特許第6725237号(P6725237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725237
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】ソリュブルコーヒー
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/36 20060101AFI20200706BHJP
【FI】
   A23F5/36
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-230434(P2015-230434)
(22)【出願日】2015年11月26日
(65)【公開番号】特開2017-93375(P2017-93375A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】大里 直樹
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−142565(JP,A)
【文献】 特表2008−508900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 5/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)乾燥コーヒー抽出物と、
(B)焙煎コーヒー豆微粉
を含み、
(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が0.010〜0.08であり、
(C)ナトリウムの含有量が0.03質量%以下であり、かつ
(D)コーヒーオイルと、(B)焙煎コーヒー豆微粉とが下記式(1);
6.3952×β−8.7088<α<5.8928×β−0.1768 ・・・(1)
〔式中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。但し、αは、α>0である。〕
に示す関係を満たす、ソリュブルコーヒー。
【請求項2】
(E)クロロゲン酸類を含み、(E)クロロゲン酸類と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(E)]が0.10〜1.30である、請求項1記載のソリュブルコーヒー。
【請求項3】
(E)クロロゲン酸類を含み、(E)クロロゲン酸類と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(E)]が0.003〜0.250である、請求項1又は2記載のソリュブルコーヒー。
【請求項4】
(E)クロロゲン酸類を含み、(E)クロロゲン酸類の含有量が5〜20質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のソリュブルコーヒー。
【請求項5】
(C)ナトリウムと(D)コーヒーオイルとの質量比[(C)/(D)]が0.14以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のソリュブルコーヒー。
【請求項6】
(B)焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径が200μm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のソリュブルコーヒー。
【請求項7】
(B)焙煎コーヒー豆微粉のL値が10〜40である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のソリュブルコーヒー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソリュブルコーヒーに関する。
【背景技術】
【0002】
淹れたてのコーヒー飲料はコーヒーの香りが豊かで優れているものの、淹れる作業や廃棄物の処理等の点で利便性に劣る。その利便性を改善するために、熱水又は冷水に溶解させることにより即座に飲用できるソリュブルコーヒーが開発され、広く利用されている。しかしながら、ソリュブルコーヒーは、製造中にコーヒー特有の香りが低下しやすい。そこで、ソリュブルコーヒーの香りを高めるために、多くの試みがなされている。例えば、コーヒーエキスを乾燥してなるドライコーヒー抽出成分と、抽出されていない微粉砕コーヒー豆成分とを含有するソリュブルコーヒー(特許文献1)、インスタントフリーズドライコーヒー及びレギュラーロースト微粉砕コーヒー豆からなるコーヒー組成物(特許文献2)が提案されている。
【0003】
一方、コーヒーオイルは、焙煎コーヒー豆に含まれる油成分であり、例えば、焙煎コーヒー豆から超臨界流体で抽出して得られたコーヒーオイルを、焙煎コーヒー豆抽出液に添加することで、長期保存により発生する劣化臭を抑制できるとの報告がある(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−527574号公報
【特許文献2】特表2013−506415号公報
【特許文献3】特開2010−17126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、コーヒー風味の良好なソリュブルコーヒーを開発すべく検討を行った。その結果、ソリュブルコーヒーとして焙煎コーヒー豆から抽出されたコーヒー抽出物を乾燥させた乾燥コーヒー抽出物が広く普及しているが、このようなソリュブルコーヒーは熱水に溶解して飲用したときに、コーヒー特有の香りが不十分であるだけでなく、冷めたときに不快な酸味を生じやすいことが判明した。また、乾燥コーヒー抽出物に微粉砕コーヒー豆を添加したソリュブルコーヒーは熱水に溶解して飲用したときに、コーヒー特有の香りが豊かであるものの、微粉の舌残りを生ずるだけでなく、味の厚み(ボディ感)が不足することが判明した。
本発明の課題は、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味が抑制され、かつ味の厚みが増強されたソリュブルコーヒーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、乾燥コーヒー抽出物及び焙煎コーヒー豆微粉を含有するソリュブルコーヒーにおいて、ナトリウムを特定量以下に低減させるとともに、焙煎コーヒー豆微粉とコーヒーオイルとの量比が一定の関係を満たすように制御することにより、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味が抑制されるだけでなく、オイル感を生ずることなく味の厚みを増強できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記のソリュブルコーヒーを提供するものである。
(A)乾燥コーヒー抽出物と、
(B)焙煎コーヒー豆微粉
を含み、
(C)ナトリウムの含有量が0.03質量%以下であり、かつ
(D)コーヒーオイルと、(B)焙煎コーヒー豆微粉とが下記式(1);
6.3952×β−8.7088<α<5.8928×β−0.1768 ・・・(1)
〔式中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。但し、αは、α>0である。〕
に示す関係を満たす、ソリュブルコーヒー。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味が抑制されるだけでなく、オイル感を生ずることなく味の厚みが増強されたソリュブルコーヒーを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のソリュブルコーヒーについて説明する。
本明細書において「ソリュブルコーヒー」とは、飲用時に水、牛乳等の液体で還元した後、即座に飲用可能なインスタント製品をいい、ソリュブルコーヒー中の固形分量は通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上である。なお、かかる固形分量の上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。ここで、本明細書において「固形分量」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分の質量%をいう。
【0010】
本発明のソリュブルコーヒーは、(A)乾燥コーヒー抽出物を含有する。
本明細書において「乾燥コーヒー抽出物」とは、コーヒー抽出物を乾燥したものいう。乾燥コーヒー抽出物は、固形分量が通常95質量%以上、好ましくは97質量%以上であり、上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0011】
コーヒー抽出物としては、焙煎コーヒー豆から抽出したコーヒー抽出物、インスタントコーヒーの水溶液等が挙げられ、冷めたときの不快な酸味抑制の観点から、それらの活性炭処理物が好ましい。
コーヒー抽出物は、当該コーヒー抽出物100g当たり焙煎コーヒー豆を生豆換算で、好ましくは1g以上、より好ましくは2.5g以上、更に好ましくは5g以上使用しているものである。ここで、生豆換算値は、焙煎コーヒー豆1gが生コーヒー豆1.3gに相当するものとする(改訂新版・ソフトドリンクス、監修:全国清涼飲料工業会、発行:光琳、平成元年12月25日発行 421頁記載)。
【0012】
抽出方法及び抽出条件は特に限定されず、公知の方法及び条件で行うことが可能であるが、多段階抽出法を採用することもできる。ここで、本明細書において「多段階抽出法」とは、複数の独立した抽出塔を配管で直列につないだ装置を用いる抽出方法をいい、より具体的には、複数の独立した抽出塔に焙煎コーヒー豆をそれぞれ投入し、1段階目の抽出塔に抽出溶媒を供給して該抽出塔からコーヒー抽出液を排出させ、該コーヒー抽出液を次段階目の抽出塔に供給するという操作を繰り返し行い、最終段階の抽出塔から排出されたコーヒー抽出液を回収する抽出方法をいう。抽出は常圧下でも、加圧下でも構わない。
【0013】
抽出に使用する焙煎コーヒー豆の焙煎度は、L値として、好ましくは10〜60、より好ましくは13〜40、更に好ましくは15〜38、より更に好ましくは20〜36である。本発明においては、焙煎度の異なるコーヒー豆を混合して使用することもできる。焙煎度の異なるコーヒー豆を混合して使用する場合、焙煎コーヒー豆の焙煎度は、使用する焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和とする。ここで、本明細書において「L値」とは、黒をL値0とし、また白をL値100として、焙煎コーヒー豆の明度を色差計で測定したものである。なお、焙煎方法及び焙煎条件は特に限定されない。
【0014】
コーヒー豆の豆種としては、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種、アラブスタ種等が挙げられる。また、コーヒー豆の産地としては特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム、インドネシア等を挙げることができる。本発明においては、豆種、産地の異なる焙煎コーヒー豆を1種又は2種以上使用することもできる。
【0015】
コーヒー抽出物は活性炭処理を施しても良い。活性炭処理は、バッチ式及び連続式のいずれでもよい。バッチ式は、例えば、コーヒー抽出物に活性炭を加え0〜100℃で0.5分〜5時間撹拌した後、活性炭を除去すればよい。一方、連続式は、例えば、カラム内に活性炭を充填し、コーヒー抽出物をカラム下部又は上部から通液させ、他方から排出させればよい。また、焙煎コーヒー豆及び活性炭を同一容器内に仕込み、当該容器内に抽出溶媒を供給し、コーヒー抽出物の調製と、活性炭処理を略同時に行っても構わない。
【0016】
活性炭は、一般に工業用に使用されているものであれば特に制限されないが、例えば、粉末状活性炭、粒状活性炭、活性炭繊維等を挙げることができる。活性炭の原料としては、オガコ、石炭、ヤシ殻等が挙げられ、中でも、ヤシ殻が好ましい。また、水蒸気等のガスにより賦活した活性炭も好ましく使用される。水蒸気賦活活性炭の市販品としては、白鷺WH2c(日本エンバイロケミカルズ株式会社)、太閣CW(二村化学工業株式会社)、クラレコールGL(クラレケミカル株式会社)等を挙げることができる。
活性炭の使用量は、冷めたときの不快な酸味抑制、味の厚み増強の観点から、コーヒー抽出物のBrix(%)に対して、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%、殊更に好ましくは15〜40質量%である。ここで、本明細書において「Brix」とは、糖用屈折計を利用して測定した値であり、20℃のショ糖水溶液の質量百分率に相当する値である。また、20℃におけるショ糖水溶液の屈折率を基準として、試料の屈折率より算出される可溶性固形分濃度を意味する。具体的には後掲の実施例に記載の方法により測定することができる。また、活性炭との接触温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは12〜60℃である。
【0017】
コーヒー抽出物の乾燥方法としては、例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。乾燥コーヒー抽出物の形態としては、粉末状、粒状等を挙げることができる。
【0018】
本発明のソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物の含有量は、味の厚み増強の観点から、86質量%以上が好ましく、93質量%以上がより好ましく、94質量%以上が更に好ましく、また冷めたときの不快な酸味抑制の観点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。(A)乾燥コーヒー抽出物の含有量の範囲としては、本発明のソリュブルコーヒー中に、好ましくは86〜100質量%、より好ましくは93〜99質量%、更に好ましくは94〜98質量%である。
【0019】
また、本発明のソリュブルコーヒーは、(B)焙煎コーヒー豆微粉を含有する。ここで、本明細書において「焙煎コーヒー豆微粉」とは、焙煎コーヒー豆の微細な粒子をいう。(B)焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径は、飲用したときの舌残り抑制、香り増強の観点から、200μm以下が好ましく、160μm以下がより好ましく、140μm以下が更に好ましく、120μm以下がより更に好ましく、100μm以下がより更に好ましく、80μm以下がより更に好ましく、50μm以下がより更に好ましく、30μm以下がより更に好ましく、そして10μm以上が好ましく、12μm以上がより好ましく、15μm以上が更に好ましい。かかる平均粒子径の範囲としては、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜160μm、更に好ましくは10〜140μm、より更に好ましくは10〜120μm、より更に好ましくは12〜120μm、より更に好ましくは12〜100μm、より更に好ましくは15〜80μm、より更に好ましくは15〜50μm、より更に好ましくは15〜30μmである。ここで、本明細書において「焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径」とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定したものであり、具体的には、レーザー回折・散乱法粒度分布測定装置により焙煎コーヒー豆微粉の粒度分布を体積基準で作成し、得られたメディアン径(d50)を平均粒子径としたものである。
【0020】
(B)焙煎コーヒー豆微粉は、焙煎コーヒー豆を粉砕又は研磨して得ることができる。粉砕又は研磨に使用する装置として、例えば、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミル、インパクトミル、ウィレー粉砕機、グラインダー等が挙げられる。
また、所望の平均粒子径の焙煎コーヒー豆微粉を得るために、焙煎コーヒー豆を粉砕又は研磨後、篩分けして所望の平均粒子径を有するものを採取してもよい。なお、分級操作には、例えば、Tyler製(JIS Z 8801-1)の篩を用いることができる。
【0021】
(B)焙煎コーヒー豆微粉に使用する焙煎コーヒー豆の焙煎度は、香り増強の観点から、L値として、10以上が好ましく、13以上がより好ましく、15以上が更に好ましく、そして40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、26以下がより更に好ましく、22以下がより更に好ましい。かかるL値の範囲としては、好ましくは10〜40、より好ましくは13〜35、更に好ましくは13〜30、より更に好ましくは15〜26、より更に好ましくは15〜22である。なお、焙煎方法及び焙煎条件は特に限定されない。
コーヒー豆の豆種及び産地としては、前述と同様のものが挙げられ、豆種、産地、焙煎度等の異なるコーヒー豆を1種又は2種以上使用することもできる。
【0022】
本発明のソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量は、香り増強の観点から、1質量%以上が好ましく、1.2質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましく、また飲用したときの舌残り抑制の観点から、14質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量の範囲としては、本発明のソリュブルコーヒー中に、好ましくは1〜14質量%、より好ましくは1.2〜12質量%、更に好ましくは1.5〜8質量%である。
【0023】
本発明のソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]は、香り増強の観点から、0.010以上が好ましく、0.013以上がより好ましく、0.016以上が更に好ましく、0.02以上が殊更に好ましく、また飲用したときの舌残りや、冷めたときの不快な酸味の抑制の観点から、0.16以下が好ましく、0.13以下がより好ましく、0.10以下が更に好ましく、0.08以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.010〜0.16、より好ましくは0.013〜0.13、更に好ましくは0.016〜0.10、殊更に好ましくは0.02〜0.08である。
【0024】
また、本発明のソリュブルコーヒーは、(C)ナトリウム含有量が0.03質量%以下である。
(C)ナトリウムは、主に原料に由来する成分であるが、ソリュブルコーヒーに通常含まれる量よりも低減されていることを特徴とするものである。より具体的には、本発明のソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムの含有量は0.03質量%以下であるが、冷めたときの不快な酸味抑制の観点から、0.02質量%以下が好ましく、0.015質量%以下がより好ましく、0.01質量%以下が更に好ましく、0.005質量%以下が殊更に好ましい。(C)ナトリウムの含有量の下限値は特に限定されず、0質量%であっても構わないが、生産効率の観点から、0.00001質量%以上が好ましく、0.0001質量%以上が更に好ましい。ここで、(C)ナトリウムの含有量が0質量%とは、後掲の実施例に記載の「ナトリウムの分析」において、ナトリウム含有量が検出限界以下である場合を包含する概念である。なお、ナトリウムの低減は前述した活性炭処理により行われる。
【0025】
更に、本発明のソリュブルコーヒーは、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味を抑制し、かつ味の厚みを増強するために、(D)コーヒーオイルを含有する。
(D)コーヒーオイルは、焙煎コーヒー豆や、焙煎コーヒー豆からのコーヒー抽出物に含まれている。本発明に係る(D)コーヒーオイルは、原料に由来するものでも、新たに加えられたものであってもよい。
(D)コーヒーオイルは、例えば、焙煎コーヒー豆から、水蒸気蒸留、溶剤抽出、超臨界流体抽出等による抽出、あるいは圧搾により得ることができる。また、市販品のコーヒーオイルを使用しても構わない。(D)コーヒーオイルを添加する場合には、冷めたときの不快な酸味抑制の観点から、圧搾により得られるコーヒープレスオイルを使用することが好ましい。なお、抽出方法及び圧搾方法は公知の方法を採用することができる。また、焙煎コーヒー豆の豆種、産地及び焙煎度は特に限定されない。
【0026】
本発明のソリュブルコーヒーは、(D)コーヒーオイルと(B)焙煎コーヒー豆微粉とが、下記式(1);
6.3952×β−8.7088<α<5.8928×β−0.1768 ・・・(1)
に示す関係を満たすものである。(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉にもコーヒーオイルは含有されているが、本発明のソリュブルコーヒーは更に(D)成分として上記式(1)を満たすようにコーヒーオイルを添加することが好ましい。これにより、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味を抑制できるだけでなく、オイル感を生ずることなく味の厚みを増強することもできる。
【0027】
式(1)中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。なお、式(1)中のβにコーヒーオイルの質量(質量%)を当て嵌めたときに、αがマイナス領域を包含する場合には、マイナス領域についてα>0とする。
【0028】
本発明のソリュブルコーヒーは、好ましくは下記式(2)に示す関係、更に好ましくは下記式(3)に示す関係を満たすと、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味がより一層抑制され、オイル感を生ずることなく味の厚みを更に増強することができる。なお、下記式(2)及び(3)中のα及びβは、前記式(1)と同義であり、α>0である。
【0029】
6.3952×β−3.7188<α<5.8928×β−0.5000 ・・・(2)
6.3952×β−3.7185<α<5.8928×β−0.2368 ・・・(3)
【0030】
本発明のソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]は、飲用したときの舌残り抑制、味の厚み増強の観点から、0.001以上が好ましく、0.003以上がより好ましく、0.005以上が更に好ましく、またオイル感抑制の観点から、0.025以下が好ましく、0.020以下がより好ましく、0.015以下が更に好ましい。かかる質量比[(D)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.001〜0.025、より好ましくは0.003〜0.020、更に好ましくは0.005〜0.015である。なお、本明細書において(D)コーヒーオイルの質量は、原料に由来するもの、及び新たに加えられたものの総量である。
【0031】
本発明のソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(D)コーヒーオイルとの質量比[(C)/(D)]は、飲用したときの舌残りや、冷めたときの不快な酸味の抑制の観点から、0.14以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.03以下が更に好ましく、0.01以下が殊更に好ましい。なお、質量比[(C)/(D)]の下限値は0であっても構わないが、生産効率の観点から、0.00001以上が好ましく、0.00002以上が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(D)]の範囲としては、好ましくは0〜0.14、より好ましくは0.00001〜0.05、更に好ましくは0.00002〜0.03、殊更に好ましくは0.00002〜0.01である。
【0032】
本発明のソリュブルコーヒーは、(E)クロロゲン酸類を含有することができる。ここで、本明細書において「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称である。本発明においては上記9種のうち少なくとも1種を含有すればよいが、9種すべてを含有することが好ましい。
【0033】
本発明のソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量は、生理効果の観点から、5質量%以上が好ましく、5.5質量%以上がより好ましく、6質量%以上が更に好ましく、また風味の観点から、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、14質量%以下がより更に好ましく、13質量%以下がより更に好ましい。(E)クロロゲン酸類の含有量の範囲としては、本発明のソリュブルコーヒー中に、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜17質量%、更に好ましくは5〜15質量%、より更に好ましくは5.5〜14質量%、より更に好ましくは6〜13質量%である。なお、クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
【0034】
本発明のソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]は、香り増強、冷めたときの不快な酸味抑制の観点から、0.10以上が好ましく、0.13以上がより好ましく、0.14以上が更に好ましく、0.18以上が殊更に好ましく、また飲用したときの舌残り抑制の観点から、1.30以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.60以下が更に好ましく、0.50以下が殊更に好ましい。かかる質量比[(B)/(E)]の範囲としては、本発明のソリュブルコーヒー中に、好ましくは0.10〜1.30質量%、より好ましくは0.13〜0.80質量%、更に好ましくは0.14〜0.60質量%、更に好ましくは0.18〜0.50質量%である。
【0035】
本発明のソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(E)クロロゲン酸類との質量比[(C)/(E)]は、飲用したときの舌残りや、冷めたときの不快な酸味の抑制の観点から、0.0025以下が好ましく、0.0020以下がより好ましく、0.0015以下が更に好ましい。なお、質量比[(C)/(E)]の下限値は0であっても構わないが、生産効率の観点から、0.0001以上が好ましく、0.0002以上が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(E)]の範囲としては、好ましくは0.0000〜0.0025、より好ましくは0.0001〜0.0020、更に好ましくは0.0002〜0.0020である。
【0036】
本発明のソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]は、飲用したときの舌残り抑制、味の厚み増強の観点から、0.003以上が好ましく、0.030以上がより好ましく、0.040以上が更に好ましく、またオイル感抑制の観点から、0.250以下が好ましく、0.200以下がより好ましく、0.150以下が更に好ましい。かかる質量比[(D)/(E)]の範囲としては、好ましくは0.003〜0.250、より好ましくは0.030〜0.200、更に好ましくは0.040〜0.150である。
【0037】
本発明のソリュブルコーヒーは適宜の方法により製造することができるが、例えば、(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉とを配合し、(C)ナトリウムの含有量とともに、(B)焙煎コーヒー豆微粉と(D)コーヒーオイルとの量比が前記式(1)に示す関係を満たすように制御することにより製造することができる。
【0038】
本発明のソリュブルコーヒーは、予め乾燥したコーヒー抽出物と焙煎コーヒー豆微粉とを混合して製造しても、液状のコーヒー抽出物と、焙煎コーヒー豆微粉とを混合した後、乾燥して製造してもよいが、香り増強の観点から、予め乾燥したコーヒー抽出物と焙煎コーヒー豆微粉とを混合して製造することが好ましい。
【0039】
また、本発明のソリュブルコーヒーには、必要により、甘味料、乳成分、ココアパウダー、酸化防止剤、香料、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、植物油脂、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤の1種又は2種以上を配合してもよい。
【0040】
本発明のソリュブルコーヒーは種々の形態を採り得るが、例えば、瓶等に容器詰し、飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、カップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプ等とすることができる。
【0041】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下のソリュブルコーヒー及び方法を開示する。
【0042】
<1>
(A)乾燥コーヒー抽出物と、
(B)焙煎コーヒー豆微粉
を含み、
(C)ナトリウム含有量が0.03質量%以下であり、かつ
(D)コーヒーオイルと、(B)焙煎コーヒー豆微粉とが下記式(1);
6.3952×β−8.7088<α<5.8928×β−0.1768 ・・・(1)
〔式中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。但し、αは、α>0である。〕
に示す関係を満たす、ソリュブルコーヒー。
【0043】
<2>
(A)乾燥コーヒー抽出物と、
(B)焙煎コーヒー豆微粉
を含有させ、
(C)ナトリウムの含有量を0.03質量%以下に調整し、かつ
(D)コーヒーオイルと、(B)焙煎コーヒー豆微粉とが下記式(1);
6.3952×β−8.7088<α<5.8928×β−0.1768 ・・・(1)
〔式中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。但し、αは、α>0である。〕
に示す関係を満たすように制御する、ソリュブルコーヒーの飲用したときの微粉の舌残りの改善方法、ソリュブルコーヒーの冷めたときの不快な酸味の抑制方法、又はソリュブルコーヒーの味の厚みの増強方法。
【0044】
<3>
ソリュブルコーヒー中の固形分量が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上であり、また100質量%であってもよい、前記<1>記載のソリュブルコーヒー、又は前記<2>記載のソリュブルコーヒーの飲用したときの微粉の舌残りの改善方法、ソリュブルコーヒーの冷めたときの不快な酸味の抑制方法、若しくはソリュブルコーヒーの味の厚みの増強方法(以下、「ソリュブルコーヒー、ソリュブルコーヒーの飲用したときの微粉の舌残りの改善方法、ソリュブルコーヒーの冷めたときの不快な酸味の抑制方法、又はソリュブルコーヒーの味の厚みの増強方法」を「ソリュブルコーヒー等」と称する。)。
<4>
乾燥コーヒー抽出物の固形分量が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上であり、また100質量%であってもよい、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<5>
乾燥コーヒー抽出物が、好ましくはコーヒー抽出物を乾燥したものである、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<6>
コーヒー抽出物が、好ましくは焙煎コーヒー豆から抽出したコーヒー抽出物、又はインスタントコーヒーの水溶液であり、より好ましくは焙煎コーヒー豆から抽出したコーヒー抽出物又はインスタントコーヒー水溶液の活性炭処理物である、前記<5>記載のソリュブルコーヒー等。
<7>
コーヒー抽出物が、当該コーヒー抽出物100g当たり焙煎コーヒー豆を生豆換算で、好ましくは1g以上、より好ましくは2.5g以上、更に好ましくは5g以上使用しているものである、前記<5>又は<6>記載のソリュブルコーヒー等。
<8>
コーヒー抽出物が、好ましくは焙煎コーヒー豆を多段階抽出法により得られたものである、前記<5>〜<7>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<9>
抽出に使用する焙煎コーヒー豆は、L値が、好ましくは10〜60、より好ましくは13〜40、更に好ましくは15〜38、より更に好ましくは20〜36である、前記<5>〜<8>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<10>
抽出に使用する焙煎コーヒー豆は、コーヒー豆の豆種が、好ましくはアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種から選ばれる1種又は2種以上であり、コーヒー豆の産地が、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム及びインドネシアから選ばれる1種又は2種以上である、前記<5>〜<9>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0045】
<11>
活性炭が、好ましくは粉末状活性炭、粒状活性炭又は活性炭繊維であり、より好ましくヤシ殻由来の活性炭であり、更に好ましくはヤシ殻由来の水蒸気賦活活性炭である、前記<6>〜<10>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<12>
活性炭の使用量が、コーヒー抽出物のBrixに対して、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは10〜40質量%、殊更に好ましくは15〜40質量%である、前記<6>〜<11>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<13>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物の含有量が、好ましくは86質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは94質量%以上であって、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<14>
(B)焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径が、好ましくは200μm以下、より好ましくは160μm以下、更に好ましくは140μm以下、更に好ましくは120μm以下、更に好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下、更に好ましくは50μm以下であって、好ましくは10μm以上、より好ましくは12μm以上、更に好ましくは15μm以上である、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<15>
(B)焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径が、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜160μm、更に好ましくは10〜140μm、より更に好ましくは10〜120μm、より更に好ましくは12〜120μm、より更に好ましくは12〜100μm、より更に好ましくは15〜80μm、より更に好ましくは15〜50μm、より更に好ましくは15〜30μmである、前記<1>〜<14>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<16>
(B)焙煎コーヒー豆微粉が、好ましくは焙煎コーヒー豆を粉砕又は研磨して得られたものである、前記<1>〜<15>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<17>
(B)焙煎コーヒー豆微粉は、L値が、好ましくは10以上、より好ましくは13以上、更に好ましくは15以上であって、好ましくは40以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは30以下、更に好ましくは26以下、殊更に好ましくは22以下である、前記<1>〜<16>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<18>
(B)焙煎コーヒー豆微粉は、L値が、好ましくは10〜40、より好ましくは13〜35、更に好ましくは13〜30、より更に好ましくは15〜26、より更に好ましくは15〜22である、前記<1>〜<17>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<19>
(B)焙煎コーヒー豆微粉は、コーヒー豆の豆種が、好ましくはアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種及びアラブスタ種から選ばれる1種又は2種以上であり、コーヒー豆の産地が、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ、キリマンジャロ、マンデリン、ブルーマウンテン、グァテマラ、ベトナム及びインドネシアから選ばれる1種又は2種以上である、前記<1>〜<18>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<20>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.2質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であって、好ましくは14質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは8質量%以下である、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0046】
<21>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量が、好ましくは1〜14質量%、より好ましくは1.2〜12質量%、更に好ましくは1.5〜8質量%である、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<22>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量が、好ましくは1.64質量%以上、より好ましくは1.74質量%以上、更に好ましくは3.23質量%以上である、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<23>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量が、好ましくは6.25質量%以下、更に好ましくは3.23質量%以下である、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<24>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉の含有量が、好ましくは1.64〜6.25質量%、1.64〜3.23質量%、1.74〜6.25質量%、1.74〜3.23質量%、又は3.25〜6.25質量%である、前記<1>〜<23>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<25>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.010以上、より好ましくは0.013以上、更に好ましくは0.016以上、殊更に好ましくは0.02以上であって、好ましくは0.16以下、より好ましくは0.13以下、更に好ましくは0.10以下、殊更に好ましくは0.08以下である、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<26>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.010〜0.16、より好ましくは0.013〜0.13、更に好ましくは0.016〜0.10、殊更に好ましくは0.02〜0.08である、前記<1>〜<25>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<27>
リュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.017以上、より好ましくは0.018以上、更に好ましくは0.033以上である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<28>
リュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.067以下、更に好ましくは0.033以下である、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<29>
リュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉との質量比[(B)/(A)]が、好ましくは0.017〜0.067、0.018〜0.067、0.033〜0.067、0.017〜0.033、又は0.018〜0.033である、前記<1>〜<28>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<30>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムの含有量が、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.015質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、殊更に好ましくは0.005質量%以下であって、好ましくは0.00001質量%以上、更に好ましくは0.0001質量%以上であり、0質量%であってもよい、前記<1>〜<29>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0047】
<31>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムの含有量が、好ましくは0〜0.02質量%、より好ましくは0.00001〜0.02質量%、更に好ましくは0.00001〜0.015質量%、更に好ましくは0.00001〜0.01質量%、殊更に好ましくは0.0001〜0.005質量%である、前記<1>〜<30>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<32>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムの含有量が、好ましくは0.0197質量%以下、より好ましくは0.0048質量%以下、更に好ましくは0.009質量%以下である、前記<1>〜<31>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<33>
(D)コーヒーオイルが、好ましくは焙煎コーヒー豆からの、水蒸気蒸留物、溶剤抽出物、超臨界流体抽出物、又は圧搾抽出物であり、更に好ましくはコーヒープレスオイルである、前記<1>〜<32>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<34>
(D)コーヒーオイルと(B)焙煎コーヒー豆微粉とが、好ましくは下記式(2)に示す関係を満たすものであり、更に好ましくは下記式(3)に示す関係を満たすものである、前記<1>〜<33>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
6.3952×β−3.7188<α<5.8928×β−0.5000 ・・・(2)
6.3952×β−3.7185<α<5.8928×β−0.2368 ・・・(3)
〔式中、αは焙煎コーヒー豆微粉の質量(質量%)を示し、βはコーヒーオイルの質量(質量%)を示す。但し、αは、α>0である。〕
<35>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.003以上、更に好ましくは0.005以上であって、好ましくは0.025以下、より好ましくは0.020以下、更に好ましくは0.015以下である、前記<1>〜<34>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<36>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.001〜0.025、より好ましくは0.003〜0.020、更に好ましくは0.005〜0.015である、前記<1>〜<35>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<37>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.0043以上、より好ましくは0.0056以上、更に好ましくは0.0066以上、更に好ましくは0.0069以上、更に好ましくは0.0083以上である、前記<1>〜<36>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<38>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.0183以下、より好ましくは0.0139以下、更に好ましくは0.0126以下、更に好ましくは0.0093以下である、前記<1>〜<37>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<39>
ソリュブルコーヒー中の(A)乾燥コーヒー抽出物と(D)コーヒーオイルとの質量比[(D)/(A)]が、好ましくは0.0043〜0.0183、0.0056〜0.0183、0.0066〜0.0183、0.0069〜0.0183、0.0069〜0.0139、0.0069〜0.0126、又は0.0069〜0.0093である、前記<1>〜<38>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<40>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(D)コーヒーオイルとの質量比[(C)/(D)]が、好ましくは0.14以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.03以下、殊更に好ましくは0.01以下であって、好ましくは0.00001以上、更に好ましくは0.00002以上であり、0であってもよい、前記<1>〜<39>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0048】
<41>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(D)コーヒーオイルとの質量比[(C)/(D)]が、好ましくは0〜0.14、より好ましくは0.00001〜0.14、更に好ましくは0.00001〜0.05、更に好ましくは0.00002〜0.03、殊更に好ましくは0.00002〜0.01である、前記<1>〜<40>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<42>
好ましくは(E)クロロゲン酸類を含有する、前記<1>〜<41>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<43>
クロロゲン酸類が、好ましくは3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸、5−フェルラキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは前記9種すべてである、前記<42>記載のソリュブルコーヒー等。
<44>
ソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5.5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であって、好ましくは20質量%以下、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは14質量%以下、殊更に好ましくは13質量%以下である、前記<42>又は<43>記載のソリュブルコーヒー等。
<45>
ソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜17質量%、更に好ましくは5〜15質量%、より更に好ましくは5.5〜14質量%、より更に好ましくは6〜13質量%である、前記<42>〜<44>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<46>
ソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは10.53質量%以上、より好ましくは10.57質量%以上、更に好ましくは10.58質量%以上、更に好ましくは10.90質量%以上である、前記<42>〜<45>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<47>
ソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは11.10質量%以下、より好ましくは11.09質量%以下、更に好ましくは11.08質量%以下、更に好ましくは10.90質量%以下である、前記<42>〜<46>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<48>
ソリュブルコーヒー中の(E)クロロゲン酸類の含有量が、好ましくは10.53〜11.10質量%、10.57〜11.09質量%、10.58〜11.08質量%、10.90〜11.08質量%、10.53〜10.90質量%、10.57〜10.90質量%、又は10.58〜10.90質量%である、前記<42>〜<47>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<49>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]が、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.13以上、更に好ましくは0.14以上、殊更に好ましくは0.18以上であって、好ましくは1.30以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.60以下、殊更に好ましくは0.50以下である、前記<42>〜<48>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<50>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]が、好ましくは0.10〜1.30質量%、より好ましくは0.13〜0.80質量%、更に好ましくは0.14〜0.60質量%、更に好ましくは0.18〜0.50質量%である、前記<42>〜<49>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0049】
<51>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]が、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.16以上、更に好ましくは0.30以上である、前記<42>〜<50>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<52>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]が、好ましくは0.59以下、更に好ましくは0.30以下である、前記<42>〜<51>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<53>
ソリュブルコーヒー中の(B)焙煎コーヒー豆微粉と(E)クロロゲン酸類との質量比[(B)/(E)]が、好ましくは0.15〜0.59、0.16〜0.59、0.30〜0.59、0.15〜0.30、又は0.16〜0.30である、前記<42>〜<52>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<54>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(E)クロロゲン酸類との質量比[(C)/(E)]が、好ましくは0.0025以下、より好ましくは0.0020以下、更に好ましくは0.0015以下であって、好ましくは0.0001以上、更に好ましくは0.0002以上であり、また0であってもよい、前記<42>〜<53>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<55>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(E)クロロゲン酸類との質量比[(C)/(E)]が、好ましくは0〜0.0025、より好ましくは0.0001〜0.0025、更に好ましくは0.0001〜0.0020、殊更に好ましくは0.0002〜0.0015である、前記<42>〜<54>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<56>
ソリュブルコーヒー中の(C)ナトリウムと(E)クロロゲン酸類との質量比[(C)/(E)]が、好ましくは0.0018以下、より好ましくは0.0004以下、更に好ましくは0.0001以下である、前記<42>〜<55>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<57>
ソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]が、好ましくは0.003以上、より好ましくは0.030以上、更に好ましくは0.040以上であって、好ましくは0.250以下、より好ましくは0.200以下、更に好ましくは0.150以下である、前記<42>〜<56>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<58>
ソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]が、好ましくは0.003〜0.250、より好ましくは0.030〜0.200、更に好ましくは0.040〜0.150である、前記<42>〜<57>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<59>
ソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]が、好ましくは0.038以上、より好ましくは0.050以上、更に好ましくは0.059以上、更に好ましくは0.061以上である、前記<42>〜<58>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<60>
ソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]が、好ましくは0.162以下、より好ましくは0.123以下、更に好ましくは0.111以下、更に好ましくは0.083以下である、前記<42>〜<59>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【0050】
<61>
ソリュブルコーヒー中の(D)コーヒーオイルと(E)クロロゲン酸類との質量比[(D)/(E)]が、好ましくは0.038〜0.162、0.050〜0.123、0.059〜0.111、0.061〜0.162、0.061〜0.123、0.061〜0.111、又は0.061〜0.083である、前記<42>〜<60>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<62>
好ましくは甘味料、乳成分、ココアパウダー、酸化防止剤、香料、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、アミノ酸、たんぱく質、植物油脂、pH調整剤、及び品質安定剤から選択される1種又は2種以上を更に含有する、前記<1>〜<61>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
<63>
ソリュブルコーヒーの形態が、好ましくは瓶等に容器詰し、飲用する際にカップ1杯分をスプーン等で計量するもの、1杯分を収容したカップタイプ、又はカップ1杯分毎に小分けしたスティックタイプである、前記<1>〜<62>のいずれか一に記載のソリュブルコーヒー等。
【実施例】
【0051】
1.ナトリウムの分析
試料3〜4gに1%塩酸100〜200mLを加え、約30分間振盪し、ろ紙(No.5A)ろ過した後、原子吸光光度法により測定する。
原子吸光光度計測定の条件は、以下の通りである。
・機種:SpectrAA240FS(アジレント・テクノロジー(株))
・光源:ナトリウム ホロカソードランプ(アジレント・テクノロジー(株))
・測定波長:589.6nm
・フレーム:アセチレン 2.00L/min,空気 13.50L/min
【0052】
2.コーヒーオイルの分析
試料3〜4gを100gのイオン交換水に溶解し、7%硫酸銅水溶液20mL、3%水酸化ナトリウム水溶液10mLを混合後、ろ過を行う。次いで、残留物を洗浄後、乾燥する。乾燥物を、ジエチルエーテル溶液を用いて16時間以上抽出を行う。ろ過後に溶媒留去を行った後、105℃で1時間の乾燥し、乾燥物質量をコーヒーオイル量とする。
【0053】
3.クロロゲン酸類の分析
試料2gに85℃の純水180mLを注ぎ、攪拌した後、バイアルに分注して分析した。
分析機器はHPLCを使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通りである。
・UV−VIS検出器:L−2420((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラムオーブン:L−2300((株)日立ハイテクノロジーズ)
・ポンプ:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ)
・オートサンプラー:L−2200((株)日立ハイテクノロジーズ)
・カラム:Cadenza CD−C18 内径4.6mm×長さ150mm、粒子径3μm(インタクト(株))
・検出器
【0054】
分析条件は次の通りである。
・サンプル注入量:10μL
・流量:1.0mL/min
・UV−VIS検出器設定波長:325nm
・カラムオーブン設定温度:35℃
・溶離液A:0.05M 酢酸、0.1mM 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、10mM 酢酸ナトリウム、5(V/V)%アセトニトリル溶液
・溶離液B:アセトニトリル
【0055】
濃度勾配条件(体積%)
時間 溶離液A 溶離液B
0.0分 100% 0%
10.0分 100% 0%
15.0分 95% 5%
20.0分 95% 5%
22.0分 92% 8%
50.0分 92% 8%
52.0分 10% 90%
60.0分 10% 90%
60.1分 100% 0%
70.0分 100% 0%
【0056】
HPLCでは、試料1gを精秤後、溶離液Aにて10mLにメスアップし、メンブレンフィルター(GLクロマトディスク25A,孔径0.45μm,ジーエルサイエンス(株))にて濾過後、分析に供した。
【0057】
クロロゲン酸類の保持時間
9種のクロロゲン酸類
・モノカフェオイルキナ酸:5.3分、8.8分、11.6分の計3点
・モノフェルラキナ酸 :13.0分、19.9分、21.0分の計3点
・ジカフェオイルキナ酸 :36.6分、37.4分、44.2分の計3点。
ここで求めた9種のクロロゲン酸類の面積値から5−カフェオイルキナ酸を標準物質とし、質量%を求めた。
【0058】
4.焙煎コーヒー豆微粉の平均粒子径の測定
焙煎コーヒー豆微粉1.0gに85℃の純水180mLを注ぎ、攪拌した後、25℃になるまで冷却した。次いで、この試料をレーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2100、島津製作所株式会社製)を用いて、体積基準の粒度分布を25℃にて測定し、累積体積が50%のときの粒子径(d50)を算出した。
【0059】
5.L値の測定
試料を、色差計((株)日本電色社製 スペクトロフォトメーター SE2000)を用いて測定した。
【0060】
6.Brixの測定
20℃における試料のBrixを、糖度計(Atago RX-5000、Atago社製)を用いて測定した。
【0061】
7.官能評価
ソリュブルコーヒー2gを85℃の純水180mLに注ぎ、攪拌した後、コーヒー飲料を調製した。その後、コーヒー飲料を専門パネル5名が試飲し、微粉の舌残り、オイル感、味の厚み、冷めたときの不快な酸味について下記の基準にて評価し、その後協議により最終スコアを決定した。
【0062】
微粉の舌残りの評価基準
5:残らない
4:あまり残らない
3:わずかに残る
2:やや残る
1:残る
【0063】
オイル感の評価基準
5:オイル感が残らない
4:オイル感があまり残らない
3:オイル感がわずかに残る
2:オイル感がやや残る
1:オイル感が残る
【0064】
味の厚みの評価基準
5:ある
4:ややある
3:すこしある
2:ほとんどない
1:ない
【0065】
冷めたときの不快な酸味の評価基準
5:全くない
4:ない
3:わずかにある
2:ややある
1:ある
【0066】
実施例1
L29の焙煎コーヒー豆(産地:ベトナム)を粉砕し、円筒状抽出搭(内径160mm×高さ660mm)6本に、1搭当たりの充填量が4.2kgとなるように充填した。次いで150℃の熱水を1段目の抽出搭の下部から上部へ送液した。次いで1段目の抽出搭上部から排出されたコーヒー抽出液を、2段目の抽出搭下部から上部へ送液した。この操作を3段目以降の抽出塔についても繰り返し行い、6段目の抽出搭の上部から排出されたコーヒー抽出液を、速やかに冷却するとともに回収した。抽出は全て0.3MPaの加圧下で行った。得られたコーヒー抽出液をロータリーエバポレーター(N−1100V型、東京理科器械(株)社製)を用い30torr、50℃にて減圧加熱濃縮し、Brix10のコーヒー濃縮組成物を得た。続いて、円筒状のカラム(内径72mm×高さ100mm)に活性炭(白鷺WH2C LSS、日本エンバイロケミカルズ製)100g加え、80℃、10分間殺菌した後に、上記Brix10のコーヒー濃縮組成物10.0kgを、25℃、流量64.0mL/minにて送液し、カラム出口より最終的な採液量として10.4kgの活性炭処理液を得た。活性炭の使用量は、コーヒー濃縮抽出物のBrix(%)に対して10質量%であった。得られた活性炭処理液を、スプレードライヤーを用いて、乾燥コーヒー抽出物を得た。
次に、L16の焙煎コーヒー豆(アラビカ種、産地:ブラジル)をワンダーブレンダー(WB−I型、大阪ケミカル株式会社製)にて常温粉砕し、粉砕物を篩(Tyler20、60、115、170、400メッシュ)を用いて分級し、400メッシュパス品を回収して平均粒子径を19μmに調整した焙煎コーヒー豆微粉を得た。
次に、乾燥コーヒー抽出物3.0gに対して、焙煎コーヒー豆微粉0.05gと、3mgのコーヒーオイル(焙煎コーヒー豆:コロンビア、圧搾抽出)を添加し、混合してソリュブルコーヒーを得た。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0067】
実施例2
コーヒーオイルの添加量を7mgに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0068】
実施例3
コーヒーオイルの添加量を10mgに変更したこと以外は、実施例1と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0069】
実施例4
コーヒー濃縮組成物のBrixに対する活性炭の使用量を30質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により乾燥コーヒー抽出物を得た。得られた乾燥コーヒー抽出物3.0gに対して、0.1gの焙煎コーヒー豆微粉を添加したこと以外は、実施例1と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0070】
実施例5
コーヒーオイルの添加量を7mgに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0071】
実施例6
コーヒーオイルの添加量を10mgに変更したこと以外は、実施例4と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0072】
実施例7
コーヒー濃縮組成物のBrixに対する活性炭の使用量を50質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作により乾燥コーヒー抽出物を得た。得られた乾燥コーヒー抽出物3.0gに対して、0.2gの焙煎コーヒー豆微粉を添加したこと以外は、実施例1と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0073】
実施例8
コーヒーオイルの添加量を7mgに変更したこと以外は、実施例7と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
実施例9
コーヒーオイルの添加量を20mgに変更したこと以外は、実施例7と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
比較例1
実施例1と同様の操作によりコーヒー濃縮組成物を得た後、該コーヒー濃縮組成物に対し活性炭処理を行わずにスプレードライヤーを用いて乾燥し、乾燥コーヒー抽出物を調製した。得られた乾燥コーヒー抽出物について分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0076】
比較例2
170℃の熱水を用いて得られたコーヒー濃縮組成物を用いたこと以外は、比較例1と同様の操作により乾燥コーヒー抽出物を調製した。得られた乾燥コーヒー抽出物について分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0077】
比較例3
実施例4と同様の操作により活性炭処理液を得た後、活性炭処理液をスプレードライヤーを用いて、乾燥コーヒー抽出物を調製した。得られた乾燥コーヒー抽出物について分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0078】
比較例4
乾燥コーヒー抽出物3.0gに対する焙煎コーヒー豆微粉の添加量を0.2gに変更し、コーヒーオイルを添加しなかったこと以外は、実施例4と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0079】
比較例5
焙煎コーヒー豆微粉の添加量を0.5gに変更したこと以外は、比較例4と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0080】
比較例6
更に40mgのコーヒーオイルを添加したこと以外は、比較例4と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0081】
比較例7
更に40mgのコーヒーオイルを添加したこと以外は、比較例5と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0082】
比較例8
焙煎コーヒー豆微粉を添加しなかったこと以外は、比較例6と同様の操作によりソリュブルコーヒーを調製した。得られたソリュブルコーヒーについて分析及び官能評価を行った。その結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1から、(A)乾燥コーヒー抽出物と(B)焙煎コーヒー豆微粉を含有するソリュブルコーヒーにおいて、(C)ナトリウムの含有量を特定量以下に低減させるとともに、(B)焙煎コーヒー豆微粉と(D)コーヒーオイルとの量比が一定の関係を満たすように制御することにより、飲用したときの微粉の舌残りや、冷めたときの不快な酸味が抑制されるとともに、オイル感を生ずることなく味の厚みが増強されることがわかる。