(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725021
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20200706BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20200706BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20200706BHJP
【FI】
F21V23/00 140
F21S2/00 100
F21V23/00 150
F21V23/00 170
F21V23/00 160
F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-28264(P2019-28264)
(22)【出願日】2019年2月20日
(62)【分割の表示】特願2017-160172(P2017-160172)の分割
【原出願日】2013年6月6日
(65)【公開番号】特開2019-96621(P2019-96621A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】山上 陽
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 康隆
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
【審査官】
田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−251558(JP,A)
【文献】
特開2001−015879(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0077192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 2/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯装置と、
前記点灯装置により点灯される発光素子と、
を備え、
前記点灯装置は、
回路基板と、
前記回路基板に設けられ、メモリおよびアクセス端子を備え、前記アクセス端子を介して前記メモリの情報の消去、書き込み、および読み出しの少なくとも一つの操作であるアクセス操作が可能な集積回路と、
前記回路基板をカバーするカバーケースと、
を備え、
前記回路基板は、表面が露出するように前記カバーケースの外側に突き出た突出部を備え、
前記突出部の前記表面に、前記アクセス端子と電気的に接続された導電体が設けられ、
前記突出部には前記回路基板の厚さ方向に前記回路基板を貫通した貫通穴が設けられ、前記導電体は前記貫通穴の周囲に設けられたランドまたは前記ランドを埋める導電材料であり、
前記突出部の前記表面における前記導電体の隣に、前記回路基板の厚さ方向に前記導電体よりも突き出た絶縁体を備える照明器具。
【請求項2】
前記絶縁体は、前記突出部の前記表面において前記導電体に隣接する第一絶縁体と、前記突出部の前記表面において前記導電体を挟んで前記第一絶縁体の反対側に設けられた第二絶縁体と、を含む請求項1に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特開2010−152641号公報に開示されているように、マイコン実装後の基板を製品(ケース)から取り出さずにフラッシュメモリ情報にアクセスするデータアクセスシステムが知られている。マイコン内部のメモリ情報に、データの読み取り等のアクセスを行いたい場合がある。しかし、一度基板に実装したマイコンを取り外す等の煩雑な作業は避けたい。そこで、上記公報にかかる技術では、無線通信を利用することで、マイコンの取り外しやマイコン実装後の基板の取り外しを行うことなく、データアクセスを可能としている。
【0003】
具体的には、この公報に係るデータアクセスシステムは、製品に組み込まれる電子部品を搭載した基板に、アンテナ部、無線機能部、およびマイコンを備えている。アンテナ部は、データアクセスを行う無線リーダ/ライタから発信された電磁波を受ける。無線機能部は、アンテナ部で受けた電磁波からの電力伝搬およびデータ通信によりメモリにアクセスを行う。これにより、無線リーダ/ライタを用いて無線でマイコンのアクセスをおこなうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フラッシュメモリが内蔵されたマイコンを搭載したLED点灯装置では、回路基板の半田面にマイコンが実装され、回路基板がベースケースに取り付けられるという構成がとられることがある。マイコンは内部のフラッシュメモリ情報にアクセスする為の端子を有していて、この端子が半田面側に位置する。このような構造を有するLED点灯装置のフラッシュメモリにアクセスを行う場合、ベースケースから回路基板を取り外してアクセス作業を行う必要があった。その結果、システムの開発効率の向上や、製品出荷後のシステムメンテナンスの簡略化への妨げとなるという問題があった。
【0006】
上記特開2010−152641号公報にかかる技術では、無線通信を行うので、不可避的に上記データ通信用アンテナ部等が必要となる。その結果、回路規模の増大や回路の複雑化等の課題が挙げられる。回路規模増加等の問題が生ずる無線通信ではない他の方法で、マイコンの取り外しやマイコン実装後の基板の取り外しを行うことなく、データアクセスを行うことがより好ましい。
【0007】
本発明は、ケース外部から簡単にマイコンのフラッシュメモリ情報にアクセスすることを可能とした照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかか
る照明器具は、
点灯装置と、
前記点灯装置により点灯される発光素子と、
を備え、
前記点灯装置は、
回路基板と、
前記回路基板に設けられ、メモリおよびアクセス端子を備え、前記アクセス端子を介して前記メモリの情報の消去、書き込み、および読み出しの少なくとも一つの操作であるアクセス操作が可能な集積回路と、
前記回路基板をカバーするカバーケースと、
を備え、
前記回路基板は、表面が露出するように前記カバーケースの外側に突き出た突出部を備え、
前記突出部の前記表面に、前記アクセス端子と電気的に接続された導電体が設けられ、
前記突出部には前記回路基板の厚さ方向に前記回路基板を貫通した貫通穴が設けられ
、
前記導電体は前記貫通穴の周囲に設けられたランドまたは前記ランドを埋める導電材料であ
り、
前記突出部の前記表面における前記導電体の隣に、前記回路基板の厚さ方向に前記導電体よりも突き出た絶縁体を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ケース外部から簡単にマイコンのフラッシュメモリ情報にアクセスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図2】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図11】本発明の実施の形態2の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施の形態2の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図13】本発明の実施の形態2の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図14】本発明の実施の形態3にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図15】本発明の実施の形態3にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図16】本発明の実施の形態4にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図17】本発明の実施の形態4にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図18】本発明の実施の形態4の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【
図19】本発明の実施の形態4の変形例にかかる点灯装置の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1乃至5は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置100の構成を説明するための図であり、点灯装置100の回路図でもある。
図1に示すように、点灯装置100は、商用交流電源1と接続し、発光素子(LED)3に直流電流を供給する。
【0013】
点灯装置100は、電子部品が実装されるプリント回路基板6(以下、PWB6という。)と、このPWB6が取り付けられるベースケース4と、PWB6を覆うようにベースケース4に取り付けられるカバーケース5からなる。PWB6は、部品面9と半田面10を備えている。PWB6の部品面9または半田面10に、その内部にメモリを含む集積回路を備えたマイコン16が実装されている。
【0014】
マイコン16は、内部メモリにアクセスするための複数の端子17を備えている。以下、実施の形態で説明しているマイコン16への「アクセス」とは、メモリ(具体的には、本実施形態では、フラッシュメモリ)を有するマイコンにおいてメモリ記憶情報の消去、アクセス、読み出しの少なくとも一つの操作をいうものとする。端子17を介して、マイコン16内部のフラッシュメモリの情報にアクセスすることができる。
【0015】
図2はベースケース4およびカバーケース5をそれぞれ示す図であり、PWB6がこれらに収納される。
図3は、カバーケース5を装着した状態での点灯装置100の図であり、
図4はカバーケース5を取り外してPWB6の部品面9を視認したときの平面図であり、
図5は
図4の破線X1に沿う断面を示す図である。
【0016】
図4においては、ランド11、マイコン16、端子17、および配線パターン17a等が点線で示されている。これはマイコン16等がPWB6の半田面10側に実装されており、便宜上PWB6を透視しているからである。また、
図5を含め、後述する各実施の形態の点灯装置の断面図には、アクセス装置14があわせて図示されている。
図5を含め後述する各実施の形態の点灯装置の断面図では、便宜上PWB6とベースケース4を分離して図示している。しかし、実際の点灯装置100では、ベースケース4内にPWB6が収容および固定されているものとする。
【0017】
PWB6の半田面10には、マイコン16の端子17に接続される配線パターン17aが設けられている。PWB6には、部品面9から半田面10に貫通するとともに、配線パターン17aも貫通する貫通穴12が開けられている。この配線パターン17aの一端が位置する貫通穴12には、半田付けされる円形状のランド11が形成されている。このランド11に半田付けがされることによって、貫通穴12を半田で塞いだ状態となる。
【0018】
図5の断面図に示すように、アクセス装置14全体をプリント回路基板6の方向へ移動してアクセスピン15を貫通穴12に挿入することで、アクセスピン15を半田13に接触させることができる。半田13はランド11に接続しており、ランド11はマイコン16の端子17に接続している。なお、アクセス装置14に可動部を設けて、アクセスピン15のみを軸方向に可動できるようにしてもよい。
【0019】
カバーケース5をベースケース4から外すと、PWB6の部品面9が外部から見える状態となる。アクセスピン15を備えるアクセス装置14を準備し、アクセスピン15を表面側(部品面9側)から貫通穴12を通して導電体である半田13に当てることによりアクセスピン15と端子17を接触させることができる。つまり、カバーケース5を外すだけでアクセスピン15を貫通穴12に挿入可能な状態となるので、ベースケース4からPWB6を取り外すことなくマイコン16へのアクセスを行うことが可能となる。この状態で、アクセス装置14からアクセスピン15を介してマイコン16へ書き込み信号などを送信することで、マイコン16のフラッシュメモリへのアクセスが可能となる。
【0020】
以上のように、マイコン16のフラッシュメモリにアクセスする際にPWB6をベースケース4から取り外す必要がなく、カバーケース5を取り外すだけでマイコン16のメモリ内のソフトウェアにアクセスすることが可能となる。新たな外付け部品や新たな制御回路等も必要ないので、回路規模の増大や複雑化を回避しつつ、システムの開発効率の向上や製品出荷後のシステムメンテナンスの簡略化を図ることができる。
【0021】
図6および
図7は、本発明の実施の形態1の変形例にかかる点灯装置110を示す図である。
図6はカバーケース5を取り外してPWB6の部品面9を視認したときの平面図であり、
図7は
図6の破線X2に沿う断面を示す図である。
図6および
図7において、ランド11がチップ形状の電子部品18を実装するためのランドをかねている。半田13で電子部品18の電極をランド11に実装している。電子部品18の裏面とランド11部分を電気的に接続させることで、貫通穴12を通してアクセスピン15を電子部品18に接触させることができる。この接触状態でマイコン16内の情報にアクセスすることができる。
【0022】
実施の形態2.
図8乃至10は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置200の構成を示す図である。
図8は、カバーケース5を装着した状態での点灯装置200の図であり、
図9はカバーケース5を取り外してPWB6の部品面9を視認したときの平面図であり、
図10は
図9の破線X3に沿う断面を示す図である。マイコン16の端子17につながるランド11に、部品面9側から貫通穴12に挿入されたジャンパ線19が実装されている。ジャンパ線19が、マイコン16の端子17につながるランド11に接触している。このため、図のように、ジャンパ線19にアクセス装置14のアクセスピン15を接触させることで、マイコン16のメモリへのアクセスが可能である。
【0023】
図8に示すように、実施の形態2では、カバーケース5に、穴部5a、5b、5cおよび5dが設けられている。穴部5a、5b、5cおよび5dは、平面視でちょうど貫通穴12それぞれの上に位置するように設けられている。これにより、穴部5a、5b、5cおよび5dにアクセスピン15を差し込むことができ、カバーケース5をとりはずすことなくアクセスピン15をジャンパ線19に接触させることができる。
【0024】
図11乃至13は、本発明の実施の形態2の変形例にかかる点灯装置200の構成を示す図である。
図11は、カバーケース5を装着した状態での点灯装置210の図であり、
図12はカバーケース5を取り外してPWB6の部品面9を視認したときの平面図であり、
図13は
図12の破線X4に沿う断面を示す図である。ジャンパ線19がアキシャルリードタイプの電子部品に置換されている点が、この変形例の特徴である。具体的には、アキシャルリードタイプの抵抗20を実装し、そのリード部にアクセス装置14のアクセスピン15を接触させて、部品面9側からアクセスを可能としてもよい。
【0025】
実施の形態2およびその変形例によれば、アキシャルリードタイプの電子部品やジャンパ線にアクセスピン15を接触させる。従って、PWB6に穴加工およびランドへの半田付けをしなくともよいという利点がある。
【0026】
また、穴部5a、5b、5c、および5dが、カバーケース5をとりはずすことなくアクセスピン15をジャンパ線19に接触させることを可能にする。これにより、マイコン16に書き込み等の設定がされていない状態で点灯装置200を製造して在庫として管理しておくことができる。出荷時に簡単にマイコン16への書き込み、設定をおこなうことができるからである。これにより在庫管理が容易になるという利点がある。
【0027】
なお、穴部5a、5b、5c、および5dは、実施の形態2に限らず、実施の形態1および後述する実施の形態3および4においてカバーケース5に適宜に設けても良いものである。
【0028】
実施の形態3.
図14および
図15は、本発明の実施の形態3にかかる点灯装置300の構成を示す図である。
図14はカバーケース5を取り外してPWB6の部品面9を視認したときの平面図であり、
図15は
図14の破線X5に沿う断面を示す図である。実施の形態3にかかる点灯装置300は、PWB21を備えている。PWB21は、表面と裏面の両方に配線パターンを設けた両面基板である。両面基板なので部品面にはチップ部品116が実装されており、このチップ部品116のランド11はマイコン16の端子17へとつながっている。したがって、このランド11へアクセス装置14のアクセスピン15を接触させることでマイコン16のフラッシュメモリへのアクセスが可能である。
【0029】
実施の形態4.
図16および
図17は、本発明の実施の形態4にかかる点灯装置400の構成を示す図である。
図16は点灯装置400をカバーケース5側から見た平面図であり、
図17はその側面図である。PWB6は、カバーケース5の外側に突き出てカバーケース5で覆われない突出部6aを備えている。この突出部6aに、貫通穴12が設けられている。このため、カバーケース5を開けることなくマイコン16のフラッシュメモリへのアクセスが可能である。
【0030】
図18および
図19は、本発明の実施の形態4の変形例にかかる点灯装置410を示す図である。点灯装置410のように、突出部6aに、部品面9の表面において貫通穴12の隣に設けられた絶縁体22が設けられていてもよい。絶縁体22はある程度の厚みを有するようにしており、この絶縁体22により、
図19に示すように絶縁距離の確保が達成され、指30が貫通穴12近傍のランドおよび配線に触れることが防止される。
【0031】
なお、実施の形態4において、突出部6aに露出させるのは、貫通穴12だけに限られない。実施の形態2のようにジャンパ線19およびアキシャルリードタイプの部品(例えば抵抗20)を露出させたり、実施の形態3のようにチップ部品116のランドを露出させたりしても良い。
【符号の説明】
【0032】
1 商用交流電源、3 LED、4 ベースケース、5 カバーケース、5a、5b、5c、5d 開口、6 プリント回路基板、6a 突出部、9 部品面、10 半田面、11 ランド、12 貫通穴、13 半田、14 アクセス装置、15 アクセスピン、16 マイコン、17 アクセス端子、17a 配線パターン、18 電子部品、19 ジャンパ線、20 抵抗、22 絶縁体、30 指、100、110、200、210、300、400 点灯装置、116 チップ部品