(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726214
(24)【登録日】2020年6月30日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】電子制御装置を監視する方法および自動車用の制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20200713BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
B60R16/02 650J
G05B23/02 Z
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-556524(P2017-556524)
(86)(22)【出願日】2016年4月28日
(65)【公表番号】特表2018-517600(P2018-517600A)
(43)【公表日】2018年7月5日
(86)【国際出願番号】EP2016059457
(87)【国際公開番号】WO2016174118
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2017年12月19日
(31)【優先権主張番号】102015207895.7
(32)【優先日】2015年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リープル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ペック
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−001233(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/043167(WO,A1)
【文献】
特開2003−009312(JP,A)
【文献】
特表2008−507714(JP,A)
【文献】
特開2016−159766(JP,A)
【文献】
特開平11−041792(JP,A)
【文献】
特開昭56−034540(JP,A)
【文献】
実開平01−179221(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0035015(US,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0132925(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の電子制御装置(ECU)を監視する方法であって、
自動車の運転機能を開ループ制御するように構成された制御回路(CC)と、少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を含む監視回路(SC)とを有する電子制御装置(ECU)を準備するステップと、
前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を用いて、測定値(M1,M2,M3)を検出するステップと、
検出された前記測定値(M1,M2,M3)に基づき、前記監視回路(SC)を用いて前記電子制御装置(ECU)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータの実際値を求め、該実際値を前記パラメータの所定の目標値と比較するステップと、
前記監視回路(SC)を用いて、前記比較の結果に依存して信号(I)を出力するステップと、を含んでおり、
前記パラメータは、前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表し、
前記制御回路(CC)は、前記監視回路(SC)とは異なり、
前記制御回路(CC)は、前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)と同一構造で、かつ前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)よりも熱的、機械的および/または化学的なストレスに対する感度が低い、少なくとも1つの電気的または電子的な部品(EC)を有する、
方法。
【請求項2】
自動車用の電子制御装置(ECU)を監視する方法であって、
自動車の運転機能を開ループ制御するように構成された制御回路(CC)と、少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を含む監視回路(SC)とを有する電子制御装置(ECU)を準備するステップと、
前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を用いて、測定値(M1,M2,M3)を検出するステップと、
検出された前記測定値(M1,M2,M3)に基づき、前記監視回路(SC)を用いて前記電子制御装置(ECU)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータの実際値を求め、該実際値を前記パラメータの所定の目標値と比較するステップと、
前記監視回路(SC)を用いて、前記比較の結果に依存して信号(I)を出力するステップと、を含んでおり、
前記パラメータは、前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表し、
前記制御回路(CC)は、複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)を含み、該複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)は、前記制御回路(CC)の構成要素でもあり、前記監視回路(SC)の構成要素でもあり、かつ、共に前記自動車の運転機能の制御に寄与し、かつ当該複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)のうちの個々の故障が生じた場合でも、運転機能を制御する前記制御回路(CC)が機能するように相互接続されており、
前記複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)は、前記センサ部品(S1,S2,S3)を表し、実際値を求めるために前記複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)のうちの個々のまたはサブセットの故障が検出される、方法。
【請求項3】
付加的に以下のステップ、すなわち
前記実際値を記憶するステップと、
前記実際値と前記目標値との比較に続いて、前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を用いて、さらなる測定値(M1,M2,M3)を検出するステップと、
検出された前記さらなる測定値(M1,M2,M3)と記憶された実際値とに基づいて、前記監視回路(SC)を用いて、パラメータの新たな実際値を求め、当該新たな実際値と前記目標値とを比較するステップと、
前記新たな実際値と前記目標値との前記比較の結果に依存して、前記監視回路(SC)を用いて、さらなる信号(I)を出力するステップとを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記信号(I)の出力は、前記電子制御装置(ECU)の動作中に前記制御回路(CC)を用いて前記自動車の運転機能を制御するために行われる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
出力された前記信号(I)は警告信号であり、当該信号(I)は、音響的および/または光学的表示要素(Ind)を用いて表示され、かつ/または前記自動車のエラーメモリ(exM)に格納される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
制御回路(CC)と、監視回路(SC)と、少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)とを備えている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法を実施する装置。
【請求項7】
自動車の運転機能を制御するように構成された制御回路(CC)と、少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を含む監視回路(SC)とを備えた、自動車用の電子制御装置(ECU)であって、
前記電子制御装置(ECU)は、前記監視回路(SC)を用いて、
前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を用いて測定値(M1,M2,M3)を検出し、
検出された前記測定値(M1,M2,M3)に基づき、前記電子制御装置(ECU)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータの実際値を求め、
前記実際値を前記パラメータの所定の目標値と比較し、
前記比較の結果に依存して信号(I)を出力するように構成されており、
前記パラメータは、前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表し、
前記制御回路(CC)は、前記監視回路(SC)とは異なりかつ1つの電気的または電子的な部品を有するか、または複数のセンサ部品(S1,S2,S3)の場合に、各センサ部品毎に、1つの電気的または電子的な部品(EC)を有し、該電気的または電子的な部品(EC)は前記各センサ部品(S1,S2,S3)と同一構造で、かつ前記各センサ部品(S1,S2,S3)よりも熱的、機械的および/または化学的なストレスに対する感度が低い、
自動車用の電子制御装置(ECU)。
【請求項8】
前記監視回路(SC)は、複数の異種のセンサ部品(S1,S2,S3)を含み、当該複数の異種のセンサ部品(S1,S2,S3)は、前記監視回路(SC)内で直列に接続されている、請求項7記載の電子制御装置(ECU)。
【請求項9】
1つ以上の前記センサ部品(S1,S2,S3)は、以下のグループから選択される、すなわち、
前記制御回路(CC)の各部品よりも大きな質量を有するセラミック抵抗、
その露出した金属表面が前記制御回路(CC)の各部品の露出した金属表面よりも大きい抵抗、ただし前記センサ部品(S1,S2,S3)は抵抗アレイであり、前記制御回路(CC)の前記部品は単独抵抗であり、
コイル、
電解コンデンサ、
前記制御回路(CC)の各部品よりも低減されているかまたは欠如している拡散バリアで形成された、電子制御装置(ECU)のASICのダイオード、のグループから選択される、請求項7または8記載の電子制御装置(ECU)。
【請求項10】
自動車の運転機能を制御するように構成された制御回路(CC)と、少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を含む監視回路(SC)とを備えた、自動車用の電子制御装置(ECU)であって、
前記電子制御装置(ECU)は、前記監視回路(SC)を用いて、
前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)を用いて測定値(M1,M2,M3)を検出し、
検出された前記測定値(M1,M2,M3)に基づき、前記電子制御装置(ECU)の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータの実際値を求め、
前記実際値を前記パラメータの所定の目標値と比較し、
前記比較の結果に依存して信号(I)を出力するように構成されており、
前記制御回路(CC)は、複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)を含み、該複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)は、前記制御回路(CC)の構成要素でもあり、前記監視回路(SC)の構成要素でもあり、かつ、共に自動車の運転機能の制御に寄与し、かつ当該複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)のうちの個々の故障が生じた場合でも、運転機能を制御する前記制御回路(CC)が機能するように相互接続されており、
前記複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)は、前記センサ部品(S1,S2,S3)を表し、前記監視回路(SC)は、実際値を求めるために、前記複数の同一構造の電気的または電子的な部品(EC)のうちの個々のまたはサブセットの故障を検出するように構成されている、電子制御装置(ECU)。
【請求項11】
前記制御回路(CC)、前記監視回路(SC)および前記少なくとも1つのセンサ部品(S1,S2,S3)は、前記電子制御装置(ECU)のハウジング(H)内に共に配置されている、請求項7から10までのいずれか1項記載の電子制御装置(ECU)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電子制御装置を監視する方法、ならびにこの方法を実施する装置に関する。さらに本発明は、自動車用の制御装置に関する。
【0002】
自動車内の電子制御装置の故障は、システム全体の機能を損なう可能性がある。特に自動車も同様にその機能が損なわれるかまたは完全に機能不全に陥る可能性がある。例えば自動車の事故または想定外の寿命による、自動車の予期不能な故障は、財政的損失、時間的損失および健康的損失につながる可能性がある。
【0003】
それゆえ本発明の課題は、制御装置の予期せぬ故障に対する特に低いリスクを達成することができる電子制御装置を監視する方法および制御装置を提供することである。
【0004】
前記課題は、独立請求項による、電子制御装置を監視する方法、該方法を実施する装置および制御装置によって解決される。この方法および制御装置の好ましい実施形態およびさらなる発展形態は、それぞれの従属請求項、以下の説明および図面から明らかになる。
【0005】
第1の態様によれば、自動車用の電子制御装置を監視する方法が特定される。さらなる態様によれば、該方法を実施する装置が特定される。第3の態様によれば、自動車用の制御装置が特定される。この制御装置は、好ましくは当該方法を実施する装置を表す。以下で個々の特徴が一態様に基づいて、例えば方法または制御装置もしくは装置に基づいてしか記載されていない場合であっても、このことは限定と解釈されるべきではない。むしろ、それぞれの特徴は、明示的に開示されていない他の態様に対しても開示されている。
【0006】
方法のステップにより、電子制御装置が準備される。この制御装置は制御回路を有する。この制御回路は、自動車の運転機能を開ループ制御するように構成されている。本願との関係においてこの制御回路は、自動車の運転機能を閉ループ制御するように構成された回路であるとも理解される。自動車の開ループ制御または閉ループ制御された運転機能とは、例えば、自動車の内燃機関への燃料の噴射、内燃機関への空気の供給、および/または排気管路への還元剤の噴射などであり得る。この回路は例えば制動力を閉ループ制御するように、自動車の変速機を開ループ制御するように、操舵を支援するように設けられていてもよい。
【0007】
さらに、制御装置は監視回路を有する。監視回路は、少なくとも1つのセンサ部品を含む。
【0008】
この方法を実施する装置は、合目的に制御回路、監視回路、および少なくとも1つのセンサ部品を含む。
【0009】
この方法のさらなるステップによれば、測定値が、少なくとも1つのセンサ部品を用いて検出される。測定値の検出は、センサ部品の種類に依存して、例えばセンサ部品の抵抗および/またはインダクタンスおよび/または容量の測定を用いて、または所定の通信プロトコルにしたがったセンサ部品の読み取りを用いて行われる。
【0010】
さらなる方法ステップによれば、監視回路を用いて、検出された測定値に基づきパラメータの実際値が求められる。このパラメータは、特に純粋な時間量、例えば制御装置の動作時間または経年数などとは異なり、好ましくは、当該制御装置がさらされている周辺環境条件に依存している。このパラメータは、特に、制御装置の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータである。
【0011】
実際値は、監視回路を用いてパラメータの所定の目標値と比較される。この目標値は、好ましくは次のように選択される。すなわち、パラメータの目標値に相応する熱的、機械的および/または化学的なストレスに達した場合に、制御装置が、30%もしくはそれを上回る確率で、好ましくは50%もしくはそれを上回る確率で、まだ150時間もしくはそれを上回る運転時間、例えばまだ1ヶ月もしくはそれを上回る運転時間、制御回路を用いた自動車の運転機能の制御のために機能可能であるように選択されている。換言すれば、目標値に達した場合に、制御装置がまだ機能し続ける状態の関数(以下では生存可能関数とも称する)R(t)に対して、次の関係式、すなわち、R(150h)>30%、好ましくはR(150h)>50%が当て嵌まり、特に次の関係式、すなわちR(1month)>30%、好ましくはR(1month)>50%が当て嵌まる。
【0012】
さらなる方法ステップによれば、監視回路を用いて比較結果に依存して信号が出力される。特にこの信号は、実際値が、制御装置のより高い熱的、機械的もしくは化学的なストレスの方向で目標値を上回るかまたは下回ると出力される。
【0013】
このようにして、有利には、制御装置の予期せぬ故障に対するリスクが非常に僅かとなる。例えば運転時間カウンタとは対照的に、個々の制御装置の実際の負荷が(これは例えば使用特性の違いに基づいて他の同一構造の制御装置の負荷と区別することができる)、制御装置の監視に用いられる。
【0014】
ユーザは、有利には、信号に反応することで、機能損失が生じる前に、例えば制御装置を交換するのに十分な時間を持つことができる。特に大きな熱的、機械的および/または化学的な負荷に合わせた、制御装置の特に複雑で高価な設計は、監視回路を用いた制御装置の状態監視に基づいて回避できるようになる。
【0015】
監視回路を用いて測定された熱的、機械的および/または化学的な負荷は、さらに、他の車両構成要素の保守間隔の計画のために使用することも可能である。例えばこの目的のために、検出される負荷に同じようにさらされ、当該負荷に対して敏感であるさらなる制御装置または機械的アセンブリが対象になる。
【0016】
特に、自動車の目標寿命が制御装置の個々の構成素子の寿命に対する技術的な限界を上回るならば、自動車の特に信頼性の高い良好な機能が寿命全般にわたって達成可能となる。例えば制御装置のメンテナンスは特に低コストになり得る。なぜなら場合によっては必要となる交換のための時期を、時間に関連するメンテナンス間隔に基づいて決定しなければならないのではなく、制御装置の実際のストレスに基づいて求めることができるからである。そのため特にこのメンテナンス間隔を、制御装置の交換まで延長することができる。このようにして、例えばコスト的な利点と共に乗用車のために開発された大量生産技術を、制御装置の寿命とストレスに対する要求が乗用車よりも高いにもかかわらず貨物自動車のために用いることが可能となる。
【0017】
この方法の一実施形態では、少なくとも1つのセンサ部品は、以下のグループからなる、すなわち、温度センサ、加速度センサ、振動センサ、湿度センサ、硫黄センサ、腐食センサのグループからなる少なくとも1つの部品を含む。この部品は、この場合例えばそのデータシートに基づいた、特に温度、加速度、振動、湿度、硫黄濃度もしくは濃度の測定のために特化している。そのようなセンサを用いることにより、特に簡単な測定値の検出が達成可能である。
【0018】
発展形態では、実際値の算出は、検出された測定値に基づく以下のパラメータ、すなわち温度、温度変動の数および/または大きさ、最大温度、最低温度、温度サイクル数、機械的衝撃の数および/または強度、機械的振動の持続時間および/または強度、腐食、硫黄濃度、空気湿度のうちの少なくとも1つの評価を含む。この場合、所定の目標値は、例えば評価されたパラメータの寿命モデルに基づいて求められる。このようにして、故障確率が特に良好にシミュレーションで予測できる。
【0019】
一実施形態では、この方法は、付加的に以下のステップ、すなわち
実際値を記憶するステップと、
実際値と目標値との比較に続いて、少なくとも1つのセンサ部品を用いて、さらなる測定値を求めるステップと、
検出されたさらなる測定値と記憶された実際値とに基づいて、監視回路を用いて、パラメータの新たな実際値を求め、当該新たな実際値と目標値とを比較するステップと、
新たな実際値と目標値との比較結果に依存して、監視回路を用いて、さらなる信号を出力するステップとを含む。
【0020】
このようにして、新たな実際値の計算は、制御装置の過去の状態を、監視のために考慮することができる。パラメータの中では、そのような例として、蓄積された硫黄曝露、温度サイクル数などが容易に評価可能である。
【0021】
この方法の別の実施形態では、パラメータは、少なくとも1つのセンサ部品の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表す。ここでの少なくとも1つのセンサ部品のストレスとは、制御装置内でのその固定に対するストレスとも理解される。これに対する一例は、センサ部品が例えば制御装置のプリント回路基板に固定されているはんだ接合部の経年変化である。このようにして、制御装置の故障確率は、例えば部品の経年変化特性のモデル化を省略することができるので、特に正確に決定することができる。
【0022】
この実施形態の合目的な発展形態では、制御回路は、少なくとも1つのセンサ部品と同種でかつその少なくとも1つのセンサ部品よりも熱的、機械的および/または化学的なストレスに対して影響を受けにくい、少なくとも1つの電気的または電子的な部品を含む。換言すれば、センサ部品として、制御回路の部品と構造が同じでかつ同じ熱的、機械的もしくは化学的なストレスのもとで制御回路の部品よりも優れた故障確率を有する電気的または電子的な構成素子が用いられる。このようにして、監視の特に高い信頼性が達成され得る。
【0023】
特に、センサ部品と制御回路の対応する構成部品は、この場合好ましくは、抵抗、コイル、コンデンサまたはダイオードなどの標準構成部品である。そのような構成素子は、さらに上述してきた精密センサよりもしばしば安価である。
【0024】
コスト的に有利には、この実施形態では、寿命モデルの計算のためのソフトウェアは必要なく、このモデルは、複雑に較正する必要はなく、二次パラメータ(例えば厳密な温度経過、湿度など)を別個に寿命モデル内で計算する必要はない。有利には、既知の、例えば幾何学的な理由からの2つの構成素子の寿命の違いで十分であると考えられる。さらにセンサ部品の現下の状態の決定は、簡単な方法で過去における制御装置のストレスも考慮する。その際監視は、制御装置が例えば無電流状態で動作していない期間にもおよぶ。
【0025】
合目的な実施形態では、監視回路は制御回路とは異なる。これは特に、監視回路が自動車の運転機能の開ループ制御もしくは閉ループ制御に寄与しないことを意味する。むしろ、監視回路は、この実施形態では、好ましくは専ら制御装置の状態を監視するために設けられている。このことは、制御装置が、制御回路にも監視回路にも含まれている1つの集積回路、例えばマイクロコントローラを含むことを排除するものではない。しかしながら制御回路および監視回路は、この実施形態では、次のように相互に分離されている。すなわち監視回路の構成部品の故障、もしくは特に、少なくとも1つのセンサ部品の故障が、制御回路の機能性を損なわないように相互に分離されている。
【0026】
別の実施形態では、制御回路は、共に自動車の運転機能の制御に寄与する複数の同種の電気的または電子的な部品を含む。これらの同種の部品は、当該同種の部品のうちの個々の故障が、運転機能を制御する制御回路の機能性を損なわないように相互接続されている。例えば、同種の部品とは、並列に接続された複数の抵抗である。これらの同種の部品は、この実施形態ではセンサ部品を表し得る。したがって、合目的に、実際値を求めるために、同種の部品のうちの個々のまたはサブセットの故障が検出され得る。このサブセットとは、ここでは、それらの故障が、運転機能を制御する制御回路の機能性を損なわない、同種の構成素子の数に相応するものである。例えば監視回路を用いて、並列に接続された複数の抵抗の総抵抗値が測定値として検出され得る。
【0027】
この実施形態は、複数の同種の部品においては、同じストレスのもとでも当該部品のすべてが故障するわけではないという考察を利用している。個々の部品の故障の監視により、制御回路の機能不全に対して増大するリスクが、機能不全が発生する程の数の部品が実際に故障する前に、既に識別され得る。それにより、制御装置の予期せぬ故障に対するリスクは非常に僅かとなる。同時に、コスト的に有利には、制御回路に属さない特殊なセンサ部品を省くことができる。
【0028】
この方法の合目的な実施形態では、信号の出力が、制御回路を用いて自動車の運転機能を制御する制御装置の動作中に行われる。この関係において、「自動車の運転機能を制御する制御装置の動作」とは、例えば自動車の点火スイッチがスイッチオンされるときの始動段階とも理解されたい。この始動段階では、制御装置が例えば自己診断テストを実施する。このようにして、制御装置の監視は、特に簡単に、点火スイッチのスイッチオン時の車両の自己診断テストに統合可能である。
【0029】
この方法の一実施形態では、出力された信号は警告信号である。この信号は、合目的に音響的および/または光学的表示要素を用いて表示することができる。表示要素は、例えば警告灯または音響発生器である。代替的または付加的に、この信号または当該信号に対応する値は、自動車のエラーメモリ内に格納することができる。この種の信号処理は、故障診断にとって特に有利である。
【0030】
この方法の一実施形態では、複数の異なる目標値が設定されており、それらは制御装置の異なる大きさの故障確率に相応しており、例えば第1の目標値、第2の目標値および第3の目標値である。この場合第2の目標値は、第1の目標値よりも高い故障確率に相応し、第3の目標値は、第2の目標値よりも高い故障確率に相応する。
【0031】
例えばこの実施形態では、第1の目標値を上回ると、第1の信号が出力可能となる。この第1の信号は、例えば自動車のエラーメモリに格納される。第1の信号は、このようにして、特にエラーメモリの読み出しの際にのみ明白となる。第2の目標値を上回ると、例えば第2の信号が出力され、この第2の信号は、自動車のエラーメモリに格納され、この第2の信号は、表示要素を用いてシグナリングされる。このようにして、例えば制御装置の想定外の交換の必要性を知らせることができる。
【0032】
第3の目標値を上回ると、監視回路は、例えば第3の信号を出力し、この第3の信号は制御装置に、緊急モードへの切り替えを指示する。このようにして、制御回路の構成素子が既に重大な故障にさらされている場合に、制御不能状態に対するリスクを低減することができる。有利には、制御装置が緊急モードに切り替えられた場合、すべての構成素子の完全な機能性はまだ保証される。好ましくは制御回路の構成素子の故障に反応する必要はない。
【0033】
一実施形態では、電子制御装置は、自動車の運転機能を開ループ制御するように構成された制御回路と、少なくとも1つのセンサ部品を含む監視回路とを有する。この場合この制御装置は、特に監視回路を用いて、次のように構成されている。すなわち、少なくとも1つのセンサ部品を用いて測定値を検出し、検出された測定値に基づき、制御装置の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すパラメータの実際値を求め、実際値をパラメータの所定の目標値と比較し、比較結果に依存して信号を出力するように構成されている。
【0034】
一実施形態では、パラメータは、少なくとも1つのセンサ部品の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表し、制御回路は、センサ部品と同種でかつ各センサ部品よりも熱的、機械的および/または化学的なストレスに対して影響を受けにくい、電気的または電子的な部品を有する。複数のセンサ部品の場合には、制御回路は、好ましくは各センサ部品毎に各センサ部品と同種でかつ各センサ部品よりも熱的、機械的および/または化学的なストレスに対して影響を受けにくい、電気的または電子的な部品を有する。例えばこの実施形態では、監視回路は好ましくは制御回路と異なる。
【0035】
一実施形態では、監視回路は、複数の異種のセンサ部品および/または異なる感度を有する複数のセンサ部品を含む。代替的または付加的に、監視回路が複数の同一構造のセンサ部品を含むことも考えられる。このようにして、異なるパラメータを監視することができ、かつ/または制御回路の様々な部品の経年変化を監視することができ、かつ/または異なる大きさの故障確率に区別することができる。それにより、制御装置の予期せぬ故障に対する特に僅かなリスクが達成され得る。
【0036】
センサ部品は、発展形態において、監視回路内で特に直列に接続される。それにより、例えば測定を用いて、すべてのセンサ部品の状態を同時に監視することができる。代替的に、センサ部品は、並列に接続することもできる。この場合にも、例えば電気抵抗に基づいて、1つ以上のセンサ部品の故障を測定することができる。さらなる代替として、複数のセンサ部品が個別にマイクロコントローラに接続されることも考えられる。このようにして、それらのセンサ部品を有利に個別に監視することができる。
【0037】
制御装置の一実施形態では、センサ部品または複数のセンサ部品のうちの1つは、制御回路の対応する部品よりも大きな質量と大きな体積とを有する抵抗、特にセラミック抵抗である。このようにして、例えば抵抗が固定されているはんだ付け箇所の経年変化もしくは不良を測定できる。このことは、例えば熱サイクルおよび/または機械的振動によって引き起こされ得る。
【0038】
別の実施形態では、センサ部品または複数のセンサ部品のうちの1つは、その特に露出した金属表面が、制御回路の各部品の金属表面よりも大きい抵抗である。この場合のセンサ部品は、特に抵抗アレイであり、それに対して制御回路の対応する部品は、特に単独抵抗である。金属表面は、特に銀表面である。このようにして、硫黄暴露による経年変化を監視することができる。センサ部品は、発展形態においては、代替的または付加的に、硫黄暴露の際の腐食に対して所期のように構成されている、微細な特に露出した金属構造を備えていてもよい。
【0039】
さらなる実施形態では、センサ部品もしくは複数のセンサ部品のうちの1つは、コイルである。このコイルは、特に、制御回路内の対応する1つ以上の部品を表すコイルよりも機械的に弱く設計されている。これらのコイル部品は、特に振動疲労の影響を受けやすい可能性がある。
【0040】
さらなる実施形態では、センサ部品もしくは複数のセンサ部品のうちの1つは、電解コンデンサである。この場合、好ましくは、電解コンデンサの容量が測定値として測定される。実際の容量は、電解コンデンサの熱的経年変化を検出するために特に適している。
【0041】
さらなる実施形態では、センサ部品もしくは複数のセンサ部品のうちの1つは、ダイオードである。例えばこのダイオードは、制御回路の対応する部品の拡散バリアよりも低減されている拡散バリアを備えるように形成された、または欠如している拡散バリアで形成された制御装置のASICのダイオードである。このダイオードは、例えば、超臨界ダイオードである。このようにして、熱的経年変化、特に半導体材料における熱駆動拡散が容易に監視できる。
【0042】
発展形態では、監視回路は、特にマイクロコントローラを用いて、セラミック抵抗、抵抗アレイおよびコイルの直列接続の体積抵抗率を測定する。警告信号は、特に体積抵抗率が所定の抵抗目標値を上回った場合に出力される。
【0043】
別の実施形態では、制御回路は、複数の同種の電気的または電子的な部品を含む。これらの同種の部品は、それらが自動車の運転機能の制御に共に寄与するように相互接続されている。さらにそれらの部品は、同種の複数の部品のうちの個々の故障が、運転機能を制御する制御回路(CC)の機能性を損なわないように相互接続される。例えばそれらは並列に接続された複数の抵抗である。
【0044】
同種の部品は、この実施形態では合目的にセンサ部品を示し得る。監視回路は、実際値を求めるために同種の部品のうちの個々のまたはサブセットの故障を検出するように構成されている。
【0045】
そのためパラメータは、特に、センサ部品の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表すだけでなく、同じように自動車の運転機能の制御に寄与する同種の部品の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表す。センサ部品は、このようにして、制御装置の動作により、制御回路の部品と同一の負荷にさらされ、構造的にも同一であるので、制御装置の故障確率の特に良好な予測を達成することができる。
【0046】
制御装置の合目的な実施形態では、制御回路、監視回路および少なくとも1つのセンサ部品は、共に制御装置のハウジング内に配置される。このハウジングは、例えば湿気の侵入に対して封止されている。制御回路と同じハウジング内へのセンサ部品および監視回路の配置によって、制御回路の熱的、機械的および/または化学的な負荷を、特に良好に監視できる。特に、共通のハウジング内のセンサ部品および制御回路は、制御回路と同じ周辺環境条件、例えば温度、振動または硫黄濃度を有する。
【0047】
この方法、装置および制御装置のさらなる利点および好ましい構成および発展形態は、図面に関連して示された以下の実施例から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図2】第2の実施例による制御装置の大幅に簡略化された回路図
【
図3】第3の実施例による制御装置の大幅に簡略化された回路図
【
図4】第4の実施例による制御装置の大幅に簡略化された回路図
【0049】
図面中同一の要素、同種の要素または作用の同じ要素には、同じ参照番号が付されている。いくつかの図面では、明瞭性を向上させるために個々の参照番号や要素を省略している場合がある。これらの図面および当該図面中に示されている要素相互間のサイズ比は、縮尺通りとしてみなされるべきではない。むしろ、個々の要素は、明瞭性を高めるために、かつ/またはよりよい理解のために拡大して示されている場合がある。
【0050】
図1は、第1の実施例による制御装置ECUの大幅に簡略化された断面図を示す。
【0051】
制御装置ECUはハウジングHを有しており、このハウジングH内には、プリント回路基板PCBが配置されている。このプリント回路基板PCB上の導体線路ならびにさらなる構成素子を用いて制御回路CCと監視回路SCとが形成されている。これらの制御回路CCおよび監視回路SCは相互に異なっている。ここではこの制御回路CCは、電気もしくは電子構成素子ECおよびマイクロコントローラμC2を含む。監視回路SCは、さらなるマイクロコントローラμC1ならびにセンサ部品S1を含む。センサ部品S1は、制御装置の通常動作中は、車両の運転機能の制御には寄与しない。構成素子ECおよびマイクロコントローラμC2を有する制御回路CCと、センサ部品S1およびマイクロコントローラμC1を有する監視回路SCと、プリント回路基板PCBとは、共通のハウジングH内に配置されている。2つのマイクロコントローラμC1およびμC2の機能は、唯1つのマイクロコントローラ内で実現されていてもよい。一実施形態では、センサ部品S1は硫黄センサである。
【0052】
電子制御装置ECUを監視する方法の一実施例では、センサ部品S1を用いて硫黄濃度に対する測定値M1が検出される。検出された測定値M1は、監視回路SCを用いて、センサ部品S1を用いた硫黄濃度の先行の測定から得られた値であり、特にマイクロコントローラμC1の内部メモリinMから読み出される値を用いて算出される。このようにして、制御装置ECUの硫黄曝露に対する実際値が求められる。硫黄曝露は、制御装置ECUの化学的な負荷を表すパラメータである。
【0053】
算出された実際値は、所定の、特にメモリinMから読み出された目標値と比較される。実際値がこの目標値を上回っている場合、監視回路SCを用いて信号Iが出力され、制御装置ECUから車両用電子機器の他のコンポーネントに伝送される。
【0054】
硫黄暴露の算出は、この場合限定として理解すべきではない。他のパラメータとそれに対応するセンサ部品S1、特に、従来技術の欄で述べたように、例えば制御装置ECUの機械的または熱的な負荷を監視するためのセンサ部品S1を使用することも可能である。
【0055】
図2は、第2の実施例による制御装置ECUの大幅に簡略化された回路図を示す。第2の実施例による制御装置ECUは、第1の実施例の制御装置ECUに実質的に相応する。この回路図では、制御回路CCとその構成要素は簡略化のために省略されている。
【0056】
第1の実施例とは対照的に、第2の実施例の制御装置ECUの監視回路SCは、複数のセンサ部品S1,S2,S3を含む。マイクロコントローラμC1を用いて、監視回路SCのセンサ部品S1,S2,S3の測定値M1,M2,M3が検出され、1つのパラメータの実際値の算出のために、または代替的に複数のパラメータの実際値の算出のために用いられる。
【0057】
複数の実際値またはそれらに対応する値は、制御装置ECUの内部メモリinM内に記憶され、後続の測定の実際値の算出の際に読み出されて考慮される。この内部メモリinMは、マイクロコントローラμC1に集積されるかまたは付加的な部品として構成されていてもよい。
【0058】
1つ以上のパラメータの1つの実際値もしくは複数の実際値と、1つの目標値もしくは対応する複数の目標値との比較結果に依存して出力される信号Iは、信号線路を用いて制御装置ECUから車両用電子機器の他のコンポーネントに転送され、当該信号に対応する値がエラーメモリexMに格納される。例えば種々のセンサ部品S1,S2,S3の実際値に依存して、監視回路SCは、制御装置ECUの異なる強さの熱的、機械的および/または化学的なストレスに相応する異なる信号Iを出力するように構成されていてもよい。
【0059】
図3は、第3の実施例による制御装置ECUの大幅に簡略化された回路を示す。第3の実施例の制御装置ECUは、第2の実施例の制御装置ECUに実質的に相応する。
【0060】
しかしながら、第2の実施例の制御装置ECUとは対照的に、信号Iもしくはそれに対応する値は、メモリexM内にのみ格納されるだけでなく、付加的に表示要素Indを用いて音響的および/または光学的にシグナリングすることもできる。この表示要素Indは、例えば自動車の運転者に車両の状態に関して情報を提供するように構成された表示パネルの構成要素、例えばいわゆる計器パネルである。信号Iがそのような表示要素Indを介して表示される制御装置ECUを監視する方法の一実施例は、特に
図1および
図2に関連して説明したように、他の制御装置ECUに対しても適用可能でかつ有利である。
【0061】
さらに付加的に第3の実施例による制御装置ECUは、第2の実施例の制御装置ECUとは次の点で異なる。すなわち、センサ部品S1,S2,S3として、例えば温度センサ、振動センサ、湿度センサのような周辺環境の影響を検出するために特化されているセンサが用いられているのではなく、抵抗、コイル、コンデンサまたはダイオードのような標準的電気的または電子的な部品が用いられている点である。制御装置ECUの熱的、機械的または化学的な負荷を表すパラメータの測定は、この実施例では、特に、各センサ部品S1,S2,S3の構造形式に典型的なパラメータの偏差の測定を介して行われ、特に抵抗ではそのオーム抵抗値、コイルではその抵抗および/またはそのインダクタンス、コンデンサではその容量、の偏差の測定を介して行われる。このようにして測定されたパラメータは、特に、各センサ部品S1,S2,S3の熱的、機械的および/または化学的なストレスを表している。
【0062】
これらのセンサ部品S1,S2,S3は、特に、制御装置ECUの(
図3でも省略されている)制御回路CCにおいて電気的または電子的な部品ECとして用いられている、抵抗、コイル、コンデンサまたはダイオードのような標準的部品と同一構造である。ただしこれらのセンサ部品S1,S2,S3は、それらが熱的、機械的および/または化学的な負荷に対して、制御回路CCの対応する部品ECよりも影響を受けやすいように設計されている。
【0063】
例えば、監視回路SCにおいては、第1のセンサ部品S1として、その質量および体積が制御回路CC内の最大セラミック抵抗の質量および体積よりも大きいセラミック抵抗が用いられる。例えば、制御回路CC内に、EIA規格による1206以下のサイズのセラミック抵抗のみが使用されている場合には、センサ部品S1として、EIA規格による2510のサイズのセラミック抵抗を用いてもよい。したがって、そのより大きな質量および寸法に基づいて、センサ部品S1は、制御回路CCの対応する部品ECよりも機械的および/または熱的なストレスに対する影響を受けやすい。例えば、センサ部品S1のはんだ付け箇所の経年変化は、対応する部品ECよりも加速される。
【0064】
第2のセンサ部品S2として、例えば、このように硫黄暴露に対する影響を受けやすい、銀コーティングおよび微細な金属構造を有する抵抗アレイを使用してもよい。制御回路CCの対応する部品ECとして、例えば、硫黄にさらされる銀がより少ない単独抵抗のみが使用される。
【0065】
第3のセンサ部品S3として、例えば、制御回路CC内で対応する部品ECとして用いられるコイルよりも機械的に弱く設計されたコイルが使用される。このセンサ部品S3は、それによって例えば振動疲労に対する影響を受けやすい。
【0066】
この実施例では、3つのセンサ部品S1,S2,S3が電気的に直列に接続されており、監視回路SCは、測定値の検出のために、この直列回路の体積抵抗率を、目標抵抗値と比較する。この体積抵抗率の実際値が所定の目標値から逸脱し過ぎると、監視回路SCは制御装置ECUの技術的寿命の終了をシグナリングする。
【0067】
図4は、第4の実施例による制御装置ECUの大幅に簡略化された回路を示す。この第4の実施例の制御装置ECUは、基本的に第1の実施例の制御装置ECUに相応する。
【0068】
しかしながら、センサ部品S1として、制御回路CCと同種でかつここでは同一構造でもある複数の部品ECも用いられる。そのため、これらのセンサ部品S1もしくは同種の部品ECは、制御回路CCの構成要素でもあり監視回路SCの構成要素でもある。制御回路CCおよび監視回路SCは、1つの発展形態において同一であってもよい。さらにこの実施例において、制御回路CCおよび監視回路SCのマイクロコントローラμC1,μC2は、空間的に分離された構成素子ではない。
【0069】
同種の部品ECは、この実施例では、同一構造の抵抗である。これらの抵抗の数は、いくつかの抵抗が故障しても、自動車の運転機能を制御する制御回路CCの機能性が損なわれないように選択される。
【0070】
しかしながら、制御装置ECUは、監視回路SCを用いて、個々のセンサ部品S1の故障、すなわち同種の複数の部品ECのうちの個々の故障を求めるように構成されている。例えば複数の抵抗の並列接続の抵抗値が実際値として求められる。このことは、例えば、電流を測定するシャント抵抗SHを利用して行うことができる。
【0071】
抵抗は、すべての部品ECが機能可能である場合には、合目的に並列接続の抵抗値に相応する目標値と比較される。この比較結果に依存して、例えば第3の実施例に関連して上述したように、警告信号を出力することができる。この場合、発展形態においては、様々な警告段階を、例えば従来技術の欄で説明した第1、第2および第3の信号に応じて、故障した抵抗の種々の数に対応させてもよい。
【0072】
本発明は、実施例に基づく説明によってこれらの実施例に限定されるものではない。むしろ本発明は、任意の新規な特徴、ならびに特に実施例および請求の範囲の複数の特徴の任意の組み合わせを含む、複数の特徴の任意の組み合わせを包含している。