特許第6725537号(P6725537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6725537-電線処理装置 図000002
  • 特許6725537-電線処理装置 図000003
  • 特許6725537-電線処理装置 図000004
  • 特許6725537-電線処理装置 図000005
  • 特許6725537-電線処理装置 図000006
  • 特許6725537-電線処理装置 図000007
  • 特許6725537-電線処理装置 図000008
  • 特許6725537-電線処理装置 図000009
  • 特許6725537-電線処理装置 図000010
  • 特許6725537-電線処理装置 図000011
  • 特許6725537-電線処理装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725537
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】電線処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/02 20060101AFI20200713BHJP
【FI】
   H01B13/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-560036(P2017-560036)
(86)(22)【出願日】2016年10月25日
(86)【国際出願番号】JP2016081612
(87)【国際公開番号】WO2017119175
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2019年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-1798(P2016-1798)
(32)【優先日】2016年1月7日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 住友電装株式会社四日市製作所において開催された集会(改善内容報告会、製品説明会)による公開(全4件)(1)平成27年11月24日(2)平成27年11月28日(3)平成27年12月18−23日(4)平成28年1月7−8日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 住友電装株式会社四日市製作所向け刊行物(製品説明資料「TRD301TW 改善内容ご報告」)による公開(全2件)(1)平成27年11月27日(2)平成27年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】藤田 征一郎
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−235908(JP,A)
【文献】 特開2001−35283(JP,A)
【文献】 特開2004−362881(JP,A)
【文献】 特開2005−149966(JP,A)
【文献】 特開2015−220070(JP,A)
【文献】 特開昭51−66491(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104795183(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部処理された複数本の電線の一端部を受け取り、前記複数本の電線を保持しながら当該電線の長さ方向と交差する方向に移動可能に構成された第1搬送クランプと、
前記複数本の電線の他端部を受け取り、前記複数本の電線を保持しながら当該電線の長さ方向と交差する方向に移動可能に構成された第2搬送クランプと、
前記第1搬送クランプから受け渡された前記複数本の電線の一端部を保持する第1把持クランプ部と、
前記第2搬送クランプから受け渡された前記複数本の電線の他端部を保持する第2把持クランプ部と、を備え、
前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部のうち少なくとも一方の把持クランプ部は、前記複数本の電線を撚り合わせるよう回転可能に構成されており、
前記第1搬送クランプおよび前記第2搬送クランプが前記複数本の電線の搬送を開始してから前記複数本の電線を前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部に受け渡すまでの前記複数本の電線の搬送経路に設けられ、前記複数本の電線の有無を検出する検出器と、をさらに備えた、電線処理装置。
【請求項2】
前記検出器は、前記複数本の電線の前記検出器に対する通過回数に基づいて前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項3】
前記検出器は、前記複数本の電線の前記検出器に対する通過時間に基づいて前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項4】
前記検出器は、前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部に受け渡された前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている、請求項1に記載の電線処理装置。
【請求項5】
前記検出器は非接触式センサである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電線処理装置。
【請求項6】
前記検出器により前記複数本の電線の少なくとも一つが検出されなかった場合に、前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部による撚り合わせ動作を中止させる制御部を備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電線処理装置。
【請求項7】
前記端部処理された前記電線は、それぞれ心線と前記心線の周囲を覆う被覆とを有し、
前記検出器により前記複数本の電線の少なくとも一つが検出されかつ少なくとも他の一つが検出されなかった場合に、検出された前記電線の前記被覆および前記心線を切断する切断機構を備えた、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電線処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端部の処理と、端部の処理が行われた複数本の電線を撚り合わせる処理とを実行する電線処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長尺の電線を切断し、切断された電線の端部の被覆を剥ぎ取る等の端部処理と、端部処理が行われた複数本の電線を撚り合わせる処理とを実行する電線処理装置が知られている。このような電線処理装置によれば、端部処理が施された複数本の電線が撚り合わされてなるツイスト電線を自動的かつ連続的に製造することができる。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、長尺の電線を切断することにより所定長さの第1電線を作製する切断刃と、第1電線の端部の被覆を剥ぎ取る剥ぎ取り刃と、長尺の電線を切断することにより所定長さの第2電線を作製する切断刃と、第2電線の端部の被覆を剥ぎ取る剥ぎ取り刃とを備えた電線端処理装置、および端部の被覆が剥ぎ取られた第1および第2電線を撚り合わせる電線ツイスト装置を備えた電線処理装置が記載されている。電線端処理装置により端部が処理された第1電線および第2電線は、移動可能に構成された搬送クランプに保持された状態で電線ツイスト装置に受け渡される。電線ツイスト装置は、第1電線および第2電線の両端を把持する一対の回転クランプを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−235908号公報
【特許文献2】特開平10−340644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、何らかの不具合に起因して搬送クランプにより電線ツイスト装置に受け渡される電線が正常に保持されていない場合に、そのまま撚り合わせ加工が行われると、不良加工電線が発生すると共に、正常加工本数として誤ったカウントが行われてしまう。更には、周辺部材に損傷を与える虞もある。このため、電線ツイスト装置の寿命が短くなったり、良品加工電線に上記不良加工電線が混在してしまう虞がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線を撚り合わせ処理する前に不良品であるかどうかを判別し、撚り合わせ処理を取り止めることができると共に、良品加工電線と不良品電線との仕分けが容易にでき、更には電線ツイスト装置を長寿命化することができる電線処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電線処理装置は、端部処理された複数本の電線の一端部を受け取り、前記複数本の電線を保持しながら当該電線の長さ方向と交差する方向に移動可能に構成された第1搬送クランプと、前記複数本の電線の他端部を受け取り、前記複数本の電線を保持しながら当該電線の長さ方向と交差する方向に移動可能に構成された第2搬送クランプと、前記第1搬送クランプから受け渡された前記複数本の電線の一端部を保持する第1把持クランプ部と、前記第2搬送クランプから受け渡された前記複数本の電線の他端部を保持する第2把持クランプ部と、を備えている。前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部のうち少なくとも一方の把持クランプ部は、前記複数本の電線を撚り合わせるよう回転可能に構成されている。前記電線処理装置は、前記第1搬送クランプおよび前記第2搬送クランプが前記複数本の電線の搬送を開始してから前記複数本の電線を前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部に受け渡すまでの前記複数本の電線の搬送経路に設けられ、前記複数本の電線の有無を検出する検出器と、をさらに備えている。
【0008】
本発明に係る電線処理装置によれば、第1搬送クランプおよび第2搬送クランプにより搬送される複数本の電線の搬送経路に、前記複数本の電線の有無を検出する検出器が設けられている。これにより、第1把持クランプ部および第2把持クランプ部に受け渡される電線の数に不足がないか否かを検出することができる。よって、電線を撚り合わせ処理する前に、撚り合わせ処理した後のものが不良品であるか否かの判別が可能となる。このことによって、良品加工電線と不良品電線との仕分けを容易に行うことができ、良品加工電線に不良品電線が混在する可能性を低減することができる。また、上記判別によって、撚り合わせ処理を取り止めることができる。これにより、把持クランプ部に必要以上に負荷がかかってしまうことを防ぐことができるので、電線ツイスト装置を長寿命化することができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記検出器は、前記複数本の電線の前記検出器に対する通過回数に基づいて前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている。
【0010】
複数本の電線は、それぞれ搬送中に検出器を横切る。上記態様によれば、検出器は、複数本の電線の当該検出器に対する通過回数に基づいて複数本の電線の有無を検出する。この場合、通過回数の合計が予め設定された通過回数未満であれば、正常に電線が搬送されていないと判別することができる。例えば、2本の電線を搬送する場合、通過回数の合計が2回未満であれば、電線が正常に搬送されていないと判別することができる。
【0011】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出器は、前記複数本の電線の前記検出器に対する通過時間に基づいて前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている。
【0012】
複数本の電線を搬送する際に、電線同士の間に間隔が空いておらず、複数本の電線が見かけ上一体となって搬送される場合がある。上記態様によれば、検出器は、複数本の電線の検出器に対する通過時間に基づいて複数本の電線の有無を検出する。そのため、電線同士の間に間隔が空いていないことによって上記通過回数に基づいて判別することが難しいときでも、複数本の電線の搬送状態を適切に把握することができる。具体的には、検出器が例えばフォトマイクロセンサ等の非接触式センサで構成されている場合には、互いに接触した状態の複数本の電線からの反射光を受ける時間は、互いに接触していない複数本の電線の何れか一つの電線からの反射光を受ける時間よりも長くなる。また、検出器が接触式センサで構成されている場合には、互いに接触した状態の複数本の電線に当該接触式センサが接触する時間は、互いに接触していない複数本の電線の何れか一つの電線に当該接触式センサが接触する時間よりも長くなる。このような原理を用いて複数本の電線の有無を検出することができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出器は、前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部に受け渡された前記複数本の電線の有無を検出するように構成されている。
【0014】
上記態様によれば、検出器は、搬送経路の最終位置において複数本の電線の有無を検出する。そのため、第1把持クランプ部および第2把持クランプ部に受け渡される電線の数に不足がないか否かを、より正確に検出することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出器は非接触式センサである。
【0016】
上記態様によれば、検出の際に、複数本の電線に損傷を与えることがない。
【0017】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記検出器により前記複数本の電線の少なくとも一つが検出されなかった場合に、前記第1把持クランプ部および前記第2把持クランプ部による撚り合わせ動作を中止させる制御部を備えている。
【0018】
上記態様によれば、撚り合わせ処理される前に、電線が正常に送られていないことを検出し、撚り合わせ不良の発生を未然に防止できる。これにより、異常として検出された電線の後処理が容易になる。更には、第1把持クランプ部および第2把持クランプ部に負荷がかかってしまうことを未然に防止することができる。
【0019】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記端部処理された前記電線は、それぞれ心線と前記心線の周囲を覆う被覆とを有し、前記検出器により前記複数本の電線の少なくとも一つが検出されかつ少なくとも他の一つが検出されなかった場合に、検出された前記電線の前記被覆および前記心線を切断する切断機構を備えている。
【0020】
上記態様によれば、撚り合わせの対象にならなかった電線を切断機構により切断し、排出された良品加工電線の中から当該電線を不良品として仕分け易くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電線を撚り合わせ処理する前に不良品であるかどうかを判別し、撚り合わせ処理を取り止めることができると共に、良品加工電線と不良品電線との仕分けが容易にでき、更には電線ツイスト装置を長寿命化することができる電線処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電線処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】保持クランプの構成を模式的に示す図である。
図3】整列クランプの構成を模式的に示す斜視図である。
図4】整列クランプの構成を模式的に示す正面図である。
図5】フロント搬送クランプの構成を模式的に示す図である。
図6】フロント搬送クランプにより搬送される第1電線および第2電線がセンサを横切る構成を模式的に示す図である。
図7】電線処理装置の制御系統を示すブロック図である。
図8】フロント把持クランプ部の構成を模式的に示す図であり、(a)はグリップアームを開いた状態、(b)はグリップアームを閉じた状態を表す。
図9】ツイスト電線を模式的に示す図である。
図10】(a)は切断機構の構成を示す図であり、(b)は切断機構のカッターが下降した状態を示す図であり、(c)は(a)の切断機構の部分拡大図である。
図11】(a),(b)はセンサによる第1電線および第2電線の検出の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る電線処理装置1の構成を示す平面図である。なお、以下の説明では特に断らない限り、図1の下、上、左、右のことをそれぞれ前、後、左、右と称する。そのため、図1の下側、上側は、それぞれ前側、後側となる。電線処理装置1は、2本の長尺の電線から、所定長さの2本の電線が撚り合わされてなるツイスト電線を自動的かつ連続的に製造する装置である。電線処理装置1は、電線の端部の処理を行う電線端処理装置2と、電線端処理装置2によって処理された2本の電線を撚り合わせる処理を行う電線ツイスト装置3とを備えている。
【0024】
電線端処理装置2は、第1電線C1および第2電線C2に対し、切断処理、剥ぎ取り処理、および端子圧着処理を実行する。電線端処理装置2は、長尺の第1電線C1を前方に供給する送給装置13を有する第1プレフィーダ11と、長尺の第2電線C2を前方に供給する送給装置23を有する第2プレフィーダ21とを備えている。電線端処理装置2は、第1電線C1を保持する第1フロントクランプ14と、第2電線C2を保持する第2フロントクランプ24とを備えている。第1フロントクランプ14および第2フロントクランプ24は前後に移動可能に構成されており、剥ぎ取り処理および端子圧着処理の際に前後に適宜移動する。第1フロントクランプ14および第2フロントクランプ24は、フロントクランプ支持具30に取り付けられている。電線端処理装置2は、フロントクランプ支持具30が係合したレール31と、フロントクランプ支持具30をレール31上で走行させるモータ等のアクチュエータ32とを備えている。レール31は左右方向に延びており、フロントクランプ支持具30は左方および右方に移動可能に構成されている。また、電線端処理装置2は、第1電線C1および第2電線C2を切断する切断刃33と、第1電線C1の被覆および第2電線C2の被覆を剥ぎ取るフロント剥ぎ取り刃34およびリア剥ぎ取り刃35とを備えている。切断刃33の後方には、第1フロントクランプ14に保持された第1電線C1または第2フロントクランプ24に保持された第2電線C2を前方または後方に送る送給装置5が設けられている。
【0025】
また、電線端処理装置2は、第1電線C1および第2電線C2の何れか一方を保持するリアクランプ36を備えている。リアクランプ36は前後に移動可能に構成されており、切断処理および剥ぎ取り処理の際に前後に適宜移動する。リアクランプ36はリアクランプ支持具37に取り付けられている。電線端処理装置2は、リアクランプ支持具37が係合したレール38と、リアクランプ支持具37をレール38上で走行させるモータ等のアクチュエータ39とを備えている。レール38は左右方向に延びており、リアクランプ支持具37は左方および右方に移動可能に構成されている。また、電線端処理装置2はフロント端子圧着ユニット40およびリア端子圧着ユニット41を備えている。第1フロントクランプ14に保持された第1電線C1に対し、フロント端子圧着ユニット40により端子Tが圧着される。また、第2フロントクランプ24に保持された第2電線C2に対し、フロント端子圧着ユニット40により端子Tが圧着される。
【0026】
図1に示すように、電線端処理装置2は、前述の切断処理等が行われた第1電線C1および第2電線C2を電線端処理装置2から排出する排出クランプ42を備えている。排出クランプ42はレール43に沿って移動可能に構成されている。また、電線処理装置1は、第1電線C1および第2電線C2を電線端処理装置2から電線ツイスト装置3に送る中間クランプ50を備えている。中間クランプ50はレール51に沿って移動可能に構成されている。
【0027】
電線ツイスト装置3は、第1電線C1と第2電線C2とを並べる処理と、第1電線C1および第2電線C2を撚り合わせる処理とを行う。電線ツイスト装置3は、第1電線C1および第2電線C2を同時に保持する保持クランプ60を備えている。保持クランプ60は、第1電線C1および第2電線C2の後端部を同時に保持可能に構成されている。図2に示すように、保持クランプ60は、クランプ本体63と、クランプ本体63にスライド可能に設けられた第1グリッププレート61と、クランプ本体63にスライド可能に設けられた第2グリッププレート62とを有している。クランプ本体63は、底壁63aと、底壁63aから上方に延びる第1側壁63b、第2側壁63c、および中間壁63dとを有している。
【0028】
第1グリッププレート61は、第1側壁63bにスライド自在に挿入された第1ロッド66に固定されている。第2グリッププレート62は、第2側壁63cにスライド自在に挿入された第2ロッド67に固定されている。第1グリッププレート61および第2グリッププレート62は、中間壁63dに対して接近および離反が可能なようにスライド可能に構成されている。保持クランプ60は、第1ロッド66に連結されたシリンダ64と、第2ロッド67に連結されたシリンダ65とを有している。第1グリッププレート61および第1ロッド66はシリンダ64に駆動されてスライドし、第2グリッププレート62および第2ロッド67はシリンダ65に駆動されてスライドする。第1グリッププレート61と中間壁63dとで第1電線C1を挟むことにより、第1電線C1が保持クランプ60に保持される。第2グリッププレート62と中間壁63dとで第2電線C2を挟むことにより、第2電線C2が保持クランプ60に保持される。クランプ本体63は上下に移動可能である。クランプ本体63はベース120に昇降自在に支持されている。ベース120には、クランプ本体63を昇降させるシリンダ121が設けられている。保持クランプ60は前後に移動可能に構成されている。保持クランプ60は、中間クランプ50から第1電線C1および第2電線C2を受け取った後、前方に移動する。
【0029】
電線ツイスト装置3は、保持クランプ60に端部を保持された第1電線C1および第2電線C2を平行に並べる整列クランプ70を備えている。整列クランプ70は、前後方向に延びるレール71に沿って前後に移動可能である。図3および図4に示すように、整列クランプ70は、レール71にスライド自在に支持されたスライダ72と、スライダ72に支持されたクランプ本体73と、クランプ本体73の後側に配置された傾斜台74とを備えている。傾斜台74は、後斜め下がりに傾斜した曲面からなる傾斜面74aを有している。クランプ本体73の上面73aの前端部には仕分け板75が固定されている。クランプ本体73の前面73bには、第1整列アーム76および第2整列アーム77が配置されている。第1整列アーム76および第2整列アーム77は回転軸78によりクランプ本体73に支持されており、回転軸78の周りに回転可能に構成されている。第1整列アーム76の先端部には第1整列ローラ76aが取り付けられ、第2整列アーム77の先端部には第2整列ローラ77aが取り付けられている。第1整列アーム76および第2整列アーム77が回転することにより、第1整列ローラ76aおよび第2整列ローラ77aは仕分け板75に近づく方向および遠ざかる方向に移動する。図4に示すように、クランプ本体73には、第1整列アーム76および第2整列アーム77に連結されたシリンダ79が設けられている。シリンダ79は、第1整列アーム76および第2整列アーム77を回転させる。スライダ72には、図示しない駆動機構を介してモータ69が連結されている。モータ69は、スライダ72をレール71に沿って駆動する。第1整列ローラ76aが仕分け板75に接近することにより、第1整列ローラ76aおよび仕分け板75が第1電線C1を挟み、第1電線C1を保持する。第2整列ローラ77aが仕分け板75に接近することにより、第2整列ローラ77aおよび仕分け板75が第2電線C2を挟み、第2電線C2を保持する。整列クランプ70は、レール71の後端部71a(図1参照)上に位置するときに第1電線C1および第2電線C2を保持し、第1電線C1および第2電線C2を保持したまま前方に移動する。これにより、第1電線C1および第2電線C2が平行に並べられる。
【0030】
図1に示すように、電線ツイスト装置3は、第1電線C1および第2電線C2の前端部を同時に保持可能なフロント搬送クランプ80Fと、第1電線C1および第2電線C2の後端部を同時に保持可能なリア搬送クランプ80Rとを備えている。フロント搬送クランプ80Fは左右方向に延びるレール81Fに係合し、左右に移動可能に構成されている。リア搬送クランプ80Rは左右方向に延びるレール81Rに係合し、左右に移動可能に構成されている。なお、フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rの詳細については後述する。
【0031】
ここで、電線処理装置1は、第1電線C1および第2電線C2の有無を検出するセンサ106を備えている。詳細は後述するが、第1電線C1および第2電線C2は、フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rによって、後述のフロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに搬送される。センサ106は、その第1電線C1および第2電線C2の搬送経路の途中に設けられている。センサ106は図示しない治具に固定されている。センサ106として、第1電線C1および第2電線C2に接触しない状態でこれらの電線C1,C2の有無を検出する非接触式センサや、第1電線C1および第2電線C2に接触することによりこれらの電線C1,C2の有無を検出する接触式センサを用いることができる。本実施形態では、センサ106として非接触式センサを用いる。具体的には、センサ106として、例えばフォトマイクロセンサ、光電センサ、レーザーセンサ、超音波センサ、撮像センサ、ラインセンサまたは近接センサ等を用いることができる。比較的経済的であって、設置スペースをあまり取らないという観点から、フォトマイクロセンサ(例えば反射型)を好適に用いることができる。センサ106としてフォトマイクロセンサを用いる場合、第1電線C1および第2電線C2に照射されて反射した光の量を検知することによって、第1電線C1および第2電線C2の有無を検出することができる。センサ106により第1電線C1に照射され反射された光をセンサ106が検知したときに当該センサ106の出力信号はオンとなる。一方、センサ106が反射光を検知しないときには当該センサ106の出力信号はオフとなる。例えば、何らかの不具合で第1電線C1のみ搬送されている場合には、センサ106によりオンの信号が出力される回数は1回となる。第1電線C1および第2電線C2の双方が適切に搬送されている場合には、センサ106によりオンの信号が出力される回数は2回となる。このように、第1電線C1および第2電線C2のセンサ106に対する通過回数に基づいて第1電線C1および第2電線C2の有無が検出される。第1電線C1および第2電線C2のセンサ106に対する通過とは、第1電線C1および第2電線C2がセンサ106の検出領域内を通過することを意味する。センサ106として例えばフォトマイクロセンサを採用する場合には、上記通過とは、当該フォトマイクロセンサから出射された光の範囲内を通過することを意味する。上記通過回数に基づいて第1電線C1および第2電線C2の有無を検出するためには、フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rにより、第1電線C1と第2電線C2とが互いに間隔を空けた状態で搬送されればよい。なお、センサ106としてフォトマイクロセンサを用いることに限定されるわけではない。
【0032】
図1に示すように、センサ106は、平面視においてレール71と後述のレール102との間に設けられている。センサ106は、平面視においてレール81Fとレール81Rとの間に設けられている。センサ106は、平面視においてフロント搬送クランプ80Fとリア搬送クランプ80Rとの間に設けられている。センサ106は、フロント搬送クランプ80Fよりも後方に位置している。センサ106は、平面視において、フロント搬送クランプ80Fから、当該フロント搬送クランプ80Fとリア搬送クランプ80Rとの距離の1/4の地点までの間に設けられている。図9に示すように、ツイスト電線CTは、第1電線C1と第2電線C2とが接触している部分のうち、最もフロント把持クランプ部90Fの方に位置する一端部CT1を有する。センサ106は、一端部CT1よりもフロント把持クランプ部90Fの方に配置されていてもよい。これは、搬送途中に第1電線C1および第2電線C2の中央部分が互いに接触すると、中央部分では第1電線C1と第2電線C2との間に間隔が生じない場合があるからである。センサ106を一端部CT1よりもフロント把持クランプ部90Fの方に配置することにより、前記間隔が確保される領域にセンサ106を配置することができる。図1に示すように、センサ106は、フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rによる第1電線C1および第2電線C2の搬送経路の中間よりも、フロント把持クランプ部90F側およびリア把持クランプ部90Rの方に設けられている。図6に示すように、センサ106は、フロント搬送クランプ80Fによって搬送される第1電線C1および第2電線C2よりも高い位置に配置されている。センサ106は、フロント搬送クランプ80Fの後述する一対の第1グリップアーム85aおよび第2グリップアーム85bよりも高い位置に配置されている。
【0033】
図5に示すように、フロント搬送クランプ80Fは、レール81Fに係合したスライダ82と、スライダ82に昇降自在に支持されたクランプ本体83と、回転軸84によりクランプ本体83に回転自在に支持されたグリップアーム85と、中間壁83aとを有している。グリップアーム85は、第1グリップアーム85aと、上記第1グリップアーム85aの側方に設けられた第2グリップアーム85bとにより構成されている。フロント搬送クランプ80Fは、グリップアーム85に連結されたシリンダ86を有している。グリップアーム85a,85bは、シリンダ86の駆動力を受けて回転軸84周りに回転する。中間壁83aは、第1グリップアーム85aと第2グリップアーム85bとの間に設けられている。中間壁83aの下端の高さ位置と、第1グリップアーム85aの下端の高さ位置と、第2グリップアーム85bの下端の高さ位置とはほぼ同じである。第1グリップアーム85aが中間壁83aに向かって(図5において反時計回りに)回動することにより、第1電線C1が当該第1グリップアーム85aと中間壁83aとに挟持される。同様に、第2グリップアーム85bが中間壁83aに向かって(図5において時計回りに)回動することにより、第2電線C2が当該第2グリップアーム85bと中間壁83aとに挟持される。このように、第1グリップアーム85aと第2グリップアーム85bとの間に中間壁83aを設けることで、第1電線C1および第2電線C2がそれぞれ保持されたときに、当該第1電線C1と第2電線C2とが互いに接触しない状態となる。これにより、第1電線C1と第2電線C2との間に間隔を生じさせることができる。第1電線C1および第2電線C2はフロント搬送クランプ80Fに同時に保持される。また、フロント搬送クランプ80Fは、クランプ本体83に連結されたシリンダ87を有している。クランプ本体83はシリンダ87の駆動力を受けて昇降する。スライダ82は、図示しない駆動機構を介してシリンダ88に連結されており、レール81Fに沿って移動可能に構成されている。シリンダ88は、スライダ82をレール81Fに沿って駆動する。なお、リア搬送クランプ80Rはフロント搬送クランプ80Fと同一の構成を有しているので、その詳細な説明は省略する。ただし、リア搬送クランプ80Rのスライダ82は、レール81R(図1参照)に係合しており、シリンダ88の駆動力を受けてレール81Rに沿って移動する。
【0034】
図6に示すように、フロント搬送クランプ80Fは、第1電線C1および第2電線C2を保持した状態でレール81Fに沿って矢印D2の方向に移動する。これにより、第1電線C1および第2電線C2は、それぞれ当該第1電線C1および第2電線C2の長さ方向に垂直な方向D1に搬送される。上述したように、センサ106は、フロント搬送クランプ80Fよりも後方に配置され、搬送中の第1電線C1および第2電線C2よりも高い位置に配置されているので、フロント搬送クランプ80Fの移動を妨げない。第1電線C1および第2電線C2は、互いに間隔を空けた状態でセンサ106によってその有無が検出される。
【0035】
図1に示すように、電線処理装置1は制御装置200を備えている。制御装置200の構成は特に限定されず、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータであってもよい。センサ106によって、第1電線C1および第2電線C2の少なくとも一方が検出されなかった場合には、制御装置200は、フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rによる撚り合わせ動作を中止させる。この場合、図7に示すように、制御装置200は、センサ106の検出結果に基づいてアクチュエータ98の動作およびモータ99の動作を停止させる。これによって、一本の電線のみの撚り合わせが行われることを回避することができる。
【0036】
ここで、図10(a),(b)に示すように、電線処理装置1は切断機構130を備えている。図10(a),(b)は、前方から後方を見た場合の切断機構130の構成を示す図である。切断機構130は、センサ106(図6参照)により第1電線C1および第2電線C2の一方が検出されなかった場合に、検出された方の電線を不良線として切断するものである。切断機構130は、後述する第1電線C1および第2電線C2の搬送経路の終点P1(図6参照)よりも上方にある位置P2に設けられている。これにより、第1電線C1および第2電線C2のうち検出された方の電線がフロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに把持された状態で切断機構130に切断されるようになっている。このような切断機構130は、カッター131と、カッター131の傍に設けられたカッターカバー132と、カッター131およびカッターカバー132に連結された支持部133と、支持部133を昇降させるエアシリンダ134とを備えている。なお、エアシリンダ134の代わりに、油圧シリンダ等の他の駆動源を用いてもよい。カッター131は、昇降可能に構成されており、電線の被覆152(図9参照)が設けられた部分を切断する。すなわち、電線の被覆152および心線151を切断する。カッター131は、上記電線の被覆152が設けられた部分の上方に配置されていれば、前後方向における位置は特に問わない。エアシリンダ134により支持部133が昇降されることによって、カッター131およびカッターカバー132は同時に昇降されるように構成されている。図10(c)は図10(a)の領域Kの拡大図である。図10(c)に示すように、カッター131は、左右方向に移動可能に構成された一対の刃131a,131bを有している。刃131bは、刃131aの右方に設けられている。刃131aは、当該刃131aの上方に設けられたカッター支持台135aに支持されている。刃131bは、当該刃131bの上方に設けられたカッター支持台135bに支持されている。カッター支持台135a,135bは、支持部133に接続されたエアチャック136に連結されている。エアチャック136は、カッター支持台135a,135bを互いに近付く方向および離れる方向に移動させる。刃131aおよび刃131bが互いに近付く方向に移動することによって、電線が刃131aと刃131bに挟まれて切断される。
【0037】
カッターカバー132は例えば薄板状に形成されている。カッターカバー132は、カッター131の後方に設けられている。カッターカバー132は、半円状に形成された部分を含んだ切り欠き部132aを有している。この切り欠き部132aの高さ位置は、カッター131の高さ位置とほぼ同じである。このような構成において、検出された電線をフロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rにより保持した状態で、図10(b)に示すように、上述のエアシリンダ134により支持部133を介してカッター131およびカッターカバー132を下降させる。このとき、電線がカッターカバー132の切り欠き部132aに収まる。それにより、上記電線の位置決めが行われる。このように上記電線が位置決めされた状態で、上述のエアチャック136により刃131a,131bを互いに近付く方向に移動させる。これによって、上記電線が切断されることとなる。上記電線は切り欠き部132aに収まっているため、刃131a,131bによる切断時に左右に大きく動かず安定している。このため、電線の切断を行い易い。なお、切断処理の後、フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rが切断された電線を放すと、当該電線は落下し、トレイ110(図1参照)に回収される。
【0038】
電線ツイスト装置3は、第1電線C1および第2電線C2の前端部を同時に保持しながら回転するフロント把持クランプ部90Fと、第1電線C1および第2電線C2の後端部を同時に保持しながら回転するリア把持クランプ部90Rとを備えている。フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rの構成は同一であるので、ここではフロント把持クランプ部90Fの構成のみを説明する。図8(a)および(b)に示すように、フロント把持クランプ部90Fは、クランプ本体91と、クランプ本体91に対して前後(図8(a)の左右)にスライド可能なシャフト92と、シャフト92に取り付けられた一対のグリップアーム93とを備えている。グリップアーム93は、回転軸94aによりシャフト92に回転可能に支持された第1リンク94と、回転軸95aにより第1リンク94に回転可能に支持された第2リンク95と、回転軸96aにより第2リンク95に回転可能に支持された第3リンク96とを有している。第3リンク96の先端には、第1電線C1および第2電線C2を保持する保持部97が設けられている。図8(a)に示すように、フロント把持クランプ部90Fは、シャフト92が後方(図8(a)の右方)に移動すると、グリップアーム93が開いて第1電線C1および第2電線C2の保持を解除するように構成されている。一方、図8(b)に示すように、フロント把持クランプ部90Fは、シャフト92が前方(図8(b)の左方)に移動すると、グリップアーム93が閉じて第1電線C1および第2電線C2を保持するように構成されている。シャフト92には、シャフト92をスライドさせるアクチュエータ98が連結されている。フロント把持クランプ部90Fには、フロント把持クランプ部90Fを回転中心軸90c周りに回転させるモータ99が連結されている。フロント把持クランプ部90Fが第1電線C1および第2電線C2の前端部を同時に保持しながら回転中心軸90c周りに回転するとともに、リア把持クランプ部90Rが第1電線C1および第2電線C2の後端部を同時に保持しながら回転中心軸90c周りに回転することにより、第1電線C1および第2電線C2が撚り合わされる。
【0039】
図1に示すように、フロント把持クランプ部90Fにはスライダ101が固定されている。スライダ101は、前後方向に延びるレール102に係合しており、レール102上を走行可能に構成されている。スライダ101には、スライダ101を駆動してレール102上を走行させるモータ103が連結されている。スライダ101が前方に移動するとフロント把持クランプ部90Fは前方に移動し、スライダ101が後方に移動するとフロント把持クランプ部90Fは後方に移動する。フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rの下方には、ツイスト電線(すなわち、第1電線C1および第2電線C2が撚り合わされてなる電線)を回収するトレイ110が配置されている。フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rがツイスト電線を放すと、ツイスト電線は落下し、トレイ110に回収される。
【0040】
図9に示すように、電線処理装置1は、両端に端子Tが圧着された第1電線C1および第2電線C2が撚り合わされてなるツイスト電線CTを製造する。第1電線C1および第2電線C2は、心線151と、心線151の周囲を覆う被覆152とを有している。心線151は金属等の導体からなり、被覆152はビニル樹脂等の絶縁材からなっている。第1電線C1および第2電線C2の長さに応じて、フロント搬送クランプ80Fおよびフロント把持クランプ部90Fの前後位置が調整される。詳しくは、第1電線C1および第2電線C2が撚り合わされると、それらの見かけ上の長さすなわちツイスト電線CTの長さは、第1電線C1および第2電線C2の本来の長さよりも短くなる。そのため、フロント把持クランプ部90Fは回転しながら後方(つまり、リア把持クランプ部90Rに近づく方向)に移動する。
【0041】
以上のように、本実施形態の電線処理装置1によれば、フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rが第1電線C1および第2電線C2の搬送を開始してから、第1電線C1および第2電線C2をフロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに受け渡すまでの搬送経路に、これらの電線C1,C2の有無を検出するセンサ106が設けられている。これにより、フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに受け渡される電線の数に不足がないか否かを検出することができる。よって、第1電線C1および第2電線C2を撚り合わせ処理する前に、不良品であるか否かの判別が可能となる。このことによって、良品加工電線と不良品電線との仕分けを容易に行うことができ、良品加工電線に不良品電線が混在する可能性を低減することができる。また、上記判別によって、撚り合わせ処理を取り止めることができる。これによって、把持クランプ部90F,90Rに必要以上に負荷がかかってしまうことを防ぐことができるので、電線ツイスト装置3を長寿命化することができる。
【0042】
また、本実施形態の電線処理装置1によれば、センサ106が第1電線C1および第2電線C2の搬送経路の途中に設けられている場合に、これらの電線C1,C2は、それぞれ搬送中にセンサ106を横切る。これにより、センサ106は、電線C1,C2の当該センサ106に対する通過回数に基づいて電線C1,C2の有無を検出することができる。
【0043】
また、本実施形態の電線処理装置1によれば、センサ106として非接触式センサを用いるので、検出の際に第1電線C1および第2電線C2に損傷を与えることがない。
【0044】
また、本実施形態の電線処理装置1によれば、センサ106により第1電線C1および第2電線C2の少なくとも一方が検出されなかった場合に、制御装置200によりフロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rによる撚り合わせ動作を中止させる。これにより、撚り合わせ処理される前に、電線が正常に送られていないことを検出し、撚り合わせ不良の発生を未然に防止できる。これによって、この異常として検出された電線の後処理が容易になる。更には、フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに負荷がかかってしまうことを未然に防止することができる。
【0045】
また、本実施形態の電線処理装置1によれば、センサ106により第1電線C1および第2電線C2の一方が検出されなかった場合に、当該検出された電線の被覆152がある部分を切断機構130により切断するようにした。これにより、撚り合わせの対象にならなかった電線を、排出された良品加工電線の中から不良品として容易に分別することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の一形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限らず、他に種々の形態にて実施することができる。
【0047】
上記実施形態では、第1電線C1および第2電線C2のセンサ106に対する通過回数に基づいて第1電線C1および第2電線C2の有無が検出されるように構成したが、これに限定されるものではない。第1電線C1および第2電線C2のセンサ106に対する通過時間に基づいて、第1電線C1および第2電線C2の有無を検出するようにしてもよい。第1電線C1および第2電線C2を搬送する際に、第1電線C1と第2電線C2とが接触して両電線C1,C2の間に間隔が空いておらず、見かけ上一体となって搬送される場合がある。このような場合、通過回数に基づいて第1電線C1および第2電線C2の有無を検出することが難しいことがある。しかし、上記通過時間に基づいて第1電線C1および第2電線C2の有無を検出することとすれば、第1電線C1と第2電線C2との間に間隔が空いていないことによって上述の通過回数に基づいて判別することが難しいときでも、良好な検出を行うことができる。
【0048】
また、第1電線C1および第2電線C2のセンサ106に対する通過回数や通過時間に基づいてこれらの電線C1,C2の有無を検出する代わりに、フロント把持クランプ部90Fおよびリア把持クランプ部90Rに受け渡された電線、すなわち停止状態にある電線をセンサ106により検出するようにしてもよい。この場合、図6に示すように、センサ106を第1電線C1および第2電線C2の搬送経路の終点P1の上方の位置P2に設ければよい。このような構成により、搬送が終了した後に第1電線C1および第2電線C2の有無を検出することができる。
【0049】
上記実施形態では、センサ106を平面視においてフロント搬送クランプ80Fから当該フロント搬送クランプ80Fとリア搬送クランプ80Rとの距離の1/4の地点までの間に設けるようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、センサ106をリア搬送クランプ80Rから前記距離の1/4の地点までの間に設けてもよい。
【0050】
上記実施形態では、センサ106の例として、フォトマイクロセンサ、光電センサ、レーザーセンサ、超音波センサおよび近接センサ等を挙げたが、これらとは異なる他のセンサを用いるようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態では、一つのセンサ106を設けるようにしたが、2個以上のセンサ106を設けるようにしてもよい。
【0052】
上記実施形態において、センサ106により第1電線C1および第2電線C2の何れか一方の存在が検出されなかった場合に、当該電線を不良品として、トレイ110とは異なるトレイに回収する構成を設けるようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、クランプ本体83に中間壁83aを設けるようにしたが、これに限定されるものではない。フロント搬送クランプ80Fおよびリア搬送クランプ80Rにより第1電線C1および第2電線C2を当該第1電線C1と第2電線C2とが互いに間隔を空けた状態で搬送し得る場合には、上記中間壁83aは必須な要素ではない。また、図11(a)に示すように、第1電線C1および第2電線C2が上下方向に一部重なった状態で搬送される場合(すなわち第1電線C1と第2電線C2との水平方向の隙間がない場合)でも、センサ106により第1電線C1および第2電線C2の有無の検出が可能であるときには、上記中間壁83aは必須な要素ではない。さらに、図11(b)に示すように、第1電線C1および第2電線C2が上下方向に全部重なった状態で搬送される場合には、センサ106をフォトマイクロセンサ等により構成したときには、第1電線C1および第2電線C2の有無の検出が難しい。そこで、センサ106とは別に、例えば近接センサで構成された他のセンサ107を設けるようにしてもよい。この場合、センサ107は、例えば第1電線C1および第2電線C2の搬送の下流側に設けられる。
【0054】
上記実施形態では、第1電線C1および第2電線C2の2本の電線を同時に保持してフロント把持クランプ部90Fとリア把持クランプ部90Rに搬送し、センサ106で電線の有無を検出するようにしたが、3本以上の電線を同時搬送して、その電線不足を検出するようにしてもよい。
【0055】
上記実施形態では、第1電線C1および第2電線C2の前端部を同時に保持しながら回転するフロント把持クランプ部90Fと、第1電線C1および第2電線C2の後端部を同時に保持しながら回転するリア把持クランプ部90Rとを備えていた。しかし、少なくとも一方のクランプ側では、第1電線C1と第2電線C2をそれぞれ個別のクランプにより保持させるようにして、自公転駆動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 電線処理装置
3 電線ツイスト装置
80F フロント搬送クランプ(第1搬送クランプ)
80R リア搬送クランプ(第2搬送クランプ)
90F フロント把持クランプ部(第1把持クランプ部)
90R リア把持クランプ部(第2把持クランプ部)
106 センサ(検出器)
200 制御装置(制御部)
C1 第1電線
C2 第2電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11