(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、コア間の距離に対する効率の維持が困難であり、高効率での非接触電力伝送が不可能である。例えば、公開されている効率は、コア間の距離が5mmのときに85%以下である。
【0006】
また、非特許文献1に記載の技術では、共振型のコンバータのトランス部分をコネクタとして用いているため、効率は高くすることができるが、負荷条件に制限があり、用途が制限される。
【0007】
また、非特許文献2に記載の技術では、トランスのイラスト的な形状が紹介されているが、実機による実証はなされていない。また、非特許文献2に記載のトランス構造を非特許文献1に記載の回路に適用した場合、漏れインダクタンスの設計自由度が低く、用途に対する自由度も低い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様は、電力を供給する一次側回路と、前記一次側回路から供給された電力を負荷に供給する二次側回路と、がトランスを介して結合された非接触電力伝達装置であって、前記一次側回路及び前記二次側回路によって、蓄電手段とアプリケーションとを接続可能な非接触電力伝達装置である。
【0009】
ここで、前記トランスの前記一次側回路側の一次側巻線は分割されており、前記分割された一次側巻線のそれぞれに電流制御用の一次側スイッチング素子が設けられ、前記トランスの前記二次側回路側の二次側巻線は分割されており、前記分割された二次側巻線のそれぞれに電流制御用の二次側スイッチング素子が設けられ、前記一次側スイッチング素子及び前記二次側スイッチング素子をスイッチング制御することにより前記一次側回路と前記二次側回路との間で電力伝達を行うことが好適である。
【0010】
具体的には、前記一次側回路において、前記一次側巻線は一次側共通コンデンサを介して直列に接続された第一の一次側巻線と第二の一次側巻線とから構成され、前記第一の一次側巻線には第一の一次側スイッチング素子と第一の一次側コンデンサとが並列に接続され、前記第二の一次側巻線には第二の一次側スイッチング素子と第二の一次側コンデンサとが並列に接続され、前記二次側回路において、前記二次側巻線は二次側共通コンデンサを介して直列に接続された第一の二次側巻線と第二の二次側巻線とから構成され、前記第一の二次側巻線には第一の二次側スイッチング素子と第一の二次側コンデンサとが並列に接続され、前記第二の二次側巻線には第二の二次側スイッチング素子と第二の二次側コンデンサとが並列に接続され、前記第一の一次側巻線、前記第二の一次側巻線、前記第一の二次側巻線及び第二の二次側巻線の間のうち少なくとも1つの結合率が設計変更可能であることが好適である。
【0011】
また、前記トランスは、互いに嵌め合わされる形状を有する凸形状コアと凹形状コアとを備え、前記凸形状コア及び前記凹形状コアのいずれか一方に前記一次側巻線が巻回されており、前記凸形状コア及び前記凹形状コアの他方に前記二次側巻線が巻回されていることが好適である。
【0012】
また、前記一次側巻線の巻回数が異なる複数の前記一次側回路から選択された1つの前記一次側回路と前記二次側回路とを組み合わせることによって、前記一次側巻線と前記二次側巻線の巻数比を変更可能なことが好適である。
【0013】
また、前記二次側巻線の巻回数が異なる複数の前記二次側回路から選択された1つの前記二次側回路と前記一次側回路とを組み合わせることによって、前記一次側巻線と前記二次側巻線の巻数比を変更可能なことが好適である。
【0014】
本発明の別の態様は、上記非接触電力伝達装置を複数備えることを特徴とする電池パックである。
【0015】
ここで、前記電池パックに含まれる前記蓄電手段の一部の電力を用いて駆動力を発生させる駆動手段と、を備え、前記駆動手段によって発生した駆動力により移動が可能なことが好適である。
【0016】
本発明の別の態様は、上記非接触電力伝達装置を複数並列に接続したことを特徴とする電力グリッドシステムである。
【0017】
本発明の別の態様は、上記非接触電力伝達装置を用いて電力伝達させることを特徴とする電力伝達方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、端子における短絡やシステムの劣化を防ぎつつ、安全な電力伝達を実現することができる。また、トランスの巻数比が異なる回路を組み合わせることで、様々な用途に適応できる電力伝達システムを実現することができる。また、回路の特徴を応用して、トランスの結合率を従来よりも高い自由度で設計することができ、高出力化が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態における非接触電力伝達装置100は、
図1に示すように、蓄電池10、一次側回路12、二次側回路14、一次側制御部16及び二次側制御部18を含んで構成される。非接触電力伝達装置100は、アプリケーション200に接続されて使用される。
【0021】
非接触電力伝達装置100において、一次側回路12と二次側回路14とはトランス20によって、有線による電気的な接続をすることなく、電磁気的に結合されている。一次側回路12及び二次側回路14は、それぞれ直流−交流変換回路及び交流−直流変換回路等を含んで構成される。また、一次側回路12及び二次側回路14は、直流−直流電圧変換回路等の他の回路を含んでもよい。非接触電力伝達装置100は、一次側回路12と二次側回路14との間で電力を伝達することによって、一次側回路12に接続された蓄電池10から二次側回路14に接続されたアプリケーション200(負荷)に電力を供給したり、二次側回路14に接続されたアプリケーション200(電力供給手段)から一次側回路12に接続された蓄電池10を充電したりする。
【0022】
一次側制御部16は、一次側回路12を制御する。例えば、一次側制御部16は、一次側回路12に含まれる直流−交流変換回路等を制御する。二次側制御部18は、二次側回路14を制御する。例えば、二次側制御部18は、二次側回路14に含まれる交流−直流変換回路等を制御する。一次側制御部16と二次側制御部18は、それぞれ無線通信手段22,24を備え、必要に応じて一次側回路12に対する制御と二次側回路14に対する制御の同期を取って非接触電力伝達装置100を制御する。
【0023】
非接触電力伝達装置100では、蓄電池10の充電状態(SoC)や温度に応じて蓄電池10に対する充放電を制御することができる。また、無線通信手段22,24を用いることによって、一次側回路12と二次側回路14との間で非接触に電力伝達を実現することができる。
【0024】
図2は、非接触電力伝達装置100の回路構成の具体例を示す。非接触電力伝達装置100は、一次側巻線30、スイッチング素子32a,32b、コンデンサ34a,34b及び環流ダイオード36a,36bを含む一次側回路12と、二次側巻線40、スイッチング素子42a,42b、コンデンサ44a,44b及び環流ダイオード46a,46bを含む二次側回路14とを組み合わせて構成される。なお、
図2において、一次側制御部16及び二次側制御部18の図示は省略している。
【0025】
一次側回路12に含まれるトランス20の一次側巻線30は分割巻線30a,30bに分割されている。分割巻線30aは、スイッチング素子32aとコンデンサ34aの間に接続される。スイッチング素子32aには、環流ダイオード36aが並列に接続される。また、分割巻線30bは、スイッチング素子32bとコンデンサ34bの間に接続される。スイッチング素子32bには、環流ダイオード36bが並列に接続される。分割巻線30aとスイッチング素子32aとの接続点とスイッチング素子32bとスイッチング素子32bの接続点がコンデンサC1にて接続される。さらに、コンデンサ34aとスイッチング素子32aの接続点とコンデンサ34bとスイッチング素子32bとの接続点が短絡される。一次側回路12では、スイッチング素子32aとスイッチング素子32bとが排他的に交互に開閉される。
【0026】
二次側回路14に含まれるトランス20の二次側巻線40は分割巻線40a,40bに分割されている。分割巻線40aは、スイッチング素子42aとコンデンサ44aの間に接続される。スイッチング素子42aには、環流ダイオード46aが並列に接続される。また、分割巻線40bは、スイッチング素子42bとコンデンサ44bの間に接続される。スイッチング素子42bには、環流ダイオード46bが並列に接続される。分割巻線40aとスイッチング素子42aとの接続点とスイッチング素子42bとスイッチング素子42bの接続点がコンデンサC2にて接続される。さらに、コンデンサ44aとスイッチング素子42aの接続点とコンデンサ44bとスイッチング素子42bとの接続点が短絡される。二次側回路14では、スイッチング素子42aとスイッチング素子42bとが排他的に交互に開閉される。また、二次側回路14におけるスイッチングのデューティは、基本的に一次側回路12のスイッチングのデューティに等しくする。
【0027】
一次側回路12には、ポートAが設けられる。また、二次側回路14には、ポートBが設けられる。ポートAには蓄電池10が接続され、ポートBにはアプリケーション200が接続される。非接触電力伝達装置100では、一次側巻線30と二次側巻線40とが電磁気的に結合される。これにより、ポートAが設けられた一次側回路12とポートBが設けられた二次側回路14とが電磁気的に結合される。
【0028】
非接触電力伝達装置100の当該例では、一次側回路12に含まれる分割巻線30a,30bは、1つの一次側コア38に巻回される。また、二次側回路14に含まれる分割巻線40a,40bは、1つの二次側コア48に巻回される。スイッチング素子32aとスイッチング素子32bのスイッチングと、スイッチング素子42aとスイッチング素子42bのスイッチングとの位相差が0の場合に互いに一次側コア38及び二次側コア48に同じ方向に磁束を発生させる方向に分割巻線30a,30b及び分割巻線40a,40bを巻回することが好適である。
【0029】
当該非接触電力伝達装置100の伝送電力P
ddは、数式(1)及び数式(2)により表すことができる。ここで、V
inは一次側回路12のポートAの端子間電圧、V
outは二次側回路14のポートBの端子間電圧、ωは動作周波数より求められる値、Φは一次側回路12と二次側回路14のブリッジ動作位相である。また、L
1は分割巻線30a,30b,40a,40bの自己インダクタンス、k
pは分割巻線30aと分割巻線30bの間及び分割巻線40aと分割巻線40bの間の結合係数、k
psは分割巻線30aと分割巻線40aの間、分割巻線30aと分割巻線40bとの間、分割巻線30bと分割巻線40aの間、分割巻線30bと分割巻線40bの間の結合係数である。
【数1】
【数2】
【0030】
ここで、結合係数k
psの特徴について説明する。トランス20の結合率は、一般的に、他巻線開放時のインダクタンスL
openと他巻線短絡時のインダクタンスL
shortを用いて、数式(3)により求められる。
【数3】
【0031】
図3に示すようなコア50a,50b及び巻線52a,52bの構成(図中、磁束は太矢印線で示す)では、磁束54に対して閉じたコアの経路が無く、他方のコアとの鎖交量が小さくなるために結合係数k
psは小さい。したがって、数式(1)で示される伝送電力P
ddも小さくなる。これに対して、
図4に示すように、凸形状コア60aと凹形状コア60bとを組み合わせ、巻線62a,62bをそれぞれに巻回させた構成では、磁束64が構造的に凸形状コア60a及び凹形状コア60b内で閉じており、
図3の構成に比べて結合係数k
psは大きくなる。このように、一次側と二次側との間の電磁気的な結合率(結合係数k
ps)は、構造によって変化し、
図4に示した構成は電力伝送に有利となる。
【0032】
また、一次側巻線30と二次側巻線40とはより近接させることで結合率(結合係数k
ps)を大きくすることができるが、非接触電力伝達装置100のように一次側回路12と二次側回路14とを着脱することを想定すると、嵌め合いの物理的な距離を確保するために近接させる限界がある。すなわち、一次側巻線30と二次側巻線40との物理的な近接の限界に応じて、結合率(結合係数k
ps)にも上限値が生ずる。
【0033】
図2に示した非接触電力伝達装置100では、数式(2)に示されるように、L
eqが(k
p−k
ps)に依存するので、結合係数k
pを小さくすることで伝送電力P
ddを大きくすることができる。
【0034】
そこで、結合係数k
pについて検討する。
図5は、一次側巻線30における分割巻線30a(図中、白丸印で示す)と分割巻線30b(図中、ハッチングを施した丸印で示す)の巻回について異なる3つの構成を示す。
図5(a)は、分割巻線30aと分割巻線30bとをツイスト巻線構造とした場合を示す。すなわち、分割巻線30a及び分割巻線30bの一方を巻回した後、その外周に他方を巻回した構成である。ツイスト巻線構造は、最も結合係数k
pが大きくなる構造であり、分割巻線30a及び分割巻線30bのそれぞれの発生磁束が密に鎖交し合う。
図5(b)は、分割巻線30aと分割巻線30bとを並行並走巻線構造とした場合を示す。すなわち、分割巻線30a及び分割巻線30bを軸方向に沿って交互に巻回した構成である。並行並走巻線構造は、ツイスト巻線構造と同様に、分割巻線30a及び分割巻線30bの発生磁束がほぼ鎖交し合う。
図5(c)は、分割巻線30aと分割巻線30bとを独立巻線構造とした場合を示す。すなわち、分割巻線30aを軸方向に沿って巻回した部分と分割巻線30bを軸方向に沿って巻回した部分とを独立に設けた構成である。独立巻線構造は、互いに交差しない磁束66が生じるため、漏れ磁束が多くなり、ツイスト巻線構造及び並行並走巻線構造に比べて結合係数k
pが小さくなる。
【0035】
なお、ここでは一次側巻線30の分割巻線30a及び分割巻線30bの巻線構造について説明したが、二次側巻線40の分割巻線40a及び分割巻線40bについても同様である。
【0036】
一方、自己インダクタンスL1は、分割巻線30aと分割巻線30bとの巻線構造及び分割巻線40aと分割巻線40bの巻線構造に対して大きく変化しない。
【0037】
したがって、コア形状と巻線構造とを適切に組み合わせてトランス20を構成することで、一次側巻線30と二次側巻線40との距離が離れたとしても、結合係数k
psを大きく、結合係数k
pを小さくして大きな伝送電力P
ddを実現することができる。
【0038】
図6及び
図7は、
図4に示した凸形状コア60aと凹形状コア60bとを組み合わせたコア形状に対して並行並走巻線構造を適用したときの結合率(実線:結合係数k
p,破線:結合係数k
ps)と伝送電力P
dd(実線:実験結果,破線:解析結果)を示す。
図6及び
図7の横軸は、一次側巻線30と二次側巻線40との距離である。
【0039】
図6に示すように、一次側巻線30と二次側巻線40との距離が離れるにつれて、結合率(結合係数k
p,結合係数k
ps)はそれぞれ低下する。ただし、結合係数k
psは、結合係数k
pに比べて一次側巻線30と二次側巻線40との距離に対して低下率が大きい。このような結合係数k
pと結合係数k
psの関係から、数式(1)及び数式(2)により表される伝送電力P
ddは、
図7に示すように、一次側巻線30と二次側巻線40との距離に対してある領域において増加したり、低下率が小さくなったりする。
【0040】
図8は、
図4に示した凸形状コア60aと凹形状コア60bとを組み合わせたコア形状に対して、ツイスト巻線構造、並行並走巻線構造及び独立巻線構造を適用したときの結合率(結合係数k
p,結合係数k
ps)の比を示す。また、
図9は、
図4に示した凸形状コア60aと凹形状コア60bとを組み合わせたコア形状に対して、ツイスト巻線構造、並行並走巻線構造及び独立巻線構造を適用したときの伝送電力P
ddを示す。
【0041】
図8に示すように、巻線構造を変化させることによって、結合係数k
psはほとんど変化させることなく、結合係数k
pを変化させることができる。これにより、
図9に示すように、伝送電力P
dd(出力特性)を適切に設計することができる。
【0042】
なお、巻線構造は、ツイスト巻線構造、並行並走巻線構造及び独立巻線構造に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。例えば、複数の巻線構造を組み合わせた構造としてもよい。すなわち、例えば、巻線の一部をツイスト巻線構造とし、残りの部分を並行並走巻線構造としたり、巻線の一部をツイスト巻線構造とし、残りの部分を独立巻線構造としたりしてもよい。他の組み合わせも同様に採用することができる。
【0043】
[非接触電力伝達装置の応用例1]
本実施の形態における非接触電力伝達装置100では、一次側回路12と二次側回路14とを適宜組み合わせることによって、アプリケーション200に応じた適切な効率で電力伝送を実現することができる。
【0044】
例えば、
図10に示すように、二次側巻線40の巻回数が異なる複数の二次側回路14から選択された1つの二次側回路14と一次側回路12とを組み合わせることによって、一次側巻線30と二次側巻線40の巻数比を適宜変更可能である。これにより、蓄電池10とアプリケーション200との組み合わせに応じて適切な効率で電力伝送を実現することができる。
【0045】
また、例えば、
図11に示すように、一次側巻線30の巻回数が異なる複数の一次側回路12から選択された1つの一次側回路12と二次側回路14とを組み合わせることによって、一次側巻線30と二次側巻線40の巻数比を変更可能である。これにより、蓄電池10とアプリケーション200との組み合わせに応じて適切な効率で電力伝送を実現することができる。
【0046】
[非接触電力伝達装置の応用例2]
図12は、非接触電力伝達装置100に対する制御部の構成例を示す。一次側制御部16は、一次側回路12のスイッチング素子32a,32bのスイッチングを制御するゲートドライブ回路を含んで構成される。また、一次側制御部16は、無線通信手段22を含む通信機を備える。一次側制御部16は、制御コントローラ70からのゲート制御信号を受けて、スイッチング素子32a,32bのゲート電圧を制御する。
【0047】
また、二次側制御部18は、二次側回路14のスイッチング素子42a,42bのスイッチングを制御するゲートドライブ回路を含んで構成される。また、二次側制御部18は、無線通信手段24を含む通信機を備える。制御コントローラ70は、一次側制御部16の無線通信手段22及び二次側制御部18の無線通信手段24を介して、二次側制御部18へゲート制御信号を送信する。二次側制御部18は、制御コントローラ70からのゲート制御信号を受けて、スイッチング素子42a,42bのゲート電圧を制御する。これにより、一次側回路12と二次側回路14のスイッチングを同期させることができる。
【0048】
また、アプリケーション200の制御が必要な場合、無線通信手段22及び無線通信手段24を介して、制御コントローラ70によってアプリケーション200の制御を行えばよい。例えば、無線通信手段22及び無線通信手段24を介して、アプリケーション200の状態値を制御コントローラ70へ通信し、その値に基づいて制御コントローラ70から制御信号を出力することでアプリケーション200に対するフィードバック制御を実現することができる。
【0049】
なお、一次側制御部16と二次側制御部18との間で無線通信を行う構成に限定されるものでなく、制御コントローラ70と二次側制御部18との間で無線通信を行う構成としてもよい。また、制御コントローラ70と二次側制御部18とが有線で接続される場合、制御コントローラ70と一次側制御部16との間で無線通信を行う構成としてもよい。これらの構成とすることにより、一次側回路12と二次側回路14とを分離可能な態様にて非接触電力伝達装置100を使用することができる。
【0050】
なお、有線で通信を実現できるような場合には無線通信に代えて有線通信を適用してもよい。
【0051】
[非接触電力伝達装置の応用例3]
本実施の形態における非接触電力伝達装置100は、電力グリッドシステムに適用することができる。
図13は、非接触電力伝達装置100を適用した電力グリッドシステム300の例を示す。
【0052】
電力グリッドシステム300では、アプリケーションライン72に対して、それぞれ非接触電力伝達装置100(100a〜100d)を介して蓄電・発電装置74(74a〜74d)が接続される。
【0053】
蓄電・発電装置74は、二次電池等の蓄電手段や太陽電池等の発電手段を含んで構成される。例えば、蓄電・発電装置74aを小型二次電池、蓄電・発電装置74bを大型二次電池、蓄電・発電装置74cを太陽電池、蓄電・発電装置74dをEDLCとすることができる。アプリケーションライン72は、例えば、電力グリッドラインや電気エネルギーを使用するアプリケーションに繋がるラインとすることができる。
【0054】
非接触電力伝達装置100a〜100dは、それぞれアプリケーションライン72の電圧を基準として、蓄電・発電装置74a〜74dの電圧に合わせるように一次側回路12と二次側回路14との巻線比が設計される。非接触電力伝達装置100a〜100dは、アプリケーションライン72から供給できる電力と蓄電・発電装置74a〜74dの状態応じて電力の分配を行い、蓄電・発電装置74a〜74dの電力制御を行う。例えば、太陽電池を優先的な電力出力手段とし、アプリケーションライン72において電力が余剰状態にあるときには二次電池に電力を循環させてエネルギーを備蓄する等、エネルギーの有効理由を図ることができる。
【0055】
また、非接触電力伝達装置100の一次側と二次側とは非接触であるので、非接触電力伝達装置100の一部が過酷な環境下、例えば風雨に曝される環境下であっても漏電等の不具合の発生を抑制することができ、安全を保つことができる。
【0056】
また、さらに蓄電・発電装置74を増設する際にも、非接触電力伝達装置100が非接触型であるのでアプリケーションライン72を停電させることなく拡張を行うことができる。すなわち、電力グリッドシステム300の拡張性を高めることができる。
【0057】
[非接触電力伝達装置の応用例4]
本実施の形態における非接触電力伝達装置100は、自律して移動できる自律移動型の電池パック400に適用することができる。
図14は、自律移動型電池パック400の例を示す。
【0058】
アプリケーションライン76に対して接続された非接触電力伝達装置100(100a〜100d)の一次側回路12が設けられる。自律移動型電池パック400は、当該一次側回路12に電磁気的に結合される非接触電力伝達装置100(100a〜100d)の二次側回路14を備え、当該二次側回路14に対してそれぞれ蓄電装置78(78a〜78d)が接続される。蓄電装置78は、二次電池等の蓄電手段を含んで構成される。
【0059】
また、自律移動型電池パック400は、蓄電装置78(78a〜78d)の少なくとも一部から供給される電力を利用して自律移動型電池パック400を移動させるための駆動力を発生する駆動手段80(80a,80b)を備える。
【0060】
駆動手段80は、例えば、モータの駆動軸に接続された車輪を含み、これらを制御する制御部を設けた構成とすることができる。ただし、これに限定されるものではなく、水上や水中を移動するためのスクリューや空中を飛行するためのプロペラ等を備えた駆動手段80としてもよい。
【0061】
なお、自律移動型電池パック400への電力供給や自律移動型電池パック400からの電力需給は、アプリケーションライン76に接続された電力変換装置82及びアプリケーション84により行うことができる。アプリケーション84は、電力供給装置や負荷とすることができる。
【0062】
自律移動型電池パック400は、電力供給に利用することができる。
図15は、自律移動型電池パック400を用いた電力の輸送例を示す。自律移動型電池パック400への充電が必要となった場合、自走により充電用のアプリケーションライン76への接続を行う。これにより、自律移動型電池パック400に備わる蓄電装置78(78a〜78d)が充電される。充電終了後、駆動手段80によって自律移動型電池パック400を自走させて電力を必要とする場所へと自律移動型電池パック400を移動させる。電力需要箇所では、負荷に応じた一次側回路12を用意し、自律移動型電池パック400の二次側回路14に対して当該一次側回路12を結合させることで電力供給を実現する。蓄電装置78の充電量が不足する場合、別の蓄電装置78に接続し直せばよい。
【0063】
このような自律移動型電池パック400を用いることによって、外部に露出した金属端子部を無くすことができ、水滴等による漏電等の不具合の発生を抑制することができる。また、災害時等において人が容易に行くことができない場所への電力輸送が可能となる。また、太陽電池や風力発電等の人が行くことが困難な場所にある発電装置に対して自律的に充電をしに行くことができる。