【文献】
石井大祐 外4名,コミック画像におけるコマの角検出に関する一検討,情報処理学会研究報告 2010 August[CD−ROM],一般社団法人情報処理学会,2010年 8月15日,pp.1−6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指示信号は、オリジナルの前記画像データを表示する第1表示形式と、前記コマを垂直方向に並べて表示する第2表示形式と、前記コマを水平方向に並べて表示する第3表示形式とのうち、2つ以上の表示形式の中からいずれか1つの表示形式を指示する信号を含む、請求項2に記載のサーバ。
前記特定部は、前記画像データを同じ色の画素が連続する複数の領域に分割し、前記複数の領域に基づいて余白を特定し、前記余白に基づいて前記複数のコマの各々を特定する、請求項1乃至5のいずれか一に記載のサーバ。
前記特定部は、前記画像データを二値化し、二値化された前記画像データに基づいて、前記画像データを前記複数の領域に分割する、請求項6乃至8のいずれか一に記載のサーバ。
前記特定部は、前記余白の中に、前記特定部によって特定された前記複数のコマのうち最も小さいコマのサイズ以上の空間が存在する場合、前記空間をコマとして特定する、請求項6乃至10のいずれか一に記載のサーバ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における電子書籍提供システム、並びに、当該システムに用いられる電子書籍提供サーバ、通信端末、これらの機能、並びに、通信端末に表示されるインターフェース及び電子漫画について説明する。但し、本発明の一実施形態における電子書籍提供システム等は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、電子書籍提供システムや電子書籍提供サーバは、直接的にユーザに対して電子書籍を提供する機能を有するシステムやサーバだけでなく、電子書籍を提供するために用いられるシステムやサーバを含む。つまり、以下の説明では、電子書籍を提供するために、電子書籍を編成する機能を有するシステムやサーバを電子書籍提供システムや電子書籍提供サーバという場合がある。
【0029】
以下の実施形態において、電子漫画の画像データを見る向きに漫画を表示させたときの横方向を水平方向といい、縦方向を垂直方向という。なお、通信端末に電子漫画を表示する場合、通信端末のディスプレイの長手方向を垂直方向に合わせて使用する場合が多いため、当該ディスプレイの長手方向を垂直方向といい、短手方向を水平方向という場合がある。ただし、上記の表現は、電子漫画の垂直方向をディスプレイの長手方向に合わせて表示する場合に限定するものではない。
【0030】
以下の実施形態では、電子書籍提供サーバと通信を行い、電子書籍を表示する通信端末として、携帯通信端末が用いられた構成を例示するが、この構成に限定されない。また、特に技術的な矛盾が生じない限り、異なる実施形態間の技術を組み合わせることができる。
【0031】
〈第1実施形態〉
図1〜
図23を用いて、本発明の第1実施形態に係る電子書籍提供システム10、電子書籍提供システム10に用いる電子書籍提供サーバ100、第1通信端末200、及び第2通信端末300、並びに、これらを動作させるためのプログラムについて説明する。第1実施形態に示す電子書籍提供システム10は、ネットワーク400を介して電子書籍提供サーバ100、第1通信端末200、及び第2通信端末300が通信可能に接続された構成を有している。
【0032】
本実施形態において、第1通信端末200は、電子漫画を閲覧する通信端末である。第1通信端末200は、ユーザが希望する表示形式で電子漫画を表示するように、電子書籍提供サーバ100に対して電子漫画の閲覧を要求する通信端末である。第2通信端末300は、電子漫画を電子書籍提供サーバ100に登録する通信端末である。例えば、第2通信端末300は、漫画のクリエイタ又は電子書籍提供サーバ100の管理者の従業員が使用する通信端末である。
【0033】
以下の説明において、第1通信端末200は、例えばスマートフォンやタブレット端末などのモバイル用の通信端末である。一方、第2通信端末300は、上記のモバイル用の通信端末であってもよく、デスクトップ型パソコン(PC)などのモバイル用ではない通信端末であってもよい。なお、第1通信端末200がモバイル用ではない通信端末であってもよい。
【0034】
[電子書籍提供システム10の概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムの概要を示す図である。
図1に示すように、本発明に係る電子書籍提供システム10は、電子書籍提供サーバ100、第1通信端末200、及び第2通信端末300を有する。電子書籍提供サーバ100は情報処理装置である。第1通信端末200はモバイル用の通信端末である。電子書籍提供サーバ100はデータベース102に接続されている。
【0035】
電子書籍提供サーバ100は、第2通信端末300によって登録された電子漫画を第1通信端末200に提供する。なお、詳細は後述するが、電子書籍提供サーバ100は、複数のコマを含む電子漫画の画像データに基づいて、複数のコマの各々を特定し、特定された各コマの順序を決定する機能を有する。電子書籍提供サーバ100は、電子漫画を第1通信端末200に提供する際に、電子漫画の表示形式を指定するためのインターフェースを第1通信端末200に提供し、当該インターフェースによって指示された内容に応じて電子漫画のコマの配置を編成して第1通信端末200に提供する。詳細は後述するが、電子書籍提供サーバ100は、上記のようにして決定された各コマの順序に基づいて、コマの配置を編成する機能を有する。
【0036】
データベース102は、第2通信端末300によって登録された電子漫画、及び登録された電子漫画に基づいて生成された各コマに関する情報を記憶している。詳細は後述するが、コマに関連する情報として、コマの座標、コマのサイズ、及び各ページにおけるコマの順番が含まれる。これらの情報は互いに関連付けられている。
【0037】
電子書籍提供サーバ100、第1通信端末200、及び第2通信端末300はそれぞれネットワーク400に接続されている。本実施形態では、ネットワーク400は一般的なWorld Wide Web(WWW)サービスによって提供されるインターネット、WAN(Wide Area Network)、又は社内LANなどのLAN(Local Area Network)である。第1通信端末200及び第2通信端末300は、ネットワーク400を介して電子書籍提供サーバ100と通信する。
【0038】
図1では、データベース102が電子書籍提供サーバ100に直接接続された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、データベース102が直接ネットワーク400に接続され、電子書籍提供サーバ100とデータベース102との間のデータの送受信がネットワーク400を介して行われていてもよい。
【0039】
[電子書籍提供サーバ100のハードウェア構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムに用いられるサーバのハードウェア構成を示す概略図である。
図2に示すように、電子書籍提供サーバ100は、サーバ制御部110、サーバ記憶部120、及びサーバ通信部130を有する。
【0040】
サーバ制御部110は、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)、当該CPUに接続されたレジスタやメモリなどの記憶装置を含む。サーバ制御部110は、メモリに一時的に記憶されたプログラムをCPUによって実行し、第1通信端末200及び第2通信端末300からの各種要請信号に応じて演算処理を行い、これらの通信端末にコンテンツデータを提供する。
【0041】
サーバ記憶部120は大容量のデータを記憶することができる記憶装置である。サーバ記憶部120には、演算処理に必要なプログラム及びコンテンツデータなどが記憶されている。サーバ記憶部120に記憶されているプログラムは、サーバ制御部110によって読み出しされ、サーバ制御部110の記憶装置に一時的に記憶される。サーバ記憶部120はハードディスクであってもよく、揮発性又は不揮発性のメモリであってもよい。なお、上記のサーバ記憶部120に記憶される情報は、サーバ記憶部120の代わりにデータベース102に記憶されてもよい。なお、本実施形態では、電子漫画及びコマに関連する情報はデータベース102に記憶されているが、これらのデータがサーバ記憶部120に記憶されていてもよい。
【0042】
サーバ通信部130は、外部機器に対してデータを送受信可能に接続することができる制御装置であり、ネットワーク400に対するデータの送受信を制御する。
【0043】
[第1通信端末200のハードウェア構成]
図3は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムに用いられる通信端末のハードウェア構成を示す概略図である。
図3に示すように、第1通信端末200は、端末記憶部210、端末制御部220、端末通信部230、ディスプレイ240、操作ボタン250、カメラ260、スピーカ270、及びマイク280を有する。
【0044】
端末記憶部210は、第1通信端末200に特定の機能を実行させるためのプログラム、複数のコマを含む電子漫画、ディスプレイサイズなど第1通信端末200に関する端末情報、及び第1通信端末200を所有するユーザの情報等のデータを記憶する。端末記憶部210として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ及びSRAM、DRAM等の揮発性メモリが用いられる。プログラム等のデータは不揮発性メモリに記憶され、プログラムを実行する際に不揮発性メモリから読み出されて揮発性メモリに一時的に記憶される。
【0045】
端末制御部220は、CPUなどの演算回路や、当該CPUに接続されたメモリ及びレジスタなどの記憶回路を有する。端末制御部220は、端末記憶部210に記憶されたプログラムをCPUによって実行し、第1通信端末200に入力された命令信号に応じて、第1通信端末200の各種機能を実現する。
【0046】
端末通信部230は、外部機器に対してデータを送受信可能に接続することができる制御装置であり、ネットワーク400に対するデータの送受信を制御する。
【0047】
ディスプレイ240として、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイなどのディスプレイを用いることができる。ディスプレイ240の垂直方向の大きさを垂直高さVとし、水平方向の大きさを水平幅Hとする。垂直高さV及び水平幅Hは、SI単位の大きさであってもよく、それぞれの方向における画素数であってもよい。なお、本実施形態では、垂直高さV及び水平幅Hはそれぞれの方向における画素数である。また、ディスプレイ240はタッチセンサを有している。タッチセンサは、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式のセンサなどを使用することができる。タッチセンサは、ユーザによる画面操作を検知し、ユーザの操作に基づく検知信号を端末制御部220に送信する。本実施形態では、ディスプレイ240に設けられたタッチセンサを用いて、指示内容の選択及び入力などの操作を行う。
【0048】
操作ボタン250は、ディスプレイ240の下方に設けられている。操作ボタン250は物理的なボタンであってもよく、上記のようなタッチセンサであってもよい。ディスプレイ240のタッチセンサに代えて、操作ボタン250を用いて指示内容の選択及び入力などの操作を行ってもよい。
【0049】
図3では、第1通信端末200がカメラ260、スピーカ270、及びマイク280を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。必要がなければ、これらの構成は省略されてもよい。
【0050】
図3では、第1通信端末200の一例として、スマートフォンを示したが、電子書籍提供システム10に用いるこれらの通信端末はスマートフォンに限定されない。電子書籍提供システム10に用いる通信端末として、スマートフォン以外にも携帯電話、タブレットPC、PDA、PHS、ノート型PC、デスクトップ型PCなどが用いられてもよい。
【0051】
[電子書籍提供サーバ100の機能構成]
図4は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムに用いられるサーバの機能構成を示す概略図である。
図4に示すように、電子書籍提供サーバ100は、特定部150、決定部160、及び編成部170を有する。これらの機能部は、例えばバスを介して互いに通信可能に接続されている。特定部150は、複数のコマを含む漫画の画像データに基づいて、複数のコマの各々を特定する。決定部160は、特定部150によって特定された複数のコマの順序を決定する。編成部170は、決定部160によって決定された順序に基づいて、コマの配置を編成する。
【0052】
電子書籍提供サーバ100のサーバ制御部110(例えばCPU)が、サーバ記憶部120に記憶されたプログラムを実行することで、上記の各機能部の機能が実現される。なお、本実施形態では、1つの電子書籍提供サーバ100に上記の全ての機能部が含まれる構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、これらの機能部が異なるサーバに設けられ、これらのサーバが協働することで電子書籍提供システム10の機能が実現されてもよい。
【0053】
特定部150は、画像データ解析部151、領域分割部153、余白特定部155、及びコマ特定部157を有する。
【0054】
画像データ解析部151は、第2通信端末300によって登録されたオリジナルの電子漫画の画像データを解析して単純化する。具体的には、画像データ解析部151は、当該画像データを二値化する。本実施形態では、画像データ解析部151が画像データを二値化する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、3以上の多値化を行ってもよい。なお、画像データの単純化は、後の処理で扱う情報量を軽減し、処理速度を向上させるために行われるが、処理速度が十分である場合は画像データ解析部151が省略されてもよい。
【0055】
領域分割部153は、画像データ解析部151の処理によって単純化された画像データを複数の領域(又は、区域)に分割する。具体的には、領域分割部153は画像データに対して第1ラベリング処理を行うことで、画像データを複数の領域に分割する。なお、第1ラベリング処理は、画像データを同じ色の画素が連続する複数の領域に分割する処理である。つまり、第1ラベリング処理は、画素の色が異なる領域だけでなく、隣接する同じ色の画素の領域が、当該領域の色とは異なる色の画素によって区切られている場合であっても、当該隣接する領域は異なる領域として認識される。ただし、第1ラベリング処理における同じ色とは、完全同一の色に限定されない。例えば、色度座標又はグレースケールにおいて近接する色又は階調を同じ色として扱ってもよい。
【0056】
余白特定部155は、領域分割部153の処理によって分割された画像データに基づいて余白を特定する。具体的には、余白特定部155は、上記のように分割された複数の領域のうち、面積が最大の領域を余白として特定する。通常、上記のように1ページ分の画像データを分割すると、余白の占有面積が最大になる場合が多いため、このような処理で余白を特定することができる。なお、分割された複数の領域のうち、画素数が最も多い領域を余白として特定してもよい。ただし、分割された複数の領域のうち余白の占有面積が最大ではない場合は、上記とは異なるアルゴリズムで余白の特定を行ってもよい。例えば、通常余白は画像データの最外周を構成するが、仮に、上記のように面積が最大の領域を余白と特定した場合に余白と特定された領域が最外周を構成しない又は最外周に存在しない場合、余白の特定が正常に行われていない可能性が高い。したがって、このような場合に、余白の特定に異常が発生したと判断してエラーメッセージを通知する、又は、自動的に異なるアルゴリズムで余白の特定を行ってもよい。
【0057】
コマ特定部157は、余白特定部155の処理によって特定された余白に基づいて複数のコマの各々を特定する。具体的には、コマ特定部157は、余白以外の領域をコマとして特定する。
【0058】
また、コマ特定部157は、上記のように特定されたコマの位置を特定する機能を有する。具体的には、コマ特定部157は、コマが特定された画像データに対して第2ラベリング処理を行う。なお、第2ラベリング処理は、余白特定部155によって余白と特定された領域以外の領域のうち、連続する領域の外周を囲む枠(矩形の領域)を特定し、その枠の4点(例えば、右上、左上、右下、左下の四隅)の座標を求める処理である。なお、第2ラベリング処理において、4点の座標を求める代わりに2点(例えば、右上及び左下)の座標を求めてもよい。第2ラベリング処理によってコマの位置を特定することができる。なお、上記の領域の外周を囲む枠は、当該領域の外周に接する(外接する)枠であってもよい。
【0059】
さらに、コマ特定部157は、ある特定の条件を満たす場合に、コマとして特定された領域の統合処理を行う。例えば、上記の第2ラベリング処理によって、コマとして位置が特定された領域同士が重なっている場合、重なった領域を統合して1つのコマとして特定し直す。換言すると、本来1つのコマとして特定されるべき領域が第1領域及び第2領域という2つの領域(コマ)と認識された場合であって、第1領域が第2領域の内側に存在する、又は第1領域と第2領域とが重なっている場合、第1領域及び第2領域は1つの領域に統合される。上記の統合処理によって、誤って別々のコマと認識されてしまった1つのコマを、正しく1つのコマとして特定することができる。
【0060】
なお、特定部150は、上記の機能以外にコマ内のセリフを文字認識して文字データ化する機能及びコマ内のキャラクタを特定する機能を有していてもよい。上記の機能は、電子漫画の画像データに対する一般的な画像解析によって行われる。この場合、文字認識されたセリフやキャラクタは、コマと関連付けられてデータベース102に保存される。
【0061】
決定部160は、水平方向隣接確認部161及びコマ順決定部163を有する。決定部160は、特定部150によって特定された複数のコマの順序を決定する。
【0062】
水平方向隣接確認部161は、水平方向において、順番を付与する対象の第1コマに隣接する他のコマの存在の有無を確認する。例えば、垂直方向における第1コマの上端から下端までの範囲を水平方向に延ばした領域に、他のコマが存在するか否かを確認する。ただし、第1コマの上端からその内側(下方)へ所定の距離移動した位置から、第1コマの下端からその内側(上方)へ所定の距離移動した位置までの範囲を水平方向に延ばした領域に、他のコマが存在するか否かを確認してもよい。つまり、上記の他のコマが存在するか否かを確認する領域から、第1コマの上端付近の領域及び第1コマの下端付近の領域を除外してもよい。換言すると、水平方向において他のコマが第1コマの上端付近及び下端付近と僅かに重なる場合は、第1コマと他のコマとが水平方向に隣接しないと判断してもよい。
【0063】
コマ順決定部163は、各コマの垂直方向の位置関係、及び上記の水平方向隣接確認部161によって、第1コマの水平方向に他のコマが存在しているかどうかの確認結果に基づいて、各コマの順番を決定する。例えば、ページを左から右にめくるタイプの漫画の場合、各コマは垂直方向に上から順に並べられており、水平方向に隣接するコマがある場合(垂直方向において同じ位置に複数のコマが存在する場合)、これらのコマは右から順に読むように配置されているのが一般的である。したがって、水平方向隣接確認部161が第2コマの右側に他のコマ(第1コマ)が存在していると判断した場合、コマ順決定部163は第1コマの順番を第2コマの順番より早い順番に決定する。なお、電子漫画がページを右から左にめくるタイプの漫画である場合、上記及び以下の説明とは左右反転した処理が行われる。
【0064】
編成部170は、表示形式設定部171及びコマ配置編成部173を有する。編成部170は、決定部160によって決定された順序に基づいて、コマの配置を編成する。
【0065】
表示形式設定部171は、電子漫画の表示形式を指定するためのインターフェースを第1通信端末200に提供し、当該インターフェースによって指示された内容に応じて表示形式を設定する。例えば、第1通信端末200によってオリジナルの第1表示形式を指示する指示信号が入力された場合、コマ配置編成部173の機能をオフにして、オリジナルの電子漫画の画像データを表示させる。また、第1通信端末200によって各コマが垂直方向に並べて表示された縦読み向けの第2表示形式を指示する指示信号が入力された場合、表示形式設定部171はコマ配置編成部173にコマを垂直方向に並べる編成をさせる。また、第1通信端末200によって各コマが水平方向に並べて表示された横読み向けの第3表示形式を指示する指示信号が入力された場合、表示形式設定部171はコマ配置編成部173にコマを水平方向に並べる編成をさせる。
【0066】
また、表示形式設定部171は、第1通信端末200のディスプレイに表示されるコマの数を設定する機能、及び当該ディスプレイの幅及び高さに基づいて表示されるコマのサイズを自動的に調整する機能を有する。つまり、上記の指示信号はこれらの機能を指示する信号を含む。また、例えば「大」、「中」、「小」などのように、コマの拡大又は縮小の目安を選択する機能を有していてもよい。例えば、「大」を選択した場合、全てのコマが等倍で拡大されてもよく、ある一定以下のコマだけが拡大されてもよい。後者の場合、水平方向のサイズだけに基づいて拡大の要否を決定してもよく、垂直方向のサイズだけに基づいて拡大の要否を決定してもよい。又は、コマの面積に基づいて拡大の要否を決定してもよい。
【0067】
コマ数を設定する機能は、ディスプレイの垂直高さVに対して設定された数のコマが表示されるように表示形式を設定する。この機能は、設定された数のコマだけがディスプレイに表示されるようにコマのフェードイン及びフェードアウトを制御してもよく、設定された数のコマがディスプレイに表示されるようにコマの垂直方向のサイズを調整してもよい。ただし、この機能は、必ずディスプレイに設定された数のコマが表示されるように制御する機能でなくてもよく、複数のコマの平均的な垂直方向のサイズを算出し、コマの垂直方向のサイズの平均値が設定された数だけ表示されるように複数のコマを等倍で拡大してもよい。なお、複数のコマを拡大する場合、各々のコマを異なる倍率で拡大してもよい。
【0068】
ディスプレイの幅及び高さに基づいて表示されるコマのサイズを調整する機能は、ディスプレイの垂直高さVに対するコマの垂直方向のサイズ、及び/又は、ディスプレイの水平幅Hに対するコマの水平方向のサイズに基づいて各コマのサイズを調整する機能を有する。なお、上記の通り、本実施形態では、ディスプレイの垂直高さVはディスプレイの垂直方向における画素数を意味し、水平幅Hはディスプレイの水平方向における画素数を意味する。つまり、垂直高さV及び水平幅Hはディスプレイの解像度を意味する。
【0069】
これらの機能が用いられる場合、表示形式設定部171は第1通信端末200のディスプレイサイズに関連する端末情報(例えば、垂直高さV及び水平幅H)を受信する。当該ディスプレイサイズに関連する端末情報は、第1通信端末200によって入力又は選択されてもよく、第1通信端末200によって入力又は選択されずに、第1通信端末200がインターフェースを用いて表示形式に関する情報を送信する際に、例えばユーザエージェントに基づいてディスプレイサイズを推測するなど、バックグラウンドで抽出されてもよい。
【0070】
コマ配置編成部173は、コマ順決定部163によって決定された各コマを、表示形式設定部171によって設定された内容(第1通信端末200によって指示された内容)に基づいてコマの配置を編成する。コマ配置編成部173によって編成された情報が第1通信端末200に送信され、そのディスプレイに表示される。
【0071】
なお、上記のように、特定部150がコマ内のセリフを文字データ化する機能及びコマ内のキャラクタを特定する機能を備えている場合、編成部170は、設定された文字やキャラクタに基づいてコマの配置を編成してもよい。例えば、表示形式設定部171が提供するインターフェースに特定の文字及びキャラクタを入力する項目があり、第1通信端末200によって特定のキャラクタを表示する指示が入力された場合に、当該キャラクタが含まれるコマを抽出してコマの配置を編成してもよい。つまり、指示されたキャラクタを含むコマだけが連続して表示されるように編成が行われてもよい。また、電子書籍提供サーバ100が、上記の機能部に加え、検索キーワードとして指示された文字又はキャラクタを検索する検索部を有していてもよい。
【0072】
[電子書籍提供システム10の動作]
図5Aを用いて、電子書籍提供システム10の動作について説明する。
図5Aは、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムの動作を示すフローチャートである。
【0073】
まず、漫画のクリエイタなどの通信端末である第2通信端末300から電子書籍提供サーバ100に電子漫画が送信され、電子漫画が電子書籍提供サーバ100に登録される(ステップS531)。ステップS531では、電子漫画のオリジナルの画像データが電子書籍提供サーバ100に送信される。画像データには複数のコマが含まれている。
【0074】
なお、同ステップで、第2通信端末300を特定する情報、第2通信端末300を利用するユーザを特定する情報、及びオリジナルの画像データを編成することに対する作者の同意を示す情報などが電子書籍提供サーバ100に送信されてもよい。作者の同意を示す情報を得るために、ステップS531において電子書籍提供サーバ100が第2通信端末300に提供するインターフェースの中に、オリジナルの画像データを編成して配信することに対する同意を確認するための項目、及び作者によって指定、禁止又は推奨された表示形式を表示する項目が設けられていてもよい。なお、後者の項目を表示する場合、1つの電子漫画の全体に対してなされてもよく、部分的になされてもよい。また、後者の項目を表示する場合において、表示形式が作者によって指定されている場合は、指定された表示形式以外を選択できないように制御してもよい。また、表示形式が作者によって禁止されている場合は、禁止された表示形式を選択できないように制御してもよい。また、表示形式が作者によって推奨されている場合、推奨された表示形式だけを選択できるように制御してもよく、推奨された表示形式をその他の表示形式よりも強調して表示するように制御してもよい。
【0075】
電子書籍提供サーバ100は、オリジナルの画像データを受信すると、当該画像データに基づいて、画像データに含まれる複数のコマの各々を特定し(ステップS511)、特定された各コマの順番を決定し(ステップS512)、ユーザの指示によって表示形式を変更可能な電子漫画の提供を開始する(ステップS513)。ステップS511のコマの特定は上記の特定部150によって行われ、ステップS512のコマの順番の決定は上記の決定部160によって行われる。
【0076】
なお、オリジナルの画像データを編成することに対して作者の同意を得る必要がある場合、ステップS531で作者の同意が得られている電子漫画に対してのみ、ステップS511〜S513の処理が行われる。
【0077】
次に、電子書籍提供システム10のユーザが使用する第1通信端末200から電子書籍提供サーバ100に、電子漫画の閲覧要求が送信される(ステップS521)。この閲覧要求に応じて、電子書籍提供サーバ100は、電子漫画の表示形式を指示させるためのインターフェースを第1通信端末200に提供する(ステップS514)。なお、このインターフェースの詳細については後述する(
図20参照)。また、電子漫画によって上記のデータ編成の可否が異なる場合、第1通信端末200に対してデータ編成の可否に関する表示をしてもよい。例えば、電子漫画のサムネイル画像やアイコン等に、「表示形式変更可」であることを理解できる表示を追加してもよい。
【0078】
第1通信端末200を用いた上記インターフェースへの入力又は選択によって表示形式の指示が行われると(ステップS522)、表示形式を指示する指示信号が電子書籍提供サーバ100に送信される。電子書籍提供サーバ100は、当該指示信号及びステップS511、S512で順番が決定されたコマに基づいて、コマの配置を編成し(ステップS515)、編成された電子漫画を第1通信端末200に提供する(ステップS516)。そして、第1通信端末200は、インターフェースにおいて入力又は選択した表示形式で電子漫画を閲覧する(ステップS523)。
【0079】
なお、上記の動作フローでは、ステップS531(電子漫画の登録)とS521(漫画閲覧要求)との間にS511(コマ特定)、S512(コマ順決定)の動作が行われる構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、
図5Bに示すように、S522(表示形式指示)の後にS511、S512が行われてもよい。つまり、コマの特定及びコマ順の決定が行われていない電子漫画に対しても、コマの表示形式指示に基づいてコマの配置が編成された電子漫画を提供することができる。この場合、例えば、電子書籍提供サーバ100とは異なるサーバによって管理されている電子漫画に対して本発明を適用することができる。つまり、第1通信端末200からの表示形式指示に応じて、電子書籍提供サーバ100がコマの配置を編成する処理を行い、編成された電子漫画を第1通信端末200に提供することができる。また、上記の例によると、特定されたコマの位置情報や順番に関する情報をデータベース102に記憶しておく必要がないため、記憶容量を節約することができる。なお、S511(コマ特定)、S512(コマ順決定)の動作をS521(漫画閲覧要求)とS522(表示形式指示)との間で行ってもよい。
【0080】
[コマの特定方法及びコマ順の決定方法]
図6〜
図19を用いて、
図5A及び
図5BのステップS511、S512に該当するコマの特定方法及びコマ順の決定方法について詳細に説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムのコマ特定方法を示すフローチャートである。
図7〜
図12は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、電子漫画のコマを特定する方法を説明する図である。
図13〜
図18は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、特定されたコマの順序を決定する方法を説明する図である。
図19は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、データベースに記憶されるデータの一例を示す図である。
【0081】
図6に示すように、電子書籍提供サーバ100がオリジナルの画像データを受信すると、画像データが二値化される(ステップS541)。画像データの二値化に関する具体的な例を
図7及び
図8に示す。なお、
図7の画像データ600は1ページ分の画像データである。
図7に示すように、画像データ600は複数のコマ部610及び余白部620を含む。
図7の例では、複数のコマ部610は5つのコマ部611、613、615、617、及び619を有する。なお、当該5つのコマ部を特に区別する必要がない場合、単にコマ部610という。複数のコマ部610の各々にはイラストが描かれているが、説明の便宜上、第1コマ部611及び第2コマ部613にのみイラストが描かれており、第3コマ部615、第4コマ部617、及び第5コマ部619のイラストは省略されている。
【0082】
通常、イラストはカラー表示又はグレースケール表示されているが、その状態で各コマを特定する処理を行うと、扱う情報量が多いため情報処理装置の負担が大きくなる。したがって、情報処理装置が扱う情報量を軽減するために、画像データの二値化を行う。
図7に示す例の場合、キャラクタ631、633の胴体部分及び第2コマ部613の背景がグレースケール表示されている。
図7に示す画像データを二値化することで、
図8に示すように、カラー情報又はグレースケール情報が単純化され、キャラクタの各パーツの外形(例えば、キャラクタの胴体と頭部との間のつなぎ目など)及びコマの枠のみが黒で表示され、その他の領域は白で表示される。
【0083】
なお、上記のように、情報処理装置の負担を考慮する必要がない場合は、この二値化の処理は省略することができる。
【0084】
ここで、
図7及び
図8に示すように、この例では、第2コマ部613の枠の一部に欠け635があり、枠が不連続になっている。その結果、第2コマ部613の内部が余白部620から分離されておらず、両者は連続している。
【0085】
図6のステップS541に続いて、二値化された画像データを複数の領域に分割する(ステップS542)。具体的には、二値化された画像データに対して第1ラベリング処理を行う。第1ラベリング処理では、同じ色の画素が連続する領域毎に分割するため、上記のように隣接する白の領域が黒の線で区切られている場合、当該隣接する白の領域は異なる領域として認識される。つまり、
図8に示すように、例えば第1コマ部611の背景、及びキャラクタ631、633はそれぞれ白の領域ではあるが、これらは黒の線で区切られているため、
図9に示すように、それぞれが異なる領域として認識され、複数の領域に分割される。なお、
図9において、同一のハッチングがなされた連続する領域は、同じ領域として認識されていることを意味する。
【0086】
一方、
図8に示すように、第2コマ部613の枠に欠け635があり、第2コマ部613の内側と余白部620とは連続してしまっているため、
図9に示すように、第2コマ部613の内側と余白部620とは1つの領域として認識されている。
【0087】
図6のステップS542に続いて、分割された領域に基づいて余白を特定する(ステップS543)。ここでは、分割された複数の領域のうち、面積が最大の領域を余白として特定する。1つのコマの面積が余白の面積よりも大きい場合もあるが、コマの中にはイラストが描かれており、それらのイラストも複数の領域に分割されるため、分割された複数の領域のうち余白の面積が最大になる場合が多い。
図10は、余白と特定された領域を黒で表示し、それ以外の領域を白で表示した図である。
図10に示すように、第1コマ部611は、その内側のキャラクタ631を含めて余白以外の領域として特定されている。
【0088】
一方、
図10に示す第2コマ部613のように、第2コマ部613の内側と余白部620とが1つの領域と認識されてしまい、正常にコマを特定することができない場合がある。このようなコマの特定異常を解消するために、
図6のステップS543の後に、上記の処理で特定された余白及びコマの妥当性確認が行われる(ステップS544、S545)。具体的には、上記の処理によって余白及びコマが特定された画像データに対して第2ラベリング処理を行う。この例の第2ラベリング処理では、各々の領域を矩形で囲んだ矩形領域を1つのコマ候補と認識し、各コマ候補の位置を特定する。具体的には、
図11に示すように、第2ラベリング処理によって第2コマ部613の枠を囲む第1コマ候補641、キャラクタ631を囲む第2コマ候補643、及びキャラクタ633を囲む第3コマ候補645が、それぞれコマ候補として認識されている。
【0089】
ステップS544の第2ラベリング処理に続いて、当該処理によって認識されたコマ候補(第1コマ候補641、第2コマ候補643、第3コマ候補645)について、当該コマ候補の統合処理が行われる(ステップS545)。つまり、コマ候補同士が重なっている場合、及び一方のコマ候補が他方のコマ候補の内側に存在する場合、これらのコマ候補が統合されて1つのコマとして特定される。この例の統合処理では、第2コマ候補643と第3コマ候補645とは互いに一部重なっているため、両者は統合される。また、第2コマ候補643及び第3コマ候補645は、第1コマ候補641の内側に存在するため、第1コマ候補641と統合される。このようにして、
図12に示すように、第2コマ部613は1つのコマとして特定される。
【0090】
上記の方法によって、余白部620が余白として特定されることで、余白以外の複数のコマ部610及び各コマ部610内に描かれていたキャラクタ631、633が描かれていた領域をコマとして特定することができる。さらに、各コマ候補の位置の特定及び統合処理を行うことで、上記の処理でコマの特定異常が起きた場合であっても、各コマ部610と正しくコマとして特定することができる。
【0091】
ステップS541〜S545のコマの特定に続いて、コマ順の決定が行われる(ステップS546)。
図13に示すように、コマ順を決定する方法は、垂直方向に一定の幅を有する延伸する棒状のコマ検知手段650を画像データ600の右端から左端へ水平方向に延ばし、コマ検知手段650と各コマ部610とが重なる(衝突する)場合に、つまりコマ検知手段650と重なるコマ部610が検知された場合に、当該コマ部610を、順番を決定する対象のコマ部と判断する。つまり、コマ検知手段650を画像データ600の右端から左端まで延ばしたときに、コマ検知手段650と重なるコマ部610が複数ある場合、一方のコマ部(第1コマ部611)の水平方向に他方のコマ部(第2コマ部613)が存在すると判断することができる。ここで、コマ検知手段650によって第1コマ部611が検知されると、第1コマ部611に対して仮順番(A)を付与する。
【0092】
図13に示す状態では、コマ検知手段650は第1コマ部611のみと重なっているため、この状態では、コマ検知手段650が延びる水平方向に第1コマ部611の存在だけが認識されている。
図13に示す状態から、さらにコマ検知手段650を延ばして、コマ検知手段650が第1コマ部611及び第2コマ部613の両方と重なり、
図14に示すようにコマ検知手段650が画像データ600の左端まで到達すると、コマ検知手段650が存在する垂直方向の位置にこれら2つのコマ部が存在していると判断する。ここで、コマ検知手段650によって第2コマ部613が検知されると、第2コマ部613に対して仮順番(B)を付与する。上記のように、コマ検知手段650が画像データ600の左端まで到達すると、コマ検知手段650の幅の分だけ下の位置に移動して、コマ検知手段650は右端から左端に延びながら上記と同様の処理を行う。
【0093】
コマ検知手段650が上記の動作を繰り返し、
図15に示すように、コマ検知手段650が第1コマ部611及び第2コマ部613の両方と重ならなくなったとき、コマ検知手段650がこれらのコマ部の下端を越えたと判断する。そして、仮順番(A)、(B)に基づいて、第1コマ部611の順番を1番目(1)とし、第2コマ部613の順番を2番目(2)として決定する。つまり、第2コマ部613の右側に第1コマ部611が存在していると判断し、第1コマ部611の右側に他のコマ部が存在しないと判断した結果、第1コマ部611の順番を第2コマ部613の順番より早い順番に決定し、第1コマ部611の順番を最初の順番に決定する。換言すると、コマ検知手段650が画像データ600の左端に到達した状態において余白部620のみと重なっている場合に、その状態におけるコマ検知手段650よりも上方に存在し、かつ、まだ順番が決定していないコマ部について順番を決定する。
【0094】
次に、
図16に示す状態では、コマ検知手段650は第3コマ部615及び第5コマ部619と重なっているため、第3コマ部615の仮順番を(A)とし、第5コマ部619の仮順番を(B)とする。この状態において、コマ検知手段650はまだ第4コマ部617に到達していないため、第4コマ部617の存在は認識されていない。
【0095】
コマ検知手段650が上記の動作を繰り返し、
図17に示すように、コマ検知手段650が第3コマ部615と重ならなくなったとき、コマ検知手段650が第3コマ部615の下端を越えたと判断する。しかし、コマ検知手段650は第5コマ部619の下端を越えていないため、コマ部の順番決定はまだ行われない。また、
図17の状態ではコマ検知手段650が第4コマ部617と重なるため、第4コマ部617の存在が認識され、第4コマ部617の仮順番を(C)とする。
【0096】
コマ検知手段650が上記の動作を繰り返し、
図18に示すように、コマ検知手段650が第4コマ部617及び第5コマ部619の両方と重ならなくなったとき、コマ検知手段650がこれらのコマ部の下端を越えたと判断する。この状態において、第3コマ部615及び第4コマ部617は第5コマ部619の右側に存在しているため、第3コマ部615及び第4コマ部617の順番を第5コマ部619の順番より早い順番に決定する。また、第3コマ部615は第4コマ部617の上方に存在しているため、第3コマ部615の順番を第4コマ部617の順番より早い順番に決定する。さらに、第3コマ部615の右側に他のコマ部が存在しないため、第3コマ部615の順番を、まだ順番が決定していないコマ部の中で最初の順番(3番目)に決定する。つまり、仮順番(A)を3番目(3)に決定し、仮順番(C)を4番目(4)に決定し、仮順番(B)を5番目(5)に決定する。
【0097】
なお、上記の方法は、ページを左から右にめくるタイプの漫画に適用されるコマ順の決定方法である。ページを右から左にめくるタイプの漫画に上記の方法を適用する場合、上記の説明とは左右反転した処理が行われる。つまり、この場合、コマ検知手段650が画像データ600の左端から右端に向かって延び、水平方向に複数のコマ部が存在する場合、左側のコマ部を右側のコマ部よりも早い順番に決定する。
【0098】
上記の方法によって、読者が漫画を読むときに自然に認識するコマ順で各コマ部の順番を決定することができる。上記のようにして決定された各コマ部の順番は、コマの位置を特定する情報と共に電子書籍提供サーバ100に接続されたデータベース102(
図1参照)に記憶される。
図19に示すように、データベース102にはデータテーブル101が格納されている。データテーブル101には、コマID103、漫画情報104、ページ情報105、コマ座標106、コマサイズ107、及びコマ順番108が含まれる。これらの情報は互いに関連付けられている。なお、データテーブル101に含まれる情報は、
図19に示す情報の一部だけであってもよく、これらの情報以外の情報を含んでもよい。
【0099】
コマID103は、順番が付与された対象のコマを特定するIDである。漫画情報104は、対象のコマが含まれる電子漫画であって、1つの単行本に対応する電子漫画を特定する情報である。ページ情報105は、対象のコマが描かれたページを特定する情報である。コマ座標106は、対象のコマが描かれたページにおける当該コマの座標(水平方向:x、垂直方向:y)を特定する情報である。コマ座標106は、コマが矩形である場合は矩形の右上の角の座標であってもよく、又はコマの中心の座標であってもよい。コマ座標106は、上記のコマ検知手段650が対象のコマ部に最初に重なったときの座標を、上記の矩形の右上の角と特定することができる。コマサイズ107は、対象のコマの水平方向の大きさ(Δx)及び垂直方向の大きさ(Δy)を特定する情報である。コマサイズ107は、上記のコマ検知手段650が対象のコマと重なる領域に基づいて算出することができる。コマ順番108は、対象のコマに付与された、各ページにおける順番である。なお、コマサイズ107の代わりにコマの4隅の座標又はコマの対角の座標がデータテーブル101に含まれていてもよい。
【0100】
なお、上記のように、特定部150がコマ内のセリフを文字データ化する機能及びコマ内のキャラクタを特定する機能を備えている場合、これらの文字データ及びキャラクタに関する情報が各コマに関連付けられていてもよい。また、
図19では、ページ毎にコマ順番が付与された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、1つのコミックの全ページのコマに対して通し順番が付与されてもよく、章など数ページ毎のコマに対して通し番号が付与されてもよい。この場合、以下に示すインターフェースに、コマ順の付与方法を指示する項目が含まれていてもよい。また、コマの特定(
図5A及び
図5BのS511)及びコマ順の決定(S512)が表示形式指示(S522)の後に行われる場合、
図19に示すようなデータテーブル101を省略してもよい。
【0101】
[コマの表示方法]
図20〜
図23を用いて、
図5A及び
図5BのステップS514で第1通信端末200に提供されるインターフェースの一例、及びステップS516で第1通信端末200に提供される漫画の表示形式の一例について説明する。
【0102】
図20は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、電子漫画を閲覧するユーザから、表示形式の指示を受け付けるインターフェースの一例を示す図である。
図20に示すように、インターフェース700には表示形式指示枠710、表示コマ数指示枠720、幅・高さ自動調整指示枠730、及び決定ボタン740が表示されている。なお、
図20に示すインターフェース700に表示された項目は一例であって、これらの一部の項目だけが表示されていてもよく、これらの項目以外の項目が表示されていてもよい。
【0103】
表示形式指示枠710は、電子漫画に含まれる各コマを第1通信端末200にどのような形式で表示するかを指示するための項目である。
図20では、表示形式指示枠710に「オリジナル」、「縦読み」、及び「横読み」の指示ボタンが表示されている。「オリジナル」はコマの位置を編成していないオリジナルの画像データの形式で表示することを指示するボタンである。「縦読み」は、コマをページ情報105及びコマ順番108(
図19参照)に基づいて垂直方向に並べた形式で表示することを指示するボタンである。「横読み」は、コマをページ情報105及びコマ順番108に基づいて水平方向に並べた形式で表示することを指示するボタンである。
【0104】
表示コマ数指示枠720は、表示形式指示枠710で「縦読み」又は「横読み」が指示された場合に、第1通信端末200のディスプレイに表示されるコマ数を指示するための項目である。
図20では、表示コマ数指示枠720に、ディスプレイに表示されるコマ数をプルダウン方式で選択する選択部721が設けられた構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、表示コマ数指示枠720として、表示コマ数を直接入力可能な入力枠が設けられていてもよく、表示コマ数を設定可能なスライドバーが設けられていてもよい。また、「非設定」の指示ボタンを選択することで、各コマをオリジナルの画像データのサイズで表示することができる。
【0105】
幅・高さ自動調整指示枠730は、表示形式指示枠710で「縦読み」又は「横読み」が指示された場合に、第1通信端末200のディスプレイのサイズ及び各コマのサイズに基づいて、コマの高さ又は幅を自動的に調整する機能を有効「ON」又は無効「OFF」にするための項目である。例えば、「縦読み」が指示された場合、コマの幅(水平方向のサイズ)がディスプレイの水平幅H(
図3参照)に基づいて調整される。また、「横読み」が指示された場合、コマの高さ(垂直方向のサイズ)がディスプレイの垂直高さV(
図3参照)に基づいて調整される。上記の構成を換言すると、幅・高さ自動調整指示枠730は、第1通信端末200の端末情報に基づいてコマの配置を編成する。
【0106】
なお、「縦読み」が指示された場合に、上記に加えてディスプレイの垂直高さV及びコマの高さに基づいてコマの幅が調整されてもよい。また、「横読み」が指示された場合に、上記に加えてディスプレイの水平幅H及びコマの幅に基づいてコマの高さが調整されてもよい。これにより、仮にコマのアスペクト比(コマの幅に対するコマの高さの比率)がディスプレイのアスペクト比(ディスプレイの水平幅Hに対する垂直高さVの比率)より大きい場合であっても、コマの一部のイラストがディスプレイからはみ出してしまうことを抑制することができる。
【0107】
決定ボタン740は、表示形式指示枠710、表示コマ数指示枠720、及び幅・高さ自動調整指示枠730において選択又は入力された指示内容を確定し、電子書籍提供サーバ100にこれらの指示内容を含む信号を送信するボタンである。
【0108】
図21及び
図22は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、ユーザによって指示された表示形式でコマを表示する一例を示す図である。表示形式指示枠710で「縦読み」が指示された場合、ページ情報105及びコマ順番108(
図19参照)に基づいて、
図21に示すようにコマが垂直方向に並べられてディスプレイ240に表示される。一方、表示形式指示枠710で「横読み」が指示された場合、ページ情報105及びコマ順番108に基づいて、
図22に示すようにコマが水平方向に並べられてディスプレイ240に表示される。
【0109】
図23は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、ユーザによって指示された表示形式でコマを表示する一例を示す図である。
図23に示す例は、表示形式指示枠710で「縦読み」が指示され、幅・高さ自動調整指示枠730で有効「ON」が指示された場合の表示例である。
図21と比較すると、1番目及び2番目のコマが拡大して表示されている。
図21の例では、1番目のコマの幅より2番目のコマの幅の方が大きいため、2番目のコマの幅とディスプレイの水平幅Hとに基づいて、1番目及び2番目のコマの倍率が調整されている。ただし、1番目のコマと2番目のコマとがそれぞれ異なる倍率で調整されてもよい。
【0110】
なお、
図21〜
図23では、ディスプレイ240が縦向きの状態(ディスプレイの長手が垂直方向に沿っている状態)で各コマが表示されている構成を例示したが、ディスプレイ240が横向きの状態(ディスプレイの長手が水平方向に沿っている状態)であってもよい。ディスプレイ240が横向きの状態でも、各コマは
図21〜
図23の向きと同じ向きで表示される。
【0111】
以上のように、本実施形態に係る電子書籍提供システム10によると、電子書籍提供サーバ100がオリジナルの画像データを各コマに分割して順番を決定し、第1通信端末200の指示に基づいて各コマの配置を編成することで、第1通信端末200を利用するユーザの好みや利用形態によって電子漫画の表示形式を調整することができる。
【0112】
〈第2実施形態〉
図24〜
図26を用いて、第2実施形態に係る電子書籍提供システム10Aについて説明する。
図24〜
図26に示す電子書籍提供システム10Aは、
図1〜
図23に示す電子書籍提供システム10と類似しているが、電子書籍提供システム10Aに含まれる電子書籍提供サーバ100Aの機能が電子書籍提供サーバ100の機能(
図4参照)と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。
【0113】
図24は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムに用いられるサーバの機能構成を示す概略図である。
図24に示すように、電子書籍提供サーバ100Aの編成部170Aは、
図4の編成部170の機能に加えて、端末情報受信部175A及び編成方法提案部177Aを有する。
【0114】
端末情報受信部175Aは、例えば第1通信端末200Aから電子漫画の閲覧要求を受信する際に、第1通信端末200Aのディスプレイサイズなどの表示機能に関する端末情報(例えば、垂直高さV及び水平幅H)を受信する。端末情報は、第1通信端末200Aによって入力又は選択されてもよく、ユーザエージェント等に基づいて推測されてもよい。端末情報受信部175Aは、端末情報の他に編成者情報(例えば、編成者の氏名、性別、年齢、居住国、並びに、電子書籍提供システム10Aが提供するサービスにおけるユーザID及びニックネーム)、第1通信端末200Aがサービスを利用している国名、及び第1通信端末200Aのサービスの利用日時などの情報を受信する。
【0115】
編成方法提案部177Aは、端末情報受信部175Aが受信した情報に基づいて、第1通信端末200Aを利用するユーザにお勧めの表示形式(コマの配置を編成する方法)を提案する。例えば、電子漫画の種類及び第1通信端末200Aのディスプレイサイズに基づいて、その条件に適正な表示形式又はその条件の場合において多くのユーザに選択されている表示形式を提案する。
【0116】
図25は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、データベースに記憶されるデータの一例を示す図である。
図25に示すデータテーブル701Aは、端末情報受信部175Aが第1通信端末200Aから受信した情報を含む。さらに、
図25のデータテーブル701Aに含まれる情報は、編成方法提案部177Aが第1通信端末200Aを利用するユーザに適正な表示形式を提案するために用いられる情報である。
【0117】
図25に示すように、データテーブル701Aには、漫画情報703A、編成方法704A、編成者情報705A、国名706A、編成日時707A、及び端末情報708Aが含まれる。これらの情報は互いに関連付けられている。なお、データテーブル701Aに含まれる情報は、
図25に示す情報の一部だけであってもよく、これらの情報以外の情報を含んでもよい。
【0118】
漫画情報703Aは、
図19の漫画情報104と同様の項目である。編成方法704Aは、第1通信端末200Aによって指示された電子漫画の表示形式(
図26の表示形式、表示コマ数、及び幅・高さ自動調整)である。編成者情報705Aは、例えば、第1通信端末200Aを利用して電子漫画の編成を指示したユーザの氏名、性別、年齢、居住国、並びに、電子書籍提供システム10Aが提供するサービスにおけるユーザID及びニックネームなどの情報である。ただし、編成者情報705Aはこれらを全て含んでいる必要はなく、また、これら以外の情報を含んでいてもよい。国名706Aは、電子漫画の表示形式を指示した第1通信端末200Aが通信を行った国名である。編成日時707Aは、第1通信端末200Aが電子漫画の表示形式を指示した日時である。端末情報708Aは、第1通信端末200Aのディスプレイの垂直高さV及び水平幅H、又はこれらを特定可能な他の情報である。
【0119】
図26は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、電子漫画を閲覧するユーザへ、表示形式を提案するインターフェースの一例を示す図である。
図26に示すインターフェースは、例えば、
図5A及び
図5BのステップS514において第1通信端末200Aに提供されるインターフェースである。
図26に示すように、インターフェース700Aには、
図20のインターフェース700に表示された項目に加えて、おすすめボタン750Aが表示されている。
図26に示す状態はおすすめボタン750Aを有効(黒塗り背景に白字)にした状態である。おすすめボタン750Aを有効にすると、
図24の編成方法提案部177Aはデータテーブル701Aに基づいて、例えば対象の漫画について最も多く採用されている表示形式を提案する。
図26では、おすすめボタン750Aを有効にすることで、表示形式は「縦読み」、表示コマ数は「2コマ/ページ」、幅・高さ自動調整は「OFF」の設定が提案されている。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る電子書籍提供システムによると、第1実施形態と同様の効果に加え、第1通信端末200Aを利用するユーザに対して、対象の電子漫画のおすすめの表示形式を提案することができる。この構成によって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0121】
〈第3実施形態〉
図27〜
図31を用いて、第3実施形態に係る電子書籍提供システム10Bについて説明する。
図27〜
図31に示す電子書籍提供システム10Bは、
図1〜
図23に示す電子書籍提供システム10と類似しているが、電子書籍提供システム10Bに含まれる電子書籍提供サーバ100Bの機能が電子書籍提供サーバ100の機能(
図4参照)と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。
【0122】
図27は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムに用いられるサーバの機能構成を示す概略図である。
図27に示すように、電子書籍提供サーバ100Bの特定部150Bは、
図4の特定部150の機能に加えて、余白調査部159Bを有する。
【0123】
余白調査部159Bは、余白特定部155B及びコマ特定部157Bによって余白とコマとが特定された画像データに対して、余白と特定された領域にコマと特定すべき領域があるかどうかを調査する。第1実施形態に示すように余白特定及びコマ特定の処理を行ったにも拘わらず、本来コマとして特定されるべき領域が余白として特定されてしまう場合がある。例えば、枠が存在しない又は枠を検出することができない領域に描かれたイラストに対して、このような問題が起きる場合がある。しかし、そのような領域にはイラストが描かれているため、誤って余白と特定された領域のサイズは所定のサイズ以上である。換言すると、当該領域のサイズは余白とは考えにくいほど大きなサイズである。以下、この所定のサイズを「コマ認定サイズ」という。
【0124】
余白調査部159Bの機能について、
図28〜
図31を用いて説明する。
図28〜
図31は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムにおいて、余白の一部をコマとして特定する方法を説明する図である。
【0125】
まず、
図28に示すように、余白部620Bに、コマ認定サイズの余白調査空間800Bが存在するか否かを調査する。余白部620Bに余白調査空間800Bが存在するということは、余白部620Bに余白とは考えにくいほど大きな空間があることを意味する。余白部620Bに余白調査空間800Bが存在する場合、
図28に示すように、余白部620Bの右上の角から、余白調査空間800Bの調査エリア810Bを水平方向(左方向)に延ばす。
【0126】
図29に示すように、余白調査空間800Bの調査エリア810Bは第2コマ部613Bに到達するまで左方向に延びる。調査エリア810Bの左方向への延長は第2コマ部613Bに到達することで止まり、その後、調査エリア810Bは第3コマ部615Bに到達するまで垂直方向(下方向)に延びる(
図30参照)。調査エリア810Bの下方向への延長は第3コマ部615Bに到達することで止まる。
図31に示すように、この状態の調査エリア810Bで囲まれた空間を第6コマ部612Bとして特定する。
【0127】
なお、余白調査空間800Bの調査は、第1実施形態で説明したコマ検知手段650を用いて行われてもよく、余白調査空間800Bに相当するサイズの検知手段を用いて行われてもよい。コマ検知手段650を用いて余白調査空間800Bを調査する場合、検出された余白にコマ認定サイズ以上の領域があるか否かによって上記の調査が実行される。例えばコマ検知手段650の先端が余白部620Bを通過した領域に基づいて余白調査空間800Bの存在を調査することができる。余白調査空間800Bに相当するサイズの検知手段を用いて余白調査空間800Bを調査する場合、
図28に示すように余白調査空間800Bと同じサイズの枠を配置できる空間が余白部620Bに存在するか否かを調査する。
【0128】
なお、上記のコマ認定サイズは、1つの電子漫画において特定された全てのコマのうち、最も小さいコマのサイズ(最小コマサイズ)をコマ認定サイズとすることができる。又は、1ページのサイズの1/5のサイズをコマ認定サイズとしてもよい。又は、100×100画素の領域をコマ認定サイズとしてもよい。ただし、コマ認定サイズはこのサイズに限定されず、50×50画素〜500×500画素の間で適宜設定することができる。
【0129】
なお、余白調査部159Bによる余白と特定された領域の調査は、決定部160Bによる各コマの順番が決定とは個別に行われてもよく、各コマの順番の決定と同時に行われてもよい。前者の場合、
図13〜
図18に示す処理を行う前に
図28〜
図31の処理が行われる。後者の場合、
図13〜
図18に示す処理を行いながら余白の中にコマ認定サイズ(例えば100×100画素)の空間が存在するか否かを判断することで、
図28〜
図31の処理を兼ねることができる。
【0130】
以上のように、本実施形態に係る電子書籍提供システムによると、第1実施形態と同様の効果に加え、コマを誤って余白と特定してしまうリスクを低減することができる。さらに、枠がない領域にイラストが存在する場合であっても、そのようなイラストをコマとして特定することができる。
【0131】
〈第4実施形態〉
図32を用いて、第4実施形態に係る電子書籍提供システム10Cについて説明する。
図32に示す電子書籍提供システム10Cは、
図1〜
図23に示す電子書籍提供システム10と類似しているが、電子書籍提供システム10Cは電子漫画を登録する第2通信端末300Cが表示形式を指示する点、及び電子漫画を提供するサーバがコマの編成を行うサーバとは異なるサーバである点において、電子書籍提供システム10と相違する。以下の実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、両者の相違点について説明する。
【0132】
図32は、本発明の一実施形態に係る電子書籍提供システムの動作を示すフローチャートである。
図32に示すように、まず第2通信端末300Cが電子書籍提供サーバ100Cに対して電子漫画の編成を要求する(ステップS931)。ステップS931の電子漫画の編成要求に応じて、電子書籍提供サーバ100Cはインターフェースを第2通信端末300Cに提供する(ステップS911)。なお、このインターフェースとして、
図20で説明したインターフェースと類似のものを用いることができる。
【0133】
第2通信端末300Cによって表示形式が指示されると(ステップS932)、電子書籍提供サーバ100Cではコマの特定(ステップS912)及びコマ順の決定(ステップS913)が行われ、ステップS932で指示された内容に応じてコマの編成が行われる(ステップS914)。そして、コマの編成が完了すると、完了した旨の通知が第2通信端末300Cに送信される(ステップS915)。上記の処理によって第2通信端末300Cは、所望の表示形式に編成された電子漫画を得ることができる。なお、上記のコマの特定、コマ順の決定、及びコマの編成は、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。
【0134】
第2通信端末300Cは、上記の編成された電子漫画を漫画管理サーバ900Cにアップロードする(ステップS933)。漫画管理サーバ900Cは、アップロードされた電子漫画を公開し(ステップS991)、第1通信端末200Cからの電子漫画の閲覧要求(ステップS921)に応じて、電子漫画を提供する(ステップS992)。上記の処理によって、第1通信端末200Cは、第2通信端末300Cによって編成された電子漫画を閲覧することができる(ステップS922)。
【0135】
以上のように、本実施形態に係る電子書籍提供システム10Cによると、例えば漫画のクリエイタが電子漫画を漫画管理サーバ900Cにアップロードする前に、電子漫画の表示形式を編成することができる。
【0136】
なお、上記の例では、コマの特定、コマ順の決定、及びコマの編成を行うサーバと、電子漫画を提供するサーバとが異なる構成を例示したが、これらの機能が1つのサーバによって実行されてもよい。また、サーバではなく、パーソナルコンピュータなどのように一般的な計算装置、又はスマートフォンなどのモバイル用通信端末で実行されてもよい。
【0137】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の電子書籍提供システムを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0138】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【解決手段】電子書籍提供サーバ100は、複数のコマを含む漫画の画像データに基づいて、前記複数のコマの各々を特定する特定部150と、特定部によって特定された複数のコマの順序を決定する決定部160と、決定部によって決定された順序に基づいて、コマの配置を編成する編成部170と、を有する。編成部170は、表示形式を指示する指示信号に基づいてコマの配置を編成する。