(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
あらかじめ定められた標準温度において、前記第1サーミスタは前記第1分流抵抗と同抵抗値であり、前記第2サーミスタは前記第2分流抵抗と同抵抗値であることを特徴とする請求項2に記載の地絡検出装置。
【背景技術】
【0002】
駆動源としてエンジンと電気モータとを備えるハイブリッド車や、電気自動車のような車両においては、車体上に搭載したバッテリを充電し、バッテリから供給される電気エネルギーを利用して推進力を発生する。一般に、バッテリ関連の電源回路は、200V以上の高電圧を扱う高電圧回路として構成されており、安全性確保ため、バッテリを含む高電圧回路は接地の基準電位点となる車体から電気的に絶縁された非接地構成となっている。
【0003】
非接地の高電圧バッテリを搭載した車両では、高電圧バッテリが設けられた系、具体的には、高電圧バッテリからモータに至るメインの電源系と車体との絶縁状態(地絡)を監視するために地絡検出装置が備えられている。地絡検出装置は、フライングキャパシタと呼ばれるコンデンサを利用した方式が広く用いられている。
【0004】
図9は、フライングキャパシタ方式の従来の地絡検出装置の回路例を示す図である。本図に示すように地絡検出装置400は、非接地の高電圧バッテリ300と接続し、高電圧バッテリ300が設けられた系の地絡を検出する装置である。ここで、高電圧バッテリ300の正極側と接地間の絶縁抵抗をRLpと表し、負極側と接地間の絶縁抵抗をRLnと表すものとする。
【0005】
本図に示すように、地絡検出装置400は、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサC1を備えている。また、計測経路を切り換えるとともに、検出用コンデンサC1の充電および放電を制御するために、検出用コンデンサC1の周辺に4つのスイッチング素子S1〜S4を備えている。さらに、検出用コンデンサC1の充電電圧に相当する計測用の電圧をサンプリングするためのスイッチング素子Saを備えている。
【0006】
地絡検出装置400では、絶縁抵抗RLpおよびRLnを把握するために、V0計測期間→Vc1n計測期間→V0計測期間→Vc1p計測期間を1サイクルとして計測動作を繰り返す。いずれの計測期間とも、計測対象の電圧で検出用コンデンサC1を充電してから、検出用コンデンサC1の充電電圧の計測を行なう。そして、次の計測のために検出用コンデンサC1の放電を行なう。
【0007】
V0計測期間では、高電圧バッテリ300電圧に相当する電圧を計測する。このため、スイッチング素子S1、S2をオンにし、スイッチング素子S3、S4をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、
図10(a)に示すように、高電圧バッテリ300、抵抗R1、検出用コンデンサC1が計測経路となる。
【0008】
検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時には、
図10(b)に示すように、スイッチング素子S1、S2をオフにし、スイッチング素子S3、S4をオンにするとともに、スイッチング素子Saをオンにして制御装置420でサンプリングを行なう。その後、
図10(c)に示すように、スイッチング素子Saをオフにして次の計測のために検出用コンデンサC1の放電を行なう。検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時、検出用コンデンサC1の放電時の動作は他の計測期間においても同様である。
【0009】
Vc1n計測期間では、絶縁抵抗RLnの影響を反映した電圧を計測する。このため、スイッチング素子S1、S4をオンにし、スイッチング素子S2、S3をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、
図11(a)に示すように、高電圧バッテリ300、抵抗R1、検出用コンデンサC1、抵抗R4、接地、絶縁抵抗RLnが計測経路となる。
【0010】
Vc1p計測期間では、絶縁抵抗RLpの影響を反映した電圧を計測する。このため、スイッチング素子S2、S3をオンにし、スイッチング素子S1、S4をオフにして、検出用コンデンサC1を充電する。すなわち、
図11(b)に示すように、高電圧バッテリ300、絶縁抵抗RLp、接地、抵抗R3、抵抗R1、検出用コンデンサC1が計測経路となる。
【0011】
これらの計測期間で得られたV0、Vc1n、Vc1pから算出される(Vc1p+Vc1n)/V0に基づいて、(RLp×RLn)/(RLp+RLn)を求めることができることが知られている。このため、地絡検出装置400内の制御装置420は、V0、Vc1n、Vc1pを測定することにより、絶縁抵抗RLp、RLnを把握することができる。そして、絶縁抵抗RLp、RLnが所定の判定基準レベル以下となった場合に、地絡が発生しているものとして判定し、警報を出力する。
【0012】
また、特許文献1では、
図12に示すような回路構成の地絡検出装置440が提案されている。地絡検出装置440においても各計測期間のスイッチング切換状態は、地絡検出装置400と同様である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る地絡検出装置100の構成を示すブロック図である。本図に示すように地絡検出装置100は、非接地の高電圧バッテリ300と接続し、高電圧バッテリ300が設けられた系の地絡を検出するフライングキャパシタ方式の装置である。ここで、高電圧バッテリ300の正極側と接地間の絶縁抵抗をRLpと表し、負極側と接地間の絶縁抵抗をRLnと表すものとする。なお、高電圧とは、車両内の各種機器(ランプ、ワイパー等)を駆動させるための低電圧バッテリ(一般的には12V)よりも高い電圧を意味し、高電圧バッテリ300は、車両走行の駆動用に用いられるバッテリである。
【0020】
高電圧バッテリ300は、リチウムイオン電池等のように充電可能なバッテリにより構成されており、図示しない高圧バスバーを経由して放電し、インバータ等を介して接続された電気モータを駆動する。また、回生時や充電設備接続時には、高圧バスバーを介して充電を行なう。
【0021】
高電圧バッテリ300の正極側電源ライン301と接地電極との間および負極側電源ライン302と接地電極との間には、電源の高周波ノイズを除去したり動作を安定化するために、それぞれYコンデンサ(ライン・バイパス・コンデンサ)と呼ばれるコンデンサCYp、CYnが接続されている。ただし、Yコンデンサは省くようにしてもよい。
【0022】
本図に示すように、地絡検出装置100は、フライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサC1を備えるとともに、検出用コンデンサC1の充電電圧に相当する計測用の電圧をサンプリングするためのスイッチング素子Saを備えている。ただし、スイッチング素子Saは省くことも可能である。また、マイクロコンピュータ等で構成された制御装置120を備えている。制御装置120は、あらかじめ組み込まれたプログラムを実行することにより、後述するスイッチ切り換え処理等の地絡検出装置100に必要とされる各種制御を実行する。
【0023】
図10、
図11を参照して説明したように、各計測期間の計測経路では、正極側電源ライン301系のスイッチング素子S1とスイッチング素子S3とが同時にオンになることは無く、負極側電源ライン302系のスイッチング素子S2とスイッチング素子S4とが同時にオンになることは無い。すなわち、スイッチング素子S1とスイッチング素子S3とは排他的に切り換えられ、スイッチング素子S2とスイッチング素子S4とは排他的に切り換えられる。
【0024】
このため、地絡検出装置100では、正極側電源ライン301系のスイッチング素子として、正極側C接点スイッチ111を用い、負極側電源ライン302系のスイッチング素子として、負極側C接点スイッチ112を用いている。正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112は、例えば、高耐圧−小信号のメカニカルリレーやリードリレーで構成することができる。
【0025】
正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112とも共通接点cが検出用コンデンサC1側に配置される。具体的には、正極側C接点スイッチ111の共通接点cは、ダイオードD1と抵抗R1の経路と、抵抗R2とダイオードD2との経路との並列回路を経由して検出用コンデンサC1に接続し、負極側C接点スイッチ112の共通接点cは、検出用コンデンサC1の他端に接続している。充電時の経路となるダイオードD1は、正極側C接点スイッチ111から検出用コンデンサC1が順方向となる向きで接続され、放電時の経路となるダイオードD2は逆方向で接続されている。抵抗R2は、放電用抵抗として機能する。
【0026】
正極側C接点スイッチ111の接点aは、抵抗Raを介して正極側電源ライン301に接続し、負極側C接点スイッチ112の接点aは、抵抗Rbを介して正極側電源ライン301に接続している。すなわち、いずれのC接点スイッチとも高電圧バッテリ300側を接点aとしている。
【0027】
正極側C接点スイッチ111の接点bは、スイッチング素子Saに接続するとともに、他端が接地された抵抗R3と接続している。負極側C接点スイッチ112の接点bは、他端が接地された抵抗R4と接続している。すなわち、いずれのC接点スイッチとも制御装置120側(接地側)を接点bとしている。
【0028】
図1に示すように、正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112は、制御装置120により独立に切換制御される。制御装置120は、正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112、スイッチング素子Saを独立に切換制御することにより、計測経路を切り換えるとともに、検出用コンデンサC1の充電および放電、充電電圧の計測を行なう。
【0029】
具体的には、V0計測期間では、正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112とも接点a側に切り換え、高電圧バッテリ300、抵抗Ra、抵抗R1、検出用コンデンサC1、抵抗Rbという計測経路を形成する。
【0030】
検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時には、正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112とも接点b側に切り換え、スイッチング素子Saをオンにする。その後、スイッチング素子Saをオフにして次の計測のために主として抵抗R2を利用して検出用コンデンサC1の放電を行なう。検出用コンデンサC1の充電電圧の計測時、放電時の動作は他の計測期間においても同様である。
【0031】
Vc1n計測期間では、正極側C接点スイッチ111を接点a側、負極側C接点スイッチ112を接点b側に切り換え、高電圧バッテリ300、抵抗Ra、抵抗R1、検出用コンデンサC1、抵抗R4、接地、絶縁抵抗RLnという計測経路を形成する。
【0032】
Vc1p計測期間では、正極側C接点スイッチ111を接点b側、負極側C接点スイッチ112を接点a側に切り換え、高電圧バッテリ300、絶縁抵抗RLp、接地、抵抗R3、抵抗R1、検出用コンデンサC1、抵抗Rbという計測経路を形成する。
【0033】
地絡検出装置100において、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗R1は、例えば、数100kΩ程度の高抵抗とし、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4は、例えば、数kΩ程度の低抵抗とする。
【0034】
抵抗R1とは別に正極側に抵抗Raを配置し、負極側に抵抗Rbを配置するとともに、正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112をC接点リレーで構成するため、いずれかのC接点スイッチで固着が生じたとしても、高電圧バッテリ300と制御装置120との間には、高抵抗である抵抗Raあるいは抵抗Rbのいずれかが介在して電流制限がかかる。このため、制御装置120および通電回路を保護することができる。
【0035】
さらに、仮にいずれかのC接点スイッチで接点aと接点bとがショートしたとしても、高電圧バッテリ300と制御装置120との間には、高抵抗である抵抗Raあるいは抵抗Rbのいずれかが介在して電流制限がかかるため、制御装置120を保護することができる。
【0036】
また、絶縁抵抗RLpおよび絶縁抵抗RLnについて地絡と判定する基準値をRLsとすると、絶縁抵抗RLpおよび絶縁抵抗RLnが基準値RLsのとき、V0計測期間、Vc1n計測期間、Vc1p計測期間で経路上の抵抗値が等しくなるように、
R1+Ra+Rb=R1+R4+Ra+RLn=R1+R3+Rb+RLp
という関係で各抵抗値を定めることにより、検出用コンデンサC1にセラミックコンデンサを用いた場合であっても、DCバイアス特性の影響で地絡検出精度が低下することを防ぐことができる。
【0037】
正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112において、高電圧バッテリ300側の接点a、制御装置120側(接地側)の接点bのどちらをノーマルクローズ側とするかは、以下の特性を考慮して適宜定めることができる。
1)正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112とも高電圧バッテリ300側の接点aをノーマルクローズ側とすると、地絡検出装置100の起動開始時には既に高圧電圧が検出用コンデンサC1に充電されているため、最初のV0計測期間の充電処理を省略できる。このため、起動時に安全確保のため通常時より地絡判定を早めたいという機能ニーズに対応することができる。
2)正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112とも制御装置120側(接地側)の接点bをノーマルクローズ側とすると、動作停止時は検出用コンデンサC1が放電された状態となる。このため、地絡検出装置100の取り外し時等の感電危険性が低下する。
3)正極側C接点スイッチ111、負極側C接点スイッチ112のいずれか一方の接点aをノーマルクローズ側とすると、起動時において検出用コンデンサC1にはどちらかの極と接地間の電圧が充電されていることになる。この電圧を計測して正常状態と比較することにより、簡易的ながらも一方の極の絶縁抵抗が低下している状況をいち早く把握することができる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の地絡検出装置100は、地絡検出のための測定経路の切り換えスイッチに、コスト増の起因となる光MOS−FETを用いていないため、スイッチング素子に起因するコスト増を抑制することができる。
【0039】
また、従来4個用いていたスイッチング素子を2個のC接点スイッチで構成するため、従来よりも部品数を削減できるとともに制御線を削減することができる。さらに、C接点スイッチは小型化が容易であるため、省スペース化も可能である。
【0040】
なお、上述の例では、正極側C接点スイッチ111は、共通接点cが、ダイオードD1と抵抗R1の経路と、抵抗R2とダイオードD2との経路との並列回路を経由して検出用コンデンサC1に接続していたが、
図2に示すように、正極側C接点スイッチ111の共通接点cを直接検出用コンデンサC1に接続してもよい。この場合、接点aは、ダイオードD1、抵抗R1を介して抵抗Raと接続し、接点bは、ダイオードD2、抵抗R2を介してスイッチング素子Saに接続するとともに、ダイオードD2の経路と並列にダイオードD2とは逆方向のダイオードD11と抵抗R11の経路を接続すればよい。
【0041】
ところで、C接点スイッチはメカニカルな接点構成のため、開閉耐久回数に制限がある。特に、通電電流や印加電圧が大きいほど、開閉耐久回数に与える影響が大きくなる。そこで、開閉耐久回数を向上させるために、以下に例示するような制御を行なったり、構成を採用してもよい。
【0042】
第1例)C接点スイッチを切り換える場合に、正極側C接点スイッチ111と負極側C接点スイッチ112とを同時に切り換え制御すると、接点作動速度のバラツキ等により、実際の切り換わり順序の前後に偏りが生じる場合がある。
【0043】
この場合、後から切り換わるC接点スイッチに電流、電圧の負荷が集中し、開閉耐久回数に影響を与えることになる。特に、高電圧バッテリ300の電圧を測定するV0計測期間への切り換わりタイミングにおいて顕著である。
【0044】
そこで、制御装置120がC接点スイッチの切り換えタイミングを、正極側C接点スイッチ111と負極側C接点スイッチ112とで、前後の回数が均等となるようにして意図的に前後させることで、一方のC接点スイッチへの負荷の集中を避けるようにする。
【0045】
例えば、V0計測期間→Vc1n計測期間→V0計測期間→Vc1p計測期間というサイクルにおいて、1回目のV0計測期間では、正極側C接点スイッチ111を1ms先に切り換え、2回目のV0計測期間では、負極側C接点スイッチ111を1ms先に切り換えるようにする。これにより、C接点スイッチの負荷が均等になるため、一方のC接点スイッチに負荷が集中することによる開閉耐久回数への悪影響を防ぐことができる。もちろん、切り換えタイミングの前後の回数を均等化する手法は本手法に限られず、例えば、所定回数毎や所定時間単位で先に切り換えるC接点スイッチを交替させる等、種々の手法を用いることができる。
【0046】
第2例)
図3に示すように、正極側C接点スイッチ111を1つの制御で同時に切り換わるツインリレー(111a、111b)で構成し、負極側C接点スイッチ112を1つの制御で同時に切り換わるツインリレー(112a、112b)で構成するとともに、ツインリレーの個々のリレーに並列に電流が分岐する経路を設ける。これにより、それぞれのC接点スイッチの通電電流が分流されるため、C接点スイッチの電流負荷を軽減することができる。ツインリレーは、例えば、1コイル2C接点のリレーを用いることができる。
【0047】
第3例)第2例の場合、並列接続されたツインリレーの分流比率は、ツインリレーを構成するリレーの微小な接触抵抗に基づくため、個体毎のバラツキ等により一方のリレーに負荷が偏ってしまう場合がある。
【0048】
そこで、
図4に示すように、それぞれのリレーの共通接点c側経路に小さな分流抵抗を接続してもよい。この場合、分流比率は分流抵抗にほぼ基づくため、分流抵抗値を揃えることでツインリレーを構成する一方のリレーへの負荷の偏りを防止することができる。
【0049】
本図の例では、正極側C接点スイッチ111を構成するリレー111aの経路に分流抵抗Ra21(<<R1)を接続し、リレー111bの経路に分流抵抗Ra22(=Ra21)を接続している。また、負極側C接点スイッチ112を構成するリレー112aの経路に分流抵抗Rb21(<<R1)を接続し、リレー112bの経路に分流抵抗Rb22(=Rb21)を接続している。
【0050】
第4例)
図5に示すように、分流抵抗を各リレーの接点a側経路および接点b側経路に設けてもよい。本図の例では、抵抗Ra11をリレー111aの接点a側に接続し、抵抗Ra12をリレー111bの接点a側に接続しており、抵抗Rc1をリレー111aの接点b側に接続し、抵抗Rc2をリレー111bの接点b側に接続している。また、抵抗Rb11をリレー112aの接点a側に接続し、抵抗Rb12をリレー112bの接点a側に接続しており、抵抗Rd1をリレー112aの接点b側に接続し、抵抗Rd2をリレー112bの接点b側に接続している。
【0051】
ここで、抵抗Ra11=抵抗Ra12=抵抗Rb11=抵抗Rb12>>抵抗Rc1=抵抗Rc2=抵抗Rd1=抵抗Rd2>>リレーの接触抵抗とする。
【0052】
本図の例では、さらに、抵抗Ra11と抵抗Ra12の並列抵抗で抵抗Raの役割も担い、抵抗Rb11と抵抗Rb12の並列抵抗で抵抗Rbの役割も担っている。このため、
図1と同じ抵抗とする場合には、抵抗Ra11=抵抗Ra12=抵抗Rb11=抵抗Rb12=2×抵抗Ra=2×抵抗Rbとする。
【0053】
これにより、いずれかのリレーが固着したり、ショートしても、抵抗Ra11、抵抗Ra12、抵抗Rb11、抵抗Rb12のいずれかで通電電流が制限される。このため、制御装置120を保護することができることに加え、測定経路を流れる電流が増加して絶縁抵抗が小さく検出されることによる地絡誤検出を防ぐことができる。
【0054】
なお、抵抗Rc1、抵抗Rc2、抵抗Rd1、抵抗Rd2は、第3例の抵抗Ra21、Ra22、Rb21、Rb22に換えてもよい。
【0055】
第5例)上述のように、
図3に示した第2例の場合、並列接続されたツインリレーの分流比率は、ツインリレーを構成するリレーの微小な接触抵抗に基づくため、個体毎のバラツキ等により一方のリレーに負荷が偏ってしまう場合がある。
【0056】
通電がなければ、リレーの開閉耐久回数は大幅に向上することから、
図6に示すように、ツインリレーを構成するそれぞれのリレーの共通接点cに、さらにC接点スイッチを設けることで、電流を流すリレーを排他的に選択できるようにしてもよい。電流を流すリレーの選択を、それぞれのリレーの通電回数が同じ程度となるようにすることで、ツインリレーを構成する一方のリレーへの負荷の偏りを防止することができる。
【0057】
本図の例では、正極側C接点スイッチ111を構成するリレー111aの共通接点cに正極側経路切換C接点スイッチ113aの接点aを接続し、リレー111bの共通接点cに正極側経路切換C接点スイッチ113aの接点bを接続している。
【0058】
正極側経路切換C接点スイッチ113aの共通接点cは、検出用コンデンサC1側に配置される。具体的には、ダイオードD1と抵抗R1の経路と、抵抗R2とダイオードD2との経路との並列回路を経由して検出用コンデンサC1に接続している。
【0059】
また、負極側C接点スイッチ112を構成するリレー112aの共通接点cに負極側経路切換C接点スイッチ113bの接点aを接続し、リレー112bの共通接点cに負極側経路切換C接点スイッチ113bの接点bを接続している。負極側経路切換C接点スイッチ113bの共通接点cは、検出用コンデンサC1の他端に接続している。
【0060】
そして、正極側経路切換C接点スイッチ113aと負極側経路切換C接点スイッチ113bとで、ツインリレーの経路切換C接点スイッチ113を構成している。
【0061】
経路切換C接点スイッチ113は、例えば、制御装置120が、電流経路が接点aと接点bとで均等になるように切り換え制御する。あるいは、50%の確率で生じる他の情報に基づいて切り換えるようにしてもよい。例えば、地絡検出装置100に設けられているセンサの出力の下位1ビットの値に応じて経路切換C接点スイッチ113を切り換えることができる。
【0062】
第6例)
図4に示した第3例では、それぞれのリレーの共通接点c側経路に抵抗値を揃えた分流抵抗を接続することでツインリレーを構成する一方のリレーへの負荷の偏りを防止している。
【0063】
ここで、
図7に示すように、対となる分流抵抗のうち一方の分流抵抗をサーミスタとしてもよい。地絡検出装置100における標準温度において、サーミスタの抵抗値と、対となる通常抵抗の抵抗値とが同じになるようにすることで、ツインリレーを構成する一方のリレーへの負荷の偏りを防止することができる。
【0064】
すなわち、温度上昇により抵抗値が下がるサーミスタを用いた場合には、標準温度よりも高い状態では、サーミスタが接続されたリレーにより多くの電流が流れ、標準温度よりも低い状態では、通常抵抗が接続されたリレーにより多くの電流が流れることになる。これにより、ツインリレーを構成するそれぞれのリレーを流れる電流を均等化することができる。温度上昇により抵抗値が上がるサーミスタを用いた場合にもそれぞれのリレーを流れる電流を均等化することができる。
【0065】
本図の例では、正極側C接点スイッチ111を構成するリレー111bの経路にサーミスタTa(標準温度において=Ra21<<R1)を接続し、負極側C接点スイッチ112を構成するリレー112bの経路にサーミスタTb(標準温度において=Rb21<<R1)を接続している。
【0066】
上述したいずれの例においても、
図8に示すように、検出用コンデンサC1の放電用の経路の接続状態を、接続スイッチ115として機能するツインリレーを用いて切り換えるようにしてもよい。すなわち、検出用コンデンサC1の放電時に放電抵抗R2が接続され、その他の場合に放電抵抗R2が切り離されるように接続スイッチ115を切り換えるようにする。この場合、放電抵抗R2と直列に接続していた放電側のダイオードD2が不要となる。
【0067】
ダイオードD2を不要とすることで、放電時にダイオードD2の電圧降下分の放電残りを防止でき、検出コンデンサC1の完全放電が可能となる。これにより、検出精度を向上させることができる。また、検出コンデンサC1として極性のある電解コンデンサを用いる場合、別途保護用のダイオード等が必要であるところ、本構成であれば、Vc1n計測期間においても接地から正極に抜ける負電位充電経路が形成されないため、保護回路を追加することなく電解コンデンサを用いることができる。