(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726188
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】マイクロ波周波数信号を生成し放射するための光電子部品
(51)【国際特許分類】
G02F 2/02 20060101AFI20200713BHJP
H04B 10/80 20130101ALI20200713BHJP
【FI】
G02F2/02
H04B10/80
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-532824(P2017-532824)
(86)(22)【出願日】2015年12月11日
(65)【公表番号】特表2018-508802(P2018-508802A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】EP2015079354
(87)【国際公開番号】WO2016096633
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】1402880
(32)【優先日】2014年12月17日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511148123
【氏名又は名称】タレス
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バン・デイク,フレデリク
【審査官】
佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−249525(JP,A)
【文献】
特開2005−167043(JP,A)
【文献】
特開2002−064468(JP,A)
【文献】
特開平04−233339(JP,A)
【文献】
特開2011−164578(JP,A)
【文献】
特開2005−266664(JP,A)
【文献】
特開2003−140206(JP,A)
【文献】
特開平05−273604(JP,A)
【文献】
特開2009−265367(JP,A)
【文献】
特開2013−070210(JP,A)
【文献】
特開2005−031574(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0147907(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0161541(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第101458369(CN,A)
【文献】
独国特許出願公開第102012010926(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00− 1/125
G02F 1/21− 7/00
H04B 10/00−10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波周波数と呼ばれる30GHz〜10THzの間の周波数(F)を示す電磁信号(S)を生成し放射するための光電子部品(30)であって、
−前記マイクロ波周波数(F)と等しい、ヘテロダインビートと呼ばれる光周波数の差を示す第1の光波(O1)及び第2の光波(O2)をXY平面に閉じ込めXY平面内で自由に伝搬させるように構成される平板状ガイド(Gp)と、
−前記光波(O1、O2)を前記平板状ガイド(Gp)に注入するためのシステム(Si)と、
−前記第1の光波(O1)及び前記第2の光波(O2)に基づいて前記マイクロ波周波数(F)を示す信号(S)を生成するように前記平板状ガイド(Gp)に結合されるフォトミキサ(PM)と、を含み、
前記フォトミキサ(PM)は、前記信号(S)の波長(λF)の半分以上ある大きな寸法(L)をY軸に沿って示す細長い形状を有し、
−前記注入システム(Si)は、前記光波が、前記平板状ガイド内で重なり、かつ前記信号(S)の波長(λF)の半分と少なくとも等しい前記Y軸に沿った長さに渡って前記フォトミキサ(PM)と結合されるように構成され、従って、前記フォトミキサは前記信号(S)を放射することができるようになる、光電子部品(30)。
【請求項2】
前記平板状ガイド(Gp)は、2つの閉じ込め層(Cf1、Cf2)の間に伝搬層(Cp)を含む、請求項1に記載の光電子部品。
【請求項3】
前記フォトミキサ(PM)は閉じ込め層の上に配置され、前記結合はエバネセント波により行われる、請求項2に記載の光電子部品。
【請求項4】
前記平板状ガイド(Gp)は、1.5μmに近い波長をそれぞれ示す複数の光波を閉じ込めるように構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項5】
前記平板状ガイド(Gp)は、前記第1の光波(O1)及び前記第2の光波(O2)を増幅することができる増幅部(CA)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項6】
前記注入システム(Si)は、前記注入された光波(O1、O2)が強い発散を示すように構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項7】
前記注入システム(Si)は、前記光波(O1、O2)がそれぞれの伝搬方向(X、X1、X2)に沿って伝搬するような態様で前記光波(O1、O2)を閉じ込めるように構成される、少なくとも1つのいわゆる一次元ガイド(Guni0、Guni1、Guni2)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項8】
前記一次元ガイドは、細長い形状の閉じ込め層を含む前記平板状ガイドの延長部からなる、請求項7に記載の光電子部品。
【請求項9】
前記注入システム(Si)は、少なくとも1つの光ファイバを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項10】
前記注入システム(Si)は、単一注入デバイス(Di0)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項11】
前記単一注入デバイス(Di0)は、前記第1及び第2の光波(O1、O2)が前記Y軸に垂直な方向Xに実質的に等しい伝搬方向に沿って伝搬するような態様で、前記第1及び第2の光波(O1、O2)を注入するように構成される、請求項10に記載の光電子部品。
【請求項12】
前記注入システム(Si)は、前記第1の光波が前記XY平面内にある第1の伝搬方向(X1)に沿って伝搬するような態様で前記第1の光波(O1)を注入するように構成される第1の注入デバイス(Di1)と、前記第2の光波が前記XY平面内にありかつ前記第1の伝搬方向(X1)とは異なる第2の伝搬方向(X2)に沿って伝搬するような態様で前記第2の光波(O2)を注入するように構成される第2の注入デバイス(Di2)と、を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光電子部品。
【請求項13】
前記第1及び第2の注入デバイス(Di1、Di2)のうちの1つの注入デバイスは、前記Y軸に垂直な伝搬方向を示す、請求項12に記載の光電子部品。
【請求項14】
前記平板状ガイド(Gp)は、前記光波のうちの1つ(O2)の光路上に配置され、かつ選択された光偏向角(α2)だけ前記第2の光波を偏向させるような態様で前記第2の光波(O2)をそらせるように構成される、少なくとも1つのデフレクタ(MPh)を更に含み、
その結果、前記フォトミキサ(PM)によって放射される前記信号(S)を、前記光偏向角(α2)に依存する偏角(Θ−Θs)に応じて偏向させることができる、請求項12又は13に記載の光電子部品。
【請求項15】
前記デフレクタ(Mph)は、前記伝搬層(Cp)の一部の屈折率を変更するように構成された電気光学変調器であり、前記一部は前記XY平面内で角柱形状を示す、請求項14に記載の光電子部品。
【請求項16】
前記デフレクタは、独立して制御される複数の別個の移相器(Dph(1)、…、Dph(n))を含む1つの位相変調器(Mph)である、請求項14に記載の光電子部品。
【請求項17】
前記別個の移相器の各々は、前記伝搬層(Cp)の一部の屈折率を変更するように構成された電気光学変調器である、請求項16に記載の光電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電子部品に関し、より具体的には、400nm〜10μmの間の波長を示す光波に基づき、本明細書ではこれ以降マイクロ波周波数と呼ばれる30GHz〜10THzの間の周波数を示す電磁信号を生成し放射する機能を有する、集積部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリメートル波タイプ(30GHz〜300GHzの間の周波数のRF電波)、及びテラヘルツタイプ(100GHz〜10THzの間の周波数)のマイクロ波周波数信号の生成は、検出、分光測定、高ビットレート無線データ伝送の分野で、多数の用途がある。高ビットレート無線データ伝送の分野では、サポートする周波数が高くなるほど、伝送することができるビットレートがより高くなる。例として、1GHzの搬送波に対しては1Gbit/sの最大ビットレートが得られ、一方1THzの搬送波では10〜20Gbit/sのビットレートが可能であり、従って、十分な電力でこの範囲の周波数を放射することができる部品の開発に関心が持たれる。
【0003】
従来技術による第1の解決策は、
図1に示す(
図1aは斜視図であり、
図1bは上面図である)、マイクロ波周波数Fの信号Sを放射することができる部品100である。この一体型フォトダイオード100は、波長λ1の波O1及び波長λ2の波O2の2つの光波が中を伝搬する平板状ガイド10と、関連する小型のフォトミキサ11とを含む。λ1及びλ2は、それらがヘテロダインビートを示すようになっており、即ち、関連する光周波数f1及びf2の差f1−f2の絶対値がマイクロ波周波数領域の周波数Fと等しくなる。
f1=C/λ1
f2=C/λ2
F=|f1−f2|、但しテラヘルツのオーダーである。
【0004】
光波は、フォトミキサ11が周波数Fで波を生成するように、エバネセント結合によりフォトミキサ11に結合される。
【0005】
フォトダイオード100は、フォトミキサ11に結合された、蝶結び状を示す金属アンテナ12も含み、この金属アンテナ12は、周波数Fの電磁信号Sを空間に放射する。
【0006】
フォトミキサの長さl
10は典型的に10〜20μmである、というのも、デバイスが示すであろう寄生容量が、周波数Fで検出される信号を著しく減衰させるので、これを制限する必要があるからである。更に、光の大部分は部品の最初の10ミクロンで吸収されるので、長くしても、吸収される電力を増加させることはできない。
【0007】
幅L
10は、光波長の大きさ程度、典型的には2〜3倍大きいがそれ以上大きくはない長さに寸法決めされる。
【0008】
確かに、L
10は、部品が30GHzを超えても正しく動作するために、十分に小さくなくてはならない。L
10があまりに大きくなると、半導体(フォトミキサ11)/金属(アンテナ12)界面での信号の伝送が、寄生容量(容量性効果及び通過時間効果)の存在によって劣化し、寄生容量の効果により、周波数Fの光生成信号Sが減衰することになる。
【0009】
L
10の寸法上の制約は、放射され得る電力が制限されるという欠点につながる。
【0010】
更に、部品100の寸法が小さいことにより、信号SのRFモードのサイズに適応するために、アンテナ12の使用が強制される。
【0011】
従来技術による第2の解決策としては、
図2に示すような、2Dマトリックスとして配置された複数の面状フォトダイオードの一体化、又は1つの大きな寸法のフォトダイオードの形態での大きな表面積の放射源の一体化に基づいて、マイクロ波周波数Fの信号Sを放射することができるシステム200がある。光波O1及びO2は、部品PMの一方の側に直接入射し、この部品PMは周波数Fの信号を他方の側に放射する。
【0012】
この解決策は、低い結合効率を示す、というのも、フォトミキサPMは薄い層から構成されるので、光とフォトミキサとの間の相互作用を制限するからである。更に、マトリックスの各フォトミキサに極性を与えるには、光とフォトミキサとの間の相互作用面積を低減させる不透明電極を生成する必要がある。
【0013】
信号O1及びO2を成形するための別個の光学素子を用いたその実装は、システム200をかさばらせる。更に、このシステムでは、増幅、振幅変調又は位相変調などの光と相互作用する他の機能を同一のウェハ上に集積することができない。更に、2Dマトリックスは、光検出が望まれる領域に効果的な態様で照射を局所化することができず、そのため、高周波生成電力/入射光パワー効率が制限される。
【0014】
ミリメートル範囲の電波の走査の導入を検討する場合、現在の解決策には幾つかの欠点がある。別個の光学部品に基づく解決策は、かさばり、放射される信号は強い発散を示す。機械的素子に基づく代替の解決策もまたかさばり、かつ全てのシステムとは互換性がない可動素子を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明の目的は、前述の欠点を軽減することであり、より具体的には、アンテナを使用しないでマイクロ波周波数信号(高周波信号とも呼ばれる)を生成し放射することができる、集積された光電子部品を作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の主題は、マイクロ波周波数と呼ばれる30GHz〜10THzの間の周波数を示す電磁信号を生成し放射するための光電子部品であり、この光電子部品は以下を含む、即ち、
−前記マイクロ波周波数と等しい、ヘテロダインビートと呼ばれる光周波数の差を示す第1の光波及び第2の光波をXY平面に閉じ込めXY平面内で自由に伝搬させるように構成される平板状ガイドと、
−前記光波を前記平板状ガイドに注入するためのシステムと、
−第1の光波及び第2の光波に基づいて前記マイクロ波周波数を示す信号を生成するように、前記平板状ガイドに結合されるフォトミキサと、を含み、
前記フォトミキサは、信号の波長の半分以上ある大きな寸法をY軸に沿って示す細長い形状を有し、
−前記注入システムは、前記光波が、前記平板状ガイド内で重なり、かつ前記信号の波長の半分と少なくとも等しいY軸に沿った長さに渡ってフォトミキサと結合されるように構成され、従って、フォトミキサは前記信号(S)を放射することができるようになる。
【0017】
有利にも、前記平板状ガイドは2つの閉じ込め層の間に伝搬層を含む。
【0018】
有利にも、フォトミキサは閉じ込め層の上に置かれ、結合はエバネセント波によって行われる。
【0019】
一実施形態によれば、平板状ガイドは、1.5μmに近い波長をそれぞれ示す複数の光波を閉じ込めるように構成される。
【0020】
変形例によれば、平板状ガイドは、前記第1の光波及び第2の光波を増幅することができる増幅部を含む。
【0021】
変形例によれば、注入システムは、注入された光波が強い発散を示すように構成される。
【0022】
有利にも、前記注入システムは、光波がそれぞれの伝搬方向に沿って伝搬するような態様で光波を閉じ込めるように構成される、少なくとも1つのいわゆる一次元ガイドを含む。
【0023】
優先的に、この一次元ガイドは、細長い形状の閉じ込め層を含む平板状ガイドの延長部からなる。
【0024】
一実施形態によれば、注入システムは少なくとも1つの光ファイバを含む。
【0025】
一実施形態によれば、注入システムは単一の注入デバイスを含む。優先的に、前記単一の注入デバイスは、第1の光波及び第2の光波が、Y軸に垂直な方向Xに実質的に等しい伝搬方向に沿って伝搬するような態様で、第1の光波及び第2の光波を注入するように構成される。
【0026】
別の実施形態によれば、前記注入システムは、第1の光波がXY平面内にある第1の伝搬方向に沿って伝搬するような態様で第1の光波を注入するように構成される第1の注入デバイスと、第2の光波が、XY平面内にありかつ第1の伝搬方向とは異なる第2の伝搬方向に沿って伝搬するような態様で第2の光波を注入するように構成される第2の注入デバイスと、を含む。
【0027】
有利にも、前記第1の注入デバイス及び第2の注入デバイスのうちの1つの注入デバイスは、前記Y軸に垂直な伝搬方向を示す。
【0028】
一実施形態によれば、平板状ガイドは、複数の光波のうちの1つの光路上に配置され、かつ前記1つの光波を選択された光偏向角だけ偏向させるような態様で前記1つの光波をそらせるように構成された、少なくとも1つのデフレクタを更に含み、その結果、前記フォトミキサによって放射された信号は、前記光偏向角に依存する偏角に従って偏向されることができる。
【0029】
優先的に、デフレクタは、伝搬層の一部の屈折率を変更するように構成された電気光学変調器であり、前記一部はXY平面内で角柱形状を示す。
【0030】
一実施形態によれば、前記デフレクタは、独立して制御される複数の別個の移相器を含む位相変調器である。
【0031】
優先的に、別個の移相器の各々は、伝搬層(Cp)の一部の屈折率を変更するように構成された電気光学変調器である。
【0032】
本発明の他の特徴、目的、及び利点が、以降に続く、非限定的な例として与えられる添付の図面に関する詳細な説明を読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1a】既に引用した
図1は、従来技術によるマイクロ波周波数信号を生成するための一体型部品を示し、
図1aは斜視図を示す。
【
図1b】既に引用した
図1は、従来技術によるマイクロ波周波数信号を生成するための一体型部品を示し、
図1bは上面図を示す。
【
図2】既に引用した
図2は、従来技術によるマイクロ波周波数信号を生成するための2Dシステムを示す。
【
図5】
図5は、増幅機能を統合した、本発明による部品の第1の変形例を示す。
【
図6】
図6は、統合された増幅器を有する、本発明による部品の例示的な平板状ガイドを示す。
【
図7a】
図7は、単一の注入デバイスを含む、本発明による部品の注入システムの第1の実施形態を示し、
図7aは上面図を示す。
【
図7b】
図7は、単一の注入デバイスを含む、本発明による部品の注入システムの第1の実施形態を示し、
図7bは側面図を示す。
【
図8】
図8は、断面で見た、平板状ガイドの延長により得られる単一の注入デバイスを示す。
【
図9a】
図9は、2つの注入デバイスを含む本発明による部品の注入システムの第2の実施形態を示し、注入デバイスのそれぞれが各光波に対応し、
図9aは上面図を示す。
【
図9b】
図9は、2つの注入デバイスを含む本発明による部品の注入システムの第2の実施形態を示し、注入デバイスのそれぞれが各光波に対応し、
図9bは側面図を示す。
【
図10】
図10は、光波を注入するためのデバイスが光波をy軸に垂直に伝搬させるようになっている、本発明による部品の好ましい形態を示す。
【
図11】
図11は、平板状ガイド内での光波の偏向の原理を示す。
【
図12】
図12は、好ましい形態に従った本発明による部品であり、マイクロ波周波数波をそらせることができる部品を示す。
【
図14】
図14は、複数の別個の移相器を含む位相変調器を示す。
【
図16】
図16は、位相変調器の助けを借りてマイクロ波周波数波をそらせることができる、好ましい形態に従った本発明による部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図3は、本発明による光電子部品30を示す。
図3aは上面図を示し、
図3bは側面図を示す。
【0035】
この部品は、マイクロ波周波数と呼ばれる30GHz〜10THzの間にある周波数Fを示す電磁信号Sを生成し放射することができる。優先的に、放射されるマイクロ波周波数は100GHz〜2THzの間にある。
【0036】
この周波数範囲は、ミリメートルRF周波数及びTHz周波数をカバーする。
【0037】
部品30は、波長がλ1で光周波数f1=C/λ1である第1の光波O1、及び波長がλ2で光周波数f2=C/λ2である第2の光波O2をXY平面に閉じ込めかつXY平面内を自由に伝搬させるように構成される平板状ガイドGpを含み、これら2つの波は、マイクロ波周波数Fに等しい、ヘテロダインビートと呼ばれる光周波数の差f1−f2を示す。
|f1−f2|=F
【0038】
光波は、典型的には400nm〜10μmの間、優先的に1.2μm〜7μmの間の波長を示す。
【0039】
波長λ1及びλ2は、非常に近い。例えば、F=1THz及びλ1=1.50μmに対しては、λ2=1.508μmである。
【0040】
部品30は、光波O1、O2を平板状ガイドGpに注入するための注入システムSiも含む。本発明に適合した幾つかの注入形態を更に説明する。
【0041】
最後に、部品30は、第1の光波O1及び第2の光波O2に基づいてマイクロ波周波数Fを示す信号Sを生成するように平板状ガイドGpに結合されるフォトミキサPMも含む。
【0042】
本発明によるフォトミキサPMは、周波数Fの信号Sの波長をλ
Fとして、λ
F/2以上ある大きな寸法LをY軸に沿って示す細長い形状を有する。
L≧λ
F/2、但しλ
F=C/F
【0043】
更に、注入システムSiは、光波O1及びO2が、平板状ガイドGp内で重なり、かつ信号Sの波長λ
Fの半分と少なくとも等しいY軸に沿った長さに渡ってフォトミキサPMと結合されるように、構成される。
【0044】
ビームの発散は、ガウス型であると仮定される場合には、放射素子の寸法がλ
F/2であれば150°になる合計角度で生じる。放射素子の寸法が更に小さい場合には、放射源の指向性が著しく低下し、放射されたビームを効果的に使用することが不可能になる。従って、許容可能な発散を伴う周波数Fでの放射には、少なくともλ
F/2に等しい寸法の放射素子が必要である。
【0045】
従って、フォトミキサPMのレベルでの少なくともλ
F/2の距離に渡る波の重なり及びYに沿ったその細長い形状により、追加のアンテナを必要とすることなく、実質的にYに垂直な伝搬方向Xに向かって、信号Sを空間に放射することができるようになる。細長いフォトミキサPMは、一方の側で平板状ガイドGp内を伝搬する光を受け取り、他方の側でフォトミキシングから生じる信号Sを再放射する。
【0046】
フォトミキサPMの大きな寸法Lにより、XY平面内で殆ど発散しない放射が可能になる。更に、
図1に示したような一体型フォトダイオードのフォトミキサの寸法に対してPMの寸法を増加させることにより、寸法L全体に渡り電力を分配することが可能になり、従って消滅することなく結合され得る光パワーを増加させ、より強力な信号Sを放射することにつながる。
【0047】
小さな寸法lは、例えば、
図1の一体型フォトダイオードの寸法l
10と同じ程度の大きさである。
【0048】
フォトミキシングにより放射される信号は、周波数範囲[30GHz、10THz]、優先的に[100GHz、2THz]にある周波数Fを示す。例えば、後者の帯域について対応する波長λ
Fは、GaAs又はGaInAsPフォトミキサ材料において、40μm〜900μmの間にある。
【0049】
光波と細長いフォトミキサPMとの結合が平板状ガイドGpを介して達成されるという事実は、高効率の一体化された構造を部品30に付与し、部品30を非常に小型にし、追って説明する、部品の内部を伝搬する光の処理を可能にする追加の機能を、平板状ガイドGpに補うことを可能にする。
【0050】
優先的に、平板状ガイドGpは、
図4に示すように、2つの閉じ込め層Cf1、Cf2の間に伝搬層Cpを含む。
【0051】
例示的な例として、平板状ガイドGpは、InP上のGaInAsPに基づく周知のDFB又はDBR光源の助けを借りて得られる、それぞれ1.5μmに近い波長を示す複数の光波を閉じ込めるように構成される。
【0052】
伝搬層CpはGaInAsP層を含み、閉じ込め層Cf1、Cf2の各々はInP層を含む。
【0053】
優先的に、フォトミキサPMは閉じ込め層の上に置かれ、結合はエバネセント波を介して行われる。
【0054】
別の変形例によれば、結合は「端と端が接した(end−to−end)」型であり、フォトミキサPMは伝搬層に直接面して配置される。先の例示的な例の場合、フォトミキサは典型的にGaInAsPを含む。
【0055】
第1の変形例によれば、部品30の構造の統合された特性により、
図5に示すように(
図5aは上面図を示し、
図5bは側面図を示す)、平板状ガイドの内側に増幅機能を追加することが可能になる。例えば、平板状ガイドGpは、伝搬層Cp内に作製され、かつ光波O1及びO2を増幅することができる、増幅部CAを含む。従って、利用可能な光パワーが増幅部CAにより増加され、それによって、部品30が、同様に増大したマイクロ波周波数電力を示す信号Sを生成し放射することが可能になる。
【0056】
先の例示的な例の場合、増幅層CAは、
図6に示すような、GaInAsP量子井戸QWを含むGaInAsP層を優先的に含む。
【0057】
単一の又は複数の量子井戸が存在し得る。それらの量子井戸は、GaInAsPからなる障壁及び同様にGaInAsPからなる井戸から構成される。障壁の組成と井戸の組成は、電流が印加されたときに光の生成を可能にするポテンシャル井戸を生成するように、異なる。
【0058】
ここで、注入システムSiの非限定的な構成例を示す。
【0059】
フォトミキサPMのレベルにおいて十分な広がりを示す光波O1及びO2を生成するために、変形例では、注入システムSiは、注入された光波が強い発散を示すように構成される。
【0060】
例えば、殆ど点光源である、ごく小さな寸法の2つの擬似光源を形成する集中ビームがGpで結合される。
【0061】
図7に示す第1の実施形態によれば、注入システムSiは、2つの波O1及びO2に共通の単一注入デバイスDi0を備える。
図7aは上面図を示し、
図7bは側面図を示す。このとき、波O1及びO2は同一線上にあり、それによって最適な重なり合いが保証され、結果として単純化された部品になる。
【0062】
優先的に、単一の注入デバイスDi0は、光波O1及びO2がY軸と垂直な方向Xと実質的に等しい伝搬方向に平板状ガイド内を伝搬するような態様で、光波O1及びO2を注入するように構成される。この構成は比較的に単純である、というのも、O1及びO2を注入するために必要なのは単一の光結合の実装だからである。
【0063】
図7にも示す、Gp内での強い発散を伴う波O1及びO2を得るための第1の変形例では、注入デバイスDi0は、光波O1及びO2がXY平面内にある共通の伝搬方向X0に沿って伝搬するような態様で光波O1及びO2を閉じ込めるように構成された、いわゆる一次元ガイドGuni0を備える。一次元ガイド内に閉じ込められた各波は、平板状ガイド内に浸透すると、伝搬領域の広がりのために、その発散が大幅に増加する。従って、各波は、一次元ガイドの方向に等しい方向X0の周りに、XY平面内を「自由に」伝搬する。
【0064】
最適な構成は、ガイドGuniがYに垂直で、PMの中央を通過する軸X0に沿っていることである。
【0065】
優先的に、一次元ガイドGuni0は、光が到来する側の平板状ガイドGpの延長部からなり、細長い形状の閉じ込め層を含む。このとき、伝搬層Cp内を伝搬する光波は、
図8に示すように、細長の方向に沿って閉じ込められる。
【0066】
ガイドGuni0は、x軸に沿って細長帯を形成するように、Cf1を形成するのに使用される材料を局所的に除去することによって、得ることができる。Cpに使用される材料の屈折率がCf1及びCf2に使用される材料の屈折率よりも大きいことが既知の上で、光波O1及びO2はy軸に沿って閉じ込められて単一モードの導波路を形成する。
【0067】
Gp内での強い発散を伴う波O1及びO2を得るための第2の変形例は、平板状ガイドGpに結合される先端で終端する単一ファイバを含む注入デバイスDi0である。
【0068】
図9に示す第2の実施形態によれば、注入システムSiは、第1の光波O1がXY平面内にある第1の伝搬方向X1に沿って伝搬するような態様で第1の光波O1を注入するように構成される第1の注入デバイスDi1と、第2の光波O2が、XY平面内にありかつ第1の伝搬方向X1とは異なる第2の伝搬方向X2に沿って伝搬するような態様で第2の光波O2を注入するように構成される第2の注入デバイスDi2と、を含む。
図9aは上面図を示し、
図9bは側面図を示す。
【0069】
方向X1は、x軸に対して角度シータ1を示す。方向X2は、x軸に対して角度シータ2を示す。
【0070】
このとき、信号Sは、信号Sの伝搬方向Xsとxy平面のx軸との間の角度に相当する角度Θsに従って生成される。
【0071】
この構成では、Θsは以下の関係から導き出される。
Θs=sin
−1{λ
F*[(sin(シータ1)/λ
1)+(sin(シータ2)/λ
2)]}
【0072】
この構成により、この場合にはもはや同一線上にはない2つの波O1及びO2を独立して処理することが可能になる。伝搬軸X1及びX2並びに光波の発散は、波O1及びO2が、フォトミキサPMのレベルにおいてλ
F/2以上の寸法に渡って重なり合うように、構成される。
【0073】
図10に示すような好ましい形態によれば、デバイスのうちの1つ、例えば第1のデバイスDi1は、波O1がy軸に実質的に垂直な伝搬方向X1に従う(シータ1 約0°)ように配置され、第2の注入デバイスDi2は、波O2が方向X2に従うように配置される。
【0074】
この構成では、Θsは以下の関係から導き出される。
Θs=sin
−1{[λ
F/λ
2]
*sin(シータ2)}
【0075】
例えば、角度シータ1=0°及びシータ2=0.2°で波長λ
2が1.5μmの光信号O2を伴う、波長λ
F=C/F=300μmを有する1THzの信号Sの場合、角度Θsは44°に等しい。
【0076】
なお、非常に小さな差シータ1−シータ2が、マイクロ波周波数信号に有意な偏向を生じさせる。
【0077】
一次元ガイドを伴う変形例の場合には、各注入デバイスDi1及びDi2は、方向X1、X2に沿って向けられたガイドGuni1、Guni2をそれぞれ含む。波O1はGuni1を介して注入され、波O2はGuni2を介して注入される。
【0078】
光ファイバを伴う変形例の場合には、第1の注入デバイスDi1は第1の光ファイバを含み、第2の注入デバイスDi2は第2の光ファイバを含む。波O1は第1のファイバを介して注入され、波O2は第2のファイバを介して注入される。
【0079】
第2の変形例によれば、部品30の構造の統合された特性により、空間的位相シフトによって少なくとも1つの光波を偏向させる機能の追加が可能になる。
【0080】
位相シフトにより平板状ガイド内を伝搬する強い発散を伴う波Oを偏向させる原理を、
図11に示す。デフレクタMphは、既知の原理に従って、波Oの伝搬方向について選択された角度αだけ偏向をもたらすように、光位相シフトを空間的に、連続的に又は離散的に、変化させるように構成される。
【0081】
デフレクタは、例えば、電気制御Cの助けを借りて制御される。
【0082】
この機能は、
図10に示す好ましい構成で
図12に示すような本発明による部品30に適用される。
【0083】
この実施形態では、本発明による部品30の平板状ガイドGpは、例えば、ゼロではない角度シータ2に従った伝搬方向を示す光波O2の光路上に配置され、かつ、選択された光偏向角α2だけ元の伝搬方向シータ2に対して光波O2を偏向させるように第2の光波O2をそらせるように構成される、デフレクタM
Phを更に含む。
【0084】
フォトミキサPMのレベルでは、伝搬方向α2のこの変化は、マイクロ波周波数信号Sの放射のレベルで繰り返され、このマイクロ波周波数信号Sについて、角度Θsをなす放射方向Xs(即ち、最大放射エネルギーの対応する指向方向)もまた、光偏向角α2に依存する偏角Θ−Θsだけ偏向する。この構成では、マイクロ波周波数波がx軸となす角度Θは、以下の関係から導き出される。
Θ=sin
−1{λ
F*[sin(シータ2+α2)/λ
2}
【0085】
従って、出射時にはマイクロ波周波数波Sは角度Θsを示し、角度Θに修正される。
【0086】
例えば、波長λ
F=C/F=300μmを有し、角度シータ1=0°及びシータ2=0.2°で波長λ
2が1.5μmの光信号O2を用いて得られる、1THzの信号Sの場合、角度Θsは44°に等しくなる。
【0087】
デフレクタM
Phを用いて達成される、0.05の信号O2の偏向の場合、角度Θは61°である。従って、信号Sは、17°だけ偏向されている。
【0088】
フォトミキサの細長い形状のおかげで、偏向された信号Sは、XY平面内で弱い発散を維持する。
【0089】
α2の値を変更することができる制御可能なデフレクタを用いると、信号Sの角度走査を実行することが可能になる。
【0090】
GaInAsPからなる伝搬層CpとInPからなる2つの閉じ込め層Cf1、Cf2とを含む平板状ガイドの場合の、例示的な電気光学デフレクタM
phを、
図13a(上面図)及び
図13b(断面図)に示す。
【0091】
層Cf1上に配置された金属層M1が、M
phの境界を定める。金属層Mの下の層Cf1の領域はpドープされており、一方、伝搬層Cpの他方の側の層Cf2の領域はnドープされている。別の金属層M2が、層Cf2に接して配置される。層Cf2の導通により、M1とM2との間に電流を注入することが可能になる。
【0092】
従って、金属層の下に局所的に配置された領域内の伝搬層に電流Iを注入することが可能になり、その効果は、Iの値の関数として屈折率を局所的に変更することである。電流が印加されない場合、光信号Oにより観察される屈折率は、M
phを囲む領域とM
phの内側とで同じになる。そのとき、ビームOはM
phによって偏向されない。電流Iが印加された場合、光信号Oにより観察される屈折率は、M
phを囲む領域とM
phの内側の領域とで異なるようになる。
【0093】
従って、デフレクタM
phは、伝搬層Cpの一部の屈折率を変更するように構成された電気光学変調器である。この伝搬層Cpの一部がXY平面内で角柱形状を示す場合、かつ伝搬層のM
phの内側の屈折率が外側よりも高い場合には、光波Oは、フレネルの法則のために、プリズムの場合と同様の態様で偏向する。
【0094】
第2の例によれば、デフレクタは、独立して制御される複数のi別個の移相器D
ph(1)、…、D
ph(n)を含む1つの位相変調器M
phである。この別個の移相器の原理を、光波Oについて、
図14に示す。
【0095】
平板状ガイドの「自由な」伝搬の第1の領域を伝搬する光波が、n個のチャネルに渡って分散する。チャネル毎の光移相器Dph(i)が、チャネルiの光位相シフトを他のチャネルとは独立して変化させる。次いで、チャネルから生じる波が、平板状ガイドGp内の第2の「自由な」伝搬領域を伝搬する。この第2の領域では、波面が形成され、その方向は移相器によって印加される位相シフトに依存する。従って、光波の位相面は、移相器を介して制御される。決定された位相の法則について、入射波面に対する波面の大域的な偏向が得られる。
【0096】
移相器は、例えば電気光学的な態様で動作する。即ち、電気的な制御信号が、例えば伝搬層の一部を含むチャネルの屈折率を変更する。
【0097】
GaInAsPからなる伝搬層CpとInPからなる2つの閉じ込め層Cf1及びCf2とを含む平板状ガイドについて、電気光学的な移相器Dph(i)を
図15に示す。この移相器は、
図13bの移相器と同様の態様で動作する。金属層M1が、層Cf1上に配置される。金属層Mの下の層Cf1の領域はpドープされており、一方、伝搬層Cpの他方の側の層Cf2の領域はnドープされている。別の金属層M2が、層Cf2に接して配置される。層Cf2の導通により、M1とM2との間に電流を注入することが可能になる。伝搬層に電流Iを注入することの効果は、屈折率をIの値の関数として局所的に変更することである。
【0098】
勿論、デフレクタに加えて、光パワーを変更するように電動の光増幅器を統合することが可能である。
【0099】
例えば、光増幅器を各チャネルに配置すると、複数のチャネルの間で光パワーを均一にすることが可能になる。
【0100】
図16は、本発明による部品を示し、この部品の平板状ガイドGpは、上述のような電気光学的位相変調器M
Phを、ゼロではない角度シータ1を示す波、ここではO1の光路上に含む。
【0101】
フォトミキサPMによって放射される信号Sは、シータ1、シータ2、及びα2に依存する偏角Θに応じて、(即ち、最大放射エネルギーの対応する指向方向に)偏向させることができる。元の角度Θsに対する偏向は(Θ−Θs)である。
【0102】
従って、本発明による部品30の統合された特性により、増幅機能及び走査機能の実装を容易にするように、フォトミキサPMを長くすることから利益を得ることが可能になり、高周波数Fの信号Sの角度走査を実行するフォトニック集積回路が形成される。