(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725918
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】畦形成機
(51)【国際特許分類】
A01B 35/00 20060101AFI20200713BHJP
【FI】
A01B35/00 C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-150114(P2016-150114)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-14968(P2018-14968A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】横浜 雅透
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
【審査官】
小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−065819(JP,A)
【文献】
特開2003−070303(JP,A)
【文献】
特開2010−172204(JP,A)
【文献】
特開2003−219702(JP,A)
【文献】
特開2003−070301(JP,A)
【文献】
韓国登録特許第10−0553076(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 3/00−31/00
A01B35/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に耕耘ローターにより土を掻き上げて盛り上げ状態に供給する土盛部と、該土盛部の移動方向の後方に設けた畦成形部とを有し、該畦成形部が前記土盛部で土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら押圧し通過させて畦を成形する畦形成機において、前記畦成形部は畦上面を成形する円筒状回転体と、該円筒状回転体の一端側に取付けられ畦側面を成形する円錐状回転体とを具備し、前記円錐状回転体の表面は回転中心軸を中心とした放射状の複数枚の板状の分割片が連結されて構成されていて、前記分割片は、外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って円弧状に増大する後方側と、隣接する回転方向前方側の分割片の内面側に当接する連結部と該連結部から外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って減少した傾斜面を有する前方側とで形成され、前記傾斜面の傾斜角度は、回転径の接線に対し内側に10度乃至30度角で傾斜していて、前記分割片の後方側の回転方向後端は前記円錐状回転体の最外周位置であり、前記回転方向後端部は隣接する回転方向後方側の分割片の前記傾斜面側に前記傾斜面までの高さを有する段差部を形成した重なり部分を有して構成され、前記段差部を過ぎると連続して前記傾斜面が位置して土壌を徐々に押圧することを特徴とした畦形成機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタに装着されトラクタの側方に作業部をオフセットさせ作業を行い、旧畦を修復して新たな畦を形成する畦形成機に関する。詳細には、畦形成機の畦形成ディスクの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の畦形成機の畦形成ディスクの構成として、例えば、同一出願人による特許第3148678号公報「畦形成機」(特許文献1)、特開2015−65819号公報「畦形成機」(特許文献2)又は、特開平10−313603号公報畦塗り機」(特許文献3)が開示されている。特許文献1による畦形成機は、トラクタに装着され畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に土を盛り上げ状態に供給する土盛装置と、土盛装置の移動方向の後方に設置される畦形成装置とを有し、畦形成装置は土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所の上を回転しながら通過させる円筒回転体と、円筒回転体の回転駆動力供給側に取り付けられ回転駆動供給側にいく程径大となり、円筒回転体の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片に分割され各々の分割片は進行方向に対して前進角を設けてなり、隣接する分割片の相互は逃げ角をもち、側面視にてジグザグ状に連結される円錐回転体とからなるものである。
【0003】
また、特許文献2の畦塗り機は、円錐回転体の表面は回転軸を中心とした放射状の複数枚の分割片によって構成されていて、分割片は、外周面が回転中心軸線からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って円弧状に増大するように形成され、回転方向後端部は、円弧状外周面の各断面部における回転最外周径より内方に折り曲げられた直線状の傾斜面を有し、傾斜角度は、回転径の接線に対し内側に45度角以内の角度で折り曲げられている畦形成部の円錐回転体が開示されている。
【0004】
また、特許文献3の畦塗り機は、側面修復体は、旧畦の側面部に泥土を塗り付ける外周面を、この側面修復体の回転方向に所定の間隔をおいて回転軸を中心として回転半径を小さくした径小部及びこの径小部からこの側面修復体の回転方向と反対側に向かってそれぞれ回転軸を中心として次第に回転半径を大きくした円弧状の径大部を有する複数の泥土塗付け面にて形成され、隣接する泥土塗付け板の径小部の端縁部と径大部の端縁部との間に段差部を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3148678号公報
【特許文献2】特開2015−65819号公報
【特許文献3】特開平10−313603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
畦形成装置は、畦と直交して回転して畦上面を通過する円筒回転体と、畦側面を通過し畦側面を形成する円錐面を有する円錐回転体とからなり、円錐回転体の周速を走行車の走行速度よりも速く設定し、スリップ作用によって畦を締め固めようとするものである。前記従来技術の特許文献1の畦形成機では、さらに畦側面を堅く締め固めるために円錐回転体を放射状の分割片とし、側面視ジグザグ状として、進行方向に対して前進角を設け隣接する分割片相互は逃げ角をもって連結させ断続圧を加えて練り込んでいた。また、前記従来技術の特許文献3の畦塗り機では、特許文献1の畦形成機と同じく
図7に示すように、隣接する分割片310a(特許文献3においては泥土塗付け版67)の境界部に急激な大きな段差部316a(特許文献3においては段差部81)が形成されている。
【0007】
しかしながら、分割片の回転方向後端部が回転頂部となっていて、頂部から大きな急激な段差が形成されていることにより、頂部が成形畦面から離れる際に段差部の角により成形される畦面が引っ掻かれる現象が発生しやすく、滑らかな畦表面が形成され難いことがあった。また、
図7に示すように、回転方向後方側の段差部316aに土壌が入り込めずに空洞Sが形成され、段差部316aの頂部を過ぎた直後の部分の押圧力が不足して筋状に盛り上がり成形畦表面が滑らかにならない問題があった。
【0008】
前記問題を鑑み、特許文献2に示す畦成形機は、分割片の回転方向後端部は、円弧状外周面の各断面部における回転最外周径より内方に折り曲げられた直線状の傾斜面を設けた構成となっている。しかしながら、折り曲げ部が頂部となっているため、角部が円弧状となっていて、土質によっては叩き効果が低くなるため畦面の強度不足となる場合がある。
【0009】
このことから本発明の目的は、硬く締まった表面が滑らかな畦の形成ができる畦形成機を提供するとともに、耐久性のある畦成形部を有した畦形成機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、畦形成箇所に沿って移動され、畦形成箇所に耕耘ローターにより土を掻き上げて盛り上げ状態に供給する土盛部と、該土盛部の移動方向の後方に設けた畦成形部とを有し、該畦成形部が前記土盛部で土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所上を回転しながら押圧し通過させて畦を成形する畦形成機において、前記畦成形部は畦上面を成形する円筒状回転体と、該円筒状回転体の一端側に取付けられ畦側面を成形する円錐状回転体とを具備し、前記円錐状回転体の表面は回転中心軸を中心とした放射状の複数枚の板状の分割片が連結されて構成されていて、前記分割片は、外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って円弧状に増大する後方側と、隣接する回転方向前方側の分割片の内面側に当接する連結部と該連結部から外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って減少した傾斜面を有する前方側とで形成され、前記傾斜面の傾斜角度は、回転径の接線に対し内側に10度乃至30度角で傾斜していて、前記分割片の後方側の回転方向後端は前記円錐状回転体の最外周位置であり、前記回転方向後端部は隣接する回転方向後方側の分割片の前記傾斜面側に
前記傾斜面までの高さを有する段差部を形成した重なり部分を有して構成され
、前記段差部を過ぎると連続して前記傾斜面が位置して土壌を徐々に押圧することを特徴とした畦形成機を提案する。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、分割片は、外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って円弧状に増大する後方側と、隣接する回転方向前方側の分割片の内面側に当接する連結部と該連結部から外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って減少した傾斜面を有する前方側とで形成され、前記傾斜面の傾斜角度は、回転径の接線に対し内側に10度乃至30度角で傾斜していることにより、押圧して離れるときの引っ掻き現象や押圧された土壌が後方に押出される現象が傾斜面によって改善され、硬く締まった表面が滑らかな畦の形成ができる。また、分割片の後方側の回転方向後端は円錐状回転体の最外周位置であり、回転方向後端部は隣接する回転方向後方側の分割片の傾斜面側に重なり部分を有して構成されている構造により、傾斜面側に突設した寸法を調整すると段差寸法が変化するため、地域で異なる土質に対応した段差を有する畦成形部の円錐状回転体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例の円錐状回転体の拡大した一部断面図。
【
図2】本発明の実施例の円筒回転体と円錐回転体の平面図である。
【
図3】本発明の実施例の円筒回転体と円錐回転体の成形畦側から見た側面図である。
【
図6】本発明の円錐回転体が畦面に土壌を塗付けている状態を示した説明図である。
【
図7】従来の円錐回転体が畦面に土壌を塗付けている状態の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の一形態を、
図1乃至
図6に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例の畦形成機の円錐状回転体の拡大した一部断面図、
図2は同じく円筒回転体と円錐回転体の後面図、
図3は本発明の実施例の円筒回転体と円錐回転体の成形畦側から見た側面図、
図4は本発明の実施例の畦形成機の側面図、
図5は本発明の実施例の畦形成機の平面図、
図6は本発明の円錐回転体が畦面に土壌を塗付けている状態を示した説明図である。本例の説明においては、
図4、
図5の右側を作業進行方向前方側として説明する。
【0014】
畦形成機Aは、
図4、
図5に示されるように、フレーム1前方側にトラクタ後方の三点リンク機構に連結されるトラクタ装着部10と、トラクタ装着部10中心から側方にオフセットして設けられた作業部aが設けられ、作業部a前方側には、田面及び元畦の土壌を掘削して元畦の側面及び上面に盛り上げる土盛部2、作業部a後方側に位置して進行方向と直行する水平な回転軸により回転しながら土盛部2により盛り上げられた盛土を締め固めて元畦上に新たな畦を成形する畦成形部3が備えられている。また、本例においては土盛部2と畦成形部3の間に、元畦の上面を浅く耕耘する上面耕耘ローター4が設けられている。
【0015】
畦形成機Aを構成するフレーム1前方部は、畦形成機Aに備わるトラクタ装着部10である。畦形成機Aは、トラクタ(図示せず)の後方にトラクタ装着部10を介して取り付けられて用いられる。トラクタ装着部10は、畦形成機Aにおいて、トラクタが取り付けられる側(
図4における右側)の端部である進行方向前方側に設けられる。トラクタ装着部10には、フレーム1に固着している1個のトップブラケット上方部の前端部に設けたトップリンクピン101が上部の中央に、同じくフレーム1に固着されたロアリンクピン100、100が下部の両端に、それぞれ取り付けられていて、これらによりトラクタの三点リンク機構に連結され装着される。
【0016】
12は、入力軸である。入力軸12は、トラクタ装着部10の下方中央部に位置して前方に向け突設して設けられ、トラクタ側の駆動力の出力軸であるPTO軸(図示せず)にユニバーサルジョイント等で連結され、入力軸12後方に連結された伝動シャフト13を介してトラクタの動力を畦形成機Aの作業部aに伝動する。伝動された動力により土盛部2や畦成形部3が駆動される。
【0017】
作業部aの土盛部2と畦成形部3は、フレーム1に対し左右に回動する回動フレーム11の回動端側に回動可能に設けられていて、装着されるトラクタに対しオフセット量を調整可能である。
【0018】
土盛部2は、水平回転軸であるローター軸22に複数の掘削爪20を放射状に設け元畦側に突設した耕耘ローター23と、掘削爪20によって跳ね上げた土壌を元畦側に誘導するカバー体21を備える。掘削爪20を有するローター軸22は、トラクタからの動力により回転して田面及び元畦の一部土壌を掘削して元畦側に跳ね上げて盛土する。
【0019】
土盛部2の後方に位置する畦成形部3は、畦上面を成形する円筒回転体30と畦側面を形成する円錐回転体31により構成されていて、進行方向と直行する回転中心軸315を中心に進行速度より速く回転して、土盛部2により盛土された盛土をスリップ回転しながら進行し締固める。円錐回転体31は、畦側から田面側に向かって徐々に拡径する円錐台状となっていて、円錐回転体31頂部側に水平円筒状の円筒回転体30が外方向に向かって突設され固着されている。畦成形部3は、前記入力軸12を介して入力されたトラクタの動力により前記土盛部2のローター軸22とともに駆動される。
【0020】
円錐回転体31は、表面が回転中心軸315を中心とした放射状の複数枚の分割片310が連結されて構成されていて、分割片310は、外周面が回転中心軸315からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って円弧状に増大する後方側311と、隣接する回転方向前方側の分割片310の内面側に当接する連結部318と連結部318から外周面が回転中心軸315からの距離が回転方向前方から回転方向後方に向って減少した傾斜面312を有する前方側313とで形成され、傾斜面313の傾斜角度312aは、回転径の接線314に対し内側に10度乃至30度角で傾斜していて、分割片310の後方側の回転方向後端は円錐状回転体31の最外周位置であり、回転方向後端部は隣接する回転方向後方側の分割片310の傾斜面312側に重なり部分317を有して構成されている。回転方向の重なり部分317の長さを調整すると、回転半径方向の畦塗付け面から傾斜面312までの段差部316を調整することが容易に行えるため、使用する土質条件に合わせた円錐回転体31を製造することが容易にできる。段差部316を設けると、押圧力の強弱が繰り返し発生して、畦面を叩くような効果が得られ、強固な畦面を成形できる。段差部316の高さを調整することで、多様な土質に最適な円錐回転体31を有する畦形成機を提供できる。
【0021】
連結部318は、隣接する回転方向後方側の分割片310の前端部が回転方向前方側の分割片310の内面側に当接していて、分割片310が2重になっている。連結部318は、分割片310の回転方向後端部に位置していて、円錐状回転体31の最外周位置であり、畦を押圧して成形する反力が最も大きく作用する場所に位置する。これによって、円錐状回転体31の強度バランスがとれて、耐久性の良い円錐状回転体31とすることができる。尚、分割片310の後端部の円錐状回転体31の最外周位置で形成される稜線319は、円錐状回転体31の回転中心軸315の方向を向いている。
【0022】
図6において本発明の円錐状回転体31が畦面に土壌を塗付けていく状態を説明する。円錐回転体31は、装着したトラクタの走行によりX方向に走行するとともに、走行速度よりも速くY方向に回転してスリップした状態で土を塗付けていく。円錐回転体31は、複数の分割片310により構成されていて、
図6の(a)は分割片310の回転方向前方側313が最も畦側に近づいた後の状態であり、分割片310の後方側311の前方部が最も畦側に近い状態となっていて、外周面が回転中心軸からの距離が回転方向前方から後方に向って円弧状に増大する後方側311の形状によって、前方の土が回転抵抗により畦側に引きずり込まれるとともに、トラクタの走行により前方の土は順次押圧される。
【0023】
図6の(b)は、円錐回転体31がさらに回転して、分割片310の後方側311後端部が最も畦側に接近した状態であり、最も成形畦への押圧力が大きくなる状態である。このとき進行方向前方の土は、隣接する次の分割片310の前方側313の傾斜面312と後方側311の前方端部によって形成されるV状凹部により効率よく抱き込まれ、徐々に押圧されていく。
【0024】
図6の(c)は、さらに回転して分割片310の回転方向後端部が畦側に最も接近した状態である。このとき、分割片310の回転方向後端部は隣接する後方側の分割片310の傾斜面312側にオーバーハングした状態で重なり部分317を設けていて、この重なり部分317によって段差部316が形成され、段差によって押圧力が変化する。これによって叩き効果が得られる。段差部316を通過して押圧力が減少すると、押圧されていた土壌が押し戻された状態となり畦側から盛り上がった状態となる。しかし本例においては、段差部316を過ぎると、連続して10度乃至30度角で傾斜した傾斜面312を設けており、これによって、盛り上がりを徐々に押圧して押さえ、
図7に示した従来例のような後端部の段差部316aに空洞Sが形成されることがない。重なり部分317の長さを調節することにより、従来発生していた押圧して離れるときに急激な大きい段差部によって発生する押圧力の変化による筋状に盛り上がる現象が発生して成形畦表面が滑らかにならない現象も解消できる。このように、本発明の分割片310の形状により、成形畦への押圧力を変化させ効率よく叩き効果を持たせて強固な畦面を形成するとともに、表面が滑らかな畦を成形できる。
【0025】
傾斜面312は、円筒状回転体30側の内周端側から分割片310外周端側に向け徐々に広くなるように形成されていて、周速が速い外周側が広く、周速が遅い内周側が狭くなっている。この構成により、内側と外側の抑え込み圧を均一にできる。
【0026】
図5は作業部aがトラクタ右側にオフセットした状態で、トラクタを前進させて作業する前進作業状態を示したものである。本例の畦形成機は回動フレーム11を左側に回動させて、作業部aをトラクタ左側にオフセットさせ、さらに作業部aを反転した状態で、圃場隅部の残部を処理するためにトラクタを後進させて作業を行う後進作業状態とすることも可能である。畦成形作業は、作業部aをトラクタ側方にオフセットさせ、トラクタを元畦に平行に走行させて行う。
【0027】
畦形成作業時には、円錐回転体31の表面は傾斜している元畦側面の土盛部2で盛り上げた盛土に当接させ、この円錐回転体31を回転させるとともに進行させることで盛土を締め固めて、元畦側面上に新畦側面の傾斜面を成形する。円錐回転体31は、畦に押しつけられて畦側面を成形するための必要な強度と重量を有する。
【0028】
円筒回転体30は、水平方向の円筒状をなし、円錐回転体31の円錐台先端側に取り付けられる。円筒回転体30は、畦形成作業時には、外周を元畦上面の盛土に接しさせて回転され、新畦の上面を成形する。
【0029】
土盛部2は、畦成形部3よりもトラクタ側即ち進行方向前方側の畦成形部3直前に設置される。土盛部2は、回転軸に放射状に取り付けられた複数の掘削爪20を有するローター軸22と、カバー体21とを備える。掘削爪20は、それぞれ先端を畦傾斜面側に屈曲させて、ローター軸22に備えられる。掘削爪20は、元畦の斜面と田面の斜面裾部を掘削するとともに、掘削した土を畦側面及び上面に飛散して盛土を形成する。
【0030】
カバー体21はローター軸22の上面とローター軸22基部側と進行方向後面側を覆って設けてあり、掘削爪20が掘削する土の飛散を防止するとともに畦側に土を誘導する。このために、ローター軸22の畦側は開放されている。
【0031】
掘削刃43は、掘削する畦の斜面及び斜面下部の田面を掘削し、土を飛散させて元畦上に土を盛り上げる。これに対して、畦成形部3の円錐回転体31は、畦の側面傾斜面全面に当接されて回転され、畦の側面傾斜面を成形する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
この発明は、トラクタ等の走行機後方に装着されて側方にオフセットして畦形成作業を行う畦形成機に利用される。
【符号の説明】
【0033】
1 フレーム
10 トラクタ装着部
100 ロアリンクピン
101 トップリンクピン
11 回動フレーム
12 入力軸
13 伝動シャフト
2 土盛部
20 掘削爪
21 カバー体
22 ローター軸
23 耕耘ローター
3 畦成形部
30 円筒状回転体
31 円錐状回転体
310 分割片
311 後方側
312 傾斜面
313 前方側
314 回転径の接線
315 回転中心軸
316 段差部
317 重なり部
318 連結部
319 稜線
4 上面耕耘ローター