(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726013
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】防音ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 7/22 20060101AFI20200713BHJP
E06B 7/23 20060101ALI20200713BHJP
E06B 5/20 20060101ALI20200713BHJP
E05C 19/16 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B7/23 Z
E06B5/20
E05C19/16 Z
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-68897(P2016-68897)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179893(P2017-179893A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095566
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 友雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187805
【弁理士】
【氏名又は名称】毛利 弘人
(74)【代理人】
【識別番号】100105119
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 孝治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 継斗
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
実開平4−4172(JP,U)
【文献】
特開2005−146782(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3197883(JP,U)
【文献】
特開昭63−233187(JP,A)
【文献】
特開平8−184243(JP,A)
【文献】
特開2015−83747(JP,A)
【文献】
特開2002−357061(JP,A)
【文献】
特開昭58−199987(JP,A)
【文献】
特開昭58−191294(JP,A)
【文献】
実開昭60−99692(JP,U)
【文献】
特開平9−112156(JP,A)
【文献】
米国特許第4753042(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05C 19/16
E06B 5/20
E06B 7/00−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに左右方向に間隔を隔てて配置された左縦枠及び右縦枠と、これらの縦枠の上端部間及び下端部間の少なくとも一方を連結する横枠とを有するドア枠と、
前記左縦枠及び前記右縦枠の一方に、ヒンジを介して開閉自在に取り付けられたドアパネルと、
前記左縦枠、右縦枠及び横枠に、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるようにそれぞれ設けられ、前記ドアパネルが閉鎖されたときに、当該ドアパネルの一方の面の左右両側並びに上側及び下側の少なくとも一方の縁部が当接する少なくとも3つの戸当りと、
当該少なくとも3つの戸当りに、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるようにそれぞれ取り付けられ、マグネットが内蔵された少なくとも3つのマグネットパッキンと、
を備え、
前記ドアパネルの前記一方の面には、その全体にわたり、磁性を有する磁性シートが設けられているとともに、当該磁性シートの表面の全体に化粧シートが貼着されていることを特徴とする防音ドア。
【請求項2】
前記磁性シートは、所定種類の合成樹脂から成るシート本体に鉄粉が添加されることによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防音ドア。
【請求項3】
前記マグネットパッキンは、所定種類の合成樹脂から成り、筒状の収容部を有するパッキン本体を備え、前記収容部に前記マグネットが収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防音ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽器練習用の防音室や演奏ホールなどの出入り口に開閉自在に設けられた防音ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の防音ドアとして、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この防音ドアは、利用者の出入り口である開口部の周縁部に枠状に設けられたドア枠と、このドア枠の左右の一方の側部に、ヒンジを介して回動自在に取り付けられたドアパネルと、ドア枠の左右の他方の側部に、内方に突出するように取り付けられたマグネット戸当りと、ドアパネルの先端部(ヒンジと反対側の端部)に取り付けられた鉄板とを備えている。
【0003】
マグネット戸当りは、マグネットゴムで構成され、ドア枠の側部の全体にわたって上下方向に延びるように取り付けられている。また、鉄板は、ドアパネルが閉鎖されたときにマグネット戸当りに当接する面(以下、本欄において「戸当り面」という)において、その先端側の縁部に、上下方向に延びかつ戸当り面と面一の状態に埋設され、ドアパネルにねじ止めされている。
【0004】
このように構成された防音ドアでは、ドアパネルが閉鎖されると、その先端側の鉄板がマグネット戸当りに吸引され、ドアパネルの戸当り面がマグネット戸当りに密着する。その結果、ドアパネルの閉鎖時には、ドア枠に対し、ドアパネルの先端側、すなわち左右両端の一方が密閉され、これにより、ドアパネルの上記一方からの音漏れを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−184243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の防音ドアでは、ドア枠に対し、ドアパネルの先端側を密閉しているものの、ドアパネルのヒンジ側、上端側及び下端側の三方が密閉されておらず、それらの三方からの音漏れにより、十分な防音効果を得ることができないおそれがある。また、ドアパネルに取り付けられた鉄板は、外部に露出した状態で、ドアパネルの戸当り面に取り付けられているため、ドアパネルの見栄えが悪く、防音ドアとしての外観を損なっているという問題もある。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、従来よりも防音効果を高めることができるとともに、見栄えが良く、良好な外観を得ることができる防音ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、互いに左右方向に間隔を隔てて配置された左縦枠及び右縦枠と、これらの縦枠の上端部間及び下端部間の少なくとも一方を連結する横枠とを有するドア枠と、左縦枠及び右縦枠の一方に、ヒンジを介して開閉自在に取り付けられたドアパネルと、左縦枠、右縦枠及び横枠に、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるようにそれぞれ設けられ、ドアパネルが閉鎖されたときに、ドアパネルの一方の面の左右両側並びに上側及び下側の少なくとも一方の縁部が当接する少なくとも3つの戸当りと、少なくとも3つの戸当りに、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるようにそれぞれ取り付けられ、マグネットが内蔵された少なくとも3つのマグネットパッキンと、を備え、ドアパネルの一方の面には、その全体にわたり、磁性を有する磁性シートが設けられているとともに、磁性シートの表面の全体に化粧シートが貼着されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ドア枠の左縦枠及び右縦枠の一方に、ヒンジを介して、ドアパネルが開閉自在に取り付けられている。また、ドア枠の左縦枠、右縦枠、及び上下の少なくとも一方の横枠には、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるように、少なくとも3つの戸当りがそれぞれ設けられ、これらの少なくとも3つの戸当りには、これらに沿ってかつ全体にわたって延びるように、少なくとも3つのマグネットパッキンがそれぞれ取り付けられている。一方、ドアパネルには、閉鎖されたときに戸当りに当接する一方の面(以下、本欄において「戸当り面」という)に、その全体にわたり、磁性を有する磁性シートが設けられている。ドアパネルが閉鎖されると、磁性シートが少なくとも3つのマグネットパッキンのマグネットに吸引され、ドアパネルの戸当り面が全てのマグネットパッキンに密着する。その結果、ドアパネルの閉鎖時には、ドア枠に対し、ドアパネルの左右両端側並びに上端側及び/又は下端側の少なくとも三方が密閉される。これにより、ドアパネルの上記の少なくとも三方からの音漏れを防止し、従来に比べて、防音効果を大幅に高めることができる。
【0010】
また、ドアパネルの戸当り面に設けられた磁性シートには、その表面全体に化粧シートが貼着されている。これにより、ドアパネルの戸当り面に鉄板が露出する従来の防音ドアと異なり、鉄板などが見えることがなく、ドアパネルの見栄えを良くすることができるとともに、すっきりとした良好な外観を得ることができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の防音ドアにおいて、磁性シートは、所定種類の合成樹脂から成るシート本体に鉄粉が添加されることによって構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、磁性シートとして、所定種類の合成樹脂から成るシート本体に鉄粉が添加されることによって構成されたシートを採用することにより、容易な取扱い性を確保しながら、ドアパネルの戸当り面の形状やサイズなどに応じ、その戸当り面側に貼り付けることによって、磁性シートをドアパネルに容易に取り付けることができる。
【0016】
請求項
3に係る発明は、請求項1
又は2に記載の防音ドアにおいて、マグネットパッキンは、所定種類の合成樹脂から成り、筒状の収容部を有するパッキン本体を備え、収容部にマグネットが収容されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、マグネットパッキンのパッキン本体が、所定種類の合成樹脂から成るとともに、筒状の収容部を有しており、その収容部にマグネットが収容されている。このように構成されたマグネットパッキンでは、ドアパネルが閉鎖される場合、そのドアパネルに、合成樹脂製のパッキン本体が当たり、硬質のマグネットが直接当たることはない。したがって、ドアパネルの開閉が繰り返され、ドアパネルがマグネットパッキンに繰り返し当たっても、化粧シートがほとんど損傷することがなく、ドアパネルの良好な外観を長期間にわたって保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態による防音ドアを示す図であり、(a)はドアパネルが閉鎖された状態、(b)はドアパネルが開放された状態を示す。
【
図2】
図1(a)の防音ドアをA−A線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の第2実施形態による防音ドアを示し、
図2と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による防音ドアを示している。この防音ドア1は、楽器練習用の防音室の出入り口に設けられ、開き戸タイプのものである。
【0020】
図1に示すように、防音ドア1は、出入り口の周縁部に枠状に設けられたドア枠2と、このドア枠2の右側の縦枠に、複数(本実施形態では3つ)のヒンジ3を介して回動自在に取り付けられ、ドア枠2の内側を開閉するドアパネル4とを備えている。
【0021】
ドア枠2は、左右方向に所定距離を隔てて配置され、上下方向に所定長さ延びる左右の縦枠(以下、適宜「左縦枠2a」、「右縦枠2b」という)と、これらの上端部同士の間及び下端部同士の間をそれぞれ連結する上下の横枠(以下、適宜「上横枠2c」、「下横枠2d」という)とを有しており、これらの縦枠2a、2b及び横枠2c、2dにより、ドア枠2が縦長矩形の枠状に形成されている。また、ドア枠2のうち、左縦枠2a、右縦枠2b及び上横枠2cには、ドアパネル4を閉鎖したときに、そのドアパネル4が開放する際の開放側と反対側の面(以下「戸当り面4A」という)が当接する戸当り5が設けられている。
【0022】
より具体的には、
図1(b)及び
図2に示すように、左縦枠2a及び右縦枠2bの内側の所定位置にはそれぞれ、対応する縦枠2a、2bに組み付けられた状態で、それらの長さ方向(
図1の上下方向、
図2の表裏方向)に沿ってかつ全体にわたって延びる戸当り(以下、適宜「左戸当り5a」、「右戸当り5b」という)が設けられている。なお、詳細な図示は省略するが、上横枠2cにも、左右の戸当り5a、5bと同様に構成された戸当り5c(以下、適宜「上戸当り5c」という)が、上横枠2cの長さ方向に沿ってかつ全体にわたって延びるように設けられている。
【0023】
また、左戸当り5a、右戸当り5b及び上戸当り5cにはそれぞれ、ドアパネル4側に3つのマグネットパッキン6が取り付けられている。各マグネットパッキン6は、パッキン本体7と、このパッキン本体7の内部に収容されたマグネット8とで構成されている。
【0024】
パッキン本体7は、所定種類の合成樹脂(例えばゴムや軟質塩化ビニル)から成り、戸当り5の長さ方向に沿ってかつ全体にわたって延び、薄肉中空状の所定の横断面を有している。具体的には、
図2に示すように、パッキン本体7は、ほぼコ字状に形成され、戸当り5に取り付けられた取付部7aと、この取付部7aの前側に連なり、横長の楕円状に形成されるとともに前後方向に可撓性を有する可撓部7bと、この可撓部7bの前側に連なり、横長矩形のリング状に形成されるとともに内側にマグネット8を収容するマグネット収容部7cとで構成されている。
【0025】
一方、マグネット8は、自身が内蔵されるパッキン本体7とほぼ同じ長さを有する棒状に形成され、マグネット収容部7cの内側とほぼ同じ横長矩形状の横断面を有している。したがって、マグネット8は、パッキン本体7の長さ方向に沿ってかつ全体にわたって延び、マグネット収容部7cに収容されることで、周面全体が合成樹脂で覆われている。
【0026】
ヒンジ3は、2つのヒンジプレート3a、3aと、これらを回動自在に連結する連結軸3bとを有している。そして、2つのヒンジプレート3a、3aの一方が、右縦枠2bの所定位置にねじ止めされるとともに、他方が、ドアパネル4の右端面の所定位置にねじ止めされている。
【0027】
ドアパネル4は、パネル本体11と、その表裏面にそれぞれ取り付けられ、MDFなどから成る表面板12、12と、戸当り面4A側の表面板12に、その全体にわたって貼着された磁性シート13と、この磁性シート13の表面全体に取り付けられた化粧シート14とで構成されている。
【0028】
パネル本体11は、所定の縦横寸法及び厚さを有する厚板状に形成されている。なお、このパネル本体11として、種々の構成のものを採用することが可能である。例えば、上下左右を角材で枠状に形成し、その表裏面に板材を取り付けたものや、単一の材料(例えば発泡ウレタン)で構成したものなどを採用することができる。
【0029】
磁性シート13は、所定種類の合成樹脂(例えば塩素化ポリエチレン)から成り、所定の厚み(例えば0.5mm)を有するシート本体に、所定の含有率で鉄粉が添加されることによって、磁性を有するように構成されている。
【0030】
一方、化粧シート14は、所定種類の合成樹脂(例えばオレフィン)から成り、所定の厚み(例えば0.5mm)を有するシートで構成されている。
【0031】
以上のように構成された防音ドア1では、ドアパネル4が戸当り5側に回動し、閉鎖されると、戸当り面4A側の磁性シート13が、左右両側及び上側の3つのマグネットパッキン6のマグネット8にそれぞれ吸引される。これにより、ドアパネル4は、その戸当り面4Aが、全てのマグネットパッキン6に密着する。その結果、
図1(a)に示すように、ドアパネル4の閉鎖時には、ドア枠2に対し、ドアパネル4の左右両端側及び上端側の三方が密閉される。これにより、ドアパネル4の上記三方からの音漏れを防止し、従来に比べて、防音効果を大幅に高めることができる。
【0032】
また、ドアパネル4の戸当り面4A側には、磁性シート13の表面全体に化粧シート14が貼着されている。これにより、ドアパネルの戸当り面に鉄板が露出する従来の防音ドアと異なり、鉄板などが見えることがなく、ドアパネル4の見栄えを良くすることができるとともに、すっきりとした良好な外観を得ることができる。
【0033】
さらに、ドアパネル4が閉鎖される場合、そのドアパネル4に、合成樹脂製のパッキン本体7が当たり、硬質のマグネット8が直接当たることはない。したがって、ドアパネル4の開閉が繰り返され、ドアパネル4がマグネットパッキン6に繰り返し当たっても、化粧シート14がほとんど損傷することがなく、ドアパネル4の良好な外観を長期間にわたって保つことができる。加えて、ドアパネル4では、戸当り面4Aの任意の箇所にマグネットを吸着させることができるので、譜面やメモ書きした紙、チラシなどを、マグネットを利用して、戸当り面4A上の任意の箇所に容易に留めておくことができる。
【0034】
図3は、本発明の第2実施形態を示している。本実施形態の防音ドア1では、ドアパネル
4以外の構成は前述した第1実施形態と同じであるので、以下の説明では、第1実施形態と同じ構成部品については同じ符号を付し、本実施形態のドアパネル4の構成を中心に説明するものとする。
【0035】
図3に示すように、第2実施形態の防音ドア1におけるドアパネル4では、第1実施形態と同様のパネル本体11の表裏面に、MDFなどから成る表面板12、12が取り付けられている。そして、戸当り面4A側の表面板12には、左右両側及び上側の縁部に、細長い薄板状(例えば
、厚さ0.7mm)の3つの鋼板15(磁性プレート)(
図3では左右2つの鋼板のみ図示)がそれぞれ埋設されている。
【0036】
具体的には、戸当り面4A側の表面板12の左右両側の縁部には、鋼板15の幅寸法及び厚さとほぼ同じ所定の幅及び深さをそれぞれ有し、ドアパネル4の上下方向の全体にわたって延びる収容凹部12a、12aが形成されている。そして、各収容凹部12aに、その全体にわたって延びるように、鋼板15が表面板12と面一の状態で収容されている。また、図示しないが、戸当り面4A側の表面板12の上側の縁部には、上記の収容凹部12aと同じ幅及び深さを有し、ドアパネル4の左右方向の全体にわたって延びる収容凹部12aが形成され、その収容凹部12aに、その全体にわたって延びるように、鋼板15が表面板12と面一の状態で収容されている。なお、各鋼板15は、両面テープなどによって貼り付けられた状態で、収容凹部12aに収容されている。
【0037】
そして、ドアパネル4の戸当り面4A側には、上記の3つの鋼板15を覆った状態で、表面板12の表面全体に、第1実施形態と同じ化粧シート14が貼着されている。
【0038】
以上のように構成されたドアパネル4が閉鎖されると、左右両側及び上側の3つの鋼板15が3つのマグネットパッキン6のマグネット8にそれぞれ吸引され、ドアパネル4の戸当り面4Aが全てのマグネットパッキン6に密着する。したがって、第1実施形態と同様、ドアパネル4の閉鎖時には、ドア枠2に対し、ドアパネル4の左右両端側及び上端側の三方が密閉され、これにより、ドアパネル4の上記三方からの音漏れを防止し、従来に比べて、防音効果を大幅に高めることができる。
【0039】
また、ドアパネル4には、全ての鋼板15を覆った状態で、戸当り面4Aの全体にわたり、化粧シート14が設けられている。これにより、戸当り面4A側の全ての鋼板15が、いずれも見えることがなく、第1実施形態と同様、ドアパネル4の見栄えを良くすることができるとともに、すっきりとした良好な外観を得ることができ、加えて、ドアパネル4の良好な外観を長期間にわたって保つことができる。
【0040】
以上の第1及び第2実施形態においては、ドア枠2のうち、下横枠2dを省略してもよい。この場合には、防音室の出入り口の段差をなくすことができる。それにより、防音室の利用者が出入りの際につまづいたりすることがなく、また車椅子での出入りも容易に行うことが可能になる。
【0041】
なお、本発明は、説明した上記の各実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、戸当り5及びマグネットパッキン6を、ドア枠2のうち、左縦枠2a、右縦枠2b及び上横枠2cにそれぞれ設けたが、上横枠2cに代えて、下横枠2dに設けることも可能である。
【0042】
さらには、戸当り5及びマグネットパッキン6を、上横枠2c及び下横枠2dの両方に設けることも可能である。この場合、ドアパネル4の閉鎖時には、ドア枠2に対し、ドアパネル4の左右両端側及び上下両端側の四方が密閉可能になり、防音効果をより一層高めることができる。
【0043】
また、実施形態では、本発明の防音ドアを楽器練習用の防音室の出入り口に適用したものについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば演奏ホールの出入り口など、防音効果が要求される種々の箇所に適用することが可能である。
【0044】
また、実施形態で示したドア枠2、ドアパネル4、戸当り5、マグネットパッキン6、マグネット8、パネル本体11、表面板12、磁性シート13、化粧シート14及び鋼板15の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 防音ドア
2 ドア枠
2a 左縦枠
2b 右縦枠
2c 上横枠
2d 下横枠
3 ヒンジ
4 ドアパネル
4A 戸当り面
5 戸当り
5a 左戸当り
5b 右戸当り
5c 上戸当り
6 マグネットパッキン
7 パッキン本体
7a 取付部
7b 可撓部
7c マグネット収容部
8 マグネット
11 パネル本体
12 表面板
13 磁性シート
14 化粧シート
15 鋼板(磁性プレート)