(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のイオン種が、前記パターニングフィーチャーの内側部分内の第2の密度よりも大きい第1の密度を有する前記パターニングフィーチャーの外側部分内に緻密層を生成するように構成される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に記載される実施形態は、イオン、電子、及び真空紫外線を含むエネルギー種の多重露光を用いたフォトレジストフィーチャーなどのパターニングフィーチャーを加工する技術を提供する。本明細書で使用される用語「パターニングフィーチャー」は、フォトレジスト;反射防止コーティング(ARC)、底面反射防止コーティング(BARC)を含むパターン化された下層;又は、パターンを基板内に転写するために使用される他のフィーチャー;といったフィーチャーを指す。様々な実施形態により、フォトレジストを加工するために使用される公知の技術に対する様々な利点が提供される。フォトレジストフィーチャーを処理するためにイオン注入が用いられると、例えば、ラインエッジラフネス(LER)又はライン幅ラフネス(LWR)の改善が見られた。LER及びLWRは、例えば、平面視でのフォトレジストフィーチャーの長さに沿ってなど、フォトレジストラインのエッジに沿った、又は、フォトレジストフィーチャーのライン幅における変動を指す。欠点として、イオンの注入は、フォトレジストフィーチャーの断面プロファイルなどのフォトレジストプロファイルを劣化させる傾向があることがある。これは、上記フォトレジストフィーチャーがその後エッチングマスクとして使用される際に、劣化したエッチング性能をもたらし得、また、LER又はLWR(本明細書ではまとめて「LER/LWR」という。)の改善を制限し得る。
【0009】
本実施形態は、露光が、例えば、イオンの注入又は高エネルギー電磁放射線への露光を構成し得るところ、多重露光(複数回の露光)をフォトレジストフィーチャーに向けることによってフォトレジストプロファイルを適合させる能力を含む利点を提供する。上記多重露光は、改善したフォトレジストプロファイル(端部断面)をもたらし得、加えてラインエッジラフネスを改善し得る。多重露光を提供することにより、低周波領域においてLER/LWRを改善することを含め、フォトレジストフィーチャーにおけるLER/LWRを30%超改善し得る。ここで、「低周波領域」とは、フォトレジストラインに沿った比較的より長いスケールでの変動を指す。本実施形態はまた、フォトレジストの公知のリソグラフィー後処理に対する改善されたフォトレジストプロファイルのみならず、フォトレジストフィーチャーの下に配置された下地層に対する改善されたエッチング選択性も提供し得る。
【0010】
本実施形態は、100nm以下の「臨界寸法」(CD)を有するフォトレジストフィーチャーを処理するのに、特に有利であり得る。ここで、「CD」は最小フィーチャーサイズを指す。このようなフォトレジストフィーチャーでは、LWR及びLERは、フォトレジストフィーチャーが決まった位置にあるときに基板をエッチングした後の、上記基板中のフィーチャー内のCDにおける大きくて望ましくない変動の原因となり得る。既述したように、公知のイオン注入はLER/LWRを改善し得るが、貫通したフォトレジストの端部断面プロファイルは劣化し得、フォトレジストフィーチャーにとって望ましくないプロファイルを生成するかも知れない。このことは、以下で更に議論されるように、理想よりも低いエッチング挙動をもたらす可能性がある。
【0011】
様々な実施形態では、フォトレジストフィーチャーが、第1の露光で当該フォトレジストフィーチャーを第1の深さまで貫通する第1の種によって加工され、且つ、上記第1の深さよりも小さい(浅い)注入深さまで注入される第2の種によって加工される場面において、多重露光加工が使用され得る。様々な実施形態において、上記第1の種は、第1の注入深さ又は深型注入深さまで注入する第1のイオンとして提供され得、そして、上記第2の種は、上記第1の注入深さよりも小さい(浅い)第2の注入深さ又は浅型注入深さまで注入する第2のイオンとして提供され得る。本明細書で使用されるように、用語「注入深さ」は、注入された種の濃度のピークが生じる箇所での、フォトレジストフィーチャーなどのフィーチャーの表面に対する深さのことを指し得る。有利なことに、上記第1の種が第1のイオンを含む実施形態では、第1の注入深さが75%超から100%といった上記フォトレジストフィーチャーの高さの大部分に相当する箇所において、当該第1のイオンが注入され得る。上記実施形態はこの状況に制限されない。本明細書で使用されている用語「注入深さ」は、当該技術分野で知られているように、フォトレジスト内のイオンの範囲Rpのことを指し得る。
【0012】
別の実施形態では、上記第1の注入深さは、第1のイオンの少なくとも一部が上記フォトレジストフィーチャーに隣接して配置された下層に注入されて、エッチング性能が改善されるように、上記フォトレジストフィーチャーの高さ超の深さまで拡大してもよい。上記第2の露光では、上記フォトレジストフィーチャーの高さの50%未満といった上記フォトレジストフィーチャーの高さよりも小さい(浅い)第2の注入深さにて、第2のイオンが提供され得る。上記実施形態はこの状況に制限されない。
【0013】
特定の実施形態では、フォトレジストフィーチャーに向けられる第1のイオンは、水素イオン、ヘリウムイオン、炭素イオン、ホウ素イオン、又は窒素イオンなどの低質量イオンから選択してもよい。上記実施形態はこの文脈に制限されない。上記第1のイオンのイオンエネルギー及びイオン線量は、上記フォトレジストフィーチャーの全部又は一部を変更するように選択してもよい。この変更は、上記フォトレジストフィーチャー内で鎖切断を生じること、上記フォトレジストフィーチャー中で架橋を生じること、上記フォトレジストフィーチャーから水素原子を取り除くこと、上記フォトレジストフィーチャーの密度を変えること、或いは、他の化学的及び/又は物理的効果を含んでもよい。
【0014】
特定の実施形態では、第2の露光で提供される上記第2のイオンは、上記第1のイオンよりも高い質量を有していてもよい。例示的な第2のイオンとしては、アルゴンなどの不活性ガスイオン
、シリコンイオン
、シリコン含有イオン
又は炭素が挙げられる。第2のイオンの他の例としては、クリプトンイオン、キセノンイオン、又はゲルマニウムイオンが挙げられる。上記実施形態はこの文脈に制限されない。例えば、一実施形態では、炭素が20keVのエネルギーにて注入される第1のイオンとして使用され得ると共に、炭素が1keVにて注入される第2のイオンとしても使用される。
【0015】
別の実施形態では、第1の露光の上記第1の種は、真空紫外(VUV)線を構成してもよい。ここで、当該VUV線の波長は200nm未満である。当該VUV線は、75%〜100%といった上記フォトレジストフィーチャーの高さの大部分に相当する深さまで貫通するように構成されてもよい。例えば、193nmフォトレジストでは、VUVフォトンはフォトレジストフィーチャー中を約100nm貫通することがある。それゆえ、VUVフォトンは、50nmの高さを有するフォトレジストフィーチャーを完全に貫通することがある。上記実施形態はこの状況に制限されない。VUVフォトンへの露光は、露光されたフォトレジストフィーチャーにおいて、イオンへの露光により生じた効果と類似する効果を生じることがある。
【0016】
別の実施形態では、第1の露光の上記第1の種は、例えば、イオン注入源としてこれもまた使用されるプラズマによって生成された電子を構成してもよい。電子線は、上記VUVと類似する効果のため、75%〜100%といった上記フォトレジストフィーチャーの高さの大部分に相当する深さまで貫通するように構成されてもよい。上記電子はまた、低質量イオンなどのより深く貫通した種を補完するために、10%〜30%といった上記フォトレジストフィーチャーの高さのたったわずかな部分を貫通するように構成されてもよい。
【0017】
様々な実施形態において、上記第1の露光は、イオン、VUV、及び電子を含む上述した種のいずれかの組み合わせであってもよい。
【0018】
有利なことに、本開示内容の様々な実施形態に従えば、第1の種が上記フォトレジスト層を第1の深さまで貫通する上記第1の露光を、上記第1の深さよりも小さい注入深さまでイオンが注入される第2の露光より前に提供してもよい。上記第1の露光は、上記フォトレジストフィーチャー及び他の下地層を均質化し得、さもなければ上記レジストプロファイル及びエッチング特性に不必要な影響を及ぼす化学的及び機械的な勾配を除去又は低減し得る。上記第1の露光はまた、上記フォトレジストフィーチャーの上記バルク又は内部部分と上記シェル又は外部部分との間に密度勾配を生成することにより、フォトレジストフィーチャーの異なる部分における機械的特性の差異を小さく抑え得る。第2の露光でのイオン注入は、上記第1の深さと比べて比較的浅い注入深さで行ってもよい。それゆえ、上記第2の露光は、上記フォトレジストフィーチャーの内側部分を囲む高密度化されたシェルの形成を引き起こすことがある。上記第2の露光より前に第1の露光を提供し、従って上記フォトレジストの外側部分と内側部分との間の機械的特性の差異を低減することにより、表面張力が低下し得、さもなければ表面張力によって引き起こされる上記フォトレジストフィーチャーの不必要な変形をも低減し得る。
【0019】
加えて、上記第1の露光は、上記フォトレジストフィーチャーのポリマー再構成及びリフローを促進し得、LER/LWRを低減し得る。
【0020】
様々な追加の実施形態では、以下で議論されるように、第1の露光及び第2の露光を同時に行ってもよい。
【0021】
ここで
図1A〜1Dに目を向けると、本開示内容の様々な実施形態に従った、フォトレジストフィーチャーを加工する方法に伴う例示的な動作を図示している様々な例における、フォトレジストフィーチャーの断面図が示されている。
図1E及び
図1Fは、
図1A及び1Dにそれぞれ示される例における、上記フォトレジストフィーチャーの上面図を示す。
【0022】
図1Aでは、フォトレジストフィーチャー102が基板100上に配置されている。様々な実施形態において、基板100は、反射防止コーティング(ARC)、スピンオンカーボン(SOC)層、又は他の層などの中間層を含む多層(図示されず)を含み得る。フォトレジストフィーチャー102は、図示されたデカルト座標系のZ方向に沿った高さH、並びに、Y方向に沿った幅W、及びX方向に沿った長さLによって特徴づけられ得る(
図1Eを参照)。フォトレジストフィーチャー102はまた、
図1Eによって示唆されるように、フォトレジストフィーチャー102の長さLに沿った様々なポイントにおける幅Wの変動により値が測定される、LER又はLWRによっても特徴づけられ得る。いくつかの実施形態では、幅WはCDに対応してもよく、100nm以下であり得る。様々な実施形態において、フォトレジストフィーチャー102は、X−Y平面において数百ミリメートルのオーダーの寸法を有するシリコンウェハー又は他の基板上に配置されたフィーチャーのパターンの一部を形成し得る。従って、フォトレジストフィーチャー102には、何百万又は何十億もの他の類似のフィーチャーのような、基板100上に配置された他の多くの類似のフィーチャーの特徴があり得る。基板100をエッチングすることでフィーチャーのターゲット形状及びサイズを基板100に転写するためには、エッチング前の許容可能な側壁プロファイルを維持しつつ、フォトレジストフィーチャー102のLWRを改善することが有用であるかも知れない。
【0023】
図1Bは、第1の種106がフォトレジストフィーチャー102へと向けられている本実施形態の方法に従った第1の露光を図示している。第1の種106は、いくつかの実施形態ではイオンを構成してもよく、或いは、他の実施形態ではVUV線又は電子を構成してもよい。第1の種106は、図示されているように、フォトレジストフィーチャー102内を深さD1まで貫通し得る。
図1Bの例では、深さD1は高さHよりも小さく示されている。或いは、他の実施形態では、深さD1は、高さHを超えてもよく、又は、高さHと同じであってもよい。
図1Bに示される第1の露光は、上述で議論された通り、フォトレジストフィーチャー102を変える手法で行われてもよい。
【0024】
上述で記された通り、第1の露光は、フォトレジストフィーチャー102内部で鎖切断を生じ得、フォトレジストフィーチャー102内で架橋を生じ得、フォトレジストフィーチャー102の密度を変更し得、又は他の効果を生じ得る。第1の露光は、フォトレジストフィーチャー102を均一化し得、さもなければレジストプロファイル及びエッチング特性に影響するような、後に続く加工後における化学的及び機械的な勾配を取り除く。第1の露光はまた、フォトレジストフィーチャー102におけるLER/LWRを改善し得る。第1の種106がイオンを構成し、且つ深さD1がHを超える実施形態では、上記イオンはこのようにしてARC層などの下層(図示されず)内を貫通し得る。特定の実施形態では、このようなイオンは、1ダルトン(Da)〜12Daといった低質量を有し得る。下層内への貫通は、残留応力を緩和し得、従って、ラインウィグリング(ラインのゆらぎ)の現象を回避しながらパターンエッチング転写を促進する。
【0025】
イオンが第1の種106を構成する場合の様々な実施形態では、ビームラインイオン注入装置、プラズマドーピングツール(PLAD)、当該技術分野において知られているようなプラズマシース調整器(plasma sheath modifier)を備えたプラズマツール、又は、イオンを提供可能な他のツール内で、上記イオンをフォトレジストフィーチャー102に提供し得る。上記実施形態はこの文脈に制限されない。イオンとして提供されると、Z方向に沿った平行なイオンのビームとして、言い換えれば、基板100のX−Y平面と垂直な方向に沿って、第1の種106が方向づけられ得る。或いは、第1の種106はまた、上記X−Y平面と垂直な方向に対して0以外の角度を形成する方向に沿って、方向づけられ得る。別の実施形態では、第1の種106は、上記X−Y平面と垂直な方向に対して広範な角度にわたって提供され得る。第1の種106として使用される好適なイオンの例としては、H
+、H
2+、H
3+、He
+、及び炭素イオンが挙げられる。上記実施形態はこの文脈に制限されない。
【0026】
図1Cは、第2の種がイオン108として提供され且つフォトレジストフィーチャー102へと向けられている、本実施形態の方法に従った第2の露光を図示している。異なる実施形態では、上記第2の露光は、
図1Aに示された第1の露光に続いて行われてもよく、又は、当該第1の露光と同時に行われてもよい。
図1Cに図示された特定のシナリオでは、フォトレジストフィーチャー102は、上記第1の露光によって変えられたフォトレジストフィーチャー102の部分を表す、変更部分102Aを有するものとして示されている。フォトレジストフィーチャー102はまた、フォトレジストフィーチャー102の変えられなかった部分を表す、非変更部分102Bも示し得る。非変更部分102Bは、
図1Bで示唆されるように、第1の種106がHよりも小さい深さD1まで貫通する状況において、存在し得る。或いは、別の実施形態では、D1はHを超える又はHと同じであってもよく、その場合上記第1の露光後には非変更部分102Bが一つも存在しない。変更部分102Aでの変更は、架橋の変化、ポリマー鎖の切断、又はフォトレジストの組成の変化といった、化学的な変更を含んでもよい。変更部分102Aはまた、例えば、密度及び応力の変化により、物理的に変更されてもよい。第1の種106がイオンとして提供される場合のようないくつかの実施形態では、変更部分102Aは、イオン種、注入損傷、及び、Z方向に沿っているなどの位置の関数としての他の特徴における勾配に起因した特性の勾配を示してもよい。
【0027】
図1Cに示される第2の露光中において、イオン108は、D1よりも小さい注入深さD2(
図1Dを参照)を生じるイオンエネルギー及びイオン線量で提供される。いくつかの実施形態では、Hは20nmから150nmの範囲であってもよく、Wは10nmから100nmの範囲であってもよく、そしてD2は3nmから25nmの範囲であってもよい。上記実施形態はこの状況に制限されない。イオン108に対する好適な種としては、制限されることなく、不活性ガスイオン、シリコンイオン、炭素イオン、又はシリコン含有イオンが挙げられる。イオン108は、Z方向に沿った平行なイオンのビームとして、言い換えれば、基板100のX−Y平面と垂直な方向に沿って、方向づけられ得る。或いは、イオン108はまた、上記X−Y平面と垂直な方向に対して0以外の角度を形成する方向に沿って、方向づけられ得る。別の実施形態では、イオン108は、上記X−Y平面と垂直な方向に対して広範な角度にわたって提供され得る。
【0028】
図1Dは、一般的には
図1Cで図示される第2の露光の完了後における、フォトレジストフィーチャー102の結果として生じる構造を図示している。示されている通り、フォトレジストフィーチャー102は、少なくともZ方向に沿ったD2に対応する厚みを有する外側部分102Cを含む。外側部分102Cは、変更部分102A及び非変更部分102Bの残りの部分を表す内側部分102Dを囲む。
【0029】
第2の露光の結果、フォトレジストフィーチャー102の周りの外側部分102Cで示される高密度シェルが形成されるかもしれない。上記第2の露光で、上記第1の露光で使用されるものと比べて比較的重いイオンを使用することは、フォトレジストポリマー内でより損傷を引き起こす可能性があり、シェルとして形成し、且つ、フォトレジストフィーチャー102のバルク又は内側部分102Dよりも高密度で且つより架橋されている層の生成をもたらす(外側部分102Cとして
図1Dに示される)。より高い密度及びより増大した架橋は、このシェル内部で引張応力を生じることがある。いくつかの実施形態に従えば、イオン線量及びイオンエネルギー及びイオン種は、当初は
図1Bに示される第1の露光によって促進されたフォトレジストのリフローを更に促進する推進力として作用するために、外側部分102C内での引張応力を制御するように調整され得る。このことは、
図1Fで示唆されるように、フォトレジストフィーチャー102においてより滑らかなライン及びより低いLER/LWRを生じる結果となり得る。
【0030】
簡単な図解のために、この例では、フォトレジストフィーチャー102の上面上の外側部分102Cは、注入深さD2と同じ厚みを有するものとして表されている。本実施形態では、大いに変更されたシェルの実際の厚みは、当該シェルを作製するために使用されたイオンの注入深さとは、一般には、少なくとも僅かには異なるかも知れない。加えて、外側部分102Cの厚みは、フォトレジストフィーチャー102の上面に沿ってというよりは、側壁に沿って異なるかも知れない。このことは、例えば、イオン108の入射角に加え、フォトレジストフィーチャーの初期プロファイルによって制御されるかも知れない。
【0031】
一般的に
図1Cで示される第2の露光はまた、新たに形成されたパターンが第2のパターンを作製するために使用されるその後のリソグラフィー操作に耐えることができるように、リソ−フリーズ−リソ−エッチング(LFLE)マルチパターニングアプローチにおいて第1のパターンをフリーズする働きもし得る。加えて、上記第2の露光は、Si−ARCを含む底面反射防止コーティング(BARC)のような下層(図示されず)に対して、フォトレジストフィーチャー102のエッチング選択性を改善し得る。特定の実施形態では、イオン108はシリコンイオンを構成する。ここで、上記シリコンイオンは、フォトレジストフィーチャー102の耐エッチング性を改善するのに特に有用となり得る。この改善された耐エッチング性は、より小さな基板フィーチャーを生成するためにフォトレジストフィーチャーがより小さくなるにつれて高さHが減少するときに、ますます有用となり得る。
【0032】
多重露光方法の例示的な実施形態では、第1の露光は、水素又はヘリウムのイオンなどの比較的軽いイオンを含んでもよく、イオン線量は1×10
14/cm
2〜2×10
16/cm
2の範囲にわたって、より具体的には1×10
14/cm
2〜5×10
15/cm
2の範囲で、1keV〜20keVのイオンエネルギーで提供される。第2の露光は、
第2のイオン種に対する露光を含んでもよく、第2のイオン種は3ダルトンより大きい質量を含む。例えば、第2の露光は、アルゴンイオン又はシリコンイオンなどの比較的重いイオンを含んでもよく、イオン線量は1×10
15/cm
2〜3×10
16/cm
2の範囲にわたって、より具体的には5×10
15/cm
2〜3×10
16/cm
2の範囲で、0.5keV〜3keVのイオンエネルギーで提供される。
【0033】
図1Gは、本開示内容のもう一つの例示的な実施形態に従った、加工後のフォトレジストフィーチャー102の断面図を示している。この例では、フォトレジストフィーチャー102は、一般的には
図1A〜1Fに対して上述された通りに加工されてもよく、第1の種の深さD1をHよりも大きく保つ。このことは、下層120の変更部分122の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、下層120はARC層であってもよく、また、外側部分102Cの形成は、下層120に対するフォトレジストフィーチャー102のより高いエッチング選択性を与えることがある。
【実施例】
【0034】
続く図面では、本開示内容の実施形態に従った、フォトレジストフィーチャーの加工の実験例が示されている。
図2A〜2Bは、本開示内容の追加の実施形態に従った、フォトレジストフィーチャーを加工する方法による2つの異なる例における、例示的なフォトレジスト構造の断面顕微鏡写真を示している。
図2Cは、単独注入プロセスを使用した加工後におけるフォトレジスト構造の断面顕微鏡写真を示している。
図2Aでは、フォトレジストフィーチャー2
00は約70nmの幅W1を有する。当該レジストフィーチャーのプロファイルは、わずかにリエントラントしている(内側に凹んでいる)。
図2Bには、本開示内容の実施形態に従った多重露光
後でフォトレジストフィーチャー2
00を加工することを表すフォトレジストフィーチャー210が示されている。この例では、フォトレジストフィーチャー210に、ビームラインイオン注入装置内でH
+イオンの第1の露光を施し、また、それに続いてSiイオンの第2の露光を施した。明白なことに、ライン幅又は幅W2はW1よりも小さい。加えて、フォトレジストフィーチャー210のプロファイルは滑らかで凸状である。
図2Cには、水素イオンへの露光を省
くことを除いて、
図2Bと同じ処理の下でのシリコンイオンへの露光
後にフォトレジストフィーチャー2
00を加工することを表すフォトレジストフィーチャー220が示されている。この例では、フォトレジストフィーチャー220のプロファイルは、幅W3として示されているように、縮小された幅を示している。加えて、フォトレジストフィーチャー220は、「マッシュルーム」形状をもたらしてフォトレジストフィーチャー220に対する不良なエッチング特性を生じるネッキングによって特徴づけられる、リエントラント性(内側への凹み)プロファイルを示す。このように、フォトレジストフィーチャー210の幅は、フォトレジストフィーチャー210の上部からフォトレジストフィーチャー210の下部にわたって減少しないので、フォトレジストフィーチャー210の側壁プロファイルは、フォトレジストフィーチャー220の側壁プロファイルよりもリエントラント性が低い(内側への凹みが小さい)とみなされ得る。明白なことに、フォトレジストフィーチャー220の幅は、フォトレジストフィーチャー220の上部から下部にわたって減少している。
【0035】
図2Cの例では、フォトレジストフィーチャー220の結果として生じるプロファイルは、フォトレジストフィーチャー220の内側部分内のバルクレジストポリマーに対する、フォトレジストフィーチャー220の外側部分でのSi注入によって作製された緻密層の間の機械的特性の有意差によって引き起こされているかも知れない。このことは、上記緻密層内で引張応力を生じ得る。フォトレジストフィーチャー220は、表面張力の影響下における水滴の作用と類似した、表面エネルギーを最小に抑えるこの引張応力の影響下で変形する可能性がある。これは、
図2Cに示されるような問題のあるレジストプロファイルを生じる。フォトレジストフィーチャーの基部の近くに形成された「ネッキング」は、(i)表面張力を最小に抑えるためのフォトレジスト「小滴」の形成と、(ii)レジスト及び下層(この場合ではSi−ARC)の間の界面におけるフォトレジストフィーチャー220の挟み込みとの組み合わせの結果かもしれない。このようなプロファイルは、幅W3などのCDの変動に起因して、後続のエッチング性能に悪影響を与える可能性がある。ネッキングから生じる不安定性はまた、エッチング中でのラインの崩壊及びウィグリング(ゆらぎ)につながる可能性がある。
【0036】
更なる実施形態では、上記第1の露光と第2の露光との間の時間的関係が変化し得る。例えば、
図1A〜1Fについて上述で示したように、第1の露光は、レジストフィーチャー全体にイオンを注入してもよく、第2の露光は、当該レジストフィーチャーの外側領域にイオンを注入してもよい。いくつかの実施形態では、上記第1の露光は、上記第2の露光より前又は最中に行われてもよい。以下に詳述するように、これら2つの露光の順序が変わると、結果として生じるフォトレジストフィーチャーの構造が変化する。特に、もし、外側部分にイオンが注入される「第2の」露光が、上記レジストフィーチャー全体にイオンが注入される「第1の」露光より前に起こるならば、問題のあるフォトレジストプロファイルが作製される。
【0037】
図3A及び
図3Bは、加工フロー間で露光の順序を逆にしつつ2つの別個の露光に対して同一の加工条件を伴う加工フローを、フォトレジストフィーチャーに施す場合に、異なる結果を示すフォトレジストフィーチャーの顕微鏡写真を示している。
図3Aには、H
2ガス由来の水素イオンの第1の露光、及びそれに続くArイオンの第2の露光を受けた、フォトレジストフィーチャー300が示されている。
図3Bには、Arイオンの第1の露光、及びそれに続くH
2ガス由来の水素イオンの第2の露光を受けた、フォトレジストフィーチャー320が示されている。明白なことに、フォトレジストフィーチャー320はリエントラント性(内側が凹んだ)プロファイルを示す一方で、フォトレジストフィーチャー300は滑らかなプロファイルを示す。
【0038】
比較的軽いイオンの「第1の」露光が比較的重いイオンの「第2の」露光と同時に行われるプラズマツール内における包括的な露光の場合、他のテストデータが、
図3Aに示されるように、ネッキングを回避しながら同じレジストの平滑化が達成されることを確認した。このような包括的な露光は、異なるイオンへの2つの異なる同時露光を提供すると考えてもよく、例えば、水素及びアルゴンの種などの異なるイオン種を有するプラズマを提供することにより行ってもよい。注目すべきことに、レジストフィーチャーに提供されるイオンのイオンエネルギーは、水素イオン及びアルゴンイオンに対して同じでもよい。それゆえ、
図1D又は
図1Gに示された構造などのターゲットフォトレジスト構造を生成するために、アルゴンイオンと比較した水素イオンの相対的な流束に加え、正確なイオンエネルギーを制御してもよい。
【0039】
様々な実施形態では、過剰なスパッタリング及びエッチングを回避するために、第1の露光で提供する水素イオンなどのイオンの線量を制御してもよい。このことは、フリーラジカルもまたフォトレジストフィーチャー上に衝突し得るプラズマツールによって第1の露光を提供する際に、特に有用となるかも知れない。イオンエネルギー及び他の加工パラメータもまた、種の種類を第1の露光においてフォトレジストフィーチャーに提供される水素種
などに最適化するために、プラズマツール内で注意深く制御してもよい。例えば、プラズマを基礎とするツール内では、H
+イオンに加えて二量体(H
2+)及び三量体(H
3+)がよく生成されるので、ビームラインイオン注入装置を用いて行われた純粋なH
+注入と比較して、フォトレジストフィーチャー内部に異なるイオンプロファイルを作製する。様々な実施形態において、ガス流量及び高周波電力(RF power)といった注入パラメータの選択は、異なる水素イオンの比率を変えるように選んでもよい。例えば、二量体及び三量体は、それらの増加した質量が原因で、所定の注入エネルギーに対するH
+ほどは深くフォトレジストフィーチャー内に貫通しないので、H
+に対するH
2+及びH
3+の濃度を下げることは有用であり得る。従って、プラズマツール内においてH
2+及びH
3+を用いてフォトレジストフィーチャーを加工することにより与えられ得る深い注入と関連した恩恵は、より少ないかも知れず、従って、上記プラズマツール内での加工パラメータを適切に選択することにより、H
2+及びH
3+を用いたフォトレジストフィーチャーの加工を低減できるかも知れない。
【0040】
更には、第1の露光及び第2の露光で提供されるイオンエネルギー及びイオン線量は、ターゲットレジストプロファイル及び改善されたLER/LWRを作製することと、レジスト材料の過剰なスパッタリングを最小限に抑えることとの間のバランスを達成するように調整できるかも知れない。イオンのイオン角度を制御することもまた、フォトレジストフィーチャーの密な外側部分が形成される第2の露光中でも有用であり得る。例えば、フォトレジストフィーチャーの上面に加えて上記フォトレジストフィーチャーの側壁上にシェルを形成するためには、Z方向に対して0以外の入射角でイオンの少なくとも一部を提供することは有用であり得る(
図1A〜1Dを参照)。
【0041】
加えて、様々な実施形態によれば、フォトレジストフィーチャーに対して異なる露光中で向けられる重いイオンと軽いイオンとの間にバランスがもたらされる。多重露光のレシピを選択するための考慮事項の中でも、軽いイオンのイオン線量は、許容可能な均質化及びポリマーリフローを引き起こすのに十分な下限線量閾値と、当該上限線量閾値超では過剰な架橋が起こってフォトレジストを硬化してしまう上限線量閾値との間で最適化され得る。この硬化は、LERの低減を困難にし得、後続のエッチング中に側壁のストリエーション(条痕)を引き起こす可能性がある。イオン線量、イオンエネルギー及びイオンの選択はまた、過剰なレジスト損失を回避するように選んでもよい。シリコン又はアルゴンなどの比較的重いイオンの線量は、フォトレジストフィーチャーの緻密化/フリージング/硬化を引き起こすのに十分となるように選んでもよい。このような重いイオンは、高感度のフォトレジストに損傷を与える可能性があり、従って、イオン線量は、フォトレジストの損傷を低減するように制限してもよい。
【0042】
更には、スパッタリング及びフリーラジカルによる潜在的なエッチングは、プラズマツール内で行われるイオン注入加工の不可欠な部分であり得る。結果として、第1の露光及び第2の露光による加工後に、CD(W)の減少は避けられない場合がある。軽いイオン及び重いイオンの加工パラメータのバランスを取ることにより、様々な実施形態によれば、比較的少ないスパッタリング及び/又はエッチングによってCD損失を最小に抑えることでフォトレジストフィーチャーのリフローが促進され得る。実際に、制御可能なCD損失を生成すること(CDトリミング)は、CDトリミングがフォトリソグラフィーのみで生成されたフォトレジストフィーチャーよりも小さな基板内でエッチングされたフィーチャーを生成するメカニズムを提供するので、第1の露光及び第2の露光後に有用であり得る。
【0043】
追加の実施形態によれば、フォトレジストフィーチャーを支持している基板の基板温度は、フォトレジストフィーチャーの結果として生じる構造を改善するために、多重露光中で制御してもよい。いくつかの実施形態では、フォトレジストフィーチャーの過剰なフローを回避しつつLER/LWRの低減を促進するために、基板温度は25℃及び75℃の間の範囲であり得る。特定の実施形態では、55℃の基板温度が使用され得る。
【0044】
上述の例はフォトレジストフィーチャーを加工する実施形態に焦点を当てているが、別の実施形態では、フォトレジストフィーチャーの下に配置された下層などの他のパターニングフィーチャーを処理するために多重露光が行われることがある。例えば、パターンを基板層に転写して、シリコン又はポリシリコンなどの基板内に残すために、フォトレジスト、ARC層、カーボン層、ハードマスクなどを含むパターニング層として多層が使用されることがある。フォトレジストフィーチャーによって最初に画成されたパターンを、中間層、又は、例えばARC層などの、フォトレジスト層の下に配置された層に転写してもよい。一例では、少なくとも一つのフォトレジストフィーチャーを形成するためにフォトレジスト層をパターニングした後に、下にあるARC層を、上記フォトレジスト層が取り除かれた領域で露光する。上記ARC層はその後エッチングされて、上記フォトレジストフィーチャーのパターンを上記ARC層内に転写して、パターン化されたARCフィーチャー又は複数のフィーチャーを生じてもよい。
【0045】
追加の実施形態によれば、ARC層がパターン化されてARCフィーチャーを生じた後に、一般的には上述したように、第1の露光が上記ARCフィーチャー内を第1の深さまで貫通し、且つイオンの注入を用いた第2の露光がイオンを注入して上記第1の深さよりも浅い第2の深さまで注入するような、多重露光を行ってもよい。これは、フォトレジストフィーチャーについて上述した手法と類似の手法で、ARCフィーチャーの形状を改善するように機能し得る。例えば、いくつかのARC材料は、上述した多重露光処理を受けたときにラフネスを減少させるのに適したポリマー組成を有してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、ARCフィーチャーの多重露光処理を、フォトレジストフィーチャーが上記ARCフィーチャーの上に存在している間に行ってもよい。例えば、上記フォトレジストフィーチャーの大部分がエッチング中に取り除かれて、ARCフィーチャーを形成し、そして、イオン、又は電子若しくはVUV線の注入が上記ARCフィーチャー内を容易に貫通してもよい。
【0047】
追加の実施形態では、第1の多重露光処理を、フォトレジストフィーチャーを処理するために行ってもよく、また、第2の多重露光処理を、ARCフィーチャーなどの下層のフィーチャーを処理するために行ってもよい。或いは、更なる実施形態では、多重露光によってARCフィーチャーのみを処理してもよい。
【0048】
図4は、例示的な加工フロー400を示している。ブロック402では、第1の露光中に第1のイオンがパターニングフィーチャーに向けられる。上記第1のイオンは、いくつかの例における上記パターニングフィーチャーの高さと少なくとも同じ程度大きい第1の深さまで貫通するように構成されてもよい。第1の種は、いくつかの例において、水素、ヘリウム、又は炭素などの比較的軽いイオンを含んでいてもよい。ブロック404では、第2の露光中に第2のイオンが上記パターニングフィーチャーに向けられる。様々な実施形態において、上記第2の露光は、上記第1の露光の最中又は後に上記パターニングフィーチャーに対して向けられる比較的重いイオンを含む。上記第2の露光のイオンは、上記パターニングフィーチャー内を上記第1の深さよりも小さい第2の深さまで貫通するように構成されてもよく、上記パターニングフィーチャーの内側部分よりも比較的高密度な上記フォトレジストフィーチャーの外側部分を生成してもよい。
【0049】
図5は、例示的な加工フロー500を示している。ブロック502では、第1の露光中に第1の種が提供される。ここで、上記第1の種は、パターニングフィーチャーを第1の深さまで貫通するように構成され、且つ、前記パターニングフィーチャーを軟化させるように更に構成される。様々な実施形態において、上記第1の種は、イオン、真空紫外線、又は電子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、上記パターニングフィーチャーは、パターン化されたフォトレジストフィーチャーを含んでいてもよく、別の実施形態では、上記パターニングフィーチャーは、パターン化された反射防止コーティングフィーチャー又は他のパターン化されたフィーチャーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、上記第1の深さは、上記パターニングフィーチャー全体が上記第1の種によって貫通される位置を表すことがある。ブロック504では、第2の露光中に第2の種が上記パターニングフィーチャー内に注入される。ここで、上記第2の種は、上記第1の深さよりも小さい浅型注入深さを有するイオンを含む。上記第2の種は、上記パターニングフィーチャーの内側部分内の第2の密度よりも大きい第1の密度を有する上記パターニングフィーチャーの外側部分内に緻密層を生成するように構成されてもよい。
【0050】
要するに、本実施形態は、フォトレジストフィーチャーに対して多重露光を向けることにより、上記フォトレジストプロファイルを適合させる能力を含む利点を提供する。ここで、上記多重露光は、改善された断面フォトレジストプロファイル及び改善されたラインエッジラフネスをもたらし得る。本実施形態はまた、フォトレジストの公知のリソグラフィー後処理に対して改善されたフォトレジストプロファイルに加え、フォトレジストフィーチャーの下に配置された下地層に対する改善されたエッチング選択性を提供し得る。
【0051】
本実施形態は、本明細書に記載される特定の実施形態による範囲に制限されるものではない。実際、本明細書に記載されるものに加え、本開示内容の他の様々な実施形態及び変更は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかであろう。このように、このような他の実施形態及び変更は、本開示内容の範囲内に入ることが意図される。更には、本開示内容は、特定の目的のために、特定の環境における特定の実施の文脈で本明細書に記載されているが、当業者は、有用性がこれに限定されず、本開示内容がいくつもの目的のためにいくつもの環境において有益に実施され得るということを認識するであろう。このように、以下に規定される請求項は、本明細書に記載される通り、本開示内容の完全な広さ及び精神を考慮して解釈されるべきである。