(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
  以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
  
図1は、光照射システム1の構成例を示した図である。
  本実施形態の光照射システム1には、商品を陳列する陳列装置100と、この陳列装置100の制御を行う制御装置202とが設けられている。なお、制御装置202は、陳列装置100とは別に設けられたPC(Personal Computer)などのコンピュータにより構成してもよい。
 
【0011】
  機器の一例としての陳列装置100には、複数の陳列棚110(棚の一例)が設けられている。
  本実施形態では、3つの陳列棚110が設けられ、さらに、この3つの陳列棚110は、互いに平行となるように配置されている。また、この3つの陳列棚110は、上下方向に並べられて配置されている。
  さらに、この3つの陳列棚110は、水平方向に延びるように配置され、また、陳列装置100の幅方向に延びるように配置されている。
 
【0012】
  また、陳列棚110の各々は、板状の部材により構成され、本実施形態では、この板状の部材が、上下方向に並べられている。
  ここで、互いに隣接する板状の部材の間には(上下方向において互いに隣接する板状の部材の間には)、間隙が設けられ、この間隙に、商品が配置される。
 
【0013】
  さらに、本実施形態では、最も下部に位置する陳列棚110の下方に、商品を下方から支持する支持面120が設けられている。
  本実施形態では、この3つの陳列棚110の各々、および、支持面120の上に、商品が置かれ、商品が、陳列棚110や支持面120によって下方から支持される。
 
【0014】
  さらに、本実施形態では、商品が陳列される陳列空間131(陳列装置100の内部に位置する空間)と、この陳列空間131の外部に位置する外部空間132とを仕切る前面ガラス141、右側面ガラス142、左側面ガラス143、扉144が設けられている。
  本実施形態では、扉144として、第1扉144A、第2扉144Bの2つの扉144が設けられている。
 
【0015】
  ここで、本実施形態では、前面ガラス141、右側面ガラス142、左側面ガラス143を通して、陳列装置100の内部の視認を行えるようになっている。
  また、本実施形態では、第1扉144A、第2扉144Bにも、ガラスが取り付けられ、本実施形態では、第1扉144A、第2扉144Bを通しても、陳列装置100の内部の視認を行えるようになっている。
 
【0016】
  ここで、前面ガラス141、右側面ガラス142、左側面ガラス143、第1扉144A、第2扉144Bの各々に設けられたガラスには、紫外光(後述)の透過を抑制する機能を付与することが好ましい。
  具体的には、紫外光の透過を抑制するフィルムをガラスに張ったり、紫外光の透過を抑制する機能をガラス自体に持たせたりして、ガラスに対して、紫外光の透過を抑制する機能を付与することが好ましい。
 
【0017】
  本実施形態では、後述するように、陳列装置100の内部に配置された商品に対して紫外光(紫外線)を照射する。紫外光の透過を抑制する機能をガラスに付与すると、陳列装置100の外部に向かう紫外光が低減する。
  ここで、第1扉144A、第2扉144Bは、いわゆる引き戸であり、本実施形態では、図中左右方向に移動させることで、第1扉144A、第2扉144Bの開操作および閉操作を行える。
 
【0018】
  さらに、本実施形態では、空気の冷却を行う冷却装置148が設けられており、本実施形態では、この冷却装置148により冷却された空気が、陳列空間131に供給される。
  さらに、本実施形態では、
図2(陳列装置100の背面側から陳列装置100を見た場合の図)に示すように、第1扉144A、第2扉144Bを検知する扉検知センサS1が設けられている。
  扉検知センサS1は、第1扉144A、第2扉144Bの移動経路上に設けられおり、扉検知センサS1は、第1扉144A、第2扉144Bが開かれたことを検知する。
 
【0019】
  本実施形態では、扉検知センサS1によって、第1扉144A、第2扉144Bが開かれたことが検知されると、発光ダイオード200(後述)が消灯する。これにより、陳列装置100の外部に向かう紫外光が低減する。
  なお、第1扉144Aや第2扉144Bが開かれた場合、発光ダイオード200の消灯ではなく、発光ダイオード200の出力の低下を行ってもよい。
 
【0020】
  ここで、陳列装置100に陳列される商品としては、例えば、ケーキや総菜などの食品を挙げることができる。以下では、陳列棚110の上、および、支持面120の上に、食品が置かれる場合を一例に説明する。
 
【0021】
  図3は、
図1の矢印IIIで示す方向から陳列装置100を見た場合の図である。
  本実施形態では、陳列装置100の上板151の下面151Aに、発光ダイオード200が設けられている。また、陳列棚110の下面110Aの各々にも、発光ダイオード200が設けられている。
  この発光ダイオード200は、紫外線領域の波長の光(10〜400nmの波長の光)を出射する発光ダイオード200であり、本実施形態では、この光が、陳列棚110上および支持面120上に配置される食品に対して照射される。
 
【0022】
  付言すると、本実施形態では、陳列される食品が、光の照射対象となる対象物であり、本実施形態では、対象物であるこの食品に対して、紫外線領域の波長の光(以下、「紫外光」と称する)が照射される。
  これにより、食品に付着している菌の増殖が抑えられる。
 
【0023】
  さらに、本実施形態では、陳列棚110の各々の上面に、静電容量センサS5が設けられている。この静電容量センサS5は、この上面の全面に亘って配置されている。
  また、本実施形態では、支持面120の上面にも、静電容量センサS5が設けられている。この静電容量センサS5も、この上面の全面に亘って配置されている。
 
【0024】
  さらに、本実施形態では、
図2に示すように、陳列装置100の背面側に、表示装置300が設けられている。
  この表示装置300は、例えば、液晶のモニタにより構成される。
  本実施形態では、この表示装置300を通じて、ユーザ(食品の陳列を行っている者)に対し、情報の通知が行われる。
 
【0025】
  図4は、
図3の矢印IVで示す方向から、最も上方に位置する陳列棚110を見た場合の図である。なお、本実施形態は、最も上方に位置する陳列棚110を一例に説明するが、他の陳列棚110および上板151も、この最も上方に位置する陳列棚110と同様に構成されている。
 
【0026】
  本実施形態では、陳列棚110の下面110A(
図3参照)に、発光ダイオード200が設けられている。
  本実施形態では、
図4に示すように、この発光ダイオード200は、複数設けられるとともに、陳列装置100の幅方向に並べられた状態で設けられ、また、陳列装置100の奥行方向に並べられた状態で設けられている。
 
【0027】
  本実施形態では、この発光ダイオード200の下方に、符号4Aで示すように、食品が置かれ、この食品に、この発光ダイオード200からの紫外光が照射される。
  なお、発光ダイオード200のうちの食品が位置する側に、紫外光を拡散する拡散部材を設け、発光ダイオード200から食品に向かって直線状に出射する紫外光を、拡散させたうえで食品へ照射してもよい。
 
【0028】
  図5は、制御装置202のハードウェア構成の一例を説明する図である。
  制御装置202は、CPU(=Central Processing Unit)401と、プログラムが記憶されたROM(=Read Only Memory)402と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)403と、ハードディスクドライブ等により構成された情報記憶装置404とを有している。
  ここで、CPU401はマルチコアでもよい。また、ROM402は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御装置202は、いわゆるコンピュータである。
 
【0029】
  図6は、制御装置202の機能構成の例を示した図である。
  本実施形態では、CPU401によるプログラムの実行によって、制御装置202は、決定部501、制御部502、位置情報取得部503、部材移動部504、高さ情報取得部505、出力設定部506として機能する。
 
【0030】
  決定手段の一例としての決定部501は、陳列装置100に配置された食品の配置位置に基づき、発光ダイオード200から出射される紫外光の照射位置を決定する。
  制御手段の一例としての制御部502は、決定部501により決定された照射位置に、発光ダイオード200から出射された紫外光が照射されるようにする。
  位置情報取得手段の一例としての位置情報取得部503は、陳列装置100に配置された食品の位置についての情報である位置情報を取得する。
  光遮り手段の一部として機能する部材移動部504は、決定部501により決定された照射位置以外へ向かう紫外光の光路上に部材を位置させ、照射位置以外へ向かう紫外光を遮る。
  高さ情報取得手段の一例としての高さ情報取得部505は、照射位置に配置された食品の高さ情報を取得する。
  出力設定手段の一例としての出力設定部506は、高さ情報取得部505により取得された高さ情報に基づき、照射位置に紫外光を出射する発光ダイオード200の出力を設定する。
 
【0031】
  本実施形態では、発光ダイオード200を一様に点灯させるのではなく、必要な発光ダイオード200のみを点灯させて、対象物である食品への紫外光の照射を行う。
  より具体的には、本実施形態では、食品への紫外光の照射にあたり、まず、位置情報取得部503が、陳列装置100に配置された食品の位置についての情報である位置情報を取得する。
 
【0032】
  より具体的には、位置情報取得部503は、静電容量センサS5からの出力に基づき、陳列装置100に配置された食品の位置情報を取得する。
  付言すると、本実施形態では、食品の置かれた位置によって、静電容量センサS5からの出力が変化し、位置情報取得部503は、静電容量センサS5からのこの出力に基づき、陳列装置100に配置された食品の位置情報を取得する。
 
【0033】
  なお、静電容量センサS5に限らず、例えば、カメラを陳列装置100に設置し、このカメラにより得られた映像を解析することで、陳列装置100に配置された食品の位置情報を取得してもよい。
  また、その他に、例えば、上方から押圧された場合に所定の出力を行う検知スイッチを、陳列棚110の上面や、支持面120に複数設け、この検知スイッチからの出力に基づき、食品の位置情報を取得してもよい。
  また、その他の公知の手法を用いて、置かれた食品の位置情報を取得してもよい。
 
【0034】
  その後、本実施形態では、決定部501が、位置情報取得部503により取得された上記の位置情報に基づき、照射位置を決定する。
  付言すると、決定部501は、陳列装置100に配置された食品の配置位置に基づき、発光ダイオード200から出射される紫外光の照射位置を決定する。
 
【0035】
  より具体的には、本実施形態では、決定部501は、食品の配置位置(上記の位置情報により特定される位置)に対して紫外光が照射されるように照射位置を決定する。
  付言すると、決定部501は、陳列装置100に配置された食品に対して紫外光が照射されるように照射位置を決定する。
 
【0036】
  また、本実施形態では、決定部501は、食品の配置位置以外の箇所に対して紫外光が照射されないように照射位置を決定する。付言すると、決定部501は、陳列装置100に配置された食品以外に対して紫外光が照射されないように照射位置を決定する。
  これにより、本実施形態では、食品への紫外光の照射が行われるようにしつつ、不必要な箇所への紫外光の照射を抑制できるようになる。
 
【0037】
  なお、「食品以外に対して紫外光が照射されないようする」とは、食品以外に対して紫外光が全く照射されないという意味ではなく、食品の周囲に紫外光が部分的に照射されるなど、食品以外の箇所の一部に対して紫外光が照射される態様も含む趣旨である。
 
【0038】
  次いで、本実施形態では、制御部502が、決定部501により決定された上記の照射位置に、発光ダイオード200から出射された紫外光が照射されるように、発光ダイオード200の点灯の制御を行う。
  付言すると、制御部502は、決定部501により決定された上記の照射位置に、発光ダイオード200から出射された紫外光が照射されるように、且つ、この照射位置以外の箇所にこの紫外光が照射されないように、発光ダイオード200の点灯の制御を行う。
  これにより、食品に紫外光が照射され、また、食品以外の箇所に紫外光が照射されることが抑制される。
 
【0039】
  陳列装置100では、樹脂部材やゴム部材が設けられることがあり、本実施形態のように、食品以外への紫外光の照射の抑制が可能であると、この樹脂部材やゴム部材の劣化を抑えられる。
  さらに、本実施形態のように、発光ダイオード200を用いる場合、他の光源を用いる場合に比べ、より少ない電力で紫外光の照射を行える。
 
【0040】
  ここで、従来の紫外線殺菌ランプを用いても、食品への紫外光の照射を行えるが、紫外線殺菌ランプでは、食品が配置されている箇所のみへの紫外光の照射は難しくなる。
  これに対し、本実施形態では、複数の発光ダイオード200の各々の点灯の制御を個別に行うため、食品が配置されている箇所のみへの紫外光の照射を行える。
 
【0041】
  制御部502は、照射位置に紫外光が照射されるように発光ダイオード200の点灯の制御を行う場合は、例えば、複数設けられた発光ダイオード200のうちの、照射位置の対向箇所に位置する発光ダイオード200を点灯させて、照射位置に紫外光が照射されるようにする。
  付言すると、制御部502は、決定部501により決定された上記の照射位置の対向箇所に位置する発光ダイオード200を点灯させ、照射位置に紫外光が照射されるようにする。
 
【0042】
  より具体的には、例えば、
図4の符号4Aで示す箇所が、決定部501により決定された照射位置である場合に、制御部502は、この照射位置の対向箇所に位置する発光ダイオード200を点灯させる。より具体的には、符号4Bで示す領域内に位置する発光ダイオード200を点灯させる。
  また、この場合、制御部502は、この照射位置の対向箇所に位置しない発光ダイオード200ついては、消灯したままの状態とする。
  これにより、食品への紫外光の照射が行われ、また、食品以外への紫外光の照射が抑制される。
 
【0043】
  また、その他の照射態様として、1つの陳列棚110を、紫外光の照射単位として、陳列棚110毎に、紫外光の照射を行うようにしてもよい。
  この場合、決定部501は、食品が配置された陳列棚110に対して紫外光が照射されるように、また、食品が配置されていない陳列棚110に対しては紫外光が照射されないように、照射位置を決定する。
 
【0044】
  そして、この場合、制御部502は、例えば、食品が配置された陳列棚110の対向位置(上方)に位置する発光ダイオード200を点灯させるようにし、この陳列棚110の全体に亘って紫外光が照射されるようにする。
  付言すると、この場合も、制御部502は、決定部501により決定された照射位置(陳列棚110)に対して紫外光が照射されるように、発光ダイオード200の点灯の制御を行う。
 
【0045】
  また、この場合、制御部502は、食品が配置されていない陳列棚110(決定部501により決定された陳列棚110以外の陳列棚110)に対しては、紫外光が照射されないようにする。
  より具体的には、制御部502は、食品が配置されていない陳列棚110の上方に位置する発光ダイオード200については、点灯させないようにし、この陳列棚110に対しては、紫外光が照射されないようにする。
 
【0046】
  また、その他に、制御部502は、決定部501により決定された照射位置への紫外光の照射にあたり、発光ダイオード200から出射される紫外光の光路を変更して、照射位置に紫外光が照射されるようにしてもよい。
  より具体的には、制御部502は、例えば、発光ダイオード200の向きを変更して(発光ダイオード200の光軸の向きを変更して)、光路の変更を行い、照射位置に紫外光が照射されるようにしてもよい。
  また、その他に、制御部502は、例えば、発光ダイオード200から出射される紫外光を反射するミラーなどの反射部材の傾きを変更して、光路の変更を行い、照射位置に紫外光が照射されるようにしてもよい。
 
【0047】
  図7は、陳列装置100の他の構成例であって、
図1の符号7Aで示す部分を矢印VII方向から見た場合の図である。
  ここで、発光ダイオード200の向きを変更して、光路の変更を行う場合は、例えば、
図7に示すように、発光ダイオード200の向きを変更する変更機構90を駆動して、発光ダイオード200の向き(発光ダイオード200の光軸の向き)を変更し、光路の変更を行う。
  この変更機構90では、発光ダイオード200が、回転軸91を中心に回転可能に設けられており、発光ダイオード200を回転させて、発光ダイオード200の向きを変更する。
 
【0048】
  より具体的には、この変更機構90では、回転軸91を中心に回転する回転体92が設けられ、この回転体92に、発光ダイオード200が取り付けられている。さらに、この変更機構90には、回転体92を回転させる駆動モータM1(駆動源)が設けられている。
  制御部502は、駆動モータM1の制御を行うことで回転体92を回転させ、発光ダイオード200の向きを変更する。
 
【0049】
  また、ミラーなどの反射部材の傾きを変更して、紫外光の光路の変更を行う場合は、例えば、
図8(陳列装置100の他の構成例を示した図)に示すように、駆動源の一例である駆動モータM2を用いて、例えば、回転軸93を中心に反射部材94を回転させる。
  反射部材94には、ミラー95が取り付けられており、本実施形態では、このミラー95にて紫外光が反射され、紫外光が食品に向かう。
  本実施形態では、反射部材94を回転させることで、ミラー95の傾きが変更され、紫外光の光路が変更される。
 
【0050】
  また、その他に、制御部502は、決定部501により決定された照射位置への紫外光の照射にあたり、発光ダイオード200を移動させて、照射位置に紫外光が照射されるようにしてもよい。
  具体的には、例えば、
図9(陳列装置100の他の構成例を示した図)に示すように、発光ダイオード200が取り付けられた移動体81を、陳列装置100の幅方向に移動させることで、照射位置に紫外光が照射されるようにしてもよい。
  より具体的には、この構成例では、決定部501により決定された照射位置の対向位置まで、移動体81を移動させる。これにより、照射位置に紫外光が照射されるようになる。
 
【0051】
  なお、移動体81を移動させる移動機構は、例えば、循環移動可能に設けられ陳列装置100の幅方向に沿って延びるベルト部材と、このベルト部材を駆動させる駆動モータとにより構成する。
  このベルト部材に対して移動体81を取り付けることで、ベルト部材に連動して移動体81が移動するようになり、陳列装置100の幅方向に移動体81が移動する。
  なお、移動機構は、これに限らず、公知の機構により構成すればよく、特に限定されるものではない。
  ここで、
図7〜
図9にて示した構成例では、
図4にて示した構成例に比べ、発光ダイオード200の数が少なくなり、消費電力の削減を図れる。
 
【0052】
  また、その他に、紫外光の光路上に、光遮り部材を位置させ、上記の照射位置以外へ向かう紫外光を遮るようにしてもよい。
  具体的には、決定部501により決定された上記の照射位置とは異なる箇所へ向かう紫外光の光路上に、光遮り部材を位置させ、照射位置以外へ向かう紫外光を遮るようにしてもよい。
 
【0053】
  より具体的には、本実施形態では、光遮り手段の一部として機能する部材移動部504(
図6参照)が設けられている。
  本実施形態では、この部材移動部504が、決定部501により決定された上記の照射位置に基づき、光遮り部材を移動させて、照射位置以外へ向かう紫外光の光路上にこの光遮り部材を位置させる。
  これにより、食品以外へ紫外光が向かうことが抑制される。
 
【0054】
  図10(A)〜(C)は、光遮り部材を用いた構成例を示した図である。なお、
図10(A)〜(C)の各々の上段には、発光ダイオード200を下方から見た場合の状態を示している。
  
図10(A)に示した構成例では、発光ダイオード200から食品に向かう光路(以下、「食品用光路R1」と称する)の脇に、光遮り部材88が設けられている。
  この構成例では、食品用光路R1の周囲に、複数の光遮り部材88が設けられ、さらに、この複数の光遮り部材88が、矢印10Aで示すように、食品用光路R1に対して進退可能となっている。
 
【0055】
  部材移動部504は、光遮り部材88を移動させて、食品以外の箇所に向かう紫外光の光路R2上にこの光遮り部材88を位置させ、照射位置以外へ向かう紫外光を遮る。
  ここで、光遮り部材88の移動は、公知の機構により行えばよく、特に限定されるものではない。
 
【0056】
  図10(B)では、
図10(A)にて示した食品よりも大きい食品に対して紫外光を照射する場合を例示しており、この場合、部材移動部504は、
図10(A)で示した状態よりも、光遮り部材88を、食品用光路R1から離すようにする。
  付言すると、10(B)では、決定部501により決定された照射位置(照射領域)の面積が、
図10(A)で示した状態における面積よりも大きい場合を例示しており、部材移動部504は、
図10(A)で示した状態よりも、光遮り部材88を食品用光路R1から離す。
 
【0057】
  また、
図10(C)では、
図10(B)にて示した食品よりも大きい食品に対して紫外光を照射する場合を例示しており、この場合も、部材移動部504は、
図10(B)で示した状態よりも、光遮り部材88を食品用光路R1から離す。
  言い換えると、
図10(C)では、決定部501により決定された照射位置(照射領域)の面積が、
図10(B)で示した状態における面積よりも大きい場合を例示しており、部材移動部504は、
図10(B)で示した状態よりも、光遮り部材88を食品用光路R1から離す。
 
【0058】
  付言すると、
図10に示した構成例では、発光ダイオード200と食品との間に、いわゆる絞りが設けられた構成となっており、本実施形態では、複数の光遮り部材88により、この絞りが構成されている。
  この構成例では、光遮り部材88を食品用光路R1から退避させると、絞りが開放された形となり、また、光遮り部材88を食品用光路R1に接近させると、絞りが絞られた状態となる。
 
【0059】
  また、その他、照射位置に配置された対象物の高さ情報を取得し、取得したこの高さ情報に基づき、照射位置に紫外光を出射する際の発光ダイオード200の出力を設定してもよい。
  より具体的には、本実施形態では、高さ情報取得部505(
図6参照)が設けられており、本実施形態では、この高さ情報取得部505が、決定部501により決定された上記の照射位置に配置された食品の高さを把握する。
  付言すると、高さ情報取得部505は、まず、決定部501により決定された上記の照射位置を把握し、次いで、この照射位置に位置する食品の高さを把握する。
 
【0060】
  ここで、食品の高さの把握は、例えば、陳列装置100にカメラを設置し、このカメラにより得られた映像を解析することで、この高さの把握を行える。
  また、食品の高さの把握は、例えば、高さ方向における位置が互いに異なる、透過型のセンサを複数設置し、複数のこのセンサからの出力に基づき、食品の高さの把握を行ってもよい。
  また、食品の高さの把握は、これらの方法に限らず、他の公知の手法により行ってもよい。
 
【0061】
  次いで、本実施形態では、出力設定部506が、高さ情報取得部505により取得された高さ情報に基づき、照射位置に紫外光を出射する発光ダイオード200の出力を設定する。より具体的には、出力設定部506は、高さ情報取得部505により取得された高さ情報に基づき、照射位置に紫外光を出射する発光ダイオード200の出力の設定値を出力する。
  そして、本実施形態では、制御部502は、発光ダイオード200を点灯させて照射位置に紫外光を照射するにあたり、発光ダイオード200の出力がこの設定値になるようにする。
 
【0062】
  より具体的には、出力設定部506は、高さ情報により特定される高さが予め定められた第1の閾値よりも大きい場合、この第1の閾値よりも小さい場合に比べ、発光ダイオード200の出力を小さくする。
  ここで、本実施形態では、食品の上方から紫外光が照射される。この場合に、食品の高さが大きいと、食品の近くから紫外光が照射される形となり、この紫外光によって、食品の質が低下するおそれがある。
  これに対し、上記のように、発光ダイオード200の出力を小さくすると、食品の質の低下が抑制される。
 
【0063】
  また、その他に、出力設定部506は、高さ情報により特定される高さが予め定められた第2の閾値(例えば、上記の第1の閾値よりも小さい第2の閾値)よりも小さい場合、この第2の閾値よりも大きい場合に比べ、発光ダイオード200の出力を大きくする。
  ここで、本実施形態では、食品の上方から紫外光が照射される。この場合に、食品の高さが小さいと、発光ダイオード200から食品が離れ、食品への紫外光の照射量が不足するおそれがある。
  これに対し、上記のように、発光ダイオード200の出力を大きくすると、食品への紫外光の照射量が確保される。
 
【0064】
  図11は、陳列装置100の他の構成例を示した図である。
  この構成例では、発光ダイオード200から出射される紫外光の光路上に、紫外光が通過するレンズ群900が配置されている。このレンズ群900には、発光ダイオード200から出射される紫外光を絞る複数のレンズが設けられている。
  この構成例では、制御部502は、このレンズ群900に設けられたレンズを用いて、決定部501により決定された照射位置に、紫外光が照射されるようにし、この照射位置以外に紫外光が照射されないようにする。
 
【0065】
  より具体的には、この場合、制御部502は、このレンズ群900に設けられた1以上のレンズを光軸方向に移動させることにより、紫外光の絞りの程度を変化させて(光の拡散の程度を変化させて)、上記の照射位置に、紫外光が照射されるようにし、この照射位置以外に紫外光が照射されないようにする。
  このように、紫外光の絞りの程度を変化させる場合も、
図10にて示した構成例と同様、照射位置以外へ紫外光が向かいにくくなる。
  付言すると、紫外光の絞りの程度を変化させる場合も、サイズの異なる食品の各々への紫外光の照射を行えるようにしつつ、食品以外に向かう紫外光を減らせるようになる。
 
 
【解決手段】光の照射対象となる対象物が配置される機器と、紫外線領域の波長の光である紫外光を出射する発光ダイオードであって、前記機器に配置された前記対象物に対して照射される紫外光を出射する発光ダイオードと、前記機器に配置された前記対象物の配置位置に基づき、前記発光ダイオードから出射される前記紫外光の照射位置を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された照射位置に、前記発光ダイオードから出射された紫外光が照射されるようにする制御手段と、を備える光照射システム。