(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の個室領域と各前記個室領域に繋がる共用領域とを開閉可能に仕切る複数の扉のそれぞれに設けられ、開閉信号を受信可能な開閉信号受信部を有し、前記開閉信号受信部で受信した開閉信号に基づいて前記扉を開閉する扉開閉装置と、
前記個室内に滞在している監視対象者の生体情報を取得可能な生体情報取得部と、電気通信回線を通じて通信可能な第1通信部と、前記生体情報が予め設定された正常範囲から外れた場合に異常信号を発信する異常信号発信部と、を有する生体情報取得装置と、
前記電気通信回線を通じて通信可能な第2通信部と、前記共用領域内を移動可能な移動機構部と、前記移動機構部の周囲を撮影可能なカメラと、前記開閉信号を発信可能な開閉信号発信部と、を有する移動ロボットと、
前記電気通信回線を通じて通信可能な第3通信部と、前記カメラで撮影した画像又は映像を表示可能なモニタと、前記生体情報取得装置から前記異常信号を受信した場合にその異常信号を発信した前記生体情報取得装置が存在している前記個室領域を特定する対象特定部と、を有する監視装置と、を備え、
前記監視装置は、前記生体情報取得装置から前記異常信号を受信した場合に前記対象特定部で特定した前記個室領域へ前記移動ロボットを移動させるための移動指令を前記移動ロボットに送信し、
前記移動ロボットは、
前記移動指令を受信していない場合は前記共用領域内に設定された巡回ルートを巡回し、
前記移動指令を受信した場合は、前記巡回ルートから離脱して、前記扉開閉装置により前記扉を開くための開信号を発信しながら前記移動指令で指定された前記個室領域を目指して移動し、前記扉開閉装置を動作させて前記扉を開いた後に前記個室領域内に入室し、その後、入室した前記個室領域内に設置されているベッド側へ向くように移動ロボットの向きを修正し、その後、入室した前記個室領域内に滞在している前記監視対象者の画像又は映像を前記カメラによって撮影して前記監視装置へ送信する、
監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について
図1から
図10を参照して説明する。
図1に示す監視システム1は、多数の監視対象者の状態を少数の監視者によって監視することができるシステムであり、例えば介護施設や病院、更には一般住宅に適用することができる。なお、監視対象者は、人間に限られず、犬や猫等のペット動物であっても良い。また、監視対象者は、複数である場合に限られず、一人であっても当然良い。
【0010】
図1に示すように、監視システム1は、複数の生体情報取得装置10と、移動ロボット20と、監視装置30と、複数の扉開閉装置40と、を備えている。各生体情報取得装置10と、移動ロボット20と、監視装置30とは、例えばインターネットや電話回線、LAN回線等を含んで構成された電気通信回線2を介して相互に通信可能に接続されている。なお、電気通信回線2は、有線又は無線のいずれでも良い。以下では、構成要素毎にその詳細について説明する。
【0011】
[生体情報取得装置]
生体情報取得装置10は、監視対象者の生体情報を取得可能な装置である。本実施形態の場合、生体情報取得装置10の形態は、例えば腕時計型やペンダント型、ベルト型、眼鏡型、チョーカー型、ヘルメット型等であり、監視対象者の身体に装着可能に構成されている。
図1に示すように、生体情報取得装置10は、デバイス制御部11、第1通信部12、位置情報取得部13、生体情報取得部14、及び異常信号発信部15を有している。
【0012】
デバイス制御部11は、生体情報取得装置10全体の制御を司っている。デバイス制御部11は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。第1通信部12、位置情報取得部13、及び生体情報取得部14は、それぞれデバイス制御部11に電気的に接続されている。生体情報取得装置10の動作に必要な電力は、生体情報取得装置10に内蔵されている図示しないバッテリから供給される。
【0013】
第1通信部12は、例えば携帯電話回線や無線LANを用いた無線通信機能によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。生体情報取得装置10は、第1通信部12によって電気通信回線2に接続することにより、監視装置30及び移動ロボット20と相互に通信可能に構成されている。位置情報取得部13は、例えばGPS(全地球測位システム)や近距離無線システム等を用いて、生体情報取得装置10の現在位置を取得する機能を有している。
【0014】
生体情報取得部14は、生体情報取得装置10を装着した監視対象者の生体情報を取得する機能を有している。本実施形態において、生体情報とは、監視対象者の生命に関わる情報であり、脈拍数、心拍数、脳波、心電位、又は体温の少なくともいずれか1つを含んでいる。
【0015】
本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、例えば腕時計型であって、監視対象者の脈拍数を取得することができる。すなわち、本実施形態において、生体情報取得部14は、腕時計型の生体情報取得装置10に内蔵された脈拍センサである。この場合、生体情報取得部14は、例えば腕の皮膚表面から動脈に向けて光を照射する発光素子と、動脈で反射しその動脈を流れる血液の脈動によって変化する光を受光する受光素子とで構成されている。そして、生体情報取得部14は、受光した光の変化を検出することで、脈動数すなわち心拍数を測定することができる。
【0016】
生体情報取得装置10は、生体情報取得部14で取得した所定期間に亘る生体情報をログとして記憶することができる。生体情報取得装置10は、このログを、例えば監視装置30からの要求に基づいて、又は一定周期毎に監視装置30に送信することができる。そして、監視装置30は、生体情報取得部14から取得したログを、モニタ33に表示することができる。これにより、管理者は、監視装置30のモニタ33を通じて、生体情報取得装置10を装着した監視対象者の生体情報のログを確認することができる。
【0017】
異常信号発信部15は、生体情報取得部14で取得した生体情報が予め設定された正常範囲から外れた場合に、第1通信部12を介して、例えば監視装置30等の外部装置へ向けて異常信号を発信する機能を有している。生体情報の正常範囲は、生体情報取得装置10を装着する監視対象者毎に個別に設定される。そして、各生体情報取得装置10は、デバイス制御部11の図示しない記憶領域に、当該生体情報取得装置10を装着する監視対象者の生体情報の正常範囲を記憶している。本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、生体情報の正常範囲として監視対象者の脈拍の上限及び下限を記憶している。
【0018】
デバイス制御部11の図示しない記憶領域は、生体情報取得装置10を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。そして、デバイス制御部11は、図示しないCPUにおいて上記プログラムを実行することにより、異常信号発信部15をソフトウェアによって仮想的に実現する。なお、異常信号発信部15は、例えばデバイス制御部11と一体の集積回路としてハードウェア的に実現してもよい。
【0019】
[移動ロボット]
移動ロボット20は、監視対象とする施設や住居内を巡回して見回る等、自律して動作可能なロボットである。また、移動ロボット20は、必要に応じて監視装置30等からの遠隔操作によって動作可能なロボットである。移動ロボット20は、移動ロボット制御部21、第2通信部22、移動機構部23、カメラ24、スピーカ25、マイク26、開閉信号発信部27、障害物検知部28、及び現在位置特定部29を有している。
【0020】
移動ロボット制御部21は、移動ロボット20全体の制御を司っている。移動ロボット制御部21は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。移動ロボット制御部21の図示しない記憶領域は、移動ロボット20を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
【0021】
第2通信部22、移動機構部23、カメラ24、スピーカ25、マイク26、開閉信号発信部27、障害物検知部28、及び現在位置特定部29は、それぞれ移動ロボット制御部21に電気的に接続されている。第2通信部22は、例えば電話回線や無線LANを用いた無線通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。移動機構部23は、特定の領域内、例えば監視対象とする施設内や住居内において、移動ロボット20を自律的に移動させる機能を有している。この場合、移動ロボット20は、例えば次のようにして、監視対象となる領域内を自律的に移動することができる。
【0022】
すなわち、例えば監視対象となる領域内に、予め電気的又は磁気的なレールを設ける。そして、移動ロボット制御部21は、そのレールに沿って移動するように移動機構部23を動作させる。また、移動ロボット20を次のように構成しても良い。すなわち、例えば天井や壁、床等にレールに代わるマークを点在させて設ける。このマークは、例えば二次元コード等である。そして、移動ロボット制御部21は、カメラ24で取得した画像を基にそのマークを認識することで、移動ロボット20の現在位置を把握するとともに、そのマークに沿って移動するように移動機構部23を動作させる。
【0023】
更に、移動ロボット20を次のように構成しても良い。すなわち、例えば移動ロボット制御部21の記憶領域に、監視対象となる特定の領域について、その地図情報すなわち施設や居住内のフロアマップを記憶させる。そして、移動ロボット制御部21は、その地図情報に基づいて移動するように移動機構部23を動作させる。なお、移動機構部23は、車輪等を有して走行するものに限られず、例えば自律飛行可能な飛行体であっても良い。
【0024】
カメラ24は、移動機構部23の周囲すなわち移動ロボット20の周囲を撮影する機能を有している。この場合、カメラ24で撮影可能な画像は、静止画又は動画のいずれでも良い。スピーカ25は、移動ロボット20の周囲に対して音声を発する機能を有している。スピーカ25は、移動ロボット20の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置30から受信した音声データに基づく音声を発することができる。マイク26は、移動機構部23の周囲すなわち移動ロボット20の周囲の音を集音することができる。マイク26で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば監視装置30へ送信される。
【0025】
開閉信号発信部27は、電気通信回線2を介さずに扉開閉装置40と直接的に、又は電気通信回線2を介して扉開閉装置40と間接的に無線通信可能な機能を有している。本実施形態の場合、開閉信号発信部27は、赤外線通信機能を有しており、扉開閉装置40に対して開信号及び閉信号を発信する。なお、開閉信号発信部27の通信方式は赤外線通信方式に限られず、例えば携帯電話回線を用いたものや、短距離無線通信方式を用いたものでも良い。
【0026】
障害物検知部28は、例えば音波や電磁波、レーザー等を用いたレーダーや、カメラによる画像認識機能等によって構成されている。障害物検知部28は、例えば移動ロボット20の前面側に設けられており、移動ロボット20の少なくとも進行方向における所定範囲内に存在する障害物を検知する機能を有している。現在位置特定部29は、移動ロボット20の現在位置を特定する機能を有している。
【0027】
現在位置特定部29は、例えばGPS(全地球測位システム)や近距離無線システム等を用いて、移動ロボット20の現在位置を特定する。また、現在位置特定部29は、例えば天井や壁、床等に設けられた二次元コード等のマークを読み取ることで、移動ロボット20の現在位置を特定しても良い。この場合、マークは、そのマークが設けられた箇所の位置情報を含む。
【0028】
なお、移動ロボット20は、上述した機能の他、移動ロボット20の周囲の温度や湿度、照度、更には移動ロボット20に加えられた衝撃を計測することができる加速度センサや、周囲の人間の存在を検出することができる人感センサ等を有していても良い。また、移動ロボット20は、移動ロボット20の動作に必要な電力を供給するためのバッテリを内蔵している。そして、移動ロボット20は、バッテリの残量が低下すると、給電設備まで自動的に走行し、自動的に給電設備に接続して充電を開始する。
【0029】
[監視装置]
監視装置30は、生体情報取得装置10や移動ロボット20によって取得した各種情報を監視者に提示する機能を有している。また、監視装置30は、生体情報取得装置10から異常信号を受信した場合に、その異常信号を発した生体情報取得装置10及びその生体情報取得装置10の現在位置を特定し、移動ロボット20に対して、特定した生体情報取得装置10の現在位置を目指して移動するように指示する機能を有している。通常、監視装置30は、監視対象者の居室から離れた位置すなわち監視対象者の存する領域から離れた場所に設置されている。この場合、監視装置30は、監視対象者の居室を有する建物と同一の建物内に設置されていても良いし、異なる建物内に設置されていても良い。
【0030】
監視装置30は、監視装置制御部31、第3通信部32、モニタ33、スピーカ34、マイク35、及び対象特定部36を有している。監視装置30は、監視システム1専用のコンピュータであっても良いし、例えば汎用的なパーソナルコンピュータや、いわゆるスマートフォン又はタブレット端末等の高機能携帯端末であっても良い。監視装置制御部31は、監視装置30全体の制御を司っている。監視装置制御部31は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。監視装置制御部31の図示しない記憶領域は、監視装置30を監視システム1に適用させるためのプログラムを記憶している。
【0031】
第3通信部32、モニタ33、スピーカ34、マイク35、及び対象特定部36は、それぞれ監視装置制御部31に電気的に接続されている。第3通信部32は、例えば電話回線や有線又は無線LANを用いた通信機能等によって、電気通信回線2に接続可能に構成されている。モニタ33は、例えば一般的な液晶モニタ等であって、電気通信回線2を介して生体情報取得装置10から取得した生体情報や、移動ロボット20のカメラ24で撮影された画像又は映像を表示する機能を有している。
【0032】
スピーカ34は、監視装置30の周囲に対して音声を発する機能を有している。スピーカ34は、監視装置30の内部で生成した音声や、電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20から受信した音声データに基づく音声を発することができる。マイク35は、監視装置30の周囲の音を集音することができる。マイク35で集音された音声は、音声データに変換されて電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20へ送信される。すなわち、移動ロボット20のカメラ24の前方に監視対象者が存在している場合、監視装置30を扱う監視者は、モニタ33に映る監視対象者を見ながら、スピーカ25、34、及びマイク26、35を通してその監視対象者と会話を行うことができる。
【0033】
対象特定部36は、生体情報取得装置10から異常信号を受信した場合に、その異常信号を発信した生体情報取得装置10が存在している現在位置を特定する機能を有する。対象特定部36は、例えば異常信号を発信した生体情報取得装置10の位置情報取得部13からその生体情報取得装置10の現在位置を取得することで、その生体情報取得装置10の現在位置を特定する構成とすることができる。
【0034】
また、対象特定部36は、例えば次のようにして、異常信号を発信した生体情報取得装置10が存在している現在位置を特定しても良い。すなわち、対象特定部36は、予め各生体情報取得装置10とその各生体情報取得装置10が使用される領域とを紐付して記憶する。そして、対象特定部36は、生体情報取得装置10から異常信号を受信した場合に、その異常信号を発信した生体情報取得装置10に紐付された領域を、その異常信号を発信した生体情報取得装置10の現在位置として特定する。
【0035】
[扉開閉装置]
扉開閉装置40は、
図2に示すように、居室等の出入口に設けられた扉91に取り付けられている。本実施形態の場合、扉91は引戸である。しかしながら、扉91は、引戸に限られず、ヒンジ式の扉であっても良い。なお、
図2では、紙面に対して垂直方向が、扉91の開閉方向である。また、本実施形態の場合、扉開閉装置40は、個室領域の外側つまり共用領域側に設けられている。扉開閉装置40は、移動ロボット20又は監視装置30からの指示により扉91を自動で開閉する。本実施形態の場合、扉開閉装置40は、移動ロボット20と直接的に通信することにより、移動ロボット20からの指示によって扉91を自動的に開閉する。
【0036】
本実施形態において、扉開閉装置40は、扉91に対して事後的に取り付けられることにより、扉91の外部から視認可能な位置に設けられている。すなわち、本実施形態の扉開閉装置40は、扉91に対して予め組み込まれているものではなく、既に手動扉状態として構成されている扉91に対して事後的に取付可能となっている。なお、扉開閉装置40は、扉91に対して事後的に取り付けるものではなく、扉91に対して予め組み込まれているものであっても良い。
【0037】
扉開閉装置40を取り付ける扉91は、
図2に示すように、吊り下げ式の引戸であることが好ましい。本実施形態の場合、扉91は、上部の壁92や図示しない天井等に設けられたレール93にスライダ94介して吊り下げられており、そのレール93に沿って開閉する。これは、吊り下げ式の扉91は、吊り下げ式でない引戸つまり床面95に設置されたレールに沿って開閉する引戸に比べて、開閉に要する力が小さくて済むからである。これにより、扉開閉装置40の出力を小さくすることができ、その結果、扉開閉装置40のサイズや消費電力を抑えることができる。しかしながら、扉開閉装置40が取付られる扉91は、必ずしも吊り下げ式である必要はない。
【0038】
扉開閉装置40は、
図1から
図3に示すように、開閉装置制御部41、駆動ベルト42、モータ43、駆動プーリー44、従動プーリー45、取付部46、開閉検出部47、開閉信号受信部48、及びケース49を有している。開閉装置制御部41、駆動ベルト42、モータ43、駆動プーリー44、従動プーリー45、取付部46、及び開閉検出部47は、ケース49内に収納されている。開閉信号受信部48は、例えばケース49から露出した状態でケース49内に収納されている。なお、開閉信号受信部48は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信される開閉信号を受信できれば良く、必ずしもケース49から露出している必要はない。
【0039】
開閉装置制御部41は、扉開閉装置40全体の制御を司っている。開閉装置制御部41は、例えば図示しないCPUや、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。モータ43、開閉検出部47、及び開閉信号受信部48は、それぞれ開閉装置制御部41に電気的に接続されている。
【0040】
駆動ベルト42は、
図3及び
図4に示すように、扉91の開閉方向に長尺状となるように設けられている。駆動プーリー44は、モータ43に接続されて、駆動ベルト42の一端側に設けられており、従動プーリー45は、駆動ベルト42の他端側に設けられている。モータ43の回転力は、駆動プーリー44を介して駆動ベルト42に伝達される。取付部46は、駆動ベルト42に設けられているとともに、扉91に固定される。すなわち、扉91は、取付部46を介して駆動ベルト42に接続されている。この構成において、モータ43が回転すると、例えば
図4に示すように駆動ベルト42が駆動し、これにより扉91が開閉する。
【0041】
開閉検出部47は、扉91の開閉状態を検出する。開閉検出部47は、例えば取付部46の有無を検出することができる近接センサや機械スイッチ等で構成することができる。この場合、開閉検出部47は、扉91の開放状態における取付部46を検出可能な位置と、扉91の閉鎖状態における取付部46を検出可能な位置と、に設けられている。そして、各開閉検出部47は、開閉装置制御部41に接続されており、開閉装置制御部41は、開閉検出部47の検出結果に基づいて扉91の開閉状態を検出する。
【0042】
開閉信号受信部48は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信された開閉信号を、電気通信回線2を介さずに直接的に、又は電気通信回線2を介して間接的に、受信することができる。そして、開閉装置制御部41は、開閉信号受信部48で受信した開閉信号に基づいてモータ43を動作させることで、扉91を自動開閉する。本実施形態の場合、開閉信号受信部48は、赤外線信号を受信可能な赤外線信号受信部で構成されており、開閉信号発信部27から発信された開閉信号を、電気通信回線2を介さずに直接的に受信することができる。
【0043】
なお、この場合、扉開閉装置40の開閉信号受信部48は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信された赤外線信号を、壁92を隔てた状態で受信することはできない。このため、開閉信号受信部48は、移動ロボット20が廊下側つまり共用領域側に存在している場合に限って、開閉信号発信部27から発信された赤外線信号を受信することができる。
【0044】
開閉信号は、例えば赤外線による特定周期の
パルス信号で構成されている。そして、扉開閉装置40が複数ある場合、
パルス信号の周期は、扉開閉装置40の固体毎で異なるように設定されている。このため、扉開閉装置40は、自己に設定された周期のパルス信号を受信した場合のみ、扉91を自動で開閉する。なお、モータ43が通電されていない状態では、モータ43に回転力は生じていないため、扉91は、人の力で容易に開閉することができる。
【0045】
ちなみに、開閉信号発信部27及び開閉信号受信部48は、赤外線通信機能に限られず、例えば電波や磁場を用いた近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)等の機能を有するものであってもよい。この場合も、開閉信号発信部27と開閉信号受信部48とは、壁92を隔てた状態での通信は不可能であるため、移動ロボット20が廊下側に存在している場合に限って、相互間の通信が可能となる。
【0046】
また、開閉信号発信部27及び開閉信号受信部48は、上述したものに限られず、例えば無線LANによって通信するものでも良い。この場合、移動ロボット20の開閉信号発信部27と扉開閉装置40の開閉信号受信部48とは、壁92を隔てた状態での通信が可能となるため、移動ロボット20が廊下側に存在している場合に限らず個室領域側に存在している場合においても、相互間の通信が可能となる。したがって、この場合、開閉信号受信部48は、個室領域側に設けられていても良い。更に、扉開閉装置40は、開閉信号受信部48に換えて又は開閉信号受信部48に加えて、電気通信回線2を介して外部の装置例えば移動ロボット20や監視装置30等と通信可能な通信部を有していても良い。
【0047】
[監視システムの適用例]
次に、監視システム1の適用例について、
図5も参照して説明する。
図5は、例えば監視システム1を在宅型又は介護付き老人ホームに適用した例である。施設80は、複数の個室領域81と各個室領域81に繋がる共用領域82とを有している。各個室領域81と共用領域82とは、それぞれ扉91で仕切られている。すなわち、扉91は、各個室領域81の出入口に設けられており、各個室領域81と共用領域82とを開閉可能に仕切っている。各扉91には、それぞれ扉開閉装置40が設けられている。監視装置30は、例えば共用領域82内に設けられたヘルパーステーション821に設置されている。
【0048】
[各装置の制御及び動作内容]
次に、
図6から
図11も参照して、各装置10、20、30、40の制御及び動作内容について説明する。各装置10、20、30、40は、各制御部11、21、31、41のCPUが各制御部11、21、31、41の記憶領域に記憶されているプログラムを実行することにより動作する。以下の説明では、制御を行う主体を各制御部11、21、31、41として説明する。
【0049】
[生体情報取得装置の制御及び動作内容]
まず、生体情報取得装置10で行われる制御及び動作内容の一例について、
図6を参照しながら説明する。本実施形態の場合、生体情報取得装置10は、監視対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得部14で取得した生体情報が正常範囲内である場合には、所定時間毎、例えば1分間隔で生体情報を取得する。一方、監視対象者に異常が発生した場合つまり取得した生体情報が正常範囲を外れている場合には、監視装置30に対して異常信号を送信すると共に、生体情報を常時取得するようにする。これによれば、異常が発生していない通常時においては、生体情報取得部14の動作時間を低減することができるため、消費電力を抑えることができる。なお、生体情報取得装置10は、異常発生の有無に関わらず常に生体情報を取得する構成であっても良い。
【0050】
具体的には、生体情報取得装置10のデバイス制御部11は、
図6に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS11において生体情報取得部14を動作させて監視対象者の生体情報を取得する。次に、デバイス制御部11は、ステップS12において、異常信号が発信中であるか否かを判断する。異常信号が発信中である場合(ステップS12でYES)、デバイス制御部11は、ステップS16へ処理を移行させる。
【0051】
一方、異常信号が発信中でない場合(ステップS12でNO)、デバイス制御部11は、ステップS13において、ステップS11で取得した生体情報の値が正常範囲内であるか否かを判断する。そして、生体情報の値が正常範囲内であれば(ステップS13でYES)、デバイス制御部11は、ステップS14において所定期間例えば1分間経過するまで待機し(ステップS14でNO)、所定期間経過した後に(ステップS14でYES)、ステップS11へ戻ってステップS11以降の処理を繰り返す。
【0052】
生体情報の値が正常範囲から外れている場合(ステップS13でNO)、デバイス制御部11は、監視対象者に異常が発生したと判断する。そして、デバイス制御部11は、ステップS15へ処理を移行させ、異常信号発信部15を動作させて異常信号を発信する。その後、デバイス制御部11は、ステップS16において位置情報取得部13を動作させて、生体情報取得装置10の位置つまり監視対象者の位置を取得する。そして、デバイス制御部11は、ステップS17において、第1通信部12を動作させて、異常信号及び位置情報や生体情報等の各種情報を、監視装置30へ送信する。なお、異常信号及び各種情報を、監視装置30に加えて移動ロボット20に送信しても良い。
【0053】
次に、デバイス制御部11は、ステップS18において解除信号を受信したか否かを判断する。解除信号は、ステップS15で発信した異常信号を停止させるための信号であり、本実施形態の場合、監視装置30から送信される。解除信号を受信している場合(ステップS18でYES)、デバイス制御部11は、ステップS19へ処理を移行させ、ステップS15で発信した異常信号を停止させる。一方、解除信号を受信していない場合(ステップS18でNO)、デバイス制御部11は、異常信号の発信を継続する。その後、デバイス制御部11は、ステップS11へ処理を移行させ、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0054】
[監視装置の制御及び動作内容]
次に、監視装置30で行われる制御及び動作内容の一例について、
図7を参照しながら説明する。本実施形態の場合、監視装置30のモニタ33には、移動ロボット20のカメラ24で撮影された映像が表示されている。そして、生体情報取得装置10からの異常信号を受信すると、スピーカ25からその旨が報知されると共に、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報がモニタ33に表示される。
【0055】
具体的には、監視装置30の監視装置制御部31は、
図7に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS21においてモニタ33を動作させて、移動ロボット20のカメラ24で撮影した映像を表示する。次に、監視装置制御部31は、ステップS22において、生体情報取得装置10から異常信号を受信しているか否かを判断する。異常信号を受信していない場合(ステップS22でNO)、監視装置制御部31は、ステップS21へ処理を移行させ、ステップS21、22を繰り返す。一方、異常信号を受信した場合(ステップS22でYES)、監視装置制御部31は、ステップS23へ処理を移行させる。
【0056】
監視装置制御部31は、ステップS23においてスピーカ25を動作させて異常信号を受信した旨つまり監視対象者に異常が発生している旨を報知する。この場合、監視装置制御部31は、対象特定部36によって、異常信号を発信している生体情報取得装置10と、その生体情報取得装置10が存在している個室領域81を特定する。そして、監視装置制御部31は、特定した生体情報取得装置10の例えばIDや特定した個室領域81の部屋番号等を、モニタ33に表示させる。更に、監視装置制御部31は、ステップS24において、異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報等の各種情報をモニタ33に表示させる。この場合、各種情報は、カメラ24で撮影した映像と共に、モニタ33に表示される。
【0057】
次に、監視装置制御部31は、ステップS25において、移動ロボット20に対して移動指令を送信済みであるか否かを判断する。移動指令とは、移動ロボット20を、異常信号を発信した生体情報取得装置10に向かって移動させる、すなわち、対象特定部36によって特定された個室領域81へ向かって移動させるための指令信号である。移動指令は、生体情報取得装置10から取得した位置情報やの生体情報取得装置10のID等に基づいて生成される。すなわち、移動指令は、生体情報取得装置10の位置情報つまり移動ロボット20の目的地情報、換言すれば目的となる個室領域81の情報を含んでいる。
【0058】
移動指令が未だ送信されていない場合(ステップS25でNO)、監視装置制御部31は、ステップS26へ処理を移行させ、移動指令を生成して移動ロボット20に対してその移動指令を送信する。その後、監視装置制御部31は、ステップS27へ処理を移行させる。また、移動指令が既に送信されていた場合(ステップS25でYES)、監視装置制御部31は、ステップS26を実行することなく、ステップS27へ処理を移行させる。
【0059】
その後、監視装置制御部31は、ステップS27において異常解除の入力の有無を判断する。異常解除の入力とは、例えば監視者によって図示しない操作部に対して行われる入力操作である。異常解除の入力操作は、例えば監視者が監視対象者の状態を確認した場合等に行われる。この場合、異常解除の入力操作に用いられる図示しない操作部は、生体情報取得装置10、移動ロボット20、又は監視装置30のいずれに設けられていても良い。なお、異常解除の入力操作に用いられる操作部を生体情報取得装置10に設けることで、監視者は、異常解除の入力操作を行う際に、その生体情報取得装置10を装着している監視対象者に直接触れることになり、その結果、監視の信頼性の向上が図られる。
【0060】
異常解除の入力があった場合(ステップS27でYES)、監視装置制御部31は、ステップS28において、異常信号を発信した生体情報取得装置10及び移動ロボット20に対して解除信号を送信する。その後、監視装置制御部31は、ステップS21へ戻り、ステップS21以降の処理を繰り返す。一方、異常解除の入力が無い場合(ステップS27でYES)、監視装置制御部31は、ステップS28を実行することなく、ステップS21へ戻ってステップS21以降の処理を繰り返す。
【0061】
[移動ロボットの制御及び動作内容]
次に、移動ロボット20で行われる制御及び動作内容の一例について、
図8から
図10を参照しながら説明する。本実施形態の場合、移動ロボット20は、監視対象者に異常が無い場合つまり生体情報取得装置10が異常信号を発信していない場合には、例えば
図5に示すような予め設定された巡回ルートRを巡回して、監視対象となる領域を満遍なく監視する。この場合、巡回ルートRは、共用領域82内において各扉91の前つまり各個室領域81の前を通過するような経路に設定されている。
【0062】
一方、生体情報取得装置10が異常信号を発信している場合、移動ロボット20は、巡回ルートRから離脱し、その異常信号を発した生体情報取得装置10の現在位置、この場合、その生体情報取得装置10が存在する個室領域81を目的地として移動する。これにより、移動ロボット20は、その生体情報取得装置10の装着者つまり異常が発生した監視対象者を重点的に監視する。
【0063】
具体的には、移動ロボット20の移動ロボット制御部21は、
図8に示すように、制御を開始すると(スタート)、ステップS31で移動機構部23を動作させて巡回動作を実行すると共に、ステップS32でカメラ24を動作させて周囲の映像を撮影する。移動中、移動ロボット制御部21は、ステップS33に示すように、障害物検知部28を動作させて、前方に自己の進行を妨げる障害物が存在しているか否かを判断する。
【0064】
前方に障害物が検知された場合(ステップS33でYES)、移動ロボット制御部21は、移動を一旦停止する(ステップS34)。一方、前方に障害物が検知されなかったか、又は前方の障害物が無くなった場合(いずれもステップS33でYES)、移動ロボット制御部21は、ステップS35へ処理を移行させて、巡回動作のための移動を継続又は再開する。
【0065】
また、移動ロボット制御部21は、ステップS36に示すように、生体情報取得装置10から移動指令を受信したか否かを判断する。移動指令を受信していない場合(ステップS36でNO)、移動ロボット制御部21は、ステップS33〜S36の処理を繰り返して巡回動作を継続する。一方、移動指令を受信した場合(ステップS36でYES)、移動ロボット制御部21は、ステップS37へ処理を移行させ、巡回ルート離脱動作を実行する。
【0066】
巡回ルート離脱動作が実行されると、移動ロボット20は、巡回ルートRから離脱して、扉開閉装置40により扉91を開くための開信号を発信しながら、移動指令で指定された個室領域81を目指して移動を開始する。具体的には、巡回ルート離脱動作が実行されると、移動ロボット制御部21は、
図9のステップS371に示すように、開閉信号発信部27から開信号の発信を開始する。次に、移動ロボット制御部21は、ステップS372において、移動機構部23を駆動させて、目的となる個室領域81を目指して移動を開始する。この場合、移動ロボット20は、目的地となる個室領域81の直前までは、巡回ルートR上を走行する。
【0067】
この場合も、巡回動作時と同様に、移動ロボット制御部21は、障害物検知部28を動作させて、前方に自己の進行を妨げる障害物が存在しているか否かを判断する(ステップS373)。そして、前方に障害物が検知された場合(ステップS373でYES)、移動ロボット制御部21は、移動を一旦停止する(ステップS375)。この場合、障害物には、扉91も含まれる。
【0068】
すなわち、移動ロボット20が個室領域81に入室しようとしている状態で、その個室領域81の扉91がまだ開かれていない場合、障害物検知部28は、その扉91を障害物として検知する。これにより、移動ロボット20は、閉じている又は開いている途中の扉91の手前で一旦停止する。そして、扉91が開くと、障害物検知部28による障害物の検知が無くなり(ステップS373でNO)、移動ロボット制御部21は、ステップS375へ処理を移行させて移動を再開し、目的地となる個室領域81内に入室する。
【0069】
そして、移動ロボット制御部21は、ステップS376において目的地に到着したか否かを判断する。目的地に到着していない場合(ステップS376でNO)、移動ロボット制御部21は、ステップS373へ処理を戻して、移動を継続する。一方、目的地に到着すると(ステップS376でYES)、移動ロボット制御部21は、ステップS377において移動を停止するとともに、ステップS378において開閉信号発信部27からの開信号の発信を停止する。
【0070】
そして、移動ロボット制御部21は、ステップS379において、移動機構部23を動作させて、入室した個室領域81内に設置されているベッド83側へ向くように移動ロボット20の向きを修正する。これにより、移動ロボット制御部21は、ベッド83及びそのベッドに寝ている監視対象者がカメラ24の撮影領域に入るようにする。
【0071】
ここで、ベッド83の位置は、入室した個室領域81によって異なっている可能性がある。この場合、移動ロボット20は、予め各個室領域81におけるベッド83の位置を記憶しており、その記憶されているベッド83の位置に基づいて、入室後に向きを変えるようにしても良い。また、各個室領域81におけるベッド83の位置を記憶し、移動ロボット20に送信する移動指令に、ベッド83の位置情報つまり入室後にどちらの方向へ向けばよいかの情報を含ませても良い。そして、移動ロボット制御部21は、ステップS379において移動ロボット20の向きを修正した後、巡回ルート離脱動作を終了する(リターン)。
【0072】
移動ロボット20は、目的地に到着すると、監視装置30から解除信号を受信するまで、目的地で待機する。その間、移動ロボット制御部21は、カメラ24で撮影した画像又は映像を、監視装置30に送信し続ける。監視者は、監視装置30のモニタ33に映る映像やスピーカ25、34、マイク26、35を用いて、異常信号を発信した生体情報取得装置10の装着者つまり異常が発生した監視対象者の状態の確認や、監視対象者に対する呼びかけ、及び問診等を行う。そして、監視者は、監視対象者の状態を確認した後、監視装置30を操作して異常を解除する(
図7のステップS27でYES)。すると、監視装置30は、生体情報取得装置10及び移動ロボット20へ対して解除信号を送信する(
図7のステップS28)。
【0073】
移動ロボット制御部21は、解除信号を受信すると(
図8のステップS38でYES)、ステップS39において、扉開閉装置40に対して扉91を閉めるための閉信号を送信する。そして、移動ロボット制御部21は、ステップS40において、移動機構部23を動作させて、巡回ルートR上へ戻るための移動を行う。
【0074】
ここで、開閉信号が赤外線信号である場合、移動ロボット20は、閉信号を発信しながら、個室領域81内から共用領域82に出て巡回ルートRに復帰する。すなわち、移動ロボット20が個室領域81内にいるとき、扉開閉装置40の開閉信号受信部48は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信された閉信号を受信することができない。そのため、移動ロボット20が個室領域81内にいるときに閉信号を発信しても、扉91が閉まることがない。
【0075】
一方、移動ロボット20が個室領域81から退室すると、扉開閉装置40の開閉信号受信部48は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信された閉信号を受信できるようになる。これにより、移動ロボット20が個室領域81から退室すると、扉開閉装置40の開閉信号受信部48は、移動ロボット20からの閉信号を受信して、扉91を自動で閉める。これによれば、移動ロボット制御部21は、移動ロボット20が個室領域81から退室したか否かを判断することなく、閉信号を発信することができる。そのため、移動ロボット制御部21は、閉信号の発信のために移動ロボット20の位置やタイミングを判断する必要がないため、制御が簡単になる。
【0076】
そして、移動ロボット制御部21は、巡回ルートRに復帰し(ステップS40)、その後、閉信号を停止する(ステップS41)。そして、移動ロボット制御部21は、ステップS31へ処理を戻し、巡回動作を再開する。
【0077】
[扉開閉装置の制御及び動作内容]
次に、扉開閉装置40で行われる制御及び動作内容の一例について、
図10も参照しながら説明する。本実施形態において、開閉装置制御部41は、モータ43を駆動させていない非動作時には、移動ロボット20の開閉信号発信部27から発信される開閉信号を受け付けている。なお、以下の説明では、扉91が閉じた状態である場合を前提とする。また、扉91は、モータ43が駆動していない状態では、人の力で開閉することができる。
【0078】
開閉装置制御部41は、
図10に示すように、扉91が閉じた状態では、開信号を受信するまで待機している(ステップS41でNO)。そして、開閉装置制御部41は、移動ロボット20の開閉信号発信部27から開信号を受信すると(ステップS41でYES)、ステップS42においてモータ43を駆動させる。これにより、扉91が自動的に開く。その後、開閉装置制御部41は、開閉検出部47によって扉91が開いたことを検出すると(ステップS43でYES)、ステップS44においてモータ43を停止させる駆動させる。これにより、扉91は、移動ロボット20が通過可能な状態に開く。そして、開閉装置制御部41は、扉91を開くための制御を終了する(リターン)。
【0079】
なお、扉開閉装置40は、移動ロボット20の開閉信号発信部27とは別に、開閉信号を発信するためのボタン等を備えていても良い。このボタンは、例えば扉91の個室領域81側及び共用領域82側のそれぞれに設ければ良い。
【0080】
以上説明した実施形態によれば、また、監視システム1は、生体情報取得装置10で取得した監視対象者の生体情報に基づいて異常を判断する。したがって、監視対象者の異常状態を直接的に検出することができる。
【0081】
生体情報取得装置10を装着している監視対象者に異常が生じた場合、監視装置30は、その異常が生じた監視対象が滞在している個室領域81を特定し、その個室領域81を目指して移動するように移動指令を送信する。移動ロボット20は、移動指令を受信すると、移動指令で指定された個室領域81を目指して移動する。そして、移動ロボット20は、移動先の個室領域81内に滞在している監視対象者の画像又は映像をカメラ24によって撮影して監視装置30へ送信する。これにより、監視者は、監視対象者から離れた遠隔地においても、監視装置30のモニタ33を見ることで監視対象者の異常状態をいち早く確認することができる。
【0082】
監視システム1は、複数の生体情報取得装置10を備えている。そして、複数の生体情報取得装置10は、それぞれ異なる監視対象者に装着される。すなわち、監視システム1は、1台の監視装置30で、複数の監視対象者を監視することができる。これによれば、例えば病院や介護施設等のように、多数の監視対象者を監視する必要がある場合であっても、少人数の監視者で対応することができ、その結果、監視に要する人員を削減することができる。
【0083】
ここで、移動ロボット20を居室に入退室させるためには、扉91を開閉させる必要がある。この場合、例えば扉91を一般的な自動ドアにしたり、移動ロボット20に扉91の開閉用のアーム等を設けたりすることが考えられる。しかしながら、例えば扉91を自動ドアにすると、扉91の前を人が通るたびに扉91が開閉してしまう。したがって、自動ドアにすることは、居室用の扉91としては不向きである。また、移動ロボット20に扉91の開閉用のアーム等を設けると、移動ロボット20の構成や制御が複雑になり、移動ロボット20のコストも上昇する。
【0084】
そこで、本実施形態において、監視システム1は、扉開閉装置40を更に備える。扉開閉装置40は、駆動源であるモータ43が動作してない状態では、扉91を人の力によって容易に開閉できる状態に維持している。また、扉開閉装置40は、移動ロボット20又は監視装置30からの指示により、必要に応じて扉91を自動で開閉する。これによれば、扉開閉装置40は、移動ロボット20が個室領域81に対して入退室を行う場合には、扉91を人の手によらず自動で開くことができる。したがって、監視システム1は、扉91を一般的な自動ドアにしたり、移動ロボット20に扉91の開閉用のアーム等を設けたりした場合に生じ得る上述した不都合を回避することができ、その結果、自動扉状態と手動扉状態の両方のメリットを得ることができる。
【0085】
移動ロボット20及び扉開閉装置40は、それぞれ赤外線信号を送受信することによって相互に無線通信可能な送受信部27、42を有している。これによれば、移動ロボット20と扉開閉装置40との通信に電波を使用するものに比べて、比較的安価に構成することができる。更に、電波を使用した無線通信の場合、移動ロボット20は、常に全ての扉開閉装置40と通信状態を維持しなければならず、そのため、電波帯域を無駄に使用すると共に消費電力の無駄も大きくなる。しかし、本実施形態のように、赤外線通信によって1対1の通信を可能にすることで、電波帯域を無駄に使用することもなく、消費電力も低減することができる。これは、扉開閉装置40の数が増大した場合すなわち監視対象者が増大した場合により有効である。
【0086】
扉開閉装置40は、扉91の外部から視認可能な位置に設けられている。すなわち、本実施形態の場合、扉開閉装置40は、扉91の内部に予め組み込まれたものではなく、扉91の外部から取り付け可能となっている。すなわち、本実施形態の扉開閉装置40は、当初は手動専用であった扉91に対して事後的に取り付けることができる。これによれば、当初は監視システム1の適用を想定しておらず、手動専用の扉91を有している施設に対しても、扉91に扉開閉装置40を取り付けることで、その扉91を監視システム1に適用させることができる。また、これによれば、扉開閉装置40を取り外すことも容易となるため、扉開閉装置40のメンテナンスや扉91を手動専用に戻すことが容易になる。
【0087】
また、移動ロボット20は、異常が発生していない通常時は、予め設定された巡回ルートRに沿って常に巡回している。これによれば、共用領域82で生じた異常も監視できるとともに、個室領域81で異常が発生した場合にはいち早くその個室領域81まで移動することができる。したがって、監視装置30が異常信号を受信してから移動ロボット20が駆けつけるまでの時間を極力短縮することができる。
【0088】
更に、移動ロボット20は、移動指令を受信した場合、巡回ルートRから離脱して、扉開閉装置40により扉91を開くための開信号を発信しながら移動指令で指定された個室領域81を目指して移動する。すなわち、移動ロボット20は、巡回ルートRから離脱すると、開信号を発信しながら移動先の個室領域81に接近する。これによれば、移動ロボット20が移動先の個室領域81の出入口に到着した際に、既に扉91が開いている可能性を高めることができる。したがって、移動ロボット20は、扉91が開くまで扉91の手前で停止して待つ必要がない。つまり、本実施形態によれば、移動ロボット20は、停止することなく個室領域81の出入口を通過することができる。これにより、監視装置30が異常信号を受信してから移動ロボット20が駆けつけるまでの時間を更に短縮することができる。
【0089】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図11及び
図12を参照して説明する。
本実施形態において、監視システム1は、2台以上の移動ロボット20を備えている。なお、
図11では、監視システム1が2台の移動ロボット20を備えた例を示しているが、監視システム1は、3台以上の移動ロボット20を備えていても良い。
【0090】
各移動ロボット20は、監視装置30が異常信号を受信していない場合、巡回ルートR上をそれぞれ等間隔で離間した状態で巡回している。この場合、2台の移動ロボット20は、同一方向へ向かって移動している。そして、監視装置30は、生体情報取得装置10から発信された異常信号を受信すると、
図7に示す制御内容に換えて、
図12に示す制御内容を実行する。
【0091】
図12に示す制御内容は、
図7に示す制御内容に対して、ステップS24とステップS25との間にステップS51からステップS53の処理が追加されたものである。なお、
図12の制御内容において、ステップS24以前、及びステップS25以降の処理は、
図7のものと同一である。
【0092】
具体的には、監視装置制御部31は、生体情報取得装置10から異常信号を受信すると、上記第1実施形態と同様に、ステップS24において異常信号を発信した生体情報取得装置10から受信した生体情報や位置情報等の各種情報をモニタ33に表示させる。次に、監視装置制御部31は、ステップS51において、各移動ロボット20から、各移動ロボット20の現在位置を取得する。そして、監視装置制御部31は、ステップS52において、各移動ロボット20について、それぞれの現在位置から移動先の個室領域81までの移動時間を算出する。
【0093】
次に、監視装置制御部31は、ステップS53において、目的地までの移動時間が最も短い移動ロボット20を特定する。そして、監視装置制御部31は、ステップS25以降を実行し、ステップS53で選定した移動ロボット20つまり目的地までの移動時間が最も短い移動ロボット20に対して移動指令を送信する。
【0094】
これによれば、監視装置30が移動指令を送信してから移動ロボット20が目的地に到着するまでの時間を、更に短縮することができる。例えば監視システム1が2台の移動ロボット20を備えたものである場合、1台の移動ロボット20を備えた監視システム1に比べて、監視装置30が移動指令を送信してから移動ロボット20が目的地に到着するまでの時間を最大で半分の時間に短縮することができる。
【0095】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図13を参照して説明する。
本実施形態においても、監視システム1は、2台以上の移動ロボット20を備えている。なお、
図13では、監視システム1が2台の移動ロボット20を備えた例を示しているが、監視システム1は、3台以上の移動ロボット20を備えていても良い。
【0096】
本実施形態の場合、少なくとも2つの巡回ルートR1、A2を備えている。巡回ルートR1、A2は、相互に逆向きであって、それぞれ1周の距離は等しく設定されている。
図13の例では、2台の移動ロボット20は、監視装置30が異常信号を受信していない場合、それぞれ巡回ルートR1、A2上を相互に逆向きとなるように巡回している。そして、監視装置30は、生体情報取得装置10から発信された異常信号を受信すると、第2実施形態と同様に、
図7に示す制御内容に換えて、
図12に示す制御内容を実行する。つまり、本実施形態においても、監視装置30は、異常信号を受信した場合、目的地までの移動時間が最も短い移動ロボット20に対して移動指令を送信する。
これによっても、上記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、
図14から
図18を参照して説明する。第4実施形態では、生体情報取得装置50が、上記各実施形態の生体情報取得装置10と異なる。
すなわち、本実施形態において、監視システム1は、上記各実施形態の生体情報取得装置10とともに、又は生体情報取得装置10に換えて、
図14に示す生体情報取得装置50を備えている。生体情報取得装置50は、各個室領域81内に設置されたベッド83上の監視対象者90の生体情報を当該監視対象者90に非接触で取得可能に構成されている。
【0098】
本実施形態の場合、生体情報取得装置50は、監視対象者90とベッド83との間に設置されて、監視対象者90の動きを検出することで監視対象者90の生体情報を所得するものである。例えば、本実施形態の生体情報取得装置50は、
図14に示すように、機器ボックス501を有している。機器ボックス501は、生体情報取得装置50を構成する各機器を収容するものであり、ベッド83を構成するベッドフレーム831の周囲に取り付けられている。
【0099】
また、生体情報取得装置50は、
図15に示すように、デバイス制御部51、第1通信部52、位置情報取得部53、生体情報取得部54、及び異常信号発信部55を有している。デバイス制御部51、第1通信部52、位置情報取得部53、及び異常信号発信部55は、それぞれ上記各実施形態のデバイス制御部11、第1通信部12、位置情報取得部13、及び異常信号発信部15と同様の機能を有している。デバイス制御部51、第1通信部52、位置情報取得部53、及び異常信号発信部55は、機器ボックス501内に収容されている。
【0100】
本実施形態において、生体情報取得部54は、ベッド83を構成するマットレス832の厚みよりも薄いシート状又はマット状若しくは板状に構成されている。生体情報取得部54は、ベッドフレーム831とマットレス832との間に設けられており、機器ボックス501内のデバイス制御部51に有線又は無線によって電気的に通信可能に接続されている。なお、機器ボックス501と生体情報取得部54とは、一体に構成しても良い。また、生体情報取得部54は、マットレス832上、つまりマットレス832と監視対象者90との間に設ける構成であっても良い。
【0101】
生体情報取得部54は、監視対象者90の動きつまり体動を検出することで、監視対象者90の生体情報として、例えば脈拍数や心拍数、又は監視対象者90がベッド83上に寝ているか否かつまり着床しているか否か等を検出することができる。
【0102】
図16から
図18は、生体情報取得部54の構成例を示すものである。
図16に示す生体情報取得部54は、監視対象者90の動きに応じて静電容量が変化するものである。
図16に示す生体情報取得部54は、クッション部541、上側電極542、及び下側電極543を有して構成されている。クッション部541は、例えばウレタンフォーム等により柔軟性を有するクッション材料で構成されている。
【0103】
上側電極542は、クッション部541の上面側つまり監視対象者90側に設けられた電極である。上側電極542は、例えば柔軟性を有する樹脂シートに金属箔膜や金属蒸着膜を形成したものであり、クッション部541の変形に追従して上側電極542も変形するように構成されている。下側電極543は、クッション部541の下面側つまりベッドフレーム831側に設けられた電極である。下側電極543は、例えば金属膜や金属板等によって構成されている。
【0104】
この構成において、
図14に示すベッド83上の監視対象者90が呼吸をすると、その呼吸によって生じる監視対象者90の胸の動きがマットレス832を介して生体情報取得部54に伝わる。すると、監視対象者90の呼吸による胸の動きに応じて、
図16に示す上側電極542及びクッション部541が変形する。この場合、下側電極543は、剛性を有するベッドフレーム831上に設置されているため、下側電極543の位置は変化しない。
【0105】
そのため、生体情報取得部54は、マットレス832を介して監視対象者90の動きを受けると、下側電極543に対する上側電極542の相対的な位置関係が変化し、これにより、上側電極542と下側電極543との間の静電容量が変化する。デバイス制御部51は、この生体情報取得部54における電極542、543間の静電容量の変化を監視することで、ベッド83上の監視対象者90の生体情報を取得することができる。
【0106】
図17に示す生体情報取得部54は、監視対象者90の動きに応じて電圧が出力されるものである。
図17に示す生体情報取得部54は、
図16に示すクッション部541に換えて、圧電体部544を有している。圧電体部544は、受けた圧力に応じた電圧を発生させる。すなわち、生体情報取得部54は、マットレス832を介して監視対象者90の体動を受けると、圧電体部544の上下面に電圧差を発生させる。デバイス制御部51は、この圧電体部544の上下面の電圧差の変化を監視することで、ベッド83上の監視対象者90の生体情報を取得することができる。
【0107】
図18に示す生体情報取得部54は、監視対象者90の動きに応じて内部の圧力が変化するものである。
図18に示す生体情報取得部54は、エアマット部545と圧力センサ546とを有して構成されている。エアマット部545は、例えば樹脂等によって中空のマットつまりエアマット状に構成されている。エアマット部545内には、例えば空気や窒素等の気体が密閉状態で封入されている。圧力センサ546は、エアマット部545内の圧力を計測する。
【0108】
生体情報取得部54は、マットレス832を介して監視対象者90の体動を受けると、エアマット部545が押し潰されて変形し、これによりエアマット部545内の圧力が上昇する。デバイス制御部51は、このエアマット部545内の圧力の変化を監視することで、ベッド83上の監視対象者90の生体情報を取得することができる。
【0109】
以上説明した第4実施形態によっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、本実施形態において、生体情報取得装置50は、監視対象者90の生体情報を当該監視対象者90に非接触で取得可能である。そのため、監視対象者90に生体情報取得装置50を装着させなくても良いため、監視対象者90に不快感等を極力与えることなく、監視対象者90を監視することができる。
【0110】
更に、例えば上記各実施形態における生体情報取得装置10のように、監視対象者90に装着させる構成の場合、監視対象者90が一般的な体格に対して大柄過ぎたり小柄過ぎたりすると、生体情報取得装置10を正しく装着できない可能性がある。この場合、一般的な体型とは異なる体型の監視対象者90のために、生体情報取得装置10のサイズを特別に合せる必要が生じる。この場合、生体情報取得装置10のサイズバリエーションとして、標準サイズ以外のものも準備しなければならず、その結果、監視システム1全体としてのコストが増大してしまう可能性がある。
【0111】
一方、本実施形態において、生体情報取得装置50は、監視対象者90に装着させることなく非接触で生体情報を取得することができる。そのため、監視対象者90の体格が一般的なものと異なる場合であっても、生体情報取得装置50をその監視対象者90のために特別に変更する必要がない。その結果、上述したような監視システム1全体としてのコストが増大を抑制することができる。
【0112】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、
図19を参照して説明する。第5実施形態では、生体情報取得装置60が、上記各実施形態の生体情報取得装置10、50と異なる。
すなわち、本実施形態において、上記各実施形態の生体情報取得装置10、50とともに、又は生体情報取得装置10、50に換えて、
図19に示す生体情報取得装置60を備えている。生体情報取得装置60は、各個室領域81内に設置されたベッド83上の監視対象者90の生体情報を当該監視対象者90に非接触で取得可能に構成されている。
【0113】
生体情報取得装置60は、例えばベッド83の上方の天井や壁面に設けられている。
生体情報取得装置60の電気的構成は、上記各実施形態の生体情報取得装置10、50と同様であるが、図示しない生体情報取得部の検出形式が異なる。すなわち、本実施形態の生体情報取得装置60は、ベッド83上の監視対象者90に対して例えばマイクロ波、ミリ波、超音波、又は赤外線を発してその反射波を測定したり、ベッド83上の監視対象者90の映像を取得してその映像を解析したりすることで、監視対象者90の動きや体温等の生体情報を、監視対象者90に非接触で取得するものである。
この構成によっても、上記第4実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0114】
なお、マイクロ波やミリ波は、障害物を透過して監視対象者90の生体情報を取得できる性質を有する。そのため、生体情報取得装置60にマイクロ波を用いたものの場合、その生体情報取得装置60を、第4実施形態の生体情報取得装置50と同様に、ベッドフレーム831とマットレス832との間に設置しても良い。
【0115】
なお、本発明の実施形態は、上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。