(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィラメントが立体的に絡み合う長尺状のフィラメント3次元結合体を所定長さに切断して得られる短冊状のマットレス用芯材であって、該芯材におけるマットレス幅方向の少なくとも一端部に、マットレス長手方向に沿って、該芯材の厚み方向硬さの長手方向の変化の目安となるマーキング材が、断続的に挿入されていることを特徴とするマットレス用芯材。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参考にして、本発明を説明する。
図1は、フィラメント3次元結合体製造装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
フィラメント3次元結合体製造装置は、
図1に示すように、相互に送受信可能な通信回線や情報サーバー等を介して繋がる、3次元結合体形成手段1と、分割体重情報取得手段2とを主体として構成されている。
【0017】
3次元結合体形成手段1は、溶融樹脂供給部(押出機10)と、口金(ノズル部21)を含む溶融フィラメント形成部(ダイ)20と、フィラメント密度制御手段を含む3次元結合形成部(成形機)30と、前記分割体重情報取得手段2から送信される分割体重情報取を取得する分割体重情報受信部40とからなり、具体的には、後述する
図2に示すような構成をとる。
【0018】
分割体重情報取得手段2としては、たとえば
図3(a)に示す、撮影した人体の画像を基に、演算により分割体重情報を間接的に求める方法や、
図3(b)に示すような、複数の体重計等を用いて、分割体重情報を直接的に測定する方法などが用いられる。なお、
図1においては、前記撮像により分割体重情報を求める方法を採用した分割体重情報取得手段2が、工場等に設置された3次元結合体形成手段1とは距離の離れた遠隔地(たとえばショールームや営業所等)に配置され、通信回線やサーバー等を介して、前記3次元結合体形成手段1と接続される例を示している。
【0019】
前記3次元結合体形成手段1の具体例(実機)は、
図2に示すように、押出機10を含む溶融樹脂供給部と、水槽33内に設置されたフィラメント3次元結合体(符号3DFで記載)の搬送経路とからなる。なお、
図2では、通信ケーブル等の通信手段や、コンピュータ等の制御手段など、フィラメント3次元結合体の作製に直接関与しない装置の図示を省略している。
【0020】
溶融樹脂供給部(押出機10)は、ホッパー11(材料投入部)と、スクリュー12、スクリューモーター13、スクリューヒーター14a,14b,14c、材料排出部15とを備え、前記ホッパー11から供給された熱可塑性樹脂が、シリンダー10a内で溶融し、溶融フィラメント形成部20(ダイ)に向けて、材料排出部15から溶融樹脂として排出される。
【0021】
溶融フィラメント形成部20は、複数のノズル部21を有する口金と、ダイヒーター22,23とを備え、前記押出機10の材料排出部15(排出口)からダイ導流路20aに供給された溶融樹脂は、ノズル部21に形成された複数のノズルから鉛直下方に向けて、溶融フィラメント(符号MFで記載)として排出される。
【0022】
3次元結合形成部30は、冷却水を蓄える水槽33と、前記溶融フィラメント(MF)が3次元ネット状に絡まり結合したフィラメント3次元結合体(3DF)を、その3次元(立体)形状と厚みを保ったまま冷却するための無端コンベア32a,32bとを備える。前記複数のノズルの直下で、かつ、該無端コンベア32a,32b間の上方にあたる位置には、溶融フィラメント(MF)の滞留を促す受け板(傾斜状の案内板31a,31b)が設けられており、この案内板31a,31bの上面で、該溶融フィラメントが一旦(一瞬)滞留して重なり合うことにより、前記溶融フィラメント(MF)どうしの絡まり結合が生じるようになっている。
【0023】
そして、前記傾斜状の案内板31a,31b間で3次元形状を付与された溶融フィラメント(MF)は、コンベア駆動モーター35(図示省略)で駆動される前記無端コンベア32a,32bにより、所定の速度で無端コンベア32a,32b間に引き取られ、その厚みが整えられた状態を保ったまま、冷却される。
【0024】
なお、各フィラメントの線条は比重が軽く、水面に浮いてしまうため、無端コンベア32a,32bは水中に設置されている。そして、これら水に浮いたフィラメントを、各無端コンベア32a,32b間に挟みこんで下方(水中)に引き込んで、一続き(長尺状)の網状構造体(フィラメント3次元結合体)を形成していくのである。
【0025】
また、前記無端コンベア32a,32bは、上下一対のローラーに、1枚の無端ベルトを掛けたものであり、それを駆動する前記コンベア駆動モーター35は、図示しないモーター回転コントローラー36により制御されて、所定の角速度で回転する。無端ベルトとしては、無端チェーンに金属性の板材を固定した無端ベルト(スラットコンベア)や、無端チェーンに金網を固定した無端ベルトが使用できる。前記モーター回転コントローラー36によるフィラメント密度制御については、後記で説明する。
【0026】
ついで、前記無端コンベア32a,32bの下端から水中に排出されたフィラメント3次元結合体(3DF)は、
図2に示すように、各搬送ローラー34a,34b,34c,34d,34eからなる水槽33内の搬送経路を通るうちに完全に冷却され、駆動力を有する搬送ローラー34f,34gにより、前記水槽33から取り出される。
【0027】
水槽33から取り出された、長尺状のフィラメント3次元結合体(3DF)は、作業者が待機する作業台(図示省略)へと誘導され、回転刃を有するカッター等により、製品長手方向に一定の長さで、製品幅方向に切断され、1枚の短冊状フィラメント3次元結合体製品(マットレス用芯材)が製造される。
【0028】
前記構成のフィラメント3次元結合体の製造装置および製造方法の特徴は、前記3次元結合形成部(成形機)30が、前記分割体重情報に基づいて、フィラメント密度制御手段(フィラメント密度制御工程)を有する点にある。
【0029】
このフィラメント密度制御手段は、溶融フィラメント(MF)を引き取る無端コンベア32a,32bのコンベア駆動モーター35と、このコンベア駆動モーター35の回転速度を制御するモーター回転コントローラー36と、前記モーター回転コントローラー36に、分割体重情報を変換した制御用データを伝達するコンピュータ(データ受信部41,演算部42等)とからなる。
【0030】
なお、フィラメント3次元結合体製造装置の3次元結合形成部(成形機)30が、前述のように3次元結合体のフィラメント密度を無端コンベア32a,32bの引き取り速度で制御する様式のため、前記フィラメント密度制御手段を、コンベア駆動モーター35およびモーター回転コントローラー36としたが、他の様式でフィラメント密度を制御する製造装置の場合、制御手段として用いられる手段(装置における部)は異なる。
【0031】
たとえば、溶融フィラメントの供給量(吐出量)で密度制御を行う場合は、スクリューモーター13の回転数制御で行うことがでる。また、フィラメントの径(φ)で密度制御を行う場合は、前記スクリューモーター13の回転数の他、口金(ノズル部21)の開孔径、口金と案内版31a,31bとの距離や、口金または案内版31a,31bから水槽33の水面までの距離等を変化させることにより行うこともできる。さらに、フィラメント3次元結合体の全厚(厚み方向の厚さ)で制御する場合は、前記無端コンベア32a,32b間の間隙調整や、前記水槽33の水温調節で行ってもよい。
【0032】
上記構成により、フィラメント3次元結合体製造装置は、工程の諸条件を変えることなく、通常製品に続けて、フィラメント密度変化の異なる一点物(オーダーメイド品)を作製することができる。また、工程の部品交換やそれに伴う準備時間の発生等がなく、余分な材料の消費や余計な廃材の発生等もない。したがって、フィラメント3次元結合体の製造装置および製造方法は、前記オーダーメイド品を、効率的に製造することができる。
【0033】
なお、フィラメント3次元結合体の材料として用いることのできる熱可塑性樹脂として、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン66などのポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいは、スチレン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等を用いることができる。また、これらの樹脂やエラストマーはブレンドして用いることもできる。
【0034】
つぎに、分割体重情報取得手段2には、先に述べたように、撮影した人体の画像を基に、演算により分割体重情報を間接的に求める方法が用いられる。
【0035】
図3(a)は、フィラメント3次元結合体製造装置に用いられる分割体重情報取得手段2の一の例を示す模式図である。
【0036】
分割体重情報取得手段2は、分割体重情報取得部50と、分割体重情報送信部60とを有し、身体の身長方向〔頭頂部から踵方向に向かう身長軸方向であり、製品の流れ(長手)方向〕の体重分布を、前記身長軸に直交する仮想平面で、所定の間隔でブロックごとに分割して取得し、このブロックごとの分割体重情報を、人の頭頂部を基点とする身長軸方向の距離と関連付けて記録するとともに、得られた分割体重情報を、通信回線等を介して、前記3次元結合体形成手段1の分割体重情報受信部(データ受信部41)に伝達する。
【0037】
分割体重情報取得部50は、身体の立体画像を撮影するための3D画像撮影装置51と、3D画像撮影装置51を支えるカメラ支柱52と、カメラ支柱52を水平方向(人の周りを囲う半円状)に移動可能に支持する支柱台座53と、を含む。
【0038】
分割体重情報送信部60は、3D画像撮影装置51で取得した画像データを立体画像(身体の座標情報)に変換した後、身体の長さ(身長軸)方向において、基点(頭頂部)からの距離に関連づけられた分割体重情報を算出するための画像処理部61と、分割体重情報を、通信回線やサーバー等を介して、工場等に設置の3次元結合体形成手段1に送るデータ送信部62と、を含む。
【0039】
つぎに、前記分割体重情報取得手段2(3D画像撮影装置51)を用いた分割体重情報の取得方法と、その分割体重情報の利用、すなわち、分割体重情報を前記3次元結合体形成手段1におけるフィラメント3次元結合体の製造に、どのように適用するかについて説明する。
【0040】
図4は、フィラメント3次元結合体の製造手順の一の例を示すフローチャートである。また、
図5(a)は分割体重情報の算出方法を示す図であり、
図5(b)はその分割体重情報を製造条件(フィラメント密度の変化)に変換した例を説明する図である。なお、分割体重情報(データ)は、各手段(または装置の一部を表す「部」)の間を伝達されながら、各部で順次処理される。そのため、フローチャートの各ブロックの左肩には、
図1のブロック図と同じ符号を括弧付きで付して、処理を担当する部を明らかにしている。各部の機能については、説明が重複するため、省略する。
【0041】
本製造方法においては、ステップS1において、3D画像撮影装置(カメラ)51でユーザーを撮影し、身体の立体画像データ(身体の座標データ)を取得する。この時、撮影時のユーザーの姿勢としては、立ち姿勢が理想的な寝姿勢に近いことから、立ち姿勢が好ましい。なお、寝姿勢で画像データを取得する場合、腕の重さは、腰部や腹部の体圧分布に直接影響を与えないことから、該腕の部分の画像データを、身体の立体画像データから除去してもよい。
【0042】
つぎに、ステップS2において、画像処理部61で、立体画像データを、頭頂部を基点として予め規定する所定の区間(身体の長さ方向に垂直な2平面間)ごとに分け、各区間の体積(分割体積情報)を算出した後、比重を1と仮定して分割体重情報を算出し、分割区間情報Lnと分割体重情報Wnに変換する〔
図5(a)を参照〕。
【0043】
ついで、ステップS3で、得られた分割区間情報Lnと分割体重情報Wnを、データ送信部62から、3次元結合体形成手段1のデータ受信部41へ送る。
【0044】
ステップS4において、3次元結合体形成手段1の分割体重情報受信部の演算部42で、分割区間情報Lnと分割体重情報Wnのデータを加工し、予め定められた規定の方法に従って、複数のセグメントB1〜B4に分割する〔
図5(b)および「表1」を参照〕。
【0045】
たとえば下記の「表1」に示すように、得られた詳細な分割体重情報(複数のブロック)をまとめたものを「セグメント」と呼び、このセグメント単位で、フィラメント密度を制御している。
【0047】
なお、頭頂部から身長の30%分の長さ区間をB1、頭頂部から身長の30%〜60%長さ区間をB2、頭頂部から身長の60%〜100%長さ区間をB3、それ以外をB4と規定して4つのセグメントに分割する方法(分割方法1)を採用しているが、分割するセグメントの数や分割方法に制限はなく、前記以外の方法であってもよい。
【0048】
複数のセグメントに分割する他の方法としては、たとえば、頭頂部(基点)から累積体重の30%分の長さ区間をB1、頭頂部から累積体重の30%〜60%長さ区間をB2、頭頂部から累積体重の60%〜100%長さ区間をB3、それ以外をB4とする方法(分割方法2)や、分割体重情報の各単位区間を、1セグメントにする方法、すなわち、分割区間数とセグメント数を同じにする方法(分割方法3)、あるいは、身長と体重情報から、規定の方法によりセグメントを算出する方法、たとえば、頭頂部から身長の30%分の長さ区間をB1、頭頂部から身長の30%〜60%長さ区間をB2、頭頂部から身長の60%〜100%長さ区間をB3、それ以外をB4として、W1を体重の25%、W2を体重の50%、W3を体重の25%と算出する方法(分割方法4)などがあげられる。
【0049】
つぎに、ステップS5において、分割区間情報Lnと分割体重情報Wnから、各セグメントのセグメント長さ情報SLnとセグメント体重情報SWnを算出(積算)する。
【0050】
ついで、ステップS6で、セグメント長さ情報SLnとセグメント体重情報SWnから、所定の変換式(ここでは、SPn=SWn/SLn)を用いて、セグメント圧力情報SPnを算出する。
【0051】
ステップS7で、セグメント圧力情報SPnから、所定の変換式を用いて、セグメント硬さ指数SKnに変換する。変換式としてSKn(=SPn×0.3+0.92)を用いているが、3次元結合体形成手段1の仕様や、フィラメント(熱可塑性樹脂)材料の種類によって変わるため、最適な変換式は、予め集めておいた実験データを基に作成される。また、全セグメントに対して同じ変換式を用いているが、各セグメントごとに、異なる変換式を作成してもよい。
【0052】
ステップS8では、SPnから、セグメントごとに所定の変換式(ここでは、SSn=1/SKn)を用いて、モーター回転速度比SSnに変換する。モーター回転速度比SSnとは、所定の硬さを得るための基準モーター回転速度(BMS)を補正するための係数であり、[搬送モーター回転速度MS=搬送モーター基準回転数BMS×モーター回転速度比SSn]である。前記モーター回転速度比SSnの値が大きくなると、モーター回転速度MSは速くなり、モーター回転速度比SSnの値が小さくなると、モーター回転速度MSは遅くなる。
【0053】
つぎに、ステップS9において、所定の長さL0のセグメントB0を、オフセット区間として、セグメントB1の前に追加する〔
図5(b)を参照〕。オフセット区間の長さとしては、ユーザーがマットレス(その芯材であるフィラメント3次元結合体3)に横たわった際の頭上スペースに相当する長さであるが、一般的に10cm〜20cmに設定するのが好ましい。
【0054】
ついで、ステップS10では、セグメントB0(オフセット区間)のモーター回転速度比SS0を、SS1と同じ値に設定し、セグメントB4のモーター回転速度比SS4を、SS3と同じ値に設定する。セグメントB0およびセグメントB4の硬さを、それぞれセグメントB1およびセグメントB3と同じ硬さに設定することで、頭上と足元でマットレスの硬さが変化しないようにしているが、このような仕様には特に制限はなく、好みに合わせて自由に設定してもよい。
【0055】
最後に、ステップS11では、モーター回転速度比SSn(SS0〜SS4)を用いて、コンベア駆動モーター35の回転数を制御する。モーター回転速度が速いほど、フィラメント密度が低くなり、フィラメント3次元結合体(マットレス用芯材)は軟らかくなる。逆に、モーター回転速度は遅い程、フィラメント密度が高くなり、フィラメント3次元結合体(マットレス用芯材)は硬くなる。これにより、マットレス(芯材)の硬さの分布が、各ユーザーの体重分布にマッチしたオーダーメイド品を得ることができる。
【0056】
なお、分割体重情報取得手段2の分割体重情報取得部50として、立体画像を撮影する3D画像撮影装置51を用い、得られた画像を変換して分割体重情報を得たが、本発明における分割体重情報の取得方法は、これに限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。たとえば、別の様式の分割体重情報取得部150として、
図3(b)に示すような、所定の間隔で水平に並べられた複数の体重計(圧力計)151を用いてもよい。この場合、前記複数の体重計151に接続された分割体重情報送信部60から、3次元結合体形成手段1に向けて送信された分割体重情報は、実測値であるため、前記フィラメント3次元結合体の製造方法のステップS2(
図4のフローチャートのS2)は行われず、手順は、製造方法のステップS4(
図4のフローチャートのS4)からスタートする。また、前記複数の体重計151に代えて、圧力センサを用いてもよい。各圧力は寝姿勢の状態で測定することが好ましいので、寝姿勢を保持できるマットの上に各圧力センサを設置するのが好ましい。
【0057】
さらにまた、ユーザーの分割体重情報を取得した後、既定の方法に従って所定のデータ(分割区間情報Lnと分割体重情報Wn)に変換し、変換したデータを通信手段を介してフィラメント3次元結合体製造装置側に送り、送られたデータをフィラメント3次元結合体製造装置側で規定の方法に従ってフィラメント3次元結合体製造装置の動作を制御するための制御パラメータ(モーター回転速度比SSn)に変換しているが、通信手段を介して送られるデータとしては、予め情報通信方法に関する規格を決めていれば特に制限はなく、取得したユーザーの分割体重情報のままであってもよいし、フィラメント3次元結合体製造装置の動作を制御するための制御パラメータにまで変換したデータであってもよい。また、ユーザーの分割体重情報としては、測定したデータのままであってもよいし、ユーザーの要望等により補正したデータであってもよい。
【0058】
図6は、フィラメント3次元結合体製造装置における3次元結合体形成手段の要部を拡大して示す図である。また、
図7(a),
図7(b)は、ともに、フィラメント3次元結合体製造装置で得られたフィラメント3次元結合体(実施形態のマットレス用芯材)の上面図である。なお、
図6においては、同じ機能を有する構成部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。また、
図7(a),
図7(b)は、ともに、2台のマーキング材投入手段を用いて、マットレス用芯材の両縁部にマーキング材を挿入した実施形態である。
【0059】
図6に示すように、フィラメント3次元結合体製造装置の3次元結合体形成手段1’が、前述の3次元結合体形成手段1と異なる点は、前記溶融フィラメント(MF)どうしの融着より上流側の位置、すなわち、溶融フィラメント(MF)の滞留を促す受け板(傾斜状の案内板31a,31b)が配設されている、複数のノズルの直下でかつ該無端コンベア32a,32b間の上方(上流)にあたる位置に、溶融フィラメントとは異なるマーキング材Aを投入するマーキング材投入手段(溶融マーキング材供給ノズル24)が設けられている点である。
【0060】
また、前記マーキング材は、前記分割体重情報に基づいて、前記フィラメント密度制御手段(モーター回転コントローラー36およびそれに繋がるコンピュータ等)が、フィラメント3次元結合体の製品流れ方向のフィラメント密度を変化させるのと連動して、その変化点に投入される。
【0061】
そして、マーキング材が挿入された尺状のフィラメント3次元結合体(3DF)は、作業者が待機する作業台(図示省略)へと誘導され、前記マーキング材の挿入位置を目安として、回転刃を有するカッター等(切断手段)により、製品長手方向に所定の位置で、製品幅方向に切断され、1枚の短冊状フィラメント3次元結合体製品からなるマットレス用芯材が製造される。
【0062】
なお、マーキング材としては、溶融フィラメント(MF)と同じ熱可塑性樹脂(ポリエチレン等)を着色したものを用いることができる他、着色剤として塗料や有色粒子等を使用したもの、糸状,ひも状の天然繊維、人工繊維、導電繊維、金属繊維等を使用することもできる。なかでも、溶融フィラメントと同一組成の樹脂からなる着色樹脂を、マーキング材として使用すれば、フィラメント3次元結合体をリサイクルする際に、マーキング材料を分別する手間が省け、好ましい。
【0063】
また、前記マーキング材投入手段の数は限定されず、例えば複数の色や材料(材質)等にそれぞれ対応した複数のノズルを設けてもよい。マーキング材が紛体や粒状体である場合は、マーキング材投入手段を、間欠動作可能なシューターとしてもよい。
【0064】
前記実施形態では、溶融マーキング材供給ノズル24が1本の3次元結合体形成手段1’を例示しているが、前記切断作業における視認のし易さ等を考慮すると、前記溶融マーキング材供給ノズル24は、その両側(案内板31a側および案内板31b側)に設けてもよい。
【0065】
前記のようにして製造されたフィラメント3次元結合体からなるマットレス用芯材103,113は、たとえば
図7(a)のように、ユーザーがマットレスに横たわった際の頭上スペース(オフセット区間)に相当する部位(マーキング位置103a,103b)と、フィラメント密度が高く「硬い」部分に相当する部位(マーキング位置104a,104b)とに、それぞれ、対応する長さのマーキング材が挿入されている。
【0066】
また、他の例としては、たとえば
図7(b)のように、ユーザーがマットレスに横たわった際の頭上スペース(オフセット区間)に相当する部位とそれに続く「軟らかい」部位との境界(マーキング位置113a,113b)と、「硬い」部位と「軟らかい」部位との境界(マーキング位置114a,114bおよび115a,115b)とに、それぞれ、フィラメント密度の変化点の目安として投入してもよい。
【0067】
前記構成により、得られたフィラメント3次元結合体の製品流れ方向(長手方向)のフィラメント密度の変動を、作業者が目視により確認することが可能になる。また、このフィラメント密度の変化(変動)の、切断後の製品における長手方向一端部からの距離(人の頭部位置の、マットレス端部からのオフセット区間の長さ)と、その後のフィラメント密度の変化が、前記分割体重情報に基づく設定どおりのものであるか否かを、製造者が目視により確認することができる。
【0068】
また、得られた本発明のマットレス用芯材(フィラメント3次元結合体)によれば、前記マーキング材によるマーク,サイン,目安等により、当該マットレス用芯材が、オーダーされた仕様どおりになっていることを、容易に目視で確認することができる。さらに、前記マーキング材によるマーク,サイン,目安等により、前記のようなマットレス端部からの頭部位置のオフセット区間の長さや最適就寝位置の確実な明示が可能になる。
【0069】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。