(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記材料に関する情報を取得する機能は、前記匂いセンサが検出可能な匂いに関連した材料を前記ユーザが入力できるように当該ユーザを誘導させることを特徴とする請求項1記載のプログラム。
前記調理方法に関する情報と材料に関する情報とを取得する機能は、当該調理方法に関する情報および/または当該材料に関する情報を、前記出力情報を基に取得することを特徴とする請求項1記載のプログラム。
前記調理方法に関する情報と前記材料に関する情報とを取得する機能は、当該調理方法に関する情報および当該材料に関する情報を、前記ユーザが選択した調理メニューを基に取得することを特徴とする請求項1記載のプログラム。
前記材料に関する情報を取得する機能は、前記匂いセンサが検出可能な匂いに関連した材料を、前記ユーザが選択した調理メニューに対応する調理レシピにより当該ユーザに提示することを特徴とする請求項9記載のプログラム。
前記調理仕上がり状況を出力する機能は、それぞれ異なる匂いを検知する複数の匂いセンサにより検知される値の変化に基づき当該調理仕上がり状況を出力することを特徴とする請求項1記載のプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<調理システム1全体の説明>
図1は、本実施の形態における調理システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の調理システム1は、調理を行う機器である調理装置10と、匂いを検出する匂いセンサ20と、調理の状況を出力する端末装置30とを備える。
匂いセンサ20と端末装置30とは、有線通信回線または無線通信回線により接続され、匂いセンサ20で取得された匂いに関する情報が、端末装置30に送信される。有線通信回線としては、例えば、有線LAN(Local Area Network)回線、USB(Universal Serial Bus)、光通信回線、公衆電話回線等が利用できる。また、無線通信回線としては携帯電話回線、PHS(Personal Handy-phone System)回線、Wi−Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)等が利用できる。また、インターネット等を併せて利用してもよい。
【0012】
調理装置10は、加熱により調理を行う。図示する調理装置10は、いわゆるガスコンロである。この場合、調理装置10は、ガスを燃料とするバーナであるガスバーナ11と、鍋、フライパン等の調理器具を載せる五徳12と、ガスの流量を調整するバーナコック13とを有する。
ガスバーナ11は、ガスを燃焼させることにより発生する炎により、調理器具を介し、調理対象を加熱する。
五徳12は、調理器具を載せるとともに、ガスバーナ11による炎との間を適切な距離に保持する。
バーナコック13は、ガスバーナ11で燃焼させるガスの量を調整する。燃焼するガスの量を調整することで、調理対象に与える熱量を調整することができる。
ここでは、調理装置10の例として、ガスコンロを挙げたが、加熱により調理を行うための器具であれば、特に限られるものではない。よって、加熱源は、ガスバーナに限られるものではなく、例えば、電気ヒータ、IH(Induction Heating)ヒータ、薪、石炭、コークス、焼き石などであってもよい。よって、調理装置10は、鉄板焼き、ゆで麺機、フライヤー、IH調理器、電気ヒータコンロ、パン焼き器、タンドール釜、石焼き器などであってもよい。
また、調理対象は、特に限られるものではなく、例えば、肉、魚介類、野菜、麺類、スープなどである。
【0013】
匂いセンサ20は、調理装置10を使用する調理の際に発せられる匂いを検知する。
図2は、匂いセンサ20の構成について示した概略図である。
図示する匂いセンサ20は、水晶振動子210と、感応膜220とを備える。
水晶振動子210は、水晶片211と、1組の電極212a、212bとを備える。
水晶片211は、例えば、ATカットにより切り出した水晶の薄片である。そして、水晶片211は、1組の電極212a、212bにより挟持される。
1組の電極212a、212bは、発振回路Hcに接続され、発振回路Hcにより、交流電圧を印加すると、水晶片211に所定の振動数で共振が生じる。この振動数は、共振周波数であり、例えば、水晶片211のカット面、厚み、水晶の弾性率等で定まる。
【0014】
感応膜220は、空気中に含まれ、匂いのもととなる化学成分を吸着および脱着する。この場合、感応膜220は、匂いのもととなる化学成分として、匂い分子を吸着および脱着する。そして、匂い分子が、吸着すると、水晶片211の共振周波数が変化する。これは、水晶片211の振動モードが変化すると言うこともできる。そして、制御装置Sで、この共振周波数の変化量を検出することで、感応膜220に吸着した匂い分子の有無や量を判断することができる。
【0015】
感応膜220として、吸着する匂い分子に選択性があるものを使用することができる。そしてこれにより、この匂い分子に起因する特定の匂いに反応する匂いセンサ20を作成することができる。例えば、エタノールを選択的に吸着する感応膜220を使用することで、酒類の匂いを検出することができる匂いセンサ20を作成できる。また、種々の選択性を有する感応膜220を有する複数の匂いセンサ20を配することで、種々の匂い分子の吸着を行うことができ、種々の匂いを検出することができる。また、1つの匂いセンサ20の中に、複数の感応膜220を設けてもよい。
感応膜220は、水晶振動子210の振動を阻害しにくいことが求められるため、薄膜である。また、特定の匂い分子以外の吸着を阻止するため、感応膜220に、さらにバリヤ層を設けることもできる。
【0016】
なお、感応膜220に匂い分子が吸着した後に、乾燥空気を流すと、匂い分子は、吸着した状態から脱着し、共振周波数は、もとに戻る。つまり、匂い分子を含む空気と乾燥空気とを交互に流すことで、継続的に匂いの検出を行うことができる。
【0017】
端末装置30は、匂いセンサ20が検知した匂いに基づき、調理仕上がり状況を出力する出力装置の一例である。端末装置30は、匂いセンサ20から取得した匂いに関する情報を基に、調理の仕上がりの状況である調理仕上がり状況を把握する。そして、調理仕上がり状況を表示したり、音声や警告音等の音を発することで、ユーザに対し通知する。
【0018】
端末装置30は、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ等のコンピュータ装置である。
端末装置30は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶手段であるメインメモリを備える。ここで、CPUは、OS(基本ソフトウェア)やアプリ(応用ソフトウェア)等の各種ソフトウェアを実行する。また、メインメモリは、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域である。さらに、端末装置30は、外部との通信を行うための通信インタフェース(以下、「通信I/F」と表記する)と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構と、入力ボタン、タッチパネル、キーボード等の入力機構とを備える。また、端末装置30は、補助記憶装置として、ストレージを備える。ストレージは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)である。さらに、端末装置30は、音を発するスピーカを備えることもできる。
【0019】
次に、本実施の形態の調理システム1の詳細な機能構成および動作について説明する。
<調理システム1の機能構成の説明>
[第1の実施形態]
ここでは、まず、調理システム1の動作の第1の実施形態について説明を行う。
第1の実施形態では、調理システム1は、ユーザから、調理方法や調理に使用する材料の情報を取得し、これらの情報を基に、調理仕上がり状況を把握する。
【0020】
図3は、調理システム1の機能構成例を示したブロック図である。
なおここでは、調理システム1が有する種々の機能のうち本実施の形態に関係するものを選択して図示している。
匂いセンサ20は、外部に情報を送信する送受信部21と、匂いを検出する検出部22と、匂いに関する情報を作成する作成部23とを備える。
【0021】
送受信部21は、匂いに関する情報を出力情報として端末装置30に対し送信する。送受信部21は、例えば、制御装置Sに対応する。
検出部22は、匂い分子を検出する機能部である。即ち、上述した水晶振動子210、感応膜220、発振回路Hc、制御装置Sに対応する。検出部22は、水晶振動子210の共振周波数を検知する。
【0022】
作成部23は、匂いに関する情報を出力情報として作成する。匂いに関する情報は、この場合、例えば、匂いセンサ20により検知された共振周波数を基に作成された振動の情報である。振動の情報は、共振周波数そのものを表す情報であってもよく、匂い分子を検出しているときと、匂い分子を検出していないときとの共振周波数の差分を表す情報であってもよい。また、匂いに関する情報は、振動の情報を基に加工された情報であってもよい。例えば、匂い分子を検出していない状態を、0、検出限界上限まで検出している状態を99とし、匂いに関する情報を、100段階の数値として表すようにしてもよい。
また、匂いに関する情報は、匂いについての情報だけでなく、他の情報を含んでいてもよい。例えば、匂いの取得時刻、匂いを取得した匂いセンサ20の固有IDなどを含んでいてもよい。また、匂いセンサ20中に実装されるセンサチップの固有IDなどを含んでいてもよい。
作成部23は、例えば、制御装置Sに対応する。
【0023】
端末装置30は、ユーザから調理に関する必要な情報を取得する調理情報取得部31と、調理が仕上がったときの匂いセンサ20の値を決定する決定部32と、匂いセンサ20から匂いに関する情報を取得する匂い情報取得部33と、ユーザに対する通知情報を作成して出力する出力部34と、匂いに関する情報を記憶する記憶部35とを備える。
【0024】
調理情報取得部31は、調理方法に関する情報を取得する。調理方法に関する情報は、調理方法に関係する情報であれば、特に限られるものではない。調理方法に関する情報は、例えば、調理の種類の情報である。調理の種類として、具体的には、グリル(焼く)、茹でる、揚げる、炒める、蒸すなどが挙げられる。また、調理方法に関する情報は、調理の時間、および調理器具の種類の情報である。調理の時間は、調理方法であるグリル(焼く)、煮る、炒める、蒸すなどを行う時間である。調理器具は、調理を行う際に、調理対象を載置したり収容する器具である。具体的には、フライパン、鉄板、鍋、釜、金網、蒸し器などが挙げられる。
【0025】
また、調理情報取得部31は、調理対象についての情報を取得する。これは、調理を行う材料に関する情報を取得すると言うこともできる。具体的には、調理対象として、上述したような、肉、魚介類、野菜、麺類、スープであることを取得する。また、肉、魚介類、野菜の場合、その種類の情報を取得するようにしてもよい。例えば、調理対象が、肉の場合は、牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉などの情報である。また、魚介類の場合は、魚、エビ、貝などの情報であり、野菜の場合は、人参、もやし、白菜、蓮根、ピーマンなどの情報である。
【0026】
調理したときに調理対象から発せられる匂いは、調理対象および調理方法により異なる。また、別の見方をすると、調理対象および調理方法を知ることができれば、調理対象からどのような匂いが発せられるかを、推定することができる。
【0027】
さらに、調理情報取得部31は、ユーザの望む調理仕上がりに関する情報を取得する。
調理仕上がりとは、調理の仕上がりの程度を意味する。例えば、やや不足、普通、やや過剰の3段階を設定することができる。これを例えば,肉類に適用した場合、レア、ミディアム、ウェルダンに対応する。また、3段階に限られるものではなく、複数の段階で設定できればよい。これにより、調理情報取得部31は、ユーザの調理仕上がりに対する要求を取得することができる。そして、ユーザは、自らの味の好みを調理仕上がりに反映させることができる。また、調理仕上がりを、あえてやや不足に設定しておき、最後の仕上げだけは、ユーザが自分で行いたいなどの要求も反映させることができる。
【0028】
本実施の形態では、調理情報取得部31は、上述した調理方法に関する情報、材料に関する情報、および調理仕上がりに関する情報を、ユーザから取得する。この場合、ユーザは、端末装置30を操作し、これらの情報を入力する。
また、調理情報取得部31は、匂いセンサ20が検出可能な匂いに関連した材料をユーザが入力できるようにユーザを誘導させるようにすることもできる。つまり、匂いセンサ20で検出可能な匂い成分の種類については、限界があり、それほど多くの匂いを検出できる匂いセンサ20を用意できるとは限らない。よって、調理の際に、匂いセンサ20で検出できる匂いを発する材料をユーザに選択させ、調理対象として利用させることで、匂いの検出がより容易となる。
なお、調理情報取得部31は、ユーザから調理方法に関する情報を取得するとは限らず、これを、匂いに関する情報を含む出力情報を基に、推定することで取得してもよい。例えば、出力情報として、肉の焼ける匂いが検出されたときは、調理方法は、グリルであると推定できる。
同様に、調理情報取得部31は、出力情報を基に、材料に関する情報を推定することで取得してもよい。例えば、出力情報として、肉の焼ける匂いが検出されたときは、調理を行う材料は、肉であると推定できる。
【0029】
決定部32は、調理が仕上がったときの、匂いセンサ20にて検知される値の到達値を決定する。詳しくは後述するが、到達値は、調理方法および材料に関する情報と、調理仕上がりに関する情報とに基づいて決定される。
【0030】
匂い情報取得部33は、匂いセンサ20が検出した匂いに関する情報である出力情報を取得する。即ち、匂いセンサ20の作成部23が作成した出力情報を取得する。
【0031】
出力部34は、出力情報と到達値とから、調理仕上がり状況を出力する。つまり、出力部34は、出力情報に含まれる匂いに関する情報から、この匂いセンサ20が検出した値が、到達値に達しているか否かを判断する。そして、到達値に達した場合、出力部34は、ユーザに対し、調理仕上がり状況として、調理が完了したことを通知する。また、匂いセンサ20が検出した値が、到達値に達しない場合でも、出力部34は、ユーザに対し、調理仕上がり状況として、調理が未だ完了していないことを通知してもよい。さらに、出力部34は、調理仕上がり状況として、調理仕上がりまでの時間を推定し、この時間をユーザに対し通知してもよい。
【0032】
またさらに、出力部34は、匂いセンサ20が検出した値が予め定められた場合よりも速く上昇したなどの場合は、火加減が強すぎるなどを通知してもよい。そして、出力部34は、匂いセンサ20が焦げの匂いを検知する場合で、匂いセンサ20が検出した値が急激に上昇したなどの場合は、調理対象が焦げている旨の警告を発するようにしてもよい。
【0033】
記憶部35は、記憶装置の一例であり、ユーザから取得した、調理方法に関する情報、材料に関する情報、および調理仕上がりに関する情報を、記憶する。さらに、記憶部35は、匂いセンサ20から取得した出力情報、および到達値について記憶する。これにより、時間の経過に伴う、匂いの変化を把握することができる。
また、記憶部35は、過去の履歴を記憶してもよい。例えば、過去に入力された、調理方法に関する情報および調理仕上がりに関する情報を記憶する。これにより、例えば、調理方法と調理仕上がりとの関連性が把握でき、ユーザの好みを推測することができる。
【0034】
さらに、ユーザが調理仕上がりとしたときの匂いに関する情報を記憶することができる。到達値は、記憶部35に記憶された匂いに関する情報に基づいて決定することができる。つまり、実際に調理が終了になるのは、例えば、ユーザが、調理装置10を停止させた場合や、ユーザが、端末装置30に対し、調理終了を入力した場合である。ここでは、端末装置30に対し、調理終了を入力したときを、ユーザが調理仕上がりとしたときとし、この時点での状態を、ユーザの好む調理仕上がりの状態であるとする。そして、このときの匂いに関する情報を記憶する。そして、次からは、これに基づき決定部32が到達値を決定する。
【0035】
調理情報取得部31は、例えば、通信I/Fや入力機構に対応する。また、決定部32は、例えば、CPUに対応する。さらに、匂い情報取得部33は、例えば、通信I/Fに対応する。またさらに、出力部34は、例えば、CPU、表示機構、スピーカに対応する。そして、記憶部35は、例えば、ストレージに対応する。
【0036】
<調理システム1の動作の説明>
次に、調理システム1の実際の動作例について説明を行う。ここでは、調理の前準備として端末装置30を設定する動作と、調理を行う際の調理システム1の動作に分けて説明を行う。なお、以下説明する調理システム1の動作は、調理仕上がり状況をユーザに通知する検出方法であると捉えることもできる。
図4は、調理の前準備として端末装置30を設定する動作を説明したフローチャートである。
まず、調理システム1を使用しようとするユーザは、調理方法に関する情報、および調理を行う材料に関する情報を入力する(ステップ101)。
さらに、ユーザは、ユーザの望む調理仕上がりに関する情報を併せて入力する(ステップ102)。
これらの情報は、記憶部35に記憶される(ステップ103)。
【0037】
図5は、
図4のステップ101〜ステップ102で、ユーザが入力を行う画面について示した図である。
ここでは、端末装置30の表示機構Hに、ユーザが入力を行う場合を示している。ここでは、調理を行う材料に関する情報を入力するメニューM1が表示され、このメニューM1の中から、調理を行う材料を選択することができる。また、調理を行う材料は、複数回選択することができ、既に選択済みの材料が、欄R1内に表示されている。
またここでは、調理方法に関する情報を入力するメニューM2が表示され、このメニューM2の中から、調理方法を選択することができる。
さらに、ここでは、メニューM3が表示され、このメニューM3の中から、ユーザの望む調理仕上がりを選択することができる。
【0038】
図4に戻り、決定部32は、調理が仕上がったときの、匂いセンサ20にて検知される値の到達値を決定する(ステップ104)。
本実施の形態では、到達値は、調理方法および材料に関する情報と、調理仕上がりに関する情報とに基づいて決定される。つまり、決定部32は、ステップ101〜ステップ102で取得した情報に基づき、到達値を決定する。
【0039】
図6は、決定部が、到達値を決定する方法の一例を示した図である。
ここでは、調理の材料および調理方法と、到達値とを関連付けた表を利用して、到達値を決定する方法を示している。
図示する例では、例えば、調理の材料として、牛肉、調理方法として、グリルが選択された場合、到達値は、70に決定できる。また、調理仕上がりが、やや不足の場合は、到達値を5減少させ、やや過剰の場合は、到達値を、5増加させるなどの補正を行うことが好ましい。また、調理の材料が、複数の場合は、匂いセンサ20で検出しやすい材料の到達値を選択することができる。つまりこの場合、到達値は、複数の材料の中で、匂いセンサ20が匂いを検出しやすい材料に基づいて決定される。また、特定の材料の到達値を加重平均することで、最終的な到達値としてもよい。
【0040】
またここで使用する匂いセンサ20は、例えば、焦げの匂いを検出することができるものである。この場合、匂い成分としては、例えば、フルフラールやヒドロキシメチルフルフラールが挙げられる。つまり、焦げの匂いの程度に応じて、到達値を決定する。
【0041】
図7は、調理の際の調理システム1の動作を説明したフローチャートである。
まず、匂いセンサ20が、調理装置10で調理されている調理対象から発する匂いを検出する。具体的には、匂いセンサ20の検出部22が、水晶振動子210の共振周波数を検知する(ステップ201)。そして、作成部23が、共振周波数を基に匂いに関する情報を出力情報として作成する(ステップ202)。さらに、送受信部21が、この出力情報を端末装置30に向け送信する(ステップ203)。
【0042】
端末装置30では、匂い情報取得部33が、出力情報を受信する(ステップ204)。
そして、出力部34は、出力情報に含まれる匂いに関する情報から、検出された匂いの値が、
図4のステップ104で決定した到達値に到達したか否かを判断する(ステップ205)。
【0043】
その結果、到達している場合(ステップ205でYes)、出力部34は、調理仕上がり状況として、調理が完了したと判断する(ステップ206)。そして、出力部34は、調理が完了した旨の通知情報を作成して、端末装置30の表示機構Hに表示する(ステップ207)。
【0044】
対して、到達していない場合(ステップ205でNo)、出力部34は、調理仕上がり状況として、調理が未だ完了していないと判断する(ステップ208)。そして、出力部34は、検出された匂いの値と到達値との差分から、調理仕上がりまでの時間を推定する(ステップ209)。そして、出力部34は、調理が未だ完了していない旨および推定時間を含む通知情報を作成して、端末装置30の表示機構Hに表示する(ステップ210)。
【0045】
図8(a)〜(b)は、端末装置30の表示機構Hに、通知情報を表示した場合について示した図である。
このうち、
図8(a)は、
図7のステップ207で、調理が完了した場合に表示される内容を示している。ここでは、端末装置30の表示機構Hに、調理が完了した旨の通知情報として、「調理が完了しました。ガスコンロを停止して下さい。」のメッセージMe1が表示されている。
また、
図8(b)は、
図7のステップ210で、調理が完了していない場合に表示される内容を示している。ここでは、端末装置30の表示機構Hに、調理が未だ完了していない旨および推定時間を含む通知情報として、「調理中です。調理完了まで、あと約3分です。」のメッセージMe2が表示されている。
【0046】
以上詳述した形態によれば、匂いの情報を利用して調理仕上がり状況を把握するため、調理対象の状態をより直接的に把握することができる。よって、食品の焼き具合、調理具合などの調理の状況を、本構成を採用しない場合に比べて、より適切に把握することができる。そして、調理の手間を削減および調理の失敗を抑制することができる。また、本実施の形態のように、匂い成分として焦げの匂いを検出する場合、料理の失敗、匂いトラブル、火災などを防止しやすくなる。
【0047】
[第2の実施形態]
次に、調理システム1の動作の第2の実施形態について説明を行う。
第2の実施形態では、調理システム1は、ユーザに調理メニューを選択させ、これを基に、調理方法や調理に使用する材料の情報を取得する。
第2の実施形態では、調理情報取得部31は、ユーザから調理メニューの情報を取得する。そして、調理情報取得部31は、この調理メニューを基に、調理方法に関する情報、および調理を行う材料に関する情報を取得する。調理メニューとこれらの情報とは、例えば、記憶部35に記憶されており、調理情報取得部31は、記憶部35を参照することで、これらの情報を取得できる。
【0048】
次に、第2の実施形態においける調理システム1の動作例について説明を行う。
図9は、調理の前準備として端末装置30を設定する動作を説明したフローチャートである。
まず、調理システム1を使用しようとするユーザは、調理メニューに関する情報を入力する(ステップ301)。
さらに、ユーザは、ユーザの望む調理仕上がりに関する情報を併せて入力する(ステップ302)。
そして、調理情報取得部31は、記憶部35を参照し、ユーザが入力した調理メニューに対する、調理方法に関する情報および調理を行う材料に関する情報を取得する(ステップ303)。
これらの情報は、記憶部35に記憶される(ステップ304)。
そして、決定部32は、調理が仕上がったときの、匂いセンサ20にて検出される値の到達値を決定する(ステップ305)。
【0049】
図10(a)は、
図9のステップ301〜ステップ302で、ユーザが入力を行う画面について示した図である。
ここでは、端末装置30の表示機構Hに、調理メニューを入力するメニューM4が表示され、このメニューM4の中から、調理メニューを選択することができる。
さらにここでは、
図5と同様に、メニューM3が表示され、このメニューM3の中から、ユーザの望む調理仕上がりを選択することができる。
【0050】
図10(b)は、
図10(a)で示した画面で、調理メニューおよび調理仕上がりを入力後、OKボタンB1を押下したときに表示される画面を示した図である。
図示する画面は、ユーザが選択した調理メニューに従い表示される調理レシピを表示した画面である。この調理レシピは、例えば、記憶部35に記憶されており、調理メニューの選択に伴い呼び出すことができる。
図示する例では、調理メニューとして、カレーライスが選択され、そのために必要な材料および調理手順が表示される。このとき、調理情報取得部31は、匂いセンサ20が検出可能な匂いに関連した材料を、ユーザが選択した調理メニューに対応する調理レシピによりユーザに提示するようにする。つまり、上述したように、匂いセンサ20で検出可能な匂い成分の種類については、限界があり、それほど多くの匂いを検出できる匂いセンサ20を用意できるとは限らない。よって、調理レシピ、匂いセンサ20で検出できる匂いを発する材料をユーザに提示し、調理対象として利用させることで、匂いの検出がより容易となる。
【0051】
そして、ユーザが開始ボタンB2を押下すると、ステップ305の到達値が決定される。到達値の決定は、第1の実施形態の
図6に示した場合と同様に行うことができる。また、端末装置30では、調理が開始されたと判断する。そして、以後の動作は、第1の実施形態の
図7に示した順と同様である。
【0052】
第2の実施形態によれば、ユーザは、調理メニューを選択すればよく、調理を行う材料に関する情報および調理方法に関する情報を入力する必要はない。即ち、より簡易に調理システム1を利用することができる。またこの場合、調理を行う材料および調理方法は、調理レシピの形で、予め定められ、これを端末装置30にてユーザに提示する。そのため、ユーザが実際の調理を行う手順を誤ることが防止できる。そして、調理を行う材料は、予め定められるため、発生する匂いについても予め精度良く把握することができる。そのため、調理仕上がり状況をより正確に把握することができる。そして、調理の手間を削減および調理の失敗を抑制することができる。
【0053】
[第3の実施形態]
次に、調理システム1の動作の第3の実施形態について説明を行う。
第3の実施形態では、複数の匂いセンサ20を使用し、複数の匂いに関する情報を基に、調理の仕上がりの状況の判断を行う。
【0054】
図11は、複数の匂いセンサ20により検出される匂いに関する情報の変化を示した図である。
図11で横軸は、時間を表し、縦軸は、検出される匂いの変化を表す。
ここでは、2種類の匂いセンサ20で検出される匂いの変化を示している。この場合、調理メニューは、カレーライスであり、匂いセンサ20として、スパイスの匂いを検出できるセンサAと、焦げの匂いを検出できるセンサBとを使用したことを示している。なお、ここでは、焦げの匂いを検出できるセンサBの到達値を併せて図示している。
この場合、出力部34は、それぞれ異なる匂いを検知する複数の匂いセンサ20により検知される値の変化に基づき調理仕上がり状況を出力する。
図示するように、調理仕上がりに向かうに従い、センサAおよびセンサBで検出される値は、それぞれ独立に変化する。そのため、複数の匂いセンサ20により複数の匂いをモニタリングすることで、調理仕上がり状況をより正確に把握することができる。そして、調理の手間を削減および調理の失敗を抑制することができる。
【0055】
なお、以上説明した例では、調理装置10の状態について、考慮していなかったが、これを考慮し、調理仕上がり状況の判断を行ってもよい。例えば、調理装置10の火加減の情報を取得し、これにより調理仕上がり状況を判断する。調理装置10の火加減の情報は、例えば、調理装置10がガスコンロであった場合は、バーナコック13(
図1参照)の開度やガスの流量により把握することができる。また、調理装置10がIH調理器であった場合は、電流量により把握することができる。
また、調理仕上がり状況から、調理を行う調理装置10をさらに制御するようにしてもよい。例えば、調理仕上がり状況により、調理装置10の火加減を調節する。また、調理仕上がり状況として、調理が完了した場合、調理装置10の火を止めるようにする。
なお、以上説明した例では、匂いセンサ20と端末装置30とは、別々の装置であるとして説明を行ったが、匂いセンサ20を端末装置30に組み込むようにしてもよい。
【0056】
また、匂いセンサ20は、
図2に示したものに限られるものではない。例えば、水晶振動子210の代わりに、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)センサを用い、CMOSセンサと感応膜とを組み合わせたもの、水晶振動子210の代わりに、圧電素子(ピエゾ素子)を用い、圧電素子と感応膜とを組み合わせたもの、匂い分子が感応膜に吸着したときの表面応力の変化を表面応力センサで検出するものが挙げられる。また、他にも、分子ナノワイヤによる匂い分子の濃縮を利用し、ケモレジスタンスやFET(Field effect transistor:電界効果トランジスタ)で匂い分子を検知するもの、人の嗅覚受容体を模した生体膜を使用し、生体膜に匂い分子が吸着したときの変化をカメラで捉えるもの、MOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)が匂い分子と接触したときに生じる抵抗値の変化を利用して匂いを検出する半導体センサや、半導体センサと空気質センサとを組み合わせたものなどであってもよい。
【0057】
<プログラムの説明>
ここで、以上説明を行った本実施の形態における端末装置30が行う処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。そして、この処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、端末装置30に設けられたコンピュータ内部の図示しないCPUが、上述した各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
【0058】
よって、本実施の形態で、端末装置30が行う処理は、匂いセンサ20からの情報を処理するコンピュータに、調理方法に関する情報と材料に関する情報とを取得する機能と、ユーザの望む調理仕上がりに関する情報を取得する機能と、調理が仕上がったときの、匂いセンサ20にて検知される値の到達値を決定する機能と、匂いセンサ20が検知した匂いに関する情報である出力情報を取得する機能と、出力情報と到達値とから、調理仕上がり状況を出力する機能と、を実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。
【0059】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【課題】食品の焼き具合、調理具合などの調理の状況を、本構成を採用しない場合に比べて、より適切に把握し、調理の手間を削減および調理の失敗を抑制することができる機能を有するプログラム等を提供する。
【解決手段】匂いセンサ20からの情報を処理するコンピュータに、調理方法に関する情報と材料に関する情報とを取得する機能と、ユーザの望む調理仕上がりに関する情報を取得する機能と、調理が仕上がったときの、匂いセンサ20にて検知される値の到達値を決定する機能と、匂いセンサ20が検知した匂いに関する情報である出力情報を取得する機能と、出力情報と到達値とから、調理仕上がり状況を出力する機能と、を実現させるためのプログラム。