0034】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの例としては、MPE400A、MPE550A(以上、大阪有機化学工業社製)、ライトエステル BC、130MA、041MA、ライトアクリレート EC−A、MTG−A、EHDG−AT、130A、DPM−A(以上、共栄社化学社製)、FANCRYL FA−400M(100)(以上、日立化成社製)、NKエステル AM−90、AM−130G、M−90G、M−230G(以上、新中村化学工業社製)、ブレンマー AME−400、PME−100、PME−200、PME−400、PME−1000(以上、日油社製)等が挙げられる。
【0035】
アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテルは、下式(2)で表わされる化合物である。

CH2=CR3−CH2−O−(YO)m−R4 式(2)

(式(2)中、Yはアルキレン基、R3は水素またはメチル基、R4はアルキル基、mは1以上の整数を表す。)
式(2)中、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、R4は炭素数1〜4のアルキル基、mは1〜30の整数が好ましく、Yは炭素数2〜3のアルキレン基、R4は炭素数1〜2のアルキル基、mは1〜20の整数がより好ましい。
【0036】
アルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテルの例としては、ユニオックス PKA−5006、PKA−5009、ユニセーフ PKA−5015(以上、日油社製)等が挙げられる。
【0037】
アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテルは、共重合体を構成する全モノマー中、0.1〜25重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。アルキレングリコール部位を含むことにより、水蒸気の保持と放出に優れた性能を発現するものと考えられる。上記の中でも、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0038】
(a−3)モノマー及び(a−4)モノマーは透湿度に寄与する成分である。共重合体を構成する全モノマー中での(a−3)モノマー及び(a−4)モノマーの合計の含有量は、50〜80重量%であることが好ましい。50重量%以上であれば十分な透湿度が得られ、80重量%以下であれば皮膚への密着耐久性を確保できる。(a−4)モノマーを含む場合の一態様として、共重合体を構成する全モノマー中、(a−1)アルキル(メタ)アクリレート5〜45重量%、(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル0.01〜10重量%、(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート50〜78重量%、(a−4)アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル1〜25重量%を含む共重合体を含んでなる粘着剤を挙げることができる。
【0039】
共重合体(A)は、共重合体を構成するモノマーとして、上記モノマー以外のその他モノマーを含んでも良い。
【0040】
その他モノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートやイソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族含有モノマー;ベンジル(メタ)アクリレートやフェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;シアノ(メタ)アクリレート等のシアノ基含有モノマー;マレイミド、メチルマレイミド等のマレイミド基含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;酢酸ビニル等のビニルエステル等をあげることができる。
その他モノマーの含有量は、共重合体を構成する全モノマー中、0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲で共重合させることができる。
【0041】
共重合体(A)は、その他モノマーとして酸性基を有するモノマーを含んでも良い。酸性基を有するモノマーを使用すると、粘着力を高くし、密着耐久性を向上できる利点がある一方、テープ剥離時に強い痛みや角質剥離を起こす傾向がある。本発明の粘着剤には、酸性基有するモノマーを含まないことが好ましい。
【0042】
ここで、酸性基とは、カルボキシル基、スルホ基、ホスホ基(リン酸基)等の酸性基を意味し、酸性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ホスホ酸基を有するモノマー、スルホ基を有するモノマーなどを挙げることができる。
【0043】
共重合体(A)は、共重合体を構成するモノマーとして、アミド結合を有するモノマー単位を含むことが好ましい。
【0044】
アミド結合を有するモノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム等を挙げることができる。
【0045】
アミド結合を有するモノマーを使用する場合には、共重合体(A)を構成する全モノマー中、0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%である。アミド結合を有するモノマーは、共重合体中の水酸基と、後述する硬化剤のイソシアネート化合物との反応触媒として作用し、反応の安定化に寄与する。
【0046】
共重合体(A)は、重量平均分子量が40万以上200万未満が好ましく、60万以上180万未満がより好ましく、80万以上160万未満がさらに好ましい。40万以上であると皮膚に残留しにくくなり、200万未満であると皮膚貼付性が良好となる。
【0047】
共重合体(A)は、Foxの式により求めたガラス転移温度(Tg)が、−70℃〜0℃であることが好ましい。このようなガラス転移温度を有する(メタ)アクリル系共重合体を用いることにより、皮膚貼付耐久性に優れ、剥離の痛みを抑制する粘着剤を得ることができる。
【0048】
共重合体は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、溶媒として、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン等を使用することが好ましい。
【0049】
具体的には反応容器内に溶媒、原料モノマーを上記で説明した割合で仕込み、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で重合開始剤を添加し、反応温度50〜90℃程度に加熱し、4〜20時間で重合反応させる。
【0050】
重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤を挙げることができる。これらの重合開始剤は、原料モノマー100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部の範囲内の量で使用される。また、重合反応中に、連鎖移動剤、原料モノマー、溶媒を適宜添加してもよい。
【0051】
上記のような条件において、得られる共重合体の重量平均分子量は、公知技術に従って、使用する溶媒の種類および量、重合開始剤の種類および量、反応時間、反応温度などの反応条件を調整することにより調節することができる。
【0052】
<可塑剤(B)>
可塑剤(B)としては、脂肪酸エステル、エポキシ化油脂エステル、ポリアルキレングリコールエステル、リン酸エステルおよびクエン酸エステルから少なくとも1種類を選ぶことが好ましく、また2種以上併用することも可能である。脂肪酸エステルの例としては、ミリスチン酸イソプロピルやラウリン酸メチル、オレイン酸メチルのような一塩基酸系や、アジピン酸ジイソデシルやアゼライン酸ジラウリルのような多塩基酸系を挙げることができ、直鎖や分岐、飽和や不飽和、脂肪族や芳香族のそれぞれを掛け合わせることができる。エポキシ化油脂エステルの例としては、エポキシ化大豆油エステル、エポキシ化亜麻仁油エステル、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル等が挙げられ、エポキシ部位を有することで硬化塗膜との結合を形成させる効果が得られやすい。ポリアルキレングリコールエステルの例としては、ポリエチレングリコールビス(2−エチルヘキシル)エステルやポリプロピレングリコールビスラウリルエステルなどが挙げられ、アルキレングリコール部位はエチレンとプロピレンを併用するなどの構造も適用可能である。リン酸エステルの例としては、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート等のリン酸系や、トリエチルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜リン酸系が挙げられる。クエン酸エステルの例としては、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリ(2−エチルヘキシル)等が挙げられ、クエン酸の水酸基をアセチルなどでキャップしておくことで、共重合体(A)と硬化剤(B)の反応阻害を起こしにくくすることができる。
可塑剤(B)の配合割合は、1〜50重量部が好ましく、1〜40重量部がより好ましく、5〜40重量部がさらに好ましい。配合割合を1重量部以上とすることで耐角質剥離性を良好にすることができ、また50重量部以下とすることで粘着層として最低限の凝集力を保持することが可能である。
【0053】
<硬化剤>
共重合体を硬化させるための硬化剤としては、イソシアナト基を有する化合物(以下、イソシアネート系硬化剤と呼ぶ)を用いることが好ましい。イソシアネート系硬化剤の例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどの分子中に二個以上のイソシアナト基を有する化合物:それらをトリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物、それらのイソシアヌレート化合物およびビュレット型化合物、さらにはそれらを公知のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオールおよびポリイソプレンなどと付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に二個以上のイソシアネート基を有する化合物を挙げることができる。
【0054】
硬化剤は、基材や用途等に合わせて適宜種類を選択することができる。トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート:それらをトリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールなどの多価アルコールと付加反応させた化合物、それらのイソシアヌレート化合物およびビュレット型化合物が好ましく使用できる。
硬化剤の配合割合は、共重合体に含まれる官能基の量にもよるが、共重合体100重量部に対して、0.01〜 5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましく、0.1〜2重量部がさらに好ましい。
【0055】
本発明の粘着剤には、所望により各種添加剤を添加することができる。例えば、抗菌剤、保湿剤、ビタミン類、香料などを挙げることができる。これらは、必要に応じて有効量を配合する。
【0056】
<粘着テープ>
本発明の粘着剤を用いて作製された粘着テープは、オートクレーブ、酸化エチレンガス及び放射線等によって滅菌されても良い。放射線滅菌による粘着剤の劣化を防止するため、公知の添加剤を使用することができる。ピレンやキノンなどの放射線照射初期過程で生成する電子とイオンを不活性化する電子・イオン補足剤、アセナフテンなどの励起種を不活性化するエネルギー移動剤、メルカプタンやオクタヒドロフェナントレン、モノアルキルジフェニルエーテルなどのポリマーラジカルを不活性化するラジカル補足剤、フェノール系老化防止剤や有機チオ酸塩類、亜リン酸トリエステル、BHTなどのポリマーラジカル、パーオキシラジカルを不活性化する酸化防止剤、フタル酸エステル、エポキシ可塑剤、塩素化パラフィンなどのポリマーラジカルを不活性化する可塑剤などが挙げられる。
【0057】
本発明の粘着剤を用いて皮膚貼付用粘着テープを作製するには、基材の片面に粘着剤を塗工する。基材としては特に限定されるものではないが、主な例を挙げると、レイヨン、綿、ポリエステル糸等の単体又はポリウレタン糸を挿入した織布、オレフィン系不織布、編布及び可塑化軟質ポリ塩化ビニル、無可塑化軟質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン− メチルメタクリレート共重合体、エチレン− 酢酸ビニル共重合体、エチレン− プロピレンゴム、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールなどの合成樹脂からなるフィルム又はシートが挙げられる。また、プラスチック発泡シート、セルロース、酢酸セルロースなどの可撓性のあるフィルムやシートを使用することができる。これらの基材には、必要に応じてコロナ放電処理などを行ってもよい。透湿度に優れた基材を用いると、本発明の粘着剤の優れた透湿度を充分に発揮させることができる。
【0058】
本発明の粘着剤は、塗工し易いよう溶剤によって希釈されても良い。溶剤としては、公知のものが使用でき、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン等が挙げられる。粘着剤溶液は硬化剤や添加剤と混合され、これを基材の片面に塗工し、乾燥させる。架橋反応に高温を要する場合は、乾燥時又は乾燥後に加熱する。また、剥離紙などの剥離ライナーに粘着剤組成物を塗工した後、基材に重ねる方法を採用することもできる。粘着テープに穿孔を設けると、通気性を向上させることができる。
【実施例】
【0059】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明について具体的に説明する。なお、以下の例において、部及び%は、特に断りのない限り、それぞれ質量部及び質量%を表す。また、以下の例で使用した材料の略号を示す。
【0060】
<(a−1)アルキル(メタ)アクリレート>
<炭素数4〜8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート>
BA:n−ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
IOA:イソオクチルアクリレート
<炭素数9〜22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート>
INA:イソノニルアクリレート
IDMA:イソデシルメタクリレート
LA:ラウリルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
ISA:イソステアリルアクリレート
【0061】
<(a−2)水酸基を有する(メタ)アクリレートまたは水酸基を有するアリルエーテル>
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
55PET−800:ブレンマー55PET−800、ポリエチレングリコール−テトラメチレングリコール−モノメタクリレート(ランダムタイプ)、日油社製
PKA−5001:ユニオックスPKA−5001、ポリエチレングリコール−アリルエーテル、日油社製
【0062】
<(a−3)アルコキシアルキル(メタ)アクリレート>
MEA:メトキシエチルアクリレート
MEMA:メトキシエチルメタクリレート
EEA:エトキシエチルアクリレート
【0063】
<(a−4)アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートまたはアルコキシポリアルキレングリコールアリルエーテル>
EC−A:ライトアクリレートEC−A、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、共栄社化学社製
MTG−A:ライトアクリレートMTG−A、メトキシ-トリエチレングルコールアクリレート、共栄社化学社製
DPM−A:ライトアクリレートDPM−A、メトキシジプロピレングルコールアクリレート、共栄社化学社製
M−90G:NKエステルM−90G、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、新中村化学工業社製
AM−90G:NKエステルAM−90G、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、新中村化学工業社製
MPE400A:メトキシポリエチレングリコールアクリレート、大阪有機化学工業社製
BC:ライトエステルBC、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、共栄社化学社製
041MA:ライトエステル041MA、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、共栄社化学社製
PKA−5008:ユニオックスPKA−5008、メトキシ-ポリエチレングリコール-アリルエーテル、日油社製
PKA−5015:ユニセーフPKA−5015、ブトキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-アリルエーテル、日油社製
【0064】
<その他モノマー>
AA:アクリル酸
AM:アクリルアミド
NVP:N−ビニルピロリドン
ACMO:アクリロイルモルホリン
【0065】
<硬化剤>
HT:スミジュールHT、ヘキサメチレンジイソシアネート−トリメチロールプロパン体、住化コベストロウレタン社製
N3200:デスモジュールN3200、ヘキサメチレンジイソシアネート−ビュレット体、住化コベストロウレタン社製
N3300:デスモジュールN3300、ヘキサメチレンジイソシアネート−ヌレート体、住化コベストロウレタン社製
L:コロネートL、トリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパン体、東ソー社製
2030:コロネート2030、トリレンジイソシアネート−ヌレート体、東ソー社製
D−110N:タケネートD−110N、キシリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパン体、三井化学社製
EX−212:デナコールEX−212、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ナガセケムテックス社製
【0066】
<可塑剤(B)>
IPM-R:ユニスターIPM−R、ミリスチン酸イソプロピル、日油社製
W121:エポサイザーW121、エポキシ化大豆油エステル、DIC社製
W262:モノサイザーW262、ポリアルキレングリコールエステル、DIC社製
TOP:TOP、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、大八化学工業社製
BII:CITROFOL BII、クエン酸アセチルトリブチル、ユングブンツラワー社製
【0067】
(実施例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、n−ブチルアクリレート7.5部、ラウリルアクリレート17部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、メトキシエチルアクリレート25部、酢酸エチルを69部、アゾビスイソブチロニトリル0.01部を4口フラスコに仕込み、窒素ガスを導入しながら、80℃まで昇温した。滴下漏斗にn−ブチルアクリレート7.5部、ラウリルアクリレート17部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、メトキシエチルアクリレート25部と酢酸エチル69部、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.01部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル48部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量100万の粘着剤を得た。
【0068】
<重量平均分子量(Mw)>
Mwは、下記の条件により測定した。Mwの決定は、重量平均分子量が既知のポリスチレンを標準物質に用いた検量線法により決定した。
装置名:島津製作所社製、LC−GPCシステム「Prominence」
カラム:東ソー社製TSKgel α−M 2本を直列に連結
移動相溶媒:ジメチルホルムアミド
流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
【0069】
<塗工液の作成>
得られたアクリル系粘着剤の不揮発分100部に対して、硬化剤としてスミジュールHTを不揮発分換算で0.5部、可塑剤としてミリスチン酸イソプロピルを不揮発分換算で1部添加し、撹拌し、塗工液を得た。
【0070】
<粘着テープの作成>
下記のとおり方法に従って粘着テープを作製し、特性を評価した。
(1)透湿度評価用粘着テープの作成
厚さ38μmのポリエステル製セパレーター上に、乾燥後の厚みが25μmとなるように上記塗工液を塗工し、熱風オーブンにて100℃、2分間乾燥した。乾燥後、厚さ38μmの透湿度ウレタンシート(透湿度3,500g/m2・24h)にラミネートし、さらに50℃で3日間養生し、粘着テープを得た。
(2)耐角質剥離性、基材密着性評価用粘着テープの作成
厚さ38μmのポリエステル製セパレーター[商品名「スーパーステック」SP−PET38、リンテック社製、以下同じ。上に、乾燥後の厚みが25μmとなるように上記で得られた塗工液を塗工し、熱風オーブンにて100℃、2分間乾燥した。乾燥後、コロナ処理ポリプロピレンフィルム[商品名「トレファンVL12」]にラミネートし、さらに50℃で3日間養生し、粘着テープを得た。
【0071】
<透湿度>
JISL1099に準拠した試験を行った。直径70mmの円筒形秤量容器に、40℃の純水を42gを入れ、粘着テープの粘着剤塗工面が下になるように、該粘着テープを該秤量容器のフタとして固定して容器を密封した。これを40℃、相対湿度50%RHの恒温恒湿槽内に1時間静置し、秤量容器の重量減量分から面積1平方メートル、24時間当たりの透過水分量を算出し、粘着テープの透湿度(単位:g/m2・24h)とした。
○:2000g/m2・24h以上(良好)
△:1000g/m2・24h以上、2000g/m2・24h未満(使用可)
×:1000g/m2・24h未満(不良)
【0072】
<耐角質剥離性>
上記粘着テープを幅20mm・長さ80mmの大きさに切り出して測定試料とした。次いで23℃50%RHの環境下、試料からポリエステル製セパレーターを剥がして、露出した粘着層を被験者の前腕前面上腕部に貼付してから24時間経過後に剥離した際の角質剥離度合いを以下の基準でルーペによる目視評価した。
○:ほぼ全面的に角質剥離が認められない(良好)
△:約30%以下の割合で角質剥離が認められる(使用可)
×:約30%を超える割合で角質剥離が認められる(不良)
【0073】
<基材密着性>
上記耐角質剥離性試験後の被験者の肌に残る粘着層の転着度合いを以下の基準で評価した。
○:粘着層の転着が全く認められない(良好)
△:約30%以下の割合で粘着層の転着が認められる(使用可)
×:約30%を超える割合で粘着層の転着が認められる(不良)
【0074】
(実施例2〜11、13〜25)
表1に示す材料、組成、量になるよう変更した以外は、実施例1と同様に、それぞれ粘着剤および粘着テープを製造し、測定および評価を行った。尚、表1中の数値は、特に断りがない限り、部を表し、空欄は使用していないことを表す。
【0075】
(実施例12)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート10部、ラウリルメタクリレート7部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、メトキシエチルアクリレート32部、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレートEC−A:共栄社化学社製)0.5部、酢酸エチルを25部、メチルエチルケトン50部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、80℃まで昇温した。滴下漏斗に2−エチルヘキシルアクリレート10部、ラウリルメタクリレート7部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、メトキシエチルアクリレート32部、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレートEC−A:共栄社化学社製)0.5部、酢酸エチル75部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル36部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量40万の粘着剤を得た。
さらに、表1に示す硬化剤の種類に変更した以外は、実施例1と同様に、粘着剤および粘着テープを製造し、測定および評価を行った。
【0076】
(比較例1)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート41.5部、イソステアリルアクリレート5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.5部、N−ビニルピロリドン1.0部、重合溶媒として酢酸エチルを50部、アゾビスイソブチロニトリル0.02部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、80℃まで昇温した。滴下漏斗に2−エチルヘキシルアクリレート41.5部、イソステアリルアクリレート5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.5部、N−ビニルピロリドン1.0部と酢酸エチル50部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル86部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量70万の粘着剤を得た。
さらに、表1に示す硬化剤の種類に変更した以外は、実施例1と同様に、粘着剤および粘着テープを製造し、測定および評価を行った。
【0077】
<塗工液の作成>
得られたアクリル系粘着剤の不揮発分100部に対し、硬化剤としてコロネートLを不揮発分換算で1.0重量部、可塑剤としてミリスチン酸イソプロピルを不揮発分換算で10部添加し、撹拌し、塗工液を得た。実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0078】
(比較例2)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、イソオクチルアクリレート18.5部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(NKエステルAM−90G:新中村化学工業株式会社製)30部、アクリロイルモルホリン1.5部、重合溶媒として酢酸エチルを30部、メチルエチルケトンを20部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、80℃まで昇温した。滴下漏斗にイソオクチルアクリレート18.5部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(NKエステルAM−90G:新中村化学工業株式会社製)30部、アクリロイルモルホリン1.5部と酢酸エチル50部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル86部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量60万の粘着剤を得た。
【0079】
<塗工液の作成>
得られたアクリル系粘着剤に硬化剤を加えず、塗工液とし、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0080】
(比較例3)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、イソノニルアクリレート32.5部、メトキシエチルアクリレート15部、アクリル酸2.5部、重合溶媒として酢酸エチルを50部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、昇温した。滴下漏斗にイソノニルアクリレート32.5部、メトキシエチルアクリレート15部、アクリル酸2.5部と酢酸エチル50部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.2部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル86部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量80万の粘着剤を得た。
【0081】
<塗工液の作成>
得られたアクリル系粘着剤の不揮発分100部に対し、硬化剤としてスミジュールHTを不揮発分換算で0.1重量部添加し、撹拌し、塗工液を得た。実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0082】
(比較例4)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた4口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート40部、ヒドロキシブチルアクリレート2.5部、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレートEC−A:共栄社化学社製)7.5部、重合溶媒として酢酸エチルを50部、アゾビスイソブチロニトリル0.02部を仕込み、窒素ガスを導入しながら、80℃まで昇温した。滴下漏斗に2−エチルヘキシルアクリレート40部、ヒドロキシブチルアクリレート2.5部、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ライトアクリレートEC−A:共栄社化学社製)7.5部、と酢酸エチル50部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.02部を仕込み、滴下し、窒素雰囲気下80℃にて7時間重合反応を行った。反応終了後、酢酸エチル86部を加え希釈し、不揮発分35%、重量平均分子量100万の粘着剤を得た。
【0083】
<塗工液の作成>
得られたアクリル系粘着剤の不揮発分100部に対し、硬化剤としてスミジュールHTを不揮発分換算で0.3重量部添加し、撹拌し、塗工液を得た。実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】