特許第6725316号(P6725316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6725316-凝集沈殿装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725316
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】凝集沈殿装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20200706BHJP
   B01D 21/02 20060101ALI20200706BHJP
   B01D 21/18 20060101ALI20200706BHJP
   B01D 21/24 20060101ALI20200706BHJP
   B01D 21/08 20060101ALI20200706BHJP
   B01D 21/30 20060101ALI20200706BHJP
   B01D 21/26 20060101ALI20200706BHJP
   C02F 1/52 20060101ALI20200706BHJP
   C02F 1/56 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   B01D21/01 B
   B01D21/02 E
   B01D21/18 F
   B01D21/24 Q
   B01D21/24 T
   B01D21/08 F
   B01D21/01 C
   B01D21/24 D
   B01D21/30 G
   B01D21/01 102
   B01D21/01 105
   B01D21/26
   C02F1/52 Z
   C02F1/56 Z
   B01D21/01 110
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-100319(P2016-100319)
(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公開番号】特開2017-205713(P2017-205713A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591075630
【氏名又は名称】株式会社アクティオ
(73)【特許権者】
【識別番号】306023716
【氏名又は名称】ヴェオリア・ジェネッツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】船橋 晃祐
(72)【発明者】
【氏名】宗像 国義
(72)【発明者】
【氏名】東 盛之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏誠
(72)【発明者】
【氏名】有賀 悟
(72)【発明者】
【氏名】木村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 英司
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−522576(JP,A)
【文献】 特開2000−317220(JP,A)
【文献】 特開平10−165962(JP,A)
【文献】 特開2014−237122(JP,A)
【文献】 特表2013−520301(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105000713(CN,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1554211(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00 − 21/34
C02F 1/52 − 1/56
1/20 − 1/26
1/30 − 1/38
11/00 − 11/20
B03B 1/00 − 13/06
E03F 1/00 − 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を、汚泥と処理水とに分離する凝集沈殿装置であって、
凝集槽、熟成槽、沈殿槽、循環ポンプ、サイクロン、分配槽、流量制御バルブおよび濃縮槽と、を少なくとも具備し、
前記凝集槽は、前記原水と前記濃縮槽からの越流水とを含む混合水に無機凝集剤を添加して撹拌混合して懸濁物質を凝集する機能を有し、
前記熟成槽は、前記凝集槽からの混合水に、高分子凝集剤と沈降促進剤とを添加して撹拌混合することで、前記混合水内のフロックと沈降促進剤とが結合した結合フロックを熟成する機能を有し、
前記沈殿槽は、前記熟成槽からの混合水の中の結合フロックを沈降させて、前記混合水を、前記処理水と沈殿スラリーとに分離する機能を有し、
前記循環ポンプは、少なくとも前記沈殿槽から取り出した沈殿スラリーを、前記サイクロンに供給する機能を有し、
前記サイクロンは、前記循環ポンプから供給する沈殿スラリーを、分離スラリーと、前記沈降促進剤を含んだ泥状物と、に分離して、前記泥状物を前記沈降促進剤の一部または全部として前記熟成槽に供給し、前記分離スラリーを前記分配槽に供給する機能を有し、
前記分配槽は、前記サイクロンからの分離スラリーに対し、エア抜き行いつつ排出スラリーと循環スラリーとに分離する機能を有し、
前記流量制御バルブは、前記分配槽からの循環スラリーの流量制御によって、凝集沈殿装置全体の流量が一定となるように、前記沈殿槽からの沈殿スラリーの引抜量を調整して、前記循環スラリーを含んだ前記沈殿スラリーを前記循環ポンプへ供給する機能を有し、
前記濃縮槽は、前記分配槽からの排出スラリーを所定時間滞留させて濃縮してから前記汚泥として取り出すとともに、越流分を前記越流水として前記凝集槽に供給する機能を有する、
ことを特徴とする、凝集沈殿装置。
【請求項2】
前記分配槽から前記濃縮槽への前記排出スラリーの供給を自然流下によって行うことを特徴とする、請求項1に記載の凝集沈殿装置。
【請求項3】
前記濃縮槽から前記凝集槽への前記越流水の供給を自然流下によって行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の凝集沈殿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事等の排水処理において、原水を凝集沈殿によって汚泥と処理水とに分離する凝集沈殿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原水を凝集沈殿によって汚泥と処理水とに分離する凝集沈殿装置には、以下の各特許文献に示すように、種々の装置が考案されている。
そしてこれらの装置は、凝集効率の向上が開発テーマの一つとなっている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の凝集沈殿装置は、沈殿槽から汚泥引抜循環ポンプでもって引き抜いたスラリーを、サイクロンにかけて汚泥と砂とに分離し、この汚泥の一部を汚泥循環ラインに送って、汚泥引抜循環ポンプの吸込側に接続することで、汚泥引抜循環ポンプからサイクロンへの供給流量を一定に保ちつつ、原水の濁度の変化幅が大きくとも、サイクロンの分離性能の安定化させて装置全体として所望の機能を維持可能とした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3866054公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した従来の凝集沈殿装置では、以下の問題がある。
(1)循環する汚泥に空気が混入する。
沈殿槽から引き抜いたスラリーをサイクロンで汚泥と砂とに分離するとき、汚泥の中にサイクロン内で巻き込んだ空気が混入してしまうため、この汚泥の一部を汚泥引抜循環ポンプへと循環させる際に、循環ポンプの性能低下などの悪影響を及ぼしてしまう。
(2)排出する汚泥が低濃度になる。
原水濁度の増加時には、サイクロンで分離した汚泥をより多く循環側に送ることでサイクロンの分離性能の安定化を図っているため、排出側の汚泥が低濃度の状態で次工程の脱水処理に送られることになり、脱水処理の効率が悪化する。
【0006】
よって、本発明は、装置全体の稼働の安定性の確保および次工程での汚泥の脱水処理の効率性の向上の両立を可能とする、凝集沈殿装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願の第1発明は、原水を、汚泥と処理水とに分離する凝集沈殿装置であって、凝集槽、熟成槽、沈殿槽、循環ポンプ、サイクロン、分配槽、流量制御バルブおよび濃縮槽と、を少なくとも具備し、前記凝集槽は、前記原水と前記濃縮槽からの越流水とを含む混合水に無機凝集剤を添加して撹拌混合して懸濁物質を凝集する機能を有し、前記熟成槽は、前記凝集槽からの混合水に、高分子凝集剤と沈降促進剤とを添加して撹拌混合することで、前記混合水内のフロックと沈降促進剤とが結合した結合フロックを熟成する機能を有し、前記沈殿槽は、前記熟成槽からの混合水の中の結合フロックを沈降させて、前記混合水を、前記処理水と沈殿スラリーとに分離する機能を有し、前記循環ポンプは、少なくとも前記沈殿槽から取り出した沈殿スラリーを、前記サイクロンに供給する機能を有し、前記サイクロンは、前記循環ポンプから供給する沈殿スラリーを、分離スラリーと、前記沈降促進剤を含んだ泥状物と、に分離して、前記泥状物を前記沈降促進剤の一部または全部として前記熟成槽に供給し、前記分離スラリーを前記分配槽に供給する機能を有し、前記分配槽は、前記サイクロンからの分離スラリーに対し、エア抜き行いつつ排出スラリーと循環スラリーとに分離する機能を有し、前記流量制御バルブは、前記分配槽からの循環スラリーの流量制御によって、凝集沈殿装置全体の流量が一定となるように、前記沈殿槽からの沈殿スラリーの引抜量を調整して、前記循環スラリーを含んだ前記沈殿スラリーを前記循環ポンプへ供給する機能を有し、前記濃縮槽は、前記分配槽からの排出スラリーを所定時間滞留させて濃縮してから前記汚泥として取り出すとともに、越流分を前記越流水として前記凝集槽に供給する機能を有することを特徴とする
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記分配槽から前記濃縮槽への前記排出スラリーの供給を自然流下によって行うことを特徴とする。
また、本願の第3発明は、前記第1または第2発明において、前記濃縮槽から前記凝集槽への前記越流水の供給を自然流下によって行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少なくとも以下に記載する効果を得ることができる。
(1)サイクロンで汚泥に混入した空気を除去できる。
分配槽を設けることにより、サイクロンからの汚泥(分離スラリー)をエア抜きしてから、一部の汚泥(循環スラリー)を循環側へと返送することで、沈殿槽から汚泥を引き抜くための循環ポンプの運転に悪影響を及ぼすことが無い。
(2)排出する汚泥の濃度を高く保つことができる。
濃縮槽を設けることにより、分配槽で分離した排出側の汚泥(排出スラリー)を、所定時間滞留させて濃縮してから取り出すことで、次工程の脱水処理での高効率運転に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る凝集沈殿装置の全体構成を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る凝集沈殿装置の詳細について説明する。
【実施例】
【0011】
<1>全体構成
本発明に係る凝集沈殿装置は、原水Aを処理水Bと汚泥Cとに分離する装置である。
そして、図1に示す凝集沈殿装置は、主要な構成要素として、凝集槽10、熟成槽20、沈殿槽30、循環ポンプ40、サイクロン50、分配槽60、および濃縮槽70と、を少なくとも具備している。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0012】
<2>凝集槽
凝集槽10は、原水Aと濃縮槽70からの越流水Mとを含む混合水Eに、無機凝集剤Dを添加して撹拌混合する機能を有する。
原水Aは、建設工事で発生した排水(建設排水)や、生活排水など種々の排水が対象となる。
越流水Mは、濃縮槽70から越流した水であり、詳細は後述する濃縮槽70の欄で説明する。
【0013】
<2.1>凝集槽の構造
凝集槽10の内部には公知の撹拌装置を設けておく。
また、凝集槽10から越流した混合水Eは、次工程の熟成槽20へと送るように構成する。
【0014】
<2.2>無機凝集剤
無機凝集剤Dは、混合水Eの中の懸濁物質を凝集させて微細なフロックを生成させるための添加剤である。
無機凝集剤Dとしては、たとえばポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化第二鉄、硫酸第二鉄のうち何れか或いはこれらの混合物を使用することができる。
図1では、原水Aを凝集槽10に送るラインの途中で無機凝集剤Dを添加しているが、凝集槽10に無機凝集剤Dを直接添加するように構成してもよい。
【0015】
<3>熟成槽
熟成槽20は、凝集槽10からの混合水Eに、高分子凝集剤Fと沈降促進剤Gとを添加して撹拌混合することで、混合水Eの中にある微細なフロックと沈降促進剤の結合を熟成する機能を有する。
【0016】
<3.1>高分子凝集剤
高分子凝集剤Fは、凝集槽10で生成された微細なフロックと沈降促進剤を結合するための添加剤である。
高分子凝集剤は、一般的には、凝集剤で生成した微細なフロックをより大きなフロックに成長させるために用いられるが、本発明では後述する沈降促進剤とフロックとの結合のために用いる点で異なる。
高分子凝集剤Fとしては、たとえばノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性の高分子凝集剤や、天然高分子凝集剤であるアルギン酸などのうち何れか或いはこれらの混合物を用いることができる。
【0017】
<3.2>沈降促進剤
沈降促進剤Gは、前記高分子凝集剤Fによって凝集槽10で生成された微細なフロックと結合することにより、より比重の大きなフロックを得るための添加剤である。
沈降促進剤Gとしては、砂などの粒状物などを用いる事ができる。
沈降促進剤Gは、新たに添加するもの、または沈降促進剤Fを添加して沈殿槽30から抜き出されたスラリー(沈殿スラリーH)から前記サイクロン50によって再度分離されたもの、の何れも含まれる。
【0018】
<3.3>各添加剤の添加方法
図1では、凝集槽10から越流した混合水Eが熟成槽20に送られる途中で沈降促進剤Gを添加し、熟成槽20に直接高分子凝集剤Fを添加しているが、本発明においてこれらの添加剤の添加態様を特段限定するものではない。
【0019】
<3.4>結合フロックの生成
前記した高分子凝集剤Fおよび沈降促進剤Gでもって、混合水Eの中には、該混合水E中のフロックと沈降促進剤Gとが結合されて、比重が大きく沈澱しやすくなるように熟成された結合フロックを含むようになる。
この混合水Eの越流分が、沈殿槽30へと供給される。
【0020】
<4>沈殿槽
沈殿槽30は、熟成槽20からの混合水Eの中の結合フロックを沈降させて、混合水Eを、前記処理水Bと沈殿スラリーHとに分離する機能を有する。
熟成槽20で大きく成長した結合フロックは、沈殿槽30の下方へと沈殿し、混合水Eは沈殿した結合フロックからなる沈殿スラリーHと、処理水Bとに分離される。
沈澱槽30の上部には複数の傾斜板を設けており、該傾斜板でもって高速で上昇する処理水Bを整流させることと一部のフロックを遮ることにより、より清澄な処理水Bのみを取り出すことができるように構成している。
沈殿槽30の底部には、沈殿スラリーHを掻き寄せて集める手段と、集めた沈殿スラリーHを引き抜くためのラインを設けており、このラインには循環ポンプ40の吸込側が接続されている。
【0021】
<5>循環ポンプ
循環ポンプ40は、少なくとも沈殿槽30から取り出した沈殿スラリーHを、サイクロン50へと送る機能を有する。
循環ポンプ40は、公知のポンプを用いることができる。
また、循環ポンプ40の吸込側には、沈殿槽30から伸びるラインの他に、後述する分配槽60から伸びるラインも接続されている。
よって、循環ポンプ40は分配槽60から循環されてきたスラリー(循環スラリー)を沈殿スラリーHに加えた状態で、サイクロン50へと送り出すことができる。
【0022】
<6>サイクロン
サイクロン50は、取り込んだ沈殿スラリーHから泥状物Jを取り出す機能を有する。
前記泥状物Jは、前記沈殿スラリーHに含まれていた沈降促進剤Gを主として含むスラッジである。
サイクロン50は、公知の分離器または分級器を用いることができる。
まず始めに、サイクロン50は、内部での遠心分離作用によって、循環ポンプ40から供給する沈殿スラリーHを、分離スラリーIと泥状物Jとに分離する。
その後、分離した泥状物Jは、沈降促進剤Fの一部または全部として熟成槽20へと供給することができる。
また、分離した分離スラリーIは、分配槽60へと送られる。
サイクロン50の遠心分離動作の際には、外部から取り込んだ空気が、内部で渦を巻いた状態を呈している。そのため、沈殿スラリーHから分離される分離スラリーIは、サイクロン50での分離過程の中で空気を含んだ状態となっている。
【0023】
<7>分配槽
分配槽60は、サイクロン50からの分離スラリーIを一旦収容して、濃縮槽70および循環ポンプ40に分配する機能を有する。
【0024】
<7.1>分配槽の構造
分配槽60は、槽外の空間と連通する開放空間61を設けている。
まず、分配槽60はサイクロン50からの分離スラリーIを収容する。前述した通り、分離スラリーIは、サイクロン50の内部で空気を含んだ状態となっている。
よって、分離スラリーIを一旦分配槽60に収容することで、分離スラリーI中の空気が開放空間61から抜けるように構成する。
【0025】
また、分配槽60では、分離スラリーIを一定時間滞留できる容積を有するものとする。これは、サイクロン50において泥状物Jとして分離しきれなかった沈降促進剤Gを、後述する循環スラリーKに含めて循環側へ返送するためである。
本構造によれば、沈降促進剤Gを濃縮槽70側に分配することが無くなるため、沈降促進剤Gのロスを大幅に低減することができる。
【0026】
<7.2>循環ライン・排出ライン
分配槽60には、循環ポンプ40の吸込側に接続する循環ラインと、濃縮槽70へと送る排出ラインとが接続してある。
前記循環ラインの途上には流量制御バルブ62を設けておき、分離スラリーIの一部である循環スラリーKの流量を制御する。
この流量制御バルブ62の流量制御によって、沈殿槽30からの引抜量の調整を可能とし、凝集沈殿装置全体の流量が一定となるように構成する。
【0027】
また、前記循環スラリーKの流量を制御した状態で、分配槽60からの越流分の分離スラリーIは、排出スラリーLとして排出ラインを経由し濃縮槽70へと送られる。
図1では、排出スラリーLに、排出ラインの途上で高分子凝集剤Fを添加しているが、本発明において必須の構成ではない。
【0028】
上記構成により、分離スラリーIは分配槽60で空気が抜けた状態となってから循環スラリーKとして循環ポンプ40に送られるため、循環ポンプ40の性能低下などの問題の発生を未然に防止することができる。
【0029】
なお、分配槽60から排出ラインを流れる排出スラリーLは、濃縮槽70まで自然流下の状態となるような位置関係としておくと、特段のエネルギーを要しない点で好ましい。
【0030】
<8>濃縮槽
濃縮槽70は、排出スラリーLを滞留させて濃縮するための装置である。
まず、濃縮槽70は、分配槽60からの排出スラリーLを収容して、所定時間滞留させて、排出スラリーLを濃縮する。
濃縮槽70内で濃縮された排出スラリーLは、適当なタイミングで、濃縮槽70の下部から排泥ポンプ80等によって最終的な汚泥Cとして抜き出され、次工程の脱水処理へと送られる。
また、排出スラリーLの抜出しは濃縮槽70に設置された汚泥界面計で抜出し量を制御することもできる。
よって、排出スラリーLを濃縮してなる汚泥Cは、常に高濃度の状態で脱水処理されることとなり、脱水効率の向上に寄与することとなる。
【0031】
また、濃縮槽70に収容した排出スラリーLの越流水Mは、凝集槽10へと循環するように構成する。
濃縮槽70から凝集槽10へ循環させる越流水Mの供給態様は、図1に示すように越流分が自然流下の状態となるように構成すると、特段のエネルギーを要しない点で好ましい。
【符号の説明】
【0032】
10 凝集槽
20 熟成槽
30 沈殿槽
40 循環ポンプ
50 サイクロン
60 分配槽
70 濃縮槽
80 排泥ポンプ
A 原水
B 処理水
C 汚泥
D 無機凝集剤
E 混合水
F 高分子凝集剤
G 沈降促進剤
H 沈殿スラリー
I 分離スラリー
J 泥状物
K 循環スラリー
L 排出スラリー
M 越流水
図1