特許第6726007号(P6726007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6726007-振動検出装置 図000002
  • 特許6726007-振動検出装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726007
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】振動検出装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/46 20060101AFI20200713BHJP
【FI】
   H04R1/46
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-58201(P2016-58201)
(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-175335(P2017-175335A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】里見 俊一
【審査官】 菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−219532(JP,A)
【文献】 実開昭56−063411(JP,U)
【文献】 特開2014−044870(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/143116(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00−1/46
A61B 7/00−7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出された振動を電気信号に変換する変換部と、
前記電気信号に応じた音を出力する出力部と、
オン時に前記音を出力させ、オフ時に前記音を出力させないスイッチ部と、
前記変換部を保持する弾性部と、
を備え、
前記弾性部は、前記変換部が被測定物に押し当てられた際の圧力により弾性変形して前記スイッチ部を押圧することにより、前記スイッチ部をオンし、
前記弾性部は、前記変換部が前記被測定物に押し当てられたときに、前記弾性変形により前記スイッチ部を押圧する押圧部を有する
ことを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
前記弾性部は、前記変換部が前記被測定物に押し当てられていないときに、前記押圧部が前記スイッチ部に接した状態を保持するガイド部を有することを特徴とする請求項に記載の振動検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば人等の被検体に接触させて振動を検出する振動検出装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、被測定物に接触したときに振動検出素子を作動させ、被測定物から離れたときに振動検出素子の動作を停止させるスイッチが設けられた装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−219532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、スイッチのオン/オフを切り換える機構が比較的複雑であり、コストが増大する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コストを抑制することができる振動検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の振動検出装置は、上記課題を解決するために、検出された振動を電気信号に変換する変換部と、前記電気信号に応じた音を出力する出力部と、オン時に前記音を出力させ、オフ時に前記音を出力させないスイッチ部と、前記変換部を保持する弾性部と、を備え、前記弾性部は、前記変換部が被測定物に押し当てられた際の圧力により弾性変形して前記スイッチ部を押圧することにより、前記スイッチ部をオンし、前記弾性部は、前記変換部が前記被測定物に押し当てられたときに、前記弾性変形により前記スイッチ部を押圧する押圧部を有する。
【0007】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る電子聴診器の構成を示す概略構成図である。
図2】実施例に係る電子聴診器のチェストピースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の振動検出装置の実施形態について説明する。
【0010】
実施形態に係る振動検出装置は、検出された振動を電気信号に変換する変換部と、該電気信号に応じた音を出力する出力部と、オン時に音を出力させ、オフ時に音を出力させないスイッチ部と、変換部とスイッチ部との間に配置され、変換部を保持する弾性部と、を備えて構成されている。
【0011】
「音を出力させない」とは、変換部及び出力部の少なくとも一方の動作を停止させることに限らず、出力部に係る音量をゼロ(即ち、ミュート)にすることも含む概念である。
【0012】
本実施形態では特に、弾性部は、変換部が被測定物に押し当てられた際の圧力により弾性変形してスイッチ部を押圧することにより、該スイッチ部をオンする。従って、当該振動検出装置では、変換部が被測定物に押し当てられた際にのみ、検出された振動に起因する音が出力される。このため、変換部が被測定物に押し当てられていないときのノイズをなくすことができる。
【0013】
当該振動検出装置では、変換部を保持する弾性部が、スイッチ部を押圧する(即ち、スイッチ部のオン/オフを切り換える)部材としても機能する。このため、当該振動検出装置を構成する部品点数を減らすことができ、コストを抑制することができる。
【0014】
実施形態に係る振動検出装置の一態様では、弾性部は、変換部が被測定物に押し当てられたときに、弾性変形によりスイッチ部を押圧する押圧部を有する。
【0015】
この態様によれば、スイッチ部を適切に押圧することができ、実用上非常に有利である。
【0016】
この態様では、弾性部は、変換部が被測定物に押し当てられていないときに、押圧部がスイッチ部に接した状態を保持するガイド部を有してよい。
【0017】
このように構成すれば、弾性部(更には、変換部)の重さにより、スイッチ部が押圧されることを防止することができ、実用上非常に有利である。
【実施例】
【0018】
本発明の振動検出装置に係る実施例について、図1及び図2を参照して説明する。以下の実施例では、振動検出装置の一例として、電子聴診器を挙げる。
【0019】
実施例に係る電子聴診器の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、実施例に係る電子聴診器の構成を示す概略構成図である。図2は、実施例に係る電子聴診器のチェストピースの平面図である。
【0020】
図1において、電子聴診器1のチェストピースは、センサーモジュール10と、筺体部品21及び22と、センサーモジュール10を筺体部品21及び22に保持する防振ダンパ30と、保護キャップ40と、を備えて構成されている。
【0021】
センサーモジュール10は、振動素子11と、該振動素子11を保持するダイヤフラム12と、振動素子11を収容するステンレスケース13と、を備えて構成されている。振動素子11は、検出した振動を電気信号に変換する。尚、振動素子11に代えて、マイクが備えられていてもよい。
【0022】
電子聴診器1は、振動素子11から出力された電気信号に応じた音を出力する出力部60と、オン時に出力部60から音を出力させ、オフ時に出力部60をミュート状態にして、音を出力させないスイッチ50とを備えている。
【0023】
ここで図2に示すように、スイッチ50は、筺体部品22上に複数個(ここでは、スイッチ50a、50b、50c及び50dの4つ)配置されている。そして、少なくとも互いに向かい合う2つのスイッチ50(即ち、スイッチ50a及び50c、並びにスイッチ50b及び50dの少なくとも一組)がオンになった場合にのみ、出力部60から音が出力される。つまり、「スイッチ50のオン時」とは、少なくとも互いに向かい合う2つのスイッチ50がオンになった場合を意味する。
【0024】
このように構成すれば、チェストピースが被測定物に正しく押し当てられた場合にのみ、出力部60から音が出力される。このため、ユーザは、当該電子聴診器1を用いて適切に聴診を行うことができる。
【0025】
再び図1に戻り、防振ダンパ30には、押し子30aとガイド部30bとが形成されている。防振ダンパ30は、チェストピースが被測定物(例えば人体)に押し当てられた際の圧力により弾性変形する。押し子30aは、防振ダンパ30の弾性変形によりスイッチ50を押圧することにより、該スイッチ50をオンにする。
【0026】
ガイド部30bは、チェストピースが被測定物に押し当てられていないときに、押し子30aがスイッチ50に接した状態(このとき、スイッチ50は、押し子30aにより押されてはいない)を保持する。
【0027】
このガイド部30bにより、センサーモジュール10に、保護キャップ40から離れる向きに重力が働く場合(即ち、重力の方向を下として、保護キャップ40が上向きの場合)に、センサーモジュール10及び防振ダンパ30の重さによって、押し子30aによりスイッチ50が押圧されること(即ち、誤動作)を防止することができる。
【0028】
本実施例では特に、押し子30a及びガイド部30bが、防振ダンパ30の一部として形成されている(言い換えれば、押し子30a及びガイド部30bは、防振ダンパ30とは別の部材ではない)。このため、当該電子聴診器1を構成する部品点数を減らすことができ、コストを抑制することができる。
【0029】
実施形態に係る「センサーモジュール10」、「防振ダンパ30」、「スイッチ50」及び「押し子30a」は、夫々、本発明に係る「変換部」、「弾性部」、「スイッチ部」及び「押圧部」の一例である。
【0030】
尚、上述した実施例では、スイッチ50のオフ時に、出力部60がミュート状態にされたが、スイッチ50のオフ時に、振動素子11(センサーモジュール10)及び出力部60の少なくとも一方の動作が停止されてもよい。
【0031】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う振動検出装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
1…電子聴診器、10…センサーモジュール、11…振動素子、12…ダイヤフラム、13…ステンレスケース、21、22…筺体部品、30…防振ダンパ、30a…押し子、30b…ガイド部、40…保護キャップ、50、50a、50b、50c、50d…スイッチ、60…出力部
図1
図2