【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、独立請求項のそれぞれの主題によって達成される。本発明の有利な構造は、それぞれ従属請求項の主題である。
【0005】
一態様によれば、オプトエレクトロニクス照明装置を製造する方法であって、以下のステップ、すなわち、
− レーザチップキャリアを設けるステップであって、それぞれがレーザファセットを備えた2個の端面発光型レーザチップが、それぞれのレーザファセットが互いに向かい合う状態でレーザチップキャリアの上に配置される、ステップと、
− 互いに反対側に位置する2つの光学要素を備えたキャリアを、レーザチップキャリアの上における2つのレーザファセットの間に配置するステップであって、配置の後に2つの光学要素のそれぞれ一方が2つのレーザファセットの一方に面するように配置する、ステップと、
− それぞれのレーザファセットとそれぞれの光学要素との間に、それぞれの光接続部を光学材料によって形成するステップと、
− 2つの互いに分割されたレーザチップキャリア部分を形成する目的で2個のレーザチップの間でレーザチップキャリアを分割することによって、2個のレーザチップを個片化するステップであって、分割が、2つの光学要素の1つをそれぞれが備えている2つの互いに分割されたキャリア部分を形成する目的で、2つの光学要素の間でキャリアを分割するステップを含む、ステップと、
が行われることにより、
− それぞれの分割されたレーザチップキャリア部分の上に配置されている2個の個片化されたレーザチップを形成し、それぞれのキャリア部分におけるそれぞれの光学要素に、レーザチップのそれぞれのレーザファセットが、光学材料によって光学的に接続されている、
方法、を提供する。
【0006】
別の態様によれば、オプトエレクトロニクス照明装置であって、
− レーザファセットを備えた端面発光型レーザチップが上に配置されているレーザチップキャリア、
を備えており、
− レーザチップキャリアの上に光学要素が配置されており、
− レーザファセットと光学要素との間に光学材料によって光接続部が形成されている、
オプトエレクトロニクス照明装置、を提供する。
【0007】
本発明の基礎となる洞察として、レーザファセットと光学要素との間に光学材料によって光接続部を形成することによって、上記の目的を達成することができる。したがって光学要素は、レーザチップによって放出されるレーザ放射を効率的に取り出すための画成済みの取り出し面を形成している。これによって提供される技術的利点として、特に、レーザチップからのレーザ放射の効率的な取り出しを可能にすることができる。
【0008】
端面発光型レーザチップとは、特に、側面(レーザファセット)を介してレーザ放射を放出するレーザチップを意味する。
【0009】
反対側の2つの面にそれぞれの光学要素を備えたキャリアを設けることによって提供される技術的利点として、特に、2個のレーザチップに、専用の光学要素を共通のステップにおいて設けることができる。これは、オプトエレクトロニクス照明装置の実装・製造時間を低減する点で有利である。
【0010】
光学材料によって光接続部が形成されることによって提供される技術的利点として、特に、空隙に起因する屈折率のさらなる差異、あるいは、不透明材料における光出力の吸収が、防止される、または、回避される。
【0011】
したがって光接続部とは、特に、放出されたレーザ放射を、好ましくは損失が実質的に生じることなく光学要素までガイドする接続部を意味する。特に、光接続部とは、放出されたレーザ放射を、(例えば散乱および/または反射によって)実質的に逸れることなく光学要素までガイドする接続部を意味する。
【0012】
レーザチップキャリアを分割することによって2個のレーザチップを個片化することは、レーザチップキャリアによって形成されている、2個のレーザチップの間接的な結合が分離されることを意味する。すなわち、分離によって個片化する前には、2個のレーザチップはレーザチップキャリアによって間接的に結合されている。個片化する前には、2個のレーザチップを例えば互いに独立して移動させることはできない。個片化の後、間接的な結合が解放され、したがって、相互に独立した2個のレーザチップが形成される。レーザチップキャリア部分は、個片化されたレーザ部品と称することもできる。すなわち、個片化の後には、それぞれがレーザチップの一方を備えている2個の個片化されたレーザ部品が形成される。
【0013】
すなわちレーザチップは、特に、レーザチップキャリアの上に配置される前には、すでに個片化されているレーザチップである。一例として、共通の基板(例えばウェハ)上にレーザチップを形成または作製する、あるいは形成または作製しておく。作製した後、基板(例えばウェハ)を分離する(例えばソーイング法で切り離す)ことによってレーザチップを個片化し、したがって、個片化されたレーザチップを形成する。次いで、この個片化されたレーザチップをレーザチップキャリアの上に配置する。ただしこの配置の結果として、もともと個片化されていたレーザチップの間に、レーザチップキャリアによって間接的な結合が形成されるが、この間接的な結合は、前述したように、および後述するように、さらなる方法ステップにおいて再び分離される。
【0014】
一実施形態においては、光学材料は、エポキシ樹脂および/またはシリコーンを含む。
【0015】
一実施形態によれば、光学材料は、放出されるレーザ放射の波長の、少なくとも90%、特に95%、特に99%の透過率を備えている。
【0016】
さらには、光学要素を設けることによって提供される技術的利点として、照明装置の外側からレーザファセットまでの湿気の経路長が増大する。これによって提供される技術的利点として、特に、湿気によるレーザファセットの損傷を低減する、または、回避することができる。結果として、本オプトエレクトロニクス照明装置は、たとえ厳しい周囲条件(例えば湿気の高い周囲条件)の中でも使用することができる。これによって提供される技術的利点として、特に、本オプトエレクトロニクス照明装置の寿命が延びる。
【0017】
一実施形態によれば、個片化の後に、キャリアが除去される。
【0018】
キャリアが除去されず、かつ、可溶性材料から形成されている場合、適用時に、または、使用中に、例えば湿気や化学物質に起因して、意図しないキャリアの溶解が起こることがある。結果として、レーザ光が取り出される光学要素の領域が汚れることがある。したがって、(吸収や散乱によって)取り出し効率が低下する。これらの不都合は、キャリアを除去することによって回避することができる。
【0019】
さらなる実施形態によれば、キャリアが可溶性材料から形成されており、除去が、この材料を溶解させるステップを含む。
【0020】
これによって提供される技術的利点として、特に、個片化の後にキャリアを効率的に除去することができる。
【0021】
一実施形態によれば、キャリアは、水溶性のPVAレジストから、または、水溶性のSU8レジストから形成されている。SU−8は、フォトレジストを意味する。PVAは、ポリビニルアルコール(フォトリソグラフィに使用される水溶性レジスト)を意味する。したがってPVAは、ポリ酢酸ビニルではない。
【0022】
一実施形態によれば、キャリアは、接着性のフィルムとして形成される。一実施形態によれば、個片化の後、この接着性フィルムが除去される。このようなフィルムを設けることによって提供される技術的利点として、特に、個片化の後にキャリアを効率的に除去することができる。
【0023】
さらなる実施形態によれば、キャリアが、開口部を囲む枠部として形成されており、2つの光学要素が、それぞれ開口部を覆うようにキャリア上に配置される。
【0024】
これによって提供される技術的利点として、特に、2つの光学要素のための安定的なキャリアが形成される。これによって提供される技術的利点として、特に、個片化の後、光学要素のためのさらなる機械的な取付け部(レーザチップキャリア部分に残る2つのキャリア部分)が提供される。
【0025】
一実施形態によれば、キャリアが管として形成されており、2つの光学要素が、それぞれ管の前面および後面にカバーとして配置される。
【0026】
一実施形態によれば、光学要素は、薄板、特に、ガラス板である。
【0027】
一実施形態によれば、光学要素は、ガラスから形成されている。
【0028】
一実施形態によれば、それぞれの光接続部を形成するために、2個のレーザチップと、2つの光学要素を有するキャリアとが、光学ポッティング材料によってポッティングされ、したがって、それぞれの光接続部が、光学材料としての光学ポッティング材料によって形成される。
【0029】
これによって提供される技術的利点として、特に、光接続部を効率的に形成することができる。すなわち、ポッティング工程またはポッティング法の過程において光接続部が形成される。結果として、光学ポッティング材料によるポッティングによって、第一に、レーザチップのポッティングと、2つの光学要素を有するキャリアのポッティングとがもたらされる。このポッティングの第二の効果として、それぞれの光接続部が形成される。
【0030】
光学ポッティング材料は、特に、放出されるレーザ放射の波長において、90%、特に95%、特に99%の透過率を備えている。
【0031】
別の実施形態によれば、光接続部を形成した後、2個のレーザチップを個片化する前に、2個のレーザチップと、2つの光学要素を有するキャリアと、それぞれの光接続部とが、ポッティング材料によってポッティングされる。
【0032】
これによって提供される技術的利点として、特に、光接続部を、ポッティングとは無関係に効率的に形成することができる。これによって、例えば、特別な光学的性質を有さない(すなわち特に、放出されるレーザ放射を効率的に透過させるように構成されていない)ポッティング材料を、ポッティングに使用することが可能になる。一例として、ポッティング材料は不透明なポッティング材料である。光接続部がすでに存在するため、このことはレーザ放射を取り出すうえで重要ではない。ポッティング材料は、特に、黒色ポッティング材料である。
【0033】
一実施形態によれば、ポッティングは、成形するステップを含む。ポッティングは、例えば射出成形するステップを含む。ポッティングは、例えばフォイルアシスト射出成形(フォイルアシスト成形(FAM:foil assisted molding)とも称される)を含む。
【0034】
一実施形態によれば、キャリアをレーザチップキャリアの上に配置するステップは、キャリアをレーザチップキャリアの上に接着剤によって接着接合するステップを含む。
【0035】
これによって提供される技術的利点として、特に、キャリアをレーザチップキャリアの上に配置するステップを効率的に行うことができる。これは、特に、配置するステップ以降のステップ中にキャリアがずれることを防止することが可能にする点で有利である。
【0036】
接着剤は、例えばシリコーンを含む。
【0037】
さらなる実施形態によれば、2つの光学要素それぞれは、光学要素の次の群、すなわち、球面レンズと、非球面レンズと、コリメータレンズ、特に、レーザチップによって放出され、かつ、レーザチップの速軸の方向、または、レーザチップの遅軸の方向に偏光しているレーザ放射を平行にするコリメータレンズと、から選択される要素である。コリメータレンズは、例えば円柱レンズである。円柱レンズは、特に、速軸の方向に偏光しているレーザ放射を平行にする。したがってコリメータレンズ、特に円柱レンズは、特に、FACレンズ(FAC:Fast Axis Collimation)である。
【0038】
上に挙げた光学要素のうちの1つを設けることによって提供される技術的利点として、特に、放出されるレーザ放射の効率的な光学結像を達成することができる。これは、例えば、レーザチップの速軸の方向に偏光しているレーザ放射と、レーザチップの遅軸の方向に偏光しているレーザ放射の両方を、球面レンズおよび/または非球面レンズによって効率的に調整することが可能にする点で有利である。コリメータレンズを設けることによって提供される技術的利点として、特に、このコリメータレンズが、これら2つの偏光しているレーザ放射の一方のみを調整するように効果的に適合化される、または、構成される。コリメータレンズは、例えば円柱レンズである。
【0039】
一実施形態によれば、キャリアは、各レンズのレンズ湾曲部を収容する2つの湾曲部を備えている。
【0040】
これによって提供される技術的利点として、特に、レンズがキャリアにおいて効率的に収容される。このような湾曲部を設けることによって提供される技術的利点として、特に、部品の厚さを効率的に低減することができる。
【0041】
一実施形態によれば、本オプトエレクトロニクス照明装置は、オプトエレクトロニクス照明装置を製造する本方法によって製造されている、または、製造される。
【0042】
本オプトエレクトロニクス照明装置の技術的機能性は、オプトエレクトロニクス照明装置を製造する本方法の対応する技術的機能性から同様に明らかであり、逆も成立する。すなわち装置の特徴は、対応する方法の特徴から明らかであり、逆も同様である。
【0043】
一実施形態によれば、光学要素は、キャリアが存在しない状態でレーザチップキャリアの上に配置されている。したがって、光学要素は、特に、キャリアによって担持されていない、または、保持されていない。
【0044】
光学要素にレーザチップキャリア上のキャリアが存在しないとは、例えば、個片化の後に光学要素からキャリアが除去されたことを意味する。
【0045】
一実施形態によれば、光学要素は、レーザチップキャリアの上に配置されているキャリアによって囲まれている。
【0046】
したがって、この実施形態においては、例えば、個片化の後に光学要素からキャリアが除去されていない。
【0047】
さらなる実施形態によれば、キャリアは、開口部を囲む枠部として形成されており、光学要素が、開口部を覆うようにキャリアの上に配置されている。
【0048】
一実施形態によれば、キャリアは、レーザチップキャリアの上に接着剤によって接着接合されている。
【0049】
一実施形態によれば、レーザチップおよび光学要素が、光学ポッティング材料によってポッティングされており、したがって光接続部が、光学材料としての光学ポッティング材料によって形成されている。
【0050】
一実施形態によれば、レーザチップと、光学要素を有するキャリアとが、光学ポッティング材料によってポッティングされており、したがって、光接続部が、光学材料としての光学ポッティング材料によって形成されている。
【0051】
一実施形態によれば、レーザチップと、光学要素と、光接続部が、ポッティング材料によってポッティングされている。
【0052】
一実施形態によれば、レーザチップと、光学要素を有するキャリアと、光接続部が、ポッティング材料によってポッティングされている。
【0053】
一実施形態によれば、光学要素は、光学要素の次の群、すなわち、球面レンズと、非球面レンズと、コリメータレンズ、特に、レーザチップによって放出され、かつ、レーザチップの速軸の方向、または、レーザチップの遅軸の方向に偏光しているレーザ放射を平行にするコリメータレンズと、から選択される要素である。コリメータレンズは、例えば円柱レンズである。円柱レンズは、特に、速軸の方向に偏光しているレーザ放射を平行にする。したがってコリメータレンズ、特に円柱レンズは、特に、FACレンズ(FAC:Fast Axis Collimation)である。
【0054】
一実施形態によれば、キャリアは、レンズのレンズ湾曲部を収容する湾曲部を備えている。
【0055】
一実施形態によれば、個片化は、ソーイングを含む。一実施形態によれば、個片化は、レーザによって行われる。
【0056】
一実施形態によれば、レーザチップキャリアは、プリント基板として形成されている。プリント基板は、回路基板とも称される。プリント基板は、英語では「(PCB:Printed Circuit Board)」と称される。このようなプリント基板によって提供される技術的利点として、特に、レーザチップの効率的な電気的接触をもたらすことができる。
【0057】
さらなる実施形態においては、レーザチップキャリアは、電気接触部が設けられたセラミック基板として形成されている。
【0058】
さらなる実施形態においては、レーザチップキャリアは、構造化された金属キャリア(例えばリードフレームとも称される)として形成されている。
【0059】
さらなる実施形態においては、レーザチップキャリアは、パネル(例えばリードフレームパネルまたはセラミックパネル)として形成されている。表現「パネル」は、特に、レーザチップキャリアがレーザチップのエピタキシャル構造のための成長基板ではないことを明確にすることを意図している。したがってレーザチップキャリアは、特に、ウェハではない。
【0060】
本発明の上述した特性、特徴、および利点と、これらを達成する方法は、図面を参照しながらさらに詳しく説明されている例示的な実施形態の以下の記述に関連して、さらに明らかになり、さらに明確に理解されるであろう。