(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、本明細書で詳述されるオキシモルホン塩酸塩を調製するための新規の方法を対象とする。より具体的には、本開示は、結晶性I型及びII型を含み、実質的に他型を含まない低ABUK(即ち、10ppm未満の14−ヒドロキシモルフィノン)オキシモルホン塩酸塩を作製する方法を対象とする。
【0009】
一実施態様において、出発物質はオキシモルホン塩基及び14−ヒドロキシモルフィノンを含む。
【0010】
出発物質は、アルコール、水及び酸を含む混合物中で水素化される。好ましくは、アルコールは1−プロパノールであるが、2−プロパノールのような他のアルコールが使用されてもよい。好ましくは、酸は塩酸である。より好ましくは、酸は塩酸であるが、希塩酸又はアルコール中の塩酸の溶液が使用されてもよい。
【0011】
一定時間の水素化後、アルコール及び水の一部は蒸留により、好ましくは真空蒸留により除去される。アルコールが添加され、低ABUKオキシモルホン塩酸塩を得る。好ましくは、アルコールは1−プロパノールであるが、2−プロパノールのような他のアルコールが使用されてもよい。
【0012】
反応時間は、好ましくは、蒸留プロセスの還流温度、好ましくは約65℃に上昇される。反応物は次いで約50℃に冷却され、好ましくは更に約2〜25℃、最も好ましくは2〜5℃に冷却される。
【0013】
本明細書の実施例1〜4は、本開示に従った低ABUKオキシモルホン塩酸塩の調製の実施態様を提供する。
【0014】
本明細書に開示される低ABUKオキシモルホン塩酸塩は、X線粉末回折(「XRPD」)ピークを含むがこれに限定されない一又は複数の物理的特長又は特性により特徴づけられてもよい。本明細書に記載される低ABUKオキシモルホン塩酸塩の代表的な試料のXRPD分析は、Cu Kα照射源(1.54°オングストローム)、9位試料保持器及びLYNXEYE
TMSuper Speed Detectorを備えたBruker D8 Advance装置を使用して行われる。試料はゼロバックグラウンド、シリコンプレート保持器に置かれる。
【0015】
当業者は、°2θ値及び相対強度値は測定されたデータ上でピーク検索を行うことにより生成されること及び間隔値は°2θ値からの装置によりブラッグの式を使用して計算されることを認識するであろう。当業者は、測定されたピークに関する相対強度は、例えば使用される試料の調製、配向及び装置によって変化してもよいことを更に認識するであろう。約±0.2の変化は、得られる2θ値において変則的ではない。
【0016】
本明細書に開示される低ABUKオキシモルホン塩酸塩は、例えば、低ABUKオキシモルホン塩酸塩と従来の賦形剤、即ち、薬学的に許容される有機又は無機担体物質の混和剤により、薬学的投与形態に取り込まれうる。経口製剤に関して、投与形態は、活性成分の持続放出を提供しうる。適切な薬学的に許容される担体は、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゲル、ラクトース、アミロース又はスターチのような炭水化物、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル、ヒドロキシ−メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を含むが、これらに限定されない。薬学的調製物は殺菌され、所望される場合、助剤、例えば潤滑剤、崩壊剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧バッファーに影響を及ぼすための塩、着色剤、香味剤及び/又は芳香物質と混合されうる。経口使用が意図される組成物は、当該技術分野で知られるあらゆる方法に従って調製されてもよく、そのような組成物は、錠剤の製造に適している不活性の、非毒性の薬学的に許容される賦形剤より選択される一又は複数の薬剤を含有してもよい。そのような賦形剤は、例えば、ラクトースのような不活性希釈剤;コーンスターチのような造粒及び崩壊剤;スターチのような結合剤;並びにステアリン酸マグネシウムのような平滑剤を含む。錠剤はコーティングされていなくてもよく、あるいは見た目のために又は活性成分の放出を遅らせるために公知の技術によりコーティングされていてもよい。経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性希釈剤と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして提示されてもよい。本発明の経口投与形態は、錠剤(持続放出及び/又は即時放出)、トローチ、ロゼンジ、粉末又は顆粒、硬質若しくは軟質カプセル、微小粒子(例えばマイクロカプセル、ミクロスフェア等)、頬側錠剤、溶液、懸濁液等の形態であってもよい。
【0017】
特定の実施態様において、本開示は、本明細書に記載される投与形態をヒト患者に投与することにより痛みを治療する方法を提供する。
【0018】
投与形態が経口である場合、本発明の投与形態は約1mgから約40mgの低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含有する。特に好ましい用量は、約5mg、約10mg、約20mg又は約40mgであるが、他の用量も使用されてもよい。低ABUKオキシモルホン塩酸塩はまた、持続放出投与形態を提供するために薬学的に許容される賦形剤を用いて製剤化されうる。そのような製剤は、例えば米国特許第7851482号、同第7276250号、米国特許公開第2003/129234号及び同第2003/157167号に従って調製されうる。
【0019】
低ABUKオキシモルホン塩酸塩は、当業者に知られるあらゆる適切な錠剤、コーティング錠又は多粒子製剤中の持続放出経口製剤として製剤化されうる。持続放出投与形態は、そのオキシモルホン塩と共にマトリックスに取り込まれている持続放出材料を含んでもよい。
【0020】
持続放出投与形態は、低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含有する粒子を任意選択的に含んでもよい。特定の実施態様において、粒子は約0.1mmから約2.5mm、好ましくは約0.5mmから約2mmの直径を有する。好ましくは、粒子は、水性媒体における持続速度での活性物質の放出を許可する物質でフィルムコーティングされている。フィルムコーティングは、他の記載される特性と組み合わせて、所望の放出特性を達成するように選択される。本発明の持続放出コーティング製剤は、好ましくは滑らかで、見た目がよく、顔料及び他のコーティング添加剤を支持することができ、不活性であり、粘着性がない強力で連続したフィルムを製造することができるべきである。
【0021】
コーティングされたビーズ
本発明の特定の実施態様において、疎水性物質は、ヌパリエル18/20ビーズのような不活性の薬学的ビーズをコーティングするのに使用され、複数の得られた固体持続放出ビーズは、環境流体、例えば胃液又は溶出媒体により摂取され、接触する場合、その後、有効な持続放出用量を提供するのに十分な量でゼラチンカプセルに入れられてもよい。
【0022】
本発明の持続放出ビーズ製剤は、例えば摂取され、胃液に曝露され、次いで腸液に曝露される場合、本発明の活性成分を徐々に放出する。本発明の製剤の持続放出プロファイルは、例えば疎水性物質を用いたオーバーコーティングの量を変化させること、可塑剤が疎水性物質に添加される方法を変更すること、疎水性物質に関する可塑剤の量を変化させること、追加の成分又は賦形剤を包含すること、製造方法を変更すること等により変更され得る。最終生成物の溶解プロファイルはまた、例えば遅延剤コーティングの厚さを増加させる又は減少させることにより、変更されてもよい。
【0023】
本発明の薬剤でコーティングされた球状物又はビーズは、例えば薬剤を水に溶解させ、次いでウルスターインサートを使用して基材、例えばヌパリエル18/20ビーズに溶液を噴霧することにより調製される。任意選択的に、ビーズをコーティングする前に、活性がビーズに結合する及び/又は溶液を着色するのを補助するために追加の成分もまた添加される。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を含み、着色剤(例えば、Colorcon、Inc.により市販されるOpadry
TM)を含むか又は含まない生成物が溶液に添加されてもよく、溶液はそれが適用される前に混合される(例えば約1時間)。これらの例のビーズにおいて得られたコーティングされた基材は、次いで任意選択的にバリア剤でオーバーコーティングされ、活性成分を疎水性の持続放出コーティングから分離する。適切なバリア剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。しかしながら、当該技術分野で知られるあらゆるフィルム形成剤が使用されてもよい。バリア剤は最終生成物の溶解速度に影響を及ぼさないことが好まれる。
【0024】
ビーズは、次いで疎水性材料の水性分散体でオーバーコーティングされてもよい。疎水性材料の水性分散体は、好ましくは、有効量の可塑剤、例えばクエン酸トリエチルを更に含む。事前に製剤化されたAquacoat
TM
又はSurelease
TMのようなエチルセルロースの水性分散体が使用されてもよい。Surelease
TMが使用される場合、可塑剤を別個に添加する必要はない。あるいは、事前に製剤化されたEudragit
TMのようなアクリルポリマーの水性分散体が採用されうる。
【0025】
本発明のコーティング溶液は、フィルム形成剤、可塑剤及び溶媒系(即ち、水)に加えて、見た目の良さ及び製造物の区別を提供するために、好ましくは着色剤を含有する。着色剤は、疎水性の物質の水性分散体の代わりに、又はそれに加えて、治療的に活性な薬剤の溶液に添加されてもよい。例えば、着色剤は、アルコール又はプロピレングリコール系着色分散体、破砕されたアルミニウムレーキ及び二酸化チタンのような乳白剤の使用を介して、水溶性のポリマー溶液に透け感のある着色剤を添加し、次いで可塑化されたAquacoat
TMに低い透け感を使用することにより、添加されうる。あるいは、本発明の製剤に色を提供するあらゆる適切な方法が使用されてもよい。アクリルポリマーの水性分散体が使用される場合、製剤に色を提供するのに適した成分は、二酸化チタン及び酸化鉄顔料のような着色顔料を含む。しかしながら、顔料の取り入れは、コーティングの遅延効果を増加させてもよい。
【0026】
可塑化された疎水性に材料は、当該技術分野で知られるあらゆる適切な噴霧装置をしようして噴霧することにより、薬剤を含む基材に適用されてもよい。好ましい方法において、下から注入される空気ジェットがコア材料を流動化し、アクリルポリマーコーティングが噴霧される間に乾燥を生じさせるウルスター流動床システムが使用される。コーティングされた基材が水性溶液、例えば胃液に曝露される場合、所定の持続放出を得るための十分な量の疎水性材料が適用されてもよい。疎水性材料でコーティングされた後、Opadry
TMのようなフィルム形成剤の更なるオーバーコーティングが、任意選択的にビーズに適用される。このオーバーコーティングは、仮にあったとしても、ビーズの凝集を実質的に減少させるために提供される。
【0027】
本発明の持続放出製剤からの薬剤の放出は、一又は複数の放出調節剤の添加、又はコーティングを通る一又は複数の通路の提供により、更に影響されうる、即ち所望の速度に調整されうる。水溶性材料に対する疎水性材料の比は、他の要因の中でも、必要とされる放出速度及び選択される材料の溶解度特性により決定される。
【0028】
孔形成剤として機能する放出調節剤は有機又は無機であってもよく、使用環境においてコーティングから分解され、押し出され、又は浸出しうる材料を含む。孔形成剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのような一又は複数の親水性材料を含んでもよい。
【0029】
本発明の持続放出コーティングはまた、スターチ及びゴムのような腐食促進剤も含みうる。
【0030】
本発明の持続放出コーティングはまた、使用環境において微孔性薄膜の作製に有用な材料、例えばポリマー鎖においてカーボネート基が再発する炭酸の直鎖状ポリエステルから成るポリカーボネートも含みうる。
【0031】
放出調節剤はまた、半透明ポリマーも含んでもよい。
【0032】
特定の好ましい実施態様において、放出調節剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属塩、及びあらゆる前述の混合物より選択される。
【0033】
本発明の持続放出コーティングはまた、少なくとも一の通路、開口部等を含む放出手段を含む。通路は、例えば米国特許第3845770号、同第3916899号、同第4063064号及び同第4088864号に記載されるような方法により形成されうる。
【0034】
マトリックス製剤
本発明の他の実施態様において、持続放出製剤は、本明細書に記載されるような持続放出コーティングを任意選択的に有するマトリックスを介して達成される。持続放出マトリックスへの包含に適した材料は、マトリックスを形成するのに使用される方法に依拠してもよい。
【0035】
例えば、低ABUKオキシモルホン塩酸塩に加えて、マトリックスは、親水性及び/又は疎水性材料、例えばゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、材料由来のタンパク質を含んでもよい。これらは排他的であるものとは意味されておらず、薬剤の持続放出を与えることが可能であり、溶ける(又は押し出されるのに必要な程度に柔らかくなる)あらゆる薬学的に許容可能な疎水性材料又は親水性材料が、本発明に従って使用されてもよい。
【0036】
可消化の、長鎖(C
8−C
50、特にC
12−C
40)の、置換又は非置換炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱物と植物の油及びワックス、及びステアリルアルコール;並びにポリアルキレングリコール等。これらのポリマーの中でも、アクリルポリマー、特にEudragit
TM。RSPO−セルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロース及びカルボキシアルキルセルロースが好まれる。経口投与形態は、1重量%から80重量%の間の少なくとも一の親水性又は疎水性材料を含んでもよい。
【0037】
疎水性材料が炭化水素である場合、炭化水素は好ましくは25℃から90℃の間の融点を有する。長鎖炭化水素材料の中でも、脂肪(脂肪族)アルコールが好まれる。経口投与形態は、最大60重量%の少なくとも一の可消化、長鎖炭化水素を含んでもよい。
【0038】
好ましくは、経口投与形態は、最大60重量%の少なくとも一のポリアルキレングリコールを含む。
【0039】
疎水性材料は好ましくは、アルキルセルロース、アクリル及びメタクリル酸ポリマー及びコポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物油、又はこれらの混合物から成る群より選択される。本発明の特定の好ましい実施態様において、疎水性材料は薬学的に許容されるアクリルポリマーであって、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリレートコポリマーを含むがこれらに限定されない。他の実施態様において、疎水性材料は、ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその混合物のような材料より選択される。
【0040】
好ましい疎水性材料は、多少目立った親和性及び/又は疎水性傾向を有する非水溶性である。好ましくは、本発明に有用な疎水性材料は、約25℃から約200℃、好ましくは約45℃から約90℃の融点を有する。特に、疎水性材料は、天然又は合成ワックス、脂肪アルコール(ラウリル、ミリスチル、ステアリル、セチル又は好ましくはセトステアリルアルコール等)、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド)を含むがこれらに限定されない脂肪酸、水素化脂肪、炭化水素、通常のワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール並びに炭化水素骨格を有する疎水性及び親水性材料を含んでもよい。適切なワックスは、例えば、蜜ろう、グリコワックス、キャスターワックス及びカルナバワックスを含む。本発明の目的に関して、ワックス様物質は、通常室温で固体であり、約25℃から約100℃の融点を有するあらゆる材料であると定義される。
【0041】
本発明に従って使用されてもよい適切な疎水性材料は、可消化の、長鎖(C
8−C
50、特にC
12−C
40)の、置換又は非置換炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱物及び植物油並びに天然及び合成ワックスを含む。25℃から90℃の間の融点を有する炭化水素が好ましい。長鎖炭化水素材料の中でも、脂肪(脂肪族)アルコールが特定の実施態様において好まれる。経口投与形態は、最大60重量%の少なくとも一の可消化、長鎖炭化水素を含んでもよい。
【0042】
好ましくは、二以上の疎水性材料の組み合わせがマトリックス製剤に含まれる。追加の疎水性材料が含まれる場合、それは好ましくは天然及び合成ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール並びにそれらの混合物より選択される。例は、蜜ろう、カルナバワックス、ステアリン酸及びステアリルアルコールを含む。このリストは排他的であると意味されない。
【0043】
一の特定の適切なマトリックスは、少なくとも一の水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも一のC
12−C
36、好ましくはC
14−C
22脂肪族アルコール、及び任意選択的に少なくとも一のポリアルキレングリコールを含む。少なくとも一のヒドロキシアルキルセルロースは、好ましくはヒドロキシ(C
1からC
6)アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、及び、特にヒドロキシエチルセルロースである。本発明の経口投与形態における少なくとも一のヒドロキシアルキルセルロースの量は、特に、必要とされるオキシモルホン塩酸塩放出の正確な速度によって決定される。少なくとも一の脂肪族アルコールは、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール又はステアリルアルコールであってもよい。本発明の経口投与形態の特に好ましい実施態様において、数なくとも一の脂肪族アルコールは、セチルアルコール又はセトステアリルアルコールである。本発明の経口投与形態における少なくとも一の脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要とされるオピオイドオキシモルホン放出の正確な速度によって決定される。それは、少なくとも一のポリアルキレングリコールが経口投与形態に存在するか又は存在しないかにも依拠する。少なくとも一のポリアルキレングリコールが存在しない場合、経口投与形態は、好ましくは20重量%から50重量%の間の少なくとも一の脂肪族アルコールを含有する。少なくとも一のポリアルキレングリコールが投与形態に存在する場合、少なくとも一の脂肪族アルコールと少なくとも一のポリアルキレングリコールの総重量は、好ましくは総投与量の20重量%から50重量%の間を構成する。
【0044】
一実施態様において、例えば少なくとも一のヒドロキシアルキルセルロース又はアクリル樹脂対少なくとも一の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比は、1:2から1:4の間の少なくとも一のヒドロキシアルキルセルロース対少なくとも一の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールが好まれ、特に1:3から1:4の間の比がより好まれることを決定する。
【0045】
少なくとも一のポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコール又は好ましくはポリエチレングリコールであってもよい。少なくとも一のポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは1,000から15,000の間、特に1,500から12,000の間である。
【0046】
別の適切な持続放出マトリックスは、アルキルセルロース(特にエチルセルロース)、C
12からC
36脂肪族アルコール及び任意選択的にポリアルキレングリコールを含むであろう。
【0047】
別の好ましい実施態様において、マトリックスは薬学的に許容される少なくとも二の疎水性材料の組み合わせを含む。
【0048】
上の成分に加えて、持続放出マトリックスは、適切な量のその他材料、例えば薬学分野において従来型の希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤及び流動促進剤も含有しうる。
【0049】
マトリックス微粒子
本発明による固体の、持続放出の経口投与形態の調製を容易にするために、当業者に知られるあらゆるマトリックス製剤の調製方法が使用されてもよい。例えば、マトリックスにおける取り込みは、例えば(a)少なくとも一の水溶性ヒドロキシアルキルセルロース及び低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含む顆粒を形成すること;(b)顆粒を含有するヒドロキシアルキルセルロースを少なくとも一のC
12からC
36脂肪族と混合すること;及び(c)顆粒を任意選択的に圧縮し成形することにより達成される。好ましくは、顆粒は、ヒドロキシアルキルセルロース顆粒を水を用いて湿潤造粒することにより形成される。
【0050】
更に他の実施態様において、球形化剤は活性成分と共に球形化され回転楕円体を形成する。微結晶性セルロースは好ましい球体化剤である。適切な微結晶性セルロースは、例えばAvicel PH 101(FMC Corporationの商標)として販売される材料である。そのような実施態様において、活性成分及び球体化剤に加えて、回転楕円体は結合剤も含んでもよい。低粘度水溶性ポリマーのような適切な結合剤は、薬学分野の当業者によく知られているであろう。しかしながら、水溶性ヒドロキシ低級アルキル、例えばヒドロキシプロピル−セルロースが好まれる。加えて(又はあるいは)、回転楕円体は、例えばメタクリル酸−アクリル酸エチルコポリマー、又はエチルセルロースを含有し得る。そのような実施態様において、持続放出コーティングは、一般的に(a)単独若しくは脂肪アルコールと混合されたワックス;又は(b)シェラック若しくはゼインのような疎水性材料を含む。
【0051】
溶融押出マトリックス
持続放出マトリックスはまた、溶融−造粒又は溶融−押出成形技術を介しても調製されうる。一般的に、溶融−造粒技術は、通常は固体の疎水性材料、例えばワックスを溶融すること及びその中に粉末化した薬物を取り込むことを含む。持続放出投与形態を得るために、追加の疎水性物質、例えばエチルセルロース又は非水溶性アクリルポリマーを溶融されたワックスの疎水性材料に取り込むことが必要である可能性がある。溶融−造粒技術を介して調製された持続放出製剤は、例えば米国特許第4861598号でみられる。
【0052】
追加の疎水性材料は、一又は複数の非水溶性ワックス様熱可塑性物質を含んでもよく、場合によっては、前記一又は複数の非水溶性ワックス様物質よりも疎水性が低い一又は複数のワックス様熱可塑性物質で混合される。一定の放出を達成するために、製剤中の個々のワックス様物質は、初期放出段階中、実質的に分解可能ではなく、胃腸液に溶けにくくあるべきである。有用な非水溶性ワックス様物質は、約1:5,000(w/w)より低い水に対する溶解度を有するものであってもよい。
【0053】
上の成分に加えて、持続放出マトリックスは、適切な量のその他材料、例えば薬学分野において従来型の希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤及び流動促進剤も含有しうる。これらの追加の材料の量は、所望の製剤に所望の効果を提供するのに十分な量である。
【0054】
上の成分に加えて、溶融−押出された多微粒子を取り込む持続放出マトリックスは、必要に応じて粒子の最大50重量%の量で、適切な量のその他材料、例えば薬学分野において従来型の希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒補助剤、着色剤、香味剤及び流動促進剤も含有しうる。
【0055】
経口投与形態を製剤化するのに使用されてもよい薬学的に許容される担体及び賦形剤の具体例は、例えばHandbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)に記載される。
【0056】
溶融押出多微粒子
本発明による適切な溶融−押出マトリックスの調製物は、例えば低ABUKオキシモルホン塩酸塩を少なくとも一の疎水性材料、好ましくは追加の疎水性材料とブレンドして均一混合物を得る工程を含んでもよい。均一混合物は、次いで、混合物を押出するのに十分な程度少なくとも混合物を柔らかくするのに十分な温度に加熱される。得られる均一混合物は次いで押出され、鎖を形成する。押出物は好ましくは冷却され、当該技術分野で知られるあらゆる手段で多微粒子に切られる。鎖は冷却され、多微粒子に切られる。多微粒子は次いで単位用量に分けられる。押出物は、好ましくは約0.1mmから約5mmの直径を有し、治療的に活性な薬剤の持続放出を約8時間から約24時間の期間提供する。
【0057】
本発明の溶融押出を調製するための任意選択的な方法は、押出機中で疎水性材料、低ABUKオキシモルホン塩酸塩、及び任意選択的な結合剤を直接計測すること;均一混合物を加熱すること;均一混合物を押し出すことにより鎖を形成すること;均一混合物を含有する鎖を冷却すること;鎖を約0.1mmから約12mmのサイズを有する粒子に切ること;並びに前記粒子を単位用量に分けることを含む。本発明のこの態様において、比較的連続した製造手順が実現される。
【0058】
押出機開口部又は出口ポートの直径は調整され、押し出された鎖の厚さを変化させることができる。更に、押出機の出口部は丸くある必要はなく;楕円形、長方形等でありうる。既存の鎖は、熱線カッター、ギロチン等を使用して粒子に分解される。
【0059】
溶融押出多微粒子システムは、押出機出口開口部に応じて、例えば、顆粒、回転楕円体又はペレットの形態でありうる。本発明の目的上、「溶融押出微多粒子」及び「溶融押出微多粒子システム」及び「溶融押出粒子」という用語は、好ましくは同様のサイズ及び/又は形の範囲内の複数の単位を指し、一又は複数の活性剤、及び好ましくは本明細書に記載される疎水性材料を含む一又は複数の賦形剤を含有するものとする。この点において、溶融押出多微粒子は、長さが約0.1mmから約12mmの範囲であり、約0.1mmから約5mmの直径を有する。加えて、溶融押出多微粒子は、このサイズ範囲内のあらゆる幾何学的形態でありうる。あるいは、押出物は単に所望の長さに切られ、球形化工程の必要なく、治療的に活性な薬剤の単位用量に分けられてもよい。
【0060】
好ましい一実施態様において、経口投与形態は、カプセル内に有効量の押出多微粒子を含むように調製される。例えば、複数の溶融押出多微粒子は、胃液によって消化され、接触される場合に有効な持続放出用量を提供するのに十分な量でゼラチンカプセル中に入れられてもよい。
【0061】
別の好ましい実施態様において、適切な量の多微粒子押出物が、標準技術を使用した従来の錠剤形成装置を使用して経口錠剤に圧縮される。錠剤(圧縮され、成形される)、カプセル(硬質及び軟質ゼラチン)及び丸薬を作製するための技術及び組成物もまた、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、(Arthur Osol, editor), 1553-1593(1980)に記載される。
【0062】
更に別の好ましい実施態様において、押出物は、例えば米国特許第4957681号に記載されるように錠剤に成形することができ、上記でさらに詳細に説明される。
【0063】
任意選択的に、持続放出溶融押出多微粒子系又は錠剤はコーティングすることができ、又は、多微粒子を含有するゼラチンカプセルは、上記の持続放出コーティングのような持続放出コーティングを用いて更にコーティングすることができる。そのようなコーティングは、好ましくは約2%から約30%の重量増加レベルを得るのに十分な量の疎水性材料を含むが、オーバーコートは、とりわけ所望の放出速度によってより大きくあってもよい。
【0064】
本発明の溶融−押出単位投与形態は、カプセル化される前に溶融−押出粒子の組み合わせを更に含んでもよい。更に、単位投与形態は迅速な放出のための即時放出剤の量を含みうる。即時放出剤は、例えばゼラチンカプセル内に別個のペレットとして取り込まれてもよく、又は投与形態の調製後に、多微粒子の表面にコーティングされてもよい(例えば持続放出コーティング又はマトリックス系)。本発明の単位投与形態はまた、所望の効果を達成するために持続放出ビーズとマトリックス多微粒子の組み合わせを含有してもよい。
【0065】
本発明の持続放出製剤は、例えば摂取され、胃液に曝露され、次いで腸液に曝露される場合、好ましくは薬剤をゆっくりと放出する。本発明の溶融−押出製剤の持続放出プロファイルは、例えば、遅延剤、即ち疎水性材料の量を変化させることにより、疎水性材料に対する可塑剤の量を変化させることにより、追加の成分若しくは賦形剤を包含することにより、又は製造方法を変更すること等により、変更されうる。
【0066】
本発明の他の実施態様において、溶融押出材料は、後に押出物に添加されうる低ABUKオキシモルホン塩酸塩を包含せずに調製される。そのような製剤は、典型的に、押出マトリックス材料と共にブレンドされた薬剤を有し、次いで、混合物は徐放性製剤を提供するために錠剤化される。
【0067】
コーティング
本発明の投与形態は、任意選択的に放出の制限又は製剤の保護に適した一又は複数の材料でコーティングされてもよい。一実施態様において、コーティングが提供され、pH依存性放出又は非pH依存性放出のいずれかを許可する。pH依存性コーティングは、少なくとも約8時間、好ましくは約12時間から最大約24時間の鎮痛を患者に提供することができる吸収プロファイルが提供されるように、胃腸(GI)管の所望の領域、例えば胃又は小腸内の活性物質を放出する働きをする。非pH依存性コーティングが望まれる場合、コーティングは、環境流体、例えばGI管内のpH変化にかかわらず、最適な放出を達成するように設計される。また、GI管の一の所望の領域、例えば胃に用量の一部を放出し、GI管の別の領域、例えば小腸に残りの用量を放出する組成物を製剤化することも可能である。
【0068】
pH依存性コーティングを利用して製剤を得る本発明による製剤はまた、反復作用効果も与え、それにより保護されていない薬剤が腸溶コーティング上にコーティングされ、胃に放出され、その一方、残りは腸溶コーティングによりほごされ、胃腸管で更に放出される。pH依存性であり、本発明に従って使用されうるコーティングは、シェラック、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びメタクリル酸エステルコポリマー、ゼイン等を含む。
【0069】
特定の好ましい実施態様において、低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含有する基材(例えば錠剤コアビーズ、マトリックス粒子)は、(i)アルキルセルロース;(ii)アクリルポリマー;又は(iii)それらの混合物より選択される疎水性材料でコーティングされる。コーティングは、有機溶液若しくは水溶液又は分散体の形態で適用されてもよい。コーティングは、所望の持続放出プロファイルを得るために、基材の約2%から約25%の重量増加を得るように適用されてもよい。水性分散体に由来するコーティングは、例えば米国特許第5273760号、同第5286493号、同第5324351号、同第5356467号及び同第5472712号で詳細に記載される。
【0070】
アルキルセルロースポリマー
アルキルセルロースを含むセルロース材料及びポリマーは、本発明に従ってビーズをコーティングするのに非常に適した疎水性材料を提供する。単なる例として、一の好ましいアルキルセルロースポリマーはエチルセルロースであるが、当業者は、他のセルロース及び/又はアルキルセルロースポリマーが、本発明による疎水性コーティングの全体及び一部として、単独で又はあらゆる組み合わせで容易に用いられてもよいことを認識する。
【0071】
アクリルポリマー
本発明の他の好ましい実施態様において、持続放出コーティングを含む疎水性材料は薬学的に許容されるアクリルポリマーであって、アクリル酸及びメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)、及びグリシジルメタクリレートコポリマーを含むがこれらに限定されない。
【0072】
特定の好ましい実施態様において、アクリルポリマーは、一又は複数のアンモニオメタクリレートコポリマーで構成される。アンモニオメタクリレートコポリマーは当該技術分野でよく知られており、低含有量の第四級アンモニウム基を含むアクリル及びメタクリル酸エステルの完全にポリマー化されたコポリマーとして記載される。
【0073】
所望の溶解プロファイルを得るために、異なる物理的特性、例えば第四級アンモニウム基対中性(メタ)アクリルエステルの異なるモル比を有する二以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを取り込むことが必要である可能性がある。
【0074】
特定のメタクリル酸エステル型ポリマーは、本発明に従って使用されてもよいpH依存性コーティングを調製するのに有用である。例えば、Rohm Tech、IncよりEudragit
TMとして市販されている、メタクリル酸コポリマー又はポリマーメタクリレートとしても知られるジエチルアミノエチルメタクリレート及びその他中性メタクリルエステルから合成されるコポリマーのファミリーがある。複数の異なる型のEudragit
TMがあり、例えばEudragit
TMEは、酸性媒体中で膨らみ、溶解するメタクリル酸コポリマーの一例である。Eudragit
TMLは、約pH<5.7で膨らまず、約pH>6で溶けるメタクリル酸コポリマーである。Eudragit
TMSは、約pH<6.5で膨らまず、約pH>7で溶ける。Eudragit
TMRL及びEudragit
TMRSは水膨潤性であり、これらのポリマーにより吸収される水の量はpH依存性であるが、Eudragit
TMRL及びRSでコーティングされる投与形態は非pH依存性である。
【0075】
特定の好ましい実施態様において、アクリルコーティングは、Rohm PharmaよりそれぞれEudragit
TMRL30D及びEudragit
TMRS30Dの商品名で市販されている二のアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。
EudragitTMRL30D及びEudragit
TMRS30Dは、低含有量の第四級アンモニウム基を含むアクリル及びメタクリルエステルのコポリマーであり、アンモニウム基対残りの中性(メタ)アクリルエステルのモル比は、Eudragit
TMRL30Dにおいて1:20、Eudragit
TMRS30Dにおいて1:40である。中間分子量は約150,000である。コード指定RL(高透過性)及びRS(低透過性)は、これらの薬剤の透過性特性を指す。Eudragit
TMRL/RS混合物は水及び消化液に溶けない。しかしながら、それから形成されるコーティングは、水性溶液及び消化液において膨潤性であり、透過性である。
【0076】
本発明のEudragit
TMRL/RS分散体は、望ましい溶解プロファイルを有する持続放出製剤を最終的に得るために、所望の比で混合されてもよい。望ましい持続放出製剤は、例えば100%のEudragit
TMRL、50%のEudragit
TMRLと50%のEudragit
TMRS、又は10%のEudragit
TMRLと90%のEudragit
TMRSに由来する遅延コーティングより得られる。当業者は、その他アクリルポリマー、例えばEudragit
TMLも使用されうることを当然認識する。
【0077】
可塑剤
コーティング疎水性材料の水性分散体を含む本発明の一実施態様において、有効量の可塑剤を疎水性材料の水性分散体に包含することは、持続放出コーティングの物理的特性を更に改善する。例えば、エチル−セルロースは比較的高いガラス転移温度を有し、通常のコーティング条件下で柔軟性のあるフィルムを形成しないため、コーティング材料として使用する前に、持続放出コーティングを含有するエチルセルロースコーティングに可塑剤を取り込むことが好ましい。一般的に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、フィルム形成剤の濃度に基づき、例えばたいていの場合、フィルム形成剤の約1wt%から約50wt%である。しかしながら、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液及び適用方法での注意深い実験後にのみ、適切に決定されうる。
【0078】
エチルセルロースに適した可塑剤の例は、水溶性可塑剤、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、及びトリアセチンを含むが、他の水に溶けない可塑剤(アセチル化モノグリセリド、フタル酸エステル、ヒマシ油等)も使用されることが可能である。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルロースの水性分散体について、特に好まれる可塑剤である。
【0079】
本発明のアクリルポリマーに適した可塑剤の例は、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、及び場合により1,2−プロピレングリコールを含むが、これらに限定されない。Eudragit
TMRL/RSラッカー溶液等のアクリルフィルムより形成されるフィルムの弾性を向上させるのに適していると証明されたその他可塑剤は、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、及びトリアセチンを含む。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルロースの水性分散体について、特に好まれる可塑剤である。
【0080】
少量のタルクの添加はまた、水性分散体が処理中にくっつく傾向を減少させるのを助け、研磨剤として作用し得る。
【0081】
持続放出浸透性投与形態
本発明による持続放出投与形態はまた、浸透性投与製剤としても調製されてもよい。浸透性投与形態は好ましくは、薬物層(低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含有する)及び送達又は押圧層を含む二重層コアを含み、二重層は半透性壁により囲まれており、任意選択的にそこで処理される少なくとも一の通路を有する。
【0082】
本発明の目的のために使用される場合、「通路」という表現は、隙間、開口部、ボア、孔、多孔性要素を含み、それらを通じて、繊維、毛細管、多孔性オーバーレイ、多孔性挿入物、微多孔性要素、又は多孔性組成物を通して、低ABUKオキシモルホン塩酸塩が送り込まれ、拡散され又は移されることができる。通路はまた、使用流体環境における壁を蝕むか又はそれから浸出する化合物も含み、少なくとも一の通路を生成しうる。通路を形成する代表的な化合物は、壁中の浸食されうるポリグリコール酸、又はポリ乳酸;ゼラチン性フィラメント;水分除去可能なポリ(ビニルアルコール);浸出可能な化合物、例えば液体除去可能な孔形成多糖類、酸、塩又は酸化物を含む。通路は、壁、例えばソルビトール、スクロース、ラクトース、マルトース、又はフルクトースから化合物を浸出させることにより形成され、持続放出寸法の孔通路を形成しうる。投与形態は、投与形態の一又は複数の表面上に相隔たる関係にある一又は複数の通路を用いて製造される。通路及び通路を形成するための装置は、例えば米国特許第3845770号、同第3916899号、同第4063064号及び同第4088864号に記載される。水性浸出により形成される放出孔として、サイズ化され、成形され、適応される持続放出寸法を含み、持続放出速度の放出孔を提供する通路は、例えば米国特許第4200098号及び同第4285987号に記載される。
【0083】
特定の実施態様において、薬物層はまた、少なくとも一のポリマーヒドロゲルも含んでもよい。ポリマーヒドロゲルは、約500から約6,000,000の間の平均分子量を有してもよい。ポリマーヒドロゲルの例は、nが3から7,500である式(C
6H
12O
5)
nH
2Oを含み、500から1,250,000の数平均分子量を含む、マルトデキストリンポリマー;例えば50,000から750,000の重量平均分子量を有するポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)により表され、より具体的には、100,000、200,000、300,000又は400,000の重量平均分子量のうちの少なくとも一のポリ(エチレンオキシド)により表されるポリ(アルキレンオキシド);アルカリがナトリウム又はカリウムであり、アルキルが10,000から175,000の重量平均分子量のメチル、エチル、プロピル又はブチルであるアルカリカルボキシアルキルセルロース;並びに10,000から500,000の数平均分子量のメタクリル及びエタクリル酸を含むエチレン−アクリル酸のコポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0084】
本発明の特定の実施態様において、送達又は押圧層はオスモポリマーを含む。オスモポリマーの例は、ポリアルキレンオキシド及びカルボキシアルキルセルロースから成る群より選択されるメンバーを含むがそれらに限定されない。ポリアルキレンオキシドは、1,000,000から10,000,000の重量平均分子量を有する。ポリアルキレンオキシドは、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、1,000,000の平均分子量を有するポリエチレンオキシド、5,000,000の平均分子量を含むポリエチレンオキシド、7,000,000の平均分子量を含むポリエチレンオキシド、1,000,000の平均分子量を有する架橋ポリメチレンオキシド、及び1,200,000の平均分子量のポリプロピレンオキシドより選択されるメンバーであってもよい。典型的なオスモポリマーカルボキシアルキルセルロースは、アルカリカルボキシアルキル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシエチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースリチウム、カルボキシエチル−セルロースナトリウム、カルボキシアルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルヒドロキシエチルセルロース及びカルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースから成る群より選択されるメンバーを含む。置換層に使用されるオスモポリマーは、半透性壁にわたって浸透圧勾配を呈する。オスモポリマーは、投与形態に流体を吸収し、それにより浸透性ヒドロゲル(オスモゲルとして知られる)を膨潤させ、拡張させ、それによってオスモポリマーはその低ABUKオキシモルホン塩酸塩を浸透性投与形態から押し出す。
【0085】
押圧層は、オスマジェント及び浸透圧的に有効な溶質として知られる一又は複数の浸透圧的に有効な化合物も含んでもよい。それらは、例えば胃腸管から環境流体を投与形態に吸収し、置換層の送達速度に寄与する。浸透圧的に活性な化合物の例は、浸透圧性の塩及び浸透圧性の炭化水素から成る群より選択されるメンバーを含む。特定のオスマジェントの具体例は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸リチウム、塩化リチウム、リン酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、グルコース、フルクトース及びマルトースを含むが、これらに限定されない。
【0086】
押圧層は、9,000から450,000の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルアルキルセルロースを任意選択的に含んでもよい。ヒドロキシプロピルアルキル−セルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルイソプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース及びヒドロキシプロピルペンチルセルロースから成る群より選択されるメンバーにより表される。
【0087】
押圧層は、非毒性着色剤又は染料を任意選択的に含んでもよい。着色料又は染料の例は、食品医薬品局着色剤(FD&C)、例えばFD&C第1号青色染料、FD&C第4号赤色染料、赤色酸化第二鉄、黄色酸化第二鉄、二酸化チタン、カーボンブラック及びインディゴを含むが、これらに限定されない。
【0088】
押圧層はまた、成分の酸化を阻害するための酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤のいくつかの例は、アスコルビン酸、パルチミン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、2及び3第三級−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物、ブチル化ヒドロキシトルエン、イソアスコルビン酸ナトリウム、ジヒドログアレチン酸、ソルビン酸カリウム、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、ソルビン酸、アスコルビン酸カリウム、ビタミンE、4−クロロ−2,6−ジ第三級ブチルフェノール、アルファトコフェロール、及びプロピルガレートから成る群より選択されるメンバーを含むが、これらに限定されない。
【0089】
特定の代替的な実施態様において、投与形態は、低ABUKオキシモルホン塩酸塩、薬学的に許容されるポリマー(例えばポリエチレンオキシド)、任意選択的には崩壊剤(例えばポリビニルピロリドン)、任意選択的には吸収増強剤(例えば脂肪酸、界面活性剤、キレート剤、胆汁塩等)を含む均一なコアを含む。均一なコアは、低ABUKオキシモルホン塩酸塩の放出のための通路(上で定義されている)を有する半透性壁で囲まれている。
【0090】
特定の実施態様において、半透性壁は、セルロースエステルポリマー、セルロースエーテルポリマー及びセルロースエステル−エーテルポリマーから成る群より選択されるメンバーを含む。代表的な壁ポリマーは、アクリル酸セルロース、ジアクリル酸セルロース、トリアクリル酸セルロース、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、モノ−、ジ−及びトリセルロースアルケニレート、並びにモノ−、ジ−及びトリセルロースアルキニレートから成る群より選択されるメンバーを含む。本発明に使用されるポリ(セルロース)は、20,000から7,500,000の数平均分子量を含む。
【0091】
本発明の目的のための追加の半透性ポリマーは、アセトアルデヒドジメチルセルロースアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースジアセテート、プロピルカルバメート、セルロースアセテートジ愛知得る網のアセテート;半透性ポリアミド;半透性ポリウレタン;半透性スルホン酸化ポリスチレン;ポリアニオン及びポリカチオンの共沈により形成される半透性架橋ポリマー、半透性架橋ポリスチレン、半透性架橋ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート)、半透性架橋ポリ(ビニルベンジルトリメチル塩化アンモニウム)並びに半透性壁を横断する静水圧差又は浸透圧差を大気圧で表したときに2.5x10
−8から2.5x10
−2(cm
2/hr atm)の流体透過性を有する半透性ポリマーを含む。本発明において有用なその他ポリマーは、例えばHandbook of Common Polymers、Scott, J. R. and W. J. Roff, 1971, CRC Press, Cleveland, Ohioに記載されるものを含み、当該技術分野において知られている。
【0092】
特定の実施態様において、半透性壁は好ましくは非毒性、不活性であり、薬剤の調剤寿命の間、その物理的及び化学的な完全性を維持する。特定の実施態様において、投与形態は結合剤を含む。結合剤の例は、5,000から350,000の粘度平均分子量を有する治療的に許容されるビニルポリマーを含むがそれらに限定されず、そのようなビニルポリマーは、ポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ−n−ビニルピロリドンとしても知られるポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン並びに酢酸ビニル、ビニルアルコール、塩化ビニル、フッ化ビニル、酪酸ブチル、ビニルラウレエート及びステアリン酸ビニルから成る群より選択されるメンバーとのポリ−n−ビニル−ピロリドンコポリマーから成る群より選択されるメンバーによって代表される。その他の結合剤は、例えばアカシア、スターチ、ゼラチン及び9,200から250,000の平均分子量のヒドロキシプロピルアルキルセルロースを含む。
【0093】
特定の実施態様において、投与形態は潤滑剤を含み、潤滑剤は、ダイ壁又はパンチ表面にくっつくのを防ぐため、投与形態の製造中に使用されてもよい。潤滑剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸、オレイン酸カリウム、カプリル酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びパルミチン酸マグネシウムを含むが、これらに限定されない。
【0094】
好ましい実施態様において、本発明は、10から40mgのオキシモルホン塩酸塩に相当する低ABUKオキシモルホン塩酸塩、150,000から500,000の平均分子量を有する25mgから500mgのポリ(アルキレンオキシド)、40,000の平均分子量を有する1mgか50mgのポリビニルピロリドン、及び0mgから約7.5mgの潤滑剤を含む治療用組成物を含む。
【0095】
坐薬
本発明の持続放出製剤は、適切な坐薬用基剤及び低ABUKオキシモルホン塩酸塩を含む直腸投与のための薬学的坐薬として製剤化されてもよい。持続放出坐薬製剤の調製は、例えば米国特許第5215758号に記載される。
【0096】
吸収の前に、薬剤は溶液中に存在しなければならない。坐薬の場合には、坐薬基剤の溶解又は基材の溶融が先んじて生じなければならず、その後、坐薬基剤から直腸液への薬剤の分配が生じる。体内への薬剤の吸収は、坐薬基剤により変更されてもよい。したがって、特定の薬剤と組み合わせて使用されるべき特定の坐薬基剤は、薬剤の物理的特性を考慮に入れて選択されなければならない。例えば、脂質−可溶性薬物は、直腸液内へ容易に分配されないが、脂質基材にわずかな量でのみ溶ける薬剤は、直腸液内へ容易に分配されるであろう。
【0097】
薬剤の溶解時間(又は放出速度)に影響を及ぼす異なる要因の中でも重要なのは、溶解溶媒媒質に供される薬剤物質の表面積、溶液のpH、特定の溶媒美質中における物質の溶解度、及び溶媒媒質中における溶解材料の飽和濃度の駆動力である。一般的に、直腸投与された坐薬からの薬物の吸収に影響を及ぼす要因は、坐薬のビヒクル、吸収部位のpH、薬物のpKa、イオン化の程度、及び脂質溶解度を含む。
【0098】
選択される基剤は本発明の活性成分に対して適合性を有しているべきである。更に、坐薬基剤は、好ましくは、無毒で粘膜を刺激せず、直腸液中で溶融又は溶解し、保管中は安定している。
【0099】
水溶性の薬物及び水に不溶性の薬物の両方に対する本発明の特定の好ましい実施態様において、坐薬基剤は、鎖長がC
12からC
18の飽和天然脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドから成る群より選択される脂肪酸ワックスを含む。
【0100】
本発明の坐薬の調製において、その他の賦形剤も使用してもよい。例えば、直腸ルートを介しての投与に適した形を形成するためにワックスが使用されてもよい。この系は、ワックスを用いずに使用することもできるが、直腸投与及び経口投与のどちらの場合にも、ゼラチンカプセルに充填される希釈剤の添加を伴う。
【0101】
適切な市販のモノ−、ジ−及びトリグリセリドの例は、HenkelによりNovataTM(タイプAB、AB、B、BC、BD、BBC、E、BCF、C、D及び299)の商品名で製造されている、又はDynamit NobelによりWitepsolTM(タイプH5、H12、H15、H175、H185、H19、H32、H35、H39、H42、W25、W31、W35、W45、S55、S58、E75、E76及びE85)の商品名で製造されている、12〜18の炭素原子鎖の飽和天然脂肪酸を含む。
【0102】
他の薬学的に許容される坐薬基剤は、その全て又は一部が上記のモノ−、ジ−及びトリグリセリドで置換されていてもよい。坐薬痛の基剤の量は、投与形態のサイズ(即ち、実重量)、基剤の量(例えばアルギネート)及び使用される薬物の量によって決定される。一般的には、坐薬基剤の量は、坐薬の総重量の、約20重量%から約90重量%である。好ましくは、坐薬基剤の量は、坐薬の総重量の、約65重量%から約80重量%である。
【0103】
低ABUKオキシモルホン塩酸塩はまた、乱用防止投与形態を提供するために薬学的に許容される賦形剤を用いて製剤化されうる。米国特許第8114383号に記載されるように、激しい痛みから非常に激しい痛みまでに対抗するのに非常に活性のあるアヘン剤は、乱用者によりしばしば使用され、昏睡又は陶酔の状態を誘導する。乱用を可能にするために、錠剤又はカプセルのような投与形態は、乱用者により粉末状にされ、例えば、すり鉢ですりつぶされ、活性成分は、任意選択的に綿毛又はセルロースの詰め物によって濾過された後に抽出され、非経口的に、特に静脈内投与される。乱用的な経口投与と比較して、この種の投与の更なる現象は、乱用者に所望の効果、即ち「キック」又は「ラッシュ」を与える活性成分レベルの更に加速された増加である。このキックはまた、粉末化投与形態が経鼻的に投与される、即ち鼻で吸われる場合に得られる。
【0104】
低ABUKオキシモルホン塩酸塩は、低ABUKオキシモルホン塩酸塩に加えて、少なくとも一の合成又は天然ポリマーを含有する、乱用防止の、熱成形投与形態として製剤化されうる。最少破断強度(例えば500N)を有するポリマーの使用は、投与形態の粉砕が従来の手段を使用してかなり困難であるため、その後の乱用をかなり複雑にし、又は防止することを意味する。ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリレート、それらのコポリマー、及び記載されたポリマーのうちの少なくとも二の混合物からなる群より選択される少なくとも一のポリマーが、この目的のために好ましくは使用される。そのような製剤は、例えば米国特許第8114383号に従って調製されうる。
【0105】
乱用防止投与形態の適正な破断強度を達成するために、少なくとも500Nの破断強度を有する少なくとも一の天然又は合成ワックスも使用することが可能である。カルナバワックス及び蜜ろうが特に好ましい。カルナバワックスが、更により好ましい。
【0106】
低ABUKオキシモルホン塩酸塩とは別に、少なくとも一の硬化ポリマー及び任意選択的には少なくとも一のワックスを含む乱用防止投与形態はまた、一又は複数の以下の成分(a)〜(f)を補助物質として含んでもよい:
(a)鼻道及び/又は咽頭を刺激する少なくとも一の物質、
(b)必要最小限量の水性液体の助けと共に、投与形態より得られる抽出物を含むゲルを形成し、ゲルが水性液体の更なる量に導入される場合、好ましくは視覚的に区別できるままである少なくとも一の粘度上昇剤、
(c)乱用の可能性がある活性成分のそれぞれに対する少なくとも一のアンタゴニスト、
(d)少なくとも一の吐剤、
(e)嫌悪剤としての少なくとも一の染料、
(f)少なくとも一の苦味物質。
【0107】
成分(a)から(f)は、追加的に、それぞれ個別に投与形態の乱用を防止するのに適している。したがって、成分(a)は、好ましくは、鼻腔、経口及び/又は非経口、好ましくは静脈内の投与形態の乱用を防止するのに適しており、成分(b)は、好ましくは、非経口、特に静脈内及び/又は鼻腔の乱用を防止するのに適しており、成分(c)は、好ましくは、鼻腔及び/又は非経口、特に好ましくは静脈内の乱用を防止するのに適しており、成分(d)は、好ましくは、非経口、特に好ましくは静脈内、及び/又は経口及び/又は鼻腔の乱用を防止するのに適しており、成分(e)は、経口又は非経口の乱用に対する視覚妨害物として適しており、成分(f)は、経口又は鼻腔の乱用を防止するのに適している。本発明に従った上記の成分のうちの少なくとも一の組み合わせた使用は、本発明による投与形態の乱用をより効果的に防止するのを更に可能にする。
【0108】
別の実施態様において、本発明による投与形態は、乱用を防止するために、膨潤剤の添加を含んでもよい。活性成分を抽出するのに水が添加される場合、この薬剤は膨潤し、ゲルから分離された濾液が少量の活性成分のみを含有することを保証する。そのような製剤は、例えば米国特許第4070494号に従って調製されうる。
【0109】
別の実施態様において、本発明による投与形態は、乱用を防止するために、多層を含んでもよい。錠剤は、活性成分及び少なくとも一のゲル形成剤を、それぞれ異なる層に含有する。そのような製剤は、例えば米国特許第6,309,668号に従って調製されうる。
【実施例】
【0110】
本発明は、以下の実施例により説明される。
【0111】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために明記されており、後に続く特許請求の範囲に明記される本発明をあらゆる方法で限定するものであると意図されておらず、またそのように解釈されるべきではない。
【0112】
実施例1
オキシモルホン塩酸塩I型及びII型の調製物
約58ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(UPLC−MS-選択イオンモニタリングによる)を含有する約100gのオキシモルホン塩基を撹拌しながら約65.8gの水及び約204.8gのエタノールを含有する圧力容器に入れる。得られるスラリーを約60±2℃に加熱し、23.9gの水、約66gの濃塩酸、及び約30.6gのエタノールの混合物を充填し、溶液を得る。不活性ガス下で溶液に約4gの5%Pd/C(4.0g)を充填する。容器のヘッドスペースを真空装置を使用して空にして、不活性ガスで再び満たす。サイクルを二度繰り返し、続いて最終的に空にし、バッチ温度を約65±3℃に調整し、容器のヘッドスペースを水素ガスで満たし、約32psiにする。撹拌した混合物は約65±3℃及び約35±5psiで約20時間維持する。圧力容器のヘッドスペースを不活性ガスと入れ替え、反応混合物を約8gのセライトを使用して熱く濾過する。反応器を約40gのエタノールで約62±3℃ですすぎ、洗液を濾過し、濾過されたバッチと混ぜる。熱濾液を容器に移し、撹拌し、約47℃に冷却し、約2時間保持する。濾液を更に約37℃に冷却し、約1時間保持し、結晶化を誘導し、次いで約0〜5℃にし、約2時間保持する。濾過、続いて減圧下約50℃で一定重量に乾燥することにより、オキシモルホン塩酸塩(87.1g、収率77.7%、HPLC分析による>99.9%の面積%純度;UPLC−MS−選択イオンモニタリングによる14−ヒドロキシモルフィノン4ppm;XRPD分析による結晶性I型及びII型の混合物−
図1)を得る。
【0113】
実施例2
オキシモルホン塩酸塩II型の調製物
約58ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(UPLC−MS-選択イオンモニタリングによる)を含有する約5gのオキシモルホン塩基を撹拌しながら約4.5gの水及び約11.7gの1−プロパノールを含有する反応器に入れる。混合物を約60±2℃に加熱し、約3.3gの濃塩酸を添加して溶液を得る。不活性ガス下で溶液に約0.2gの5%Pd/Cを充填する。容器のヘッドスペースを真空装置を使用して空にして、不活性ガスで再び満たす。わずかな減圧下、反応器を用いて外部容器温度を約65±5℃に調整し、水素ガスを充填して約35-40psiの圧力測定値にする。撹拌した混合物を約65±5℃で約15時間維持する。容器のヘッドスペースを不活性ガスと入れ替え、反応混合物を事前に温めたセライトを通して濾過する(>60℃)。反応器を約5mLの1−プロパノールですすぎ、洗液を使用して、濾液と大部分が濾過された反応混合物を組み合わせるセライトパッドを洗浄する。固体が溶液から結晶化するときに、濾液を容器に移す。固体の試料をXRPD分析のために取り、結晶性II型を発見する。バッチを約65℃に再加熱して溶液を得、約45℃にゆっくりと冷却し、このとき生成物は結晶化を開始する。混合物をこの温度で約1時間撹拌し、約25℃に冷却し、約1時間保持する。混合物を約0〜5℃に冷却し、約2時間撹拌する。約10mLの冷1−プロパノール(約0-10℃)で洗浄し、減圧下約40℃で約12〜24時間乾燥させる前に、生成物を濾過により単離し、オキシモルホン塩酸塩(4.0g、収率71.4%、HPLC分析による>99.9%の面積%純度;XRPD分析による結晶性II型−
図2)を得る。
【0114】
実施例3
オキシモルホン塩酸塩I型の調製物
約58ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(UPLC−MS-選択イオンモニタリングによる)を含有する約5gのオキシモルホン塩基を撹拌しながら約4.5gの水及び約11.7gの1−プロパノールを含有する反応器に充填する。混合物を約60±2℃に加熱し、約1.2gの水及び約3.3gの濃塩酸の混合物を添加して溶液を得る。不活性ガス下で溶液に約0.2gの5%Pd/Cを充填する。容器のヘッドスペースを真空装置を使用して空にして、不活性ガスで再び満たす。わずかな減圧下、反応器を用いて外部容器温度を約65±5℃に調整し、水素ガスを充填して約35-40psiの圧力測定値にする。撹拌した混合物を約65±5℃で約1時間維持する。容器のヘッドスペースを不活性ガスと入れ替え、熱反応混合物を事前に温めたセライトを通して濾過する。反応器を約5mLの1−プロパノールですすぎ、洗液を使用して、濾液と大部分が濾過された反応混合物を組み合わせるセライトパッドを洗浄する。溶液を減圧下で蒸留し、溶媒の容積を約5.0から約3.5に減少させる。蒸留手順中、生成物は結晶化を開始する。蒸留が完了した後、減圧を解除し、撹拌及び約65±5℃での加熱を継続して、スラリーを約22.1gの1−プロパノールで約9.0容量の総溶媒容積に希釈した。カール・フィッシャー滴定法による含水量に関する分析は、約1.96%の水が存在することを示す。スラリーを約65±5℃で約1時間撹拌し、次いで約50±5℃に冷却し、約1時間保持し、更に約0〜5℃に冷却して、約1時間維持した。1−プロパノール(2×5.6g、0〜5℃に事前冷却された)で洗浄し、減圧下約40℃で約18時間乾燥させる前に、固体せシセ氏物を濾過により単離し、オキシモルホン塩酸塩(4.15g、収率74.0%、HPLC分析による>99.9%の面積%純度;XRPD分析による結晶性I型−
図3)を得る。
【0115】
実施例4
オキシモルホン塩酸塩I型の調製物
約32.9gの水、約58ppmの14−ヒドロキシモルフィノン(UPLC−MS−選択イオンモニタリングによる)を含有する50.0gのオキシモルホン塩基及び約114.7gの1−プロパノールを撹拌しながら圧力容器に添加する。混合物を60±2℃に加熱し、スラリーとして撹拌する。このスラリーに約12.1gの水、約33gの濃塩酸、及び約20gの1−プロパノールの混合物を充填し、溶液を得る。不活性ガス下で溶液に約2.1gの5%Pd/Cを充填する。容器のヘッドスペースを真空装置を使用して空にして、不活性ガスで再び満たす。サイクルを二度繰り返し、続いて最終的に空にし、バッチ温度を約65±3℃に調整し、容器のヘッドスペースを水素ガスで満たし、約32psiの圧力測定値にする。撹拌した混合物を次いで約65±3℃及び約35±5psiの圧力測定値で約20.5時間維持する。圧力容器のヘッドスペースを不活性ガスと入れ替え、反応混合物を約4gのセライトを通して熱く濾過する。反応器を約40gの1−プロパノールで約65±3℃ですすぎ、洗液を濾過し、濾過されたバッチと混ぜる。炉液を約65±3℃に加熱し、減圧下で蒸留し、溶媒の容積を約5.0から約3.0〜3.5に減少させる。蒸留が完了したあと、減圧を除いて、バッチ温度を約65±3℃に調整する。溶液を約221.2gの1−プロパノールで蒸留して約9.0容量にする。得られるスラリーを約65±3℃で約2時間撹拌する。カール・フィッシャー滴定法による含水量に関する分析は、約8.9%の水が存在することを示した。バッチを次いで約50±5℃に冷却し、約1.5時間保持し、更に約0〜5℃に冷却して、約1時間維持した。1−プロパノール(2×56.25g、0〜5℃に事前冷却された)で洗浄し、減圧下約40℃で約18時間一定重量に乾燥させる前に、固体生成物を濾過により単離し、オキシモルホン塩酸塩(44.2g、収率78.8%、HPLC分析による>99.9%の面積%純度;UPLC−MS選択イオンモニタリングによる14−ヒドロキシモルフィノン1ppm;XRPD分析による結晶性I型−
図4)を得る。