特許第6726478号(P6726478)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6726478蓄電装置、蓄電装置の製造方法、及び蓄電装置用の隣接部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726478
(24)【登録日】2020年7月1日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】蓄電装置、蓄電装置の製造方法、及び蓄電装置用の隣接部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20200713BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20200713BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20200713BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20200713BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20200713BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20200713BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20200713BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/647
   H01M10/6555
   H01M10/6557
   H01M10/6563
【請求項の数】5
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-30352(P2016-30352)
(22)【出願日】2016年2月19日
(65)【公開番号】特開2017-147201(P2017-147201A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英司
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 健太郎
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−045765(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/203342(WO,A1)
【文献】 特開2014−044884(JP,A)
【文献】 特表2017−526130(JP,A)
【文献】 特開2013−206666(JP,A)
【文献】 特開2006−066322(JP,A)
【文献】 特開2016−122572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/647
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と対向する対向部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子と隣り合い、且つ前記対向部材に連結された連結部を第一方向における端部に有する本体部を含む隣接部材と、
前記本体部と該本体部に隣り合う前記蓄電素子との間に流体を流通させる通路と、を備え、
該隣接部材の前記本体部は、
第二方向と直交する方向における端部で開口し、且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有し、
前記空洞部は、前記通路における流体の流通方向と対応する方向に延びる非貫通孔である
蓄電装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記空洞部を複数有し、
該複数の空洞部は、並列に配置されている
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と対向する対向部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子と隣り合い、且つ前記対向部材に連結された連結部を第一方向における端部に有する本体部を含む隣接部材と、を備え、
該隣接部材の前記本体部は、
第二方向と直交する方向における端部で開口し、且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有し、
前記本体部は、
前記空洞部として、
第一方向及び第二方向と直交する第三方向における端部で開口し、且つ第三方向に延びる第一空洞部と、
第一方向における端部の前記連結部に対して第三方向にずれた位置で開口し、且つ第一方向に延びる第二空洞部とを有する
蓄電装置。
【請求項4】
前記対向部材は、第一方向において蓄電素子の両側に配置され、
前記本体部は、
第一方向における両端部に前記連結部を有するとともに、
第一方向における一方の端部で開口する前記第二空洞部と、
第一方向における他方の端部で開口する前記第二空洞部とを有する
請求項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第一空洞部は、貫通孔であり、
前記第二空洞部は、非貫通孔であり、
前記第一空洞部と前記第二空洞部とは、非連通状態である
請求項又はに記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子と、該蓄電素子を位置決めする隣接部材とを備えた蓄電装置、該蓄電装置の製造方法、及び、該蓄電装置用の隣接部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の扁平形二次電池を備えたバッテリシステムには、耐振動性や耐衝撃性を考慮したものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。かかるバッテリシステムは、複数の扁平形二次電池が厚さ方向に積層された電池積層体と、該電池積層体の積層方向の両端面に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートに連結され、扁平形二次電池を積層方向に加圧して固定するバインドバーと、電池積層体を構成している扁平形二次電池の間に配置され、バインドバーに固定された中間補強プレートとを備える。
【0003】
このバッテリシステムでは、エンドプレート及び中間補強プレートが積層された扁平形二次電池を加圧状態で固定する。すなわち、バッテリシステムは、中間補強プレートを基準に電池積層体(扁平形二次電池)を位置決めした状態で固定する。
【0004】
ところで、バッテリシステムは、自動車等に電源として搭載されるため、軽量化することが要求される。しかし、上記構成のバッテリシステムは、中間補強プレートを備えるため、中間補強プレートの存在が当該バッテリシステムを重量化させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−44884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本実施形態は、重量化を抑えた上で、蓄電素子を適正に位置決めすることのできる蓄電装置、該蓄電装置の製造方法、及び蓄電装置用の隣接部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態の蓄電装置は、
蓄電素子と、
第一方向において前記蓄電素子と対向する対向部材と、
第一方向と直交する第二方向において前記蓄電素子と隣り合い、且つ前記対向部材に連結された連結部を第一方向における端部に有する本体部を含む隣接部材と、を備え、
該隣接部材の前記本体部は、
第二方向と直交する方向における端部で開口し、且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有する。
【0008】
かかる構成によれば、対向部材に連結された隣接部材の本体部に蓄電素子が隣り合って配置されるため、蓄電素子は、隣接部材を基準にして位置決めされる。隣接部材の本体部は、第二方向と直交する方向における端部で開口し、且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有するため、隣接部材全体における空間の占有率が高められる。従って、隣接部材の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置全体の重量化が抑えられる。
【0009】
前記本体部は、前記空洞部を複数有し、
該複数の空洞部は、並列に配置されていてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、複数の空洞部が隣接部材内における空間の占有率を高める。また、独立した複数の空洞部が並列に配置されることで、隣り合う空洞部の間に実体のある部分(リブ状の部分)が存在するため、隣接部材(本体部)の第二方向における剛性(蓄電素子を挟み込む力に対抗し得る剛性)が確保される。
【0011】
上記構成の蓄電装置は、前記本体部と該本体部に隣り合う前記蓄電素子との間に流体を流通させる通路を備え、
前記空洞部は、前記通路における流体の流通方向と対応する方向に延びる非貫通孔であってもよい。
【0012】
かかる構成によれば、流体が隣接部材の本体部内を通過することが阻止されるため、送り込まれる流体が蓄電素子に沿って形成される通路に無駄なく送り込まれる。
【0013】
前記本体部は、
前記空洞部として、
第一方向及び第二方向と直交する第三方向における端部で開口し、且つ第三方向に延びる第一空洞部と、
第一方向における端部の前記連結部に対して第三方向にずれた位置で開口し、且つ第一方向に延びる第二空洞部と、を有していてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、第一空洞部に加え、連結部の存在で第三方向に延びる第一空洞部の形成することのできない領域に、第一方向に延びる第二空洞部が形成される。これにより、隣接部材全体における空間の占有率が高められる。従って、隣接部材の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置全体の重量化が抑えられる。
【0015】
前記対向部材は、第一方向において蓄電素子の両側に配置され、
前記本体部は、
第一方向における両端部に前記連結部を有するとともに、
第一方向における一方の端部で開口する前記第二空洞部と、
第一方向における他方の端部で開口する前記第二空洞部とを有してもよい。
【0016】
かかる構成によれば、第一方向における隣接部材の両端部に設けられた連結部のそれぞれが対応する対向部材に連結されるため、隣接部材は、強固に固定される。これにより、隣接部材は、蓄電素子を確実に位置決めする。
【0017】
また、隣接部材の本体部は、第一方向における一方の端部で開口する前記第二空洞部と、第一方向における他方の端部で開口する前記第二空洞部とを有するため、第一方向における隣接部材の両端部に連結部が設けられても、空間の占有率が高められる。すなわち、連結部の存在で第三方向に延びる第一空洞部の形成することのできない第一方向の両端部のそれぞれに、第一方向に延びる第二空洞部が形成されるため、隣接部材全体における空間の占有率がより高められる。
【0018】
前記第一空洞部は、貫通孔であり、
前記第二空洞部は、非貫通孔であり、
前記第一空洞部と前記第二空洞部とは、非連通状態であってもよい。
【0019】
かかる構成によれば、第一方向における第一空洞部の両側及び第三方向における第二空洞部の両側に実体のあるリブ状の部分が形成される。従って、隣接部材の第一方向の強度(圧縮強度)が確保される。
【0020】
本実施形態の蓄電装置の製造方法は、
第一方向における両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に連結部を有し、且つ第一方向と直交する第二方向に厚みを有する本体部を含む隣接部材であって、前記本体部が、第二方向と直交する方向の端部で開口し且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有する隣接部材の前記連結部を、第二方向に延びる対向部材の第二方向の途中位置に連結することと、
第二方向における前記隣接部材の前記本体部を境にした二つの領域のうちの少なくとも何れか一方の領域に少なくとも一つの蓄電素子を配置し、該蓄電素子を前記隣接部材の前記本体部に沿わせることと
を含む。
【0021】
かかる方法によれば、隣接部材における本体部の連結部が対向部材に連結されるため、隣接部材が対向部材に対して一定の位置に固定される。そして、隣接部材の本体部を境にした二つの領域のうちの少なくとも何れか一方の領域に蓄電素子が配置された上で隣接部材に沿わされることで、蓄電素子が隣接部材を基準に配置される。従って、対向部材に固定された隣接部材の本体部に蓄電素子が沿わされることにより、蓄電素子が位置決めされる。そして、隣接部材の本体部は、第二方向と直交する方向の端部で開口し且つ該第二方向と直交する方向に延びる空洞部を有するため、隣接部材全体における空間の占有率が高められる。従って、隣接部材の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置全体の重量化が抑えられる。
【0022】
この場合、前記隣接部材の前記空洞部に治具を挿入し、該治具を定位置に維持させることで、前記隣接部材の姿勢を前記対向部材に対して連結する姿勢及び前記蓄電素子を前記本体部に沿わせる姿勢の少なくとも何れか一方の姿勢に維持させることを更に含んでもよい。かかる方法によれば、本体部における第一方向及び第二方向のそれぞれの周囲に治具等が存在しないため、隣接部材と対向部材とを連結する作業や、蓄電素子を隣接部材の本体部に沿わせる作業を円滑に行うことができる。
【0023】
本実施形態の蓄電装置用の隣接部材の製造方法は、
複数の金型を型締めして形成した成型空間内に樹脂を流し込むことで、
第一方向における両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に、第一方向で隣り合って配置される対向部材に連結される連結部を有する本体部であって、第一方向と直交する第二方向に厚みを有し、該第二方向で蓄電素子が隣り合って配置される本体部を有し、該本体部が、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部で開口し且つ第三方向に延びる第一空洞部と、第一方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部における前記連結部に対して第三方向にずれた位置で開口し、且つ第一方向に延びる第二空洞部とを有する隣接部材を成形する。
【0024】
かかる方法によれば、対向部材に連結される連結部を第一方向の端部に有する本体部であって、第二方向で蓄電素子が隣り合って配置される本体部を有する隣接部材が樹脂成形される。そして、隣接部材の本体部は、第一方向及び第二方向のそれぞれと直交する第三方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部で開口し且つ第三方向に延びる第一空洞部と、第一方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部における前記連結部に対して第三方向にずれた位置で開口し、且つ第一方向に延びる第二空洞部とを有するため、隣接部材(本体部)全体における空間の占有率が高くなる。従って、隣接部材の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置全体の重量化が抑えられる。
【0025】
また、本体部が第一空洞部及び第二空洞部を有するため、本体部において厚肉な部分が少なくなる結果、成型後における肉ヒケが抑えられる。従って、隣接部材の成型精度が高くなる。
【発明の効果】
【0026】
以上より、本実施形態によれば、重量化を抑えた上で、蓄電素子を適正に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態に係る蓄電装置の全体斜視図である。
図2図2は、前記蓄電装置の分解斜視図である。
図3図3は、前記蓄電装置に用いられる蓄電素子の全体斜視図である。
図4図4は、前記蓄電装置に用いられる第一隣接部材の第一面側から見た全体斜視図である。
図5図5は、前記蓄電装置に用いられる第一隣接部材の第二面側から見た全体斜視図である。
図6図6は、図4のVI−VI断面図である。
図7図7は、前記蓄電装置に用いられる第二隣接部材の第一面側から見た全体斜視図である。
図8図8は、前記蓄電装置に用いられる第二隣接部材の第二面側から全体斜視図である。
図9図9は、前記蓄電装置に用いられる第三隣接部材の第一面側から見た全体斜視図である。
図10図10は、前記蓄電装置に用いられる第三隣接部材の第二面側から見た全体斜視図である。
図11図11は、前記第一隣接部材を成型する際の状態図である。
図12図12は、前記蓄電装置の製造方法を説明するための斜視図である。
図13図13は、前記蓄電装置の製造方法を説明するための斜視図である。
図14図14は、前記蓄電装置の製造方法を説明するための斜視図である。
図15図15は、図14のXV−XV断面図である。
図16図16は、前記蓄電装置の製造方法を説明するための斜視図である。
図17図17は、他の実施形態に係る蓄電装置に用いられる第一隣接部材の断面図である。
図18図18は、別の実施形態に係る蓄電装置に用いられる第一隣接部材の断面図である。
図19図19は、別の実施形態に係る蓄電装置に用いられる第一隣接部材の断面図である。
図20図20は、別の実施形態に係る蓄電装置に用いられる第一隣接部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の蓄電装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0029】
蓄電装置は、図1及び図2に示すように、蓄電素子2と、蓄電素子2と隣り合う隣接部材3、4、5と、蓄電素子2及び隣接部材3、4、5を一括保持する保持部材6とを備える。保持部材6は、導電材料により成形される。これに伴い、本実施形態に係る蓄電装置1は、蓄電素子2と保持部材6との間に配置されるインシュレータ7を備える。
【0030】
蓄電装置1は、蓄電素子2を複数備える。これに伴い、蓄電装置1は、蓄電素子2同士を電気的に接続するバスバー8、9を備える。
【0031】
尚、以下の説明において、便宜上、蓄電素子2と隣接部材3、4、5とが並ぶ方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する二軸方向のうちの一方の方向をY軸方向とし、X軸方向と直交する二軸方向のうちの他方の方向(X軸方向及びY軸方向と直交する方向)をZ軸方向とする。これに伴い、各図面には、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交座標軸が図示される。
【0032】
蓄電素子2は、図2及び図3に示すように、正極及び負極を含む電極体を収容するケース20と、ケース20の外面上に配置された一対の外部端子21とを備える。
【0033】
ケース20は、直方体状に形成される。ケース20において、X軸方向における外寸は、Y軸方向における外寸よりも小さい。すなわち、ケース20は、扁平な直方体形状である。
【0034】
一対の外部端子21は、Z軸方向におけるケース20の両端面のうちの一方の端面上に配置される。一対の外部端子21は、Y軸方向に間隔をあけて配置される。一対の外部端子21のうちの一方の外部端子21は、ケース20内の電極体の正極に電気的に接続される。これに対し、一対の外部端子21のうちの他方の外部端子21は、ケース20内の電極体の負極に電気的に接続される。
【0035】
隣接部材3、4、5は、絶縁性を有する。隣接部材3、4、5は、図2に示す如く、蓄電素子2のケース20と隣り合う本体部30、40、50と、該本体部30、40、50に隣り合う蓄電素子2の位置ずれを防止する規制部31、41、51とを有する。
【0036】
隣接部材3、4、5について、より具体的に説明する。蓄電装置1は、上述のように、複数の蓄電素子2を備える。これに伴い、蓄電装置1は、三種類の隣接部材3、4、5を備える。すなわち、蓄電装置1は、隣接部材として、X軸方向の途中位置にある蓄電素子2と隣り合う第一隣接部材3と、複数の蓄電素子2のうちの最も端にある蓄電素子2に隣り合う第二隣接部材4と、第一隣接部材3と第二隣接部材4との間にある蓄電素子2と隣り合う第三隣接部材5とを備える。
【0037】
第一隣接部材3は、図4及び図5に示す如く、X軸方向の途中位置に配置された蓄電素子2と隣り合う本体部(以下、第一本体部という)30を有する。すなわち、第一隣接部材3は、X軸方向の途中位置で隣り合う二つの蓄電素子2の間に配置される第一本体部30を有する。
【0038】
第一隣接部材3は、第一本体部30に隣り合う蓄電素子2の位置ずれを防止する規制部(以下、第一規制部という)31を有する。本実施形態において、第一隣接部材3は、蓄電素子2を冷却する冷却風を通過させる通風路を隣り合う蓄電素子2との間に形成するための凸部32を有する。
【0039】
第一本体部30は、X軸方向に第一面300と該第一面300の反対側の第二面301とを有する。第一本体部30は、X軸方向から見て四角形状に形成される。すなわち、第一本体部30は、蓄電素子2のケース20におけるX軸方向に向く外面と略同形且つ略同サイズに形成される。第一本体部30は、X軸方向に厚みを有する。これに伴い、第一本体部30は、Y軸方向に第一端部302と該第一端部302の反対側の第二端部303とを有し、Z軸方向に第三端部304と第三端部304の反対側の第四端部305とを有する。
【0040】
第一本体部30は、保持部材6(後述する対向部材60)に連結される連結部(以下、第一連結部という)306をY軸方向における端部に有する。本実施形態において、第一本体部30は、図4乃至図6に示す如く、Y軸方向における両端部に第一連結部306を有する。すなわち、第一本体部30は、少なくとも一対の第一連結部306を有する。一対の第一連結部306は、Z軸方向に延びる仮想線(第一本体部30の中心線)を基準に対称的に配置される。
【0041】
本実施形態において、第一本体部30は、蓄電素子2を冷却する冷却風を送る送風ダクト(図示しない)を連結する連結部(以下、第二連結部という)307を有する。第一本体部30は、Y軸方向における両端部に第二連結部307を有する。すなわち、第一本体部30は、少なくとも一対の第二連結部307を有する。一対の第二連結部307のそれぞれは、第一連結部306に対してZ軸方向でずれた位置に配置され、Z軸方向に延びる仮想線(第一本体部30の中心線)を基準に対称的に配置される。
【0042】
本実施形態において、第一連結部306及び第二連結部307は、金属製部品であり、第一隣接部材3において、第一連結部306及び第二連結部307以外が樹脂により形成される。
【0043】
より具体的には、第一連結部306は、金属製の雌ねじ部材であり、Y軸方向にねじ孔(ねじ中心)を位置させた状態で周辺の樹脂部分(第一本体部30の樹脂部分)に埋設されている。一方の第一連結部306は、第一本体部30のY軸方向の一端部に設けられ、第一本体部30の第一端部302から僅かに突出し、他方の第一連結部306は、第一本体部30のY軸方向の他端部に設けられ、第一本体部30の第二端部303から僅かに突出している。これにより、一対の第一連結部306は、相反する方向に向けてねじ孔を開放させている。
【0044】
第二連結部307は、金属製の雌ねじ部材であり、Y軸方向にねじ孔(ねじ中心)を位置させた状態で周辺の樹脂部分に埋設されている。一方の第二連結部307は、第一本体部30のY軸方向の一端部に設けられ、第一本体部30の第一端部302から僅かに突出し、他方の第二連結部307は、第一本体部30のY軸方向の他端部に設けられ、第一本体部30の第二端部303から僅かに突出している。これにより、一対の第二連結部307は、相反する方向に向けてねじ孔を開放させている。
【0045】
本実施形態において、第一隣接部材3は、保持部材6と係合する軸部308を有する。具体的には、第一隣接部材3は、Y軸方向における第一本体部30の端部から突出した軸部308を有する。本実施形態において、第一隣接部材3は、Y軸方向における第一本体部30の両端部(第一端部302及び第二端部303のそれぞれ)から突出する軸部308を有する。一対の軸部308のそれぞれは、Y軸方向に延びる軸心を有し、互いに同心で配置されている。第一本体部30は、第一連結部306及び第二連結部307を有するため、軸部308は、第一連結部306及び第二連結部307を躱した位置に配置される。本実施形態において、軸部308は、第一連結部306と第二連結部307との間に配置されている。
【0046】
第一本体部30は、X軸方向と直交する方向の端部で開口し、且つ該X軸方向と直交する方向に延びる空洞部311,312を有する。本実施形態において、第一本体部30は、空洞部311,312として、Z軸方向における端部(第三端部304、第四端部305)で開口し、且つZ軸方向に延びる第一空洞部311と、Y軸方向における端部(第一端部302、第二端部303)の第一連結部306に対してZ軸方向にずれた位置で開口し、且つY軸方向に延びる第二空洞部312とを有する。第一本体部30は、第一空洞部311を複数有する。複数の第一空洞部311は、並列に配置される。本実施形態において、複数の第一空洞部311は、Y軸方向に並んでいる。
【0047】
第一本体部30は、Y軸方向における両端部に第一連結部306を有するため、Y軸方向における一方の端部(第一端部302)で開口する前記第二空洞部312と、Y軸方向における他方の端部(第二端部303)で開口する第二空洞部312とを有する。第一空洞部311は、貫通孔であり、第二空洞部312は、非貫通孔である。第一空洞部311と第二空洞部312とは、非連通状態である(図6参照)。
【0048】
より具体的に説明すると、本実施形態において、第一空洞部311は、Z軸方向から見て四角形状に形成される。複数の第一空洞部311のそれぞれは、Z軸方向から見て略同一形状である。複数の第一空洞部311は、第一連結部306の存在するY軸方向の両端部の間に設けられる。すなわち、複数の第一空洞部311は、第一連結部306の存在するY軸方向における端部を躱して配置されている。
【0049】
これに対し、第二空洞部312は、第一連結部306をZ軸方向で躱した位置に配置される。本実施形態において、第一本体部30は、第二連結部307、軸部308を有するため、第二空洞部312は、第一連結部306、第二連結部307及び軸部308を躱した位置に配置される。具体的には、第一連結部306、第二連結部307、及び軸部308は、Z軸方向で間隔をあけて配置される。これに伴い、第二空洞部312は、第一連結部306と第二連結部307との間、軸部308と第二連結部307との間、及び第一連結部306と軸部308との間に配置される。すなわち、第一本体部30は、第一端部302及び第二端部303のそれぞれに、並列に配置された複数の第二空洞部312を有する。本実施形態では、第一本体部30の第一端部302及び第二端部303のそれぞれにおいて、複数の第二空洞部312がZ軸方向に並んでいる。
【0050】
これにより、第一本体部30は、Y軸方向に並ぶ第一空洞部311の間にX軸方向及びZ軸方向に広がる板状のリブ313がY軸方向に間隔をあけて複数形成される。すなわち、第一本体部30は、X軸方向で間隔をあけて互いに対向する一対の隔壁部314と、一対の隔壁部314を連結するリブ313とを有し、一対の隔壁部314及びリブ313が第一空洞部311を形成している。
【0051】
また、第一本体部30は、第一連結部306を支持する実体部分と、第二連結部307を支持する実体部分と、軸部308を支持する実体部分とを有し、これらの実体部分が一対の隔壁部314に連結されることにより、一対の隔壁部314とともに第二空洞部312を形成している。
【0052】
第一規制部31は、図4及び図5に示す如く、第一本体部30の外縁に沿ってX軸方向に延出する規制片310を有する。より具体的に説明すると、第一隣接部材3は、X軸方向で隣り合う二つの蓄電素子2を規制する一対の第一規制部31を有する。一対の第一規制部31のそれぞれの規制片410は、第一本体部30からX軸方向において相反する方向に延出する。すなわち、一方の第一規制部31の規制片310は、第一本体部30の第一面300からX軸方向外方に向けて延出し、他方の第一規制部31の規制片310は、第一本体部30の第二面301からX軸方向外方に向けて延出する。
【0053】
一対の第一規制部31のそれぞれの規制片310は、少なくとも第一本体部30の四隅(四つの角部)に沿って配置される。すなわち、第一規制部31のそれぞれの規制片310は、第一本体部30の第一端部302と第三端部304との交点を含む第一角部、第一本体部30の第二端部303と第三端部304との交点を含む第二角部、第一本体部30の第一端部302と第四端部305との交点を含む第三角部、第一本体部30の第二端部303と第四端部305との交点を含む第四角部のそれぞれに沿って配置される。
【0054】
本実施形態の第一隣接部材3において、第一角部に沿った規制片310及び第二角部に沿った規制片310は、それぞれ独立し、第三角部に沿った規制片310及び第四角部に沿った規制片310は、第四端部305に沿った規制片310を介して連続している。
【0055】
これにより、第一規制部31の規制片310は、隣り合う蓄電素子2のケース20の周囲に配置され、蓄電素子2のY軸方向の移動及びZ軸方向の移動を規制する。
【0056】
第一隣接部材3において、凸部32は、X軸方向における第一本体部30の両面に設けられる。すなわち、第一隣接部材3は、第一本体部30の第一面300から突出する凸部32と、第一本体部30の第二面301から突出する凸部32とを有する。本実施形態において、第一隣接部材3は、第一本体部30の第一面300上及び第二面301上のそれぞれにおいて、凸部32を複数有する。
【0057】
複数の凸部32のそれぞれは、Y軸方向に延び、Z軸方向に間隔をあけて配置される。共通する面(第一面300、又は第二面301)上にある複数の凸部32の高さは、同一の高さに設定される。すなわち、複数の凸部32は、第一隣接部材3に隣り合う蓄電素子2のケース20のX軸方向に向く平面状の外面に対して均等に当接する高さに設定される。これにより、共通する面(第一面300、又は第二面301)上にある複数の凸部32は、隣り合う凸部32との間に通風路を形成する。
【0058】
第二隣接部材4は、図7及び図8に示す如く、X軸方向で最も端にある蓄電素子2と隣り合う本体部(以下、第二本体部という)40を有する。
【0059】
第二隣接部材4は、第二本体部40に隣り合う蓄電素子2の位置ずれを防止する規制部(以下、第二規制部という)41を有する。本実施形態において、第二隣接部材4は、蓄電素子2を冷却する冷却風を通過させる通風路を隣り合う蓄電素子2との間に形成するための凸部42を有する。
【0060】
第二本体部40は、X軸方向に第一面400と該第一面400の反対側の第二面401とを有する。第二本体部40は、X軸方向から見て四角形状に形成される。すなわち、第二本体部40は、蓄電素子2のケース20におけるX軸方向に向く面と略同形且つ略同サイズに形成される。
【0061】
本実施形態において、第二隣接部材4は、保持部材6に対して位置決めするための位置決部402を有する。具体的には、第二隣接部材4は、X軸方向で隣り合う保持部材6(後述する終端部材61)と係合可能な位置決部402であって、第二本体部40の第二面401からX軸方向に突出した位置決部402を有する(図8参照)。
【0062】
第二規制部41は、図7に示す如く、第二本体部40の外縁に沿ってX軸方向に延出する規制片410を有する。第二規制部41の規制片410は、第二本体部40の第一面400からX軸方向外方に向けて延出する。第二規制部41の規制片410は、少なくとも第二本体部40の四隅(四つの角部)に沿って配置される。これにより、第二規制部41の規制片410は、隣り合う蓄電素子2のケース20の周囲に配置され、蓄電素子2のY軸方向の移動及びZ軸方向の移動を規制する。
【0063】
第二隣接部材4において、凸部42は、X軸方向における第二本体部40の第一面400に設けられる。本実施形態において、第二隣接部材4は、第二本体部40の第一面400上に凸部42を複数有する。複数の凸部42のそれぞれは、Y軸方向に延び、Z軸方向に間隔をあけて配置される。共通する面(第一面400)上にある複数の凸部42の高さは、同一の高さに設定される。すなわち、複数の凸部42は、第二隣接部材4に隣り合う蓄電素子2のケース20のX軸方向に向く平面状の外面に対して均等に当接する高さに設定される。これにより、共通する面(第一面400)上にある複数の凸部42のそれぞれは、隣り合う凸部42との間に通風路を形成する。
【0064】
第三隣接部材5は、図9及び図10に示す如く、第一隣接部材3と第二隣接部材4との間にある蓄電素子2と隣り合う本体部(以下、第三本体部という)50を有する。すなわち、第三隣接部材5は、第一隣接部材3と第二隣接部材4との間で隣り合う二つの蓄電素子2の間に配置される第三本体部50を有する。第三隣接部材5は、第三本体部50に隣り合う蓄電素子2の位置ずれを防止する規制部(以下、第三規制部という)51を有する。
【0065】
第三本体部50は、X軸方向に第一面500と該第一面500の反対側の第二面501とを有する。第三本体部50は、X軸方向から見て四角形状に形成される。すなわち、第三本体部50は、蓄電素子2のケース20におけるX軸方向に向く面と略同形且つ略同サイズに形成される。第三本体部50のY軸方向から見た断面形状は、矩形波形状である。
【0066】
具体的には、第三本体部50は、Z軸方向に間隔をあけて配置される複数の第一当接部502であって、X軸方向の一方側で隣り合う蓄電素子2のケース20と当接する複数の第一当接部502と、複数の第一当接部502の間に位置し、且つ第一当接部502に対してX軸方向に変位した複数の第二当接部503であって、X軸方向の他方側で隣り合う蓄電素子2のケース20と当接する複数の第二当接部503と、第一当接部502及び第二当接部503のZ方向において対応する端部同士を接続する複数の接続部504とを有する。これにより、第三本体部50は、蓄電素子2を冷却する冷却風を通過させる通風路をZ軸方向において間隔をあけて配置される接続部504間(一方側で隣り合う蓄電素子2のケース20と第二当接部503との間、及び他方側で隣り合う蓄電素子2のケース20と第一当接部502との間)に形成する。
【0067】
第三規制部51は、第三本体部50の外縁に沿ってX軸方向に延出する規制片510を有する。より具体的に説明すると、第三隣接部材5は、X軸方向で隣り合う二つの蓄電素子2を規制する一対の第三規制部51を有する。
【0068】
一対の第三規制部51のそれぞれの規制片510は、第三本体部50からX軸方向において相反する方向に延出する。すなわち、一方の第三規制部51の規制片510は、第三本体部50の第一面500からX軸方向外方に向けて延出し、他方の第三規制部51の規制片510は、第三本体部50の第二面501からX軸方向外方に向けて延出する。第三規制部51の規制片510は、少なくとも第三本体部50の四隅(四つの角部)に沿って配置される。これにより、第三規制部51の規制片510は、隣り合う蓄電素子2のケース20の周囲に配置され、蓄電素子2のY軸方向の移動及びZ軸方向の移動を規制する。
【0069】
本実施形態において、第三隣接部材5は、蓄電素子2を挟んで隣り合う別の第三隣接部材5と接触状態又は非接触状態で嵌合する。すなわち、第三隣接部材5における第三規制部51(規制片510)は、蓄電素子2を挟んで隣り合う別の第三隣接部材5の第三規制部51(規制片510)と接触状態又は非接触状態で嵌合する。
【0070】
蓄電素子2を挟んで第一隣接部材3と隣り合う第三隣接部材5は、該第一隣接部材3と接触状態又は非接触状態で嵌合する。すなわち、蓄電素子2を挟んで第一隣接部材3と隣り合う第三隣接部材5の第三規制部51(規制片510)は、第一隣接部材3の第一規制部31(規制片310)と接触状態又は非接触状態で嵌合する。
【0071】
蓄電素子2を挟んで第二隣接部材4と隣り合う第三隣接部材5は、該第二隣接部材4と接触状態又は非接触状態で嵌合する。すなわち、蓄電素子2を挟んで第二隣接部材4と隣り合う第三隣接部材5の第三規制部51(規制片510)は、第二隣接部材4の第二規制部41(規制片410)と接触状態又は非接触状態で嵌合する。
【0072】
図2に戻り、保持部材6は、Y軸方向において複数の蓄電素子2と対向する対向部材60と、対向部材60に連結され、第一隣接部材3とともに蓄電素子2を挟み込む終端部材61とを備える。
【0073】
より具体的には、保持部材6は、Y軸方向において複数の蓄電素子2を挟んで配置される一対の対向部材60であって、それぞれがX軸方向に延びる一対の対向部材60と、各第二隣接部材4に対してX軸方向外方側から重ね合わされる一対の終端部材61であって、それぞれが一対の対向部材60に連結される一対の終端部材61とを備える。
【0074】
一対の対向部材60のそれぞれは、それぞれがX軸方向に延びる一対の梁部600であって、Z軸方向に間隔をあけて配置される一対の梁部600と、X軸方向における途中位置で一対の梁部600同士を接続した第一接続部601であって、第一隣接部材3を支持する第一接続部601と、一対の梁部600の端部同士を接続した一対の第二接続部602であって、それぞれに終端部材61が連結される一対の第二接続部602とを備える。本実施形態において、対向部材60は、第一接続部601と第二接続部602との間で一対の梁部600同士を接続した第三接続部603を備える。
【0075】
一対の梁部600のそれぞれは、X軸方向に整列した複数の蓄電素子2のケース20の角部に沿って配置される。これに伴い、一対の梁部600のそれぞれは、ケース20の角部に即して断面屈曲形状に形成される。具体的には、一対の梁部600のそれぞれは、Z軸方向に第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有し、且つX軸方向の延びる帯状の第一片604と、Y軸方向に第一片604の第一端に接続された第一端と該第一端とは反対側の第二端とを有し、且つX軸方向の延びる帯状の第二片605とを有する。梁部600の第一片604は、蓄電素子2のY軸方向に向いたケース20の外面と対向し、梁部600の第二片605は、蓄電素子2のZ軸方向に向いたケース20の外面と対向する。
【0076】
第一接続部601は、Z軸方向に延びている。第一接続部601は、第一隣接部材3の第一連結部306、第二連結部307、及び軸部308と対応する位置に貫通孔606、607、608を有する。すなわち、第一接続部601は、第一連結部306と対応する第一貫通孔606、第二連結部307に対応する第二貫通孔607、軸部308と対応する第三貫通孔608を有する。第一貫通孔606は、第一連結部306に螺合される雄ねじ部材110を挿通可能に形成され、第二貫通孔607は、第二連結部307に螺合される雄ねじ部材(図示しない)を挿通可能に形成される。軸部308と対応する第三貫通孔608は、軸部308を挿入可能で、且つ挿入された軸部308の外周面が当該第三貫通孔608を画定する内周面と係合するように形成される。本実施形態において、第三貫通孔608は、Z軸方向に延びる長孔であり、挿入された軸部308の移動及び回転を許容する。
【0077】
第二接続部602は、一対の梁部600の第一片604に接続された接続片609と、該接続片609からY軸方向に延出した固定片610であって、終端部材61に固定される固定片610とを有する。固定片610は、第二隣接部材4に重ね合わされた終端部材61を外方から覆う。これに伴い、固定片610は、終端部材61を連結(固定)するための雄ねじ部材115を挿通させる貫通孔611を有する。
【0078】
本実施形態において、対向部材60は、梁部600、第一接続部601、第二接続部602、及び第三接続部603により、枠状に形成される。すなわち、対向部材60は、Y軸方向に冷却風を通過させる通風用の開口613を画定する。
【0079】
一対の終端部材61のそれぞれは、X軸方向から見て第二隣接部材4の第二本体部40と略同形且つ略同サイズに形成される。終端部材61は、対向部材60の第二接続部602の固定片610に対して面接触するように形成される。これに伴い、終端部材61は、固定片610の貫通孔611と対応した位置に雄ねじ部材115を螺合させるねじ孔612を有する。なお、本実施形態に係る蓄電装置1を電源とする自動車等の機器に固定するために、終端部材61は、機器に対して固定するための固定部材(ここでは、雄ねじ部材)620を有する。
【0080】
保持部材6は、導電性を有する材料(一般的には金属)で構成される。これに伴い、インシュレータ7は、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子2と保持部材6との電気絶縁を達成する。すなわち、インシュレータ7は、対向部材60の少なくとも複数の蓄電素子2と対向する領域を被覆する。本実施形態において、インシュレータ7は、一対の梁部600、第一接続部601、第二接続部602、及び第三接続部603における蓄電素子2側に向く面に加え、一対の梁部600のうちのX軸方向に延出する第二片605全体を覆う。
【0081】
バスバー8、9は、X軸方向で隣り合う二つの蓄電素子2の外部端子21に跨って配置される。本実施形態において、バスバー8、9は、外部端子21に対して溶接により機械的且つ電気的に接続される。本実施形態において、蓄電装置1は、第一隣接部材3を備えるため、該第一隣接部材3が複数の蓄電素子2を二つのブロックに区画している。これに伴い、蓄電装置1は、バスバーとして、同一ブロック内にある蓄電素子2同士を接続する第一バスバー8と、第一隣接部材3を挟んで隣り合う蓄電素子2であって、二つブロックの蓄電素子2を接続する第二バスバー9とを備える。
【0082】
第一バスバー8、及び第二バスバー9のそれぞれは、接続の対象となる蓄電素子2の外部端子21に対し、溶接によって機械的且つ電気的に接続される。複数の蓄電素子2の外部端子21は、Z軸方向において同一レベルにある。従って、同一ブロック内にある蓄電素子2を接続する第一バスバー8は、プレート状に形成される。第二バスバー9は、第一隣接部材3を跨ぐため、中央部が両端部よりも隆起した形状に形成される。
【0083】
本実施形態の蓄電装置1は、以上の通りである。本実施形態において、第一隣接部材3、第二隣接部材4、第三隣接部材5のそれぞれは、複数の金型を型締めして形成した成型空間内に樹脂を流し込むことで成型される。
【0084】
第一隣接部材3においては、第一連結部306、及び第二連結部307が金属製の雌ねじ部材で構成されるため、図11に示す如く、複数の金型150を型締めして形成した成型空間S内に第一連結部306、及び第二連結部307となる雌ねじ部材を配置した上で、該成型空間S内に樹脂Rが流し込まれることによって成型される。
【0085】
すなわち、第一隣接部材3は、樹脂成形に併せて金属製部品306、307を入れ込む、いわゆるインサート成型により成型される。
【0086】
第一隣接部材3において、第一本体部30がX軸方向に厚みを有するため、通常であれば、樹脂成形すると肉ヒケが生じる。すなわち、成型後の温度変化により、部分的に厚みが薄くなり、成型精度が悪くなる。
【0087】
しかし、本実施形態に係る第一隣接部材3は、第一空洞部311及び第二空洞部312を有する結果、全体的に薄肉となるため、成型後における肉ヒケが生じることがない。特に、第一連結部306が対称位置にある場合、Y軸方向の延びる空洞部を設けると、一対の第一連結部306間が厚肉となる結果、その部分に肉ヒケが生じることになるが、上記実施形態においては、二方向に延びる第一空洞部311及び第二空洞部312を設けている結果、厚肉部分が雌ねじ部材を支持する部分だけになり、肉ヒケが防止される。
【0088】
次に、蓄電装置1の製造方法について説明する。まず、図12に示す如く、第一隣接部材3の第一空洞部311に治具100を挿入し、該治具100に第一隣接部材3を保持させる。そして、治具100を定位置に維持させることで、第一隣接部材3が対向部材60と連結でき且つ蓄電素子2を第一本体部30に沿わせることのできる姿勢で維持する。この状態で、蓄電素子2が第一隣接部材3に対してX軸方向で隣り合わされる。本実施形態において、第一隣接部材3によってX軸方向で区画された二つの領域のそれぞれに蓄電素子2が配置され、各蓄電素子2が第一隣接部材3に対して隣り合わせに配置される。
【0089】
そして、X軸方向で区画された二つの領域のそれぞれにおいて、蓄電素子2と第三隣接部材5とがX軸方向で交互に配置され、さらに最も端にある蓄電素子2のケース20に第二隣接部材4が重ね合わされるとともに第二隣接部材4に終端部材61が重ね合わされる。
【0090】
ここでは、第一隣接部材3に蓄電素子2を隣り合わせに配置した後に、蓄電素子2及び第三隣接部材5が順々に重ね合わされ、さらに第二隣接部材4及び終端部材61が重ね合わされるが、蓄電素子2と第三隣接部材5とが交互に重ね合わせるとともに第二隣接部材4及び終端部材61が重ね合わされて単一のブロックにした上で、蓄電素子2が第一隣接部材3と隣り合わせになるようにブロックを配置してもよい。
【0091】
そして、上述の如く、治具100によって第一隣接部材3が保持部材6の対向部材60に連結できる姿勢で維持しているため、Y軸方向で第一隣接部材3と隣り合って配置された対向部材60の第一接続部601の第一貫通孔606と第一連結部306とが同心となる。
【0092】
本実施形態において、第一隣接部材3は、軸部308を有するため、上述の如く、第一隣接部材3の軸部308と対向部材60の第三貫通孔608とも同心となる。これに伴い、本実施形態においては、図13に示す如く、第一連結部306に雄ねじ部材110を螺合させる前段階として、軸部308が第三貫通孔(長孔)608に挿入される。
【0093】
そして、図14及び図15に示す如く、雄ねじ部材110が、第一接続部601の第一貫通孔606に挿通され、第一連結部306に螺合される。本実施形態において、この状態で雄ねじ部材110を完全に締め付けることなく、第一隣接部材3は、対向部材60に仮止めされる。
【0094】
本実施形態において、保持部材6は、一対の対向部材60を有するため、第一隣接部材3の第一本体部30のY軸方向における一端部にある第一連結部306に対して一方の対向部材60が仮止めされ、第一隣接部材3の第一本体部30のY軸方向における他端部にある第一連結部306に対して他方の対向部材60が仮止めされる。なお、インシュレータ7は、第一隣接部材3に対向部材60を固定(仮止め)する前に、予め対向部材60に装着される。
【0095】
このように、第一隣接部材3が対向部材60に対して仮止めされると、図14に示す如く、終端部材61に対して対向部材60の第二接続部602の固定片610が外方から重なった状態になる。
【0096】
この状態において、終端部材61と対向部材60とが連結される。すなわち、雄ねじ部材115が固定片610の貫通孔611に挿通され、終端部材61のねじ孔612に螺合される。これにより、複数の蓄電素子2は、第一隣接部材3によって位置決めされた状態で、終端部材61によって第一隣接部材3に向けて加圧される。すなわち、第一隣接部材3は、蓄電素子2を位置決めする位置決部材として機能する。
【0097】
第一隣接部材3は、対向部材60に対して仮止め状態であるため、対向部材60の第一貫通孔606に遊挿された軸部308を基準(支点)にして加圧状態に応じて姿勢変更或いは位置変更する。これにより、蓄電素子2、第二隣接部材4、第三隣接部材5、終端部材61に対してX軸方向に向けての加圧が均一に作用した状態になる。このように、蓄電素子2、第二隣接部材4、第三隣接部材5、終端部材61が加圧状態にされると、第一隣接部材3の第一連結部306に螺合された雄ねじ部材110が締め付けられ、第一隣接部材3が対向部材60(保持部材6)に対して強固に固定される。
【0098】
その後、図16に示す如く、隣り合う二つの蓄電素子2の外部端子21に跨るようにバスバー8、9(第一バスバー8、第二バスバー9)が配置され、該外部端子21に対してバスバー8、9が溶接される。これにより、複数の蓄電素子2が電気的に接続された蓄電装置1が完成する(図1参照)。なお、送風ダクトは、蓄電装置1が対象となる機器(例えば、自動車)に搭載されるに併せ、蓄電装置1に接続される。このとき、送風ダクトに挿通された雄ねじ部材が対向部材60の第二貫通孔607に挿通され、蓄電装置1(第一隣接部材3の第二連結部307に螺合される。従って、送風ダクトを連結する雄ねじ部材は、第一連結部306に螺合された雄ねじ部材110と同様に、第一隣接部材3を対向部材60に連結する機能も発揮する。
【0099】
以上のように、蓄電装置1は、蓄電素子2と、Y軸方向(第一方向)において蓄電素子2と対向する対向部材60と、Y軸方向と直交するX軸方向(第二方向)において蓄電素子2と隣り合い、且つ対向部材60に対して部分的に連結された第一連結部(連結部)306をY軸方向における端部に有する第一本体部(本体部)30を含む第一隣接部材を備え、該第一隣接部材3の第一本体部30は、X軸方向(第二方向)と直交する方向における端部で開口し、且つX軸方向(第二方向)と直交する方向に延びる空洞部311,312を有する。
【0100】
上記構成の蓄電装置1によれば、蓄電素子2が対向部材60に連結された第一隣接部材3の第一本体部30に隣り合って配置されるため、蓄電素子2は、第一隣接部材3を基準にして位置決めされる。第一隣接部材3の第一本体部30は、X軸方向と直交する方向における端部で開口し、且つX軸方向と直交する方向に延びる空洞部311,312を有するため、第一隣接部材3全体における空間の占有率が高められる。従って、第一隣接部材3の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置1全体の重量化が抑えられる。また、第一本体部30が空洞部311,312を有することで、第一隣接部材3(第一本体30)内に空間(空気層)ができ、隣り合う二つの蓄電素子2の間で断熱効果が得られる。
【0101】
第一本体部30は、空洞部311,312を複数有し、該複数の空洞部311,312は、並列に配置されているため、複数の空洞部311,312が第一隣接部材3内における空間の占有率を高める。また、独立した複数の空洞部311,312が並列に配置されることで、隣り合う第一空洞部311の間に実体のある部分(リブ313)が存在するため、第一隣接部材3(第一本体部30)のX軸方向における剛性(蓄電素子2を挟み込む力に対抗し得る剛性)が確保される。
【0102】
本実施形態において、第一本体部30は、空洞部311,312として、Y軸方向(第一方向)及びX軸方向(第二方向)と直交するZ軸方向(第三方向)における端部で開口し、且つZ軸方向(第三方向)に延びる第一空洞部311と、Y軸方向(第一方向)における端部の第一連結部(連結部)306をに対してZ軸方向(第三方向)にずれた位置で開口し、且つY軸方向(第一方向)に延びる第二空洞部312と、を有するため、第一空洞部311に加え、第一連結部(連結部)306の存在でZ軸方向(第三方向)に延びる第一空洞部311の形成することのできない領域に、Y軸方向(第一方向)に延びる第二空洞部312が形成される。これにより、第一隣接部材3(第一本体部30)における空間の占有率が高められる。従って、第一隣接部材3(第一本体部30)の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置1全体の重量化が抑えられる。
【0103】
本実施形態において、対向部材60は、Y軸方向において蓄電素子2の両側に配置され、第一本体部30は、Y軸方向における両端部に第一連結部306を有するとともに、Y軸方向における一方の端部で開口する第二空洞部312と、Y軸方向における他方の端部で開口する第二空洞部312とを有しているため、Y軸方向における第一隣接部材3の両端部に設けられた第一連結部306のそれぞれが対応する対向部材60に連結される。これにより、第一隣接部材3は、強固に固定され、蓄電素子2を確実に位置決めする。
【0104】
また、第一隣接部材3の第一本体部30は、Y軸方向における一方の端部で開口する第二空洞部312と、Y軸方向における他方の端部で開口する第二空洞部312とを有するため、Y軸方向における第一隣接部材3の両端部に第一連結部306が設けられても、空間の占有率が高められる。すなわち、第一連結部306の存在でZ軸方向に延びる第一空洞部311の形成することのできないY軸方向の両端部のそれぞれに、Y軸方向に延びる第二空洞部312が形成されるため、第一隣接部材3全体における空間の占有率がより高められる。
【0105】
本実施形態において、第一空洞部311は、貫通孔であり、第二空洞部312は、非貫通孔であり、第一空洞部311と第二空洞部312とは、非連通状態であるため、Y軸方向における第一空洞部311の両側及びZ軸方向における第二空洞部312の両側に実体のあるリブ状の部分が形成される。従って、第一隣接部材3のY軸方向の強度(圧縮強度)が確保される。
【0106】
本実施形態において、蓄電装置1は、第一本体部30と該第一本体部30に隣り合う蓄電素子2との間に冷却風(流体)を流通させる通風路(通路)を備え、第二空洞部312が、通風路(通路)における冷却風(流体)の流通方向と対応する方向に延びる非貫通孔であるため、蓄電素子2を冷却する冷却風が第一隣接部材3の第一本体部30内を通過することが阻止される。これにより、送り込まれる冷却風が蓄電素子2に沿って形成される通風路に無駄なく送り込まれる。
【0107】
そして、上記構成の蓄電装置1の製造方法は、Y軸方向における両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に第一連結部306を有し、且つY軸方向と直交するX軸方向に厚みを有する第一本体部30を含む第一隣接部材3であって、第一本体部30が、X軸方向と直交する方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部で開口し且つX軸方向と直交する方向に延びる空洞部311,312を有する第一隣接部材3の第一連結部306を、X軸方向に延びる対向部材60のX軸方向の途中位置に連結すること、X軸方向における第一隣接部材3の第一本体部30を境にした二つの領域のうちの少なくとも何れか一方の領域に少なくとも一つの蓄電素子2を配置し、該蓄電素子2を第一隣接部材3の第一本体部30に沿わせることを含む。
【0108】
上記製造方法によれば、第一隣接部材3における第一本体部30の第一連結部306が対向部材60に連結されるため、第一隣接部材3が対向部材60に対して一定の位置に固定される。そして、第一隣接部材3の第一本体部30を境にした二つの領域のうちの少なくとも何れか一方の領域に蓄電素子2が配置された上で第一隣接部材3に沿わされることで、蓄電素子2が第一隣接部材3を基準に配置される。従って、対向部材60に固定された第一隣接部材3の第一本体部30に蓄電素子2が沿わされることにより、蓄電素子2が位置決めされる。そして、第一隣接部材3の第一本体部30は、X軸方向と直交する方向における端部で開口し、且つX軸方向と直交する方向に延びる空洞部311,312を有するため、第一隣接部材3全体における空間の占有率が高められる。従って、第一隣接部材3の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置1全体の重量化が抑えられる。
【0109】
特に、第一隣接部材3の空洞部(第一空洞部)311に治具100を挿入し、該治具100を定位置に維持させることで、第一隣接部材3の姿勢を対向部材60に対して連結する姿勢及び蓄電素子2を第一本体部30に沿わせる姿勢の少なくとも何れか一方の姿勢に維持させることを更に含むため、第一本体部30におけるY軸方向及びZ軸方向のそれぞれの周囲に治具100等が存在せず、第一隣接部材3と対向部材60とを連結する作業や、蓄電素子2を第一隣接部材3の第一本体部30に沿わせる作業を円滑に行うことができる。
【0110】
さらに、上記構成の蓄電装置1用の第一隣接部材3の製造方法は、複数の金型150を型締めして形成した成型空間内に樹脂を流し込むことで、Y軸方向における両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に、Y軸方向で隣り合って配置される対向部材60に連結される第一連結部306を有する第一本体部30であって、Y軸方向と直交するX軸方向に厚みを有し、該X軸方向で蓄電素子2が隣り合って配置される第一本体部30を有し、第一本体部30が、Y軸方向及びX軸方向のそれぞれと直交するZ軸方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部で開口し且つZ軸方向に延びる第一空洞部311と、Y軸方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部における第一連結部306に対してZ軸方向にずれた位置で開口し、且つY軸方向に延びる第二空洞部312とを有する第一隣接部材3を成形する。
【0111】
このようにすれば、対向部材60に連結される第一連結部306をY軸方向の端部に有する第一本体部30であって、X軸方向で蓄電素子2が隣り合って配置される第一本体部30を有する第一隣接部材3が樹脂成形される。そして、第一隣接部材3の第一本体部30は、Y軸方向及びX軸方向のそれぞれと直交するZ軸方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部で開口し且つZ軸方向に延びる第一空洞部311と、Y軸方向の両端部のうちの少なくとも何れか一方の端部における第一連結部306に対してZ軸方向にずれた位置で開口し、且つY軸方向に延びる第二空洞部312とを有するため、全体における空間の占有率の高いものとなる。従って、第一隣接部材3の重量化が抑えられ、その結果として、蓄電装置1全体の重量化が抑えられる。また、第一本体部30が第一空洞部311及び第二空洞部312を有するため、第一本体部30において厚肉な部分が少なくなる結果、成型後における肉ヒケが抑えられる。従って、第一隣接部材3の成型精度が高くなる。
【0112】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0113】
上記実施形態において、第一隣接部材3の第一本体部30の第一空洞部311が貫通孔とされ、第二空洞部312が非貫通孔とされたが、これに限定されない。例えば、図17に示す如く、第一空洞部311が非貫通孔とされ、第二空洞部312が貫通孔とされてもよい。また、図18に示す如く、第一空洞部311及び第二空洞部312のそれぞれが、貫通孔とされてもよい。さらに、図19に示す如く、第一空洞部311及び第二空洞部312のそれぞれが、非貫通孔とされてもよい。
【0114】
上記実施形態において、第一隣接部材3の第一本体部30の第一空洞部311と第二空洞部312とが非連通状態とされたが、これに限定されない。例えば、図17及び図18に示す如く、第一空洞部311と第二空洞部312とが連通してもよい。
【0115】
上記実施形態において、第一隣接部材3に対し、対向部材60と連結する連結部として、対向部材60に対して連結されることのみを目的とした第一連結部306と、送風ダクトを連結するのに併せて対向部材60に対して連結されることになる第二連結部307とが設けられたが、これに限定されない。例えば、第一隣接部材3は、対向部材60に対して連結されることのみを目的とした第一連結部306のみを有してもよいし、送風ダクトを連結するのに併せて対向部材60に対して連結されることになる第二連結部307のみを有してもよい。
【0116】
上記実施形態において、保持部材6が一対の対向部材60を備え、これに伴って、第一隣接部材3における第一本体部30の両端部に連結部(第一連結部306、第二連結部307)が設けられたが、例えば、保持部材6が単一の対向部材60を備える場合には、第一隣接部材3における第一本体部30の何れか一方の端部(対向部材60と対向する端部)に連結部306、307が設けられればよい。
【0117】
上記実施形態において、第一隣接部材3の第一本体部30に対して対をなして設けられた連結部306(307)(第一連結部306(第二連結部307))が対称位置に配置されたが、これに限定されない。例えば、図20に示す如く、対をなす連結部306(307)は、非対称で配置されてもよい。すなわち、対をなす連結部306(307)が、Z軸方向で異なる位置に配置されてもよい。この場合、Y軸方向において連結部306(307)とは反対側で開放した非貫通孔の第二空洞部312を各連結部306(307)と対応する位置に形成するとともに、該第二空洞部312に対して連通状態又は非連通状態の第一空洞部311を形成してもよい。なお、Y軸方向の一端部に設けられる連結部306(307)と、他端部に設けられる連結部306(307)とが、Z軸方向において間隔をあけて配置される場合には、上記非貫通孔の第二空洞部312に加え、両連結部306(307)の間に貫通した第二空洞部312を形成してもよい。
【0118】
上記実施形態において、第一空洞部311及び第二空洞部312のそれぞれが、複数形成されたが、これに限定されない。例えば、第一空洞部311が単一に形成されてもよいし(図20参照)、第二空洞部312が単一に形成されてもよい。また、上記実施形態において、第一本体部30が空洞部311,312としてZ軸方向に延びる第一空洞部311とY軸方向に延びる第二空洞部312とを備えたが、これに限定されない。例えば、第一本体部30は、Z軸方向に延びる第一空洞部311又はY軸方向に延びる第二空洞部312の何れか一方を備えていてもよい。また、第一本体部30は、Z軸方向とY軸方向との合成方向の端部に開口を有し、且つ該合成方向に延びる空洞部を有していてもよい。すなわち、第一本体部30は、X軸方向(第二方向)と直交する方向の端部で開口し、且つX軸方向(第二方向)と直交する方向に延びる空洞部を少なくとも一つ備えていればよい。
【0119】
上記実施形態において、第一隣接部材3が通風路を形成するための凸部32を有したが、これに限定されない。凸部32は、通風路の要否に応じて設けられればよい。
【0120】
上記実施形態において、第一隣接部材3が軸部308を有したが、これに限定されない。軸部308は必要に応じて設けられればよい。
【0121】
上記実施形態において、連結部306、307が金属製の雌ねじ部材で構成され、これに伴い、第一隣接部材3がインサート成型されたが、これに限定されない。例えば、連結部306、307は、他の部分と同様に樹脂成形されてもよい。但し、連結部306、307は、対向部材60と連結されるため、強度(剛性)が担保されることは勿論である。また、上記実施形態において、樹脂成形により第一隣接部材3(第一本体部30)の成形に併せて第一空洞部311及び第二空洞部312が形成されたが、これに限定されない。例えば、中実の第一隣接部材3(第一本体部30)を成形した後に、切削加工により第一本体部30に第一空洞部311及び第二空洞部312が形成されてもよい。
【0122】
上記実施形態において、第一隣接部材3の第一本体部30を境にしたX軸方向の二つの領域のそれぞれに蓄電素子2が配置され、該第一隣接部材3が二つの領域にある蓄電素子2を位置決めしたが、これに限定されない。例えば、第一隣接部材3の第一本体部30を境にしたX軸方向の二つの領域のうちの何れか一方の領域に蓄電素子2が配置され、該第一隣接部材3が一方の領域に配置された蓄電素子2を位置決めしてもよい。より具体的には、X軸方向に間隔をあけて二つの第一隣接部材3が配置され、一方の第一隣接部材3がX軸方向の一方側の領域に配置された蓄電素子2を位置決めし、他方の第一隣接部材3がX軸方向の他方側の領域に配置された蓄電素子2を位置決めしてもよい。なお、この場合においても、各第一隣接部材3が対向部材60に固定(連結)されることは勿論である。
【0123】
上記実施形態において、隣接部材3、4、5の本体部30、40、50は、蓄電素子2のケース20におけるX軸方向に向く外面に対応して四角形状に形成されたが、これに限定されない。隣接部材3、4、5の本体部30、40、50は、隣り合う蓄電素子2の縁面距離を確保できれば、本体部30、40、50のX軸方向に向く外面の形状を種々形状に変更してもよい。
【0124】
上記実施形態において、第二隣接部材4の第二本体部40は、断面矩形波形状に形成されたが、これに限定されない。例えば、第二本体部40は、平板状に形成されてもよい。この場合において、上記実施形態のように通風路を形成する場合には、第二隣接部材4は、平板状の第二本体部40から突出する凸部(凸条)を有すればよい。
【0125】
上記実施形態において、隣接部材3、4、5が規制部31、41、51を備えたが、これに限定されない。規制部31、41、51は、必要に応じて設けられればよい。また、上記実施形態において、規制部31、41、51が本体部30、40、50の四隅(四つの角部)に沿った規制片310、410、510を備えたが、これに限定されない。規制部31、41、51は、蓄電素子2のケース20を拘束できる位置に設けられればよい。
【符号の説明】
【0126】
1…蓄電装置、2…蓄電素子、3…第一隣接部材(隣接部材)、4…第二隣接部材(隣接部材)、5…第三隣接部材(隣接部材)、6…保持部材、7…インシュレータ、8…第一バスバー(バスバー)、9…第二バスバー(バスバー)、20…ケース、21…外部端子、30…第一本体部(本体部)、31…第一規制部(規制部)、32…凸部、40…第二本体部(本体部)、41…第二規制部(規制部)、42…凸部、50…第三本体部(本体部)、51…第三規制部(規制部)、60…対向部材、61…終端部材、100…治具、110、115…雄ねじ部材、150…金型、300…第一面、301…第二面、302…第一端面、303…第二端面、304…第三端面、305…第四端面、306…第一連結部(連結部)、307…第二連結部(連結部)、308…軸部、310…規制片、311…第一空洞部、312…第二空洞部、313…リブ、314…隔壁部、400…第一面、401…第二面、402…位置決部、410…規制片、500…第一面、501…第二面、502…第一当接部、503…第二当接部、504…接続部、510…規制片、600…梁部、601…第一接続部、602…第二接続部、603…第三接続部、604…第一片、605…第二片、606…第一貫通孔(貫通孔)、607…第二貫通孔(貫通孔)、608…第三貫通孔(貫通孔)、609…接続片、610…固定片、611…貫通孔、612…ねじ孔、613…開口、620…固定部材(雄ねじ部材)、R…樹脂、S…成型空間
図1
図2
図3
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図6
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図11
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