(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流量測定システムのフローチューブ内の流体の流量を決定する方法であって、前記システムは少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、送信段階において前記流体を介して超音波信号を送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記方法は、
a1)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの2つの前記読み出しの間の第1の時間差を決定するステップと、
b)少なくとも前記決定された差にもとづいて前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定し、それにより前記少なくとも3つのトランスデューサの前記第1のものの送信遅延を除去するステップと、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサに基づいて、前記受信された超音波信号の振幅の減衰を決定するステップと、
前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間で前記送信された超音波信号に対して生じる媒体遷移に関する伝達係数を、前記決定された振幅の減衰に基づいて決定するステップと、
前記流体の質量流量を決定するために、前記決定された減衰および前記決定された伝達係数に基づいて、前記流体の質量密度を決定するステップと、
を備える流量を決定する方法。
流量測定システムのフローチューブ内の流体の流量を決定する方法であって、前記システムは少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、送信段階において前記流体を介して超音波信号を送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記システムは、少なくとも2つの受信回路であって、前記受信回路は、それぞれ、受信段階で前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すように構成されている、少なくとも2つの受信回路と、前記受信回路を前記トランスデューサに選択的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路とを備え、前記方法は、
a1)前記送信段階で前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階で前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すステップとを備え、各励起するステップは、
前記マルチプレクサ回路を使用して、前記少なくとも2つの受信回路のそれぞれを前記少なくとも2つの非送信の超音波トランスデューサの1つにそれぞれ選択的に接続することを備え、各励起ステップ(a1)は少なくとも1回繰り返され、それぞれの繰り返された励起ステップに関して、前記少なくとも2つの受信回路は、前記マルチプレクサ回路を使用して前記少なくとも2つの非送信の超音波トランスデューサの異なる1つに接続されることを特徴とし、
前記方法は、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサに基づいて、前記受信された超音波信号の振幅の減衰を決定するステップと、
前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間で前記送信された超音波信号に対して生じる媒体遷移に関する伝達係数を、前記決定された振幅の減衰に基づいて決定するステップと、
前記流体の質量流量を決定するために、前記決定された減衰および前記決定された伝達係数に基づいて、前記流体の質量密度を決定するステップと、
をさらに備える、流量を決定する方法。
流量が決定されるべき流体のためのフローチューブを備える流量測定システムであって、前記システムは、少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、超音波信号を送信段階で前記流体を通して送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記システムは、
a1)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの前記読み出しの間の第1の時間差を決定し、且つ、
b)少なくとも前記決定された差に基づいて前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定し、それにより前記少なくとも3つのトランスデューサの前記第1のものの送信遅延を除去するように構成され、
前記システムは、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された少なくとも2つの非送信のトランスデューサに基づいて、前記受信された超音波信号の振幅の減衰を決定し、
前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間で前記送信された超音波信号に対して生じる媒体遷移に関する伝達係数を、前記決定された振幅の減衰に基づいて決定し、
前記流体の質量流量を決定するために、前記決定された減衰および前記決定された伝達係数に基づいて、前記流体の質量密度を決定する、
ようにさらに構成されている、流量測定システム。
前記システムは少なくとも3つの超音波回路を備え、前記少なくとも3つの超音波トランスデューサは、互いに連続して配置され、2つの連続して配置された超音波トランスデューサの間の物理的距離は実質的に等しい、請求項15または16に記載の流量測定システム。
前記超音波トランスデューサ回路のそれぞれは、単一の負荷インピーダンスを備え、それを介して対応する超音波トランスデューサが前記送信段階に励起され、且つ、それを介して前記対応する超音波トランスデューサが前記受信段階中に読み出される、請求項15から18のいずれかに記載の流量測定システム。
【発明の概要】
【0004】
流体の流量を決定する分野において常に存在する課題の1つは、測定の精度を改善することである。すなわち、フローチューブ内の流体の流量は、可能な限り正確に決定されるべきである。
【0005】
従って、本発明の目的は、より正確な方法でフローチューブ内の流体の流量を決定する方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、対応する流量測定システムを提供することである。
【0007】
第1の目的を達成するために、本発明は、その第1の態様において、流量測定システムのフローチューブ内の流体の流量を決定する方法であって、前記システムは少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、送信段階において前記流体を介して超音波信号を送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記方法は、
a1)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの2つの前記読み出しの間の第1の時間差を決定するステップと、
b)少なくとも前記決定された差にもとづいて前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定し、それにより前記少なくとも3つのトランスデューサの前記第1のものの送信遅延を除去するステップと、
を備える方法を提供する。
【0008】
本発明者らは、超音波トランスデューサ回路に生じる時間遅延および/または時間誤差が流量測定の精度に悪影響を与えることを見出した。
【0009】
流量測定システムが少なくとも3つのトランスデューサを含み、1つのトランスデューサが励起されて超音波信号を送信し、少なくとも2つの他のトランスデューサがそれらの送信された超音波信号を受信し、且つ、流体を通る超音波信号の速度が読み出しの正確な瞬間の間の時間差に基づく場合には、これらの時間遅延および/または時間誤差は、除去、すなわち無視されうる。このように、超音波信号の送信と、非送信のトランスデューサのいずれかによるそれの受信との間の時間差は、考慮されない。したがって、第1の非送信のトランスデューサでの超音波信号の受信と、第2の非送信トランスデューサでの同じ超音波信号の受信との間の時間差が、流体を通る超音波信号の速度を決定するために使用される。
【0010】
そのような場合、1つのトランスデューサが励起されるように1つのトランスデューサの送信段階への制御の間に起こる時間遅延および/または時間誤差は、送信された超音波信号を2つの異なるトランスデューサで受信することにより、除去されうる。例えば、2つの異なるトランスデューサが両方、励起されたトランスデューサに対して上流または下流に配置される場合、これらの2つの異なるトランスデューサでの超音波信号の受信の間の時間差は、流量を決定するために使用されうる。
【0011】
本発明によれば、この方法は、流体の流量、流体の質量流量、および、流体の体積流量などの異なるタイプの流量を正確に決定するために使用されうる。
【0012】
一実施形態では、前記方法は、a2)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第2のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの2つの前記読み出しの間の第2の時間差を決定するステップをさらに備え、
前記ステップb)は、
b)少なくとも前記決定された第1の時間差および前記第2の時間差にもとづいて、前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定することをさらに備える。
【0013】
ここでは、上述した実施形態の利点の説明が、正確に3つの超音波トランスデューサ回路に関して提供され、3つの超音波トランスデューサはフローチューブ内またはフローチューブにおいて互いに連続して配置され、これら3つの超音波トランスデューサの間の物理的な距離は事前に知られている。
【0014】
しかし、この推論は、当業者には明らかなように、3つより多い超音波トランスデューサ回路に拡張されてもよい。それは、3つより多い非送信のトランスデューサが、送信しているトランスデューサの上流および/または下流に配置される場合に有利であり得る。このような場合、非送信のトランスデューサで受信された超音波信号の間の複数の別々の時間差が決定されることがあり、流量の決定は、これらの決定された複数の時間差すべてにわたって平均されうる。
【0015】
この方法のステップa1)における励起されたトランスデューサは、超音波信号を、流体を介して2つの非送信のトランスデューサに向けて送信する。
【0016】
これらの2つの非送信のトランスデューサにおける受信信号間の時間差は、とりわけ、超音波信号が流体を伝搬する速度および流体自体の流量に依存する。
【0017】
この方法のステップa2)における励起されたトランスデューサはまた、超音波信号を、流体を介して2つの非送信のトランスデューサに向けて送信する。明確にするために、ステップa2)において励起されたトランスデューサは、ステップa1)で励起されたトランスデューサと比較して異なる。
【0018】
上記に基づいて、1つは、1)流体中の超音波信号の速度、および、2)流体自体の流量を得るために解かれることができる2つの方程式および2つの未知の変数の組とともに残る。
【0019】
上記から明らかなように、3つの超音波トランスデューサの場合、ステップa1)において、3つのトランスデューサの第1の外側のトランスデューサが励起され、そして、ステップa2)において、3つのトランスデューサの第2の外側のトランスデューサが励起される。中央のトランスデューサがステップa1)およびa2)のいずれかで励起されることも可能である。
【0020】
一実施形態では、前記方法は、
a3)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第3のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すステップをさらに備える。
【0021】
測定の精度をさらに向上させるために、一度により多くのトランスデューサを励起することができ、少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサが毎回読み出されることができ、その結果、流量の複数の測定になる。これらの測定値は平均化され、不正確さをさらに除去することができる。
【0022】
一実施形態では、前記方法は、
a4)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの残りを交互に励起して前記超音波信号を送信し、それらの受信段階において、交互に励起されたトランスデューサのそれぞれに関して、前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すステップをさらに備える。
【0023】
別の実施形態では、方法ステップは複数回実行され、測定の精度をさらに向上させ、例えば、各ステップは2回実行される。
【0024】
一実施形態では、前記方法は、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサに基づいて、前記受信された超音波信号の振幅の減衰を決定するステップと、
前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間で前記送信された超音波信号に対して生じる媒体遷移に関する伝達係数を、前記決定された振幅の減衰に基づいて決定するステップと、
前記流体の質量流量を決定するために、前記決定された減衰および前記決定された伝達係数に基づいて、前記流体の質量密度を決定するステップと、
をさらに備える。
【0025】
本発明者らは、少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み取ることによって、それらの受信された超音波信号の振幅の減衰を決定することができることを見出した。本発明者らはさらに、送信された超音波信号が媒体遷移(medium transitions)を受けることに注目し、これについては、さらに詳細に説明する。最後に、本発明者らは、媒体遷移に関する伝達係数が少なくとも流体の質量密度に依存するため、決定された減衰および決定された透過係数に基づいて、流体の質量密度を決定できることを見出した。
【0026】
流体の流量および流体の質量密度が決定されると、流体の質量流量を確立することができる。
【0027】
本発明の文脈において、伝達係数は、第1の媒体から第2の媒体へと通過する送信された超音波信号の減衰、すなわち媒体遷移に関連する。
【0028】
例えば、少なくとも3つのトランスデューサがフローチューブに配置されている場合、またはフローチューブに対して配置されている場合、媒体遷移が起こる。そのような場合、送信のトランスデューサは、超音波信号をフローチューブを介して流体に入れる。さらに、送信された超音波信号は、それらが少なくとも2つの非送信のトランスデューサに達する少し前に、流体からフローチューブに、またその逆に伝播してもよい。
【0029】
例えば、フローチューブが鋼を含む場合、フローチューブから流体への超音波信号の伝達係数は、およそ0と0.1の間である。流体からフローチューブへの超音波信号の伝達係数は、およそ1.9と2.0の間である。
【0030】
少なくとも3つのトランスデューサがフローチューブ内に、すなわち流体内に配置されている場合には、媒体遷移も起こり得る。従って、超音波信号は、例えば、超音波トランスデューサに含まれるピエゾ素子から流体に、またその逆に伝搬することができる。
【0031】
本発明に関連して、受信された超音波信号の振幅の減衰を決定するステップは、受信された超音波信号の増幅を決定することに置き換えることもできる。
【0032】
一実施形態では、前記伝達係数を決定するステップは、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間の時間差に基づいてショルテ波(Scholte wave)の速度を決定することを備える。
【0033】
ショルテ波は、流体とフローチューブなどの固体媒体との間の界面で伝播する表面波の界面波である。波は界面で最大強度であり、指数関数的に減少して界面から離れてフローチューブと流体の両方に入る。
【0034】
他の実施形態では、前記方法は、
前記決定された前記ショルテ波の速度に基づいて、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間の前記送信された超音波信号に関する媒体遷移の数を決定するステップを備え、前記質量密度は前記決定された媒体遷移の数に基づいてさらに決定される。
【0035】
典型的には、送信のトランスデューサは、ある周波数または一組の周波数で信号を送信するように設定される。少なくとも2つの非送信のトランスデューサ間の既知の所定の距離、ショルテ波の速度、および、送信のトランスデューサに関する印加される周波数に基づいて、少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間の送信された超音波信号に関する媒体遷移の数を決定することが可能である。
【0036】
第2の態様では、本発明は、流量測定システムのフローチューブ内の流体の流量を決定する方法であって、前記システムは少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、送信段階において前記流体を介して超音波信号を送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記システムは、
少なくとも2つの受信回路であって、前記受信回路は、それぞれ、受信段階で前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すように構成されている、少なくとも2つの受信回路と、
前記受信回路を前記トランスデューサに選択的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路とを備え、前記方法は、
a1)前記送信段階で前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階で前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すステップとを備え、
各励起するステップは、
前記マルチプレクサ回路を使用して、前記少なくとも2つの受信回路のそれぞれを前記少なくとも2つの非送信の超音波トランスデューサの1つにそれぞれ選択的に接続することを備え、
各励起ステップ(a1)は少なくとも1回繰り返され、それぞれの繰り返された励起ステップに関して、前記少なくとも2つの受信回路は、前記マルチプレクサ回路を使用して前記少なくとも2つの非送信の超音波トランスデューサの異なる1つに接続される方法を提供する。
【0037】
本発明者らはさらに、少なくとも2つの受信回路に生じる時間遅延、時間誤差および/または時間オフセットが、流量測定の精度に悪影響を及ぼすことも見出した。
【0038】
流量測定システムが、受信回路を非送信のトランスデューサに選択的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路を含む場合、これらの時間遅延、時間誤差および/または時間オフセットは、補償、すなわち除去されうる。したがって、マルチプレクサ回路は、例えば、非送信のトランスデューサのそれぞれを受信回路の1つに接続し、各励起ステップ、例えばステップa1)−a4)に関してそのように行う。
【0039】
以下では、上記の特定された実施形態は、例として、3つのトランスデューサおよび正確に2つの受信回路を参照してより明瞭に説明される。しかしながら、当業者には明らかなように、基本概念は2つより多い受信回路に適用可能である。
【0040】
ステップa1)において、第1のトランスデューサが励起されて超音波信号を送信する。次に、第2および第3のトランスデューサはそれぞれ、マルチプレクサ回路を使用して、2つの受信回路のうちの1つに接続され、続いて読み出される。
【0041】
次に、ステップa1)が繰り返されて、第1のトランスデューサが再び励起されて超音波信号を送信する。第2および第3のトランスデューサはそれぞれ、再度、マルチプレクサ回路を使用して受信回路の1つに接続され、続いて読み出される。しかし、この場合、第2および第3のトランスデューサは、マルチプレクサを使用して、前のステップa1)と比較して異なる受信回路に接続される。
【0042】
一例では、前記方法は、
a2)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第2のものを励起して前記超音波信号を送信し、それらの受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すステップをさらに備え、
前記ステップa2)も少なくとも1回繰り返され、それぞれの繰り返された励起ステップ(a1,a2)に関して、前記少なくとも2つの受信回路は、前記マルチプレクサ回路を使用して前記少なくとも2つの非送信の超音波トランスデューサの異なる1つに接続される。
【0043】
さらに、本発明の第2の態様に関して提供される方法の実施例は、本発明の第1の態様に関して提供される方法の実施例と組み合わされ得ることに留意されたい。
【0044】
第3の態様によれば、本発明は、流量が決定されるべき流体のためのフローチューブを備える流量測定システムであって、前記システムは、少なくとも3つの超音波トランスデューサ回路を備え、各回路は、超音波信号を送信段階で前記流体を通して送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも3つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された超音波トランスデューサを備え、前記システムは、
a1)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第1のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの前記読み出しの間の第1の時間差を決定し、且つ、
b1)少なくとも前記決定された差に基づいて前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定し、それにより前記少なくとも3つのトランスデューサの前記第1のものの送信遅延を除去するように構成されたシステムを提供する。
【0045】
ここで、前記システムは、
a2)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第2のものを励起して前記超音波信号を送信し、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出し、且つ、前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの2つの前記読み出しの間の第2の時間差を決定するようにさらに構成され、
前記システムは、
b)少なくとも前記決定された第1の時間差および前記第2の時間差に基づいて、前記流体を通る前記超音波信号の速度を決定するようにさらに構成されてもよい。
【0046】
より詳細な例では、前記システムは、
a3)前記送信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの第3のものを励起して前記超音波信号を送信し、且つ、前記受信段階において前記少なくとも3つのトランスデューサの少なくとも2つの非送信のトランスデューサを読み出すようにさらに構成されている。
【0047】
他の例では、前記システムは、
前記少なくとも3つのトランスデューサの前記読み出された少なくとも2つの非送信のトランスデューサに基づいて、前記受信された超音波信号の振幅の減衰を決定し、
前記少なくとも2つの非送信のトランスデューサの間で前記送信された超音波信号に対して生じる媒体遷移に関する伝達係数を、前記決定された振幅の減衰に基づいて決定し、
前記流体の質量流量を決定するために、前記決定された減衰および前記決定された伝達係数に基づいて、前記流体の質量密度を決定する、
ようにさらに構成されている。
【0048】
方法の例に関して言及した利点は、システムの例に関する利点に対応することに留意されたい。
【0049】
第4の態様によれば、本発明は、流量が決定されるべき流体のためのフローチューブを備える流量測定システムであって、前記システムは、
少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路であって、各回路は、送信段階において超音波信号を前記流体を通して送信するように、且つ、受信段階において前記少なくとも2つの超音波トランスデューサの別のものから送信信号を受信するように構成された、少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路と、
少なくとも1つの受信回路であって、各受信回路は、対応する受信段階において前記少なくとも2つの超音波トランスデューサの1つを読み出すように構成された、少なくとも1つの受信回路と、
前記少なくとも2つの超音波トランスデューサの間で前記少なくとも1つの受信回路を選択的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路と、
を備える流量測定システムを提供する。
【0050】
本発明のこの第4の態様は、少なくとも1つの受信回路で生じる時間遅延、時間誤差および/または時間オフセットが流量測定の精度に悪影響を与えるという洞察に基づいている。
【0051】
流量測定システムが、少なくとも1つの受信回路を非送信のトランスデューサのうちの1つに選択的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路を含む場合、これらの時間遅延、時間誤差および/または時間オフセットは補償、すなわち除去されうる。
【0052】
一実施形態では、前記少なくとも2つのトランスデューサは、前記超音波信号を交互に送信するように構成され、前記マルチプレクサ回路は、前記少なくとも1つの受信回路のそれぞれを前記非送信の超音波トランスデューサの1つにそれぞれ交互に接続するように構成される。
【0053】
この実施形態の文脈では、少なくとも2つのトランスデューサは、超音波信号を交互に送信するように構成されており、これは、少なくとも2つのトランスデューサの各々が、交替で超音波信号を送信することを意味する。このように、少なくとも2つのトランスデューサが超音波信号を送信する特定の順序がある。
【0054】
少なくとも2つのトランスデューサの残りの部分、すなわち送信していないトランスデューサは、それぞれ少なくとも1つの受信回路の1つにそれぞれ一意に接続されている。このように、これらの非送信のトランスデューサは、1つの送信のトランスデューサからの送信信号を受信するための受信段階に制御される。
【0055】
前述のように、少なくとも2つのトランスデューサが超音波信号を送信する交互の順序の利点、したがって少なくとも2つのトランスデューサの残りの部分が受信段階にある交互の順序の利点は、受信回路または複数の受信回路に起因する任意のエラー、ミスマッチ、時間遅延などが平均化されることである。
【0056】
一実施形態では、少なくとも1つの受信回路のそれぞれを非送信の超音波トランスデューサの1つにそれぞれ接続する交互の順序は、超音波信号を交互に送信する少なくとも2つの超音波トランスデューサの同じ交互の順序である。
【0057】
この実施例の利点は、少なくとも1つの受信回路の各々が、少なくとも2つの超音波トランスデューサのそれぞれに1回接続され、それにより、少なくとも1つの受信回路によって生じる任意の時間誤差を効率的に平均化することである。
【0058】
一実施形態では、システムは、少なくとも3つの超音波回路を備え、少なくとも3つの超音波トランスデューサは、互いに連続して配置され、2つの連続する超音波トランスデューサ間の物理的距離は実質的に等しい。
【0059】
上記のことは、超音波信号が2つの連続して配置された超音波トランスデューサ間の流体を通って伝播する必要がある各距離が、実質的に同じであることを意味する。例えば、流量測定システムが3つの超音波トランスデューサを備える場合、第1の超音波トランスデューサと第2の超音波トランスデューサとの間の距離は、第2の超音波トランスデューサと第3の超音波トランスデューサとの間の距離に実質的に等しい。
【0060】
一実施形態では、流量測定システムは、3つの超音波トランスデューサ回路と、2つの受信回路とを含む。
【0061】
実際の状況では、3つの超音波トランスデューサ回路、したがって3つの独立したトランスデューサを適用すると、十分に正確な流量の結果が得られるように見える。
【0062】
一実施形態では、超音波トランスデューサ回路の各々は、単一の負荷インピーダンスを備え、それを介して対応する超音波トランスデューサが送信段階に励起され、且つ、それを介して対応する超音波トランスデューサが受信段階中に読み出される。
【0063】
本発明者らは、超音波トランスデューサをその送信段階に作動させ、且つ、同じトランスデューサを少なくとも1つの受信回路の1つで読み取るために単一の負荷インピーダンスが使用されると有利でありうることに気付いた。
【0064】
一実施形態では、少なくとも2つのトランスデューサ回路のそれぞれの単一の負荷インピーダンスは、同じ値を有する。
【0065】
この実施形態の利点は、測定の精度がさらに改善されることである。すなわち、それぞれの送信の超音波トランスデューサの送信振幅および/または音波特性をより均一にすることができる。さらに、それらの受信段階における超音波トランスデューサの受信感度および受信器特性もより均一になる。
【0066】
一実施形態では、少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路のそれぞれは、電子スイッチを備え、超音波トランスデューサは、対応する電子スイッチを介して、対応する負荷インピーダンスを高電源電圧に、その後で低電源電圧に、短時間接続することによって送信段階に励起される。
【0067】
本発明によれば、超音波トランスデューサをその送信段階に励起するために、超音波トランスデューサは高電源電圧に短時間接続され得、その後で低電源電圧に接続され得、このことは超音波トランスデューサへの励起パルスをもたらすことができる。
【0068】
励起パルスの後、超音波トランスデューサは、グランドに接続され、徐々にゼロに減衰する自由振動の周期を継続する。自由振動の間、超音波トランスデューサは、その超音波トランスデューサが受信段階にある場合と同じ負荷インピーダンスで自身を放電する。
【0069】
毎回、少なくとも2つの超音波トランスデューサを高電源電圧および低電源電圧に接続することは、マイクロコントローラによってタイムリーに制御される電界効果トランジスタ、FETなどの電子スイッチによって達成することができる。
【0070】
一実施形態では、複数の受信回路のそれぞれは、演算増幅器、例えば演算増幅器ベースのバッファを含む。
【0071】
演算増幅器ベースのバッファ増幅器の利点は、そのような増幅器の入力抵抗が非常に高く、受信段階のトランスデューサによる受信された超音波トランスデューサ信号が少なくとも1つの受信回路によって影響を受けないことである。
【0072】
一実施形態では、少なくとも3つのトランスデューサは、圧電トランスデューサである。
【0073】
上記に基づいて、少なくとも1つの受信回路は、立ち下りまたはトレーリング(trailing)エッジを検出するためのスロープまたはエッジ検出器を含むことができる。超音波トランスデューサが励起されるたびに、それはフローチューブ内の流体を介して音の形態で動きを生成する。生成された音は、その後、他の超音波トランスデューサによって受信される。3つの超音波トランスデューサの場合、以下のシーケンスに従うことができる。
【0074】
1)第1の超音波トランスデューサが励起され、流体を介して超音波信号を送信する。これらの信号は、他の2つの超音波トランスデューサによって受信され、2つの受信回路を介してそれぞれ読み出される。マルチプレクサは、第1の受信回路が第2のトランスデューサに接続され、第2の受信回路が第3のトランスデューサに接続されていることを確実にする。
【0075】
2)次に、第1の超音波トランスデューサが非作動にされ、第2の超音波トランスデューサが励起されて超音波信号が流体を介して送信される。他の2つの超音波トランスデューサ、すなわち第1および第3のトランスデューサは、これらの送信された超音波信号を受信する。次に、第1および第3のトランスデューサは、同じ2つの受信回路を介してそれぞれ読み出される。しかし、この場合、マルチプレクサは、第1の受信回路が第3のトランスデューサに接続され、第2の受信回路が第1のトランスデューサにそれぞれ接続されていることを確実にする。
【0076】
3)次に、第2の超音波トランスデューサが非作動にされ、第3の超音波トランスデューサが励起されて超音波信号が流体を介して送信される。他の2つの超音波トランスデューサ、すなわち第1および第2のトランスデューサは、これらの送信された超音波信号を受信する。次に、第1および第2のトランスデューサは、同じ2つの受信回路を介してそれぞれ再び読み出される。しかし、この場合、マルチプレクサは、第1の受信回路が第1のトランスデューサに接続され、第2の受信回路が第2のトランスデューサに接続されていることをそれぞれ確実にする。
【0077】
最後に、上述の3つのステップのすべてを再度実行することができる。しかしながら、この場合、各ステップについて、2つの受信回路は2つの非送信のトランスデューサに異なって接続される。
【0078】
従って、第1のステップでは、
マルチプレクサは、第2の受信回路が第2のトランスデューサに接続され、第1の受信回路が第1のトランスデューサに接続されていることをそれぞれ確実にする。
【0079】
第2のステップでは、
マルチプレクサは、第2の受信回路が第3のトランスデューサに接続され、第1の受信回路が第1のトランスデューサに接続されていることをそれぞれ確実にする。
【0080】
第3のステップでは、
マルチプレクサは、第2の受信回路が第1のトランスデューサに接続され、第1の受信回路が第2のトランスデューサに接続されていることをそれぞれ確実にする。
【0081】
本発明の第3の態様に関するシステムの例は、本発明の第4の態様に関するシステムの例と組み合わせることができることに留意されたい。
【0082】
本発明は、第5の態様において、上述の実施形態のいずれかによる流量測定システムを用いて流体の流量を測定する方法であって、前記方法は、
前記超音波トランスデューサの1つを交互に励起するステップと、
前記マルチプレクサ回路を使用して、前記トランスデューサの前記残りのそれぞれを前記少なくとも1つの受信回路の異なる1つにそれぞれ選択的に接続することにより、前記超音波トランスデューサの残りに前記受信段階を提供するステップと、を備える方法を提供する。
【0083】
一実施形態では、前記超音波トランスデューサの1つを前記送信段階に交互に励起するステップは、
前記超音波トランスデューサを有する前記少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路に別々の制御信号を供給することを備え、前記別々の制御信号は、前記少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路の前記超音波トランスデューサの1つを前記送信段階に交互に励起するように構成されている。
【0084】
別の実施形態では、別々の制御信号を供給するステップは、
前記マルチプレクサ回路により、前記別々の制御信号のそれぞれを、前記少なくとも2つの超音波トランスデューサ回路の異なる1つに交互にそれぞれ接続するステップをさらに備える。
【0085】
本発明による流量測定システムおよび/または方法に含まれる異なる態様の表現、すなわち言い回しは、文字通り取られるべきではない。態様の言い回しは、態様の実際の機能の背後にある理論的根拠を正確に表現するために選択されただけである。
【0086】
本発明によれば、その利点を含む本方法の上記の例に適用可能な異なる態様は、本発明による流量測定システムに適用可能な態様に対応する。
【0087】
本発明の上記ならびに他の特徴および利点は、添付図面を参照した以下の説明から最もよく理解されるであろう。図面において、同一の部品、または、同一もしくは同等の機能もしくは動作を実行する部品は、同一の参照番号で示されている。
【0088】
本発明は、特定のタイプの流量測定システムに関連して以下に開示される特定の例に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図1は、流量測定システム1の一部、より具体的には電気的部分を開示する。図示されていないのは、それを通って流体が流れ、且つ、その流体の流速、すなわち流体の速度が決定されるフローチューブである。
【0091】
この特定の例では、流量測定システム1は、それぞれが単一の超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16を備える3つの超音波トランスデューサ回路7,13,14を備える。
【0092】
これらの超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16は、送信段階において流体を介して超音波信号を送信するために使用され、受信段階において送信信号を受信するように構成される。
【0093】
流量測定システム1は、2つの受信回路10,12をさらに備え、各受信回路10,12は、対応する受信段階において、3つの超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16のうちの1つを読み出すように構成される。
【0094】
この例では、流量測定システム1は、2つの受信回路10,12のそれぞれを、3つの超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16の異なる1つに選択的に接続するためのマルチプレクサ回路9を含む。これは、各受信回路10,12が3つのトランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16のうちの1つに一意的に結合、すなわち接続されていることを意味する。例えば、第1の超音波トランスデューサC1−8が励起されている場合、すなわちそれが超音波信号を送信している場合、他の2つの超音波トランスデューサC2−15およびC3−16は受信段階にあり得、すなわち第1の超音波トランスデューサC1−8により送信された超音波信号を受信しうる。マルチプレクサ回路は、次に、第2のトランスデューサC2−15を第1の受信回路10に接続し、第3のトランスデューサC3−16を第2の受信回路12に接続する。
【0095】
流量測定システム1は、3つのトランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16のうちの1つを交互に励起または作動させて超音波信号を流体を介して送信するようにさらに構成される。したがって、例えば、最初に、第1のトランスデューサC1−8が励起されて超音波信号を流体を介して送信する。次に、第1のトランスデューサC1−8が非作動にされ、第2のトランスデューサC2−15が励起されて流体を介して超音波信号を送信する。最後に、第2のトランスデューサC2が非作動にされ、第3のトランスデューサC3−16が励起されて超音波信号を流体を介して送信する。この処理は、連続的に、好ましくはトランスデューサが合計で6回励起されるように2回繰り返してもよい。
【0096】
上述の処理の利点は、3つの超音波トランスデューサ回路7,13,14によって、および、受信回路10,12によって生じる任意の時間誤差、ミスマッチ、時間遅延などが平均化されることである。
【0097】
このように、上記の処理を容易にするために、本発明者らは、2つの受信回路10,12が、毎回、超音波信号を送信するように励起されていないトランスデューサ、すなわち受信段階にされるべき非送信のトランスデューサに接続されるべきであることを見出した。本発明者らは、非送信の超音波トランスデューサのそれぞれを受信回路10,12の1つにそれぞれ一意的に接続するように構成されたマルチプレクサ回路9を組み込むことによって解決策を見出した。
【0098】
その利点は、2つの受信回路10,12に起因する任意のエラー、ミスマッチ、時間遅延などが平均化されることである。この例では、これは、3つの超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16、例えば圧電トランスデューサのそれぞれが少なくとも1回送信段階にあった場合に最も効率的に働き、上述の平均化の効果が最も効率的である。
【0099】
本発明の有利な実施形態では、各超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16は2回励起される。マルチプレクサ回路9は、超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16が励起された2回目で異なる動作をする。2回目において、受信回路10,12は、対応する受信トランスデューサに異なって接続され、すなわち異なる方法で接続される。
【0100】
例えば、第1トランスデューサC1−8が最初に励起されると、マルチプレクサ回路9は第1受信回路10を第2超音波トランスデューサC2−15に接続し、第2受信回路12を第3超音波トランスデューサC3−16に接続する。
【0101】
第1のトランスデューサC1−8が2回目に励起されると、マルチプレクサ回路9は受信回路10,12を異なる方法で第2および第3超音波トランスデューサC2−15,C3−16に接続する。マルチプレクサ回路9は、第1受信回路10を第3超音波トランスデューサC3−16に接続し、第2受信回路12を第2超音波トランスデューサC2−15に接続する。
【0102】
これにより、フローチューブを流れる流体の流速をより正確に測定することができる。
【0103】
本発明によれば、流量は、流体の流量、流体の質量流量、および/または、流体の体積流量を含みうる。これらの異なるタイプの流量の各々は、本発明による流量測定システムおよび/または方法によって正確に決定されうる。
【0104】
図1に示すように、各超音波トランスデューサ回路7,13,14は、超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16、負荷インピーダンスR
1−6,R
2−17,R
3−18、ならびに、電界効果トランジスタ、FET、すなわちFet’s1−5,Fet’s2−19およびFet’s3−20の形態の電子スイッチのような複数のコンポーネントをさらに備えてもよい。
【0105】
特定のトランスデューサ回路の負荷インピーダンス、例えばR
1−6は、超音波トランスデューサ8の自由振動段階の間に、またその対応する受信段階の間にも、対応する超音波トランスデューサ8を送信段階に励起するために使用される。
【0106】
Fet’s1−5,Fet’s2−19およびFet’s3−20の各々は、実際にはインバータ回路に類似しており、対応する制御信号2,21,22は、負荷インピーダンスR
1−6,R
2−17,R
3−18が高電源電圧、すなわち+V−ex−4に、または、低電源電圧、例えばグランド3に接続されるか決定する。制御信号2,21,22はそれぞれ、対応するFet’s1−5,Fet’s2−19およびFet’s3−20のゲートに供給される。
【0107】
超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16をその送信段階に作動させるために、超音波トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16が励起される必要がある。これは、トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16を、対応する負荷インピーダンスR
1−6,R
2−17,R
3−18を介して高電源電圧+V−ex−4に、そしてその後、低電源電圧、すなわちグランド3に短時間接続することによって達成される。
【0108】
励起は、トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16に、超音波信号、すなわち音を、流体を介して放射し始めさせ、その信号は、他のトランスデューサ、すなわち非送信のトランスデューサによってピックアップされる、すなわち受信される。
【0109】
上記のすべての利点は、各トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16が励起され、同じ負荷インピーダンス値で読み出されることである。例えば、第1トランスデューサC1−8は、その対応する負荷インピーダンスR
1−6を介して作動され、そしてまた、トランスデューサ8がその負荷インピーダンスR
1−6を介して例えばグランド3に放電されるときに、受信回路10,12の1つによって読み出される。
【0110】
異なる超音波トランスデューサ回路7,13,14を互いに同調させるために、負荷インピーダンスR
1−6,R
2−17,R
3−18は同じ値を有しうる。
【0111】
図1に示すように、受信回路10,12は、演算増幅器ベースのバッファ増幅器11,23を備えてもよい。その利点は、受信回路10,12がトランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16の放電に、その読み出し中に影響を及ぼさないように、そのような増幅器の入力インピーダンスが大きい、すなわちメガオームまたはギガオームのオーダであることである。
【0112】
制御信号2,21,22は、フィールドプログラマブルゲートアレイ、FPGA、マイクロプロセッサなどによって提供され、これらのデバイスは、トランスデューサが送信段階および受信段階にあるタイミング、すなわち瞬間を制御するために使用される。
【0113】
前述したように、本発明による方法は、フローチューブを通る流体の質量流量を決定するのに適している。この原理については、以下でより詳細に説明する。
【0114】
まず、トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16のうちの1つ、例えば第1トランスデューサC1−8が励起され、すなわちそれが超音波信号を送信し、且つ、他の2つの超音波トランスデューサC2−15およびC3−16は、受信段階にされ、すなわち第1トランスデューサC1−8によって送信された超音波信号を受信する。マルチプレクサ回路9は、例えば、第2トランスデューサC2−15を第1受信回路10に接続し、且つ、第3トランスデューサC3−16を第2受信回路12に接続する。
【0115】
第2トランスデューサC2−15と第3トランスデューサC3−16は共に、第1トランスデューサC1−8の上流または下流のいずれかに配置される。したがって、第2トランスデューサC2−15および第3トランスデューサC3−16における受信された超音波信号の振幅の減衰または増幅は、以下で導出される。
【数1】
【0116】
ここで、αは、第2トランスデューサC2−15で受信された超音波信号の振幅A2と、第3トランスデューサC3−16で受信された超音波信号の振幅A3とに関する増幅度を表す。
【0117】
超音波信号の振幅の減少は、流体とフローチューブとの間の超音波信号の伝達によって主に決定され、逆もまた同様であることは、本発明者の洞察であった。
【0118】
超音波信号の固体から流体への遷移に関連する伝達係数は、以下のように定義される。
【数2】
【0119】
ここで、第1の材料はフローチューブの材料、例えば鋼を表し、第2の材料は流体を表す。記号「ρ」は、対応する材料の密度を表し、記号「c」は、対応する材料を通る超音波信号の速度を表す。
【0120】
同様に、超音波信号の流体から固体への遷移に関連する伝達係数は、以下のように定義される。
【数3】
【0121】
ここで、第1の材料はしたがって流体であり、第2の材料はしたがって鋼であり、すなわちフローチューブを表している。
【0122】
ショルテ波の速度が予め分かっているか、または本発明による方法を用いて決定される場合、トランスデューサC1−8,C2−15およびC3−16の間の距離が分かっている場合、ならびに、送信された超音波信号の周波数が分かっている場合、超音波信号が固体から流体におよび/またはその逆に遷移する回数は、以下のように決定される。
【数4】
【0123】
ここで、記号「λ」は送信された超音波信号の波長を表し、記号「f」は送信された超音波信号の周波数を表し、記号「n」は超音波信号が固体から流体におよび/またはその逆に遷移する回数を表し、記号「x」は、第2トランスデューサC2−15と第3トランスデューサC3−16との間の距離を表す。
【0124】
次に、流体の密度「ρ」の値は、以下のように反復して決定されてもよい。まず、流体は水であると仮定する。水から鋼への超音波信号の遷移のための伝達係数は既知であり、すなわち、「T
rb」は約1.94であることが知られている。残りのパラメータは既知であるか、または本発明による方法によって決定することができるので、密度「ρ」の値を決定することができる。次に、決定された密度「ρ」の値を用いて「T
rb」の値が再度決定される。このプロセスは、密度「ρ」の妥当な一定値が得られるまで、例えば1回または数回繰り返される。
【0125】
流体の密度「ρ」および(決定された)流体の流量に基づいて、流体の質量流量を確立することができる。
【0126】
図2は、本発明によるシステムのための流量計101を斜視図で示す。流量計101は、その流量が測定されるべき媒体用のフローチューブ102を備えている。フローチューブは、外側ジャケット103を有する。フローチューブには、入口Aおよび出口Bが設けられている。フローチューブは、好ましくは、長手方向Lに延びる細長い直管102である。
【0127】
フローチューブ102の外側ジャケット103には、図示された実施形態では環状であり、且つ、管102の全周に設けられた第1超音波トランスデューサ111が設けられている。第1発振器111は、音響的に伝導性の層121を介して、フローチューブ102の外側ジャケット103に音響的に接触している。
【0128】
第1超音波トランスデューサ111から長手方向に離れた位置には、音響的に伝導性の層123によってフローチューブ102の外側ジャケット103と接触する第2超音波トランスデューサ113が設けられている。
【0129】
第2超音波トランスデューサ113から長手方向に離れた位置に、第3超音波トランスデューサ112が設けられ、それは、この場合音響的に伝導性の層122を介して、フローチューブ102の外側ジャケット103と同様に接触している。
【0130】
第1超音波トランスデューサ111、第2超音波トランスデューサ113および第3超音波トランスデューサ112は、ピエゾ素子として構成されうる。この場合、ピエゾ素子はピエゾフィルムを備えてもよい。さらに、受信素子は、PZT素子であるか、PVDF材料を含むか、または、セラミック結晶であることが考えられる。
【0131】
本発明によれば、3つのトランスデューサ111,113,112はそれぞれ、ある順序で励起され、励起されないトランスデューサは対応する受信回路を介して読み出される。表1は、3つのトランスデューサ111,113,112が励起される順序の例、および、3つのトランスデューサ111,113,112のどれが受信回路に接続されるかを提供する。
【0133】
したがって、上の表は、トランスデューサが励起される順序(第1列)、どのトランスデューサが第1受信回路に接続されるか(第2列)、および、どのトランスデューサが第2受信回路に接続されるか(第3列)を示す。
【0134】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態を参照しながら本発明を説明したことを理解するであろう。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0135】
したがって、例えば、追加の超音波トランスデューサ回路および/または受信回路が設けられることが考えられる。
【0136】
従って、本発明の範囲内で種々の変更が考えられる。求められる保護の範囲は添付の請求項によって決定される。