(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725690
(24)【登録日】2020年6月29日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】3次元積層造形における粉末の供給
(51)【国際特許分類】
B29C 64/336 20170101AFI20200713BHJP
B29C 64/357 20170101ALI20200713BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20200713BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20200713BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20200713BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20200713BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20200713BHJP
【FI】
B29C64/336
B29C64/357
B29C64/153
B29C64/165
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/314
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-556279(P2018-556279)
(86)(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公表番号】特表2019-518625(P2019-518625A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】US2016044332
(87)【国際公開番号】WO2018022046
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2018年12月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ケネス,アール
(72)【発明者】
【氏名】クロプフェンスタイン,マイケル,エフ
(72)【発明者】
【氏名】エワルド,ブレント
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/106844(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/124903(WO,A1)
【文献】
特開2005−335199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00−64/40
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイプの入力粉末を混合して3次元(3D)オブジェクトを生成するための混合粉末にし、
該混合中に、各タイプの入力粉末が一体化した後の各タイプの入力粉末の材料強度値を決定し、
該決定された各タイプの入力粉末の該材料強度値に基づいて、前記混合粉末が一体化した後の該混合粉末の指定された材料強度を達成するための前記複数のタイプの入力粉末の比率を計算し、及び、
該計算した比率に従って前記複数のタイプの入力粉末の供給量を調整する
ことを含む、3Dオブジェクトの積層造形のための造形粉末を供給する方法。
【請求項2】
少なくとも1つのタイプの入力粉末の変更された材料強度値を判定し、
該変更された材料強度値に基づいて、前記混合粉末の前記指定された材料強度を達成するための前記複数のタイプの入力粉末の比率を再計算し、及び、
該再計算した比率に従って前記複数のタイプの入力粉末の供給量を調整する
ことを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3Dプリンティング装置のユーザインタフェイス及び前記3Dオブジェクトを定義するオブジェクトデータのうちの一方を介して前記指定された材料強度を受信することを更に含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ユーザインタフェイスを介して変更され指定された材料強度を受信し、
該変更され指定された材料強度を達成するために前記複数のタイプの入力粉末の比率を再計算し、及び、
該再計算された比率に従って前記複数のタイプの入力粉末の供給率を調整する
ことを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記指定された材料強度が、3Dオブジェクトの異なる部分に異なる材料強度を割り当てる指定された材料強度プロファイルを含み、
前記複数のタイプの入力粉末の比率を計算することが、該3Dオブジェクトのプリント中に該3Dオブジェクトの異なる部分の各々毎に前記複数のタイプの入力粉末の比率を再計算することを含む、
請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記各タイプの入力粉末の材料強度値を決定することが、
前記各タイプの入力粉末の材料特性値を測定し、及び、
所定のルックアップテーブルを介して該測定された材料特性値を材料強度値と相関付ける
ことを含む、請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記各タイプの入力粉末の材料特性値を測定することが、
該入力粉末にUV光を送り、
該入力粉末を通過する該UV光の量を光度計で検出して該入力粉末の透過率値を決定し、及び、
該透過率値を吸光度値へと変換する
ことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のタイプの入力粉末を混合して前記混合粉末にすることが、第1の粉末供給源からの新しい粉末を第2の粉末供給源からのリサイクル粉末と混合することを含む、請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
複数の粉末供給源からの複数のタイプの入力粉末を混合するブレンダと、
該混合中に各タイプの入力粉末の材料特性を測定するための各粉末供給源に関連するアッセイと、
該混合中に、各タイプの入力粉末の前記測定された材料特性を使用して、各タイプの入力粉末が一体化した後の各タイプの入力粉末の材料強度値を決定し、及び、該決定された各タイプの入力粉末の材料強度値を使用して、前記混合された入力粉末が一体化した後の指定された材料強度を有する混合粉末を得るための前記複数の粉末供給源の供給量の比率を決定する、コントローラと、
該比率に従って前記供給量を調整するための各粉末供給源に関連する粉末フローディスペンサと
を備えている、3次元(3D)オブジェクトを生成するための積層造形装置。
【請求項10】
前記アッセイの各々が、
前記入力粉末が1つの前記粉末供給源から前記ブレンダへと通過する透明チャンバと、
該透明チャンバ内に紫外線を送る紫外線源と、
該透明チャンバ内の粉末を通過する紫外線を検出する光度計と
を含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記紫外線源が、所定の波長範囲の紫外線を送るフィルタリングされた紫外線源を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
命令を格納した非一時的なマシン読み取り可能記憶媒体であって、該命令が、3次元(3D)積層造形装置のプロセッサにより実行された際に、
3Dオブジェクトの指定された材料強度を受信し、
複数のタイプの入力粉末を混合して3Dオブジェクトのための粉末混合物を形成し、
該混合中に、各タイプの入力粉末が一体化した後の各タイプの入力粉末の材料強度値を決定し、及び、
該決定された前記各タイプの入力粉末の前記材料強度値と前記3Dオブジェクトの前記指定された材料強度とに基づいて、該各タイプの入力粉末の入力比率を調整して、前記粉末混合物が一体化した後の前記指定された材料強度を有する前記粉末混合物を形成する
ことを前記3D積層造形装置に行わせる、マシン読み取り可能記憶媒体。
【請求項13】
前記各タイプの入力粉末の材料強度値を決定することが、
該各タイプの入力粉末の吸光度を測定し、及び、
該各タイプの入力粉末の該吸光度を材料強度値と相関付ける
ことを含む、請求項12に記載のマシン読み取り可能記憶媒体。
【請求項14】
前記吸光度を測定することが、
前記粉末が通過する透明チャンバ内に所定の波長範囲の紫外線を送り、及び、
該透明チャンバ内の該粉末を通過する紫外線を光度計で検出する
ことを含む、請求項13に記載のマシン読み取り可能記憶媒体。
【請求項15】
前記3Dオブジェクトの指定された材料強度を受信することが、該3Dオブジェクトの異なる部分について異なる材料強度を指定する該3Dオブジェクトの強度プロファイルを受信することを含む、請求項12ないし請求項14の何れか一項に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
積層造形プロセスは、所与のディジタルモデルからパターン化された材料の層毎の蓄積及び一体化を提供することにより3次元(3D)オブジェクトを生成することができる。例えば、3Dプリンティングでは、連続する複数の材料層のディジタル処理でパターン化された複数の部分を、焼結、押出、及び照射を含むプロセスを介して、融合、結合、又は凝固により互いに接合させることが可能である。かかるシステムにより生成されるオブジェクトの品質、強度、及び機能は、使用される積層造形技術のタイプに大きく依存するものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】3D積層造形システムの一例を示す斜視図であり、該システムでは、インラインアッセイ(in-line assays)が複数の供給源からの粉末の材料特性を評価することが可能であり、これにより指定された材料強度の粉末混合物を生成するための該供給源の供給率のリアルタイム調整を可能とする。
【
図2】混合された造形粉末の材料強度を測定し制御するために単一のインラインアッセイが用いられる3D積層造形システムの代替例を示す斜視図である。
【
図3】3次元(3D)オブジェクトの例示的なプリント方法300を示すフローチャートである。
【
図4】3次元(3D)オブジェクトの例示的なプリント方法400を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0003】
添付図面を参照して本開示の幾つかの例について説明する。全図にわたり、同一の符号は、同様の(必ずしも同一ではない)要素を示す。
【0004】
積層造形プロセスによっては、粉末造形材料をプラットフォーム上に積層し、及び各層毎に融合させて3次元(3D)オブジェクトを形成することが可能である。該融合は、材料を焼結させることにより又は材料を完全に溶融させることにより粉末造形材料を共に結合させるよう熱を加えることを含むことが可能である。各層における粉末材料の選択された部分を加熱し、該選択された部分を溶融させて、3Dオブジェクトの1つの断面にすることが可能である。粉末材料の選択された部分を加熱することはまた、該選択された部分を、前に融合された下方に位置する断面層に融合させる(すなわち、結合させる)ことが可能である。実例によっては、各粉末層の選択された部分を加熱することは、レーザーを使用して粉末を溶融させ又は焼結させることにより達成することが可能である。実例によっては、粉末の選択された部分を加熱することは、液体融剤を塗布し、次いで粉末を融解エネルギーに曝すことにより達成することが可能である。液体融剤は、融解エネルギーを吸収して、粉末の選択された部分を焼結点又は完全溶融点まで加熱させることが可能である。
【0005】
いずれの場合も、各粉末層における造形粉末の非融合部分が、融合した3Dオブジェクトの周りに残留することができる。非融合粉末は、焼結又は溶融を引き起こすだけの高温まで加熱されていない。しかし、非融合粉末はかなりの加熱を受けており、これは、緩く結合したケーキ状構造(cake-like structure)を形成し得るものであり、再び粉砕して粉末にして再利用し、又はリサイクルすることが可能である。リサイクルされる粉末は、新しい粉末と混合され、その後、3Dプリントジョブで再び使用されて、更なる3Dオブジェクトを形成することが可能である。このプロセスを通じて、粉末は、何度も使用されリサイクルされることが多い。再使用される度に、粉末は著しく加熱され、続いて冷却される。加熱及び冷却サイクルは、粉末の強度を含む粉末の幾つかの材料特性を劣化させることが知られている。このため、リサイクルされる粉末は最大の材料強度よりも幾分低い強度を有するものとなり、一方、純粋に新しい粉末は最大の材料強度を有するものであるとみなすことができる。
【0006】
選択的レーザー焼結(SLS)装置及び3Dプリンティング装置といった積層造形装置のユーザは、3Dオブジェクトを製造するために使用される粉末造形材料の強度を知ることに関心がある。3Dプリントジョブによっては、純粋に新しい粉末を使用して最大強度を有するオブジェクトを製造することが重要となり得るが、他のジョブでは、新しい粉末とリサイクルされた粉末(以下、リサイクル粉末と称す)とを混合したものを使用して、最大強度よりも幾分小さい強度を有するオブジェクトを生成することが許容され得る。粉末造形材料に関するコストのため、特定の3Dプリントジョブのために適切な材料強度を維持しつつ可能な限り多くのリサイクル粉末を使用するという経済的なインセンティブが存在する。しかし、リサイクル粉末の供給は、様々な回数及び/又は未知の回数だけリサイクル粉末の混合を含むことが多い。この不確実性は、特定の3Dプリントジョブに対して所定の材料強度を達成するために、リサイクル粉末と新しい粉末との如何なる容積混合を用いるべきかを任意の精度で決定しようとするときに問題を呈するものとなる。
【0007】
したがって、本書で説明する例によっては、積層造形装置及び方法は、複数の入力粉末の混合を制御して、3Dオブジェクトの指定された材料強度を満たす材料強度を有する混合された粉末(以下、混合粉末と称す)を生成することを可能にする。例によっては、混合されるべき任意の不均一な粉末造形材料を含むことができる複数の粉末供給源の各々の供給出力にインラインアッセイが配備される。各アッセイは、該粉末の材料特性をリアルタイムで絶えず評価し、該粉末の材料特性は、例えば、ルックアップテーブルを介して該粉末の材料強度と関連付けることが可能である。評価し粉末の材料強度と関連付けることができる材料特性の一例が、粉末の分光吸光度である。3Dオブジェクトのユーザにより指定された材料強度と、各供給源からの異なる粉末について決定された材料強度とを使用して、3Dオブジェクトの指定された材料強度を達成する粉末混合物を生じさせるものとなる比率を計算して、各供給源からの粉末供給率を制御することが可能である。各粉末供給源から混合される粉末の材料強度の進行中の(ongoing)決定は、粉末供給率を更新するための進行中の計算を可能にする。この継続的に更新される比率は、粉末混合物において指定された材料強度を達成するために各供給源から到来する粉末の供給率の継続的な調整を可能にする。
【0008】
いくつかの例では、各粉末供給源の供給出力にインラインアッセイを1つずつ配備する代わりに、混合粉末の出力に単一のインラインアッセイを配備することが可能である。該単一のインラインアッセイは、混合粉末の材料強度に関連付けることが可能な混合粉末の材料特性(例えば、分光吸光度)をリアルタイムで継続的に評価する。この混合粉末について行われる継続的な強度測定は、粉末混合物から所望の材料強度を達成するために各供給源から到来する粉末の量を継続的に調整するために使用することが可能な粉末供給比の進行中の計算を可能とする。
【0009】
特定の例では、3Dオブジェクトの積層造形のための造形粉末を提供する方法は、複数の入力粉末を混合して3Dオブジェクトを生成するための混合粉末にし、該混合の間に、各入力粉末の材料強度値を決定することを含む。各入力粉末の材料強度値に基づき、混合粉末における指定された材料強度を達成するための複数の入力粉末の比率からなる比率が計算される。入力粉末の供給量は、該比率に従って調整される。
【0010】
別の例では、3Dオブジェクトを生成するための装置は、複数の粉末供給源からの複数の入力粉末を混合するためのブレンダと、各入力粉末の材料特性を測定するための各供給源に関連付けられたアッセイとを含む。該装置のコントローラは、該測定された材料特性を使用して、指定された材料強度を有する混合粉末を達成するための複数の粉末供給源についての供給量の比率を決定することが可能である。各供給源に関する粉末フローディスペンサは、該比率に従って供給量を調整することが可能である。
【0011】
別の例では、非一時的なマシン読み取り可能記憶媒体が複数の命令を含み、該命令は、3次元(3D)積層造形装置のプロセッサにより実行された際に、該装置に3Dオブジェクトのための指定された材料強度を受信させる。該装置は、複数の入力粉末を混合して3Dオブジェクトのための粉末混合物を形成し、及び各入力粉末の材料強度を決定することが可能である。各入力粉末の材料強度及び3Dオブジェクトの指定された材料強度に基づいて、該装置は、各入力粉末の入力比を調整して、指定された材料強度を有する粉末混合物を形成する。
【0012】
図1は、3D積層造形システム100の一例を示す斜視図であり、該システムでは、インラインアッセイが、複数の供給源からの粉末の材料特性を評価して、指定された材料強度の粉末混合物を生成するための供給源の供給率のリアルタイム調整を可能にする。図示の例では、3D積層造形システム100は3Dプリンティングシステム100からなる。しかし、選択的レーザ焼結を用いるシステムといった他の3D積層造形システムもまた適当な例として考えられる。
【0013】
例示的な3Dプリンティングシステム100は、3Dオブジェクト(
図1には図示せず)をプリントすることが可能な作業スペース104に対する床として働くことが可能な可動プリンティングプラットフォーム102又は造形プラットフォーム102を含む。作業スペース104は、造形プラットフォーム102の周りの固定壁105(前壁105a、側壁105b、後壁105c、側壁105dとして示す)を含むことが可能である。固定壁105及びプラットフォーム102は、3Dオブジェクトのプリント中に作業スペース104内に各層毎に堆積された所与の体積の粉末造形材料を含むことが可能である。この説明のため、及び3Dプリンティングシステム100の様々な要素及び機能の例示を助けるために、作業スペース104の前壁105aは透明のものとして示されている。プリント中に、作業スペース104内の造形体積は、液体融剤及び融解エネルギー(例えば、放射線)の適用により処理された粉末の層により形成される3Dオブジェクトの全部又は一部を含むことが可能である。該造形容積はまた、作業スペース104内の3Dオブジェクトを取り囲んで支持する未処理の粉末を含むことが可能である。
【0014】
造形プラットフォーム102は、上向き矢印106及び下向き矢印108によりそれぞれ示すように、上方向及び下方向に作業スペース104内を移動することが可能である。3Dオブジェクトのプリンティングが開始されると、造形プラットフォーム102は、粉末造形材料112の第1の層がプラットフォーム102上に堆積されて処理される際に、作業スペース104の上部に向かって上方の位置に配置することが可能である。粉末の第1の層が処理された後、プラットフォーム102は、供給源110からの粉末造形材料112の更なる層がプラットフォーム102上に堆積されて処理される際に、下方向108に移動することが可能である。
【0015】
例示的な3Dプリンティングシステム100は、粉末造形材料112の供給源110を含む。粉末造形材料112は、以下で一層詳細に説明するように、異なる複数の粉末供給源116からの複数の異なる粉末を混合することにより形成することが可能な混合粉末112を含む。混合粉末112は、3Dオブジェクトの製造に適した様々な材料から作られた粉末材料を含むことが可能である。かかる粉末材料は、例えば、ポリマー、ガラス、セラミックス(例えば、アルミナ、Al
2O
3)、ヒドロキシアパタイト、金属などを含むことが可能である。プリンティングシステム100は、供給源110からの粉末112をスプレッダ114を使用して作業スペース104内に広げて、造形プラットフォーム102上に及び/又はその他の以前に堆積された粉末の層上に、粉末112を複数の層へと制御可能な態様で広げることが可能である。スプレッダ114は、例えば、ローラ、ブレード、又はその他のタイプの材料拡散装置(spreading device)を含むことが可能である。図示しないが、実例によっては、造形プラットフォーム102上に混合粉末112を塗布する際に該造形プラットフォーム102上に供給源110及び粉末スプレッダ114を運ぶために、該供給源110及び粉末スプレッダ114にキャリッジを関連付けることが可能である。
【0016】
混合粉末112を供給源110に供給するために、例示的な3Dプリンティングシステム100は、複数の粉末供給源116(供給限116a,116bとして示す)を含む。
図1の例では、2つの粉体供給源S1,S2が示され、符号116a,116bで示されている。しかし、他の例では、更なる粉末供給源を使用することが可能である。各粉末供給源116は、3Dプリンティングプロセスで以前に使用されていない新しい粉末、又は任意の回数だけ使用され再使用された複数の粉末の混合物とすることが可能なリサイクル粉末の何れかである造形粉末を含む。いくつかの例では、供給源116内のリサイクル粉末の組成は、過去の3Dプリントジョブの加熱及び冷却サイクルを介して粉末がリサイクルされた回数に関して供給の最初と最後で著しく異なる粉末の不均質な混合物とすることが可能である。各粉末供給源116は、その供給源116から供給源110への粉末の流量を制御するための関連する粉末フローディスペンサ118を含む。該フローディスペンサ118は、供給源116からの粉末の連続的かつ制御可能な流れを可能にする回転シャフト若しくはブレード又はその他のサーボ機構を含む様々な態様で実施することが可能である。
【0017】
各フローディスペンサ118は、本書で交互に言及するように、アッセイ装置120又は単にアッセイ120を介して、それぞれの供給源116から供給源110に粉末を供給する。各アッセイ装置120(アッセイ装置120a,120bとして示す)は、キュベット等の透明の又は光学的に透き通った通過(pass-through)チャンバ122(チャンバ122a,122bとして示す)を含み、粉末は該通過チャンバ122を介して供給源から供給源110へと通過することが可能である。通過チャンバ122は、紫外線(UV)光に対して光学的に透明であり、粉末がチャンバを通過する際に、それぞれのUV光源124(UV光源124a,124bとして示す)からのUV光が粉末上に入射することを可能にする。チャンバ122内の粉末を通過するUV光は、光度計126により検出することが可能である。
【0018】
光度計126(光度計126a,126bとして示す)は、チャンバ122内の粉末サンプルを通過するUV光の量を検出することが可能である。いくつかの例では、光度計126は、フォトダイオード検出器、電荷結合素子(CCD)、又はその他の同様の光検出装置を含むことが可能である。異なる例では、光度計126は、目標とする光の波長で機能することが可能であり、又は特定波長での検出を可能にするためにフィルタを使用して特定の範囲の波長で機能することが可能である。光度計126により行われた光の測定は、チャンバ122内の粉末の透過率(transmittance)の尺度となる。該測定された透過率は、粉末の吸光度(absorbance)を決定するために使用することが可能であり、これは、該粉末により吸収される光の量の指標である。したがって、透過率は、試料を通過する光の量として直接測定することができる粉末の特性であり、吸光度は、試料により吸収される光の量として間接的に測定される粉末の特性である。いくつかの例では、チャンバ122内の粉末サンプルから反射される光から反射率を測定することが可能である。反射率は、吸光度を決定するための一態様として測定することが可能である粉末の特性でもある。粉末の吸光度は、例えば、以下で説明するルックアップテーブルを介して、粉末の材料強度と相関づけることが可能である。
【0019】
各UV光源124は、特定の波長又は波長範囲の光ビームを送出することが可能である。いくつかの例では、UV光源124は、特定の波長又は波長範囲のUV光を発するUV LED(発光ダイオード)を含むことが可能である。いくつかの例では、UV光源124は、光源が特定の波長又は波長範囲の光ビームを送出することを可能にする構成要素(個別には図示しない)を含む分光計として機能することが可能である。例えば、各光源124は、100〜400ナノメートルの広範囲の波長をカバーするUVスペクトルの光を提供するUVランプ又は電球を含むことが可能である。いくつかの例では、UVランプ又は電球は、280〜315ナノメートルの波長をカバーするUVB範囲等の一層限定された範囲のUV光を提供することが可能である。光源124内のコリメータレンズは、UV光を1本の光ビームへと集束させることが可能であり、該光ビームはプリズムを通過して複数の波長へと分割される。次いで、光源124内の波長セレクタが該複数の波長をフィルタリングして、特定の波長のUV光が光源124から出ることを可能にする。
【0020】
異なる実施例では、粉末供給源116により供給される粉末材料のタイプに応じて、光源124から発せられる光の波長を変化させることが可能である。ここで説明する例のようないくつかの例では、光源124から発せられる光の波長は、約310ナノメートルのUVB範囲内とすることが可能である。約310ナノメートルの波長で、供給源116からのポリアミド12(PA-12)粉末は、吸光度の増大した応答を示すことが分かっている。したがって、PA-12粉末の場合、約310ナノメートルの波長のUV光の使用は、他の波長よりも一層正確な吸光度の測定を提供することが可能である。他の例では、供給源116からの異なるタイプの粉末又は造形材料が、異なる波長で増大した吸光度を示すことが可能である。
【0021】
図1に示すように、粉末が供給源116から分配されて分析装置120により評価されると、該粉末はブレンダ128を通過し混合されて混合粉末112となり、3Dオブジェクトをプリントすべく3Dプリンティングシステムで使用するために供給源110内に堆積される。異なる例では、ブレンダ128は、空気ブレンダ(air blender)、回転シャフト又はブレードミキサー(blade mixer)、又は複数の粉末を均一な粉末混合物112に混合することが可能な他の適当な粉末ブレンダとして実施することが可能である。
【0022】
上述のように、3Dオブジェクトをプリンティングすることは、造形プラットフォーム102上で粉末112の複数の層を堆積させ及び処理することを含む。粉末112の一層の処理は、液体エージェントディスペンサ130で液体エージェントを層上に堆積させることを含む。他のタイプの液体ディスペンサを使用することは可能であるが、本書で図示し説明する例示的なディスペンサ130は、造形プラットフォーム102上を走査して粉末ベッド上に融剤その他の液体を選択的に供給するドロップオンデマンドプリントヘッド130を含む。ドロップオンデマンドプリントヘッドの例として、液体噴射ノズルのアレイを含むサーマルインクジェットプリントヘッド及び圧電インクジェットプリントヘッドが挙げられる。いくつかの例では、プリントヘッド130は、該プリントヘッド130が造形プラットフォーム102の全奥行き132に及ぶことを可能にする長さ寸法を有する。このため、該プリントヘッド130は、造形プラットフォーム102上での該プリントヘッド130の単一の走査を介して、ページ全体又はプラットフォーム全体にわたる粉末ベッドをカバーすることが可能である。
【0023】
図1は、プリントヘッド130の走査運動(矢印133で示す)の一例を示している。いくつかの例では、プリントヘッド130にキャリッジ(図示せず)を関連付けて、造形プラットフォーム102上の粉末層上への液体エージェントの塗布時に該造形プラットフォーム102上で該プリントヘッド130を搬送することが可能である。いくつかの例では、破線で示すプリントヘッド表現134により示すように、プリントヘッド130をプラットフォーム102上を走査するように制御することが可能である。
図1の例で示すように、プリント時、プリントヘッド130が作業スペース上を走査して融剤その他の液体の液滴136をオブジェクトの層上に噴出すると、3Dオブジェクトの一部が作業スペース104内に存在することになる。
【0024】
プリントヘッド130からの噴出に適した融剤の例として、放射線吸収剤を含む水性分散液が挙げられる。放射線吸収剤は、赤外線吸収剤、近赤外線吸収剤、又は可視光吸収剤とすることが可能である。いくつかの例では、融剤136は、放射線吸収剤としてカーボンブラックを含むインクタイプの調合物とすることが可能である。染料ベース及び顔料ベースの着色インクは、可視光吸収剤を含むインクの例である。
【0025】
図1に示すように、例示的な3Dプリンティングシステム100はまた、放射線源138などの融解エネルギー源を含む。放射線源138は、粉末の加熱及び融解を容易にするために、作業スペース104内の粉末層に放射線Rを加えることが可能である。融剤136は、放射線Rの吸収を高め及び吸収された放射線を熱エネルギーに変換するためにプリントヘッド130により粉末層に選択的に適用することが可能であり、これにより、硬化(例えば、融解、結合、焼結)を生じさせるのに十分な温度まで粉末の温度を上昇させることが可能となる。放射線源138は、様々な態様で実施することが可能であり、例えば、硬化ランプとして、又は、IR、近IR、UV、又は可視光を放射する発光ダイオード(LED)として、又は特定の波長を有するレーザとして実施することが可能である。放射線源138は、プリンティングプロセスで使用される融剤及び/又は粉末のタイプに部分的に依存するものとすることが可能である。いくつかの例では、放射線源138は、キャリッジ(図示せず)に取り付けて作業スペース104を横切って走査させることが可能である。
【0026】
例示的な3Dプリンティングシステム100は、例示的コントローラ140を更に含む。該コントローラ140は、例えば、作業スペース104内に粉末を制御可能な態様で広げる、粉末の複数の部分に融剤136を選択的に塗布する、及び粉末を放射線Rに暴露させるといった、一般に上述したような3Dオブジェクトのプリンティングを容易にするように、プリンティングシステム100の様々な動作を制御することが可能である。更に、コントローラ140は、以下で一層詳細に説明するように、供給源116から供給源110への粉体の流量を制御して混合粉末112の特定の材料強度を達成するように、粉末フローディスペンサ118を制御することが可能である。
【0027】
例示的なコントローラ140は、プロセッサ(CPU)142及びメモリ144を含むことが可能である。コントローラ140は、3Dプリンティングシステム100の様々な構成要素と通信し、及び該構成要素を制御するための他の電子装置(図示せず)を更に含むことが可能である。例えば、かかる電子装置として、別個の電子部品及び/又はASIC(特定用途向け集積回路)が挙げられる。メモリ144は、揮発性メモリ要素(すなわちRAM)及び不揮発性メモリ要素(例えば、ROM、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、磁気テープ、フラッシュメモリなど)の両方を含むことが可能である。メモリ144の構成要素は、マシン読み取り可能符号化プログラム命令、データ構造、プログラム命令モジュール、JDF(ジョブ定義フォーマット)、3MFフォーマットのデータ、及び3Dプリンティングシステム100のプロセッサ142により実行可能な他のデータ及び/又は命令のための記憶手段を提供することが可能な非一時的なマシン読み取り可能(例えば、コンピュータ/プロセッサ読み取り可能)媒体を含むことが可能である。
【0028】
メモリ144に格納される実行可能命令の例として、造形モジュール146及び粉末制御モジュール148に関連する命令が挙げられ、一方、格納されるデータの例として、オブジェクトデータ150が挙げられる。一般に、モジュール146,148は、作業スペース104内での3Dオブジェクトのプリンティングに関連する複数の動作(例えば、特定の材料強度を有する混合粉末112を提供するために供給源116からの粉末の流量を制御すること)を3Dプリンティングシステム100に実行させるためにプロセッサ142により実行することが可能なプログラミング命令を含む。かかる動作は、例えば、
図3及び
図4に関して以下で説明する方法300,400の動作を含むことが可能である。
【0029】
いくつかの例では、コントローラ140は、コンピュータ等のホストシステムからオブジェクトデータ150を受信することが可能である。オブジェクトデータ150は、例えば、3Dプリンティングジョブを定義するオブジェクトファイル、又は3Dプリンティングシステム100でプリンティングされるべき3Dオブジェクトモデルを表すことが可能である。造形モジュール146からの命令を実行すると、プロセッサ142は、オブジェクトデータ150からの3Dオブジェクトモデルの各断面スライス毎にプリントデータを生成することが可能である。該プリントデータは、例えば、融剤が粉末に塗布される場所及び該粉末を融解させるために融解エネルギーを適用する態様を定義することが可能である。プロセッサ142は、該プリントデータを使用して、プリンティングシステム100の構成要素を制御して、粉末の各層を処理することが可能である。このため、オブジェクトデータは、スプレッダ114による供給源110から造形プラットフォーム102上への粉末112の拡散、プリントヘッド130による粉末の各層上への融剤の塗布、粉末の各層に対する放射線源138による放射線の照射などを制御するためのコマンド及び/又はコマンドパラメータを生成するために使用することが可能である。
【0030】
粉末制御モジュール148は、3Dプリンティングシステム100が特定の3Dオブジェクトのための指定された強度を満たす材料強度を有する粉末混合物を調製することを可能にする更なる実行可能な命令を含む。モジュール148からの命令を実行するプロセッサ142は、ユーザインタフェイス152を介して、3Dオブジェクトのためのユーザにより指定された材料強度を受信することが可能である。代替的に、データ150からの3Dプリントジョブが、3Dオブジェクトのための指定された材料強度を含むことが可能である。複数の供給源116から分配される粉末の材料特性(例えば、UV分光吸光度)を測定し、及び該測定された特性に基づいて該複数の供給源116からの供給率を調整することにより、指定された材料強度を達成するように粉末混合物112を制御することが可能である。プロセッサ142は、各粉末の透過率を測定するようアッセイ装置120を制御するための命令を実行する。該透過率は、吸光度へと変換され、次いで、例えば粉末制御モジュール148内に格納されたルックアップテーブルを介して特定の材料強度と相関付けされる。プロセッサ142は、指定された材料強度と、複数の供給源116からの各粉末毎に決定された材料強度とを使用して、各供給源116から分配される粉末の供給量を制御するための比率を計算することが可能である。
【0031】
例示的な実証として、プリンティングシステム100が2つの粉末供給源116a,116bを有しており、及び該システムがそのユーザインタフェイス152を介して次の3Dプリントジョブのためのユーザにより指定された40メガパスカル(MPa)の材料強度を受信するものと仮定する。供給源116から分配される入力粉末について測定された透過率値を使用して、各入力粉末の材料強度を決定することが可能である。2つの入力粉末の材料強度が、供給116aからは46MPa、供給源116bからは38MPaであると仮定すると、次のように比率を決定することが可能である。
【0032】
46x+38(1-x)=40
x=0.25
ここで、xは供給源116aにより供給される粉末の割合であり、1-xは供給源116bにより供給される粉末の割合である。したがって、この例では、供給源116からの粉末の供給量の比率は、供給源116aから25%、供給源116bから75%となる。この粉末入力の比率は、粉末混合物112及び該粉末混合物112からプリントされた3Dオブジェクトのユーザ指定による40MPaの材料強度を達成するものとなる。
【0033】
図2は、3D積層造形システム100の代替的な例の斜視図を示しており、該システム100では、単一のインラインアッセイを使用して混合造形粉末の材料強度を測定し制御する。システム100は、
図1のシステム100に関して上述したものと同一の又は同様の態様で機能する。しかし、複数の粉末供給源116からの各粉末を測定するために別個のアッセイ装置120を使用するのではなく、複数の入力粉末が混合された結果として得られた粉末混合物112だけの材料特性(例えば、透過率)を単一のアッセイ装置120を使用して測定する。粉末混合物112の測定された材料特性は、ルックアップテーブルを介して粉末混合物112の材料強度と相関付けることが可能である。例えば、ユーザインタフェイス152を介してユーザにより指定された材料強度を、粉末混合物112の現在の測定された材料強度と絶えず比較し、該測定された粉末混合物112の材料強度を該指定された材料強度と等しくするように各供給源116から混合される粉末の割合を調整することが可能である。この例では、複数の粉末供給源116のうちの1つが、最大強度である新しい粉末を有するものとなる。
【0034】
図3及び
図4は、3次元(3D)オブジェクトをプリントするための例示的な方法300,400を示すフローチャートである。方法300,400は、
図1及び
図2に関して上述した例に関連し、方法300,400で示す処理の細部は、かかる例の関連する説明に見出すことができる。方法300,400の動作は、
図1に示すメモリ144といった、非一時的なマシン読み取り可能(例えば、コンピュータ/プロセッサ読み取り可能)媒体に格納されたプログラミング命令として実施することが可能である。いくつかの例では、方法300,400の動作の実施は、メモリ144内に格納されたプログラミング命令を読み出して実行するプロセッサ(
図1のプロセッサ142等)により達成することが可能である。いくつかの例では、方法300,400の動作の実施は、ASIC及び/又はその他のハードウェア要素を単独で使用して、又はかかるハードウェア要素をプロセッサ142により実行可能なプログラミング命令と組み合わせて使用して、達成することが可能である。
【0035】
方法300,400は、2つ以上の実施態様を含むことが可能であり、方法300,400の異なる実施態様は、
図3及び
図4のそれぞれのフローチャートに示す全ての操作を用いないことが可能である。したがって、方法300,400の操作は、それぞれのフローチャートで特定の順序で提示されるが、それらの提示の順序は、それら操作を実際に実施することができる順序に関する制限、又はかかる操作の全てを実施することが可能であるか否かに関する制限を意図したものではない。例えば、方法400の1つの実施態様は、1つ以上の後続の操作を実行することなく複数の初期操作の実行を介して達成することが可能であり、一方、方法400の別の実施態様は、全ての操作の実行を介して達成することが可能である。
【0036】
図3を参照すると、3次元(3D)オブジェクトの積層造形のために造形粉末を供給するための例示的な方法300は、ブロック302で開始し、入力粉末を混合して3次元オブジェクトを生成するための混合粉末にする。いくつかの例では、入力粉末の混合粉末への混合は、第1の粉末供給源からの新しい粉末を第2の粉末供給源からのリサイクル粉末と混合することを含む。ブロック304に示すように、かかる混合中に、各入力粉末の材料強度を決定することが可能である。材料強度の決定は、ブロック306に示すように、入力粉末の材料特性値を測定し、及び所定のルックアップテーブルを介して該材料特性値を材料強度値に相関付けることを含むことが可能である。ブロック308に示すように、材料特性値を測定することは、入力粉末にUV光を送ること、入力粉末を通過するUV光の量を光度計で検出して入力粉末の透過率値を決定すること、及び該透過率値を吸光度値へと変換することを含むことが可能である。いくつかの例では、ブロック310,312にそれぞれ示すように、指定された材料強度は、3Dオブジェクトの異なる部分に異なる材料強度を割り当てる指定された材料強度プロファイルを含み、及び入力粉末の比率を計算することは、3Dオブジェクトのプリント中に該3Dオブジェクトの異なる部分の各々毎に入力粉末の比率を再計算することを含む。
【0037】
方法300は、ブロック314に示すように、混合粉末の指定された材料強度を達成するために複数の入力粉末の比率を計算することを含み、該計算は、各入力粉末の材料強度値に基づくものとなる。いくつかの例では、指定された材料強度は、3Dプリンティング装置のユーザインタフェイスを介して受信することが可能である。この方法は、ブロック316に示すように、変更され指定された材料強度をユーザインタフェイスを介して受信し、ブロック318に示すように、該変更され指定された材料強度を達成するために入力粉末の比率を再計算することを含むことが可能である。次いで、ブロック320に示すように、再計算された比率に従って入力粉末の供給量を調整することが可能である。ブロック322,324,326にそれぞれ示すようないくつかの例では、本方法は、少なくとも1つの入力粉末の変更された材料強度値を判定し、該変更された材料強度値に基づいて粉末混合の指定された材料強度を達成するための複数の入力粉末の比率を再計算し、該再計算された比率に従って複数の入力粉末の供給量を調整することを含むことが可能である。
【0038】
図4のフローチャートを参照すると、3Dオブジェクトの積層造形のための造形粉末を供給するための例示的な方法400は、ブロック402で開始して、3Dオブジェクトのための指定された材料強度を受信する。該指定された材料強度は、例えば、ユーザインタフェイスを介して又は3Dオブジェクトのオブジェクトファイルを介して受信することが可能である。いくつかの例では、3Dオブジェクトの指定された材料強度を受信することは、3Dオブジェクトの異なる部分の異なる材料強度を指定する3Dオブジェクトの強度プロファイルを受信することを含むことが可能である。ブロック404に示すように、方法400は、複数の入力粉末を混合して3Dオブジェクトのための粉末混合物を形成することを含む。該方法は、ブロック406に示すように、各入力粉末の材料強度を決定することを含む。いくつかの例では、ブロック408に示すように、材料強度の決定は、各入力粉末の吸光度を測定することを含むことが可能である。吸光度を測定することは、ブロック410,412に示すように、粉末が通過する透明チャンバ内に所定の波長の紫外線を送り、該チャンバ内の粉末を通過する紫外線を光度計で検出することを含むことが可能である。
【0039】
材料強度を決定することはまた、ブロック414に示すように、各入力粉末の吸光度を材料強度と相関付けることを含むことが可能である。各入力粉末の材料強度と3Dオブジェクトの指定された材料強度とに基づいて、ブロック416に示すように、各入力粉末の入力比率を調整して、指定された材料強度を有する粉末混合物を形成することが可能である。