(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
第一実施形態の電子装置の一例であるコンピュータについて、図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1〜
図3に示すように、第一実施形態のコンピュータ22は、筐体24を有する。筐体24は、
図1〜
図3に示す例では、直方体の箱状の部材である。
【0011】
筐体24の内部には、プロセッサや制御回路、主記憶装置等を搭載した基板や、補助記憶装置、接続端子等が収容される。接続端子には、ディスプレイ、キーボード及びマウス等の入出力装置を接続することができる。さらに、ネットワーク用の端子を備え、ネットワークに接続することが可能な構造でもよい。
【0012】
筐体24において、前面24Fは長方形状であり、たとえば、接続端子が設けられている。筐体24は、設置面SF(
図3参照)において、前面24Fが縦向きとなる置き方、いわゆる縦置きが可能である。たとえば、
図1は、筐体24を縦置きした状態である。これに対し、
図2及び
図3は、筐体24が縦置きの状態から、幅方向(矢印W方向)に傾いた状態である。
【0013】
以下において、筐体24の上下方向、幅方向及び奥行方向というときは、筐体24を縦置きしたときの上下方向、幅方向及び奥行方向を意味し、図面において、それぞれ矢印U、矢印W及び矢印Dで示す。
図2及び
図3では、筐体24が傾いているので、矢印Wで示す方向も、設置面SFに対し所定の角度をなす(平行ではない)状態である。
【0014】
筐体24を縦置きした状態で、筐体24を前面24F側から矢印A1向に見て、側方すなわち幅方向(矢印W方向)の両側に位置する2つの面は、側面24Sである。
【0015】
筐体24には、補助脚26が設けられている。補助脚26は、突出部材の一例である。本実施形態では、1つの側面24Sあたり、奥行方向(矢印D方向)に離間して2つ、筐体24の全体では4つの補助脚26が設けられている。補助脚26は、後述するように、筐体24が傾いたときに筐体24の荷重の一部を支持して筐体24の倒れを抑制するように、補助的に機能する。
【0016】
補助脚26の上部には、回転軸28が設けられている。補助脚26は、筐体24に対し回転軸28を中心として回転可能に取り付けられている。
【0017】
図2に示すように、筐体24には、上下方向に延在するベース29が配設されている。ベース29は、その水平断面が、側面24S側に開放された略U字状の部材である。ベース29の内部は、補助脚26を収容する収容凹部30である。補助脚26は、回転軸28を中心とした回転と、上下方向への移動により、
図1に示す収容位置SPと、
図2及び
図3に示す突出位置TPとの間で移動する。
【0018】
補助脚26は、収容位置SPでは補助脚26の外面26Gが筐体24の側面24Sと同じ平面に位置しており、いわゆる面一の状態である。これに対し、突出位置TPでは、補助脚26の下端26B側が筐体24の側面24Sから突出している。
【0019】
図4及び
図5に示すように、回転軸28は、円柱状の軸本体32を有しており、さらに、この軸本体32の長手方向の両側に設けられた直方体状の一対のスライド片34を有している。
【0020】
筐体24には、収容凹部30の両側に、スライド片34を上下方向にスライド可能に保持する一対のスライド溝36が形成されている。スライド溝36は、スライド部材の一例である。
【0021】
スライド片34のそれぞれが、対応するスライド溝36に保持された状態で、軸本体32の長手方向は、筐体24の奥行方向(
図1及び
図2の矢印D方向)と一致する。そして、この状態でスライド片34が上下方向にスライドすることで、軸本体32も上下方向にスライドする。軸本体32の上下方向のスライド範囲は、スライド片34がスライド溝36内でスライド可能な範囲に制限される。
【0022】
図2〜
図4に示すように、補助脚26と筐体24との間には、リンク38が架け渡されている。筐体24とリンク38の間には、板バネ40が配置されている。板バネ40は、第一付勢部材の一例である。
【0023】
板バネ40は、リンク38を矢印F1方向(
図2参照)へ付勢している。これによって、補助脚26は、リンク38を介して、収容位置SPから突出位置TPへ回転する方向(矢印R2方向)への力を受けている。ただし、後述するロック部材42により、補助脚26は通常状態では収容位置SPでロックされている。
【0024】
補助脚26が収容位置SPにある状態から、回転軸28を中心として突出位置TPへ向かって回転すると、リンク38により、回転軸28は下方へスライドする。回転軸28が下方へスライドしない構造と比較して、このように回転軸が下方へスライドすると、突出位置TPにおける補助脚26の下端26Bの位置が低い。なお、筐体24からの補助脚26の突出量は、スライド片34がスライド溝36の下端に接触することで、所定範囲に制限される。
【0025】
筐体24の内部には、補助脚26のそれぞれに対応して、ロック部材42が設けられている。
【0026】
図4、
図6及び
図7に示すように、ロック部材42は、第一シリンダ44及び第二シリンダ46を有する。本実施形態では、第一シリンダ44及び第二シリンダ46は円筒状に形成されており、第一シリンダ44が第二シリンダ46の内部に、同軸で収容されている。第一シリンダ44及び第二シリンダ46の共通の中心線を中心線CL−1とする。
【0027】
第一シリンダ44及び第二シリンダ46において、いずれも軸方向の一方の端部はそれぞれ底板44B、46Bによって閉塞されているが、他方の端部は開放された開放部44A、46Aである。第一シリンダ44及び第二シリンダ46は、開放部44A、46Aが、補助脚26の上部に対し、奥行方向(矢印D方向)で対向する向きに配置されている。
【0028】
第一シリンダ44の内部には、開放部44A側にロック片48が収容され、底板44B側に回転体50が配置されている。
【0029】
回転体50は円筒状の部材であり、第一シリンダ44と同軸に配置されている。回転体50は、第一シリンダ44内で中心線CL−1を中心として矢印R3方向(
図7参照)に回転可能である。
【0030】
回転体50には、下方へ向けて錘部材52が延出されている。錘部材52は、第一シリンダ44及び第二シリンダ46の貫通孔44C、46Cを通る腕部54と、この腕部54の下端に設けられた錘本体56とを有している。錘本体56に作用した重力により、回転体50は中心線CL−1を中心として、錘本体56が下に位置するように回転する。
【0031】
貫通孔44C、46Cと腕部54との間には、回転体50の周方向に所定の隙間が生じている。回転体50は、この隙間の範囲で回転できる。
【0032】
ロック片48は円柱状の部材であり、補助脚26と対向する先端部48Tの下側に傾斜面58が形成されている。
【0033】
ロック片48の外周面には軸方向に沿って突条60が形成されている。この突条60は、第一シリンダ44の内周面に形成された凹溝62に収容されている。これにより、ロック片48は、矢印R3方向には回転不能であり、矢印S3方向にガタ付き無くスライドするようにガイドされる。突条60及び凹溝62は、第一回転抑制部材の一例である。
【0034】
ロック片48は、
図4に示す係合位置KPと、
図9に示す係合解除位置RPとの間でスライドする。ロック片48は、係合位置KPでは、先端部48Tが回転軸28のスライド片34の下側に係合しており、回転軸28の下方へのスライドを阻止する。これに対し、ロック片48は、係合解除位置RPでは、スライド片34の係合を解除しており、回転軸28は下方へスライド可能である。
【0035】
図12に示すように、スライド片34は、ロック片48よりも下にある状態から上昇しようとすると、傾斜面58に下側から接触する。この状態でスライド片34がさらに上昇しようとすると、傾斜面58により、スライド片34から作用する上向きの力が、係合解除方向(
図12における左向き)の力に変換される。すなわち、上昇するスライド片34に押されて、ロック片48が係合解除位置RPへ向かって移動する。
【0036】
回転体50の内部には、ロック片48との間に、引張コイルバネ64が配置されている。引張コイルバネ64は、ロック片48に対し、係合解除位置RPへ向かう方向(矢印F2方向)のバネ力を作用させており、第二付勢部材の一例である。
【0037】
第一シリンダ44内には、保持部材66が設けられている。保持部材66は、回転体50と、ロック片48において回転体50との対向面に形成された第一突起66Aと、回転体50には、ロック片48との対向面に形成された第二突起66Bとを含む。
【0038】
保持部材66は、回転体50の回転角度によって、第二突起66Bの先端が第一突起66Aの先端と接触した状態(
図8参照)と、第二突起66Bが第一突起66Aから離間した状態(
図10参照)とを採り得る。
【0039】
図8に示すように、第二突起66Bの先端が第一突起66Aの先端と接触した状態では、引張コイルバネ64のバネ力に抗して、ロック片48が係合位置KPに維持される。これに対し、
図10に示すように、第二突起66Bが第一突起66Aから離間すると、引張コイルバネ64のバネ力により、ロック片48が係合解除位置RPへ移動する。
【0040】
第一突起66Aと第二突起66Bとの相対的な位置は、
図1に示すように、筐体24が傾いていない状態での回転体50の角度では、それぞれの先端が接触する。そして、
図2に示すように、筐体24が傾いた状態での回転体50の角度では、第一突起66Aから第二突起66Bが離間するよう設定されている。
【0041】
第二シリンダ46内には、第一シリンダ44の底板44Bと第二シリンダ46の底板46Bとの間に圧縮コイルバネ68が配置されている。圧縮コイルバネ68は、第一シリンダ44に対し、ロック片48が係合位置KPへ向かう方向(矢印F3方向)へのバネ力を作用させている。
【0042】
図4に示すように、第一シリンダ44には、第二シリンダ46の貫通孔46C内に入る突部44Dが形成されている。突部44Dは、第二シリンダ46の貫通孔46Cの内縁46Dと対向している。内縁46Dは、貫通孔46Cにおいて、開放部46A側の縁部である。
【0043】
これにより、第一シリンダ44の矢印F3方向への移動範囲が所定範囲に制限される。具体的には、ロック片48が矢印F2方向へ移動して係合解除位置RPにあるとき、第一シリンダ44の矢印F3方向への移動範囲は、ロック片48が確実に回転軸28(スライド片34)から係合解除される範囲に制限される。換言すれば、第一シリンダ44が矢印F3方向に過度に突出しないことで、矢印F2方向へ移動したロック片48を、回転軸28(スライド片34)から確実に係合解除できる構造が実現される。すなわち、突部44Dは制限部材の一例である。
【0044】
第一シリンダ44の外周面には軸方向に沿って突条70が形成されている。突条70は、第二シリンダ46の内周面に形成された凹溝72に収容されている。これにより、第一シリンダ44は矢印R3方向に回転不能であり、矢印S3方向にガタ付き無くスライドするようガイドされる。突条70及び凹溝72は第二回転抑制部材の一例である。
【0046】
図1に示すように、縦置きされた筐体24が傾いていない場合、錘部材52に作用した重力により回転体50が所定の回転角度をとる。この状態では、
図8に示すように、第一突起66Aの先端と第二突起66Bの先端とが接触している。引張コイルバネ64のバネ力を受けてもロック片48は係合位置KPを維持する。
図4に示すように、ロック片48はスライド片34に係合しているので、回転軸28は下方へは移動しない。板バネ40のバネ力がリンク38を介して、補助脚26に対し突出方向に作用するが、スライド片34が下方へ移動しないので、補助脚26も収容位置を維持する。
【0047】
図2に示すように、縦置きされた筐体24が傾くと、錘部材52に作用した重力によって、筐体24に対し回転体50が回転する。この状態では、
図10に示すように、第二突起66Bが第一突起66Aから離間する。引張コイルバネ64のバネ力により、ロック片48は係合解除位置RPへ移動する。
図9に示すように、ロック片48が回転軸28のスライド片34に係合しなくなるので、回転軸28は下方へスライド可能な状態となる。
【0048】
この状態で、板バネ40のバネ力により、
図11に示すように、補助脚26が回転軸28を中心として矢印R2方向へ(突出位置に向かって)回転する。補助脚26と筐体24との間にリンク38が架け渡されているので、補助脚26の回転に伴って、回転軸28が下方へスライドする。
【0049】
回転軸28のスライドは、スライド片34がスライド溝36の下端に接触することで制限される。この状態で、
図2に示すように、補助脚26は突出位置TPにある。したがって、筐体24が傾いても、補助脚26が筐体24を支持するので、筐体24の転倒を抑制できる。
【0050】
補助脚26を突出位置TPから収容位置SPへ戻すには、まず、筐体24を傾斜していない状態(縦置きの状態)に戻す。錘部材52に作用した重力によって、回転体50が回転し、第一突起66Aの先端と第二突起66Bの先端とが接触するので、ロック片48は、係合位置KPへ移動する。
【0051】
この状態で、板バネ40のバネ力に抗して、補助脚26を突出位置TPから収容位置SPへ押す。筐体24と補助脚26とはリンク38で連結されているので、回転軸28が上方へ移動する。そして、
図12に示すように、回転軸28のスライド片34が、ロック片48の傾斜面58に接触する。
【0052】
さらに補助脚26を収容位置SPへ押すと、スライド片34がロック片48を上方へ押す。傾斜面58により、スライド片34から作用する上向きの力が、係合解除方向への力に変換される。このため、ロック片48、回転体50及び第一シリンダ44は、圧縮コイルバネ68のバネ力に抗して係合解除方向へ移動する。そして、
図13に示すように、ロック片48がスライド片34のスライド範囲から退避すると、スライド片34はロック片48よりも上方までスライドする。
【0053】
図14に示すように、スライド片34がロック片48の上方に位置すると、ロック片48、回転体50及び第一シリンダ44は、圧縮コイルバネ68のバネ力により、矢印F3方向へ移動する。そして、ロック片48が係合位置KPに至る。
【0054】
本実施形態では、上記説明から分かるように、補助脚26を収容位置SPから突出位置TPへ移動させる際に、板バネ40(付勢部材の一例)のバネ力によって、突出位置TPへ移動させている。たとえば、補助脚に作用した重力によって突出位置へ移動させる構造と比較して、補助脚26は短時間で確実に突出位置TPへ移動するので、筐体24の転倒を抑制する効果が高い。
【0055】
しかも、補助脚26は、筐体24が傾斜すると確実に突出位置TPをとる。このように筐体24の転倒を抑制する効果を、コンピュータ22の利用者の判断に委ねないので、筐体24の転倒を確実に抑制できる。
【0056】
補助脚26が収容位置SPにある状態では、補助脚26は筐体24から突出していない。したがって、補助脚26が邪魔にならず、コンピュータ22の使用環境が良好である。
【0057】
補助脚26は、回転軸28及びリンク38によって筐体24に取り付けられた状態が維持されている。たとえば、筐体24を縦置きで使用する際に、筐体24に補助脚26を取り付ける必要がなく、コンピュータ22を使用する際の作業負荷が増加しない。
【0058】
補助脚26は、筐体24に対し回転軸28によって回転可能に取り付けられる。すなわち、補助脚26は回転軸28を中心とした回転により、簡単な構造で、補助脚26を収容位置SPと突出位置TPとの間で移動させることができる。
【0059】
回転軸28は、縦置きされた筐体24の上下方向にスライドする。補助脚26が突出位置TPにあるときに回転軸28を下方へスライドさせることで、補助脚26も下方へ移動する。補助脚26の下端、すなわち傾斜した筐体24の荷重を支持する部位が下方に位置するので、筐体24の傾斜角度が小さい状態で筐体24の荷重を補助脚26で支持できる。
【0060】
筐体24と補助脚26との間にはリンク38が架け渡されている。したがって、補助脚26が突出位置TPへ移動する際に、回転軸28を下方へ移動させることができる。換言すれば、回転軸28の下方への移動に伴って補助脚26が突出位置TPへ移動する構造を実現できる。
【0061】
本実施形態では、付勢部材の一例として板バネ40を用いている。すなわち、モータやアクチュエータ等の駆動源を用いず、板バネ40を用いる簡単な構造で、補助脚26を収容位置SPから突出位置TPへ移動させることができる。
【0062】
板バネ40は、筐体24と補助脚26との間に架け渡されていてもよいが、上記実施形態では、筐体24とリンク38との間に架け渡されている。リンク38における筐体24側の端部24A(
図11参照)は筐体24に対しスライドしないので、リンク38に対する板バネ40の取付状態が安定する。
【0063】
ロック部材42は、補助脚26が収容位置SPにある状態で、補助脚26自体をロックしてもよいが、本実施形態では、回転軸28の下方への移動を阻止することで、補助脚26を収容位置SPでロックしている。ロック部材42が補助脚26を直接的にロックしないので、補助脚26の形状や移動範囲に及ぼす影響が少なく、補助脚26の形状や移動範囲の自由度が高い。
【0064】
ロック部材42は、係合位置KPと係合解除位置RPとの間を移動可能なロック片48を有している。ロック片48が係合解除位置RPへ移動することで、ロック部材42による回転軸28のロックを解除できる。ロック片48は引張コイルバネ64によって係合解除位置へ付勢されているが、保持部材66により、ロック片48を係合位置KPに維持できる。そして、保持部材66によるロック片48の保持を解除した状態では、引張コイルバネ64のバネ力により、ロック片48を確実に係合解除位置RPへ移動させることができる。
【0065】
保持部材66は、回転体50と、ロック片に形成された第一突起66Aと、回転体50に形成された第二突起66Bとを含む。実質的に、回転体50とロック片48とに2つの突起を形成すれば、ロック片48を係合位置KPに保持および保持解除でき、簡易な構造である。また、回転体50の回転により、ロック片48を係合位置KPに保持および保持解除でき、複雑な機構を用いなくて済む。
【0066】
ロック片48、引張コイルバネ64及び回転体50は第一シリンダ44に収容されている。すなわち、第一シリンダ44によって、ロック片48、引張コイルバネ64及び回転体50を一体的に保持できる。
【0067】
ロック片48には突条60が形成され、この突条60が、第一シリンダ44の凹溝62に係合している。これにより、ロック片48が第一シリンダ44に対し周方向へ回転することを抑制できる。また、ロック片48を、係合位置KPと係合解除位置RPとでガタ付きなく移動するように案内できる。
【0068】
第一シリンダ44は、圧縮コイルバネ68のバネ力によって、矢印F3方向(
図7参照)へ付勢されている。矢印F3方向は、ロック片48が係合位置KPへ移動する方向である。すなわち、圧縮コイルバネ68のバネ力により、ロック片48を係合位置KPへ確実に移動させることができる。
【0069】
しかも、圧縮コイルバネ68のバネ力を受けた第一シリンダ44の移動範囲は、ロック片48が係合解除位置RPにあるとき、ロック片48が確実に回転軸28(スライド片34)から係合解除される範囲に制限される。したがって、補助脚26を突出位置TPから収容位置SPへ戻す動作により、ロック片48を、スライド片34から確実に離間させることができる。
【0070】
第一シリンダ44及び圧縮コイルバネ68は第二シリンダ46に収容されている。すなわち、第二シリンダ46によって、第一シリンダ44及び圧縮コイルバネ68を一体的に保持できる。
【0071】
第一シリンダ44には突条70が形成され、この突条70が、第二シリンダ46の凹溝72に係合している。これにより、第一シリンダ44が第二シリンダ46に対し周方向(
図6の矢印R3方向)へ回転することを抑制できる。また、第一シリンダ44を矢印軸方向(
図6の矢印S3方向)へガタ付きなく移動するように案内できる。
【0072】
ロック片48には傾斜面58が形成されている。これにより、上方へ移動するスライド片34からロック片48に作用する力を用いて、ロック片48を係合解除位置RPへ移動させることができる。補助脚26を突出位置TPから収容位置SPへ移動させる操作でロック片48を係合解除位置RPへ移動させることができ、操作性に優れる。
【0073】
上記実施形態において、筐体24は直方体の箱状である。このため、筐体24を縦置き、すると、縦長、すなわち水平方向よりも鉛直方向に長い姿勢となるため、転倒しやすい。補助脚26は筐体24を縦置きしたときに側方に位置する側面24Sに設けられているので、縦置きした状態での転倒を抑制できる。
【0074】
なお、筐体24に対し、補助脚を収容位置と突出位置とで移動させる構造としては、上記実施形態以外の構造も採り得る。たとえば、縦置きされた筐体において、鉛直方向の回転軸により、補助脚が回転する構造でもよい。この構造では、縦置きされた筐体に対し、補助脚が水平方向に回転して、収容位置と突出位置とを移動する。
【0075】
また、縦置きされた筐体において、補助脚が水平方向にスライドして、収容位置と突出位置とを移動する構造でもよい。
【0076】
上記では、電子装置の一例として、筐体24を有するコンピュータ22を挙げたが、電子装置はこれに限定されない。たとえば、電子装置は、外部記憶装置やディスプレイ、スピーカ等であってもよい。さらには、電子装置としては、1つ又は複数のサーバを搭載するサーバラックであってもよい。
【0077】
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0078】
本明細書は、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
筐体と、
前記筐体に収容される収容位置と、傾斜した前記筐体を前記筐体から突出することで支持する突出位置との間で移動可能に前記筐体に設けられる突出部材と、
前記突出部材を前記突出位置へ向けて付勢する付勢部材と、
前記突出部材を前記収容位置でロックし前記筐体が傾くとロック解除するロック部材と、
を有する電子装置。
(付記2)
前記筐体が直方体形状であり、
前記突出部材が、前記筐体を鉛直方向に縦置きとしたときに側方に位置する面に設けられる付記1に記載の電子装置。
(付記3)
前記突出部材が、前記筐体に対し回転軸を中心として回転し前記収容位置と前記突出位置との間を移動する付記2に記載の電子装置。
(付記4)
前記回転軸を、前記縦置きにした前記筐体の上下方向にスライド可能とするスライド部材を有する付記3に記載の電子装置。
(付記5)
前記筐体と前記突出部材とに架け渡され、前記回転軸の下方への移動により前記突出部材の先端側を前記筐体から突出させるリンクを有する付記4に記載の電子装置。
(付記6)
前記付勢部材が、前記筐体に対し前記リンクを前記筐体から突出する向きに付勢する付記5に記載の電子装置。
(付記7)
前記付勢部材が板バネである付記1〜付記6のいずれか1つに記載の電子装置。
(付記8)
前記ロック部材が、前記回転軸の下方への移動を阻止することで前記突出部材を前記収容位置でロックする付記5又は付記6に記載の電子装置。
(付記9)
前記ロック部材が、
前記回転軸に係合する係合位置と係合解除する係合解除位置との間を移動可能なロック片と、
前記ロック片を前記係合解除位置に付勢する第二付勢部材と、
前記ロック片を前記第二付勢部材の付勢力に抗して前記係合位置に保持し前記筐体が傾くと前記ロック片の保持を解除する保持部材と、
を有する付記8に記載の電子装置。
(付記10)
前記保持部材が、
錘部材によって回転する回転体と、
前記ロック片に設けられる第一突起と、
前記回転体に設けられて前記第一突起に接触することで前記ロック片を前記係合位置に保持し、前記回転体の回転により前記第一突起から離間する第二突起と、
を有する付記9に記載の電子装置。
(付記11)
前記ロック片、前記第二付勢部材及び前記回転体を収容する第一シリンダを有する付記10に記載の電子装置。
(付記12)
前記第一シリンダの周方向への前記ロック片の回転を抑制する第一回転抑制部材を有する付記11に記載の電子装置。
(付記13)
前記第一シリンダを、前記ロック片が前記係合位置へ向かう方向に付勢する第三付勢部材と、
前記第三付勢部材の付勢力を受けた第一シリンダの移動範囲を、前記係合解除位置にある前記ロック片が前記回転軸から係合解除される範囲に制限する制限部材と、
を有する付記11又は付記12に記載の電子装置。
(付記14)
前記第一シリンダ及び前記第三付勢部材を収容する第二シリンダを有する付記13に記載の電子装置。
(付記15)
前記第二シリンダの周方向への前記第一シリンダの回転を抑制する第二回転抑制部材を有する付記14に記載の電子装置。
(付記16)
前記ロック片に設けられ、上方へ移動する前記回転軸からの押圧力を前記ロック片が前記係合解除位置へ向かう力に変換する傾斜面を有する付記10〜付記15のいずれか1つに記載の電子装置。