特許第6724616号(P6724616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6724616
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】発泡合成樹脂製保冷・保温容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/18 20060101AFI20200706BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   B65D81/18 B
   B65D81/18 F
   B65D81/38 B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-137339(P2016-137339)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-8710(P2018-8710A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000140074
【氏名又は名称】株式会社羽根
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】羽根 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】森 健剛
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−023595(JP,A)
【文献】 特開2006−076642(JP,A)
【文献】 特開2010−084360(JP,A)
【文献】 特開平11−257815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵状態若しくは冷凍状態、又は温蔵状態の収納物を収納する、容器本体及び蓋体からなる発泡合成樹脂製保冷・保温容器であって、
前記蓋体は、前記蓋体の下面側に位置する蓄冷材又は蓄熱材を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、
前記蓋体の上面側の支持部材と、
前記蓋体の厚み方向の通孔を通して、前記蓄冷材又は蓄熱材を保持するように前記支持部材から吊り下がる吊下部材と
を含み、
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部と
を含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドのバンド部と、
前記蓄冷材又は蓄熱材の厚み方向の通孔を通した前記結束バンドのバンド部を、前記蓄冷材又は蓄熱材の下面側で掛け渡す棒体と
を含むことを特徴とする、
発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項2】
冷蔵状態若しくは冷凍状態、又は温蔵状態の収納物を収納する、容器本体及び蓋体からなる発泡合成樹脂製保冷・保温容器であって、
前記蓋体は、前記蓋体の下面側に位置する蓄冷材又は蓄熱材を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、
前記蓋体の上面側の支持部材と、
前記蓋体の厚み方向の通孔を通して、前記蓄冷材又は蓄熱材を保持するように前記支持部材から吊り下がる吊下部材と
を含み、
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、紐の結び目と
を含み、
前記吊下部材は、
前記紐と、
前記蓄冷材又は蓄熱材の厚み方向の通孔を通した前記紐を、前記蓄冷材又は蓄熱材の下面側で掛け渡す棒体と
を含むことを特徴とする、
発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項3】
前記吊下部材は、
前記蓋体と前記蓄冷材又は蓄熱材との間に介在し、前記結束バンドのバンド部、又は前記紐を挿通する、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金を
さらに含む、
請求項又は記載の発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項4】
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部と
を含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドのバンド部と、
前記バンド部に掛止する、前記結束バンドと別の結束バンドの頭部と、
前記別の結束バンドの頭部により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体と
を含む、
請求項1記載の発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項5】
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部と
を含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドの頭部に掛止する、前記結束バンドと別の結束バンドのバンド部と、
前記別の結束バンドの頭部と、
前記別の結束バンドの頭部により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体と
を含む、
請求項1記載の発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項6】
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、紐の上部結び目と
を含み、
前記吊下部材は、
前記紐と、
前記紐の下部結び目と、
前記下部結び目により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体と
を含む、
請求項1記載の発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【請求項7】
前記吊下部材は、
前記箱体又は袋体に収納され、前記箱体又は袋体と前記蓄冷材又は蓄熱材との間に介在し前記結束バンドのバンド部、又は前記紐を挿通する、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金を
さらに含む、
請求項4〜6の何れか1項に記載の発泡合成樹脂製保冷・保温容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵状態若しくは冷凍状態、又は温蔵状態の収納物を収納する、容器本体及び蓋体により構成される発泡合成樹脂製保冷・保温容器に関し、さらに詳しくは、前記容器における蓋体に蓄冷材又は蓄熱材を保持させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体及び蓋体により構成される発泡合成樹脂製容器は、軽量で断熱性能及び緩衝性能が良好であるので、様々な用途に広く用いられている。
前記発泡合成樹脂製容器は、例えば、魚介類等及びその加工品等の水産物、果菜類等の農産物、菓子及び乳製品等の食料品、並びに、試薬、培地、検体及び凍結血漿医薬品等の医療関係品その他の収納物とともに蓄冷材又は蓄熱材(以下において、両者を合わせて「蓄冷材等」と表現することがある。)を収納することにより、収納物を保管、運搬又は輸送する保冷・保温容器として用いられる。
このような発泡合成樹脂製保冷・保温容器において、容器を構成する蓋体に蓄冷材等を保持させる構造として、蓋体の上下を開放し、支承段部上に上方から蓄冷材等を載置して上方開放部を補助蓋で塞ぐもの(例えば、特許文献1及び2参照)、蓋体の下面に形成した収納凹部に側方から蓄冷材等を挿入して前記収納凹部に嵌合させるもの(例えば、特許文献3参照)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−3976号公報
【特許文献2】特開2000−159271号公報
【特許文献3】国際公開第2014/125878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2のような蓋体の上下を開放し、支承段部上に上方から蓄冷材等を載置して上方開放部を補助蓋で塞ぐ構造では、蓋体の周縁部近くの全周にわたって補助蓋が嵌合する。
よって、断熱性能を高めるべく補助蓋の厚みを大きくしたとしても、前記全周にわたる嵌合部の隙間から蓄冷材等の冷気や暖気が逃げて、所要の断熱性能を確保できない場合がある。
その上、運搬又は輸送の際における振動により蓄冷材等が上方の補助蓋に当たる衝撃で、補助蓋が外れたり隙間が大きくなって断熱性能が大きく低下する場合がある。
その上さらに、このような構造の蓋体を備えた容器を、例えば短時間の運搬や輸送等のために蓄冷材等が不要な用途に用いる場合には、蓄冷材等を支持するための支承段部や突出部があるので、容器内における収納物の収納スペースが大幅に減少してしまう。
【0005】
また、特許文献3のような蓋体の下面に蓄冷材等を嵌合させる収納凹部を設ける構造では、収納凹部の大きさが固定される。
よって、収納凹部に収納できる蓄冷材等の大きさも固定されるので、所要の保冷・保温時間に合わせた適宜の大きさの蓄冷材等を収納する融通性に欠ける。
その上、前記収納凹部が形成された箇所の蓋体の厚みが薄くなるので、所要の断熱性能を確保できない場合がある。
そのような場合には、前記収納凹部が形成された箇所の蓋体の厚みを大きくする必要がある。すなわち、所要の断熱性能を確保すべく蓋体の厚みを所要の大きさ以上にした上で蓋体の下面側に収納凹部を形成する必要がある。
そのように形成した容器を、例えば短時間の運搬や輸送等のために蓄冷材等が不要な用途に用いる場合には、蓄冷材等を嵌合させる収納凹部を形成する部分が内方へ突出しているので、容器内における収納物の収納スペースが大幅に減少してしまう。
【0006】
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、蓋体を厚くして断熱性能を容易に高めることができるとともに輸送等の際の振動により断熱性能が低下することがなく、所要の保冷・保温時間に合わせた適宜の大きさの蓄冷材等を保持できる融通性を備え、蓄冷材等を使用しない用途に用いた場合に収納スペースが減少しない、発泡合成樹脂製保冷・保温容器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発泡合成樹脂製保冷・保温容器は、前記課題解決のために、
冷蔵状態若しくは冷凍状態、又は温蔵状態の収納物を収納する、容器本体及び蓋体からなる発泡合成樹脂製保冷・保温容器であって、
前記蓋体は、前記蓋体の下面側に位置する蓄冷材又は蓄熱材を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、
前記蓋体の上面側の支持部材と、
前記蓋体の厚み方向の通孔を通して、前記蓄冷材又は蓄熱材を保持するように前記支持部材から吊り下がる吊下部材と
を含み、
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部と
を含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドのバンド部と、
前記蓄冷材又は蓄熱材の厚み方向の通孔を通した前記結束バンドのバンド部を、前記蓄冷材又は蓄熱材の下面側で掛け渡す棒体と
を含むことを特徴とする(請求項1)。
【0009】
また、本発明に係る発泡合成樹脂製保冷・保温容器は、前記課題解決のために、
冷蔵状態若しくは冷凍状態、又は温蔵状態の収納物を収納する、容器本体及び蓋体からなる発泡合成樹脂製保冷・保温容器であって、
前記蓋体は、前記蓋体の下面側に位置する蓄冷材又は蓄熱材を保持する保持手段を備え、
前記保持手段は、
前記蓋体の上面側の支持部材と、
前記蓋体の厚み方向の通孔を通して、前記蓄冷材又は蓄熱材を保持するように前記支持部材から吊り下がる吊下部材と
を含み、
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、紐の結び目とを含み、
前記吊下部材は、
前記紐と、
前記蓄冷材又は蓄熱材の厚み方向の通孔を通した前記紐を、前記蓄冷材又は蓄熱材の下面側で掛け渡す棒体とを含むことを特徴とする(請求項)。
【0010】
ここで
前記吊下部材は、
前記蓋体と前記蓄冷材又は蓄熱材との間に介在し、前記結束バンドのバンド部、又は前記紐を挿通する、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金をさらに含むのがより好ましい(請求項)。
【0013】
また
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部とを含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドのバンド部と、
前記バンド部に掛止する、前記結束バンドと別の結束バンドの頭部と、
前記別の結束バンドの頭部により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体とを含むようにするのが一層好ましい(請求項)。
【0014】
さらに
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、結束バンドの頭部とを含み、
前記吊下部材は、
前記結束バンドの頭部に掛止する、前記結束バンドと別の結束バンドのバンド部と、
前記別の結束バンドの頭部と、
前記別の結束バンドの頭部により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体とを含むようにするのも一層好ましい(請求項)。
【0015】
さらにまた、
前記支持部材は、
前記蓋体の上面に沿う、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金と、
前記板体又は前記座金の上面側に位置する、紐の上部結び目とを含み、
前記吊下部材は、
前記紐と、
前記紐の下部結び目と、
前記下部結び目により前記蓋体の下面側に保持され、前記蓄冷材又は蓄熱材を収納する、通気性のある箱体又は袋体とを含むようにしてもよい(請求項)。
【0016】
また
前記吊下部材は、
前記箱体又は袋体に収納され、前記箱体又は袋体と前記蓄冷材又は蓄熱材との間に介在し前記結束バンドのバンド部、又は前記紐を挿通する、厚み方向の通孔を備えた、板体又は座金をさらに含むのがより好ましい(請求項)。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係る発泡合成樹脂製保冷・保温容器によれば、主に以下のような作用効果を奏する。
(1)蓋体の上面側の支持部材と支持部材から吊り下がる吊下部材とを含む保持手段により蓄冷材等を保持することから、蓋体の形状が簡単になるので、発泡合成樹脂製の蓋体を厚くして断熱性能を容易に高めることができる。
(2)前記保持手段により蓄冷材等を保持することから、支承段部上に上方から蓄冷材等を載置するための補助蓋がなく、補助蓋を取り付ける嵌合部がないので、冷気や暖気が逃げにくく、所要の断熱性能を確保しやすい。
(3)前記保持手段により適宜の大きさの蓄冷材等を保持できるので、所要の保冷・保温時間に合わせた大きさの蓄冷材等を選択して保持する融通性が高い。
(4)蓄冷材等を使用しない用途に使用する際に、可撓性のある吊下部材を用いることや、吊下部材を取り外すことにより、容器内における収納物の収納スペースが減少しない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る発泡合成樹脂製保冷容器において、容器本体から蓋体を外した状態を示す斜視図である。
図2】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。
図3】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の分解斜視図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る発泡合成樹脂製保冷容器において、容器本体から蓋体を外した状態を示す斜視図である。
図5】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。
図6】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の分解斜視図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る発泡合成樹脂製保冷容器の蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。
図8】本発明の実施の形態4に係る発泡合成樹脂製保冷容器において、容器本体から蓋体を外した状態を示す斜視図である。
図9】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。
図10】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の分解斜視図である。
図11】本発明の実施の形態5に係る発泡合成樹脂製保冷容器において、容器本体から蓋体を外した状態を示す斜視図である。
図12】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。
図13】蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の分解斜視図である。
図14】(a)は本発明の実施の形態6に係る発泡合成樹脂製保冷容器の蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図、(b)は蓋体への保持手段の取付け方法を示す要部拡大縦断面図である。
図15】本発明の実施の形態7に係る発泡合成樹脂製保冷容器の蓋体、並びに蓄冷材、及び蓄冷材の保持手段の要部拡大縦断面図である。蓋体の要部拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本発明は、発泡合成樹脂製保冷・保温容器に関するものであるが、以下の説明においては、主に発泡合成樹脂製保冷容器について説明する。
また、容器本体に蓋体を取り付けた発泡合成樹脂製保冷容器を水平面上に置いた状態を基準とし、上下方向を定義する。
【0020】
<実施の形態1>
図1の斜視図に示すように、本発明の実施の形態1に係る発泡合成樹脂製保冷容器Aは、冷蔵状態又は冷凍状態の図示しない収納物を収納するものであり、平面視矩形状の容器本体1及び蓋体2からなる。
容器本体1は、平面視矩形状の長辺側である、側面視矩形板状で対向する側壁3,3、及び平面視矩形状の短辺側である、側面視矩形板状で対向する側壁4,4、並びに、側壁3,3,4,4の下端部に繋がる平面視矩形板状の底板5からなる。
容器本体1内に前記収納物を収納した後、側壁3,3,4,4の上部内面に、蓋体2下面に突設した嵌合凸部20を嵌合させることにより閉蓋する。
【0021】
ここで、容器本体1及び蓋体2は、軽量であるとともに断熱性等に優れた発泡合成樹脂製であり、型内ビーズ発泡成形により製造される。
発泡合成樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリスチレンが強度やコスト等の点から好ましい。
【0022】
図2の要部拡大縦断面図、及び図3の分解斜視図に示すように、本発明の実施の形態1に係る発泡合成樹脂製保冷容器Aの蓋体2は、蓋体2の下面2B側に位置する蓄冷材11を保持する保持手段Bを備える。
保持手段Bは、蓋体2の上面2A側の支持部材Cと、蓋体2の厚み方向の通孔2Cを通して、蓄冷材11を保持するように支持部材Cから吊り下がる吊下部材Dとを含む。
ここで、蓋体2の厚み方向の通孔2Cは、蓋体2の所要位置に予め形成しておいてもよいし、現場で針状物等を突き差すこと等により形成してもよい。
断熱性を高めるためには、蓋体2を厚くし、通孔2Cの孔径をなるべく小さくするとともに、通孔2Cの数をなるべく少なくするのが好ましい。さらに断熱性を高めたい場合には、通孔2Cに吊下部材Dを通した状態で、通孔2Cにシーリング材等を充填して封止するのが好ましい。
【0023】
支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う、厚み方向の通孔6Aを備えた板体6と、板体6の上面側に位置する、結束バンド10の頭部10Aとを含む。
吊下部材Dは、結束バンド10のバンド部10Bと、蓄冷材11の厚み方向の通孔11Aを通した結束バンド10のバンド部10Bを、蓄冷材11の下面側で掛け渡す棒体12とを含む。
また、吊下部材Dは、蓋体2と蓄冷材11との間に介在し、結束バンド10のバンド部10Bを挿通する、厚み方向の通孔7Aを備えた板体7をさらに含む。
ここで、板体6,7は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂製、又はアルミニウム合金等の軽合金製である。
【0024】
次に、蓋体2への保持手段Bの取付け方法について説明する。
結束バンド10を、頭部10Aの孔にバンド部10Bを通してバンド部10Bのセレーションに頭部10Aの爪を掛止し、図3の分解斜視図に示すようなループ状にする。
ループ状の結束バンド10のバンド部10Bを、板体6の通孔6A、蓋体2の通孔2C、板体7の通孔7A、及び蓄冷材11の通孔11Aに挿通し、ループ状の先端を蓄冷材11の下面よりも突出させ、ループ状の先端内に棒体12を通す。
その状態で、結束バンド10の頭部10Aの孔から出ているバンド部10Bを引くことにより、図2の要部拡大縦断面図のように、結束バンド10の頭部10Aを介して板体6が蓋体2の上面2Aに押し付けられ、結束バンド10のループ状のバンド部10B及び棒体12を介して、蓄冷材11及び板体7が上方へ引き付けられ、板体7が蓋体2の下面2Bに押し付けられる。なお、結束バンド10の頭部10Aの孔から出ているバンド部10Bは、必要に応じて適宜位置で切断する。
【0025】
このような保持手段Bにより、蓄冷材11は蓋体2の下面2B側に強固に保持される。
また、板体6,7が蓋体2を上下から挟んでいるので、断熱性能が向上する。
なお、蓋体2の通孔2C、及び板体6,7の通孔6A,7Aの孔径をなるべく小さくすることにより、冷気が外部へ逃げにくくなる。
さらに、板体6,7は、合成樹脂製又は軽合金製であることから、結束バンドのバンド部10Bを挿通しても通孔6A,7Aは広がらない。よって、発泡合成樹脂製の蓋体2の通孔2Cを形成する内壁の損傷が抑制されるので、通孔2Cが広がって断熱性能が低下することがない。
【0026】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2を示す図4の斜視図、図5の要部拡大縦断面図、及び図6の分解斜視図において、実施の形態1の図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分であるので、それらの詳細説明は省略する。
実施の形態2は、実施の形態1の板体6,7を座金8,9に替えたものである。
【0027】
蓋体2への保持手段Bの取付け方法は、実施の形態1と同様であり、ループ状の結束バンド10のバンド部10Bを、座金8の通孔8A、蓋体2の通孔2C、座金9の通孔9A、及び蓄冷材11の通孔11Aに挿通し、ループ状の先端を蓄冷材11の下面よりも突出させ、ループ状の先端内に棒体12を通す。
その状態で、結束バンド10の頭部10Aの孔から出ているバンド部10Bを引くことにより、図5の要部拡大縦断面図のように、結束バンド10の頭部10Aを介して座金8が蓋体2の上面2Aに押し付けられ、結束バンド10のループ状のバンド部10B及び棒体12を介して、蓄冷材11及び座金9が上方へ引き付けられ、座金9が蓋体2の下面2Bに押し付けられる。
【0028】
実施の形態1及び2における結束バンド10は、頭部10Aとバンド部10Bが一体のものであるが、頭部10Aとバンド部10Bが別体のものであってもよい。
【0029】
<実施の形態3>
本発明の実施の形態3を示す図7の要部拡大縦断面図において、実施の形態1の図2と同一符号は同一又は相当部分であるので、それらの詳細説明は省略する。
実施の形態3は、実施の形態1の結束バンド10を紐18に替えたものである。
【0030】
支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う板体6と、板体6の上面側に位置する、紐18の結び目18Aとを含む。
吊下部材Dは、紐18と、蓄冷材11の厚み方向の通孔11Aを通した紐18を、蓄冷材11の下面側で掛け渡す棒体12とを含む。
また、吊下部材Dは、蓋体2と蓄冷材11との間に介在し、紐18を挿通する、厚み方向の通孔7Aを備えた板体7をさらに含む。
なお、板体6,7を、実施の形態2のような座金8,9に替えてもよい。
【0031】
<実施の形態4>
本発明の実施の形態4を示す図8の斜視図、図9の要部拡大縦断面図、及び図10の分解斜視図において、実施の形態1の図1ないし図3と同一符号は同一又は相当部分であるので、それらの詳細説明は省略する。
実施の形態4は、実施の形態1の結束バンド10及び棒体12を、ボルト13及びナッド14、並びに箱体15に替えたものである。
【0032】
支持部材Cは、蓋体2の上面に沿う、板体6と、板体6の上面側に位置する、ボルト13の頭部13Aとを含む。
吊下部材Dは、ボルト13の胴部13Bと、胴部13Bのねじ部13Cに螺合するナット14と、ナット14により蓋体2の下面2B側に保持され、蓄冷材11を収納する、通気性のある箱体15とを含む、
また、吊下部材Dは、箱体15に収納され、箱体15と蓄冷材11との間に介在し、ボルト13の胴部13Bを挿通する、厚み方向の通孔7Aを備えた、板体7をさらに含む。
【0033】
ボルト13及びナット14は、金属製又は合成樹脂製であり、ナット14は緩み止めナットであるのが好ましい。
箱体15は、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン又はABS等の合成樹脂製であり、板体7及び蓄冷材11,11,…を収納するための側面開口15Bを備えるとともに、下面の通気孔15C,15C,…、及び側面の通気孔15D,15D,…を備える。
【0034】
次に、蓋体2への保持手段Bの取付け方法について説明する。
図10の分解斜視図に示すように、ボルト13の胴部13Bを、板体6の通孔6A、蓋体2の通孔2C、箱体15の通孔15A、及び板体7の通孔7Aに挿通し、胴部13Bのねじ部13Cにナット14を螺合する。それにより、図9の要部拡大縦断面図のように、ボルト13の頭部13Aを介して板体6が蓋体2の上面2Aに押し付けられ、ナット14及び板体7を介して、箱体15の上側部分が蓋体2の下面2Bに押し付けられる。
このような保持手段Bにより、蓄冷材11は、箱体15内に収納された状態で蓋体2の下面2B側に保持される。
【0035】
<実施の形態5>
本発明の実施の形態5を示す図11の斜視図、図12の要部拡大縦断面図、及び図13の分解斜視図において、実施の形態4の図8ないし図10と同一符号は同一又は相当部分であるので、それらの詳細説明は省略する。
実施の形態5は、実施の形態4の板体6,7を座金8,9に替えたものである。
【0036】
蓋体2への保持手段Bの取付け方法は、実施の形態4と同様であり、ボルト13の胴部13Bを、座金8の通孔8A、蓋体2の通孔2C、箱体15の通孔15A、及び座金9の通孔9Aに挿通し、胴部13Bのねじ部13Cにナット14を螺合する。それにより、図12の要部拡大縦断面図のように、ボルト13の頭部13Aを介して座金8が蓋体2の上面2Aに押し付けられ、ナット14及び座金9を介して、箱体15の上側部分が蓋体2の下面2Bに押し付けられる。
【0037】
以上のような実施の形態4及び5の構成において、ボルト13及びナット14を上下逆にしてもよい。
そのように構成した場合における支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う板体6又は座金8と、板体6又は座金8の上面側に位置するナット14とを含む。また、吊下部材Dは、ナット14に螺合するねじ部13Cを胴部13Bに備えたボルト13と、ボルト13の頭部13Aにより蓋体2の下面2B側に保持され、蓄冷材11を収納する、通気性のある箱体15を含む。
【0038】
<実施の形態6>
本発明の実施の形態6は、実施の形態4及び5におけるボルト13及びナット14に替えて2つの結束バンドを用いるものであり、図14(a)の要部拡大縦断面図は、実施の形態5と同様に座金8,9を用いる例を示している。
【0039】
図14(a)に示すように、支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う座金8と、座金8の上面側に位置する、結束バンド16の頭部16Aとを含む。
吊下部材Dは、結束バンド16のバンド部16Bと、バンド部16Bに掛止する、結束バンド16と別の結束バンド17の頭部17Aと、結束バンド17の頭部17Aにより蓋体2の下面2B側に保持され、蓄冷材11を収納する、通気性のある箱体15とを含む。
また、吊下部材Dは、箱体15に収納され、箱体15と蓄冷材11との間に介在し、結束バンド16のバンド部16Bを挿通する座金9をさらに含む。
【0040】
蓋体2への保持手段Bの取付け方法は、図14(b)に示すように、結束バンド16のバンド部16Bを座金8の通孔8A、蓋体2の通孔2C、箱体15の通孔15A、及び座金9の通孔9Aに挿通し、バンド部16Bのセレーションに結束バンド17の頭部17Aの爪を掛止する。それにより、図14(a)のように、結束バンド16の頭部16Aを介して座金8が蓋体2の上面2Aに押し付けられ、結束バンド17の頭部17A及び座金9を介して、箱体15の上側部分が蓋体2の下面2Bに押し付けられる。
なお、結束バンド17のバンド部17Bは適宜位置で切断する。
【0041】
以上のような実施の形態6の構成において、結束バンド16及び17を上下逆にしてもよい。
そのように構成した場合における支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う座金8と、座金8の上面側に位置する、結束バンド17の頭部17Aとを含む。また、吊下部材Dは、結束バンド17の頭部17Aに掛止する、結束バンド17と別の結束バンド16のバンド部16Bと、結束バンド16の頭部16Aと、結束バンド16の頭部16Aにより蓋体2の下面2B側に保持され、蓄冷材11を収納する、通気性のある箱体15とを含む。
【0042】
<実施の形態7>
本発明の実施の形態7を示す図15の要部拡大縦断面図において、実施の形態4の図9と同一符号は同一又は相当部分であるので、それらの詳細説明は省略する。
実施の形態7は、実施の形態4のボルト13及びナット14を紐19に替えたものである。
【0043】
支持部材Cは、蓋体2の上面2Aに沿う板体6と、板体6の上面側に位置する、紐19の上部結び目19Aとを含む。
吊下部材Dは、紐19と、紐19の下部結び目19Bと、下部結び目19Bにより蓋体2の下面2B側に保持され、蓄冷材11を収納する、通気性のある箱体15を含む。
【0044】
以上のような通気性のある箱体15を用いる実施の形態4ないし7の構成において、箱体15に替えて通気性のある袋体を用いてもよい。
通気性のある袋体は、エラストマーや合成ゴム等の可撓性シートに多数の孔を形成してなる可撓性多孔シート材で形成してもよいし、布で形成してもよく、紐を編んだネット等で形成してもよい。
【0045】
以上の説明における保持手段Bの構成において、ボルト13及びナット14に替えて、金属製又は合成樹脂製のリベット等を用いてもよい。
以上の説明における蓄冷材11に替えて蓄熱材を用い、保持手段Bにより蓄熱材を蓋体2に保持することにより、発泡合成樹脂製保温容器になる。
以上の説明においては、発泡合成樹脂製保冷・保温容器を構成する容器本体1及び蓋体2が平面視矩形状である場合を示したが、容器本体1及び蓋体2は、平面視で、円形状、楕円形状、又は小判形状等、平面視矩形状以外であってもよい。
なお、本発明に使用する板体6,7、座金8,9、結束バンド10,16,17、ボルト13、ナット14、紐18,19、及びリベット等は、断熱性をより高めるためには、例えば合成樹脂等、できるだけ断熱性に優れた素材を使用するのが好ましい。
【0046】
以上のような構成の発泡合成樹脂製保冷・保温容器によれば、蓋体2の上面2A側の支持部材Cと支持部材Cから吊り下がる吊下部材Dとを含む保持手段Bにより蓄冷材11等を保持することから、蓋体2の形状が簡単になるので、発泡合成樹脂製の蓋体2を厚くして断熱性能を容易に高めることができる。
また、保持手段Bにより蓄冷材11等を保持することから、支承段部上に上方から蓄冷材11等を載置するための補助蓋がなく、補助蓋を取り付ける嵌合部がないので、冷気や暖気が逃げにくく、所要の断熱性能を確保しやすい。
さらに、保持手段Bにより適宜の大きさの蓄冷材11等を保持できるので、所要の保冷・保温時間に合わせた大きさの蓄冷材11等を選択して保持する融通性が高い。
さらにまた、蓄冷材11等を使用しない用途に使用する際に、可撓性のある吊下部材Dを用いることや、吊下部材Dを取り外すことにより、容器A内における収納物の収納スペースが減少しない。
【符号の説明】
【0047】
A 発泡合成樹脂製保冷容器 B 保持手段
C 支持部材 D 吊下部材
1 容器本体 2 蓋体
2A 上面 2B 下面
2C 通孔 3,4 側壁
5 底板 6,7 板体
6A,7A 通孔 8,9 座金
8A,9A 通孔 10 結束バンド
10A 頭部 10B バンド部
11 蓄冷材 11A 通孔
12 棒体 13 ボルト
13A 頭部 13B 胴部
13C ねじ部 14 ナット
15 箱体 15A 通孔
15B 側面開口 15C,15D 通気孔
16,17 結束バンド 16A,17A 頭部
16B,17B バンド部 18,19 紐
18A 結び目 19A 上部結び目
19B 下部結び目 20 嵌合凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15