特許第6726207号(P6726207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6726207ディーゼル排出物制御のための多機能フィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726207
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】ディーゼル排出物制御のための多機能フィルタ
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/035 20060101AFI20200713BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20200713BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20200713BHJP
   B01D 46/00 20060101ALI20200713BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20200713BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200713BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20200713BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20200713BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   F01N3/035 A
   F01N3/28 301E
   F01N3/28 301Q
   F01N3/24 E
   F01N3/24 C
   B01D46/00 302
   B01J29/76 AZAB
   B01J35/04 301E
   B01J35/04 301L
   B01J37/02 301C
   B01J37/08
   B01J37/02 101D
   B01D53/94 222
   B01D53/94 241
   B01D53/94 400
【請求項の数】22
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2017-551226(P2017-551226)
(86)(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公表番号】特表2018-512538(P2018-512538A)
(43)【公表日】2018年5月17日
(86)【国際出願番号】US2016025007
(87)【国際公開番号】WO2016160988
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月27日
(31)【優先権主張番号】62/140,167
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユエジン リー
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー エイ. ロス
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−515445(JP,A)
【文献】 特表2010−519020(JP,A)
【文献】 特表2013−525109(JP,A)
【文献】 特表2013−506787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−11/0035
B01D 46/00
B01D 53/94
B01J 29/76
B01J 35/04
B01J 37/02
B01J 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の多孔質壁、第一の被覆及び第二の被覆を有する触媒式パティキュレートフィルタであって、
複数の多孔質壁が、長手方向に伸びて、入口端部から出口端部に伸びる平行な複数の通路を形成し、ここで多数の通路は、入口端部で開いており、かつ出口端部で閉じられた入口通路であり、多数の通路は、入口端部で閉じられ、かつ出口端部で開いている出口通路であり、
第一の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで第一の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、白金族金属を含有する酸化触媒であり、
第二の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約100%の範囲にあり、ここで第二の被覆は、第一の選択触媒還元触媒を含有し、
第二の被覆が、パティキュレートフィルタの多孔質壁に、パティキュレートフィルタの多孔質壁の全長の約90〜100%にわたって侵入しており、第一の被覆は第二の被覆と、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%にわたり混ざっている、触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項2】
第一の選択触媒還元触媒が、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Ag、およびこれらの組み合わせから選択される金属によって促進されたゼオライト骨格材料である、請求項1記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項3】
第一の選択触媒還元触媒が、卑金属で促進されたモレキュラーシーブを有し、ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さが、第一の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第二の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さが、第二の触媒ゾーンを形成し、ここで酸化触媒は、第二の触媒ゾーンにおいて第一の選択触媒還元触媒と混ざっている、請求項1又は2記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項4】
第二触媒ゾーンにおける白金族金属担持量が、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある、請求項記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項5】
第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、
ここで第一の被覆が侵入しているが、第二の被覆が侵入していない多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約20%〜約50%の範囲にあり、
ここで第一の被覆と重複部を有する、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約60%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されている、
請求項1記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項6】
さらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、
ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆が侵入しており、かつ第一の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒およびAMOx触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する、請求項記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項7】
さらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、
ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆および第三の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒および第二のSCR触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する、請求項記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項8】
第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さが、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、
ここで第一の被覆が侵入しているが、第二の被覆が侵入していない多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約0%〜約5%の範囲にあり、
ここで第一の被覆と重複部を有する、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約75%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されており、かつ
さらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しているが、第二の被覆は侵入していない第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、第三の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されている、請求項1記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項9】
第一の被覆および第三の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さが、ほぼ同じである、請求項記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項10】
さらに、入口通路の閉じられた出口端部の出口側にプラグ被覆を有し、ここでプラグ被覆は、白金族金属を含有する、請求項記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項11】
多孔質壁の多孔性が、約40%〜約75%の範囲にあり、多孔質壁の平均細孔サイズは、約10μm〜約30μmの範囲にあり、
第一の選択触媒還元触媒は、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する、
請求項1記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項12】
さらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、
ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆および第一の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒およびAMOx触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する、
請求項1記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項13】
第三の被覆が、銅または鉄で促進されたCHA構造型のモレキュラーシーブを含む、請求項12記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項14】
第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さが、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、第一の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約50%の範囲にあり、第二の被覆が侵入していないパティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しており、かつ多孔質壁の表面上に被覆された第三の被覆は、壁長さの約1%〜約70%の範囲にあり、ここで多孔質壁の表面上にある第一の被覆の少なくとも一部は、第二の被覆と第三の被覆の一部との間に挟まれている、請求項12記載の触媒式パティキュレートフィルタ。
【請求項15】
被覆されたパティキュレートフィルタの製造方法であって、
複数の粒子を含む酸化触媒を、出口端部とは反対側にある入口端部にあるプラグで閉じられた複数の多孔質壁によって形成される平行な複数の通路の出口端部内に導入する工程、ここで酸化触媒の粒子は、多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、および
複数の粒子を含有する第一の選択触媒還元触媒を、入口側とは反対側にある出口側にあるプラグで閉じられた複数の多孔質壁によって形成された平行な複数の通路の入口端部内に導入する工程、ここで第一の選択触媒還元触媒の粒子は、多孔質壁にわたって侵入しており、ここで第一の選択触媒還元触媒の粒子が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約100%の範囲にある、
を含む、前記製造方法。
【請求項16】
多孔質壁の多孔性が、約40%〜約70%の範囲にあり、多孔質壁の平均細孔サイズは、約10μm〜約30μmの範囲にあり、
ここで酸化触媒はさらに、少なくとも1種の白金族金属を複数の粒子上に含有し、酸化触媒の複数の粒子は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナ、またはこれらの組み合わせの組成を有し、かつ
ここで第一の選択触媒還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、V、Mo、W、Mn、Ce、Agおよびこれらの組み合わせから選択される金属で促進されたモレキュラーシーブである、
請求項15記載の方法。
【請求項17】
第一の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が平行な複数の通路の出口端部内に導入される前に、平行な複数の通路の入口端部内へと導入され、第一の選択触媒還元触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、第一の選択触媒還元触媒は侵入していないが、酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約20%〜約50%の範囲にあり、第一の選択触媒還元触媒が侵入しており、かつ酸化触媒との重複部を有する多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約50%の範囲にあり、ここで酸化触媒は、第一の選択触媒還元触媒とともに多孔質壁にわたって点在することなく、多孔質壁の重複部分の表面上に実質的に残る、請求項15記載の方法。
【請求項18】
銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する複数の粒子を含有する第二の選択触媒還元触媒を、平行な複数の通路の出口端部内に導入する工程をさらに有し、ここで第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒が事前に侵入していないパティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しており、ここで第一の選択触媒還元触媒は、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
第一の選択触媒還元触媒の粒子が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、酸化触媒の粒子により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁上に、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲で被覆されており、ここで第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁の表面上に被覆されており、ここで第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒と重なっている、請求項15記載の方法。
【請求項20】
被覆が出口通路の端部におけるプラグのみを覆うように、フィルタ上に白金族金属を被覆する工程をさらに有する、請求項15記載の方法。
【請求項21】
さらに、白金族金属を、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナ、またはこれらの組み合わせの複数の粒子内に、インシピエントウェットネス技術により含浸し、続いて、含浸された粒子を約400℃〜約600℃の温度で熱処理する工程を含み、
ここで、酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さ上での白金族金属の担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある、
請求項16記載の方法。
【請求項22】
銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを、白金族金属を含浸させた複数の粒子と混合してスラリーを形成し、スラリーが侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約10%〜約50%の範囲にある、請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒物品、排出物処理システムおよび排気ガス処理法に関する。マルチゾーン触媒物品、マルチゾーン触媒物品の製造方法、ならびにディーゼルエンジン排気流における排出物をマルチゾーン触媒物品により制御するための方法が提供され、ここでは様々な実施形態の排出物処理システムが、ディーゼルエンジン排気を一つのマルチゾーン触媒物品によって効果的に処理する。
【0002】
背景技術
エンジン排気、特にディーゼルエンジン排気は、異成分から成る混合物であり、この混合物は、気体状の排出物、例えば一酸化炭素(「CO」)、燃焼しなかった炭化水素(「HC」)、および窒素酸化物(「NOx」)だけでなく、凝縮相物質(液体および固体)、一般的には微粒子または微粒子状物質(PM)と呼ばれるものも含有する。排気排出物の規制種は、CO、HC、NOxおよびPMを含む。
【0003】
ディーゼルエンジン排気システムには、これらの排気成分の一定量または全てを無害な成分に転化するために、触媒組成物、およびこの触媒組成物が配置される基材がしばしば設けられている。例えば、ディーゼル排気システムは、1種以上のディーゼル酸化触媒、スートフィルタ、およびNOxを還元するための触媒を有することができる。
【0004】
白金族金属、卑金属およびこれらの組み合わせを含有する酸化触媒が、ディーゼルエンジン排気の処理を容易にするために知られており、この触媒によって、気体状汚染物質であるHCとCOの双方、および微粒子状物質のいくらかの割合の転化が促進され、これらの汚染物質を酸化することにより二酸化炭素と水にする。このような触媒は一般的に、ディーゼル酸化触媒(DOC)と呼ばれるユニットに含まれており、この触媒はディーゼルエンジンの排気内に置かれて排気を処理し、それから大気中に放出する。気体状のHC、COおよび微粒子状物質の転化に加えて、白金族金属を含有する酸化触媒(これは通常、難燃性酸化物担体に配置されている)はまた、窒素酸化物(NO)の、NO2への酸化を促進する。
【0005】
ディーゼル排気の微粒子状物質全体(TPM)の排出物は、主に3つの成分から構成される。1つの成分は、乾燥した固体の炭素フラクション、または煤煙フラクションである。この乾燥した炭素物質は、ディーゼル排気と一般的に関連する、目に見える煤煙排出物をもたらす。微粒子状物質の第二の成分は、可溶性有機フラクション(「SOF」)である。可溶性有機フラクションは時々、揮発性有機フラクション(「VOF」)として言及され、ここでもこの用語が用いられるだろう。VOFは、ディーゼル排気の温度次第で、ディーゼル排気中で蒸気として、またはアエロゾル(液状凝縮物の微細な液滴)として存在し得る。これは一般的に、52℃という標準的な粒子収集温度で、希釈された排気中では、凝縮液体として存在する(標準測定試験、例えばU.S. Heavy Duty Transient Federal Test Procedureに記載されている)。これらの液体は、2つの供給源から生じる:(1)ピストンが上下する度にエンジンのシリンダ壁から拭き取られる潤滑油、および(2)燃焼していない、または一部燃焼したディーゼル燃料。微粒子状物質の第三の成分は、いわゆる硫酸塩フラクションである。硫酸塩フラクションは、ディーゼル燃料および潤滑油中に存在する少量の硫黄成分から形成される。燃焼の間、ディーゼル燃料および油の硫黄成分は、気体状のSO2およびSO3を形成する。排気が冷却されると、SO3は迅速に水と結合して、硫酸(H2SO4)を形成する。硫酸は炭素粒子ともに、凝縮相として集められるアエロゾルを形成するか、または他の微粒子成分上に吸着され、これによってTPMの質量に加わる。
【0006】
微粒子状物質を高度に削減するための用途において鍵となる後処理技術は、ディーゼルパティキュレートフィルタである(DPF)。微粒子状物質をディーゼル排気から除去するために効果的なフィルタ構造は数多く知られており、それは例えばハニカムウォールフローフィルタ、巻取り状または充填状繊維フィルタ、連続気孔発泡体、焼結金属フィルタなどである。しかしながら、以下に記載するセラミックウォールフローフィルタが、最も注目を集めている。このフィルタは、ディーゼル排気から固体状炭素の微粒子状物質を90%超、除去することができる。このフィルタは、排気から粒子を除去するための物理的な構造物であり、蓄積された粒子は、エンジンでフィルタからの背圧を増加させるだろう。このため、蓄積された粒子を連続的に、または周期的にフィルタから燃焼除去して、許容可能な背圧を維持しなければならない。残念ながら炭素煤煙粒子は、酸素リッチ(リーン)な排気条件で燃焼させるためには、500℃を超える温度を必要とする。この温度は、通常ディーゼル排気に存在する温度よりも高い。
【0007】
一般的には、フィルタを活性に再生するため、排気温度を上昇させることに労力が注がれている。触媒の存在は、フィルタ内におけるCO、HCおよびNO酸化に役立ち、煤煙燃焼率を向上させる。このようにして、触媒式スートフィルタ(CSF)、または触媒式ディーゼルパティキュレートフィルタ(CDPF)は、蓄積された煤煙の活性燃焼とともに、>90%の微粒子状物質削減をもたらすために効果的である。
【0008】
粒子を除去するための別のメカニズムは、排気流中でNO2を酸化剤として使用することである。こうして、300℃超の温度で酸化剤としてNO2を用いた酸化によって、微粒子を除去することができる。エンジンからの排気中に既にあるNO2はさらに、上流でDOC酸化触媒を用いることによりNO(これも排気中にある)を酸化することによって、補うことができる。この受動的な再生メカニズムは、フィルタ中の煤煙担持量をさらに減少させることができ、また活性再生サイクル数を減少させることができる。
【0009】
将来的に世界中で採用される排出物の基準は、ディーゼル排気からのNOx削減も表明するだろう。欧州では2006年以来、米国では2010年以来、ヘビーデューティ自動車の排出物システムで適用され、実証されたNOx削減技術は、選択触媒還元(SCR)である。この方法では、通常は卑金属から構成される触媒上でNOxをアンモニア(NH3)で還元して窒素(N2)にする。この技術は、NOxを90%超、削減することができ、このため意欲的なNOx削減目標を達成するための最良のアプローチの1つを提示している。自動車適用のためのSCRは、アンモニア供給源として尿素(通常は水溶液中に存在)を使用する。SCRは、排気温度が触媒の活性温度範囲にある限り、NOxの効率的な転化をもたらす。
【0010】
排気の個別の成分を配するための触媒をそれぞれ含有する別個の基材を、排気システム内に設けることができる一方で、システムのサイズ全体を削減するため、システムの組み立てを容易にするため、そしてシステムのコスト全体を削減するためには、より少ない基材を使用することが望ましい。この目標を達成するための1つのアプローチが、スートフィルタを、NOxを転化して無害な成分にするために効果的な触媒組成物で被覆することである(「SCR触媒式スートフィルタ」または「被覆スートフィルタ」が得られる)。このアプローチによってSCR触媒式スートフィルタは、2つの触媒機能を有すると想定される:排気流の微粒子状成分を除去すること、および排気流のNOx成分を転化して、N2にすること。
【0011】
NOx還元目標を達成可能な被覆スートフィルタには、スートフィルタ上にSCR触媒組成物を充分に担持させる必要がある。排気流の特定の有害成分にさらされることにより、組成物の触媒効果が時間とともに次第に失われていくため、SCR触媒組成物の触媒担持量をより多くする必要性が高まる。しかしながら、より高い触媒担持量で被覆されたスートフィルタの製造は、排気システム内において許容できないほど高い背圧につながることがある。従って、ウォールフローフィルタにおいてより高い触媒担持量を可能にし、それでもなお許容可能な背圧を達成する流れ特性を維持するためのフィルタを可能にする被覆技術が、望まれている。
【0012】
ウォールフローフィルタを被覆する際にさらに考えるべき側面は、適切なSCR触媒組成物を選択することである。第一に触媒組成物は、フィルタ再生に特徴的な高温に長くさらされた後であってもSCR触媒活性が維持されるように、耐久性がなければならない。例えば、微粒子状物質の煤煙フラクションの燃焼はしばしば、700℃超の温度につながる。このような温度によって、一般的に使用される多くのSCR触媒組成物、例えばバナジウムおよびチタンの混合酸化物の触媒効果は下がる。第二に、SCR触媒組成物は好ましくは、充分に幅広い稼動温度を有するため、こうした触媒組成物は、乗用車が稼動する可変温度範囲を調整することができる。300℃を下回る温度は通常、例えば低い担持量条件、またはエンジンスタートアップで起こる。SCR触媒組成物は好ましくは、NOx削減目標を達成するため、さらにはこれをより低い排気温度で達成するために、排気のNOx成分の還元を触媒することができる。
【0013】
ディーゼルエンジンからの一酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素および微粒子状物質を、効果的かつ安価なやり方で処理すると同時に、排気システムにおいて必要とされる空間が最小化された触媒物品、方法およびシステムに対する必要性が、当技術分野において存在する。
【0014】
発明の概要
様々な実施形態を、以下に列挙する。以下に列挙した実施形態は、以下に列挙したものとしてだけではなく、本発明の範囲に従ってその他の適切な組み合わせで、組み合わせ可能なことが理解されるだろう。
【0015】
本発明の実施形態は、ディーゼル排気排出物制御のための、5種用、さらには6種用の触媒に関する。名前が暗示しているように、このような5種用および6種用触媒では、排気中の主な排出物(CO、HC、NOx、煤煙、NH3およびH2S)のうち5種/6種は全て、1つの触媒物品によって除去される。
【0016】
直面する問題は、排気ガス流の汚染成分を全体的に削減するために、幾つかの競合反応についてどのようにバランスを取るかということである。
【0017】
ここに記載する1つ以上の実施形態は、長手方向に伸びて、入口端部から出口端部へと伸びる平行な複数の通路を形成する複数の多孔質壁を有する触媒式パティキュレートフィルタに関し、ここで多数の通路が、入口端部で開き、かつ出口端部で閉じられている入口通路であり、多数の通路が、入口端部で閉じられ、かつ出口端部で開いている出口通路であり、第一の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで第一の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、白金族金属を含有する酸化触媒であり、第二の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約100%の範囲にあり、ここで第二の被覆は、第一の選択触媒還元触媒を含有する。
【0018】
幾つかの実施形態において、第一の選択触媒還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Ag、およびこれらの組み合わせから選択される金属によって促進されたゼオライト骨格材料である。
【0019】
幾つかの実施形態において第二の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁に、パティキュレートフィルタの多孔質壁の実質的に全長(例えば全長の約90〜100%)にわたって侵入しており、第一の被覆は第二の被覆と、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%にわたり混ざっている。
【0020】
特定の実施形態において、第一の選択触媒還元触媒は、卑金属で促進されたモレキュラーシーブを有し、ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さが、第一の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第二の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さが、第二の触媒ゾーンを形成し、ここで酸化触媒は、第二の触媒ゾーンにおいて第一の選択触媒還元触媒と混ざっている。幾つかの実施形態において、第二触媒ゾーンにおける白金族金属担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある。
【0021】
幾つかの実施形態において、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、ここで第一の被覆が侵入しているが、第二の被覆が侵入していない多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約20%〜約50%の範囲にあり、ここで第一の被覆と重複部を有する、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約60%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されている。このような触媒式パティキュレートフィルタは、幾つかの実施形態ではさらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆が侵入しており、かつ第一の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒およびAMOx触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する。
【0022】
幾つかの実施形態において、ここに記載するフィルタはさらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆を有することができ、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆および第三の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒および第二のSCR触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する。
【0023】
特定の実施形態において、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、ここで第一の被覆が侵入しているが、第二の被覆が侵入していない多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約0%〜約5%の範囲にあり、ここで第一の被覆と重複部を有する、第二の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約75%の範囲にあり、ここで第一の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されており、かつさらに、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しているが、第二の被覆は侵入していない第三の被覆を有し、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、第三の被覆は、第二の被覆が侵入した多孔質壁の重複部分の表面上に被覆されている。第一の被覆および第三の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、このような特定の実施形態において、ほぼ同じであり得る。特定の実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタはさらに、入口通路の閉じられた出口端部の出口側にプラグ被覆を有し、ここでプラグ被覆は、白金族金属を含有する。
【0024】
幾つかの実施形態において、多孔質壁の多孔性は、約40%〜約75%の範囲にあり、多孔質壁の平均細孔サイズは、約10μm〜約30μmの範囲にあり、第一の選択触媒還元触媒は、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する。
【0025】
特定の実施形態においては、パティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって、出口端部から壁長さの約20%〜約80%の範囲で侵入する第三の被覆をさらに有する触媒式パティキュレートフィルタが提供され、ここで第三の被覆は、第二の選択還元触媒を有し、ここで第二の被覆のみが侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒の第一の触媒ゾーンを形成し、第二の被覆および第一の被覆が侵入した多孔質壁の長さは、第一のSCR触媒およびAMOx触媒の第二の触媒ゾーンを形成し、第一の被覆および第三の被覆の双方が侵入した多孔質壁の長さは、第二のSCR触媒およびAMOx触媒の第三の触媒ゾーンを形成する。このような実施形態における第三の被覆は例えば、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有することができる。特定の実施形態において、第二の被覆が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、第一の被覆により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約50%の範囲にあり、第二の被覆が侵入していないパティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しており、かつ多孔質壁の表面上に被覆された第三の被覆は、壁長さの約1%〜約70%の範囲にあり、ここで多孔質壁の表面上にある第一の被覆の少なくとも一部は、第二の被覆と第三の被覆の一部との間に挟まれている。
【0026】
別の態様において、被覆されたパティキュレートフィルタの製造方法が提供され、この方法は、
複数の粒子を含む酸化触媒を、出口端部とは反対側にある入口端部にあるプラグで閉じられた複数の多孔質壁によって形成される平行な複数の通路の出口端部内に導入する工程、ここで酸化触媒の粒子は、多孔質壁の少なくとも一部にわたって侵入しており、ここで酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、および
複数の粒子を含有する第一の選択触媒還元触媒を、入口側とは反対側にある出口側にあるプラグで閉じられた複数の多孔質壁によって形成された平行な複数の通路の入口端部内に導入する工程、ここで第一の選択触媒還元触媒の粒子は、多孔質壁にわたって侵入しており、ここで第一の選択触媒還元触媒の粒子が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約100%の範囲にある、
を含むものである。
【0027】
特定の実施形態において、多孔質壁の多孔性は、約40%〜約70%の範囲にあり、多孔質壁の平均細孔サイズは、約10μm〜約30μmの範囲にあり、ここで酸化触媒はさらに、少なくとも1種の白金族金属を複数の粒子上に含有し、酸化触媒の複数の粒子は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナ、またはこれらの組み合わせの組成を有し、ここで第一の選択触媒還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、V、Mo、W、Mn、Ce、Agおよびこれらの組み合わせから選択される金属で促進されたモレキュラーシーブである。
【0028】
幾つかの実施形態において、第一の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が平行な複数の通路の出口端部内に導入される前に、平行な複数の通路の入口端部内へと導入され、第一の選択触媒還元触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、第一の選択触媒還元触媒は侵入していないが、酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約20%〜約50%の範囲にあり、第一の選択触媒還元触媒が侵入しており、かつ酸化触媒との重複部を有する多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約50%の範囲にあり、ここで酸化触媒は、第一の選択触媒還元触媒とともに多孔質壁にわたって点在することなく、多孔質壁の重複部分の表面上に実質的に残る。
【0029】
この方法は、幾つかの実施形態ではさらに、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する複数の粒子を含有する第二の選択触媒還元触媒を、平行な複数の通路の出口端部内に導入する工程を有し、ここで第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒が事前に侵入していないパティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入しており、ここで第一の選択触媒還元触媒は、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する。
【0030】
特定の実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の粒子が侵入した多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、酸化触媒の粒子により表面上で被覆された多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲にあり、第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁上に、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%の範囲で被覆されており、ここで第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁の表面上に被覆されており、ここで第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒と重なっている。
【0031】
この方法は、幾つかの実施形態においてさらに、被覆が出口通路の端部におけるプラグのみを覆うように、フィルタ上に白金族金属を被覆する工程を有する。特定の実施形態において、この方法はさらに、白金族金属を、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナ、またはこれらの組み合わせの複数の粒子内に、インシピエントウェットネス技術により含浸し、続いて、含浸された粒子を約400℃〜約600℃の温度で熱処理する工程を含み、ここで、酸化触媒が侵入した多孔質壁の長さ上での白金族金属の担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある。このような幾つかの実施形態では、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを、白金族金属を含浸させた複数の粒子と混合してスラリーを形成し、スラリーが侵入した多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約10%〜約50%の範囲にある。
【0032】
1つ以上の実施形態は、排気ガスを、ここに開示された触媒式パティキュレートフィルタのいずれかの実施形態を通じて流すことを含む、リーン燃焼ディーゼルエンジンからの排気ガスを減少させる方法に関し、この方法では、CO、HC、NOx、煤煙、NH3およびH2Sのうち少なくとも5種が、触媒式パティキュレートフィルタによって、排気ガスから少なくとも部分的に除去される。
【0033】
本発明の実施形態のさらなる特徴、その性質および様々な利点は、以下の詳細な説明を考慮し、添付の図面との関連でより明らかになるが、これらは出願人が考える最良の形態の説明に過ぎず、ここで同様の参照番号は、全体にわたって同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、入口端部および出口端部を有するウォールフローフィルタ基材の実施形態の外観を示す。
図2図2は、ウォールフローフィルタ基材の入口端部から出口端部へと長手方向に伸びる複数の多孔質壁の例示的な実施形態の断面図を示す。
図3図3は、3つのゾーンが描かれたウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図4図4は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図5図5は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図6図6は、複数の被覆の別の配置によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図7図7は、4つのゾーンが描かれたウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図8図8は、少なくとも3つの被覆によって形成された4つのゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図9図9は、4つの被覆によって形成された4つのゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図10図10は、少なくとも3つの被覆によって形成された4つのゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図11図11は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図12図12は、出口プラグの外部表面上にプラグ被覆を有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図13図13は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
図14図14は、排出物処理システムおよび尿素注入器を有するエンジンシステムの例示的な実施形態を示す。
図15図15は、排出物処理システム、尿素注入器およびその他のエンジン構成要素を有するエンジンシステムの別の例示的な実施形態を示す。
【0035】
発明の詳細な説明
本発明の幾つかの例示的な実施形態を記載する前に、本発明が、以下の記載で規定する構成または方法工程の詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、別の実施形態で、また様々なやり方で実行または行うことができる。
【0036】
本明細書を通じて、「1つの実施形態」、「特定の実施形態」、「様々な実施形態」、「1つ以上の実施形態」または「ある実施形態」という言葉は、実施形態との関連で記載された特定の特徴、構造、材料または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ得るということを意味する。よって、本明細書を通じて様々な場所に現れる表現、例えば「1つ以上の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「様々な実施形態で」、「1つの実施形態で」または「ある実施形態で」は、本発明の同一の実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料または特性は、1つ以上の実施形態においてあらゆる適切なやり方で組み合わせることができる。
【0037】
ここで使用するように「侵入する(permeate)」という用語は、多孔質壁へのSCR触媒および/または酸化触媒の分散を記載するために使用する場合、特定の組成物が、壁厚内にある中空領域の少なくとも大部分に入り込み(penetrate)、かつ壁厚にわたって内部表面上に堆積されていることを意味する。このようにして材料は、フィルタの壁全体に分散されている。
【0038】
ここで使用するように「局所的な担持量(local loading)」という用語は、多孔質壁上に存在する触媒材料(例えば、PGM、SCR触媒、酸化触媒)の量を記載するために使用する場合、特定のゾーンまたは複数のゾーン内にある壁上に堆積された触媒材料の平均量を意味する。すなわち、示された担持量は、基材の長さ全体にわたって平均化されていない。
【0039】
ここで使用するように、ウォッシュコート担持量はg/in3で、モノリス基材の単位体積当たりについて、全てのウォッシュコート成分(すなわち、PGM、耐火性金属酸化物担体、ゼオライト、卑金属、OSCなど)の合計質量として規定される。PGM担持量は、g/ft3で、モノリス基材の単位体積当たりについて、触媒における全てのPGM金属(例えばPt+Pd+Rh)の合計質量として規定される。従って、PGMを使用するTWC、DOC、CSFおよびLNT触媒は、ウォッシュコート担持量およびPGM担持量の両方によって独自に記載することができ、その一方でPGM成分を有さないSCR触媒は、ウォッシュコート担持量のみによって記載することができる。SCRとPGMの両方を有するAMOx触媒は、両方の基準によって記載することができる。ここで使用するように、PGM触媒について「担持量(loading)」とは、ウォッシュコートが適用された後の(複数の)多孔質壁の内部表面および外部表面に付着したPGMの実際の質量であり、これに対してSCR触媒について「担持量」とは、ウォッシュコートが適用された後の(複数の)多孔質壁の内部表面および外部表面に付着した金属促進剤とモレキュラーシーブ材料とを組み合わせた実際の質量である。加えて、局所化されたPGMまたはウォッシュコート担持量は、特定の触媒ゾーンにおける触媒成分の質量/体積を具体的に記載するために使用することができる。
【0040】
1つ以上の実施形態において、SCR触媒および/または酸化触媒は、実質的に多孔質フィルタ壁の表面上に残り得る。ここで使用するように、「実質的に表面上に」という用語は、多孔質壁上にあるSCR触媒および/または酸化触媒の分散を記載するために使用する場合、特定の組成物の触媒粒子の少なくとも大部分が、壁厚内にある領域に入り込まず、かつ壁厚にわたって内部表面上に堆積していることを意味する。その代わり、触媒材料は、壁の外部表面上に堆積されており、触媒粒子の少数派は、約50%以下、壁厚内の中空領域内に侵入するか、または約33%以下、壁厚内の中空領域内に入り込むか、または約10%以下、壁厚内の中空領域内に入り込む。
【0041】
1つ以上の実施形態において、入り込み深さ(penetration depth)は、別個のウォッシュコート段階で適用されるフィルタ背圧および触媒成分との相互作用を最適化するために変えることができ、ここで入り込み深さは、多孔質壁厚の約5%〜約50%の範囲、または約10%〜約40%の範囲、または約5%〜約20%の範囲、または約20%〜約35%の範囲にあり得る。
【0042】
幾つかの競合反応についてバランスを取るという問題には、排気流において触媒材料および成分を賢明に選択および配置することによって取り組むことができ、ここで微粒子状物質(PM)は、多孔質壁パティキュレートフィルタの使用によって削減することができ、窒素酸化物(NOx)は、還元剤(例えば尿素、NH3)を用いた選択触媒還元(SCR)触媒によって削減することができ、アンモニアスリップは、アンモニア酸化触媒(AMOx)によって削減することができる。
【0043】
本発明の原理および実施形態は一般的に、マルチゾーン触媒式フィルタ物品、マルチゾーン触媒式フィルタ物品の製造方法、ならびにガソリンおよびディーゼルエンジン排気流における排出物をマルチゾーン触媒式フィルタ物品により制御するための方法に関し、ここでは様々な実施形態の排出物処理システムが、ディーゼルエンジン排気を一つのマルチゾーン触媒式フィルタ物品によって効果的に処理する。
【0044】
煤煙を除去するために、マルチゾーン触媒式フィルタ物品は、高いろ過性能を有する。フィルタ上にある触媒被覆について、考慮すべき2つの重要事項は、背圧の最小化と、フィルタ内に配置された触媒の周囲で排気が迂回することを防止することである。背圧の最小化は、燃料の節約、および場合によってはエンジン寿命にも直接つながる。
【0045】
NH3によりNOxを、そしてO2によりCOおよびHCを除去するための、別個のSCR触媒材料および酸化触媒材料を使用するマルチゾーン触媒式フィルタ物品について、排気はまず、SCR触媒を通過し、それから酸化触媒にわたって通過する。排気がSCR触媒を迂回し、まず酸化機能にさらされる場合、還元剤(例えばNH3)は酸化されてNOxになり、還元剤としてNH3が添加される前に、触媒に入った量よりも多いNOxが放出される点まで、NOx低減機能が損なわれる。
【0046】
NOx削減および微粒子状物質(PM)除去機能を、1つの触媒物品に統合することは、SCR触媒組成物で被覆されたウォールフロー基材を使用することによって達成される。
【0047】
出願人らは、SCR触媒組成物をウォールフロー基材に適用して、高いろ過効率が必要とされる適用において使用可能な基材を形成する方法を発見した。例えば、この方法によって形成される基材は、本発明の実施形態の排出物処理システムにおいて、排気から微粒子状物質を効果的に除去するために適している(例えば80%超、または90%超、または99%超)。ここに開示された被覆法によって、排出物処理システムに搭載する際に、ウォールフロー基材を、被覆された物品にわたり過剰な背圧を引き起こすことなく、SCR触媒の実用レベルで担持することが可能になる。
【0048】
1つ以上の実施形態においてSCR触媒は、フィルタの壁にわたって、全長に沿って配置されており、壁の断面全体に侵入している。これによってSCR触媒は、全てのフィルタ細孔に侵入することができ、最大フィルタ体積にわたって広がることができ、これによって背圧が最小化され、SCR触媒に対する迂回が起こらないことが保証される。
【0049】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、フィルタの壁にわたって、長さの少なくとも一部に沿って分散されており、壁の断面全体に侵入している。これによって酸化触媒は、フィルタ細孔に侵入することができ、最大フィルタ体積にわたって広がることができ、これによって背圧が最小化され、酸化触媒に対する迂回が起こらないことが保証される。
【0050】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、フィルタの壁にわたって、長さの少なくとも一部に沿って分散され、ここで酸化触媒は、壁の断面全体に侵入しており、酸化触媒は、フィルタの壁の表面上で、長さの少なくとも一部に沿って分散され、ここで酸化触媒は、壁の断面全体に侵入していない。これによって酸化触媒の大部分は、主にフィルタ表面上に存在し、触媒粒子の少数派は、フィルタ壁の長さの一部に沿って、約50%以下、壁厚内に入り込むか、または約33%以下、壁厚内に入り込むか、または約10%以下、壁厚内に入り込む。
【0051】
様々な実施形態において、多孔質壁の長さに沿って軸方向に観察した場合、異なるゾーンは、触媒被覆の組成における変化、触媒被覆の担持量における変化、またはこれらの両方によって区別される。
【0052】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、フィルタ基材の(複数の)出口流路の壁の上部に分散されている。幾つかの実施形態において酸化触媒は、壁の上部で、壁全体に分散されたSCR触媒の上方で層を形成する。酸化触媒により、幾つかのガス通路は、そのすぐ下にある壁にわたって通ることができるが、その条件は、酸化触媒と交わるガスより前に、NOxを除去するため、壁内に充分なSCR触媒があることである。
【0053】
本発明の1つ以上の実施形態は、長手方向に伸びる多孔質壁によって形成された長手方向に伸びる複数の通路を有する触媒式パティキュレートフィルタに関し、この多孔質壁は通路と、入口端部および出口端部との間に伸びる軸長さとを区分けし、かつ規定する。この通路は、入口端部で開いており、かつ出口端部で閉じられた入口通路と、入口端部で閉じられており、かつ出口端部で開いている出口通路とを有する。
【0054】
ここで使用するように、「入口端部」と「出口端部」という用語は、触媒物品を通じた排気ガスの経路について述べることが意図されており、かつ受け入れられ、ここで未処理の排気ガスは、出口端部で触媒物品内を通過し、処理された排気ガスは、触媒物品の出口端部から出る。様々な実施形態において触媒物品の出口端部は、入口端部とは反対側にある。
【0055】
様々な実施形態において、SCR触媒組成物は、多孔質壁内に、かつ/または入口端部から、ウォールフローフィルタの全軸長さ未満に伸びる入口通路の壁上に配置されていてよく、ここで選択触媒還元触媒はモレキュラーシーブおよび遷移金属を有し、白金族金属(PGM)を含有する酸化触媒は、フィルタの壁にわたっておよび/または出口端部から、ウォールフローフィルタの全軸長さ未満に伸びる出口通路の壁上に配置されている。1つ以上の実施形態において酸化触媒の一部は、フィルタ壁内に侵入することができ、SCR触媒と混じり合っていてよい。幾つかの実施形態において、入口流路または出口流路に適用された触媒は、入口流路または出口流路内で、入口プラグまたは出口プラグの上方に薄いウォッシュコート層を形成することができる。
【0056】
ここで使用するように「白金族金属(PGM)」とは、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウム、またはこれらの組み合わせ、およびこれらの酸化物を言う。
【0057】
本発明の原理および実施形態はまた、多孔質壁と、多孔質壁の長さに沿って2つの触媒被覆によって形成された少なくとも3つの触媒ゾーンとを有する基材を有する触媒式パティキュレートフィルタに関する。
【0058】
本発明の原理および実施形態は、多孔質壁と、多孔質壁の長さに沿って3つの触媒被覆によって形成された少なくとも2つの触媒ゾーンとを有する基材を有する触媒式パティキュレートフィルタに関する。
【0059】
本発明の原理および実施形態は一般的に、3つ以上の触媒ゾーンを有する一つの触媒物品による、ディーゼルエンジン排気の効果的な処理に関する。
【0060】
本発明の原理および実施形態はまた一般的に、3つ以上の触媒ゾーンを有する一つの触媒物品によるパティキュレートフィルタの使用を必要とする、ガソリンエンジン排気の効果的な処理に関する。
【0061】
本発明の原理および実施形態はまた一般的に、リーン燃焼エンジンからの排気ガスを減少させる方法に関し、ここで排気ガスは、ここに記載する触媒式パティキュレートフィルタの実施形態を通じて流れ、ここでCO、HC、NOx、煤煙、NH3およびH2Sのうち少なくとも5種、好ましくはCO、HC、NOx、煤煙、NH3およびH2Sの6種全てが、触媒式パティキュレートフィルタによって、排気ガスから部分的に除去される。
【0062】
パティキュレートフィルタ
本発明の原理および実施形態は、多孔質壁と、多孔質壁の長さに沿って少なくとも3つの触媒ゾーンとを有する基材を備える触媒式パティキュレートフィルタに関し、ここで少なくとも3つの触媒ゾーンはそれぞれ、第一の選択触媒還元触媒、白金族金属酸化触媒および第二の選択触媒還元触媒を有することができる。
【0063】
1つ以上の実施形態において、パティキュレートフィルタは、長手方向に伸びて、入口端部から出口端部へと伸びる平行な複数の通路を形成する長さを有する複数の多孔質壁を有し、ここで多数の通路は、入口端部で開いており、かつ出口端部で閉じられた入口通路であり、入口通路とは異なる多数の通路は、入口端部で閉じられ、かつ出口端部で開いている出口通路である。様々な実施形態において、これらの通路は、プラグで閉じられており、ここでプラグは、約1/4’’の長さを有することができる。
【0064】
1つ以上の実施形態において、パティキュレートフィルタは、ガスが入口通路へと入ることができる入口端部、およびガスが出口通路を出ることができる出口端部を有し、ここでガスは、平行な通路を形成する多孔質壁を通って移動することにより、入口通路から出口通路へと通過する。
【0065】
1つ以上の実施形態において多孔質壁は、約40%〜約75%の範囲、または約40%〜約60%の範囲、または約50%〜約70%の範囲、または約50%〜約65%の範囲、または約60%〜約70%の範囲、または約55%〜約65%の範囲の多孔性を有する。様々な実施形態において多孔質壁は、約60%〜約65%の範囲にある多孔性を有する。
【0066】
1つ以上の実施形態において多孔質壁の平均細孔サイズは、約10μm〜約30μm、または約10μm〜約25μm、または約20μm〜約25μmの範囲にある。様々な実施形態において多孔質壁の平均細孔サイズは、約15μm〜約25μmの範囲にある。
【0067】
1つ以上の実施形態において、少なくとも3つの触媒ゾーンは、壁長さの少なくとも一部にわたって多孔質壁の厚さに侵入する触媒材料により、壁長さに沿って形成される。様々な実施形態において少なくとも3つの触媒ゾーンは、入口端部から伸びる第一の触媒ゾーン(第一ゾーンまたは第一上流ゾーンとも呼ぶ)、第一ゾーンから下流にある第二触媒ゾーン(第二ゾーンとも呼ぶ)、および第二ゾーンから下流にある第三触媒ゾーン(第三ゾーンとも呼ぶ)を有する。様々な実施形態において、ゾーンはそれぞれ、触媒材料組成物における変化、触媒材料担持量、(複数の)壁上または壁内の触媒材料位置、またはこれらの組み合わせによって、すぐ上流および/またはすぐ下流にあるゾーンと区別される。
【0068】
1つ以上の実施形態では、第二のSCR被覆が入口端部から適用され、完全に、または場合によっては、完全な入口流路の一部に対して、壁に任意で侵入していてよい。この第二のSCR被覆は、第一のSCR被覆と同じであるか、または異なっていてもよい。
【0069】
様々な実施形態において、入口端部または出口端部「から伸びる」被覆とは、被覆が、壁の一方の端部で始まり、反対側の端部に向かって壁長さに沿って進むことを示す。またはここで、例えば表面上にある被覆の特徴は、実際の入口開口部からの距離で始まることができ、入口端部または出口端部「から伸びる」という被覆特徴は、被覆特徴が壁長さに沿って、反対側の端部に向かって進むことを示す。例えば、第一ゾーンと第三ゾーンとの間にある第二ゾーンは、入口端部または出口端部からの壁長さのパーセンテージにわたって伸びるが、入口端部または出口端部では始まらない、表面上にある被覆を含むことができ、被覆が伸びる方向を示すことができる。
【0070】
ここで使用するように「触媒材料担持量」とは、触媒物品の壁上にかつ/またはその中に配置された1種以上の触媒活性成分を含有する材料の質量を言い、ここで触媒活性成分は、白金族金属(例えばPt、Pd、Rh)、および/または遷移金属(例えばCu、Fe、Co、Ni、La、V、Mo、W、Mn、Ce、Ag)であり得る。触媒材料はさらに、担体材料(この上に(複数の)触媒活性成分を分散させ、かつ/またはその中に(複数の)触媒活性成分を含浸させる)を含有することができ、ここで担体材料は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナ、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0071】
1つ以上の実施形態において、第一上流ゾーンは第一の選択触媒還元触媒を、第一の担持量で有することができる。様々な実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.1g/in3〜約3g/in3、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0072】
1つ以上の実施形態において第二ゾーンは、選択触媒還元触媒を第一の担持量で、および白金族金属酸化触媒を第一の担持量で、または選択触媒還元触媒を第二の担持量で、含有することができる。
【0073】
1つ以上の実施形態において第三ゾーンは、白金族金属酸化触媒および選択触媒還元触媒を、第一の担持量および第二の担持量のいずれかで含有することができる。
【0074】
1つ以上の実施形態において第一触媒ゾーンは、基材の入口端部から伸びる第一上流ゾーンであり、第二ゾーンは、第一上流ゾーンに隣接し、かつ第一上流ゾーンから下流にあり、第三ゾーンは、第二ゾーンに隣接し、かつ第二ゾーンから下流にある。
【0075】
1つ以上の実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタはさらに、第三ゾーンに隣接し、かつ第三ゾーンから下流に伸びる第四ゾーンを有することができる。
【0076】
1つ以上の実施形態において第一上流ゾーンは、(複数の)通路の入口端部から壁長さの約1%〜約98%にわたって伸び、第二ゾーンは第一上流ゾーンから壁長さの約1%〜約98%にわたって伸び、第三ゾーンは、第二ゾーンからの壁長さの約1%〜約98%にわたって伸び、第四ゾーンは、第三ゾーンから、(複数の)通路の出口端部へと壁長さの残分にわたって伸びる。
【0077】
1つ以上の実施形態において第一上流ゾーンは、入口端部からの壁長さの約1%〜約50%にわたって伸びる
【0078】
1つ以上の実施形態において第二ゾーンは、第一上流ゾーンからの壁長さ約1%〜約50%にわたって伸びる。
【0079】
1つ以上の実施形態において第三ゾーンは、第二ゾーンからの壁長さ約1%〜約97%にわたって伸びる。
【0080】
1つ以上の実施形態において第四ゾーンは、第三ゾーンからの壁長さ約1%〜約50%にわたって伸びる。
【0081】
1つ以上の実施形態において、第一の被覆が侵入する多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約80%、または約1%〜約70%、または約10%〜約66%の範囲にあり、第二の被覆が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約100%、または約50%〜約80%、または約30%〜約70%の範囲にある。様々な実施形態において、第二の被覆が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、第一の被覆が侵入する多孔質壁の長さは、約1%〜約70%の範囲にある。
【0082】
1つ以上の実施形態において第二の被覆は、パティキュレートフィルタの多孔質壁に、パティキュレートフィルタの多孔質壁の長さの実質的に全体にわたって侵入しており、第一の被覆は第二の被覆と、通路の出口通路から伸びる壁長さの約1%〜約70%にわたって、混じり合っている。
【0083】
選択触媒還元触媒
1つ以上の実施形態において第二の被覆は、モレキュラーシーブおよび金属を含有する選択触媒還元触媒である。1つ以上の実施形態において選択触媒還元触媒は、モレキュラーシーブを有する。様々な実施形態においてモレキュラーシーブは、ゼオライト骨格を有することができ、ゼオライト骨格は、12以下の環サイズを有することができる。
【0084】
1つ以上の実施形態において、ゼオライト骨格材料は、二重6員環(d6r)単位を有する。
【0085】
1つ以上の実施形態においてゼオライト骨格材料は、AEI、AFT、AFX、CHA、EAB、EMT、ERI、FAU、GME、JSR、KFI、LEV、LTL、LTN、MOZ、MSO、MWW、OFF、SAS、SAT、SAV、SBS、SBT、SFW、SSF、SZR、TSC、WEN、およびこれらの組み合わせから選択されていてよい。様々な実施形態においてゼオライト骨格材料は、AEI、CHA、AFX、ERI、KFI、LEV、およびこれらの組み合わせから選択されていてよい。様々な実施形態においてゼオライト骨格材料は、AEI、CHA、およびAFXから選択されていてよい。様々な実施形態においてゼオライト骨格材料は、CHAである。1つ以上の実施形態において選択触媒還元触媒はさらに、金属(これは卑金属であり得る)を含有する(例えば、ここでSCR触媒は、金属によって促進されたモレキュラーシーブの形態である)。
【0086】
様々な実施形態において選択触媒還元触媒は、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agおよびこれらの組み合わせから選択される金属によって促進されている。様々な実施形態において選択触媒還元触媒は、Cu、Fe、Agおよびこれらの組み合わせから選択される金属によって促進されている。様々な実施形態において選択触媒還元触媒は、Cuおよび/またはFeによって促進されている。
【0087】
1つ以上の実施形態においてゼオライト骨格材料は、銅または鉄で促進されたCHAである。
【0088】
1つ以上の実施形態において、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを、アルミナおよび/またはシリカ/アルミナ粒子で含浸された複数の白金族金属と混合して、スラリーを形成することができる。
【0089】
1つ以上の実施形態において、選択触媒還元触媒は、第一の担持量または第二の担持量で存在していてよく、ここで第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲にあってよく、第二の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲にあってよく、ここで第二の担持量は、第一の担持量と同じであるか、または異なっていてよい。様々な実施形態において、重なるゾーンにおいてあり得る担持量は、約1.0g/in3〜約5.0g/in3の範囲にあり得る。
【0090】
1つ以上の実施形態において、第一上流ゾーンにある第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0091】
1つ以上の実施形態において、第二ゾーンにある第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0092】
1つ以上の実施形態において、第三ゾーンにある第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0093】
1つ以上の実施形態において、第四ゾーンにある第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0094】
選択触媒還元触媒の非限定的な例は、約10〜約100、特に約10〜約75、さらに約10〜約60の範囲にあるシリカ対アルミナのモル比の値を有する銅で促進されたCHAゼオライト骨格材料である。様々な実施形態において、少なくとも0.5g/in3のSCR組成物、または約3g/in3以下のSCR組成物、特に約1.0g/in3〜約2.0g/in3のSCR組成物を、フィルタの多孔質壁上に配置することができる。様々な実施形態において、第二触媒ゾーンにおける選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0095】
酸化触媒
本発明の原理および実施形態は、触媒式パティキュレートフィルタの少なくとも1つのゾーン上に配置されたPGMを含有する酸化触媒に関する。1つ以上の実施形態において第一の被覆は、白金、パラジウムまたはこれらの組み合わせを含有する酸化触媒である。様々な実施形態において酸化触媒は、アンモニア酸化触媒である。
【0096】
1つ以上の実施形態においてPGMは、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウムおよびイリジウム、またはこれらの組み合わせから選択されていてよい。様々な実施形態においてPGMは、白金、パラジウム、またはこれらの組み合わせから選択されていてよい。
【0097】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、複数の粒子上にある少なくとも1種の白金族金属を含有し、酸化触媒の複数の粒子は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、シリカ/アルミナの組成物、またはこれらの組み合わせを有することができる。1つ以上の実施形態において白金族金属は、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ、および/またはシリカ/アルミナ粒子内に、インシピエントウェットネス(incipient wetness)技術によって含浸されていてよく、続いて400℃〜600℃で熱処理される。様々な実施形態において、スラリーが侵入する多孔質壁の長さ上への白金族金属の担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある。
【0098】
様々な実施形態において、スラリーが侵入する多孔質壁の長さ上への白金族金属の担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲、または約1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある。
【0099】
1つ以上の実施形態において、第二触媒ゾーンにおける白金族金属担持量は、約0.1g/ft3〜約50g/ft3の範囲、または約1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にあり得る。
【0100】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、D90<3ミクロン、またはD90<5ミクロン、またはD90<10ミクロン、またはD90≒5〜7ミクロンを有するPGMスラリーである。様々な実施形態において、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブは、酸化触媒スラリーと混合されていてよい。
【0101】
製造方法
本発明の原理および実施形態は、少なくとも3つの触媒ゾーンを有する触媒式パティキュレートフィルタ物品の製造方法にも関し、ここで少なくとも3つの触媒ゾーンは、少なくとも3つの触媒被覆を用いて形成される。
【0102】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、出口端部とは反対側の入口端部にあるプラグによって閉じられた複数の多孔質壁によって形成された複数の平行な通路の出口端部内へと導入することができ、ここで酸化触媒の粒子は、多孔質壁にわたって侵入しており、ここで酸化触媒が侵入する多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1〜約80%の範囲、または約10%〜約70%の範囲、または約60%〜約70%の範囲にある。
【0103】
1つ以上の実施形態において、複数の粒子を含有する選択触媒還元触媒は、入口側とは反対にある出口側のプラグによって閉じられた複数の多孔質壁によって形成される複数の平行な通路の入口端部内へと導入することができ、ここで選択触媒還元触媒の粒子は、多孔質壁にわたって侵入しており、ここで選択触媒還元触媒の粒子が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約20%〜約100%、または約50%〜約100%、または約50%〜約80%、または約60%〜約70%の範囲にある。
【0104】
様々な実施形態において酸化触媒は、複数の粒子を、例えばPGMで被覆かつ/または含浸された無機担体材料のスラリーとして、含有することができ、ここで酸化触媒は、アンモニア酸化触媒であり得る。
【0105】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、選択触媒還元触媒が複数の平行な通路の入口端部内へと導入される前に、複数の平行な通路の出口端部内へと導入される。様々な実施形態において第一の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が複数の平行な通路の出口端部内へと導入される前に、複数の平行な通路の入口端部内へと導入される。
【0106】
1つ以上の実施形態において酸化触媒の粒子は、選択触媒還元触媒の粒子とともに、複数の多孔質壁内に点在しており、ここで選択触媒還元触媒および酸化触媒の粒子は、表面上、および/または多孔質壁のデッドスペース内に点在している。様々な実施形態において多孔質壁の多孔性は、約60%〜約65%の範囲にある。
【0107】
1つ以上の実施形態において、選択触媒還元触媒が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にあり、選択触媒還元触媒が侵入していないが、酸化触媒が侵入する多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約25%〜約55%であり、選択触媒還元触媒および重なる酸化触媒が侵入する多孔質壁の長さは、壁長さの約5%〜約35%の範囲にある。様々な実施形態において、多孔質壁の入口端部にある選択触媒還元触媒は、第一ゾーンを形成し、多孔質壁の出口端部にある酸化触媒は、第三ゾーンを形成し、触媒還元触媒および酸化触媒の重複部は、第二ゾーンを形成し、ここで第二ゾーンは第一ゾーンおよび第三ゾーンの間にあり、第一ゾーンおよび第三ゾーンに隣接する。
【0108】
1つ以上の実施形態において、酸化触媒が侵入する多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約25%〜約55%の範囲にある。選択触媒還元触媒が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約50%〜約80%の範囲にある。
【0109】
1つ以上の実施形態において第一の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が複数の平行な通路の出口端部内へと導入される前に、複数の平行な通路の入口端部内へと導入される。
【0110】
様々な実施形態において酸化触媒は、多孔質壁内に位置する選択触媒還元触媒とともに点在することなく、多孔質壁の重複部分の表面上に実質的に留まる。
【0111】
1つ以上の実施形態において第二の選択触媒還元触媒は、複数の平行な通路の出口端部内へと導入することができ、ここで第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒が事前に侵入していないパティキュレートフィルタの多孔質壁の一部にわたって侵入することができ、かつ/または事前に酸化触媒により表面上で被覆された、多孔質壁の表面上に実質的に堆積することができる。
【0112】
1つ以上の実施形態において第一の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が複数の平行な通路の入口端部内へと導入される前に、複数の平行な通路の入口端部内へと導入され、第二の選択触媒還元触媒は、酸化触媒が複数の平行な通路の出口端部内へと導入された後に、平行な通路の出口端部内へと導入される。様々な実施形態において酸化触媒は、第一の選択触媒還元触媒が複数の平行な通路の出口端部内へと導入された後に、複数の平行な通路の入口端部内へと導入される。
【0113】
1つ以上の実施形態において酸化触媒は、第一の選択触媒還元触媒が複数の平行な通路の入口端部内へと導入される前に、複数の平行な通路の出口端部内へと導入され、ここで第一の選択触媒還元触媒は、多孔質壁の全長に満たない距離で導入され、第二の選択触媒還元触媒は、第一の選択触媒還元触媒が、複数の通路の入口端部内へと導入された後に、平行な通路の出口端部内へと導入され、ここで第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁の長さの少なくとも一部について、第一の選択触媒還元触媒と重なる。様々な実施形態において、酸化触媒は、多孔質壁の長さの少なくとも一部について、第一の選択触媒還元触媒と重なる。様々な実施形態において、酸化触媒の粒子は、第一の選択触媒還元触媒の粒子とともに、多孔質壁内に点在している。
【0114】
1つ以上の実施形態において、選択触媒還元触媒の粒子が侵入する多孔質壁の長さは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約95%〜約100%の範囲にあり、表面上で酸化触媒粒子により被覆された多孔質壁の長さは、通路の出口端部から伸びる壁長さの約1%〜約70%の範囲にある。様々な実施形態において、第二の選択触媒還元触媒は、多孔質壁の表面上で、壁長さの約10%〜約70%の範囲で被覆されていてよく、ここで第二の選択触媒還元触媒により被覆された壁長さは、通路の出口端部から伸びる。
【0115】
1つ以上の実施形態において、選択触媒還元触媒は、銅または鉄で促進されたCHA構造型モレキュラーシーブを有する多数の粒子を含有する。
【0116】
1つ以上の実施形態において白金族金属は、平行な通路の出口側にあるプラグの外部表面上で被覆されていてよい。様々な実施形態において白金族金属は、多孔質壁の表面上で、出口通路の出口端部から伸びる壁長さの約5%の範囲、または5%以下、または3%以下、または2%以下、または1%以下、またはプラグ長さの二倍以下の範囲で、被覆されていてよい。
【0117】
ウォールフロー基材をSCR触媒組成物および/または酸化触媒で被覆するための方法の非限定的な例において、基材は固体粒子の触媒スラリーの一部において液体中に垂直に、基材の上部がスラリー表面のちょうど上方に位置しているように、浸漬されていてよい。この試料をスラリー中に約30秒間、放置する。基材をスラリーから取り出し、余剰なスラリーを、流路から排水し、それから(スラリー浸透方向に反して)圧縮空気を吹き付けることによって、ウォールフロー基材から除去する。フィルタの細孔サイズに応じて、SCR触媒スラリーの平均細孔サイズ、および加工工程前に、SCR触媒スラリーは、過度な背圧が最終的な基材内で発生するほど細孔が妨げられないように、フィルタの多孔質上に堆積、かつ/またはその中に侵入することができる。様々な実施形態において酸化触媒スラリーは、フィルタの多孔質壁上に堆積、かつ/またはその中に侵入させることができる。様々な実施形態において第二のSCR触媒は、入口流路または出口流路に適用して、フィルタの多孔質壁上に堆積、かつ/またはその中に侵入させることができる。様々な実施形態において第二酸化触媒は、入口流路および/または出口流路に適用して、フィルタの多孔質壁の表面上に堆積させることができる。
【0118】
マルチゾーン触媒排気システムおよび排出物の低減方法
本発明の原理および実施形態はまた、ここに記載するような、少なくとも1つの触媒式パティキュレートフィルタを有する触媒排気システムに関する。様々な実施形態において触媒排気システムは、触媒式パティキュレートフィルタと、複数のガス状汚染物質および微粒子状物質のいくらかの割合を低減させるための1つ以上のさらなる構成要素とを有することができる。
【0119】
1つ以上の実施形態において、尿素注入器(還元剤供給システムとも言われる)が、触媒式パティキュレートフィルタの上流に、NOx還元剤を排気流へと注入して、触媒式パティキュレートフィルタに組み込まれたSCR触媒の稼動を容易にするために、設けられていてよい。米国特許第4,963,332号明細書(U.S. Pat. No. 4,963,332)に開示されているように(全ての目的のためにその全体が、参照により本明細書に組み込まれるものとする)、触媒変換体の上流および下流にあるNOxを検知することができ、パルス式供給バルブは、上流および/または下流のシグナルによって制御することができる。
【0120】
別の構成、すなわち米国特許第5,522,218号明細書(U.S. Pat. No. 5,522,218)に開示されたシステム(全ての目的のためにその全体が、参照により本明細書に組み込まれるものとする)では、還元剤注入器のパルス幅は、センサバルブおよび/または排気ガス温度のマップおよびエンジン稼働条件、例えばエンジン回転数(rpm)、トランスミッションギアおよびエンジン速度から制御することができる。還元剤パルス秤量システムは、米国特許第6,415,602号明細書(U.S. Pat. No. 6,415,602)に開示されており、その議論はここで参照により、全ての目的のためにその全体が組み込まれる。
【0121】
様々な実施形態において排気システムは、エキゾーストマニホールド、排気管(または下降管、またはY字管)、マフラーおよびテールパイプを有することができる。触媒排気システムは、大気へのテールパイプを出るガスの前で、内燃エンジンからの排気ガスを処理するために、Y字管および/または排気管で排気システムに挿入されていてよい。
【0122】
1つ以上の実施形態において触媒排気システムは、長さ、幅、高さ、および貴金属担持量を有するモノリス状触媒基材を有する。様々な実施形態においてモノリス状触媒基材は、以下のような形状を有することができる:断面積を規定する直径と長さとを有する円筒形;断面積を規定する長軸および単軸、ならびに長さを有する楕円形の形状;または断面積を規定する主軸および横方向の直径、ならびに長さを有する長円形;ここでモノリス状触媒基材は、意図した触媒活性レベルをもたらすための、貴金属担持量を有する。
【0123】
1つ以上の実施形態において貴金属担持量は、1種以上の白金族金属、1種以上の卑金属、1種以上の貴金属酸化物および/または卑金属酸化物、またはこれらの組み合わせを含有することができる。
【0124】
様々な実施形態において触媒排気システムは、二元触媒、三元触媒(TWC)(化学量論的な燃焼ガソリンエンジンで主に使用される)、ディーゼル酸化触媒(DOC)(リーン燃焼ディーゼルエンジンで主に使用される)、選択触媒還元(SCR)触媒、リーン窒素酸化物触媒(LNC)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、アンモニア酸化触媒(AMOx)、NOx吸収剤(NOx貯蔵/放出触媒(NSR)とも言われる)、およびリーンNOxトラップ(LNT)、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、ガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)、部分酸化触媒(POC)、および触媒式スートフィルタ(CSF)、またこれらの組み合わせを有することができる。様々な実施形態において、触媒排気システムは、ディーゼル酸化触媒(DOC)、リーンNOxトラップ(LNT)、パッシブNOx吸収剤(PNA)、アンモニア注入と関連した選択触媒還元(SCR)、およびアンモニア酸化触媒(AMOx)を含むことができるが、これらに限られない。
【0125】
様々な実施形態においてモノリス状触媒基材は、1種以上の触媒材料を含有する少なくとも1つのウォッシュコート層で被覆されていてよく、この触媒材料は、白金族金属、卑金属、および金属酸化物、ならびにケース内に格納された基材から選択されていてよい。
【0126】
1つ以上の実施形態において触媒変換体は、入口および出口を有するケース内にハウジングされたモノリス状触媒基材を有することができ、ここでこのシェルは、動作的に関連していてよく、かつ内燃エンジンの排気システムと流体連通していてよいハウジング内に格納されていてよい。
【0127】
図1および2は、複数の通路12を有する典型的なウォールフローフィルタ基材10(ウォールフローフィルタとも言う)を示す。これらの通路は、フィルタ基材の内壁13によって形成され、管状に取り囲まれている。図1は、入口端部14および出口端部16を有するウォールフローフィルタ基材の実施形態の外観を示す。代替的な流路は、入口プラグ18(黒で示す)によって入口端部でふさがれ、出口プラグ20によって出口端部でふさがれ、基材の入口端部14および出口端部16で対向するチェッカーボード状のパターンを形成する。出口プラグ20は、通路内に面した内部表面21、および外方向に面する外部表面23を有する。
【0128】
図2は、ウォールフローフィルタ基材の入口端部から出口端部へと長手方向に伸びる複数の多孔質壁の実施形態の断面図を示す。入口端部14から出口端部16へと長手方向に伸び、かつ複数の平行な通路12を形成する複数の多孔質壁13の実施形態の部分断面図が示されている。ガス流22(矢印として示す)は、開いており、ふさがれていない入口通路24の端部を通じて入り、出口プラグ20によって閉鎖された端部で止まり、出口通路26への通路を形成する多孔質壁13を通じて拡散される。ガス流22は、開いており、ふさがれていない出口通路26の端部を通じて流れることによってフィルタを出て、入口プラグ18によって閉じられた端部で止まる。ガスは、入口プラグ18によって出口通路からフィルタの入口端部へと後方に流れることが防止され、出口プラグ20によって出口端部から入口通路に再度入ることが防止される。このようにして多数の通路は、入口端部で開いており、かつ出口端部で閉じている入口通路であり、多数の通路は、入口端部で閉じ、かつ出口端部で開いている出口通路であり、ここで出口通路は、入口通路とは異なる通路である。
【0129】
図3は、複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。ここに示された触媒物品は、通路24および26を区分けし、かつ規定する長手方向に伸びる多孔質壁13によって形成された、長手方向に伸びる複数の通路12を有する、ウォールフローフィルタ10を有し、ここでこの壁は、長さ「LF」を有するウォールフローフィルタの入口端部14および出口端部16の間に伸びる軸長「Lw」を有する。様々な実施形態において、フィルタ長さ「LF」≧軸壁長さ「Lw」である。様々な実施形態において多孔質壁は、実質的に均一な多孔性を全体的に有する。通路24および26は、入口端部14で開いており、かつ出口端部16で閉じられた入口通路24と、入口端部14で閉じられており、かつ出口端部16で開いている出口通路26とを有する。
【0130】
1つ以上の実施形態において触媒基材は、少なくとも3つの触媒ゾーンを有するように構成されていてよく、ここで触媒ゾーンは、2つ以上の触媒成分の空間的な配置によって、相互に区別される。様々な実施形態において、触媒成分は、SCR触媒およびAMOx触媒であり得る。
【0131】
1つ以上の実施形態において、少なくとも3つの触媒ゾーン30、32、34は、少なくとも3つの触媒被覆によって、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って形成され、ここで(複数の)被覆は、多孔質壁13の厚さに侵入することができる。様々な実施形態において少なくとも3つの触媒被覆は、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って、異なる空間配置で配されている。
【0132】
様々な実施形態において、異なるゾーンは、多孔質壁の長さに沿って、触媒被覆の成分、触媒被覆の担持量における変化、1つ以上の触媒被覆の組み合わせにおける変化、またはこれらの組み合わせによって相互に区別することができる。
【0133】
様々な実施形態において、第一の被覆は、第一のSCR触媒被覆であり、第二の被覆は、第二のSCR触媒被覆であり、第三の被覆は、白金族金属被覆である。
【0134】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁の全長に満たない距離で軸方向に伸び、第二ゾーン32は、第一ゾーン30から、多孔質壁13の出口端部16への距離に満たない距離で軸方向に伸びる。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、第一のSCR触媒被覆を有するか、または第一のSCR触媒被覆から実質的に成り、第二ゾーン32は、白金族金属被覆および第一のSCR触媒被覆を有するか、または白金族金属被覆および第一のSCR触媒被覆から実質的に成る。
【0135】
1つ以上の実施形態において第三ゾーン34は、第二ゾーン32から、(複数の)多孔質壁13の出口端部16へと軸方向に伸びる。様々な実施形態において第三ゾーン34は、白金族金属被覆および第二のSCR触媒被覆を有するか、または白金族金属被覆および第二のSCR触媒被覆から実質的に成る。
【0136】
1つ以上の実施形態において第一ゾーン30は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を減少させるためにSCR触媒を有することができ、第二ゾーン32は、SCR触媒とともに使用されるアンモニア(NH3)が、排気流中で触媒基材から出ることを防止するために、アンモニア酸化(AMOx)触媒を含有することができ、かつ/または排気ガス中にある一酸化炭素(「CO」)および燃焼していない炭化水素(「HC」)成分の量を減少させるために、ディーゼル酸化触媒(「DOC」)を含有することができ、第三ゾーンは、排気ガス中に残存する、または酸化触媒によってNH3の酸化により生じるNOxを減少させるまたは排除するために、AMOxおよび/またはDOC触媒および第二のSCR触媒を含有することができ、触媒基材の多孔質壁は、排気ガス中の微粒子状物質(PM)を減少させるか、または排除する。
【0137】
本願において、特定の被覆から実質的に成るゾーンについての言及は、特定された被覆のみが、特定のゾーンに意図的に堆積されたことを意味し、その一方でその他の成分は、ゾーンに偶然堆積または移動してよく、ゾーンにおける材料の大部分は、特別に堆積させた材料である。
【0138】
図4は、複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。図4が、ゾーンにおける多孔質壁の厚さの一部を占める被覆を描写することができる一方で、これは代表例に過ぎず、様々な実施形態において、被覆は多孔質壁の厚さにわたって侵入していてよいか、または(複数の)被覆の粘度および/または粒子および細孔サイズに応じて、多孔質壁内への距離で入り込む。
【0139】
1つ以上の実施形態において、少なくとも3つの触媒ゾーンは、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って形成されており、多孔質壁13の厚さに侵入する。1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から軸方向に伸びていてよく、ここで第一ゾーンは、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁13の全長に満たない距離で、伸びていてよい。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、第一の選択触媒還元(SCR)触媒40を第一の担持量で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、(複数の)多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%に侵入していてよい。様々な実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量41は、約0.5g/in3〜約3g/in3、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0140】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30の下流にある第二ゾーン32は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部で軸方向に伸びていてよく、ここで第二ゾーンは第一ゾーンから、多孔質壁13の長さに満たない距離で、多孔質壁13の出口端部16へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第二ゾーン32は、第一の選択触媒還元触媒40を第一の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、または第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、有することができる。様々な実施形態において、第二の選択触媒還元触媒の第二の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。様々な実施形態において、選択触媒還元触媒の第二の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。様々な実施形態において、第二のSCR担持量は、第一のSCR担持量42と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。様々な実施形態において、白金族金属酸化触媒の第一の担持量46は、約0.5g/ft3〜約50g/ft3の範囲にあり得る。
【0141】
様々な実施形態において、白金族金属酸化触媒45は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に、かつ/または出口端部16から、ウォールフローフィルタ壁の軸長「Lw」未満で伸びる出口通路26の壁13の少なくとも1つの長さに、配置されていてよい。
【0142】
1つ以上の実施形態において、第一の選択触媒還元触媒40は、第二の選択触媒還元触媒43と同じ、または異なる組成を有することができる。様々な実施形態において、第二のSCR触媒担持量は、第一のSCR担持量と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。
【0143】
1つ以上の実施形態において、第一のSCR触媒被覆および第二の触媒被覆はそれぞれ、AEI、CHAおよびAFXから選択されるゼオライト骨格材料を有するモレキュラーシーブを有することができ、ここで第一のSCR触媒および第二の触媒は独立して、Cu、Fe、Co、Ni、La、Ce、Mn、V、Agまたはこれらの組み合わせから選択される金属によって促進されていてよい。
【0144】
1つ以上の実施形態において、第一の選択触媒還元触媒40は、第二の選択触媒還元触媒43と同じ、または異なる組成を有することができる。様々な実施形態において、第二のSCR触媒担持量は、第一のSCR担持量と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。様々な実施形態において、白金族金属酸化触媒の第一の担持量46は、約0.5g/ft3〜約50g/ft3の範囲にあり得る。
【0145】
1つ以上の実施形態において第二ゾーンは、アンモニア酸化触媒(AMOx)を有することができる。
【0146】
1つ以上の実施形態において、第二ゾーン32の下流にある第三ゾーン34は、多孔質壁13の長さにわたり、第二ゾーン32から多孔質壁13の出口端部へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第三ゾーン34は、第一の選択触媒還元触媒40を、第一の担持量のいずれかで、および/または第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%にわたって侵入していてよい。様々な実施形態において、選択触媒還元触媒の第二の担持量42は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0147】
様々な実施形態において、酸化触媒45は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に、かつ/または出口端部16から、ウォールフローフィルタ壁の軸長「Lw」未満で伸びる出口通路26の壁13の表面の少なくとも1つの長さに、配置されていてよい。
【0148】
しかしながら、1つ以上の実施形態によれば、酸化触媒45が、壁に侵入することに反して、壁13上にあり得ることが評価されるだろう。酸化触媒45の一部は、(複数の)壁13内へと、(複数の)壁13の厚さ未満の深さに侵入していてよいが、酸化触媒45の大部分は、壁の上または壁の上方にあり、壁内に埋め込まれていない。
【0149】
図5は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
【0150】
1つ以上の実施形態において、少なくとも3つの触媒ゾーンは、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って形成されており、多孔質壁13の厚さに侵入する。1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から軸方向に伸びていてよく、ここで第一ゾーンは、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁13の全長に満たない距離で、伸びていてよい。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、第一の選択触媒還元(SCR)触媒40を第一の担持量で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、(複数の)多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%にわたって侵入していてよい。様々な実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0151】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30の下流にある第二ゾーン32は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部で軸方向に伸びていてよく、ここで第二ゾーンは第一ゾーンから、多孔質壁13の長さに満たない距離で、多孔質壁13の出口端部16へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第二ゾーン32は、第一の選択触媒還元触媒40を第一の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。様々な実施形態において、第二ゾーン32は、第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。様々な実施形態において、第二の選択触媒還元触媒の第二の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。様々な実施形態において、選択触媒還元触媒の第二の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。様々な実施形態において、第二のSCR担持量は、第一のSCR担持量42と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。様々な実施形態において、白金族金属酸化触媒の第一の担持量46は、約0.5g/ft3〜約50g/ft3の範囲、または約1.0g/ft3〜約10g/ft3の範囲、または約2.5g/ft3〜約5g/ft3の範囲にあり得る。
【0152】
1つ以上の実施形態において、第二ゾーン32の下流にある第三ゾーン34は、多孔質壁13の長さにわたり、第二ゾーン32から多孔質壁13の出口端部へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第三ゾーン34は、第一の選択触媒還元触媒40を、第一の担持量のいずれかで、および第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%に侵入していてよい。様々な実施形態において、選択触媒還元触媒の第二の担持量42は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0153】
図6は、複数の被覆の別の配列によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
【0154】
1つ以上の実施形態において、少なくとも3つの触媒ゾーンは、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って形成されており、多孔質壁13の厚さに侵入する。1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から軸方向に伸びていてよく、ここで第一ゾーンは、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁13の全長に満たない距離で、伸びていてよい。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、第一の選択触媒還元(SCR)触媒40を第一の担持量で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、(複数の)多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%に侵入していてよい。様々な実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約1.0g/in3〜約2.0g/in3の範囲にあり得る。
【0155】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30の下流にある第二ゾーン32は、多孔質壁13の長さにわたって、第一ゾーンから、多孔質壁13の長さ未満で、多孔質壁13の出口端部16へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第二ゾーン32は、第一の選択触媒還元触媒40を、第一の担持量のいずれかで、および第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%に侵入していてよい。様々な実施形態において、第二の選択触媒還元触媒43の第一の担持量は、約0.3g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.4g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲にあり得る。
【0156】
1つ以上の実施形態において、第二ゾーン32の下流にある第三ゾーン34は、多孔質壁13の長さにわたり、第二ゾーン32から多孔質壁13の出口端部へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第三ゾーン34は、第二の選択触媒還元触媒43を第二の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約98%に侵入していてよい。様々な実施形態において、第二の選択触媒還元触媒43の第一の担持量は、約0.3g/in3〜約3g/in3の範囲、または約0.4g/in3〜約2.5g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約2g/in3の範囲、または約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲にあり得る。
【0157】
1つ以上の実施形態において、第一の選択触媒還元触媒40、および第二の選択触媒還元触媒43の組成物は、同じであるかまたは異なっていてよく、例えば第一の選択触媒還元触媒40組成物は、約2.5g/in3の第一の担持量でCu−CHAであってよく、第二の選択触媒還元触媒43組成物は、約2.0g/in3の第一の担持量でFe−ZSM−5であってよい。別の例において、第一の選択触媒還元触媒40組成物は、約3.0g/in3の第一の担持量でCu−CHAであってよく、第二の選択触媒還元触媒43組成物は、約2.0g/in3の第一の担持量でCu−CHAであってよい。
【0158】
図7は、4つのゾーンが描かれたウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。1つ以上の実施形態において、少なくとも4つの触媒ゾーンが、少なくとも3つの触媒被覆によって、多孔質壁13の長さ「LW」に沿って形成されている。
【0159】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁13の全長に満たない距離で軸方向に伸び、第二ゾーン32は、第一ゾーン30から、(複数の)多孔質壁13の出口端部16への距離に満たない距離で軸方向に伸び、第三ゾーン34は、第二ゾーン32から、(複数の)多孔質壁13の出口端部16への距離に満たない距離で軸方向に伸び、第四ゾーン36は、第三ゾーン34から、(複数の)多孔質壁13の出口端部16へと、軸方向に伸びる。様々な実施形態において少なくとも3つの触媒被覆は、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って、異なる空間配置で配されている。様々な実施形態において4つの触媒被覆は、多孔質壁13の長さ「Lw」に沿って、異なる空間配置で配されている。
【0160】
様々な実施形態において、第一ゾーンは、第一のSCR触媒被覆から実質的に成り、第二ゾーンは、白金族金属被覆、および第一または第二のSCR触媒被覆を有する。様々な実施形態において、白金族金属は第二ゾーンに、約1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある担持量で存在する。
【0161】
様々な実施形態において、第三ゾーンは、第一のSCR触媒被覆、第二のSCR触媒被覆および白金族金属被覆から実質的に成り、第四ゾーンは、白金族金属被覆および第二のSCR触媒被覆を有する。様々な実施形態において、白金族金属は第三および第四ゾーンに、約1g/ft3〜約50g/ft3の範囲にある担持量で存在する。
【0162】
様々な実施形態において、第一ゾーン30は、壁13の入口端部14から伸びていてよく、次のゾーンの上流にある。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、選択触媒還元触媒40を第一の担持量で有することができる。1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの一部に侵入していてよい。
【0163】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30の下流にある第二ゾーン32は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部にわたって、第一ゾーンから、壁13の全長未満で、多孔質壁13の出口端部16へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第二ゾーン32は、選択触媒還元触媒40を第一の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、または選択触媒還元触媒40を第二の担持量42で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、有することができる。様々な実施形態において、第二の担持量は、第一の担持量と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。
【0164】
1つ以上の実施形態において、第二ゾーン32の下流にある第三ゾーン34は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部にわたって、第二ゾーンから、壁13の長さ未満で、多孔質壁13の出口端部16へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第三ゾーン34は、第一の選択触媒還元触媒を第一の担持量および/または第二の担持量42のいずれかで、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。様々な実施形態において、第三ゾーン34は、第一の選択触媒還元触媒を第一の担持量で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、または選択触媒還元触媒を第二の担持量42で、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で、有することができる。様々な実施形態において、第二の担持量42は、第一の担持量と同じ量、またはこれと異なる量であり得る。
【0165】
しかしながら、1つ以上の実施形態によれば、酸化触媒45が、壁に侵入することに反して、第三ゾーン内の壁13上にあり得ることが評価されるだろう。酸化触媒45の一部は、(複数の)壁13内へと、(複数の)壁13の厚さ未満の深さに侵入していてよいが、酸化触媒の大部分は、壁の上または壁の上方にあり、壁内に埋め込まれていない。
【0166】
1つ以上の実施形態において、第三ゾーン34の下流にある第四ゾーン36は、多孔質壁13の長さにわたり、第三ゾーン34から多孔質壁13の出口端部へと伸びていてよい。様々な実施形態において、第四ゾーン34は、選択触媒還元触媒40を第一の担持量および/または第二の担持量42のいずれかで、および白金族金属酸化触媒45を第一の担持量46で有することができる。
【0167】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーン30は、多孔質壁13の入口端部14から軸方向に伸びていてよく、ここで第一ゾーンは、多孔質壁13の入口端部14から、多孔質壁13の全長に満たない距離で、伸びていてよい。様々な実施形態において、第一ゾーン30は、第一の選択触媒還元(SCR)触媒40を第一の担持量で有することができる。 1つ以上の実施形態においてSCR触媒組成物は、複数の多孔質壁13の長さの少なくとも一部内に配置されていてよく、多孔質壁にわたって、壁長さの約1%〜約97%に侵入していてよい。様々な実施形態において、第一の選択触媒還元触媒の第一の担持量は、約0.5g/in3〜約3g/in3の範囲にあり得る。
【0168】
1つ以上の実施形態において、少なくとも1つの触媒被覆は、多孔質壁13の厚さに侵入している。様々な実施形態において、第一のSCR触媒被覆は、多孔質壁13の厚さに侵入しており、ここでSCR触媒被覆は、少なくとも1つの第一ゾーンに侵入する。様々な実施形態において、第一のSCR触媒被覆および第一のPGM触媒被覆は、多孔質壁13の厚さに侵入しており、ここでSCR触媒被覆およびPGM触媒被覆は、少なくとも1つの第二ゾーンに侵入する。
【0169】
図8は、少なくとも3つの被覆によって形成された4つのゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
【0170】
1つ以上の実施形態において、第一ゾーンは、多孔質壁の入口端部から、多孔質壁13の全長に満たない距離で軸方向に伸び、かつ第一のSCR触媒被覆40から実質的に成り、第二触媒ゾーンは、第一ゾーンから、多孔質壁の出口端部への距離に満たない距離で軸方向に伸び、かつ第一のSCR触媒被覆40および第二のSCR触媒被覆43を有し、第三ゾーンは、第二ゾーンから、多孔質壁の出口端部への距離に満たない距離で軸方向に伸び、かつ第一のSCR触媒被覆40、第二のSCR触媒被覆43、および白金族金属被覆45から実質的に成り、第四ゾーンは、第三ゾーンから、多孔質壁の出口端部へと軸方向に伸び、かつ白金族金属被覆45と、第二のSCR触媒被覆43との組み合わせ物または混合物49を有する。様々な実施形態において、組み合わせ物49は、第二のSCR触媒および酸化触媒粒子を順次、パティキュレートフィルタ流路の出口端部内へと導入することによって形成されていてよい。
【0171】
図9は、1つ以上のゾーンにおいて壁の表面上に1種以上の触媒を有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示し、ここで触媒は、サンドイッチ状の層を形成することができる。
【0172】
1つ以上の実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタ10は、3つの触媒ゾーンまたは4つの触媒ゾーンを有することができる。様々な実施形態において、第一ゾーンは、通路の入口端部から伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で、第一のSCR触媒40を有することができ、かつ第一ゾーンにおける壁の表面を被覆する第一の担持量48で、酸化触媒47を有することができる。第二ゾーンは、第一のSCR触媒40を、第一ゾーンから伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で(ここで第一ゾーンは、第二ゾーンが始まる界面で終わる)、および第二の選択触媒還元触媒43を、第二ゾーンから上流に第一ゾーンから伸びる第二ゾーンにおいて壁の表面を被覆する第一の担持量で、有することができる。第三ゾーンは、第一のSCR触媒40を、第二ゾーンから伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で、および酸化触媒45を、第三ゾーンにおける壁の表面を被覆する第一の担持量46で、および第二の選択触媒還元触媒43を、酸化触媒45を被覆する第一の担持量で、有することができる。第四ゾーンは、触媒組成物の組み合わせ物49を有することができ、この組み合わせ物は、酸化触媒45を第一の担持量46で、および第二のSCR触媒43を、第三ゾーンから出口端部へと伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で(ここで第三ゾーンは第四ゾーンが始まる界面で終わる)、および酸化触媒を、第三ゾーンから出口へと伸びる第四ゾーンにおける壁に侵入する第一の担持量46で(ここで酸化触媒は、多孔質壁内でSCR触媒内とともに点在している)、含むものである。
【0173】
様々な実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタは、4つの各ゾーンのうち1つ以上の長さを減らすことによって、かつ/またはさらなる触媒材料を、フィルタ入口から多孔質壁内に、かつ/または壁表面上に適用されるさらなる被覆として組み込むことによって、4つより多い触媒ゾーンを有することができる。様々な実施形態において、付加的なゾーンは、第四ゾーンの下流にあってよい。
【0174】
図10は、1つのゾーンにおいて少なくとも壁の表面上に触媒を有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の例示的な実施形態の拡大断面図を示し、ここで触媒は、サンドイッチ状の層を形成することができる。
【0175】
1つ以上の実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタ10は、4つの触媒ゾーンを有することができる。様々な実施形態において、第一ゾーンは、第一のSCR触媒40を、通路の入口端部から伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で、含有することができる。第二ゾーンは、第一のSCR触媒を、第一ゾーンから伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で、含有することができ、ここで第一ゾーンは、第二ゾーンが始まる界面で終わり、かつ第二ゾーンは、酸化触媒45を、第二ゾーンから上流にある第一ゾーンから伸びる第二ゾーンにおいて壁の表面を被覆する第一の担持量46で、含有することができる。第三ゾーンは、第一のSCR触媒40を、第二ゾーンから伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で、および酸化触媒45を、第三ゾーンにおける壁の表面を被覆する第一の担持量46で、および第二の選択触媒還元触媒43を、酸化触媒45を被覆する第一の担持量で、含有することができ、ここで酸化触媒45は、第一のSCR触媒40と第二のSCR触媒43との間に挟まれている。第四ゾーンは、触媒組成物の組み合わせ物49を含有することができ、この組み合わせ物は、酸化触媒45を第一の担持量46で、および第二のSCR触媒43を、第三ゾーンから出口端部へと伸びる壁長さの約5%〜約50%の範囲にある多孔質壁の長さに侵入する第一の担持量で(ここで第三ゾーンは第四ゾーンが始まる界面で終わる)、および酸化触媒を、第三ゾーンから出口へと伸びる第四ゾーンにおける壁に侵入する第一の担持量46で(ここで酸化触媒は、多孔質壁内でSCR触媒とともに点在している)、含むものである。様々な実施形態において、組み合わせ物49は、パティキュレートフィルタ流路の出口端部内へと導入された、SCRと酸化触媒粒子との混合スラリーによって、形成されていてよい。
【0176】
図11は、少なくともフロントゾーンの壁の表面上に触媒を有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
【0177】
1つ以上の実施形態において、排気ガス流22は、入口通路24に入り、ウォールフィルタ10の出口端部16に向かって流れる。ガスは、フィルタ10を通じて多様な経路54、56、58(54多孔質壁13を通じて、入口通路24から、出口通路26へと通過することを含む)を取ることができ、ここでガスは、フィルタの出口端部16を経由して出ることができる。別の流れ経由路56では、排気ガス22の部分量は、SCR触媒40を含有する多孔質フィルタ壁13を通じて経由路54に続くことができ、それからフィルタを出る時に、酸化触媒45と接触する。別の代替的な経由路58については、排気ガス22の部分量を、SCR触媒40を含有する多孔質壁13を通じて、および酸化触媒45を通じて、拡散することができる。
【0178】
1つ以上の実施形態は、入口通路24の閉じられた出口端部にあるプラグ20の外部表面23上にプラグ被覆を有し、ここでプラグ被覆は、白金族金属を有し、ここでプラグ被覆は、多孔質壁の角の周囲を包むことができる。1つ以上の実施形態において、白金族金属被覆51は、平行な通路の出口16のそばにある出口通路26の内部表面上に被覆されていてよい。1つ以上の実施形態において、白金族金属被覆51は、出口通路26の出口端部内へと、壁長さの5%以下、または壁長さの3%以下、または壁長さの1%以下、伸びていてよい。様々な実施形態において、白金族金属被覆51は、出口通路26の出口端部内へと、約1mm〜約2.5mmの範囲の長さで、伸びていてよい。
【0179】
図12は、出口プラグの外部表面上にプラグ被覆を有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示す。
【0180】
1つ以上の実施形態において、SCR触媒40を含有する多孔質フィルタ壁13は、ここで記載するように、多孔質壁13内に含浸された、かつ/または多孔質壁13の表面上に被覆された、1つ以上のさらなる被覆を有することができ、さらに、入口通路24の閉じられた出口端部にあるプラグ20の外部表面23上にプラグ被覆を有することができ、ここでプラグ被覆は、白金族金属を有し、ここでプラグ被覆は、多孔質壁の角の周囲を包むことができる。
【0181】
図13は、複数の被覆によって形成された複数のゾーンを有するウォールフローフィルタ基材の複数の多孔質壁の別の例示的な実施形態の拡大断面図を示し、ここで少なくとも幾つかの触媒被覆は、ウォールフローフィルタの多孔質壁の表面上にあってよい。
【0182】
1つ以上の実施形態において、排気ガス流22は、入口通路24に入り、ウォールフィルタ10の出口端部16に向かって流れる。ガスは、フィルタ10を通じて多様な経路54、56、58(54多孔質壁13を通じて、入口通路24から、出口通路26へと通過することを含む)を取ることができ、ここでガスは、フィルタの出口端部16を経由して出ることができる。特定の流れ経由路54において排気ガスは、第二のSCR触媒43を通じて、多孔質壁13の入口側表面上を流れることができ、かつ多孔質壁13内に含浸された第一のSCR触媒40を通じて、流れることができる。別の流れ経由路56では、排気ガス22の部分量は、SCR触媒40を含有する多孔質フィルタ壁13を通じて経由路54に続くことができ、それからフィルタを出る時に、多孔質フィルタ壁13の出口側表面上にある酸化触媒45と接触する。別の代替的な経由路58については、排気ガス22の部分量を、SCR触媒40を含有する多孔質壁13を通じて、および酸化触媒45を通じて、拡散することができる。
【0183】
1つ以上の実施形態において、各触媒成分は、触媒基材の多孔質壁に侵入しており、壁内に点在している。様々な実施形態において、SCR触媒は、多孔質壁内でPGM触媒と混じり合っている。様々な実施形態において、SCR触媒は、多孔質壁に侵入しており、PGM触媒の大部分は、SCRで含浸された多孔質壁の表面上に存在する。様々な実施形態において、PGM触媒の大部分は、SCRで含浸された多孔質壁の表面上に存在し、SCR触媒が侵入した多孔質壁と、SCR触媒の上層との間に挟まれている。
【0184】
様々な実施形態において、第二ゾーンにおける白金族金属被覆は、多孔質壁の表面上にあり、第三ゾーンにおける白金族金属被覆は、第一のSCR触媒被覆と、第二のSCR触媒被覆との間に挟まれている。
【0185】
図14は、排出物処理システム140と、アンモニア前駆体供給ライン148、空気供給ライン149、および排出物処理システムと流体連通で接続された混合ステーション146を備える尿素注入器とを有するエンジンシステムの例示的な実施形態を示す。図14から分かるように、気体状汚染物質(燃焼していない炭化水素、一酸化炭素およびNOxを含む)および微粒子状物質を含有する排気は、ここに記載されるように、エンジン141から接続部142を通じて、触媒式パティキュレートフィルタ143へと運ばれる。触媒式パティキュレートフィルタ143の後、排気ガスは、テールパイプ144を経由してシステムを出る。エンジン141の下流では、還元剤、例えば尿素をスプレーとして、ノズル(図示せず)を介して排気流へと注入することができる。1つのライン148上に示された水性尿素は、混合ステーション146で別のライン149における空気と混合可能なアンモニア前駆体として役立てることができる。バルブ145は、排気流中でアンモニアへと転化される水性尿素の正確な量を秤量するために使用することができる。添加されたアンモニアとともに排気流は、多機能の触媒式パティキュレートフィルタ143へと運ばれ、ここでNH3は、SCR触媒と相互作用を起こすことができる。
【0186】
接続部142は、触媒式パティキュレートフィルタ143の前でさらなる構成要素を使用しない場合には、必要とならないことがある。これらの実施形態において、触媒式パティキュレートフィルタ143は、エンジン141に直接連結されている。エンジンと触媒との距離は、極めて短くてよく、これによっていわゆる「近接連結」触媒配置が生じる。あるいは、エンジンから触媒への距離はより長くてもよく、これによって「床下(underfloor)」構成が生じる。
【0187】
図15は、排出物処理システム、尿素注入器およびその他のエンジン構成要素を有するエンジンシステムの別の例示的な実施形態を示す。図15に示すように、処理システムの幾つかの実施形態は、1つ以上の別個の構成要素147を有する。これら任意の構成要素147は、ディーゼル酸化触媒、リーンNOxトラップ、部分NOx吸着剤、または三元触媒のうち1つ以上を含むことができる。NOx除去の所望のレベルに応じて、さらなるSCR触媒150が、多機能触媒式パティキュレートフィルタ143の上流に配置されていてよい。例えば、さらなるSCR触媒が、モノリス状のハニカムフロー上に、基材またはセラミックフォーム基材を通じて、スートフィルタの上流に配置されていてよい。NOx除去の所望のレベルに応じて、さらなるSCR触媒152が、多機能触媒式パティキュレートフィルタ143の下流に配置されていてよく、さらなるAMOx触媒を有することもできる。これらの様々な実施形態において、多機能に被覆されたSCRスートフィルタの使用がさらに、NOx削減目標を満たすために必要な触媒の合計体積削減を達成する。炭化水素除去の所望のレベルに応じて、さらなる酸化触媒を、排気構成要素147の上流に、または排気構成要素152の下流に、配置することができる。様々な実施形態において酸化触媒は、構成要素150を備えないであろう。なぜならばこれは、注入された尿素を酸化して、NOxにするからである。
【0188】
触媒実施例
ここに開示された非限定的な例は、特定の空間配置、および触媒基材上での(複数の)触媒材料の担持量を説明する。本発明は、言及した配置構成、構造の細部、または本実施例の以下の記載で規定する方法工程に限られないこと、また本発明が他の実施形態で可能なこと、および様々な方法で実行または実施できることが理解されるべきである。
【0189】
非限定的な例1〜7が、表1にまとめられている。ブランクのフィルタ基材は、63%の多孔性、および23μmの平均細孔サイズを有するSiCフィルタ部品(34mm×34mm×150mm)である。SCR触媒は、3.25%のCuO担持量、および30というSiO2/Al23モル比の値を有する、銅で交換されたチャバザイトゼオライト(Cu−CHA)である。
【表1】
【0190】
試料1〜7の試料製造:
第一のSCR触媒被覆については、Cu−CHAを、1%のCu酢酸塩および5%のZr酢酸塩を有する水中に分散させた。このスラリーを、粒子の90%が5μm未満のサイズになるまで粉砕して、スラリー含分を23%の固体分に調整した。基材をスラリー中に、基材の入口端部はスラリーレベルの下で、出口端部はスラリーレベルのちょうど上(約1/4インチ)で含浸することによって、このスラリーをフィルタ基材上にウォッシュコートした。この基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが、入口側から出てこなくなるまで、空気流を流路の出口側から吹き込んだ。被覆された試料をそれから、110℃で2時間、乾燥させ、空気中で450℃で1時間、か焼した。
【0191】
Pt被覆のためには、事前に粉砕したSiO2/Al23粉末(ここで粒子の90%は、5μm未満である)を水中に懸濁させて、固体分が約40%のスラリーを用意した。(所望の最終Pt含分を得るため)白金アンミン溶液について計算した量を懸濁液に、撹拌しながら滴加した。生じたスラリーを水でさらに希釈し、約5質量%の固体分を得た。フィルタ基材をスラリー中に、事前に印を付けた位置で含浸することによって、Ptスラリーにより出口端部から被覆し、これによって被覆適用範囲(coating coverage)は、規定のレベルに達した。この基材をスラリーから引き出し、ウォッシュコートスラリーが、出口側から出てこなくなるまで、空気流を流路の入口側から吹き込んだ。被覆された試料をそれから、110℃で2時間、乾燥させ、空気中で450℃で1時間、か焼した。
【0192】
幾つかの試料について、被覆されたフィルタをさらに補完的なCu−CHAスラリーで出口端部から、事前に算出した固体含分および所定の適用範囲で被覆した。
【0193】
試料1〜7の性能:
例1〜7の試料1〜7について、1分あたり150リットルのガスを流せる実験室反応器で評価を行った。試料は、加熱した試料ホルダの中心に格納した。CSF入口の目標温度は、予熱されたガスから予熱機によって部分的に、および加熱された試料ホルダ自体によって部分的に達成された。SCR反応およびCO酸化は、別個に評価した。SCRフィードは、NO 500ppm、NH3 550ppm、O2 10%、H2O 5%、CO2 5%、および残分のN2から成る。ガス空間速度(GHSV)は、60,000/hであった。温度は、2.5℃/分のランプレート(ramp rate)で200〜500℃に増減させた。CO酸化反応は600℃で、CO 500ppm、O2 10%、H2O 5%、CO2 5%、および残分のN2から成るフィードで、GHSV=60000h-1で行った。性能評価前に、各触媒式フィルタを熱により800℃で16時間、O2 10%、H2O 10%、およびN2 80%から成るフィードでエージングした。
【0194】
表2Aは、試料1〜7についてのNOx転化率を示す。低温(200〜300℃)では、2コートおよび3コートの試料は全て、SCR参照(試料1)と比較してより高いNOx転化率を有する。500℃では幾つかの試料が、比較的高いまたは同等のNOx転化率を示すが(試料3および5)、その他は比較的低いNOx転化率を示す(試料2、4、6および7)。表2Bは、試料1〜7についてのNH3転化率を比較している。全ての試料(試料2〜7)は特に高温において、参照(試料1)と同等またはこれよりも高いNH3転化率を示す。表2Cは、試料1〜7について、SCR試験の間のピークN2O形成および600℃でのCO転化率を示す。試料6(参照よりも著しく高いN2O形成を有する)を除いて、全ての他の試料に関するN2O形成は、参照(試料1)と同等であるか、またはこれよりやや高い。しかしながら、試料2〜7について600℃でのCO転化率は、参照の約2〜3倍である。
【表2】
【0195】
試料8〜11についての試料製造:
非限定的な例8〜11が、表3にまとめられている。これらの例は全て、同じ触媒スラリーを有する3コートの例である。これらの実施例は、例7のバリエーションと考えられ、ここでこのバリエーションは、基材における各触媒被覆の各被覆長さに起因する。
【0196】
表4は、試料7〜11のゾーン分けの結果分析である。被覆適用範囲を変更することにより、被覆の重なりを変えることによって、3つまたは4つのゾーンに分けられた触媒式フィルタを作製することができる。材料、スラリー調製、および被覆の手法は、試料1〜7と同じである。各被覆後に、110℃で2時間、それから450℃で1時間、か焼した。
【表3】
【表4】
【0197】
試料7〜11の性能評価
表5Aは、試料7〜11およびSCR参照(試料1)についてNOx転化率をまとめている。SCR参照と比較して、3コート試料の大部分は、低温でより高いNOx転化率を示すが、500℃では同等であるか、またはそれより低い。試料7と試料8〜11との間には、NOx転化率において明確な区別は無い。表5Bは、試験中のNH3転化率を示す。全ての3コート試料は、NH3転化率について、温度範囲全体にわたり、SCR参照(試料1)よりも活性が高い。表5Cは、試料7〜11についてピークN2O形成および600℃でのCO転化率を示す。試料7〜9は、試験中にやや高いN2Oをもたらし、一方で試料10および11は、N2O形成においてSCR参照(試料1)とほぼ等しい。3コート試料は全て、SCR参照(試料1)と比べて、ずっと高いCO転化率を有し、試料10が、最も活性が高い(12%に対して、40%)
【表5】
【0198】
試料12〜16についての試料製造:
非限定的な例12〜16が、表6にまとめられている。これらは2コート試料であり、第一の被覆は、出口端部から様々な適用範囲で被覆されたPtとCu−CHAとの混合物であり、第二の被覆は、入口端部から完全な(100%)適用範囲で被覆されたCu−CHAである。Pt/担体粉末は、インシピエントウェットネス技術を用いて、シリカ/アルミナ粉末(SiO2が5%)を白金アンミン溶液で含浸することによって製造した。この粉末を110℃で一晩、乾燥させ、それから500℃で2時間、か焼した。生じる粉末は、Pt金属組成物を2.81質量%有する。か焼したPt粉末を、それから水に懸濁させて、約40%の固体含分にし、連続式ミルを用いて粉砕して、サイズが5μm未満の粒子の90%を得た。粉砕されたPtスラリーをその後、粉砕されたCu−CHAスラリーと、デザイン比率で混合した。被覆されたフィルタにおける局所的なPt担持量はそれぞれ、5g/ft3および2.5g/ft3、または0.1g/ft3および0.05g/ft3であった(Pt/粉末)。2つの参照試料(試料15および16)は、第一の被覆についてPt無しで(担体+ゼオライト)作製した。乾燥(110℃で1時間)およびか焼(450℃で2時間)の工程は、各被覆を適用した後に行った。
【表6】
【0199】
試料12〜16についての性能評価
表7Aは、試料12〜16およびSCR参照(試料1)についてNOx転化率を示す。試料12および13は、温度範囲全体にわたって1コートのSCR参照よりもやや高いNOx転化率を示すが、2コートのPt不含参照と比べて、転化率がやや低い。試料14は500℃において、1コートのSCR参照よりもやや低いNOx転化率を示す。表7Bは、試料12〜16についてのNH3転化率を示す。2コート試料は全て、NH3転化率においてSCR参照(試料1)よりも活性が高く、試料12が、最も活性が高い。表7Cは、試料12〜16についてピークN2O形成および600℃でのCO転化率を示す。 全ての試料についてピークN2O形成は、参照(試料1)と同等である。試料14が最も高いCO転化率(46%)を示し、これに試料12(28%)が続く。
【表7】
【0200】
試料17〜22についての試料製造:
非限定的な例17〜22が、表8にまとめられている。これらの例のマトリックスは、触媒材料の「端面塗布(face painting)」を伴う。触媒材料がフィルタの多孔質媒体内に入り込むウォッシュコートとは異なり、端面塗布は、フィルタの端面(または露出端部)上にのみ、触媒ペーストを刷毛またはローラで塗布することによって適用する。このため触媒材料は、フィルタプラグを超えてフィルタに入り込むことが期待されない。例18、20および22について、Pd端面塗布スラリーを、Al23担体をPd硝酸塩溶液でまず含浸することによって作製して、Pd担持量を5.5質量%にした。Pd/Al23粉末をその後、5%のアルミナバインダーおよび2.5%のZr酢酸塩を添加した水中に懸濁させた。最終的なスラリーは、9%の固体含分を有する。表8に示された端面塗布のためのPd担持量は、フィルタ体積全体を基準としている。しかしながら、他の被覆についての触媒担持量は、適用されたゾーン(局所的な担持量)を基準としている。乾燥(110℃で1時間)およびか焼(450℃で2時間)は、各被覆(端面塗布を含む)後に行った。
【表8】
【0201】
試料17〜22についての性能評価
例17〜22の試料17〜22を、NO 500ppm、NH3 550ppm、CO 500ppm、O2 10%、H2O 5%、CO2 5%、残分のN2から成る別のフィードで評価した。このフィードはCOを含有していたので、別個のCO試験は行わなかった。表9Aは、試料17〜22についてNOx転化率をまとめている。試料17はSCR参照であり、試料1と同じ組成を有する。試料18および21はSCR参照(試料17)と比べて、全ての温度において同等、またはやや高いNOx転化率を示す。その他の試料は500℃において、やや低いNOx転化率を示す。表9Bは、試料17〜22のNH3転化率を比較している。全ての試料は、SCR参照(試料17)と比べて、かなり高いNH3転化率を示し、試料20が、最も活性が高い。表9Cは、試料17〜22についてピークN2O形成および500℃でのCO転化率を示す。全ての試料についてピークN2O形成は、SCR参照のピークN2O形成と同等である(6〜8ppm)。SCR参照のCO転化率は、500℃では0に近く、その一方で試料19、20および22は、CO転化率についてずっと活性が高い(49〜76%)。
【表9】
【0202】
ここで本発明について、特定の実施形態を参照しながら記載してきたものの、これらの実施形態は、単に本発明の原理および適用の説明に過ぎないことが理解されるべきである。本発明の思想および範囲から外れない限り、様々な変形例およびバリエーションを本発明の方法および装置について行えることは、当業者には明らかである。よって本発明は、添付の請求項およびその等価物の範囲にある変形例およびバリエーションを含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15