特許第6725969号(P6725969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6725969
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】電子制御スロットル装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/02 20060101AFI20200713BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   F02D9/02 341A
   F02D9/02 351M
   F02D11/10 Q
   F02D9/02 351J
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-138388(P2015-138388)
(22)【出願日】2015年7月10日
(65)【公開番号】特開2017-20408(P2017-20408A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100182028
【弁理士】
【氏名又は名称】多原 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100145023
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 学
(74)【代理人】
【識別番号】100105887
【弁理士】
【氏名又は名称】来山 幹雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153349
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 茂
(72)【発明者】
【氏名】溝口 哲也
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−322356(JP,A)
【文献】 特開2005−212617(JP,A)
【文献】 特開昭63−150449(JP,A)
【文献】 特開2000−110589(JP,A)
【文献】 特開2003−214223(JP,A)
【文献】 特開2003−214196(JP,A)
【文献】 特開平09−072230(JP,A)
【文献】 特開2010−133359(JP,A)
【文献】 特開2004−044475(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0059496(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00 − 29/06
F02D 41/00 − 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのスロットルバルブの開度を制御する電子制御スロットル装置であって、
前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータと、
前記スロットルバルブを閉方向に付勢するリターンスプリングと、
前記スロットルバルブを開方向に付勢するデフォルトスプリングと、
前記アクチュエータを駆動して前記スロットルバルブを開方向に駆動して前記スロットルバルブの開度が診断開度に収束するか否かを判定すると共に、前記アクチュエータによる前記スロットルバルブの駆動を停止して前記スロットルバルブの開度が全閉開度よりも大きいデフォルト開度に収束するか否かを判定する第1診断処理と、前記アクチュエータを駆動して前記スロットルバルブを閉方向に駆動して前記スロットルバルブの開度が前記全閉開度に収束するか否かを判定すると共に、前記アクチュエータによる前記スロットルバルブの駆動を停止して前記スロットルバルブの開度が前記デフォルト開度に収束するか否かを判定する第2診断処理と、を前記エンジンの始動前に実行して前記リターンスプリング及び前記デフォルトスプリングの正常若しくは異常を判定する状態判定部と、
前記第2診断処理において前記スロットルバルブの開度が前記全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を取得し、前記状態判定部により前記リターンスプリング及び前記デフォルトスプリングが正常であると判定した際に、前記全閉開度収束値を全閉基準開度値として更新する全閉基準開度更新処理を、前記全閉開度収束値を取得した前記第2診断処理に並行して前記エンジンの始動前に実行する全閉基準開度更新部と、
を有し、
前記状態判定部は、前記第1診断処理の後に前記第2診断処理を実行する、
ことを特徴とする電子制御スロットル装置。
【請求項2】
前記状態判定部は、
前記デフォルトスプリングの付勢力が前記リターンスプリングの付勢力より大きい場合に、前記第1診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲を前記第2診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲よりも大きくする、
ことを特徴とする請求項1記載の電子制御スロットル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの付勢力に対しアクチュエータの駆動力が抗するようにアクチュエータを駆動制御する電子制御スロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スロットルバルブを開閉駆動するアクチュエータと、スロットルバルブを閉方向に付勢するリターンスプリングと、スロットルバルブを開方向に付勢するデフォルトスプリングと、を有し、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの付勢力に対しアクチュエータの駆動力が抗するようにアクチュエータを駆動制御することによって、スロットルバルブの開度を目標開度にフィードバック制御する電子制御スロットル装置が提案されてきた。
【0003】
かかる電子制御スロットル装置では、イグニッションスイッチをオン状態にしてからエンジンの始動を開始する前の電子制御スロットル機構の運行前点検処理において、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理を行う。また、この異常診断処理とは別に、スロットルバルブを全閉開度まで駆動して全閉開度収束値を取得し、取得した全閉開度収束値に基づいて全閉基準開度値を更新する全閉基準開度更新処理を行う。そして、電子制御スロットル装置は、運行前点検処理を行った後にエンジンの始動を許可するか否かを判定する。かかる全閉基準開度値は、スロットルバルブの全閉ストッパへの激突を防止するために、全閉開度収束値に対して開方向にオフセットした値である。
【0004】
電子制御スロットル装置では、スロットルバルブが全閉基準開度値よりも閉方向に駆動しないようにスロットルバルブの可動範囲を制限して、スロットルバルブ、ギア及びスロットルボディ等の破損を防いでいる。
【0005】
特許文献1は、異常診断処理を行う内燃機関のスロットル制御装置に関し、基準値学習完了後に、スロットルバルブを閉方向に駆動制御し、所定時間経過後にスロットルバルブの開度が所定の診断開度に収束するか否かを判定することによって、デフォルトスプリングの異常を診断し、デフォルトスプリングの異常診断終了後に続いて、スロットルバルブを開方向に駆動制御し、所定時間経過後にスロットルバルブの開度が所定の診断開度に収束するか否かを判定することによって、リターンスプリングの異常を診断する構成を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−7115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、本発明者の検討によれば、異常診断処理においてリターンスプリング及びデフォルトスプリングに異常がないことを確認した後に、全閉基準開度更新処理を行うのは、電子制御スロットル機構に異常がない状態でなければ、全閉開度収束値を取得できないという考え方に依拠するものである。
【0008】
しかしながら、従来の構成では、異常診断処理を完了した後に全閉基準開度更新処理を行うため、運行前点検処理に要する時間を短縮できないことにより、エンジンを始動するまでに時間を要し、電子制御スロットル装置を搭載する車両の商品性を損なうことになる。
【0009】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理に並行して、全閉開度収束値を取得して全閉基準開度値を更新する全閉基準開度更新処理を実行することにより、運行前点検処理に要する時間を短縮することができ、車両の商品性を向上させることができる電子制御スロットル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の目的を達成するべく、本発明は、第1の局面において、エンジンのスロットルバルブの開度を制御する電子制御スロットル装置であって、前記スロットルバルブを駆動するアクチュエータと、前記スロットルバルブを閉方向に付勢するリターンスプリングと、前記スロットルバルブを開方向に付勢するデフォルトスプリングと、前記アクチュエータを駆動して前記スロットルバルブを開方向に駆動して前記スロットルバルブの開度が診断開度に収束するか否かを判定すると共に、前記アクチュエータによる前記スロットルバルブの駆動を停止して前記スロットルバルブの開度が全閉開度よりも大きいデフォルト開度に収束するか否かを判定する第1診断処理と、前記アクチュエータを駆動して前記スロットルバルブを閉方向に駆動して前記スロットルバルブの開度が前記全閉開度に収束するか否かを判定すると共に、前記アクチュエータによる前記スロットルバルブの駆動を停止して前記スロットルバルブの開度が前記デフォルト開度に収束するか否かを判定する第2診断処理と、を前記エンジンの始動前に実行して前記リターンスプリング及び前記デフォルトスプリングの正常若しくは異常を判定する状態判定部と、前記第2診断処理において前記スロットルバルブの開度が前記全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を取得し、前記状態判定部により前記リターンスプリング及び前記デフォルトスプリングが正常であると判定した際に、前記全閉開度収束値を全閉基準開度値として更新する全閉基準開度更新処理を、前記全閉開度収束値を取得した前記第2診断処理に並行して前記エンジンの始動前に実行する全閉基準開度更新部と、を有し、前記状態判定部は、前記第1診断処理の後に前記第2診断処理を実行する電子制御スロットル装置である。
【0012】
また、本発明は、かかる第1の局面に加えて、前記状態判定部は、前記デフォルトスプリングの付勢力が前記リターンスプリングの付勢力より大きい場合に、前記第1診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲を前記第2診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲よりも大きくすることを第の局面とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の局面における電子制御スロットル装置においては、エンジンのスロットルバルブの開度を制御する電子制御スロットル装置であって、スロットルバルブを駆動するアクチュエータと、スロットルバルブを閉方向に付勢するリターンスプリングと、スロットルバルブを開方向に付勢するデフォルトスプリングと、アクチュエータを駆動してスロットルバルブを開方向に駆動してスロットルバルブの開度が診断開度に収束するか否かを判定すると共に、アクチュエータによるスロットルバルブの駆動を停止してスロットルバルブの開度が全閉開度よりも大きいデフォルト開度に収束するか否かを判定する第1診断処理と、アクチュエータを駆動してスロットルバルブを閉方向に駆動してスロットルバルブの開度が全閉開度に収束するか否かを判定すると共に、アクチュエータによるスロットルバルブの駆動を停止してスロットルバルブの開度がデフォルト開度に収束するか否かを判定する第2診断処理と、をエンジンの始動前に実行してリターンスプリング及びデフォルトスプリングの正常若しくは異常を判定する状態判定部と、第2診断処理においてスロットルバルブの開度が全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を取得し、状態判定部によりリターンスプリング及びデフォルトスプリングが正常であると判定した際に、全閉開度収束値を全閉基準開度値として更新する全閉基準開度更新処理を、全閉開度収束値を取得した第2診断処理に並行してエンジンの始動前に実行する全閉基準開度更新部と、を有し、状態判定部は、第1診断処理の後に第2診断処理を実行することにより、運行前点検処理に要する時間を短縮することができ、エンジン始動までの時間が短縮され、車両の商品性を向上させることができる。
【0014】
また、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する際に、スロットルシャフトや駆動ギヤに塗布されているグリース等の潤滑剤の粘性をより低くすることができ、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの故障診断に必要な電力を抑制することができる。
【0015】
本発明の第の局面における電子制御スロットル装置においては、前記状態判定部は、前記デフォルトスプリングの付勢力が前記リターンスプリングの付勢力より大きい場合に、前記第1診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲を前記第2診断処理における前記スロットルバルブの駆動範囲よりも大きくするものであるため、スロットルバルブ
の固着のチェックが可能であると共に、スロットルシャフトや駆動ギヤに塗布されているグリース等の潤滑剤の粘性をより低くすることができ、リターンスプリング又はデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理に必要な電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置のエンジン始動判断処理の流れを示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置の異常診断処理及び全閉基準開度更新処理の詳細な流れを示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置の運行前点検の処理の流れを示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における電子制御スロットル装置につき、詳細に説明する。
【0018】
<電子制御スロットル装置の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態における電子制御スロットル装置の構成につき、詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る電子制御スロットル装置1は、図示を省略する車両、典型的には自動二輪車に搭載され、スロットルバルブ機構2、スロットル開度センサ3、アクセル開度センサ4、及びECU(Electronic Control Unit)8を備えている。
【0021】
スロットルバルブ機構2は、車両の図示を省略するエンジンの吸気系に配設されて、エンジン内部への空気の流入量を調整するスロットルバルブ21を駆動するものである。スロットルバルブ機構2は、ギア22を介してスロットルバルブ21を開閉駆動するモータ23と、スロットルバルブ21を閉方向に付勢するリターンスプリング24と、リターンスプリング24の付勢力よりも大きい付勢力でスロットルバルブ21を開方向に付勢するデフォルトスプリング25と、を備えている。ギア22及びモータ23は、スロットルバルブ21を駆動するアクチュエータとして機能する。スロットルバルブ機構2は、スロットルバルブ21がデフォルト開度から閉方向に駆動する状態においてリターンスプリング24がスロットルバルブ21に対して付勢力を与えない機構を有し、スロットルバルブ21がデフォルト開度から開方向に駆動する状態においてスロットルバルブ21はデフォルトスプリング25の付勢力に実質的に抗しない機構を有していると共に、スロットルバルブ21がデフォルト開度に収束した状態においてリターンスプリング24及びデフォルトスプリング25の両方がスロットルバルブ21に対して付勢力を与える機構を有している。スロットルバルブ21は、アクチュエータ駆動回路82がバッテリBから電力の供給を受けていない通電オフのときにはデフォルト開度の位置に停止している。
【0022】
ECU8は、車両に搭載されたバッテリBから供給される電力を利用して動作し、車両の各種構成要素を制御自在な制御装置である。また、ECU8は、リレー81と、アクチュエータ駆動回路82と、制御部83と、データの記憶装置であるRAM84、ROM85及びEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)86と、を備えている。アクチュエータ駆動回路82は、バッテリBから電力の供給を受けてモータ23を駆動する。アクチュエータ駆動回路82の動作は、制御部83によって制御される。制御部83は、リレー81とアクチュエータ駆動回路82との間の電圧値(バッテリ電圧)をモータ23の駆動電圧として検出する。
【0023】
制御部83は、ROM85に記憶されている所定の制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムをRAM84に一時的に記憶させながら、読み出した制御プログラムに従って動作する。制御部83は、運行前点検処理を行い、運行前点検処理の処理結果に応じて、図示を省略するエンジンの始動を許可又は禁止する。
【0024】
より詳しくは、制御部83は、状態判定部831及び全閉基準開度更新部832を備えている。状態判定部831は、リターンスプリング24の異常を診断する第1診断処理と、デフォルトスプリング25の異常を診断する第2診断処理と、を実行する。状態判定部831は、異常診断処理として行う第1診断処理及び第2診断処理における異常診断結果を電気信号として出力する。状態判定部831は、デフォルトスプリング25の付勢力より小さい付勢力を有するリターンスプリング24の異常を診断する第1診断処理を実行した後に、リターンスプリング24の付勢力より大きい付勢力を有するデフォルトスプリング25の異常を診断する第2診断処理を実行する。
【0025】
本実施の形態において、デフォルトスプリング25の付勢力をリターンスプリング24の付勢力よりも大きくしたが、リターンスプリング24の付勢力をデフォルトスプリング25の付勢力よりも大きくしてもよい。この場合、状態判定部831は、リターンスプリング24の付勢力より小さい付勢力を有するデフォルトスプリング25の異常を診断する第2診断処理を実行した後に、デフォルトスプリング25の付勢力より大きい付勢力を有するリターンスプリング24の異常を診断する第1診断処理を実行する。また、この場合、状態判定部831は、第2診断処理におけるスロットルバルブ21の駆動範囲を第1診断処理におけるスロットルバルブ21の駆動範囲よりも大きくする。なお、リターンスプリング24の付勢力とデフォルトスプリング25の付勢力とが同一である場合には、第1診断処理及び第2診断処理の何れを先に実行してもよく、第1診断処理及び第2診断処理におけるスロットルバルブ21の駆動範囲を同じにする。
【0026】
ここで、第1診断処理は、ギア22及びモータ23を駆動してスロットルバルブ21を開方向に駆動した際における、スロットル開度センサ3からのスロットルバルブ21の開度に応じた出力電圧値(TPS)に基づいて、スロットルバルブ21の開度が診断開度に収束するか否かを判定すると共に、ギア22及びモータ23によるスロットルバルブ21の駆動を停止した際における、スロットル開度センサ3からのスロットルバルブ21の開度に応じた出力電圧値に基づいて、スロットルバルブ21の開度が全閉開度よりも大きいデフォルト開度に収束するか否かを判定する処理である。
【0027】
また、第2診断処理は、ギア22及びモータ23を駆動してスロットルバルブ21を閉方向に駆動した際における、スロットル開度センサ3からのスロットルバルブ21の開度に応じた出力電圧値に基づいて、スロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束するか否かを判定すると共に、ギア22及びモータ23によるスロットルバルブ21の駆動を停止した際における、スロットル開度センサ3からのスロットルバルブ21の開度に応じた出力電圧値に基づいて、スロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束するか否かを判定する処理である。
【0028】
状態判定部831は、第2診断処理において取得した、スロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を電気信号として出力する。
【0029】
全閉基準開度更新部832は、状態判定部831からの電気信号に応じた全閉開度収束値を取得する。全閉基準開度更新部832は、状態判定部831からの電気信号に応じた異常診断結果より、リターンスプリング24及びデフォルトスプリング25が正常であると判定した際に、取得した全閉開度収束値に基づいて全閉基準開度値を更新する。
【0030】
制御部83は、全閉基準開度更新部832において全閉基準開度値を更新した際に、図示を省略するエンジンの始動を許可する。
【0031】
制御部83は、エンジンの始動を許可した後、アクセル開度センサ4によって検出されたアクセル指示開度に基づいてスロットルバルブ21の目標開度を算出し、スロットル開度センサ3によって検出されるスロットルバルブ21の開度が算出された目標開度に一致するようにアクチュエータ駆動回路82を介してモータ23をフィードバック制御する。制御部83は、安全装置として機能するリレー81のオン/オフを制御し、図示しないセンサより異常な検出結果を取得した際にリレー81をオフにして、アクチュエータ駆動回路82に対するバッテリBからの電力の供給を停止させる。
【0032】
制御部83は、状態判定部831からの電気信号に応じた異常診断結果より、リターンスプリング24及びデフォルトスプリング25が異常であると判定した際に、エンジンの始動を許可しない。
【0033】
RAM84は、制御部83が実行している制御プログラムや制御データを一時的に記憶する。
【0034】
ROM85は、スロットルバルブ機構2を制御するための各種制御プログラム及び制御データを記憶している。
【0035】
EEPROM86は、制御部83の全閉基準開度更新部832により更新した全閉基準開度値を記憶する。
【0036】
以上のような構成を有する電子制御スロットル装置1では、以下に示すエンジン始動判断処理を実行することにより、エンジンの始動を許可又は禁止する。以下、図2を参照して、本実施形態におけるエンジン始動判断処理について、詳細に説明する。
【0037】
<エンジン始動判断処理>
図2を参照して、本実施形態における電子制御スロットル装置1が実行するエンジン始動判断処理につき、詳細に説明する。
【0038】
図2は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置1のエンジン始動判断処理の流れを示す図である。図2において、図2(a)は、エンジン始動判断処理の全体の流れを示しており、図2(b)は、運行前点検処理の流れを示している。
【0039】
図2(a)に示すエンジン始動判断処理は、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられて電子制御スロットル装置1の制御処理が開始したタイミングで開始となり、エンジン始動判断処理はステップS1の処理に進む。
【0040】
ステップS1の処理では、制御部83が、運行前点検処理を実行して、異常があるか否かを判定する。判定の結果、異常がある場合には、制御部83は、エンジン始動判断処理をステップS2に進める。一方、異常がない場合には、制御部83は、エンジン始動判断処理をステップS3に進める。なお、ステップS1の運行前点検処理の詳細な流れについては後述する。
【0041】
ステップS2の処理では、制御部83が、エンジンの始動を禁止する。これにより、エンジン始動判断処理は終了する。
【0042】
ステップS3の処理では、制御部83が、エンジンの始動を許可する。これにより、エンジン始動判断処理は終了する。
【0043】
<運行前点検処理>
図2を参照して、本実施形態における電子制御スロットル装置1が実行する運行前点検処理につき、詳細に説明する。
【0044】
図2(b)に示すステップS1の運行前点検処理では、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替えられて電子制御スロットル装置1の制御処理が開始したタイミングで開始となり、運行前点検処理はステップS11の処理に進む。
【0045】
ステップS11の処理では、制御部83が、図示しない車速センサからの電気信号より車両が停車しているか否かの停車確認を行う。これにより、ステップS11の処理は完了し、運行前点検処理は、ステップS12の処理に進む。
【0046】
ステップS12の処理では、制御部83が、電子制御スロットル装置1の緊急停止機能確認を行う。これにより、ステップS12の処理は完了し、運行前点検処理は、ステップS13の処理に進む。
【0047】
ステップS13の処理では、制御部83が、リレー81の異常をチェックする。これにより、ステップS13の処理は完了し、運行前点検処理は、ステップS14の処理に進む。
【0048】
ステップS14の処理では、制御部83が、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理を行って、異常の有無を判定する。これにより、ステップS14の処理は完了し、運行前点検処理は終了する。
【0049】
<異常診断処理及び全閉基準開度更新処理>
図3及び図4を参照して、本実施形態における電子制御スロットル装置1が実行する異常診断処理及び全閉基準開度更新処理につき、詳細に説明する。
【0050】
図3は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置1の異常診断処理及び全閉基準開度更新処理の詳細な流れを示す図である。図4は、本発明の実施形態に係る電子制御スロットル装置の運行前点検の処理の流れを示すタイミングチャート図である。
【0051】
図3に示す異常診断処理及び全閉基準開度更新処理は、図2(b)のステップS13の処理が終了したタイミングで開始となり、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理はステップS141の処理に進む。
【0052】
ステップS141の処理では、制御部83が、図2(b)のステップS13の処理における判定においてリレー81に異常があるか否か、及び、スロットル開度センサ3の出力電圧値に異常があるか否かを判定する。制御部83は、図2(b)のステップS13の処理における判定においてリレー81に異常ありの場合、又は、スロットル開度センサ3の出力電圧値に異常ありの場合に、ステップS141の処理を終了してステップS147の処理に進み、図2(b)のステップS13の処理における判定においてリレー81に異常なしの場合、及び、スロットル開度センサ3の出力電圧値に異常なしの場合に、ステップS141の処理を終了してステップS142の第1診断処理に進む。
【0053】
第1診断処理のステップS142の処理では、制御部83の状態判定部831が、スロットルバルブ21の目標開度を全開開度よりも小さい開度である診断開度に設定し、スロットル開度センサ3によって検出されるスロットルバルブ21の開度が診断開度に一致するようにアクチュエータ駆動回路82を介してモータ23を駆動制御する。スロットルバルブ21は、デフォルトスプリング25の付勢力に、実質的に抗することなく、リターンスプリング24の付勢力に抗してデフォルト開度から第1駆動範囲(例えば、開方向に23°)駆動して診断開度に収束するように動作する。制御部83の状態判定部831は、所定時間(図4に示す時刻t1から時刻t2までの時間)内において、スロットルバルブ21の開度が診断開度に収束するか否かを判定する。制御部83の状態判定部831は、所定時間内においてスロットルバルブ21の開度が診断開度に収束する場合に第1診断処理のステップS142の処理を終了して第1診断処理のステップS143の処理に進み、所定時間内に診断開度に収束しない場合にリターンスプリング24の異常と判定して、第1診断処理のステップS142の処理を終了してステップS147の処理に進む。この判定結果におけるリターンスプリング24の異常の要因としては、スロットルバルブ21の固着又はリターンスプリング24のトルクが大き過ぎる可能性が考えられる。
【0054】
第1診断処理のステップS143の処理では、制御部83の状態判定部831が、アクチュエータ駆動回路28によるモータ23の駆動を停止する。スロットルバルブ21は、リターンスプリング24の付勢力を受けてデフォルト開度に収束するように動作する。制御部83の状態判定部831は、所定時間(図4に示す時刻t2から時刻t3までの時間)内において、スロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束するか否かを判定する。制御部83の状態判定部831は、所定時間内においてスロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束する場合に第1診断処理のステップS143の処理を終了して第2診断処理のステップS144の処理に進み、所定時間内においてスロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束しない場合に、リターンスプリング24の異常と判定して、第1診断処理のステップS143の処理を終了してステップS147の処理に進む。この判定結果におけるリターンスプリング24の異常の要因としては、リターンスプリング24又はデフォルトスプリング25のトルクの不足の可能性、又はリターンスプリング24の破損の可能性が考えられる。
【0055】
第2診断処理のステップS144の処理では、制御部83の状態判定部831が、スロットル開度センサ3によって検出されるスロットルバルブ21の開度が全閉開度になるようにアクチュエータ駆動回路82を介してモータ23を駆動制御する。制御部83の状態判定部831は、バッテリBの電圧に基づいて駆動デューティを出力してモータ23を駆動制御する。スロットルバルブ21は、デフォルトスプリング25の付勢力に抗してデフォルト開度から第2駆動範囲(例えば、閉方向に7°)駆動してスロットルボディ26に当接して全閉開度に収束するように動作する。制御部83の状態判定部831は、所定時間(図4に示す時刻t3から時刻t4までの時間)内において、スロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束するか否かを判定する。制御部83の状態判定部831は、所定時間内にスロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束する場合に第2診断処理のステップS144の処理を終了して第2診断処理のステップS145の処理に進むと共にステップS148に進み、所定時間内にスロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束しない場合にデフォルトスプリング25の異常と判定して、第2診断処理のステップS144の処理を終了してステップS147の処理に進む。この判定結果におけるデフォルトスプリング25の異常の要因としては、スロットルバルブ21の固着又はデフォルトスプリング25のトルクが大き過ぎる可能性が考えられる。
【0056】
第2診断処理のステップS145の処理では、制御部83の状態判定部831が、アクチュエータ駆動回路28によるモータ23の駆動を停止する。スロットルバルブ21は、デフォルトスプリング25の付勢力を受けてデフォルト開度に収束するように動作する。制御部83の状態判定部831は、所定時間(図4に示す時刻t4から時刻t5までの時間)内において、スロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束するか否かを判定する。制御部83の状態判定部831は、所定時間内においてスロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束する場合に第2診断処理のステップS145の処理を終了してステップS146の処理に進み、所定時間内においてスロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束しない場合にデフォルトスプリング25の異常と判定して、第2診断処理のステップS145の処理を終了してステップS147の処理に進む。この判定結果におけるデフォルトスプリング25の異常の要因としては、デフォルトスプリング25のトルクの不足の可能性、又はデフォルトスプリング25の破損の可能性が考えられる。
【0057】
ステップS142からステップS147までの異常診断処理は、アクセル指示開度に基づいたスロットルバルブ21のフィードバック制御処理の開始前に実行される。これにより、リターンスプリング24及びデフォルトスプリング25の確からしさを確認した上でスロットルバルブ21のフィードバック制御処理を開始することができる。
【0058】
ステップS146の処理では、制御部83が、電子制御スロットル装置1の機構が正常であると判定し、ステップS146の処理を終了してステップS151の処理に進む。
【0059】
ステップS147の処理では、制御部83が、電子制御スロットル装置1の機構が異常であると判定し、ステップS147の処理を終了して、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理を終了する。
【0060】
ステップS148の処理では、ステップS144の処理において全閉開度に収束したと判定した場合に、制御部83の全閉基準開度更新部832が、スロットル開度センサ3の出力電圧値が管理幅内において安定判断幅内で安定するか否かを判定する。ここで、管理幅は、スロットル開度センサ3の出力電圧値の中央値に対してスロットル開度センサ3の出力電圧値が所定量大きい上限値以下、且つ、スロットル開度センサ3の出力電圧値の中央値に対してスロットル開度センサ3の出力電圧値が所定量小さい下限値以上の範囲である。制御部83の全閉基準開度更新部832は、スロットル開度センサ3の出力電圧値が管理幅内において安定判断幅内で安定する場合に、ステップS148の処理を終了してステップS149の処理に進み、スロットル開度センサ3の出力電圧値が管理幅内において安定判断幅内で安定しない場合に、ステップS148の処理を終了してステップS151の処理に進む。
【0061】
ステップS149の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、ステップS144の処理において、時刻t3からt4までの時間内に全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を保持して、ステップS149の処理を終了してステップS150の処理に進む。
【0062】
ステップS150の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、全閉開度収束値の取得を終了して、ステップS150の処理を終了してステップS151の処理に進む。
【0063】
ステップS148からステップS150までの全閉基準開度更新処理は、ステップS142からステップS147までの異常診断処理に並行して行われる。即ち、制御部83は、異常診断処理に並行して全閉基準開度更新処理を実行する。
【0064】
ステップS151の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、全閉開度収束値を保持済みであるか否かを判定する。制御部83の全閉基準開度更新部832は、全閉開度収束値を保持済みの場合に、ステップS151の処理を終了してステップS152の処理に進み、全閉開度収束値を保持していない場合に、ステップS151の処理を終了してステップS153の処理に進む。
【0065】
ステップS152の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、保持済みの全閉開度収束値を全閉基準開度値としてEEPROM86に保存して、全閉基準開度値を更新する。これにより、ステップS152の処理は完了し、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理は終了する。
【0066】
ステップS153の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、EEPROM86に全閉基準開度値の保存履歴があるか否かを判定する。制御部83の全閉基準開度更新部832は、EEPROM86に全閉基準開度値の保存履歴がある場合に、ステップS153の処理を終了してステップS154の処理に進み、EEPROM86に全閉基準開度値の保存履歴がない場合に、ステップS153の処理を終了してステップS155の処理に進む。
【0067】
ステップS154の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、保存履歴の全閉基準開度値を適用する。これにより、ステップS154の処理は完了し、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理は終了する。
【0068】
ステップS155の処理では、制御部83の全閉基準開度更新部832が、予め記憶しておいた代替値を全閉基準開度値として適用する。これにより、ステップS155の処理は完了し、異常診断処理及び全閉基準開度更新処理は終了する。
【0069】
図4に示すように、制御部83は、異常診断処理に並行して全閉基準開度更新処理を実行することにより、時刻t1から時刻t5の間に全閉開度収束値を取得することができる。これにより、本実施形態における電子制御スロットル装置1では、図4の時刻t5からt6までの時間に破線で示すように全閉開度収束値を取得していた従来の電子制御スロットル装置に比べて、運行前点検処理に要する時間を短縮することができる。
【0070】
以上の本発明の実施形態における電子制御スロットル装置では、ギア22及びモータ23を駆動してスロットルバルブ21を開方向に駆動してスロットルバルブ21の開度が診断開度に収束するか否かを判定すると共に、ギア22及びモータ23によるスロットルバルブ21の駆動を停止してスロットルバルブ21の開度が全閉開度よりも大きいデフォルト開度に収束するか否かを判定する第1診断処理と、ギア22及びモータ23を駆動してスロットルバルブ21を閉方向に駆動してスロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束するか否かを判定すると共に、ギア22及びモータ23によるスロットルバルブ21の駆動を停止してスロットルバルブ21の開度がデフォルト開度に収束するか否かを判定する第2診断処理と、を実行してリターンスプリング24及びデフォルトスプリング25の正常若しくは異常を判定し、第2診断処理においてスロットルバルブ21の開度が全閉開度に収束した際の全閉開度収束値を取得し、リターンスプリング24及びデフォルトスプリング25が正常であると判定した際に、全閉開度収束値を全閉基準開度値として更新することにより、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理に並行して、全閉開度収束値を取得して全閉基準開度値を更新する全閉基準開度更新処理を実行することにより、運行前点検処理に要する時間を短縮することができ、エンジン始動までの時間が短縮され、車両の商品性を向上することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態における電子制御スロットル装置では、デフォルトスプリング25の付勢力がリターンスプリング24の付勢力より大きい場合に、第1診断処理の後に第2診断処理を実行するものであるため、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する際に、スロットルシャフトや駆動ギヤに塗布されているグリース等の潤滑剤の粘性をより低くすることができ、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの故障診断に必要な電力を抑制することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態における電子制御スロットル装置では、デフォルトスプリング25の付勢力がリターンスプリング24の付勢力より大きい場合に、第1診断処理におけるスロットルバルブ21の駆動範囲を第2診断処理におけるスロットルバルブ21の駆動範囲よりも大きくするものであるため、スロットルバルブの固着のチェックが可能であると共に、スロットルシャフトや駆動ギヤに塗布されているグリース等の潤滑剤の粘性をより低くすることができ、リターンスプリング又はデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理に必要な電力を抑制することができる。
【0073】
また、本発明の実施形態における電子制御スロットル装置では、第1診断処理において、スロットルバルブ21の目標開度を全開開度よりも小さい開度である診断開度に設定することにより、第1診断処理における判定に要する時間を短縮して、リターンスプリング24の異常を早期に判定することができる。
【0074】
なお、上記の説明において、第2診断処理のスロットルバルブ21の駆動範囲よりも第1診断処理のスロットルバルブ21の駆動範囲を大きくしたが、第2診断処理のスロットルバルブ21の駆動範囲よりも第1診断処理のスロットルバルブ21の駆動範囲を小さくしてもよい。この場合、制御部83は、第2診断処理を実行した後に第1診断処理を実行するようにする。
【0075】
また、上記の説明において、診断開度を全開開度よりも小さい開度にしたが、診断開度を全開開度にすることができる。
【0076】
また、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範2囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明においては、リターンスプリング及びデフォルトスプリングの異常を診断する異常診断処理に並行して、全閉開度を取得して全閉基準開度を更新する全閉基準開度更新処理を実行することにより、運行前点検処理に要する時間を短縮し、エンジン始動までの時間が短縮され、車両の商品性を向上することが可能な電子制御スロットル装置を提供することができ、その汎用普遍的な性格から自動二輪車等の電子制御スロットル装置に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0078】
1…電子制御スロットル装置
2…スロットルバルブ機構
3…スロットル開度センサ
4…アクセル開度センサ
8…ECU
21…スロットルバルブ
22…ギア
23…モータ
24…リターンスプリング
25…デフォルトスプリング
81…リレー
82…アクチュエータ駆動回路
83…制御部
84…RAM
85…ROM
86…EEPROM
831…状態判定部
832…全閉基準開度更新部
図1
図2
図3
図4