特許第6726009号(P6726009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726009
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】EGRクーラ構造
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/29 20160101AFI20200713BHJP
   F28F 9/04 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   F02M26/29
   F28F9/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-63147(P2016-63147)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-180100(P2017-180100A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】小澤 智也
【審査官】 篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−190064(JP,A)
【文献】 特開2001−342909(JP,A)
【文献】 特開2000−008972(JP,A)
【文献】 特開2014−034955(JP,A)
【文献】 特開2002−130060(JP,A)
【文献】 特開2010−048126(JP,A)
【文献】 特開2003−240482(JP,A)
【文献】 特開2006−200490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/29
F28F 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGRガスが導入される入口側に位置する筒状の入口側キャップと、EGRガスが排出される出口側に位置する筒状の出口側キャップと、前記入口側キャップと前記出口側キャップとの間に位置してEGRガスを冷却する冷却部とを備えたEGRクーラ構造において、
前記入口側キャップ及び前記出口側キャップは、EGRガスの流れ方向が上下方向と一致するように配置されるとともに、前記冷却部に向かって外径が拡径しており、
前記入口側キャップ及び前記出口側キャップのうち、設置状態において上方側に位置するキャップに、可撓性を有する変形自在部が設けられ、
前記変形自在部は、環状の凹部及び凸部が複数形成された蛇腹状であって、該蛇腹は上下方向に凹凸状をなしていることを特徴とするEGRクーラ構造。
【請求項2】
前記出口側キャップは、周壁の板厚が入口側キャップの周壁の板厚に比して薄いことを特徴とする請求項1に記載のEGRクーラ構造。
【請求項3】
前記変形自在部は、前記出口側キャップに設けられ、該出口側キャップの変形自在部の板厚は、前記出口側キャップのその他の領域の板厚及び前記入口側キャップの板厚よりも薄く形成されていることを特徴とする請求項1に記載のEGRクーラ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EGRガス冷却用のEGRクーラ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用エンジンでは、排気ポートや排気マニホールド等の排気系から排気ガスの一部を取り出して、EGRクーラで冷却し、エンジンの吸気系へ再循環させるEGR装置(排気ガス再循環装置)が広く実施されている。このEGR装置により、燃焼温度を下げノッキングを防止するとともにNOx(窒素酸化物)の排出量を低減することができ、またポンピングロス低減による燃費改善も期待できる。
【0003】
図5は、従来のEGRクーラ構造を説明する図であって、EGR装置におけるEGRクーラ及びその周辺部分を模式的に示す斜視図である。
【0004】
このEGR装置では、排気マニホールド121の中央上部に排気ガス分岐通路121aが設けられており、この排気マニホールド121には、排気ガス分岐通路121aと連通するように、排気ガスをEGRクーラ125に導入する導入パイプ122の入口部122bが接続・固定される。この導入パイプ122は、可撓性を有する蛇腹状の変形自在部122aを備える。導入パイプ122の出口部122cは、図示しない変形自在な蛇腹等を有する継手によって、EGRクーラ125のガス入口部125aのフランジ123に接続される。EGRクーラ125は、排気マニホールド121の側面にバンドで固定される。そして、EGRクーラ125のガス出口部125bのフランジ124は、EGR管127に接続され、吸気マニホールドに固定されたEGR弁(図示せず)に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−282959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジン駆動時に、排気マニホールド121の分岐孔121aから高温のEGRガスが導入される導入パイプ122では、熱による伸長が生じる一方、エンジンの冷間時には収縮が生じる。図5に示すEGR装置では、導入パイプ122に蛇腹状の変形自在部122aを設けることで、この熱伸びを吸収している。
【0007】
しかし、従来のEGR装置のように、導入パイプ122に変形自在部122aを設けたものでは、導入パイプ122の設置スペースが大きくなり、設置スペースが制約されるEGR装置周辺では、この導入パイプ122のスペース増大に伴って、EGRクーラ125の設置スペースが減少することとなる。これに対応させるために、EGRクーラ125を小型化すると、EGRクーラ125の容量が低下することとなり、十分なクーラ性能を確保することが困難であった。
【0008】
従って、本発明の目的は、熱伸びを吸収でき、スペース効率の高いEGRクーラ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るEGRクーラ構造は、
EGRガスが導入される入口側に位置する筒状の入口側キャップと、EGRガスが排出される出口側に位置する筒状の出口側キャップと、前記入口側キャップと前記出口側キャップとの間に位置してEGRガスを冷却する冷却部とを備えたEGRクーラ構造において、前記入口側キャップ及び前記出口側キャップは、EGRガスの流れ方向が上下方向と一致するように配置されるとともに、前記冷却部に向かって外径が拡径しており、前記入口側キャップ及び前記出口側キャップのうち、設置状態において上方側に位置するキャップに、可撓性を有する変形自在部が設けられ、前記変形自在部は、環状の凹部及び凸部が複数形成された蛇腹状であって、該蛇腹は上下方向に凹凸状をなしていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、EGRクーラにおいて、入口側キャップ及び出口側キャップのうち、設置状態において上方側に位置するキャップに、可撓性を有する変形自在部を設けているため、この変形自在部によって、熱伸びを吸収させることができる。また、変形自在部は、冷却部に向かって外径が拡径するキャップに設けられているため、変形自在部を導入パイプに設けた従来のものに比べて、熱伸びを吸収するための変形自在部の長さ寸法を短くすることができる。これにより、スペース効率を高めることができ、その結果、EGRクーラを小型化することなく、クーラ容量を大きく保ち、十分なクーラ性能を確保することができる。
【0012】
この構成によれば、変形自在部を環状の凹部及び凸部が複数形成された蛇腹状とすることで、可撓性に優れた構造とすることができる。
【0014】
この構成によれば、変形自在部に凝縮水が溜まって、変形自在部が腐食するのを回避することができる。つまり、エンジンを停止した後、発生した凝縮水は自重により下方へ流れて溜るため、設置状態において上方側に位置するキャップには凝縮水が溜り難く、この上方側のキャップに変形自在部を設けることで、変形自在部の腐食を回避することができる。
【0015】
また、本発明のEGRクーラ構造は、前記EGRクーラ構造において、前記出口側キャップは、周壁の板厚が入口側キャップの周壁の板厚に比して薄いことを特徴とする。

【0016】
この構成によれば、入口側キャップの板厚を厚くして、熱耐久性を高めることができる。さらに、変形自在部が設けられる出口側キャップでは、板厚を薄くして、変形自在部の可撓性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるEGRクーラ構造によれば、熱伸びを吸収でき、EGR装置のスペース効率の高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施の形態であるEGRクーラ構造の概略説明図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図2】EGRクーラの概略を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4図2のIV-IV線断面図である。
図5】従来のEGRクーラ構造の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施の形態であるEGRクーラ構造を図1図4を参照して説明する。図1は、EGRクーラ構造の概略説明図であり、図1(a)は、EGR装置の一部であるEGRクーラ10及びEGR弁30をシリンダヘッド100に取付けた状態を示す正面図であり、図1(b)は、(a)の側面図となるb矢視図である。
【0020】
シリンダヘッド100は、エンジン本体を構成しており、EGR装置を取付けるための第1取付ボス101及び第2取付ボス103を有する。第1取付ボス101及び第2取付ボス103は、シリンダヘッド100の外周面に突設されており、第2取付ボス103は、第1取付ボス101から所定距離離れた位置に突設される。
【0021】
第1取付ボス101は、シリンダヘッド100の排気ポートから分岐した排気ガス分岐通路102を有し、この排気ガス分岐通路102は、第1取付ボス101の取付面となる平坦な頂面まで延在する。第1取付ボス101及び第2取付ボス103のそれぞれにおいて、取付面となる頂面には、螺子穴が形成されている。
【0022】
EGRクーラ10及びEGR弁30の概要を図2図4を参照して説明する。図2は、EGRクーラ10の斜視図、図3は、図2のIII-III線断面図、図4は、図2のIV-IV線断面図である。
【0023】
EGRクーラ10は、冷却部11と、冷却部11の上流側(図2の下方側)に位置する入口側キャップ18と、入口側キャップ18に連結される導入パイプ21と、冷却部11の下流側(図2の上方側)に位置する出口側キャップ25とを有する。
【0024】
冷却部11は、略矩形筒状の周壁12を有し、周壁12の内部に、熱交換部15を有する。熱交換部15は、EGRガス通路群16と冷却水路17とを有する。
【0025】
EGRガス通路群16は、EGRクーラ10の軸方向(図3の軸線aが延びる方向であって、上流側から下流側へ向かう方向)に延在する複数のEGRガス通路16aからなる。
【0026】
冷却水路17は、図示しないエンジン冷却水循環経路から分岐したエンジン冷却水が流通する水路であり、図3及び図4に示すように、エンジン冷却水をEGRガス通路16aの外周に沿って流通させる。このエンジン冷却水は、冷却部11の周壁12の上流側に形成された冷却水入口13から冷却水路17内に流入される。エンジン冷却水が冷却水路17を通ることにより、各EGRガス通路16aを流れるEGRガスと、エンジン冷却水との間で熱交換が行われる。熱交換後のエンジン冷却水は、周壁12の下流側に形成された冷却水出口14からエンジン冷却水循環路に戻される。
【0027】
入口側キャップ18は、EGRガスを冷却部11に導入する導入パイプ21とを連結する筒状体である。入口側キャップ18は、内径及び外径が、上流側(導入パイプ21側)から下流側(冷却部11側)に向かって拡径する筒状の周壁19を有する。周壁19の下流端部19aは、略矩形筒状であり、冷却部11の周壁12の上流端に嵌合され、接合される。周壁19の上流端部19bは、略円筒状であり、導入パイプ21に嵌合され、接合される。入口側キャップ18の周壁12の板厚は、後述する出口側キャップ25の周壁26の板厚よりも大きく設定される。
【0028】
導入パイプ21は、シリンダヘッド100と入口側キャップ18との間を連結して、EGRガスの流通路を形成する。本実施の形態において、導入パイプ21は、軸方向に沿って延在する直線部21Aと、直線部21Aから湾曲する湾曲部21Bとを有する略L字状に形成されている。導入パイプ21の上流端には、導入パイプ21を第1取付ボス101に連結するためのフランジ22が設けられる。
【0029】
出口側キャップ25は、冷却部11とEGR弁30とを連結する筒状体である。出口側キャップ25は、内径及び外径が、下流側(EGR弁30側)から上流側(冷却部11側)に向かって拡径する筒状の周壁26を有する。周壁26の上流端部26aは、略矩形筒状であり、冷却部11の周壁12の下流端に嵌合され、接合される。周壁26の下流端部には、管状のEGRガス排出口28が形成されるとともに、このEGRガス排出口28にEGR弁30を連結するためのフランジ29が設けられる。
【0030】
出口側キャップ25の周壁26には、可撓性を有する変形自在部27が設けられる。本実施の形態において、変形自在部27は、環状の凹部27a及び凸部27bが軸方向へ複数形成された蛇腹状である。なお、図3に示す変形自在部27は、EGRガスの流れ方向である軸方向に対して凹凸状に形成されているが、これに限られず、例えば、軸方向と直交する径方向へ凹凸状となるように、蛇腹状の変形自在部27を形成してもよい。
【0031】
既述のとおり、出口側キャップ25の周壁26は、入口側キャップ18の周壁19よりも板厚が薄くなっている。なお、出口側キャップ25の周壁26は、少なくとも変形自在部27において、板厚が入口側キャップ18の板厚よりも薄くなるように形成される。
【0032】
EGR弁30は、弁本体31と、弁本体31をEGRクーラ10に連結するためのフランジ32と、モータ部34と、取付ブラケット35とを備える。弁本体31は、内部にEGRガスの流量等を制御する弁体を有する。モータ部34は、弁本体31の上方に配置され、弁本体31と接続されており、内部に弁体を駆動させる駆動モータを備える。弁本体31の下流側には、流量等が制御されたEGRガスを排出するための排出口33が設けられる。排出口33は、図示しないEGRパイプ等を介してエンジンの吸気系である吸気マニホールドに連結される。フランジ32は、EGRクーラ10のEGRガス排出口28に設けられたフランジ29と連結可能に構成される。取付ブラケット35は、弁本体31をシリンダヘッド100の第2取付ボス103に取付けて固定するための連結部材である。
【0033】
上述したEGRクーラ10及びEGR弁30は、互いのフランジ29,32が結合されて一体化、すなわちユニット化される。この一体化されたEGRクーラ10及びEGR弁30は、締結ボルト40を用いてシリンダヘッド100に固定される。具体的には、図1に示すように、EGRクーラ10の上流側に位置するフランジ22をシリンダヘッド100の第1取付ボス101に締結ボルト40により締結し、EGRバルブ30の取付ブラケット35をシリンダヘッド100の第2取付ボス103に締結ボルト40により締結する。
【0034】
次に、上述のように構成されたEGRクーラ10の作用を説明する。
【0035】
排気ポートから分岐した高温のEGRガスは、排気ガス分岐通路102を通ってEGRクーラ10の導入パイプ21に導入され、導入パイプ21から入口側キャップ18を通って冷却部11に流入する。冷却部11において、EGRガスは、熱交換部15の複数のEGRガス通路16a(EGRガス通路群16)に分岐して流れる。
【0036】
一方、EGRクーラ10では、エンジン冷却水循環路から分岐したエンジン冷却水が、冷却水入口13から熱交換部15の冷却水路17に導入され、冷却水路17を循環した後、冷却水出口14からエンジン冷却水循環路に戻される。
【0037】
この際、熱交換部15では、冷却水路17内を流れるエンジン冷却水と、各EGRガス通路16aを流れるEGRガスとの間で熱交換が行われる。これにより、EGRガスは冷却され、冷却された低温のEGRガスは、EGRガス通路群16から出口側キャップ25内に放出される。
【0038】
低温のEGRガスは、出口側キャップ25からEGR弁30に誘導されて流量等が制御されて排出口33から排出される。その後、低温のEGRガスは、EGRパイプ等を介して吸気マニホールドに供給される。
【0039】
このEGR装置において、排気ガス分岐通路102からEGRガスがEGRクーラ10へ導入されると、高温のEGRガスにより導入パイプ21や入口側キャップ18が加熱される。すると、熱応力によりEGRクーラ10のシリンダヘッドへの2か所の固定点の間、すなわちフランジ22と第1取付ボス101との固定点およびフランジ29と第2取付ボス103との固定点の間でEGRクーラ10の伸長が生じる。
【0040】
本実施の形態のEGRクーラ10では、熱応力が生じても出口側キャップ25に設けた可撓性を有する変形自在部27によって熱応力による伸長を吸収させることができる。そのため、熱伸長によってEGRクーラ10の締結フランジ部分に応力集中し、シール性が悪化することを防ぐことができる。また、温度低下時には、変形自在部27によって熱収縮による応力を吸収することができる。既述のとおり、出口側キャップ25及び入口側キャップ18は、それぞれ、導入パイプ21よりも内径が大きくなるように、冷却部11側へ向かって内径及び外径が拡径している。変形自在部27は、この拡径した出口側キャップ25の周壁26に形成されているため、熱応力を吸収可能な面積を広く確保することができる。
【0041】
従来のEGRクーラ構造では、EGRクーラに変形自在部を設けることなく、EGRクーラにEGRガスを導入する導入パイプに変形自在部を設けていた。導入パイプは、比較的細い配管であり、この導入パイプによって熱応力を吸収させる場合には、変形自在部の長さ寸法を大きくする必要がある。一方、EGR装置は、エンジンの排気系と吸気系とを繋ぐものであって搭載スペースには制限がある。そのため、導入パイプの設置スペースを大きくした場合には、EGRクーラの設置スペースが小さくなり、これに伴って、クーラ容量が小さくなる傾向があった。
【0042】
本実施の形態では、EGRクーラ10の出口側キャップ25に変形自在部27を設けることで、導入パイプ21の設置スペースの増大を抑制することができる。また、従来のものと比べて、熱伸びを吸収するための変形自在部27の長さ寸法を短くし、EGRクーラ10の容量を大きくして、十分なクーラ性能を確保することができる。これにより、本実施の形態のEGRクーラ構造では、EGR装置におけるスペース効率を高めて、EGRクーラ10の容量を大きくすることができる。また、この変形自在部27を環状の凹部及び凸部が複数形成された蛇腹状とすることで、可撓性に優れた構造とすることができる。
【0043】
さらに、変形自在部27によって、導入パイプ21、入口側キャップ18、冷却部11、出口側キャップ25、EGR弁30等のユニット構成部材の組み付け精度のバラツキに起因する負荷を吸収することができる。そのため、ユニット化されたこれら構成部材の変形が変形自在部27により抑制されて耐久性が向上する。
【0044】
さらに、変形自在部27を入口側キャップ18ではなく、出口側キャップ25に設けることで、凝縮水によって変形自在部27が腐食するのを回避することができる。具体的に説明すると、EGRガスの凝縮水は重力により下方に溜まる為、上方に配置される出口側キャップ25に変形自在部27を設けることで、変形自在部27の凹部に凝縮水が溜まるのを抑制し、腐食を回避することができる。本実施の形態では、EGRクーラ10の軸方向を車両の上下方向としており、変形自在部27は、この上下方向に凹凸状をなしているため、より凝縮水が溜まり難い構成となっている。
【0045】
また、入口側キャップ18の周壁19は、高温のEGRガスに対する熱耐久性上、板厚が要求される。一方、出口側キャップ25では、EGRガスが低温となるため、入口側キャップ18より板厚を小さくしても必要な熱耐久性を確保できる。したがって、出口側キャップ25の周壁26の板厚を小さくすることで、変形自在部27の可撓性を向上させることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、出口側キャップ25に蛇腹状の変形自在部27を備えたが、出口側キャップ25に代えて、入口側キャップ18に蛇腹状の変形自在部を備えることできる。さらに、出口側キャップ25及び入口側キャップ18の双方に変形自在部を備えることもできる。なお、入口側キャップ18及び出口側キャップ25のうち、いずれか一方にのみ変形自在部27を設ける場合には、双方のうち、設置状態において上方側に位置するキャップに変形自在部27を設けることが好ましい。また、入口側キャップ18及び出口側キャップ25の板厚を同一にしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、変形自在部27を凹部及び凸部が複数形成された蛇腹状に形成したが、蛇腹状に限定されるものではなく、熱伸長を吸収可能な可撓性を有する形状であればよい。
【0048】
また、上記実施の形態ではEGRクーラ10とEGR弁30とを結合して一体化(ユニット化)しているが、EGRクーラ30とEGR弁30とを分離して配置することもできる。さらに、上記実施の形態では、EGRクーラ30をシリンダヘッド100に配置したが、排気マニホールドに配置することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 EGRクーラ
11 冷却部
15 熱交換部
16 EGRガス通路群
17 冷却水路
18 入口側キャップ
19 周壁
21 導入パイプ
22 フランジ
25 出口側キャップ
26 周壁
27 変形自在部
30 EGR弁
100 シリンダヘッド
図1
図2
図3
図4
図5