(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
不織布材料は、おむつや女性用ナプキンなどの吸収性デバイスに一般に使用されている。不織布材料は、そのような吸収性デバイスのトップシート部分としてしばしば使用され、吸収性デバイスの装着者の皮膚とトップシートとが接触するため柔らかさを達成することが望ましい。不織布材料が圧縮可能であり、不織布材料を含む吸収性デバイスの装着者に柔らかいという感覚を与えるので、不織布材料の高いロフト対全厚さの比はしばしば柔らかさを示唆する。比較的高いロフトの不織布は、皮膚に対して使用されるときに柔らかくて涼しく感じられるが、そのような特性を達成するためには、通常、特別な加工が必要とされ、これにより製品のコストが上昇する可能性がある。
【0004】
有刺針の注入及び引き抜きによる繊維のエンタングルメントは、比較的高いロフトを有する不織布材料を製造するための1つの既知の方法であるが、その加工法は比較的時間がかかり、高コストである。高ロフト不織布材料を生成するためのより速い製造方法は、ゆるい繊維のハイドロエンタングルメントのためのスパンレース加工である。スパンレース加工は、繊維のハイドロエンタングルメントを行うために本質的に針の形状及び直径である高圧ウォータージェットを使用することによって、柔らかくて涼しい感触の比較的高ロフトの柔らかい不織布材料を作り出すことができる。
【0005】
スパンレース法は、複数の列の微細な高圧ジェット水を繊維にかけることによってシート構造を形成するために、多孔性ベルト又は穿孔され若しくはパターン形成された動くスクリーン上にゆるい繊維のウェブを絡ませる方法である。スパンレース加工は、有刺針の代わりに、本質的に針の直径である非常に微細な高速ウォータージェットの配列を使用して、比較的高いロフトを有する不織布材料を生成しながらウェブの一体性を得るために繊維を絡み合わせる。高圧ヘッダーによって針状のウォータージェットが加えられ、圧力は2000psiから8000psiを超える範囲であってよい。ウォーターニードルジェット孔は、典型的には、直径が約0.005インチであり、1つのヘッダーは、1インチ当たり約30〜約80個の孔を一列に含んでよい。3〜8個のヘッダーを機械方向に整列した一列に配置することができ、絡み合っていない繊維のウェブは、穿孔されたベルト又はスクリーン状の材料の上で機械方向に移動してよい。ベルトの下には水を引き出すための真空ゾーンがある。繊維をハイドロエンタングルメントによりウェブにした後、ウェブを乾燥させてロール状に巻き、変換して吸収性デバイスの層として使用するときに巻き戻すことができる。スパンレース加工は、一般に、ロフトが生じている間にフィルム層を有する積層を製造するのに適していない。なぜなら、ウォータージェットの高圧及び針状の形状がフィルム層を損傷し、不織布層からフィルムの大部分又は全部を除去してしまうかもしれないからである。
【0006】
スパンボンド不織布は、スパンレース不織布よりも安価であるが、典型的にはロフトがはるかに少なく、他の不織布材料ほど柔らかくないことが多い。不織布ウェブを製造するためのスパンボンド加工法が知られている。いわゆるライコフィル(Reicofil)システムでは、ポリマーペレットを、複数の小さな開口を有するダイを通して連続繊維を押し出す押し出し機に供給する。繊維は、ポリマーがダイを出るときに、薄くされるか又は延伸され、冷却される。次いで、繊維を、マニホールド又は他の装置によって提供される空気流によって、ランダムな位置で紡糸する。繊維を紡糸した後、繊維を、紡糸繊維のマットを生成するために、開放スクリーン材料で作られた移動するベルト上にランダムに配置する。絡み合った繊維が実質的に水平な方向に平らになり、本質的に移動するスクリーン上に固定されるように、吸引を適用してもよい。
【0007】
次に、絡み合った繊維のマットを、1つのロールは平滑な表面を有し1つのロールはパターン状の隆起点を有する、カレンダーロールニップに供給することができる。両方のロールは、繊維中のポリマーの融点より高い温度まで加熱してよい。マットは、隆起点が平滑なロールに対してマットを圧縮すると、圧縮される。マットに加えられる熱と圧力は、繊維を固定する結合点を生成してスパンボンド不織布ウェブを生成する。
【0008】
不織布材料は、スパンボンド、エアレイド、カーディング、スパンレース、ハイドロエンタングルメント、又はその他の加工法によって製造されるかどうかに関わらず、面積(典型的には平方メートルで測定される)に含まれる繊維の質量(典型的にはグラムで測定される)を定義する目付けを有し、目付けは、平方メートル当たりのグラム(「gsm」)で測定される。さらに、全ての繊維は、デニールと呼ばれる厚さ又は直径を有する。デニールが重く繊維が少ない不織布材料は、デニールが軽い又は薄く繊維が多い不織布材料と同じ目付けを有することがある。任意の繊維の質量に対する、不織布ウェブの頂部から不織布ウェブの底部までを測定した距離であるロフト(厚さ)などの特徴は、繊維デニールと、繊維ウェブを絡ませたり結合したりしてウェブが引っ張り強度及びウェブの一体性を有するようにしながらロフトを形成するための加工技術とを選択することによって操作することができる。残念なことに、スパンボンド法は、水平な繊維を有する傾向があるため、より高いロフトの不織布を製造することに適当ではない。
【0009】
スパンボンド不織布の特性は、繊維のデニール及び目付けを変更すること、並びに繊維を作製するために使用するポリマーを変更することによって操作することができる。ポリマーの中にはポリエステルのようにより剛性なものもあり、ポリマーの中にはポリプロピレン及びポリエチレンのようにより可撓性なものもある。最近になってようやく、繊維にするのに十分なドローダウンを有するポリエチレンポリマーが作られるようになった。ポリプロピレンは、スパンボンド不織布に使用される一般的なポリマーであり、スパンボンドポリプロピレン不織布ウェブは、典型的には「SBPP」と呼ばれる。
【0010】
吸収性デバイスのトップシートに使用される不織布中の繊維は親水性であることもまた望ましい。天然セルロース繊維は親水性であり、歴史的にトップシートに使用されてきた。例えば、Mizutaniらの米国特許第6,548,731号は、比較的短い親水性繊維に、長い疎水性繊維を散在させてトップシート材料を形成し、疎水性合成繊維は界面活性剤でコーティングして親水性にした場合使用できることを教示している。しかしながら、界面活性剤は、一般に大量の液体にさらされると洗い流され、それによって合成繊維は再び疎水性になる。
【0011】
レーヨン、ビスコース、アセテート及びスパンナイロンのような合成親水性繊維が存在するが、これらのポリマー種は一般に比較的硬く剛性であり、多くは細い繊維に押し出すことが困難である。したがって、そのような材料がトップシート用の繊維に使用される場合、得られるトップシートは、吸収性デバイスの装着者にとってざらざらして不快である傾向があるだろう。
【0012】
吸収性デバイスに低コストのスパンボンド不織布材料を使用しつつ、依然として典型的なスパンレース不織布材料の柔軟性を提供することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0037】
次に、本発明の様々な実施形態がハイライトされる。いずれか1つの実施形態の議論は、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。反対に、実施形態の態様は、特許請求の範囲に含まれるか否かにかかわらず、本発明の範囲を強調するように意図されている。さらに、現在知られているまたは今後開発される実施形態のいずれか及び全ての変形例も、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0038】
用語集
本明細書を通して、「ウェブ」という用語は、ロール状に巻くことができる材料を指す。ウェブは、フィルムウェブ、不織布ウェブ、積層体ウェブ、開口部が形成された積層体ウェブなどであってもよい。ウェブの表面は、その二次元の表面の1つを指し、その端部とは対照的である。用語「コンポジットウェブ」または「コンポジット材料」は、面と面とを対向させた状態で互いに接合した2つ以上の別個のウェブを含む、ウェブを指す。構成要素ウェブを面と面とが対向させた状態にあるものの構成要素ウェブの端部を介して接合することもできるし、構成要素ウェブの特定のスポット位置で接合することもできる。
【0039】
本明細書における「フィルム」という用語は、熱可塑性ポリマー材料の溶融シートを、キャストまたはブロー押し出しプロセスによって押し出し、次いで当該シートを冷却して固体ポリマーウェブを形成することによって作製されたウェブを指す。フィルムは、単層フィルム、共押し出しフィルム、被覆フィルム、およびコンポジットフィルムであり得る。
被覆フィルムは、単層または共押し出しフィルムを含むフィルムで、続いてボンディングされるフィルムと同じまたは異なる材料の薄い層でコーティング(例えば、押し出しコーティング、インプレッション(impression)コーティング、印刷など)される。コンポジットフィルムは、2つ以上のフィルムを含み、少なくとも2つのフィルムはボンディングプロセスで組み合わされたフィルムである。ボンディングプロセスは、フィルム層の間に接着層を組み込んでもよい。
【0040】
本明細書を通して、「開口部形成フィルム」という表現は、一の表面から第2表面に延びる複数の孔が存在するフィルムを意味する。二次元の開口部形成フィルムは、孔に三次元構造が存在しないフィルムで、孔は、次に平らなフィルムの第2表面をフィルムの第1表面に接続する。「成形フィルム」は、突起または拡張セルを有するフィルムである三次元のフィルムであり、三次元の開口部形成フィルムは、開口部内に三次元構造が存在する(例えば、開口部の深さがフィルムの厚さよりも長い)、または拡張セルがそれを貫通する開口部を有するフィルムである。
【0041】
用語「不織布ウェブ」は、複数の繊維を含むウェブを意味する。繊維は互いに結合していてもよいし、未結合であってもよい。繊維は、ステープル繊維または連続繊維であってもよい。繊維は、単一の材料を含むことができ、または異なる繊維の組み合わせとして、若しくはそれぞれが異なる材料からなる類似の繊維の組み合わせとして、多数の材料を含むことができる。本明細書で使用される場合、「不織布ウェブ」は、その一般的な意味で使用され、比較的平坦でフレキシブルで多孔性であり、ステープル繊維または連続フィラメントを含む概して平面的な構造を画定する。不織布ウェブは、不織布スパンボンドウェブおよびメルトブローン不織布ウェブのような、それを形成するための任意のプロセスの生成物であってもよい。不織布ウェブは、ウェブのコンポジットまたは組み合わせを含んでもよい。一実施形態では、不織布ウェブはポリプロピレン繊維製のスパンボンド材料である。しかしながら、不織布ウェブは、繊維を製造することができる任意のポリマー材料を含んでもよい。例えば、不織布ウェブは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エラストマー、ポリエステル、レーヨン、セルロース、ナイロンの繊維、およびこのようなポリマー繊維のブレンドを含むことができる。異なるポリマーを含む繊維もブレンドすることができる。
【0042】
本明細書で使用される「スクリーン」という用語は、フィルムに拡張セル、突起または開口部を、または不織布ウェブに突起を形成するために使用される、くぼみを含む三次元の成形装置を指す。一実施形態では、スクリーンは、幅および直径を有する管状部材を含む。別の実施形態では、スクリーンは、幅および長さを有するベルトを備える。横方向とは、スクリーンの幅に平行な方向である。機械の方向とは、スクリーンの回転方向に平行な方向であり、横方向に対して垂直である。
【0043】
本明細書で使用される「拡張セル」という用語は、ウェブの第1表面の平面内に配置された開口部が形成されたベース部分と、ウェブの第2表面の方向に概ね延びる側壁部分とを含む三次元の部材または突起を指す。各ベース部分は、側壁部分を有する。側壁部分は、ウェブの第2表面の平面内に位置する「端部」または「頂部」で終端する。拡張セルの端部は、開口部が形成されていても良いし開口部が形成されていなくても良い。本明細書で使用される「開口部が形成された拡張セル」は、第2表面の平面内の遠位端に開口部を有する拡張セルを指す。「一次開口部」とも呼ばれる拡張セルのベース部分の開口部は、規則正しい又はランダムなパターンの多角形の形状、例えば四角形、六角形、五角形、楕円形、円形、長円形、または溝などの形状であってもよい。一実施形態では、開口部は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,198,836号に記載されるように、ボートの形状であってもよい。突起が形成された端部は、開口部が形成されているとき「二次開口部」と呼ばれ、多角形の形状、例えば四角形、六角形、五角形、楕円形、円形、長円形、溝またはボートの形状であってもよい。
【0044】
本明細書で使用される表現「吸収性物品」および「吸収性デバイス」は、体液および他の身体浸出液を吸収および収容する物品を意味する。より具体的には、吸収性物品/吸収性デバイスは、身体から排出された様々な滲出液を吸収して収容するために、着用者の身体に接してまたは身体に近接して配置される衣類を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「エラスティック」という用語は、引っ張り力を加えると、好ましくはその最初の延伸されていない長さの少なくとも2倍の延伸長さまで延伸可能であり、その伸長力の解放時に、最長でもその初期の延伸されていない長さの1.75倍まで収縮する材料を説明するのに使用される。
【0046】
図1は、約10gsmの目付けを有するスパンボンド不織布ウェブ10の一部分の平面図である。不織布ウェブ10は、上述のように、複数の繊維12と、スパンボンド加工によって生成された複数の圧縮結合部位14とを含む。
【0047】
図2は、
図1の不織布ウェブ10の断面を示す。図示されているように、不織布ウェブ10がほぼ水平な表面に置かれたとき、複数の繊維12は概して水平方向に配向している。すなわち、各繊維は概して水平な面に置かれており、繊維12は互いにほぼ平行である。圧縮結合部位14も
図2に見ることができる。繊維12は密に詰まっており、したがって、それらの間には通常、垂直間隔がない。図示された不織布ウェブ10は、約0.010cm(0.0039インチ)の平均ロフト又は厚さ22を有する。公称10gsmのスパンボンド不織布ウェブ10が示されているが、本発明の実施形態はこれに限定されない。本明細書で使用する「公称」という用語は、近似値を指す。例えば、公称10gsmのスパンボンド不織布ウェブは、実際には、約10.25gsmまでの平均目付けを有し得る。公称8gsmの目付けを有するスパンボンド不織布ウェブを、本発明の実施形態に従って使用することができる。
【0048】
本発明の実施形態で使用され得る目付けの上限はなくてもよいが、比較的高い目付け(及びより高いコスト)を有するスパンボンド不織布ウェブは、より高いロフトを有し得るため、本発明の実施形態で使用することが望ましくないかもしれない。図示された実施形態は、いかなる限定をすることも意図しない。軽量で安価なスパンボンド不織布ウェブから始め、上述のスパンレース加工のような他の加工で製造されたより高コストで厚みのある不織布ウェブを再現するように及びそれらのように機能させるようにウェブを膨張させることが本発明の実施形態の1つの態様である。
【0049】
繊維12は、ポリプロピレンなどのポリオレフィンであってもよいポリマーから作製される。一実施形態では、不織布ウェブ10は、上述のようにSBPPであってもよい。一実施形態では、繊維12がその外表面において親水性であるように、不織布ウェブ10を界面活性剤で被覆することができる。一実施形態では、界面活性剤は、繊維12が親水性であり、以下でさらに詳細に説明するように、繊維12が液体に曝された後も親水性を保つように、ポリマーのアモルファス領域内部に位置する半粘性流体の形態で繊維12のポリマーに組み込まれていても良い。
【0050】
図3は、以下に記載される本発明の実施形態による
図1及び
図2に示された不織布ウェブ10からハイドロフォームされ、膨張されたハイドロフォームスパンボンド不織布ウェブ30の部分の断面を示す。図示されるように、最初のスパンボンド不織布ウェブ10の繊維12の多くは、矢印31によって示されるように、それらの間により大きな垂直間隔を取るように膨張している。不織布ウェブ10の膨張の間に、繊維12のいくつかは、最初の概して水平方向の配向から上方に向けて湾曲し、湾曲した繊維32となる。更に、先に不織布ウェブ10の長さに沿って連続していた繊維12のいくつかは、膨張加工の間に短縮された小繊維34へと分解することがあり、少なくとも短縮された小繊維34のいくつかは、より垂直方向の並びに配向されてもよく、図示されるように、概ね垂直な小繊維36となってもよい。
【0051】
ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ30は、0.050cm(0.0197インチ)の平均膨張ロフト又は厚さ38を有し、それは、最初のスパンボンド不織布ウェブ10の最初のロフト22の約5.0倍大きい。本発明の実施形態は、最初のスパンボンド不織布ウェブのロフトの少なくとも約1.3倍に膨張したロフトを有する膨張スパンボンド不織布ウェブを提供し、これは、柔らかさを増強し、表面の乾きを促進し、ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ30を含む吸収性物品の装着者が知覚する冷涼感を高めるのに十分である。さらに、ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ30の空気透過性は、以下にさらに詳細に説明するように、最初のスパンボンド不織布ウェブ10の空気透過性と比較して、少なくとも約1.2倍増加することができる。
【0052】
図4は、本発明の実施形態に従う、上述のハイドロフォーム膨張スパンボンド不織ウェブ30及び/又は後述のハイドロフォームコンポジット材料などの、ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブを製造するためのハイドロフォーム装置40の実施形態の模式的側面図である。具体的には、
図4の装置40は、
図1及び
図2に示すスパンボンド不織布ウェブ10などのスパンボンド不織布ウェブのハイドロフォーム加工し、そのロフトを膨張させ、
図3に示されている膨張スパンボンド不織布ウェブ30などのハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布を製造する加工法を提供する。
【0053】
図4に示すように、上述のスパンボンド加工の結果として最初のロフトを有する最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブ10のロール42は、不織布ウェブ10がロール42から巻き戻され、さらに加工されることを可能にする配向及び位置において装置40のスピンドル43にロードされる。装置40は、回転可能な成形スクリーンの形態であってもよい成形構造44を含み、不織布ウェブ10は、成形構造44上を連続的に前進することができる。成形構造44が回転可能な成形スクリーンである実施形態では、同期した速度で、図を含む紙面を貫いて延びる長く狭い幅の真空スロット領域45にわたって、不織布ウェブ10を移動させ、スクリーンを回転させることができる。成形構造44は、リニアインチ当たり約3個の開口部(すなわち、「3メッシュ」)からリニアインチ当たり約120個の開口部(すなわち「120メッシュ」)までのメッシュ数を有する複数の開口部44aを有することができる。一実施形態では、メッシュ数はリニアインチ当たり約25個の開口部(すなわち、「25メッシュ」)であってもよい。
【0054】
複数の加圧液体ジェット46は、
図4を含む紙面を貫いて延びる長く狭い幅のゾーンに配置され、成形構造44の下の長く狭い幅の真空スロット領域45とほぼ位置合わせされる。液体ジェット46は、ウェブ10が真空スロット領域45を通過する間に、不織布ウェブ10の外表面上に約200psiから約800psiの圧力で、水などの重なり合った液体流47を提供するように構成される。一実施形態では、液体ジェット46内の液体は、約400psiから約800psiの圧力を有してよい。液体流47は、スパンボンド繊維12の大部分を、密集した水平方向の配向(
図2に示す)からより大きな垂直間隔(
図3に示す)を持つように押して再配向するのに十分な圧力を有する。
【0055】
図3に示すように、スパンボンド不織布10の繊維の多くは上方に湾曲するように押され、もとの連続繊維の少なくともいくつかは短縮された小繊維に分解されても良い。このような最初のスパンボンド不織布ウェブ10の破壊は、最初のスパンボンド不織布ウェブ10のロフトよりも少なくとも約1.3倍大きい膨張したロフトと、最初のスパンボンドウェブの空気透過性よりも1.2倍大きい増加した空気透過性とを有する膨張スパンボンド不織布ウェブ30をもたらす。さらに、液体ジェット46は、不織布ウェブ10の部分を成形構造44の複数の開口部44aに押し込み、以下に詳細に説明するように、膨張不織布ウェブの一方の表面から延在する複数の突起を形成するために十分な圧力を有している。
【0056】
図5は、
図4の装置40において使用され得る本発明の実施形態による個々の液体ジェット46を示している。図示されるように、液体ジェット46は、扇の形の断面を有する液体流47(例えば、水)を発射させるように構成されたノズル54を備え、ノズル54は扇形の断面を有する。液体流47は、概ね、幅「w」及び長さ「l」を有する細長い楕円形として形成される。個々のノズル54から出る液体流47は、約3:1から約10:1の間である長さ対幅の比(l/w)を有する細長い楕円形状を有している。一実施形態では、液体流47は、長さ対幅の比が約7:1であり、不織布ウェブ10に衝突する位置における長さが約1.75インチであり、幅が約0.25インチである細長い楕円形を有してもよい。
【0057】
複数の液体ジェット46は、
図6に更に詳細に図示されている。図示されているように、個々のノズル54は、インレット62において加圧液体が供給されるマニホールド60に整列されて取り付けられている。一実施形態では、個々のノズルは約1〜2インチ毎にマニホールド60に沿って離間している。一実施形態では、個々のノズルは約1.5インチ毎にマニホールドに沿って離間している。液体流47は、それぞれの縁部56で隣接する流れとわずかに重なっている。複数の液体流47は、一緒になって、それぞれ液体を
図5に示す細長い楕円形に形作る個々の噴霧ノズル54によって形成される加圧液体68の長く狭い幅のゾーンを生成する。液体流47の縁部56は、全体としても狭い幅(
図5の「w」)を維持しながら、不織布ウェブ10の全幅にわたって加圧液体が不織布ウェブ10に提供され得るように重なり合っている。
【0058】
図4に戻ると、真空スロット領域45は、スパンボンド不織布ウェブ10の表面から、スパンボンド不織布ウェブ10を打つ液体流47の力を減少させ得る液体残留物を除去するのに十分な吸引力を有してもよい。次いで、膨張スパンボンド不織布ウェブ30は、その後、1つ以上のドライヤ48で乾燥され、少なくとも1つのスリッティングブレード49によって好ましい幅に細長く切られてよい。膨張スパンボンド不織布ウェブ30は、ワインダ50によって、少なくとも一つのロール52に巻き取られる。一実施形態では、膨張スパンボンド不織布ウェブ30は、また、膨張スパンボンド不織布ウェブ30の特性をさらに高めるために、界面活性剤でコーティングしてもよいし、それ以外の方法で処理してもよい。
【0059】
上述のように、一実施形態では、繊維12は、経時的に繊維の外表面に移動し得る界面活性剤を含んでもよい。理論に拘泥するものではないが、繊維のポリマーの内部構造内の界面活性剤流体に加えられる圧力と繊維の外側の雰囲気との間の圧力差は、平衡が達成されるまで界面活性剤を繊維の外表面に向かって移動させる。平衡状態が達成される際、ポリマー中に組み込まれた少量の界面活性剤のみが表面に移動すると推測される。界面活性剤が、上述の初めのハイドロフォーム加工によって、又は使用者が着用している間の液体損傷によって、繊維の表面から洗い流される場合、平衡は失われ、より多くの界面活性剤が繊維の外表面に向かって移動し、新しい平衡を達成する。繊維に組み込む界面活性剤の量は、ハイドロフォーム加工中に、並びに繊維が組み込まれる吸収性デバイスの使用中に失われることが予想される量を考慮して、決定されてもよい。ハイドロフォーム膨張不織布ウェブ30がその繊維に組み込まれた界面活性剤を吸収性デバイスのトップシート又は捕捉分配層(「ADL」)として使用される場合、トップシートの機能上の流体捕捉率の値は、吸収性デバイスがその流体収容能力を超えた後でも機能し続けることができる。
【0060】
図7A及び
図7Bは、
図4の装置40のようなハイドロフォーム装置上で製造されたハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ70の部分の側面図である。ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ70は、10gsmの公称目付けと、4.8オンスの重りを用いてエイムス(Ames)412.5厚み計によって測定した場合約0.0040インチ(約102ミクロン)の平均ロフト又は厚さとを有する最初のスパンボンド不織布ウェブから製造された。
図7Aは、ハイドロフォーム装置40の液体ジェット46に供されたハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ70の第1の側の第1表面72を示し、
図7Bは、第1表面72と反対側でありハイドロフォーム装置40の成形構造44に接している、ハイドロフォーム膨張不織布ウェブ70の第2の側の第2表面74を示す。図示されているように、第1表面72は概ね平面であり、一方、第2表面74は、そこから延在する突起76のパターンを有する。突起76は、成形構造44の開口部44aのパターンと概ね同じパターンであり、それはリニアインチ当たり約25個のセル(すなわち、25メッシュ)のメッシュ数を有する。ハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布ウェブ70は、4.8オンスの重りを用いてエイムス412.5厚み計によって測定した場合約0.0076インチ(約193ミクロン)、又は最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブのロフトよりも約1.9倍(90%)大きい平均ロフト又は厚さを有する。
【0061】
図8は、膨張スパンボンド不織布層82とポリマーフィルム層84とを含むハイドロフォームコンポジット材料80の部分の断面を示す。フィルム層84は、膨張スパンボンド不織布層82から離れる方向に延在する複数の拡張セル86を含む。図示された実施形態では、フィルム層84の拡張セル86の各々は、それぞれの頂点87で開口部が形成されており、拡張セル86は、成形構造44の開口部44aのメッシュ数と実質的に同じである、リニアインチ当たり約25個のセル(すなわち、「25メッシュ」)のメッシュ数を有するマクロ拡張セルである。マクロ拡張セルは、ハイドロフォームコンポジット材料の連続的に薄くなっている部分を含みコンポジット前駆体材料(以下に説明する)の最初の平面から離れる方向に延在する側壁を有し、複数の拡張セルの各々は、ハイドロフォームコンポジット材料の乱されていない概ね平坦な表面からなる幅を有するランド85により隣接する拡張セルから離間している。ハイドロフォームコンポジット材料80では、膨張スパンボンド不織布層82の繊維及び小繊維がフィルム層84の拡張セル86に押し込まれ、いくらかの小繊維88は、フィルム層84の拡張セル86の頂点87を含む平面を超えて延在する。
【0062】
ハイドロフォーム加工に付されるコンポジット前駆体材料は、例えば、
図9〜11に示すように、種々の方法によって生成することができる。
図9に示す装置90では、最初の未膨張不織布ウェブ10のロール42をスピンドル91上に配置し、ポリマーフィルム94のロール92を別個のスピンドル93上に配置してもよい。ポリマーフィルム94のポリマーは、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル、メタロセン、直鎖低密度及び直鎖中密度ポリエチレンを含むがこれらに限定されない1種又はそれ以上のポリオレフィン、並びにポリプロピレン系のエラストマー、エチレン系のエラストマー、コポリエステル系のエラストマー、オレフィンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマーなどを含むがこれらに限定されないエラストマーポリマーを含むがこれらに限定されないその他のポリマー、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。ポリマーフィルム94は、固体ポリマーフィルムであってもよいし、又は開口部が形成されていても良い。一実施形態では、ポリマーフィルム94は、真空成形、ハイドロフォーム、機械的開口形成及び/又はエンボス加工法を使用して作製されたミクロセル又はミクロ開口部のパターンを有していても良い。
【0063】
最初の未膨張不織布ウェブ10及びポリマーフィルム94のそれぞれは、2つのカレンダーロール96、97の間のニップ95に供給されてもよい。2つのカレンダーロール96、97のうち少なくとも1つは、不織布ウェブ10及び/又はポリマーフィルム94を軟化させ得る温度まで温められてもよい。一実施形態では、カレンダーロール96、97の少なくとも1つは、その表面に三次元パターンを有してもよく、ポリマーフィルム94及び不織布ウェブ10は、当技術分野で知られているように点接着加工に付される。不織布ウェブ10とポリマーフィルム94とを含むコンポジット前駆体材料98が成形構造44を通過する際に液体ジェット46に供される前に、ニップ95内の不織布ウェブ10とポリマーフィルム94とに付される圧力は、不織布ウェブ10とポリマーフィルム94とを互いに接着させて、コンポジット前駆体材料98を作製する。液体ジェット46と、成形構造44と、真空スロット45との組合せは、
図8に図示された実施形態に関して上記に説明されたように、膨張スパンボンド不織布層と、成形構造の開口部44aのパターンに対応するパターンに並べられた拡張セルを有するポリマーフィルム層とを含むハイドロフォームコンポジット材料99を作製する。例えば、成形構造44がリニアインチ当たり約40個の開口部(すなわち「40メッシュ」)からリニアインチ当たり約120個の開口部(すなわち「120メッシュ」)までのメッシュ数を有する場合、ハイドロフォームフィルムのセルは、約40から約120のメッシュ数を有するミクロ拡張セルとなる。成形構造が約40メッシュ未満のメッシュ数を有する場合、ハイドロフォームフィルムのセルは、約40メッシュ未満のメッシュ数を有するマクロ拡張セルとなる。
【0064】
ドライヤ48を通過した後、ハイドロフォームコンポジット材料99は、細長く切られてワインダ50によってロール99aに巻き取られても良い。一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料99の少なくとも膨張スパンボンド不織布層は、ハイドロフォームコンポジット材料99の性能を更に向上させるために、界面活性剤でコーティングされ、又はその他の方法により処理されても良い。一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料99の繊維は、上述したように界面活性剤を既に含有していてもよい。
【0065】
一実施形態では、液体ジェット46及び成形構造44の上流に位置する装置90の部分をオフラインで配置して、コンポジット前駆体材料98を形成し、コンポジット前駆体材料のロールを
図4の装置40のスピンドル43に配置し、上記のように処理してもよい。
【0066】
図10は、最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブ10がニップ104を通過する際に、溶融ポリマー102の層をフィルム押し出しダイ103から、金属製ロール105とゴム製ロール106とによって作られたニップ104において、最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブ10上に直接押し出すことによって、積層コンポジット前駆体材料101を生成するように構成された装置100の実施形態を示す。溶融ポリマー102の層は、ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル、メタロセン、直鎖低密度及び直鎖中密度ポリエチレンを含むがこれらに限定されない1種又はそれ以上のポリオレフィン、並びにポリプロピレン系のエラストマー、エチレン系のエラストマー、コポリエステル系のエラストマー、オレフィンブロックコポリマー、スチレンブロックコポリマーなどを含むがこれらに限定されないエラストマーポリマーを含むがこれらに限定されないその他のポリマー、又はこれらの組み合わせを含むことができる。
【0067】
搬送ロール107を使用して、積層コンポジット前駆体材料101の向きを変えて、積層コンポジット前駆体材料101のポリマーフィルム層が成形構造44に接し、液体ジェット46が最初のスパンボンド不織布ウェブ10に直接液体流47を供給するようにしても良い。更なるロールは装置100において使用することができ、例示された実施形態は、いかなる方法においても制限することを意図しないことを理解されたい。液体ジェット46、成形構造44、及び真空スロット45の組み合わせは、上記に説明されたように、膨張スパンボンド不織布層と、成形構造44の開口部44aのパターンに対応するパターンに並べられた拡張セルを有するポリマーフィルム層とを含むハイドロフォームコンポジット材料108を作製する。
【0068】
図10に示す実施形態では、搬送ロール109を用いてハイドロフォームコンポジット材料108をドライヤ48と並ばせ、ドライヤ48を通過した後、ハイドロフォームコンポジット材料108を、細長く切ってワインダ50によってロール108aに巻き取っててもよい。一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料108の少なくとも膨張スパンボンド不織布層は、ハイドロフォームコンポジット材料108の性能を更に向上させるために、界面活性剤でコーティングされ、又はその他の方法により処理されても良い。一実施形態では、上述したように、ハイドロフォームコンポジット材料108の繊維は界面活性剤を既に含有していてもよい。
【0069】
ハイドロフォームコンポジット材料108を搬送するために更なるロールを使用することができ、例示された実施形態は決して限定することを意図するものではないことを理解されたい。一実施形態では、液体ジェット46及び成形構造44の上流に位置する装置100の部分をオフラインで配置して積層コンポジット前駆体材料101を形成しても良く、積層コンポジット前駆体材料のロールを
図4の装置40のスピンドル43に配置し、上述のようにハイドロフォーム加工しても良い。
【0070】
図11は、溶融ポリマー102が不織布ウェブ10と接しているときにスパンボンド不織布ウェブ10が第2真空スロット領域115を通過するように、最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブ10が第2成形構造114の上を同期した速度で移動する際に、溶融ポリマー102を押し出しダイ103から最初の未膨張スパンボンド不織布ウェブ10に直接押し出すことによって、積層コンポジット前駆体材料112を生成するように構成された装置110の実施形態を示す。第2成形構造114は、第2真空スロット領域115に生成された真空が、スパンボンド不織布ウェブ10を成形構造114に対面するように引くことを可能とするように構成された開口部のパターンを有し、スパンボンド不織布ウェブ10の浸透性により、ポリマーフィルム層は、ポリマーが冷えるにつれて不織布ウェブ10に適合する。搬送ロール116、117は、ポリマー層に更なる冷却を提供するために及び/又は積層コンポジット前駆体材料112のポリマーフィルム層が成形構造44に接触し、液体ジェット46が最初のスパンボンド不織布ウェブ10上に液体流47を直接供給するように積層コンポジット前駆体材料112を再配向するために、使用されてもよい。コンポジット前駆体材料112を搬送するために追加のロールを使用することができ、例示された実施形態はいかなる意味においても限定することを意図しないことを理解されたい。液体ジェット46、成形構造44、及び真空スロット45の組み合わせは、上記に説明されたように、膨張スパンボンド不織布層と、成形構造の開口部44aのパターンに対応するパターンに並べられた拡張セルを有するポリマーフィルム層とを含むハイドロフォームコンポジット材料108を作製する。
【0071】
図11に示す実施形態では、追加の搬送ロール119を使用して、ハイドロフォームコンポジット材料118をドライヤ48と並ばせ、ドライヤ48を通過した後、ハイドロフォームコンポジット材料118を、細長く切ってワインダ50によってロール118aに巻き取ってもよい。一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料118の少なくとも膨張スパンボンド不織布層は、ハイドロフォームコンポジット材料118の性能を更に向上させるために、界面活性剤でコーティングされ、又はその他の方法により処理されても良い。一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料118の繊維は、上述したように界面活性剤を既に含有していてもよい。
【0072】
ハイドロフォームコンポジット材料118を搬送するために追加のロールを使用することができ、例示された実施形態はいかなる意味においても限定することを意図するものではないことを理解されたい。一実施形態では、液体ジェット46及び成形構造44の上流に位置する装置110の部分をオフラインで配置して積層コンポジット前駆体材料112を形成しても良く、積層コンポジット前駆体材料112のロールを
図4の装置40のスピンドル43に配置し、上述のようにハイドロフォーム加工しても良い。
【0073】
コンポジット前駆体材料を作製するために他の従来の加工法を使用することができ、本明細書に記載された加工法は、いかなる意味においても限定的であると見なされるべきではない。例えば、一実施形態では、接着剤材料を使用して、ポリマーフィルムと最初の未膨張のスパンボンド不織布ウェブとを接着することができる。一実施形態では、超音波接着装置を使用して、ポリマーフィルムと最初の未膨張のスパンボンド不織布ウェブとの間に結合を形成することができる。
【0074】
図10及び
図11に関して上述したように、スパンボンド不織布ウェブの上に直接溶融ポリマーの層を押し出すことを含む、熱接着加工を使用して積層コンポジット前駆体材料を作製する潜在的な利点は、得られるポリマーフィルム層が、既に形成されたポリマーフィルムを使用する加工法よりも薄い可能性があることである。例えば、直接押し出し法は、約8〜12gsmの公称目付けを有する非常に薄いポリマーフィルムを可能にし得る。
【0075】
次に、突起を有するハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布材料、又は拡張セルを有するハイドロフォームコンポジット材料(開口部有り又は無し)に、マクロ突起又は拡張セルのパターン(開口部有り又は無し)が生成され得るように、リニアインチ当たり約40個未満の開口部の異なるメッシュ数を有する異なる成形構造44を含む、
図4のハイドロフォーム装置40を用いた2回目のハイドロフォーム加工を実行することができる。マクロ拡張セルは、ハイドロフォームコンポジット材料の最初の平面から離れる方向に延びるハイドロフォームコンポジット材料の連続的に薄くなっている部分を含む側壁を有しても良い。一実施形態では、
図4のハイドロフォーム装置40は、開口部形成のためではなく、ハイドロフォームコンポジット材料のエンボス加工によって更に三次元的な表面を生成するために使用されても良い。
【0076】
一実施形態では、マクロ拡張セルのパターンは、突起又はミクロ拡張セルを既にそれぞれ有しているハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布材料又はハイドロフォームコンポジット材料中に、
図12に図示される装置120のような大型の開口部を形成するように構成された装置に材料を通過させることによる、材料の機械的穿孔方法によって形成されても良い。図示されているように、装置120は、ピン124のパターンを有するピンロール123と、ピン124を受けるように構成されたキャビティ126の位置合わせパターンを有する対向ロール125とを含む。ピンロール123と対向ロール125とは、反対方向に回転してニップ127を形成し、これを介してハイドロフォームコンポジット材料128を供給してもよい。ピン124は、ピンロール123の表面から突出しており、キャビティ126は、対向ロール125の表面に窪んでいる。ピンロール123と対向ロール125は、ピン124がキャビティ126とかみ合うように位置合わせされてもよく、ロール123,125が回転すると、ニップ127においてピン124がキャビティ126内に挿入され、ロール123、125間のハイドロフォームコンポジット材料128がピン124によって穿孔され、これにより、開口部を有するマクロ拡張セルのパターンが形成される。
【0077】
得られた材料は、ミクロ拡張セル(又は突起)及び開口部を有するマクロ拡張セルを含み、吸収性デバイスのトップシート又はADLなどの他の層に後に変換するためにロール129に巻かれてもよい。マクロ拡張セルは、リニアインチ当たり約40個のセル(すなわち「40メッシュ」)未満のメッシュ数を有して良い。マクロ拡張セルは、ハイドロフォームコンポジット材料の最初の平面から離れる方向に延びていてもよく、それぞれが幅を有する、ミクロ拡張セルを有するハイドロフォームコンポジット材料の平面からなるランドによって離間される。このような機械的穿孔法は、その全体が本明細書中に参考として援用されるクリー(Cree)らの米国特許第7,204,907号に更に詳細に記載されている。
【0078】
一実施形態では、
図13に示す装置130を使用して、マクロ突起又はマクロ拡張セルのパターンを、ハイドロフォーム膨張不織布ウェブ及び/又はハイドロフォームコンポジット材料に形成してもよい。図示されるように、
図12の装置120のピンロール123と対向ロール125とは位置合わせされたエンボスロール132、134に置き換えられ、
図13の131で表されるハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布材料又はハイドロフォームコンポジット材料上に三次元表面(開口部なし)が生成され得る。材料131がエンボスロール132、134の間を通過した後、材料は更なる加工のためにロール136に巻き取られてもよい。
【0079】
図14は、例えば
図8に示されたハイドロフォームコンポジット材料の部分の図形的な断面図を提供する。この図は、本発明を形成するために組み合わされる様々な構造を明確にするために提供される。
【0080】
図14は、共にコンポジット材料80を形成する、膨張スパンボンド不織布層82及びポリマーフィルム層84を示す。フィルム層84は、膨張スパンボンド不織布層82から離れる方向に延びる複数の拡張セル86を含む。拡張セル86の1つを
図14に示す。
【0081】
明らかなように、
図14は、拡張セル86に合わせて形成された突起76も示している。上述したように、突起76および拡張セル86は、ハイドロフォーム加工によって形成されることが意図されている。しかし、上記から明らかなように、本発明の範囲から逸脱することなく、ハイドロフォーム以外の加工法を採用することもできる。
【0082】
拡張セル86は、全ての拡張セル86が繊維及び/又は小繊維88を含むとは考えられない点を除いて、コンポジット材料80に含まれる全ての拡張セル86を表すものと考えられる。とりわけ、1又は複数の拡張セル86は、繊維または小繊維88を除外することができると考えられる。1又は複数の拡張セル86からの繊維または小繊維88の不存在は、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0083】
後続の説明を助けるために、フィルム層84の第1表面84a及び第2表面84bが指定される。
【0084】
図示された実施形態では、拡張セル86は、不織布層82から第2表面84bの方向に延びている。拡張セル86は、図の点線の円で示されている。
【0085】
拡張セル86は、少なくとも側壁83を形成するフィルム層84の一部を包囲する。
図示されるように、拡張セル86は、ランド85においてフィルム層84の部分から、頂部87へと延びる三次元の開口部APを画定する。上述したように、拡張セル86の側壁83は、ランド85に隣接するフィルム層84の部分から頂部87にかけて薄くなることが企図される。また、繊維及び/又は小繊維88のいくらかは、開口部AP内に、ランド85によって画定された平面を通って、さらにはフィルム層84の拡張セル86の頂部87を含む平面を超えて延びている。言い換えれば、本発明の議論から明らかなように、繊維または小繊維88は、繊維88が不織布ウェブ82とは平面外にあるように、1つ又は複数の拡張セル86の中に延びる。したがって、繊維および小繊維88は、本明細書では突起76として定義されるものを形成する。
【0086】
拡張セル86によって画定された開口部APは、フィルム層84のランド85から離れて第2表面84bの方向に延びる「円錐体」または「火山」として図示されている。したがって、開口部APは、ランド85の平面と一致する第1開口部AP1(近位開口部)と、頂部87によって画定される第2開口部AP2(遠位開口部)とを画定する。本発明を限定するものではないが、開口部APは、必要に応じて、または所望に応じて、任意の形状を有することができる。例えば、開口部APは、図示される円錐形状を有してもよく、側壁83は、第1開口部AP1が、第2開口部AP2の面積よりも大きな面積を画定するように配置されていても良い。さらに、開口部APは円筒形状を有していてもよい。その場合、側壁83は、ランド85によって画定された平面に対して実質的に垂直であると考えられる。ここで、第1の開口部AP1及び第2の開口部AP2の面積は、等しいか実質的に等しいと考えられる。更に別の実施形態では、開口部APは、第1開口部AP1の面積が第2開口部AP2の面積より小さくなるように規定するように、側壁83が外側に向けて延びるフレア状の断面または漏斗形状を有してもよい。
【0087】
図14に示すように、開口部APを通って延びる繊維88のいくつかは、第1開口部AP1を通って延びるが、第2開口部AP2を通って延びていない。これらの繊維または小繊維88は、開口AP内に巻き込まれる。繊維又は小繊維88のうちの他のものは、第1開口部AP1及び第2開口部AP2の両方を通って延び、それによって開口AP全体を通って延びる。
【0088】
マクロ拡張セル(開口部有り又は無し)をミクロ拡張セルを有するハイドロフォームコンポジット材料に組み込むための上記方法のいずれかにおいて、ハイドロフォームコンポジット材料を不織布層が下に向けられた状態で加工に導入する場合、ミクロ拡張セルは上向きになり、マクロ拡張セルは下向きになる。反対に、ハイドロフォームコンポジット材料を不織布層が上に向けられた状態で導入する場合、ミクロ拡張セルは下向きになり、マクロ拡張セルもまた下向きになる。一実施形態では、リニアインチ当たり約40個未満のセルのメッシュ数のマクロ拡張セルを有するハイドロフォームコンポジット材料は、上述の方法のうちの1つによって更に加工されて、マクロ拡張セルの第2のパターンを追加することができるが、ランド幅のためにはより小さいミクロ拡張セルが望ましい。なぜなら、ミクロ拡張セルは、増強された柔らかさを提供し、及び/又は表面の乾きを促進させるために毛細管吸引力を提供し得るからである。そのような拡張セルの配向を含むミクロ拡張セル(開口部有り又は無し)及びマクロ拡張セル(開口部有り又は無し)の種々の組合せを、本発明の実施形態に従って作製することができる。例えば、上述した装置を用いて、成形構造44のメッシュパターンを変更することによって、拡張セルのサイズを変更することができ、成形構造に供給されるコンポジット前駆体材料及び/又は更なる加工の為に装置に供給されるハイドロフォームコンポジット材料の配向を変更することによって、拡張セルの配向を変更することができる。
【0089】
実施例1
10.25gsmの目付け(公称10gsm)を有するスパンボンド不織布ウェブを、本発明の実施形態による方法を用いて、リニアインチ当たり40個の開口部より大きいメッシュ数、並びにリニアインチ当たり40個未満の開口部のメッシュ数を有する、様々な成形スクリーンの上で加工した。Image−Pro Plus(登録商標)画像分析ソフトウェアを備えたNavitarビデオイメージングマイクロスコープを含む拡大光学デバイスによって断面を測定した場合、スパンボンド不織布の最初のロフトは、上面から底面まで平均約0.012cmであった。一実施形態では、拡大光学デバイスは、走査型電子顕微鏡(「SEM」)を含んでもよい。試料をそれぞれ約1.0インチ(2.54cm)幅の細長い切れ端に切断し、次いで断面に対する圧縮損傷を最小にするよう慎重にその幅に亘って剪断切断した。次に、試料を、その端部が顕微鏡のレンズに対向するように上向きに取り付けた。画像に焦点を合わせ、ソフトウェアによって提供されたライン測定で測定した。試料の端部全体にわたって5つの地点を測定し、試料の平均ロフトを決定した。同一のウェブから複数の試料を試験した。本発明の実施形態による方法を用いてスパンボンド不織布ウェブを加工した後、ウェブは0.0267cm、標準偏差0.0053cmの平均ロフトまで膨張し、これは最初のスパンボンド不織布ウェブのロフトの少なくとも約1.7倍であった。
【0090】
少なくとも1つの試料では、リニアインチ当たり25個の開口部(すなわち、「25メッシュ」)のメッシュ数を有する成形スクリーンを使用した。より具体的には、成形スクリーンは、開口部を有する入れ子状の五角形のパターンを有し、五角形の一方の平らな側からその尖った上部まで測定すると約0.050インチであった。そして、開口部は、約0.007インチの幅を有するランドによって離間されていた。この膨張スパンボンド不織布試料は、スパンボンド不織布ウェブの最初のロフトの約3.0倍に膨張し0.036cmという高さの測定ロフトを有していた。
【0091】
10.25gsmのスパンボンド不織布ウェブはまた、本明細書のデータのために出願人によって使用された試験装置であるTextest FX3300空気透過率試験機のような装置で測定した場合、約1080立方フィート/平方フィート/分(ft
3/ft
2/分)、又は約329立方メートル/平方メートル/分(m
3/m
2/分)の最初の平均空気透過率を有していた。本発明の実施形態によるスパンボンド不織布ウェブを、上述したのと同じ成形スクリーンの配列の上で加工した後、空気透過率は、平均約1420ft
3/ft
2/分又は433m
3/m
2/分、標準偏差120ft
3/ft
2/分又は37m
3/m
2/分まで増加し、これは最初のスパンボンドウェブの空気透過率の少なくとも約1.2倍に増加した空気透過率と言い換えられる。上記の25メッシュのスクリーン(すなわち、リニアインチ当たり25個の開口部のメッシュ数を有する成形スクリーン)で加工すると、空気透過率は1620ft
3/ft
2/分、又は494m
3/m
2/分まで増加し、これは最初のスパンボンドウェブの空気透過率の約1.5倍に増加した空気透過率と言い換えられる。
【0092】
実施例2
スパンボンド不織布ウェブはまた、上記のような成形スクリーンの配列の上で本発明の実施形態による積層体(コンポジット材料)の一部として上記のような成形スクリーンの配列の上でハイドロフォーム加工された。このようなハイドロフォームコンポジット材料は、ハイドロフォームコンポジット材料が吸収性デバイスに組み立てられる際に変換の問題を生じ得るため、層が剥離して分離しないような十分な一体性を有すべきである。非常にわずかな剥離力、すなわち2つの層の剥離に抵抗する力でさえ、ほとんどの変換加工のためには十分であるはずである。本発明の実施形態によるハイドロフォームコンポジット材料は、任意のブランドの2インチ幅のマスキングテープの片を8〜10インチの長さコンポジット材料の不織布側に適用し、フィルム側からテープを手で約2〜3インチの距離引っ張り、フィルムとテープとをフィルム産業において一般的な引張り試験装置のあごに配置することを含む、剥離力試験法(Peel Force Test法)によって試験した場合、少なくとも約3.0グラムの層間剥離力を示した。次いで、5インチ/分の顎剥離速度が起動され、引張り試験装置は、2つの層が剥離されたときに力計が経験する平均の力を計算する。本発明のいくつかの実施形態では、剥離力は、ほぼ約20グラムと測定された。
【0093】
図10及び
図11に示す前述のニップラミネーション加工において溶融温度及びニップ圧力を操作することにより、剥離力を増加させることができるが、ラミネーション条件は、不織布の全ての繊維がコンポジット前駆体材料のポリマー側に完全に圧縮されないようにバランスを取るべきである。
図11に示す真空ラミネーション加工は、弱い結合(すなわち、小さな剥離力)を生じさせるが、依然として本明細書で表現された限度内であり、大部分の変換加工には十分である。本発明の実施形態による材料は、吸収性デバイスの層として有用である。
【0094】
実施例3−10
約133ミクロン(0.0052インチ)の平均厚さ及び約311m
3/m
2/分の平均空気透過性を有する公称10gsmのスパンボンド不織布ウェブを、43.5メッシュ(リニアインチ当たり43.5個の開口部)のスクリーンと60メッシュ(リニアインチ当たり60個の開口部)のスクリーンを用いて、種々の水圧でハイドロフォーム加工した。表1は、400psi〜550psiの水圧で43.5メッシュのスクリーンを用いたハイドロフォーム不織布ウェブの、得られた厚さ及び空気透過性を示し、表2は、315psi〜500psiの水圧で60メッシュのスクリーンを用いたハイドロフォーム不織布ウェブの、得られた厚さ及び空気透過率を示す。
【0096】
43.5メッシュのスクリーンを使用した場合、スパンボンド不織布ウェブの平均厚さは、最初の厚さの約1.44倍から約1.64倍の厚さに(すなわち、約44%〜約64%)膨張した一方で、平均空気透過率は、最初の空気透過性の約1.26倍から約1.53倍に(すなわち、約26%〜53%)増加し、水圧が最も高いとき、厚さ及び空気透過性の最大の増加が得られた。
【0098】
各圧力で、スパンボンド不織布ウェブの平均厚さは、最初の厚さの約1.34倍から約1.62倍の厚さに(すなわち、約34%〜約62%)膨張した一方で、平均空気透過率は、最初の空気透過率よりも約1.24倍から約1.42倍に(すなわち、約24%〜約42%)増加し、水圧が最も高いとき、厚さ及び空気透過率の最大の増加が得られた。
【0099】
本発明の実施形態は、トップシート、すなわち、吸収性デバイスの装着者の皮膚に接触するトップ層に適する、柔らかさのための高いロフトと、冷涼感及び迅速な流体捕捉のための高い空気透過性とを備えたハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布材料を提供する。パンティライナーや女性用ナプキンのような吸収性デバイスは、より冷涼でより柔らかいトップシートの恩恵を受けることができる。本発明の実施形態はまた、パンティライナーのような低流体用途に最も適する、フィルム層に開口部を有するミクロ拡張セルを備えたハイドロフォームコンポジット材料を提供する。フィルム層は不織布材料に強度を与え、並びにリウェット性能の増強を提供するが、開口部を有するマクロ拡張セルを備えないハイドロフォームコンポジット材料は、大量の流体を迅速に捕捉しないかもしれない。従って、リニアインチ当たり40個のセルより大きいメッシュ数、すなわちミクロ拡張セルを有するハイドロフォームコンポジット材料を使用すると、本発明の実施形態によるマクロ拡張セルを追加する上述の加工に導入するための前駆体ウェブとして最適であり得る。
【0100】
本発明の実施形態によるハイドロフォームコンポジット材料は、マクロ拡張セルを組み込んだ後、マクロ拡張セル間のランド上のミクロ拡張セルにより、特に柔らかく快適である。ハイドロフォームコンポジット材料はまた、迅速な流体捕捉性を有し、これは、吸収性デバイスにおけるトップシート又はADLとしての使用に望ましい。膨張スパンボンド不織布材料それ自体は、吸収性デバイス又は流体バリアを必要としない他の用途においてトップシートとして使用することもできる。ハイドロフォームコンポジット材料が、開口部が形成されていないフィルム層に拡張セルを有する場合、開口していないセルは流体バリアを提供する一方、依然として柔らかさの利点を提供するため、ハイドロフォームコンポジット材料はバックシートとして機能し得る。
【0101】
本発明の実施形態によるハイドロフォーム膨張スパンボンド不織布材料及びハイドロフォームコンポジット材料には、吸収性デバイスとして多くの用途があり、並びに本明細書に記載されている本発明の実施形態によって提供される特性及び性能から利益を得ることができる他のタイプのデバイスがある。例えば、本発明の実施形態は、乳児用おむつ又は大人用失禁製品、並びに拭き取り用品、洗浄用具、使い捨て衣類、及び空気及び/又は液体の透過性及び高いロフトを必要とする他の用途のような、その他の吸収性デバイスに適した材料を提供することができる。
【0102】
一実施形態では、ハイドロフォームコンポジット材料のポリマーフィルムは、エラストマーフィルムであってもよく、エラストマーフィルム及び膨張スパンボンド不織布ウェブを含むハイドロフォームコンポジット材料は、吸収性物品、又は柔らかさと伸縮性が望まれる他のいずれかの製品においてサイドパネル、耳、レッグカフ、ウエストバンド等として使用することができる。
【0103】
本明細書に記載された実施形態は、多数の可能な具体化及び実施例を表しており、本開示を特定の実施形態に限定することを必ずしも意図していない。その代わりに、当業者に理解されるように、様々な変更がそれらの実施形態に行われることができ、明示的に記載されていなくても、本明細書に記載の様々な実施形態の様々な組み合わせを本発明の一部として使用することができる。そのような変更は、本開示の精神及び範囲内に含まれ、後続の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。