(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の態様に従った、例示的なデジタル−アナログ変換(DAC)システム100の概略図を示す。DACシステム100は、或る数のビットを有するデジタル入力をアナログ出力に変換するために用いられる。DACシステム100は、スタンドアロンモジュールとして又は他のモジュールと組み合わせて、集積回路によって実装され得る。DACシステム100は、電力効率及び空間効率が良いため、マルチチャネルDACシステムを実装するために繰り返し呼び出すことができる。一実装において、例えば、3×3のクワッドフラットノーリード(QFN)パッケージにおいてクワッド16ビットDACシステムを形成するために、集積回路が4つのDACシステム100を組み込み得る。
【0012】
DACシステム100の周辺には、高基準入力ポート101、低基準入力ポート102、デジタル入力ポート103、補助デジタル入力ポート104、及びDAC出力ポート105が含まれる。高基準入力ポート101は、V
REFH信号などの高基準信号を受信するように構成される。低基準入力ポート102は、V
REFL信号などの低基準信号を受信するように構成される。V
REFH信号とV
REFL信号との間の電位差は、DACシステム100の内部回路全体にわたって基準電圧(V
REF)を提供する。基準電圧(V
REF)は、DACシステム100が基準フレームワークに従ってアナログ出力を生成できるようにする。
【0013】
デジタル入力ポート103は、デジタル信号141を受信するように構成される。デジタル信号141は、Nバイナリビットの情報(すなわち、D[1:N])を含み得る。これらのNバイナリビットの中で、DACシステム100は、それらの一部を低位ビットとして、及び、残りの部分を高位ビットとして指定し得る。例えば、DACシステムは、n個の最下位ビット(LSB)(例えば、D[1:N])を低位ビットとして、及び、m個の最後の最上位ビット(MSB)(例えば、D[(N−m+1):N])を高位ビットとして指定し得、ここで、n及びmの数はどちらも正の整数である。m及びnの合計がNに等しい構成において、高位ビットの数(m)は、ビットの総数と低位ビットの数との間の差(すなわち、N−n)と表すことができる。したがって、高位ビットは、低位ビットとして含まれないすべてのバイナリビットを含む。その場合、低位ビットはデジタル信号141のうちの最初のnビット(すなわち、D[1:n])であり得、一方で、高位ビットはデジタル信号141の残りのビット(すなわち、D[(n+1):N])であり得る。
【0014】
補助デジタル入力ポート104は、補助デジタル入力信号161を受信するように構成される。補助デジタル入力信号161は、デジタル入力信号141を補足する働きをする。例えば、デジタル入力信号141がNビットの情報を含む場合、DACシステム100は、補助デジタル信号161のN
A補助ビット(例えば、A[0:1])を受け入れることによって、変換帯域幅を拡張し得る。したがって、DACシステム100は、総数N+N
Aビットの情報をアナログ信号に変換するように構成される。一実装において、DACシステム100は、補助ビットを、低位ビット(例えば、D[1:n])に追従する最下位ビットとして指定し得る。
【0015】
DACシステム100の内部回路は、レジスタストリング回路110及びレジスタラダー回路130を含むハイブリッドDACアーキテクチャを採用する。INL誤差を最小化するために、レジスタストリング回路110は低位ビット(例えば、D[1:n])を変換するように構成され、一方、レジスタラダー回路130は高位ビット(例えば、D[(n−1):N])を変換するように構成される。したがって、レジスタラダー回路130は高位ビットによって制御される。レジスタラダー回路130は一般に、ステムレジスタ131、ブランチレジスタ132、及びラダースイッチ回路134を含む。ステムレジスタ131はステム抵抗(R)を有し得、一方、ブランチレジスタ132は、ステム抵抗の値の2倍(2R)のブランチ抵抗を有し得る。この1対2の抵抗比により、レジスタラダー回路130はR2R(すなわち、ステムレジスタのR及びブランチレジスタの2R)ラダー構成を実装するものと理解される。ラダースイッチ回路134は、ブランチレジスタ132と結合され、高位ビット(例えば、D[(n+1):N])によって制御される。高位ビットの値に基づいて、ラダースイッチ回路134は、高基準電圧(例えば、V
REFH)又は接地基準電圧(例えば、V
REFL)のいずれかに、ブランチレジスタ132を選択的に接続する。
【0016】
2つ以上の高位ビットを変換するために、レジスタラダー回路130は、2つ以上のステムレジスタ131及び2つ以上のブランチレジスタ132を含む。また、ラダースイッチ回路134は複数のラダースイッチ134を含み、ラダースイッチ134の各々が、1つの対応するブランチレジスタ132を基準高電圧(V
REFH)又は基準接地電圧(V
REFL)のいずれかに接続するために、高位ビットのうちの1つによって制御される。一実装において、例えば、レジスタラダー回路134は、4つの高位ビットを変換するために4つのブランチレジスタ(例えば、132−a、132−b、132−c、及び132−d)を含み得る。ブランチレジスタ(例えば、132−b、132−c、及び132−d)の各々は、一方でステムレジスタ(例えば、131−b、131−c、及び131−d)に、及び他方でラダースイッチ(例えば、134−b、134−c、及び134−d)に対応する。最下位ブランチレジスタ132−aは、一方で2Rの抵抗を有する端子レジスタに、及び他方でラダースイッチ134−aに対応する。DACシステム100は、レジスタストリング回路110をレジスタラダー回路130の端子レジスタとして適合させる。
【0017】
第1のブランチレジスタ132−aは、第1のブランチノード135−aを介してレジスタストリング回路110に接続される。レジスタストリング回路110はレジスタラダー回路130のために接地経路を提供するので、及びレジスタストリング回路110の等価抵抗が約2Rであるので、レジスタストリング回路110はブランチレジスタ132−aへの端子レジスタとして働く。第1のブランチレジスタ132−aは、第4の高位ビット(例えば、D[N−3])によって制御される第1のラダースイッチ134−aにも接続される。第4の高位ビットがアクティブ段階にある(例えば、D[N−3]が高デジタル値を有する)場合、第1のラダースイッチ134−aは、第1のブランチレジスタ132−aを高基準電圧(例えば、V
REFH)に接続する。結果として、第1のブランチノード135−aの電圧は高基準電圧によって充電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は増大する。これに対して、第4の高位ビットが非アクティブ段階にある(例えば、D[N−3]が低デジタル値を有する)場合、第1のラダースイッチ134−aは、第1のブランチレジスタ132−aを接地基準電圧(例えば、V
REFL)に接続する。結果として、第1のブランチノード135−aの電圧は接地基準電圧によって放電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は減少する。一般に、第1のラダースイッチ134−aによって導入される電圧の変化は、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)に対し、重み付けされた影響を与える。この重み付けされた影響は、第4の高位ビット(例えば、D[N−3])の相対的なビット位置に基づく。例えば、N−3が13に等しいようにNが16である場合、第1のブランチレジスタ132−aに関連付けられた電圧変化の指数重みはおよそ2
(12−N)である。
【0018】
第2のブランチレジスタ132−bは、第2のブランチノード135−bを介して第2のステムレジスタ131−bに接続される。第2のステムレジスタ131−bは、第2のブランチノード135−bにおける電圧が第1のブランチノード135−aの電圧にアグリゲートされるように、第1のブランチノード135−aに接続される。第2のブランチレジスタ132−bは、第3の高位ビット(例えば、D[N−2])によって制御される第2のラダースイッチ134−bにも接続される。第3の高位ビットがアクティブ段階にある(例えば、D[N−2]が高デジタル値を有する)とき、第2のラダースイッチ134−bは第2のブランチレジスタ132−bを高基準電圧(例えば、V
REFH)に接続する。結果として、第2のブランチノード135−bの電圧は高基準電圧によって充電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は増大する。これに対して、第3の高位ビットが非アクティブ段階にある(例えば、D[N−2]が低デジタル値を有する)とき、第2のラダースイッチ134−bは第2のブランチレジスタ132−bを接地基準電圧(例えば、V
REFL)に接続する。結果として、第2のブランチノード135−bの電圧は接地基準電圧によって放電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は減少する。一般に、第2のラダースイッチ134−bによって導入される電圧の変化は、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)に対し、重み付けされた影響を与える。この重み付けされた影響は、第3の高位ビット(例えば、D[N−2])の相対的なビット位置に基づく。例えば、N−2が14に等しいようにNが16であるとき、第2のブランチレジスタ132−bに関連付けられた電圧変化の指数重みはおよそ2
(13−N)である。
【0019】
第3のブランチレジスタ132−cは、第3のブランチノード135−cを介して第3のステムレジスタ131−cに接続される。第3のステムレジスタ131−cは、第3のブランチノード135−cにおける電圧が第2のブランチノード135−bの電圧にアグリゲートするように、第2のブランチノード135−bに接続される。第3のブランチレジスタ132−cは、第2の高位ビット(例えば、D[N−1])によって制御される第3のラダースイッチ134−cにも接続される。第2の高位ビットがアクティブ段階にある(例えば、D[N−1]が高デジタル値を有する)とき、第3のラダースイッチ134−cは第3のブランチレジスタ132−cを高基準電圧(例えば、V
REFH)に接続する。結果として、第3のブランチノード135−cの電圧は高基準電圧によって充電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は増大する。これに対して、第2の高位ビットが非アクティブ段階にある(例えば、D[N−1]が低デジタル値を有する)とき、第3のラダースイッチ134−cは、第3のブランチレジスタ132−cを接地基準電圧(例えば、V
REFL)に接続する。結果として、第3のブランチノード135−cの電圧は接地基準電圧によって放電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は減少する。一般に、第3のラダースイッチ134−cによって導入される電圧の変化は、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)に対し、重み付けされた影響を与える。この重み付けされた影響は、第2の高位ビット(例えば、D[N−1])の相対的なビット位置に基づく。例えば、N−1が15に等しいようにNが16であるとき、第3のブランチレジスタ132−cに関連付けられた電圧変化の指数重みはおよそ2
(14−N)である。
【0020】
第4のブランチレジスタ132−dは、第4のブランチノード135−dを介して第4のステムレジスタ131−dに接続される。第4のステムレジスタ131−dは、第4のブランチノード135−dにおける電圧が第3のブランチノード135−cの電圧にアグリゲートするように、第3のブランチノード135−cに接続される。第4のブランチレジスタ132−dは、第1の高位ビット(例えば、D[N])によって制御される第4のラダースイッチ134−dにも接続される。第1の高位ビットがアクティブ段階にある(例えば、D[N]が高デジタル値を有する)とき、第4のラダースイッチ134−dは、第4のブランチレジスタ132−dを高基準電圧(例えば、V
REFH)に接続する。結果として、第4のブランチノード135−dの電圧は高基準電圧によって充電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は増大する。これに対して、第1の高位ビットが非アクティブ段階にある(例えば、D[N]が低デジタル値を有する)とき、第4のラダースイッチ134−dは、第4のブランチレジスタ132−dを接地基準電圧(例えば、V
REFL)に接続する。結果として、第4のブランチノード135−dの電圧は接地基準電圧によって放電され、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)は減少する。一般に、第4のラダースイッチ134−dによって導入される電圧の変化は、DAC出力のアグリゲートされた電圧(V
DAC)に対し、重み付けされた影響を与える。この重み付けされた影響は、第1の高位ビット(例えば、D[N])の相対的なビット位置に基づく。例えば、Nが16であるとき、第4のブランチレジスタ132−dに関連付けられた電圧変化の指数重みはおよそ2
(15−N)である。
【0021】
DACシステム100は、低位ビット(例えば、D[1:n])を復号するように、及びいくつかの選択信号143を生成するように構成されるデコーダ回路142を含む。各選択信号143は、低位ビットの特定のバイナリ組み合わせを表す。例えば、nが低位ビットの総数である場合、低位ビットは2
nの組み合わせを有し得、したがって低位ビットは2
nの選択信号143(例えば、BV[1:2
n])に復号することができる。より具体的に言えば、第1の選択信号BV[1]は、各ビットがゼロ値を有する低位ビットの第1のバイナリ組み合わせを表し得、n番目の選択信号BV[n]は、各ビットが非ゼロ値を有する低位ビットのn番目の組み合わせを表し得る。
【0022】
レジスタストリング回路110は、レジスタストリング回路110が選択信号143を受信するように構成されるように、デコーダ回路142に接続される。レジスタストリング回路110は、ストリング出力ノード116においてストリング出力電圧(V
STRING)を生成するため低位ビットの復号値によって制御される。ストリング出力電圧(V
STRING)は、レジスタラダー回路130によって受信され、また、低位ビットの特定のセットの指数重みに従って、DAC出力電圧(V
DAC)に対し、重み付けされた影響を与える。したがって、DACシステム100は、高位ビット(例えば、MSB)を変換するためにレジスタラダー回路(例えば、R2Rラダー)130が用いられ、低位ビット(例えば、LSB)を変換するためにレジスタストリング回路110が用いられる、ハイブリッドDACアーキテクチャを実装する。
【0023】
開示されるハイブリッドアーキテクチャは、スタンドアロンストリングDACにおけるノイズを抑制するのを助けるためにレジスタラダー回路130がより大きなビット重みを有するため、スタンドアロンストリングDACの積分非直線(INL)誤差を最小化する。また、開示されるハイブリッドアーキテクチャは、一般に、同数のビットを変換するために占有する空間が、スタンドアロンラダーDACよりもレジスタストリング回路110の方が少ないため、スタンドアロンラダーDACの全体的なレイアウトエリアを削減する。そのため、開示されるハイブリッドアーキテクチャは、スタンドアロンラダーDACの動作電流(すなわち、R2Rラダーを介するV
REFHからV
REFLへのIQ電流)を駆動する高位ビットへの依存(すなわち、コード依存性)が小さい。コード依存性の低減により、DACシステム100の全体的な精度及び信頼度が向上する。
【0024】
レジスタストリング回路110は、ストリング電流源120、一連のタップノード113、一連のストリングレジスタ114、ストリングスイッチ回路115、及びブリッジレジスタ117を含む。ストリング電流源120は、所定の抵抗によって分圧される基準電圧(V
REF)の比(すなわち、V
REF/R
PRED)に基づくストリング電流(I
STRING)を生成するように構成される。基準電圧(V
REF)は、高基準電圧(V
REFH)及び接地基準電圧(V
REFL)に対して定義され得る。例えば、一実装において、基準電圧(V
REF)は、高基準電圧(V
REFH)と接地基準電圧(V
REFL)との間の電位差であり得る。別の実装において、基準電圧(V
REF)は、例えば、接地基準電圧(V
REFL)が相対的に安定した接地電圧で維持されるとき、高基準電圧(V
REFH)と実質的に同じである。
【0025】
所定の抵抗(R
PRED)は、ブランチ抵抗(2R)及びストリングレジスタ114の構成の関数である。一般に、ストリング出力ノード116においてレジスタラダー回路130によって見られるようなレジスタストリング回路110の等価抵抗は、単一ブランチレジスタ(例えば、132−a、132−b、132−c、又は132−d)のブランチ抵抗(2R)に実質的に等しい。したがって、ストリング出力ノード116において見られるような、レジスタストリング114(すなわち、直列に接続されたストリングレジスタ114−b、114−c、114−x、114−y、及び114−z)及びブリッジレジスタ117の総抵抗は、ブランチ抵抗(2R)値に合致するように構成及び/又は較正される。この特定の構成はいくつかの手法で達成され得る。一実装において、例えば、ストリングレジスタ114及びブリッジレジスタ117の各々は、R×2
−(n−1)の単位抵抗を有し、ここで、nは低位ビットの総数を示す。この単位抵抗は、ブランチ抵抗(2R)の2
−nの比と見なすことができる。ストリングレジスタ114の総数は、低位ビット(例えば、D[1:n])の復号組み合わせ値(例えば、BV[1:2
n])の総数に基づくため、2
n−1のストリングレジスタ114が存在する。したがって、この構成において、総ストリング抵抗(R
STRING)は{2R−R×2
−(n−1)}に実質的に等しい。ブリッジレジスタ117のブリッジ抵抗(R
BRIDGE)もR×2
−(n−1)に設定されるため、レジスタストリング回路110の総抵抗(すなわち、ストリング抵抗(R
STRING)とブリッジ抵抗(R
BRIDGE)との合計)は、ブランチ抵抗(2R)に実質的に等しい。したがって、ストリング電流源120を構成するための所定の抵抗(R
PRED)は、ブランチ抵抗(2R)に、又は代替として、ストリング抵抗(R
STRING)とブリッジ抵抗(R
BRIDGE)との合計に、実質的に等しい。この構成において、ストリング電流(I
STRING)はV
REF/2Rでレギュレートされる。
【0026】
別の実装において、例えば、ストリングレジスタ114はブランチ抵抗(2R)より小さい動作ストリング抵抗(R
STRING_OP)を有し、ブリッジレジスタ117は、動作ストリング抵抗(R
STRING_OP)とブリッジ抵抗(R
BRIDGE)との合計が依然としてブランチ抵抗(2R)に相当するように、調整可能なブリッジ抵抗(R
BRIDGE)を有する。この実装は、ストリングレジスタ114がR×2
−(n−1)の単位抵抗より広い許容範囲を有し得るため、以前のものよりも多くの柔軟性をもたらす。したがって、動作ストリング抵抗(R
STRING_OP)は、それがブランチ抵抗(2R)より小さい限り特定の値に限定されない。この実装におけるストリングレジスタ114の総数は、低位ビット(例えば、D[1:n])の復号組み合わせ値(例えば、BV[1:2
n])の総数に基づくため、2
n−1のストリングレジスタ114が存在する。したがって、総ストリング抵抗(R
STRING)は、R
STRING_OP×(1−2
−n)に実質的に等しく、ブリッジ抵抗(R
BRIDGE)は、{2R−R
STRING_OP×(1−2
−n)}に実質的に等しい。したがって、ストリング電流源120を構成するための所定の抵抗(R
PRED)は、動作ストリング抵抗(R
STRING_OP)に実質的に等しい。この構成において、ストリング電流(I
STRING)は、V
REF/R
STRING_OPでレギュレートされる。
【0027】
ストリング電流源120は、ストリング電流(I
STRING)を搬送するためのストリング電流出力リード121を有する。ストリング電流出力リード121は、ストリングスイッチ回路115に接続される。選択信号143に基づき、ストリングスイッチ回路115は、ストリング電流(I
STRING)を、レジスタストリング114に沿って特定のタップノード113に選択的に搬送するように構成される。レジスタストリング114は、互いに直列に及びタップノード113間で接続される、複数のストリングレジスタ(例えば、114−b〜114−z)を含む。前述のように、ストリングレジスタ114の数は、デコーダ回路142によって復号される低位ビットの数に対応する。一般に、レジスタストリング114は2
n−1のストリングレジスタ114を含み、ここで、nは低位ビット数を示す正の整数である。ストリングレジスタ(例えば、114−b〜114−z)は、レジスタストリング114の端子タップノード113である、高ストリングノード113−z及び低ストリングノード113−aを横切って結合される。タップノード113の数も、デコーダ回路142によって復号される低位ビットの数に対応する。一般に、レジスタストリング114は2
nのタップノード113を含み、ここで、nは低位ビットの数を示す正の整数である。各タップノード113は、ストリングスイッチ回路115が、選択信号143に従ってストリング電流(I
STRING)を誘導するためにタップし得るストリングノードを表す。
【0028】
第1の選択信号BV[1]がアクティブ状態にあるとき、ストリング電流出力リード121をレジスタストリング114の第1のタップノード(すなわち、低ストリングノード)113−aに接続するために、ストリングスイッチ回路115の第1のストリングスイッチ115−aが閉じられる。第2の選択信号BV[2]がアクティブ状態にあるとき、ストリング電流出力リード121をレジスタストリング114の第2のタップノード113−bに接続するために、ストリングスイッチ回路115の第2のストリングスイッチ115−bが閉じられる。第3の選択信号BV[3]がアクティブ状態にあるとき、ストリング電流出力リード121をレジスタストリング114の第3のタップノード113−cに接続するために、ストリングスイッチ回路115の第3のストリングスイッチ115−cが閉じられる。同様に、第3の最後の選択信号BV[n−2]がアクティブ状態にあるとき、ストリング電流出力リード121をレジスタストリング114の第3の最後のタップノード113−xに接続するために、ストリングスイッチ回路115の第3の最後のストリングスイッチ115−xが閉じられる。
【0029】
選択されたタップノード113に誘導される際、ストリング電流(I
STRING)は、レジスタストリング114の選択されていないセグメントを介してレジスタラダー回路130に流れる高位電流(I
1)と、レジスタストリング114の選択されたセグメントを介して低基準入力ポート102に流れる低位電流(I
2)との、2つの電流に分岐する。レジスタストリング114の選択されたセグメントは、選択されたタップノード113より下のストリングレジスタを含み、レジスタストリング114の選択されていないセグメントは、選択されたタップノード113より上のストリングレジスタを含む。例えば、第2のタップノード113−bが選択されると想定すると、選択されたセグメントは第1のストリングレジスタ114−bを含み、選択されていないセグメントは、第2のストリングレジスタ114−c、第3の最後のストリングレジスタ114−x、第2の最後のストリングレジスタ114−y、最後のストリングレジスタ114−z、並びに、第2のストリングレジスタ114−cと第3の最後のストリングレジスタ114−xとの間の任意の他のストリングレジスタを含む。
【0030】
レジスタストリング回路110のスイッチされる電流源動作をさらに例示するため、
図2は、レジスタラダー回路130と関連した、レジスタストリング回路110の伝達関数モデル200の概略図を示す。伝達関数モデル200は、ストリング電流源120と、レジスタストリング114及びブリッジレジスタ117の選択されていないセグメントR1と、レジスタストリング114の選択されたセグメントR2と、等価ラダー抵抗(R
LADDER)とを含む。伝達関数モデル200は、ラダースイッチ回路134が1地点で全ゼロ構成を有すると想定する。この想定は、スイッチされる電流源動作(すなわち、スイッチ回路115と関連した電流源120の動作)の基本分析のための根拠を提供する。各ラダースイッチ134が各ブランチレジスタ132を接地基準電圧(V
REFL)に誘導するとき、レジスタラダー回路130の等価抵抗は、ステム抵抗に又はブランチ抵抗の半分(R)に等しい。
【0031】
選択されたタップノード113−kは、ストリングスイッチ回路115によってストリング電流源120と結合されるタップノード113を表す(
図1を参照)。選択されたタップノード113−kは、一方で、選択されたタップノード113−kと低ストリングノード113−aとの間の選択されるセグメントR2に、及び他方で、高ストリングノード113−zと選択されたストリングノード113−kとの間の選択されていないセグメントR1に、レジスタストリング114を分割する。したがって、選択されていないセグメントR1は、R×[2
n−k][2
−(n−1)]の等価抵抗を有し、選択されたセグメントR2は、R×k×[2
−(n−1)]の等価抵抗を有する。ノード電流の原理によれば、ストリング電流(I
STRING)は、高位電流I
1及び低位電流I
2の合計に等しい(すなわち、I
STRING=I
1+I
2)。
【0032】
また、選択されたタップノード113−kの電位は、高位電流I
1及び低位電流I
2が流れる並列抵抗の関数である。具体的に言えば、低位電流I
2は、選択されたセグメントR2を介して流れるように構成され、高位電流I
1は、選択されていないセグメントR1及びレジスタラダー回路(R
LADDER)を介して流れるように構成される。したがって、高位電流I
1は、下記の式(1.1)〜(1.6)で表すことができる。
【0039】
高位電流I
1及びレジスタラダー(R
LADDER)に基づき、ストリング出力ノード116は、下記の式(2.1)〜(2.4)によって表すことができるストリング電圧(V
STRING)を有する。
【0040】
V
STRING=I
1(R
LADDER) Eq.(2.1)
【0044】
したがって、ストリング電圧V
STRINGは、ストリング電流(I
STRING)と選択されたセグメントR2の等価抵抗との間の乗算積の関数である。3分の1の定数値は、全ゼロラダーDAC構成に基づき、高位ビットが変更されるとこの値も変更される。そのため、ストリング電圧(V
STRING)がDAC出力ノード105に伝達するとき、部分DAC電圧(V
DAC_STRING)は、ストリング電圧(V
STRING)の伝達関数として、式(3.1)〜(3.2)によって表すことができ、この式で、nはレジスタストリング回路110の分解能を示し、mはレジスタラダー回路130の分解能を示す。
【0047】
ラダー電圧(V
DAC_LADDER)の伝達関数は、下記の式(4)で表されるように、高位ビットの選択されたコードjに基づく。
【0049】
したがって、総DAC電圧(V
DAC)は、下記の式(5.1)及び(5.2)によって表すことができる。
【0052】
そのため、DAC出力電圧(V
DAC)は、基準電圧(V
REF)と、高位ビット及び低位ビットの総ビット数のバイナリ指数(すなわち、2
m+n)との関数である。したがって、DAC出力電圧(V
DAC)のバイナリ指数成分は、有利なことに、ストリング回路110のINR誤差及びラダー回路130のIQ電流依存性を低減することができる。下位ストリング回路110は上位ラダー回路130と直接的に組み合わされるので、DACシステム100全体は、ラダーDACとストリングDACとの間に如何なる追加のバッファ回路も必要としない。そのため、開示されるハイブリッドアーキテクチャは、有利なことに、従来のDACアーキテクチャよりも小さなレイアウトエリア及び少ない電力消費を達成し得る。
【0053】
また、ストリング回路110は低位ビット変換を提供するので、ラダー回路130は、スタンドアロンラダーDAC回路と比べてより少ない数のラダーブランチを有し得る。代替として、ストリングレジスタは、典型的に、ステム及びブランチレジスタよりずっと小さい(すなわち、n個の低位ビットについて2Rに対して、各高位ビットについて3R)。そのため、開示されるハイブリッドアーキテクチャは、有利なことに、従来のラダーDAC回路のレイアウトエリアを減少し得る。
図1は、レジスタストリング回路110のスイッチ電流源方式がレジスタラダー回路130に関連して用いられることを示しているが、開示されるレジスタストリング回路110は、他のタイプのDACアーキテクチャと共に、又は他のタイプのDACアーキテクチャにおいて、用いられてもよい。
【0054】
図1を再度参照すると、DACシステム100は、任意選択で、レジスタストリング回路110の低位ビット変換機能を拡張するためにDAC補助回路160を含み得る。DAC補助回路160は、補助デジタル信号161を受信するために補助デジタル入力ポート104と結合される。補助デジタル信号161は、各々、デジタル信号141の低位ビット(例えば、D[1:n])より低いビット重みを有する、1つ又は複数の補助ビット(例えば、A[0:1])を含み得る。DAC補助回路160は、補助ビットとレジスタストリング回路110との間のインターフェースとして働く。
【0055】
一般に、DAC補助回路160は、各補助ビットについて、1つの補助電流源(例えば、162及び/又は164)及び1つの補助スイッチ(例えば、166及び/又は168)のセットを含む。そのため、補助デジタル信号161を2つの補助ビットとインターフェースさせるために、DAC補助回路160は、補助電流源(すなわち、162及び/又は164)及び補助スイッチ(すなわち、166及び/又は168)の2つのセットを含む。
【0056】
第1の補助電流源162は、ストリング電流の第1のバイナリの比に基づいて第1の補助電流を生成するように構成される。第1のバイナリの比は、第1の補助ビット(例えば、A[0])と第1の補助電流源162が結合される特定のタップノード113とによって表される低位ビットの指数重みに対応する。第1の補助電流源162は、第1の補助電流を搬送するための第1の補助電流出力リード163を含む。第1の補助スイッチ166は、第1の補助電流出力リード163と、レジスタストリング114の特定のタップノード113との間に結合される。第1の補助スイッチ166は、第1の補助電流をストリングレジスタ114に選択的に搬送するために、第1の補助ビット(例えば、A[0])によって制御される。
【0057】
同様に、第2の補助電流源164は、ストリング電流の第2のバイナリの比に基づいて第2の補助電流を生成するように構成される。第2のバイナリの比は、第2の補助ビット(例えば、A[1])と第2の補助電流源164が結合される特定のタップノード113とによって表される低位ビットの指数重みに対応する。第2の補助電流源164は、第2の補助電流を搬送するための第2の補助電流出力リード165を含む。第2の補助スイッチ168は、第2の補助電流出力リード165と、レジスタストリング114の特定のタップノード113との間に結合される。第2の補助スイッチ168は、第2の補助電流をストリングレジスタ114に選択的に搬送するために、第2の補助ビット(例えば、A[1])によって制御される。
【0058】
一般に、特定の補助電流源のバイナリの比は2
−(A+T)として定義され得、ここで、Aは、最小の低位ビット(例えば、D[1])に対する補助ビットのビット位置を示し、Tは、第1のタップノード113−aの上に接続されるタップノード114を示す。そのため、補助電流(I
AUX)は、ストリング電流のスケーリングされた関数として表すことができる(すなわち、I
AUX=I
STRING×2
−(A+T))。例えば、第2の補助ビットA[1]は、第1のバイナリに対するパラメータAが1であるように、最小の低位ビット(例えば、D[1])より1ビット位置下位である。第2の補助電流源164が第1のタップポイント113−aに結合されると想定すると、第1のバイナリの比のパラメータTは0である。そのため、この特定の想定の下で、第2の補助ビットA[1]のバイナリの比は、2
−1又は1/2の比となる。したがって、第2の補助電流源164は、ストリング電流(I
STRING)の1/2に実質的に等しい第2の補助電流(I
AUX1)を生成するように構成される。
【0059】
同様に、第1の補助ビットA[0]は、第1のバイナリに対するパラメータAが2であるように、最小の低位ビット(例えば、D[1])より2ビット位置下位である。第1の補助電流源162がこの場合も第1のタップポイント113−aに結合されると想定すると、第1のバイナリの比のパラメータTはここでも0である。そのため、この特定の想定の下で、第1の補助ビットA[0]のバイナリの比は、2
−2又は1/4の比となる。したがって、第1の補助電流源162は、ストリング電流(I
STRING)の1/2に実質的に等しい第1の補助電流(I
AUX0)を生成するように構成される。
【0060】
補助電流(例えば、第1の補助電流I
AUX1)は、第1のタップノード113−aに搬送されるとき、2
m+n+1の有効重みを有し、ここで、mは高位ビットの数であり、nは低位ビットの数である。そのため、2のオーダーで減少するバイナリ係数を有する補助電流源を追加することによって、DAC補助回路160は、DACシステム100が変換し得る最下位ビットの数を効果的に拡張する。この特定の拡張方式は、レジスタストリング114に追加のストリングレジスタ(例えば、114−b)を追加する必要がないため、空間効率が良い。そのため、この拡張方式の下で、3つ以上の補助ビット、したがって、3つ以上の補助電流源をDACシステム100に追加することができる。
【0061】
DAC補助回路160の電力消費を減少させるため、それぞれの補助電流源をより高位のタップノード113に接続して、対応するバイナリ係数をさらに減少させることができる。例えば、第1及び第2の補助電流源162及び164が第2のタップノード113−bに結合される場合、それぞれのタップパラメータTは2
−1になり、第1の補助ビットA[0]のバイナリ係数を2
−3又は1/8の比まで減少させ、第2の補助ビットA[1]のバイナリ係数を2
−2又は1/4まで減少させる。したがって、第1の補助電流(I
AUX0)はストリング電流(I
STRING)の1/8まで減少可能であり、第2の補助電流(I
AUX1)はストリング電流(I
STRING)の1/4まで減少可能である。
【0062】
DACシステム100は、レジスタラダー回路130上でDNL誤差に遭遇する可能性を予想する。一般に、DNL誤差は、1つ又は複数の高位ビット(例えば、D[(n−1):N])に関連付けられる、ブランチ抵抗(2R)とステム抵抗(R)との間のミスマッチによって生じる。このミスマッチは、低分解能DACシステム(例えば、8ビットDAC回路)においては、高分解能DACシステム(例えば、16ビットDAC回路)におけるよりも著しくない。ラダーミスマッチを軽減するための手法の1つは、レジスタラダーにおけるレジスタを追加でトリミングすることによるものである。しかしながら、この手法は、追加のレイアウトエリアを必要するため、厳しい設計制約に鑑みて実行不可能となり得る。DACシステム100は、レジスタのトリミングの追加を必要とはしないが許可する、間接的な手法を採用する。
【0063】
具体的に言えば、DACシステム100は、較正制御回路144、トリム制御回路146、及びDACトリム回路150を含む、トリミングシステムを実装する。較正制御回路144は、DAC出力電圧(V
DAC)を検出するために、DAC出力ポート105に結合される。較正制御回路144は、デジタル入力ポート103からデジタル信号141を受信する。較正制御回路144は、較正デジタル値を取得するためにDAC出力電圧(V
DAC)を再構築(又は、その変換を逆転)し、それをデジタル信号141のデジタル値(例えば、D[1:N])と比較する。これらの2つの値の間でミスマッチが生じる事象において、較正制御回路144は、いずれの高位ビットがミスマッチに関連付けられるかを識別する。その結果、較正制御回路144は、識別された高位ビットに基づいて重みミスマッチ信号145を生成する。トリム制御回路146は、重みミスマッチ信号145を受信するために、較正制御回路144と結合される。重みミスマッチ信号145に基づき、トリム制御回路146は、識別された高位ビットの1つ又は複数のトリム係数を示すために1つ又は複数のトリム制御信号147を生成する。
【0064】
DACトリム回路150は、トリム制御信号147を受信するためにトリム制御回路146と結合される。DACトリム回路150は、ミスマッチした各高位ビットについて、1つのトリム電流源(例えば、152及び/又は154)及び1つのトリムスイッチ(例えば、156及び/又は158)の1セットを含む。そのため、2つのミスマッチした高位ビットとインターフェースするために、DACトリム回路150は、トリム電流源(すなわち、152及び/又は154)及びトリムスイッチ(すなわち、156及び/又は158)の2セットを含む。トリム電流源は、それぞれのトリム制御信号(例えば、C[n]、C[n−1]など)のトリム係数に従って、特定の高位ビットについてトリム電流(I
TRIM)を調整する。トリム電流(I
TRIM)は、検出されたミスマッチを補償するため、対応する高位ビットにビット重みを減少又は増大させ得る。事実上、トリム電流(I
TRIM)は、レジスタラダー回路130のインピーダンスを合致させるため、レジスタストリング回路110によって実装される、2R終端レッグの全体インピーダンスをトリミングするために用いられ得る。
【0065】
例えば、第1のトリム電流源152は、ストリング電流(I
STRING)のバイナリの比(すなわち、第1のトリム係数)に基づいて、第1のトリム電流(I
TRIM1)を生成するように構成される。このバイナリの比は、それぞれのトリム制御信号147(例えば、C[N])に基づき、そのため、N番目の高位ビットの指数重みミスマッチに対応する。第1のトリム電流源152は、第1のトリム電流(I
TRIM1)を搬送するために第1のトリム電流出力リード153を含む。第1のトリムスイッチ156は、第1のトリム電流出力リード153に結合され、対応するトリム制御信号147(例えば、C[N])に応答して、第1のトリム電流(I
TRIM1)をストリングレジスタ114に選択的に搬送するように構成される。搬送された第1のトリム電流(I
TRIM1)は、ストリングスイッチ回路115によって提供される同じ選択機構を通過し得る。したがって、第1のトリム電流(I
TRIM1)の搬送は、ストリング電流(I
STRING)を補足し、N番目の高位ビットの指数重みミスマッチに基づく。
【0066】
同様に、第2のトリム電流源154は、ストリング電流(I
STRING)のバイナリの比(すなわち、第2のトリム係数)に基づいて、第2のトリム電流(I
TRIM2)を生成するように構成される。このバイナリの比は、それぞれのトリム制御信号147(例えば、C[N−1])に基づき、そのため、N−1番目の高位ビットの指数重みミスマッチに対応する。第2のトリム電流源154は、第2のトリム電流(I
TRIM2)を搬送するために第2のトリム電流出力リード155を含む。第2のトリムスイッチ158は、第2のトリム電流出力リード155に結合され、対応するトリム制御信号147(例えば、C[N−1])に応答して、第2のトリム電流(I
TRIM2)をストリングレジスタ114に選択的に搬送するように構成される。搬送された第2のトリム電流(I
TRIM2)は、ストリングスイッチ回路115によって提供される同じ選択機構を通過し得る。したがって、(例えば、C[N−1]の)トリム電流(I
TRIM1)の搬送は、ストリング電流(I
STRING)を補足し、N−1番目の高位ビットの指数重みミスマッチに基づく。
【0067】
図3は、本開示の態様に従った、例示的な電流源300の概略図を示す。電流源300は、
図1及び
図2で図示及び説明したようなストリング電流源120の例示的実装を提供するが、ストリング電流源120は、同様の構成を用いる他の電流源、又は他のタイプの電流源によって実装され得る。また、電流源300は、トリム電流源(例えば、152及び/又は154)及び補助電流源(例えば、162及び/又は164)を実装するように改変され得る。
【0068】
電流源300は、正の入力312及び負の入力314を伴う増幅器310を含む。正の入力312は、基準電圧(V
REF)の半分に実質的に等しい電圧を受信するように構成される。負の入力314は、ソースノード322と結合されている場合に負のフィードバック経路を実装する。増幅器310は、正の入力312を負の入力314と比較するように構成される。この比較に基づき、増幅器310は、正の入力312と負の入力314との間の差を増幅する増幅出力316を生成するように構成される。正の入力312が負の入力314より大きい事象において、増幅器310は、増幅された出力316を増大させる。代替として、正の入力312が負の入力314より小さい事象において、増幅器310は、増幅された出力316を減少させる。事実上、増幅器310は、正の入力312と負の入力314との間で実質的に等しい電位を維持するように働く。
【0069】
電流源300はまた、増幅器310に結合されるゲート端子を備えるnチャネルトランジスタ323を含む。nチャネルトランジスタ323の導電性は、増幅された出力316によって部分的に制御される。増幅器310は、ソースノード322の電圧を、正の入力312の電圧に実質的に等しく維持するように働くので、nチャネルトランジスタ323は、基準電圧(V
REF)とソースレジスタ321の抵抗(2R)とに基づく基準電流(I
REF)を伝導するようにレギュレートされる。より具体的に言えば、基準電流(I
REF)の量は、基準電圧及び/又はソースレジスタ321を同調することによって事前設定又は調整することができる。
図3の構成において、基準電流(I
REF)は、式(6)によって表すことができる。
【0071】
電流ミラーリングの機能を達成するため、電流源300は、基準回路330及びミラー回路340を含む。基準回路330は、第1の負荷レジスタ324を介して電圧サプライ(例えば、VDD又はVCC)と結合される。基準回路330は、第1の基準pチャネルトランジスタ331、第2の基準pチャネルトランジスタ332、及び第3の基準pチャネルトランジスタ313を含み、その各々が1×のトランジスタサイズを有する。ミラー回路340は、第2の負荷レジスタ325を介して電圧サプライ(例えば、VDD又はVCC)と結合される。ミラー回路340は、第1のミラーpチャネルトランジスタ341、第2のミラーpチャネルトランジスタ342、第3のミラーpチャネルトランジスタ343を含み、その各々が2×のトランジスタサイズを有する。
【0072】
第1の基準pチャネルトランジスタ331のゲート端子は、第1のミラーpチャネルトランジスタ341のゲート端子、及び第2の基準pチャネルトランジスタ332のソース端子と結合される。第2の基準pチャネルトランジスタ332のゲート端子は、第2のミラーpチャネルトランジスタ342のゲート端子と結合され、これら2つのゲート端子は共に、基準回路330及びミラー回路340をバイアスするためにバイアス電圧(V
BIAS)を受信する。第3の基準pチャネルトランジスタ333のゲート端子は、第3のミラーpチャネルトランジスタ343のゲート端子と結合される。第3の基準pチャネルトランジスタ333のゲート端子はまた、nチャネルトランジスタ323のドレインノードに接続される第3の基準pチャネルトランジスタ333のソース端子とダイオード接続される。結果として、基準回路330は、基準電流(I
REF)を伝導するようにバイアスされる。ミラー構成に起因して、ミラー回路340は、基準電流(I
REF)に比例するストリング電流(I
STRING)を伝導するように構成される。ミラー回路340のトランジスタのサイズは基準回路330のトランジスタの2倍であるため、ストリング電流(I
STRING)は基準電流(I
REF)の2倍である。そのため、ストリング電流(I
STRING)は、V
REF/2Rに実質的に等しい値でレギュレートされる。電流源300は、ストリング電流(I
STRING)を搬送するために出力リード302を含む。
【0073】
基準回路330とミラー回路340との間の相対的なトランジスタサイズは、電力消費要件及び/又は出力電流調整に応じて調整可能である。例えば、電流源300が、ストリング電流(I
STRING)のバイナリの比にある補助電流源(例えば、第2の補助電流源162)を実装するために用いられる構成において、ミラー回路340のトランジスタは、バイナリの比により(例えば、2のバイナリの比に従って、2×から1×へ)サイズダウンされ得る。また、ソースレジスタ321は、
図1において図示及び説明されたように、レジスタストリング回路110の構成に従って調整され得る。例えば、ソースレジスタ321の抵抗は、ストリングレジスタ114の各々が、R×2
−(n−1)の単位抵抗から逸脱する抵抗を有するとき、総ストリング抵抗(R
STRING)に変更され得る。
【0074】
本開示は、ハイブリッドDACアーキテクチャのいくつかの実装を提供する。これらの実装により、R2Rラダーのサイズを減少すること、及びレジスタストリングの出力段階を簡略化することによって、DAC回路が占有するレイアウトエリアを小さくすることが可能である。また、任意選択のトリム機能及び補助変換機能が、ハイブリッドDACアーキテクチャに追加の信頼性及び多機能性を提供する。そのため、集積回路が、開示されるハイブリッドDACアーキテクチャを用いることによって複数のDACチャネルを実装し得る。例えば、集積回路が、4つのDACチャネルを実装するために4つのDAC回路(例えば、DACシステム100)を含み得る。
【0075】
本明細書で説明する機能動作を含む開示される主題は、1つ又は複数のデータ処理装置に、本明細書において説明する方法及び/又は動作を実施させるように動作可能なプログラム(例えば、メモリデバイス、ストレージデバイス、機械可読ストレージ基板、又は他の物理的な機械可読媒体、或いはそれらの1つ又は複数の組み合わせであり得る、コンピュータ可読媒体において符号化されたプログラムなど)を潜在的に含む、本明細書で開示する構造的手段及びそれらの構造的等価物など、電子回路要素、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実装され得る。
【0076】
本開示に一貫して、「に実質的に等しい」及び「実質的に等しい」という用語は、集積回路の特徴に適用される場合、集積回路を形成するために用いられる製造許容範囲内で等しいことを意味するものと理解される。より具体的に言えば、「に実質的に等しい」及び「実質的に等しい」という用語は、2つのオブジェクト間の量的関係を説明することを意図している。この量的関係は、設計によって2つのオブジェクトが等しくなることを望み得るが、製造プロセスによって或る量の変動がもたらされ得ることが予期される。一態様において、第1のレジスタが、第2のレジスタの第2の抵抗に実質的に等しい第1の抵抗を有し得、第1及び第2のレジスタは同じ抵抗を有することが意図されるが、製作プロセスは、第1の抵抗と第2の抵抗との間にわずかな変動をもたらす。そのため、製造された第1及び第2のレジスタが抵抗のわずかな差を示す場合であっても、第1の抵抗は第2の抵抗に実質的に等しくされ得る。このわずかな差は、設計目標の5%以内とし得る。別の態様において、第1のレジスタが、第2のレジスタの第2の抵抗に実質的に等しい第1の抵抗を有し得、プロセスの変動は先験的に既知とされ、それにより、第1の抵抗及び第2の抵抗が、既知のプロセスの変動を補償するためにわずかに異なる値に事前設定され得るようにされる。そのため、第1及び第2の抵抗の設計値が、既知のプロセスの変動を補償するためにわずかな差を含むように事前設定される場合であっても、第1の抵抗は第2の抵抗に実質的に等しくされ得る。このわずかな差は、設計目標の5%以内とし得る。
【0077】
プログラム(コンピュータプログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとも呼ばれる)が、コンパイル又は解釈された言語、或いは宣言型又は手続き型言語を含む、プログラミング言語の任意の形態で記載され得、スタンドアロンプログラムとして、或いは、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境において用いるために適切な他のユニットとして含む、任意の形態で展開され得る。プログラムは必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対応しない。或るプログラムが、他のプログラム又はデータ(例えば、マークアップ言語文書にストアされた1つ又は複数のスクリプト)を保持するファイルの一部に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は、複数の連携ファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部をストアするファイル)にストアされ得る。プログラムは、1台のコンピュータ上で、或いは、1つのサイトに配置されるか、又は複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続される複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0078】
特許請求の範囲内で、説明した実施形態における改変が可能であり、他の実施形態が可能である。