(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動規制部材は、重ねた状態の前記天面部及び前記レール本体の双方を貫通する締結要素を介し、前記レール本体に対して一体に固定されるものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の太陽電池モジュール用取付具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された固定構造は、太陽電池モジュールの屋根上への取付作業や、レール状部材の屋根からの取り外し作業をより簡易化するという観点から改良の余地がある。
【0011】
すなわち、特許文献1に開示された固定構造は、レール状架台に太陽電池モジュールを固定するとき、レール状架台の取付孔と太陽電池モジュールの取付孔の位置合わせを屋根上で実施する必要がある。しかしながら、屋根の縁端よりの場所では、作業者が作業するための十分な作業場所の確保が難しく、また、屋根の縁端から離れた場所では、すでに取り付けが完了した隣接する太陽電池モジュールが取付作業の邪魔になってしまう可能性がある。
【0012】
また、特許文献1に開示された固定構造では、破損等の理由によりレール状架台を屋根上から取り外す場合、そのレール状架台に固定された太陽電池モジュールを予め全て取り外した後、レール状架台を取り外すこととなる。つまり、レール状架台に太陽電池モジュールを固定するための固定ネジを一つ一つ取り外していき、その後にレール状架台を取り外す必要がある。
【0013】
上記のように、屋根上の狭い場所でレール状架台の取付孔と太陽電池モジュールの取付孔とが重なるように位置合わせを実施したり、固定ネジの締め外しを実施したりすることは手間であり、これらの作業をより簡易化したいという欲求があった。
【0014】
そこで本発明は、取付作業や取り外し作業を簡易化することが可能な太陽電池モジュール用取付具及び太陽電池モジュールの取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、太陽電池モジュールを対象物に取り付けるための太陽電池モジュール用取付具であって、前記対象物に固定するレール部材と、前記レール部材とは別体であって前記太陽電池モジュールに一体に固定する固定片とを有しており、前記レール部材はレール側係合部を備えており、前記固定片は固定片側係合部を備えるものであって、前記レール側係合部と前記固定片側係合部が係合することで、前記レール部材と前記固定片が係合可能であり、前記太陽電池モジュールに一体に固定された前記固定片が前記レール部材と係合した状態で、前記レール部材に沿うようにスライド移動が可能で
あり、前記固定片は、前記レール部材の上方に位置した状態で前記レール部材と係合するものであり、レール調整窓部を備え、前記レール調整窓部は、前記固定片を上方から視認したとき、前記レール部材の前記固定片と重なる部分を露出させることを特徴とする太陽電池モジュール用取付具である。
また、他の様相は、太陽電池モジュールを対象物に取り付けるための太陽電池モジュール用取付具であって、前記対象物に固定するレール部材と、前記レール部材とは別体であって前記太陽電池モジュールに一体に固定する固定片とを有しており、前記レール部材はレール側係合部を備えており、前記固定片は固定片側係合部を備えるものであって、前記レール側係合部と前記固定片側係合部が係合することで、前記レール部材と前記固定片が係合可能であり、前記太陽電池モジュールに一体に固定された前記固定片が前記レール部材と係合した状態で、前記レール部材に沿うようにスライド移動が可能であり、前記固定片は、平板状の底板部を備え、前記底板部の裏面側には、前記固定片側係合部を構成する複数の係合突起が設けられており、前記係合突起は、立板部と、前記立板部の下端と連続する湾曲板部を備え、且つ、弾性変形可能な部分を有するものであり、2つの前記係合突起が所定間隔を空けて並列配置され、2つの前記立板部がその内側面同士が対向した状態となっており、2つの前記湾曲板部がそれぞれ外側に膨らむように湾曲していることを特徴とする太陽電池モジュール用取付具である。
【0016】
本様相の太陽電池モジュール用取付具は、太陽電池モジュールの取付対象物に固定するレール部材と、太陽電池モジュールに固定する固定片を別体としており、太陽電池モジュールに対する固定片の固定作業を広い場所で予め実施することができる。例えば、広い作業スペースを確保できる場所で太陽電池モジュールに固定片を固定し、一体となった太陽電池モジュールと固定片を屋根上に運搬して、屋根上で固定片とレール部材を係合させるといった取付作業が可能となる。すなわち、太陽電池モジュール側の固定用孔を取付具側の固定用孔と重なるように合わせ、ネジ締めを実施するといった煩雑な作業を屋根上の狭い場所で実施する必要がなく、広い場所で実施できるので、取付作業の簡易化を図ることができる。
さらに、太陽電池モジュールから取付具を取り外す際もまた、一体となった太陽電池モジュールと固定片を屋根から降ろし、広い作業スペースを確保できる場所まで運搬して、取り外し作業を実施できる。すなわち、ネジを外して太陽電池モジュールから固定片を外す作業を広い場所で実施可能となり、取り外し作業の簡易化を図ることができる。
【0017】
さらに、本様相の太陽電池モジュール用取付具では、太陽電池モジュールに一体に固定した固定片がレール部材と係合した状態で、レール部材に沿うようにスライド移動が可能となっている。
このことにより、屋根上等で太陽電池モジュールを設置予定位置に配置する際、太陽電池モジュールを固定片ごと僅かにスライド移動させるだけで、位置合わせ作業での位置調整が可能となる。すなわち、固定片をレール部材と係合させたままスライドさせるだけで位置調整が可能となるので、太陽電池モジュールの位置合わせ作業を簡易化できる。
【0018】
本様相は、前記レール部材は、前記固定片のスライド移動を規制する移動規制部を備えていることが好ましい。
【0019】
この好ましい様相によると、望まない位置への固定片のスライド移動を防止することができる。このことから、予期せぬ力が加わる等の理由により、固定片とレール部材の係合が誤って解除され、太陽電池モジュールが固定片と共にレール部材から脱落するといった事態の発生を防止できる。つまり、太陽電池モジュールの取付作業の実施中に、誤って係合が解除された固定片とレール部材を再度係合させる作業が発生したりすることが無く、太陽電池モジュールの取付作業の簡易化を図ることができる。
【0020】
さらに好ましくは、前記レール部材は、レール本体と、レール本体とは別体の移動規制部材を備えており、前記移動規制部材は、前記レール本体に取り付けられて前記レール部材に前記移動規制部を形成するものであって、前記移動規制部材は、前記レール本体の端部近傍に取り付けられる。
【0021】
この好ましい様相では、レール部材と移動規制部材が別体となっており、移動規制部材がレール本体に取り付けられることでレール部材に移動規制部が形成される構造となっている。そして、この移動規制部材をレール本体の端部近傍に取り付け、レール部材の端部近傍に移動規制部を形成している。
このため、太陽電池モジュールの取付作業や取り外し作業を実施する際には、移動規制部材を取り外した状態とすることで、移動規制部材が固定片の移動を妨げることがなく、作業の邪魔になることがない。そして、太陽電池モジュールを設置した後に移動規制部材を取り付けることで、移動規制部が形成され、一体に固定された太陽電池モジュール及び固定片のレール本体の端部からの脱落を防止できる。
つまり、移動規制部を作業中に形成しないことで、レール部材の移動規制部が作業の邪魔をすることがなく、作業の簡易化を図ることができる。
【0022】
上述の様相では、前記固定片は、前記レール部材の上方に位置した状態で前記レール部材と係合するものであり、レール調整窓部を備え、前記レール調整窓部は、前記固定片を上方から視認したとき、前記レール部材の前記固定片と重なる部分を露出させ
る。
【0023】
この様相によると、一体に固定された太陽電池モジュール及び固定片をレール部材から取り外したり、固定片を移動させたりすることなく、レール部材の固定片と重なる部分の様子を確認したり、レール部材の固定片と重なる部分に対してネジ止め等の作業を実施できる。
例えば、レール部材を屋根等の対象物にボルト止め等によって固定するとき、ボルトやナットが固定片と重なる位置に配されている場合であっても、ナット等が正しく閉められているか否かを確認することができる。また、ナット等が正しく締られていない場合、そのままナットを締め付ける作業を実施することが可能となる。すなわち、固定片をレール部材から取り外したり、固定片を移動させたりすることなく取り付けに関する作業を実施できるので、取付作業の簡易化を図ることができる。
【0024】
さらに好ましくは、前記固定片は、平板状の底板部と、前記底板部の対向する2辺の一方側と他方側にそれぞれ形成された2つの側壁部を備えており、前記レール調整窓部は、前記底板部を貫通する貫通孔であり、2つの前記側壁部の間に位置している。
【0025】
また、
上述の様相は、前記固定片は、平板状の底板部を備え、前記底板部の裏面側には、前記固定片側係合部を構成する複数の係合突起が設けられており、複数の前記係合突起には、所定間隔を空けて並列配置される第1係合突起と第2係合突起が含まれるものであり、前記第1係合突起及び前記第2係合突起は、前記底板部の裏面から下方に突出する立板状部と、前記立板状部の下端側を折り曲げて形成される折曲板部とを有しており、前記第1係合突起の前記折曲板部と
前記第2係合突起の前記折曲板部は、互いに近づく方向に突出した状態となるように、それぞれが折り曲げられていることが好ましい。
【0026】
上述の様相は、前記固定片は、平板状の底板部を備え、前記底板部の裏面側には、前記固定片側係合部を構成する複数の係合突起が設けられており、前記係合突起は、立板部と、前記立板部の下端と連続する湾曲板部を備え、且つ、弾性変形可能な部分を有するものであり、2つの前記係合突起が所定間隔を空けて並列配置され、2つの前記立板部がその内側面同士が対向した状態となっており、2つの前記湾曲板部がそれぞれ外側に膨らむように湾曲している。
【0027】
上述の好ましい様相において、前記移動規制部材は、前記レール本体の端部上面を覆う天面部を少なくとも有していることがさらに好ましい。
【0028】
さらに好ましくは、前記移動規制部材は、平板状の天面部と、天面部から下方に向かって延びる2つの側面形成部と、正面板部とを備えており、前記移動規制部材の内部には、前記天面部、2つの前記側面形成部、前記正面板部によって囲まれた空間である収納空間が形成され、前記収納空間は、前記レール本体の端部を収納可能である。
【0029】
他のさらに好ましい様相としては、前記移動規制部材は、重ねた状態の前記天面部及び前記レール本体の双方を貫通する締結要素を介し、前記レール本体に対して一体に固定される。
【0030】
本発明の他の様相は、上述の太陽電池モジュール用取付具を使用して、複数の
太陽電池モジュールを隣接させた状態で前記対象物に取り付ける太陽電池モジュールの取付方法であって、前記対象物に前記レール部材を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに前記固定片を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに固定された前記固定片を前記レール部材に係合させ、前記太陽電池モジュール及び前記固定片をスライド移動させる工程と、前記太陽電池モジュールの一部を、隣接する位置に配された他の前記太陽電池モジュールに固定される前記固定片に対して固定する工程とを実施することを特徴とする太陽電池モジュールの取付方法である。
【0031】
本様相においても、上記したように、太陽電池モジュールに固定片を固定する工程を広い作業スペースが確保できる場所で実施可能となっている。さらに、上記したように、太陽電池モジュール及び固定片をスライド移動させる工程において、固定片をレール部材と係合させたまま太陽電池モジュールの位置合わせにおける微調整が可能となる。これらのことから、太陽電池モジュールの取付作業や太陽電池モジュールの取り外し作業を簡易化できる。
また、太陽電池モジュールの一部を、隣接する位置に配された他の太陽電池モジュールに固定される固定片に対して固定する工程を実施することにより、隣接配置される太陽電池モジュール同士が連結するので、風等の外力に強い強固な取り付けが可能となる。さらに、この工程では、太陽電池モジュールと、他の太陽電池モジュールに固定される固定片とが互いにスライド移動が可能な状態となっており、その位置合わせ作業を容易に実施できる。このことから、簡単な取付作業で強固な取り付けが可能となる。
【0032】
他の好ましい様相は、太陽電池モジュールを対象物に取り付けるための太陽電池モジュール用取付具であって、前記対象物に固定するレール部材と、前記レール部材とは別体であって前記太陽電池モジュールに一体に固定する固定片とを有しており、前記レール部材はレール側係合部を備えており、前記固定片は固定片側係合部を備えるものであって、前記レール側係合部と前記固定片側係合部が係合することで、前記レール部材と前記固定片が係合可能であり、前記太陽電池モジュールに一体に固定された前記固定片が前記レール部材と係合した状態で、前記レール部材に沿うようにスライド移動が可能な太陽電池モジュール用取付具を使用して、複数の太陽電池モジュールを隣接させた状態で前記対象物に取り付ける太陽電池モジュールの取付方法であって、前記対象物に前記レール部材を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに前記固定片を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに固定された前記固定片を前記レール部材に係合させ、前記太陽電池モジュール及び前記固定片をスライド移動させる工程と、前記太陽電池モジュールの一部を、隣接する位置に配された他の前記太陽電池モジュールに固定される前記固定片に対して固定する工程とを実施し、前記太陽電池モジュールに前記固定片を固定する工程では、前記太陽電池モジュールの傾斜方向で対向する2辺のうち、一方側にのみ前記固定片を固定する。
【0033】
他の好ましい様相としては、上述の太陽電池モジュール用取付具を使用して、複数の
太陽電池モジュールを隣接させた状態で前記対象物に取り付ける太陽電池モジュールの取付方法であって、前記対象物に前記レール部材を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに前記固定片を固定する工程と、前記太陽電池モジュールに固定された前記固定片を前記レール部材に係合させ、前記太陽電池モジュール及び前記固定片をスライド移動させる工程と、前記太陽電池モジュールの一部を、隣接する位置に配された他の前記太陽電池モジュールに固定される前記固定片に対して固定する工程とを実施するものであり、
前記太陽電池モジュール及び前記固定片をスライド移動させる工程に先立って、前記レール本体の片側端部に前記移動規制部材を固定する工程を実施し、
前記太陽電池モジュール及び前記固定片をスライド移動させる工程の後に、前記レール本体の他方側端部に前記移動規制部材を固定する工程を実施することを特徴とする太陽電池モジュールの取付方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、太陽電池モジュールの取り付けや取り外しに係る作業を簡易化できる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の各実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右前後の位置関係は、
図1で示される通常の設置位置を基準に説明する。
【0037】
本実施形態の太陽電池モジュール1の取付構造は、
図1で示されるように、太陽電池モジュール用取付具2を介して建屋の屋根3(対象物)の上に太陽電池モジュール1を取り付ける構造である。この太陽電池モジュール用取付具2は、屋根3の上に固定するレール部材4と、太陽電池モジュール1に固定する固定片5から構成されるものであり、太陽電池モジュール1は、固定片5を介してレール部材4に取り付けられた状態となっている。
なお、本実施形態の屋根3は、陸屋根(平屋根)であり、傾斜のない平面状の屋根面3aを有するものとなっている。
【0038】
太陽電池モジュール1は、
図2で示されるように、太陽電池パネル10の周縁部分にフレーム11を取り付けて形成されるものである。
【0039】
太陽電池パネル10は、略長方形平板状の部材であり、樹脂製の裏面封止材と、受光面を形成するガラス基板の間に光電変換素子を備えた太陽電池セルを封止して形成される板状の部材である。
【0040】
フレーム11は、太陽電池パネル10の短辺を覆うように取り付けられる短辺側部材12と、長辺を覆うように取付けられる長辺側部材13を備えており、これらが一体に固定されて四角環状のフレーム11を形成している。
ここで、短辺側部材12の下端近傍には、外側へ向かって突出する平板状の固定板部15が形成されている。
【0041】
固定板部15は、太陽電池モジュール1の厚さ方向に対して直交する方向に突出する部分であり、平面視した形状が略長方形状となる板状の部分である。この固定板部15は、太陽電池モジュール1の短辺に沿って延びており、その厚さ方向が太陽電池モジュール1の厚さ方向と同一の方向となっている。
なお、太陽電池モジュール1の厚さ方向とは、受光面及び裏面と直交する方向であり、固定板部15の厚さ方向は、表面及び裏面(上端面及び下端面)と直交する方向である。
【0042】
固定板部15には、その長手方向(太陽電池モジュール1の短辺に沿う方向)の片側端部の近傍と、他方側端部の近傍にそれぞれ取付用孔16が設けられている。この取付用孔16は、固定板部15の上端面から下端面に至るまで延びる孔であり、固定板部15を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0043】
レール部材4は、
図3、
図4で示されるように、長尺状のレール本体20と、レール本体20の長手方向における端部に取り付けられるエンドキャップ21を備えた構造となっている。
【0044】
レール本体20は、
図4で示されるように、アルミニウム合金等の適宜な金属を加工して形成され、その断面形状が略逆ハット状となる部材である。このレール本体20は、平板状の底板部23と、底板部23の短手方向における両端部分のそれぞれから上方に突出する2つの立板部24と、2つの立板部24のそれぞれの上端から外側に向かって突出する2つの係合板部25(レール側係合部)を備えている。
【0045】
底板部23には、
図5で示されるように、複数の固定用孔27が設けられており、それぞれの固定用孔27が底板部23の長手方向で間隔を空けて並列している。いずれの固定用孔27も底板部23の上面から裏面まで延びる孔であり、底板部23を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0046】
2つの立板部24は、
図4で示されるように、レール本体20の短手方向で所定の間隔空けて並列しており、内側面同士が対向した状態となっている。すなわち、2つの立板部24の間であって底板部23の上側となる位置には、これらに囲まれた空間が形成された状態となっている。
【0047】
係合板部25は、平面視した形状が略長方形状となる平板状の部分であり、いずれもレール本体20の短手方向における中心側から外側へ向かう方向に突出している。すなわち、2つの係合板部25は、互いに離れる方向へ突出している。
【0048】
この係合板部25には、長手方向において端部よりやや中心よりとなる位置にキャップ取付孔28が設けられている。すなわち、係合板部25には、その長手方向における両端部それぞれの近傍に1つずつ、合計2つのキャップ取付孔28が設けられている。このことから、レール本体20の長手方向における両端部それぞれの近傍に2つずつ、合計4つのキャップ取付孔28が設けられた状態となっている。
いずれのキャップ取付孔28も係合板部25の上面から裏面まで延びる孔であり、係合板部25を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0049】
エンドキャップ21は、合成ゴム等の弾性材料で形成される部材であり、
図4で示されるように、内部に断面形状が略T字状で延びる収納空間29が形成されている。
【0050】
エンドキャップ21は、略長方形平板状の天面部30と、天面部30の長手方向における両端部それぞれから下方に向かって屈曲しつつ延びる2つの側面形成部31と、天面部30の短手方向における片側端部と連続する正面板部32が一体になって形成されている。
【0051】
天面部30には、その長手方向における端部よりやや中心よりの位置に取付用孔33が形成されている。すなわち、天面部30には、その長手方向における両端部それぞれの近傍に1つずつ、合計2つの取付用孔33が設けられている。いずれの取付用孔33も天面部30の上面から裏面まで延びており、天面部30を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0052】
正面板部32は、正面視した形状が略T字状となる立板状の部分であり、天面部30と略垂直に交わっている。
【0053】
収納空間29は、天面部30と2つの側面形成部31と正面板部32によって囲まれた空間であり、正面板部32と間隔を空けて対向する位置となる側面の一方と、下方とが開放された空間となっている。
この収納空間29は、上記したように断面形状が略T字状となっており、上側部分の断面形状が略横長長方形状であって、下側部分の断面形状が正方形状又は縦長長方形状となっている。
【0054】
固定片5は、
図6、
図7で示されるように、平板状の底板部38と、底板部38の対向する2辺のうちの一方から上方に立ち上げられた高側壁部39と、対向する2辺のうちの一方から上方に立ち上げられた低側壁部40を備えた構造となっている。
【0055】
底板部38には、その大部分を占める領域に開口形状が円形となるレール調整用孔42(レール調整窓部)が形成されている。このレール調整用孔42の開口の中心は、底板部38の上面及び裏面の中心と同位置となっている。すなわち、レール調整用孔42は、底板部38の中心を含み、中心から外側向かって広がる範囲に形成される孔となっている。
また、このレール調整用孔42は、底板部38の上面から裏面まで延びており、底板部38を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0056】
さらに、この底板部38の裏面側には、
図8、
図9で示されるように、係合突起45(固定片側係合部)が設けられている。この係合突起45は、底板部38の裏面から下方(
図8では上方)に突出する立板状部46と、立板状部46の下端側(
図8では上端側)を折り曲げて形成される折曲板部47を備えた構造となっている。
【0057】
ここで、底板部38には複数の係合突起45が設けられており、行列状に配された状態となっている。
より詳細には、高側壁部39よりの位置に形成された第1係合突起45aと、低側壁部40よりの位置に形成された第2係合突起45bとが所定間隔を空けて対向するように並列配置されている。そして、第1係合突起45aと第2係合突起45bからなる組が複数組(本実施形態では2組)形成された状態となっている。このとき、複数の(2つの)第1係合突起45aは、第1係合突起45aと第2係合突起45bの並列方向とは直交する方向で、所定間隔を空けて並列配置されている。そして、複数の(2つの)第2係合突起45bもまた、第1係合突起45aと第2係合突起45bの並列方向とは直交する方向で、所定間隔を空けて並列配置されている。つまり、複数の(2つの)第1係合突起45aによって形成される列と、複数の(2つの)第2係合突起45bによって形成される列が互いに平行となるように配置されている。
【0058】
そして、
図9で示されるように、第1係合突起45aの折曲板部47と第2係合突起45bの折曲板部47は、いずれも内側に折り曲げられている。すなわち、第1係合突起45aの折曲板部47は、低側壁部40に向かう方向に折り曲げられ、第2係合突起45bの折曲板部47は、高側壁部39に向かう方向に折り曲げられている。言い換えると、第1係合突起45aと第2係合突起45bにそれぞれ形成された折曲板部47は、立板状部46の下端から互いに近づく方向に突出した状態となっている。
【0059】
高側壁部39は、底板部38と連続する立板状の第1壁状部50と、第1壁状部50の上端を内向きに折り曲げて形成される第1モジュール固定部51を備えた構造となっている。つまり、高側壁部39の上端部分には、太陽電池モジュール1を固定するための第1モジュール固定部51が形成された状態となっている。
【0060】
第1モジュール固定部51は、第1壁状部50の上端から斜め方向である内側上方に突出しており、その上面が傾斜面となっている。すなわち、第1モジュール固定部51の上面は、低側壁部40に近づくにつれて高さが高くなる傾斜面となっている。
この第1モジュール固定部51の長手方向における中心近傍には、モジュール固定孔53が設けられている。モジュール固定孔53は、第1モジュール固定部51の上面から裏面まで延びており、第1モジュール固定部51を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0061】
低側壁部40は、底板部38と連続する立板状の第2壁状部55と、第2壁状部55の上端を内向きに折り曲げて形成される第2モジュール固定部56を備えた構造となっている。つまり、低側壁部40の上端部分には、第1モジュール固定部51に固定する太陽電池モジュール1とは異なる太陽電池モジュール1を固定するための第2モジュール固定部56が形成された状態となっている。
【0062】
第2モジュール固定部56は、第2壁状部55の上端から斜め方向である内側下方に突出しており、その上面が傾斜面となっている。すなわち、第2モジュール固定部56の上面は、高側壁部39に近づくにつれて高さが低くなる傾斜面となっている。言い換えると、高側壁部39側から低側壁部40側に向かうにつれて高さが高くなる傾斜面となっている。
この第2モジュール固定部56の長手方向における中心近傍にもまた、モジュール固定孔58が設けられている。モジュール固定孔58は、第2モジュール固定部56の上面から裏面まで延びており、第2モジュール固定部56を厚さ方向に貫通する孔となっている。
【0063】
ここで、高側壁部39の第1壁状部50は、低側壁部40の第2壁状部55よりも高さ方向(上下方向)に長い部分となっている。このため、第1モジュール固定部51は、第2モジュール固定部56よりも高位置に形成されることとなる。
また、第1モジュール固定部51の第1壁状部50に対する傾斜角度は、第2モジュール固定部56の第2壁状部55に対する傾斜角度と同じ角度となっている。すなわち、第1モジュール固定部51と第2モジュール固定部56は、いずれも高側壁部39側から低側壁部40側に向かうにつれて高さが高くなる傾斜面となっており、その傾斜角度が同じ角度となっている。
【0064】
続いて、本実施形態の太陽電池モジュール1の取付構造を構築するための太陽電池モジュール1の取付方法について詳細に説明する。
なお、以下の説明では、屋根面3aのうち、
図1のAで示される端部を前端、
図1のBで示される端部を後端、
図1のCで示される端部を左端、
図1のDで示される端部を右端として説明する。
すなわち、傾斜した状態で固定される太陽電池モジュール1を基準として、低位置側を前方とし高位置側を後方とする。つまり、全ての太陽電池モジュール1は、前端側から後端側に向かうにつれて高さが高くなるように傾斜した状態で取り付けられることとなる。さらに、太陽電池モジュール1を低位置側から高位置側へ向かう方向と直交する方向にスライド移動させるとき(詳しくは後述する)、移動起点側を右端とし移動終点側を左端とする。
さらに、最も左端側に位置して前後方向で並列する太陽電池モジュール1の列を第1列目とし、右端側に向かうにつれて第2列目、第3列目、・・・と称する。また、最も後端側に位置して左右方向で並列する太陽電池モジュール1の列を第1段目とし、前端側に向かうにつれて第2段目、第3段目・・・と称する。
【0065】
まず、
図10、
図11で示されるように、屋根面3aに対してレール本体20を固定する。より詳細には、
図11で示されるように、屋根面3aに一体に固定されたアンカーボルト60を介して、レール本体20を屋根面3aに固定する。すなわち、屋根面3aから上方に突出するアンカーボルト60の軸部にレール本体20の固定用孔27を挿通した状態とし、底板部23の上側からナットを取り付け、レール本体20を屋根面3aに一体に固定した状態とする。
【0066】
このとき、複数のレール本体20をそれぞれ所定の間隔を空けて並列配置し、隣接するレール本体20が互いに平行に延びた状態となるように、複数のレール本体20を固定していく(
図10参照)。言い換えると、全てのレール本体20が屋根面3aの左右方向に延びた状態となっている。
そして、それぞれのレール本体20では、長手方向の一端側の端部にのみエンドキャップ21(移動規制部材)を取り付け、他端側の端部にはエンドキャップ21を取り付けていない状態とする。詳細には、全てのレール本体20で屋根面3aの左端側に位置する端部にのみエンドキャップ21を取り付け、右端側に位置する端部にはエンドキャップ21を取り付けていない状態とする。つまり、エンドキャップ21は、いずれのレール本体20でも左端側に固定された状態となっており、各レール本体20のエンドキャップ21が取り付けられた端部が、レール本体20の並列方向で所定間隔を空けて並列配置された状態となる。
【0067】
さらに、太陽電池モジュール1に対して固定片5を固定しておく。
より詳細には、
図12で示されるように、太陽電池モジュール1の2つの短辺側部材12の一方に2つの固定片5を固定する。このとき、固定片5の高側壁部39が短辺側部材12よりも太陽電池パネル10に近接する姿勢とした上で、高側壁部39の上端に形成された第1モジュール固定部51の上に固定板部15を載置し、第1モジュール固定部51のモジュール固定孔53と、固定板部15の取付用孔16(
図2等参照)を重ね合わせた状態とする。そして、モジュール固定孔53と取付用孔16に締結要素を挿通して、これらを一体に固定する。
なお、締結要素とは、ネジ、釘、ボルト等の上位概念である。
【0068】
そして、
図13、
図14で示されるように、太陽電池モジュール1に固定した固定片5の係合突起45をレール本体20の係合板部25と係合させた状態とする。
すなわち、レール本体20の長手方向の端部のうち、エンドキャップ21を取り付けていない端部に対し、固定片5の係合突起45を近接させていき、2つの係合突起45の間に係合板部25が入り込んだ状態とする(
図14参照)。このとき、底板部38が係合板部25の上に位置し、係合板部25が係合突起45の折曲板部47より上側に位置した状態となる。つまり、係合板部25が底板部38と折曲板部47に上下から挟まれた状態となり、底板部38と折曲板部47の間に形成される空間に略丁度嵌り込んだ状態となっている。
【0069】
この状態で、太陽電池モジュール1を固定片5ごと規定位置までスライド移動させていく(
図13参照)。すなわち、太陽電池モジュール1及び固定片5をレール本体20の長手方向に沿う方向にスライド移動させ、設置予定位置まで移動させる。
【0070】
ここで、上記したように、レール本体20の長手方向における端部であり、移動終点側に位置する端部には、エンドキャップ21が取り付けられている(
図10等参照)。そして、レール本体20のエンドキャップ21が取り付けられた部分は、固定片5の係合突起45と係合できない状態となっている。すなわち、エンドキャップ21が取り付けられた部分は、周囲の部分よりも厚さが増しており(
図3参照)、2つの係合突起45の間に形成される隙間(
図14参照)に入り込まない状態となっている。このことから、固定片5がスライド移動して、エンドキャップ21が取り付けられた部分に到達すると、係合突起45がエンドキャップ21に当接し、進行方向へのさらなる移動が阻止される。つまり、エンドキャップ21を取り付けた部分が固定片5のスライド移動を規制する移動規制部として機能する。
【0071】
このように、エンドキャップ21を取り付けることで、太陽電池モジュール1を固定片5ごとスライド移動させるとき、誤って移動させすぎることがなく、固定片5がレール本体20から脱落してしまうことがない。
【0072】
そして、
図15(a)で示されるように、第1列目であり第1段目に属する太陽電池モジュール1aを規定位置まで移動させ、仮配置(仮固定)した状態とすると、これに続いて、この太陽電池モジュール1aの前側に隣接配置する第1列目であり第2段目に属する太陽電池モジュール1bを同様の手順で仮配置(仮固定)した状態とする。
【0073】
この状態で、
図16で示されるように、前側(第2段目)に仮配置した太陽電池モジュール1bに一体に固定された固定片5に、後側(第1段目)に仮配置した太陽電池モジュール1aの固定板部15を固定する。
すなわち、後側に仮配置した太陽電池モジュール1aのうちで最も低位置となる部分となる前側の固定板部15を、固定片5の第2モジュール固定部56に載置し、固定板部15の取付用孔16(
図2等参照)と第2モジュール固定部56のモジュール固定孔58(
図6等参照)が重なるように互いの位置を調整する。そして、取付用孔16とモジュール固定孔58にネジ等の締結要素を挿通して一体に固定する。
【0074】
ここで、前側に仮配置した太陽電池モジュール1bと、後側に配置した太陽電池モジュール1aは、いずれも一体に固定した固定片5と共にスライド移動が可能な状態となっている。このため、固定板部15の取付用孔16と第2モジュール固定部56のモジュール固定孔58が重なるように位置合わせをするとき、それぞれを移動させて調整が可能であるため、位置合わせ作業を容易に実施できる。
【0075】
同様に、第1列目の第3段目以降に属する太陽電池モジュール1を仮配置していき、その後方に隣接する太陽電池モジュール1の前端部分を固定していく。このことにより、第1列目に属する太陽電池モジュール1の取り付けが完了する(
図17参照)。
なお、最も前方のレール本体20には、太陽電池モジュール1を固定していない固定片5を係合させ、固定片5のみをスライド移動させる。そして、第1列目のうちで最も前側に設置する太陽電池モジュール1の前端側に位置する固定板部15を、この固定片5に固定する。この最も前端側に位置するレール本体20には、レール本体20を屋根上に取り付けるとき、予め固定片5を係合させておいても構わない。
【0076】
続いて、第2列目以降に属する太陽電池モジュール1を順次固定していく。このことにより、
図18で示されるように、屋根3の上に設置する全ての太陽電池モジュール1が設置予定位置に取り付けられた状態となる。
【0077】
この状態で、レール本体20の長手方向における端部であり、移動起点側に位置する端部にもエンドキャップ21を取り付けると、太陽電池モジュール1の屋根3の上への取り付けが完了する。
このようにエンドキャップ21を取り付けることで、太陽電池モジュール1のレール本体20からの脱落を防止できる。
【0078】
ところで、
図19で示されるように、固定片5の設置位置と、レール本体20のアンカーボルト60の挿通位置(固定用孔27が形成される位置)が重なってしまう場合がある。すなわち、場所によっては、固定片5の下方側にアンカーボルト60が位置してしまう可能性がある。
ここで、本実施形態の固定片5では、底板部38にレール調整用孔42を形成しているので、固定片5を移動させることなくアンカーボルト60を視認することができる。すなわち、固定片5を移動させることなくナットが正しく締められているか否かの確認や、ナットを締め直したりする作業を実施可能となっている。
【0079】
上記した実施形態では、レール本体20の端部で固定片5を係合させ、固定片5をスライド移動させる例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、
図20、
図21でそれぞれ示されるレール部材104や固定片105のように、固定片105をレール部材104の上側から押圧することで、レール部材104と固定片105を係合させてもよい。
このレール部材104と固定片105につき、以下で詳細に説明する。なお、上記した実施形態と同様の部分については、同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
レール部材104は、
図20で示されるように、長尺状のレール本体120と、レール本体120の長手方向における端部に取り付けられる端部被覆部材121(移動規制部材)を備えた構造となっている。
【0081】
レール本体120は、平板状の底板部123と、底板部123の短手方向における両端部分のそれぞれから上方に突出する2つの立板部124と、2つの立板部124のそれぞれの上端から内側に向かって突出する2つの係合板部125(レール側係合部)を備えている。
【0082】
この底板部123にもまた、上記した底板部23と同様に複数の固定用孔27が設けられている(図示を省略する)。
【0083】
係合板部125は、平面視した形状が略長方形状となる平板状の部分であり、いずれもレール本体120の短手方向における外側から中心側へ向かう方向に突出している。すなわち、2つの係合板部125は、互いに近づく方向へ突出している。
この係合板部125にもまた、長手方向において端部よりやや中心よりとなる位置に、キャップ取付孔28が設けられている。
【0084】
端部被覆部材121は、略L字板状の部材であり、レール本体120の長手方向における端部上面を覆う天面部130と、レール本体120の長手方向における側端面を覆う立板部131を備えており、天面部130と立板部131が略垂直に交わるように連続している。
【0085】
天面部130には、天面部130を厚さ方向に貫通する取付用孔133が設けられている。より詳細には、天面部130の平面視で対向する2辺のうち、立板部131と連続しない2辺のそれぞれの近傍に1つずつ、合計2つの取付用孔133が設けられている。そして、この2つの取付用孔133が所定間隔を空けて並列した状態となっている。
【0086】
固定片105は、
図21で示されるように、平板状の底板部138と、底板部38の対向する2辺のうちの一方から上方(
図21では下方)に立ち上げられた高側壁部39と、対向する2辺のうちの一方から上方(
図21では下方)に立ち上げられた低側壁部40を備えた構造となっている。
【0087】
この底板部138の裏面側には、下方(
図21では上方)に突出する係合突起145(固定片側係合部)が設けられている。
【0088】
係合突起145は、略長方形平板状の取付板部150と、取付板部150の外側端部から下方(
図21では上方)に突出する立板部151と、立板部151の下端(
図21では上端)に連続する湾曲板部152とが一体となって形成されている。
【0089】
取付板部150は、係合突起145を底板部138の裏面に固定するための部分であり、その上面が底板部138の裏面と密着した状態となっている。そして、取付板部150と底板部138をそれぞれ貫通する締結要素を介して、取付板部150と底板部138が一体に固定されている。
【0090】
2つの立板部151は、低側壁部40と高側壁部39の並列方向で所定間隔を空けて並列しており、外力が加わらない自然状態において内側面同士が対向した状態となっている。この立板部151は、弾性変形が可能な部分となっている。
【0091】
湾曲板部152は、外側に膨らむように湾曲する板状の部分であり、断面形状が略半弧形となっている。2つの湾曲板部152もまた、外力が加わらない自然状態において、所定間隔を空けて並列した状態となっている。
【0092】
続いて、固定片105をレール部材104に係合させる際の動作について、
図22を参照しつつ詳細に説明する。
【0093】
まず、太陽電池モジュール1と一体に固定した固定片105(
図22では太陽電池モジュール1の図示を省略する)をレール部材104の上側に配し、2つの係合突起145が2つの係合板部125の間に形成される空間の上側に位置した状態とする(
図22(a)参照)。そして、固定片105を下方に移動させていく。
【0094】
そして、そのまま固定片105を下方に移動させることにより、2つの係合突起145のそれぞれの湾曲板部152が、2つの係合板部125の内側端部と接触した状態となる。この状態で固定片105を下方に押圧することにより、係合板部125から湾曲板部152の曲面を内側へと押圧する力が加わり、湾曲板部152から伝わる力によって立板部151が弾性変形する(
図22(b)参照)。すなわち、立板部151が内側へ向かって押されて弾性変形した状態となる。
【0095】
このことにより、2つの湾曲板部152が一時的に接近し、2つの係合板部125の間を通過可能な状態となる。そして、湾曲板部152が2つの係合板部125の間を通過し、係合板部125の上側から係合板部125の下側へと移動する。
【0096】
2つの湾曲板部152が底板部123、立板部124、係合板部125に囲まれた空間に配されると(
図22(c)参照)、湾曲板部152が他部材と接触しない状態となり、湾曲板部152に外力が加わらず、湾曲板部152から立板部151に伝わる力が解消される。このことにより、係合突起145が元の形状へと戻り、固定片105とレール部材104が係合した状態となる。この状態では、固定片105は、レール部材104の長手方向に沿うようにスライド移動が可能となっている。
【0097】
なお、固定片105とレール部材104が係合した状態では、2つの係合板部125の間に立板部151が位置しており、2つの係合板部125の下方に湾曲板部152が位置した状態となる。そして、一方の立板部151の外側面から他方の立板部151の外側面までの距離は、2つの係合板部125の間隔と略同一となっている。
また、固定片105とレール部材104が係合した状態では、固定片105に上方へ向かう力を加えても、その力が一定以下である場合には、係合板部125の下面に湾曲板部152が当接してその移動を妨げる。すなわち、一定以上の上方へ向かう力を加えて係合突起145を弾性変形させない限り、係合が解除されない構造となっている。このことにより、太陽電池モジュール1が風等に煽られても、固定片105がレール部材104から外れない構造となっている。
【0098】
上記した実施形態では、太陽電池モジュール1の短辺側部材12に固定板部15を形成する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、フレームの長辺側部材に固定板部を形成してもよい。すなわち、設置時の太陽電池モジュールのうちで最も低位置となる部分と最も高位置となる部分を、短辺側でなく長辺側としてもよい。
【0099】
上記した実施形態では、エンドキャップ21、端部被覆部材121を移動規制部材として採用し、これらを取り付けて移動規制部を形成する例を示したが、本発明の移動規制部材及び移動規制部は、これに限るものではない。例えば、頭部が大型のネジを移動規制部材としてレール本体20の上面に固定し、固定片5の一部をネジの頭部に当接させることで固定片5のスライド移動を規制してもよい。
また、レール本体20の一部を折り曲げ、折り返し等の方法で変形させて歪な形状とし、この変形部分を移動規制部としてもよい。すなわち、固定片5の一部を変形部分に当接させることで固定片5のスライド移動を規制してもよい。
【0100】
上記した実施形態では、建屋の屋根3を太陽電池モジュール1の取り付けの対象物としたが、本発明はこれに限らず、下端部分を地中に埋め込んだ支柱を取り付けの対象物としてもよい。すなわち、レール部材4,104は、屋根面3aに限らず、支柱上に固定してもよい。
【0101】
上記した実施形態では、太陽電池モジュール1の対向する短辺のうちの1方を第1モジュール固定部51の上に載置し、太陽電池モジュール1と固定片5を一体に固定して、太陽電池モジュール1を屋根面3aの後端側から取り付けていく例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、太陽電池モジュール1の対向する短辺のうちの他方を第2モジュール固定部56の上に載置し、太陽電池モジュール1と固定片5を一体に固定して、太陽電池モジュール1を屋根面3aの前端側から取り付けてもよい。なお、この場合、太陽電池モジュール1に固定する固定片5の姿勢は、上記した取付姿勢から平面視で180度回転した姿勢となる。
【0102】
さらに、レール本体の係合板部の所定の位置と、固定片の底板部の所定の位置に取付孔を形成し、スライド移動させる際にこれらの取付孔を重ね合わせ、スライド移動後に締結要素を挿通してもよい。すなわち、スライド移動後の固定片をレール本体に強固に固定する構造であってもよい。この構造では、取付作業が上記の実施形態と比べて煩雑化するものの、固定片がスライド移動可能であることから、従来の取付具で実施される位置合わせ作業よりも位置合わせ作業が容易に実施可能となる。