(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記方法でアルコール飲料等の飲料の改質を行うにあたり、電解槽内に配される電極としては、一般に金属板が用いられる。
ここで、電解処理用の電極は、使用に伴って物理的・化学的劣化が起こるため、交換の必要が生じる。しかしながら、金属板よりなる電極の場合、コストが高く、また、重量が大きくて取扱性も良くないので、交換の頻度を高くするのが困難であり、長期間使用することによって衛生面に好ましくない影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
この発明の目的は、電解処理によってアルコール飲料等の飲料を改質する際に用いられる電極材として、安価であって、取扱性に優れており、交換頻度を高めて衛生的に使用することができるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)導電性金属箔層と、導電性金属箔層の片面に積層された絶縁性樹脂層とを備えている積層シートよりなり、絶縁性樹脂層に、導電性金属箔層の片面を部分的に露出させて飲料と接触させるための除去部が設けられている、飲料改質用電極材。
【0009】
2)絶縁性樹脂層が積層される導電性金属箔層の片面に、耐食性下地皮膜が形成されている、上記1)の飲料改質用電極材。
【0010】
3)積層シートが、さらに導電性金属箔層の他面に積層された保護樹脂層を備えている、上記1)または2)の飲料改質用電極材。
【0011】
4)導電性金属箔層が、アルミニウム箔よりなる、上記1)〜3)のいずれか1つの飲料改質用電極材。
【0012】
5)除去部が、絶縁性樹脂層に所定パターンであけられた複数の穴よりなる、上記1)〜4)のいずれか1つの飲料改質用電極材。
【0013】
6)全体として筒状体または袋状体となるようにかつ絶縁性樹脂層が筒状体または袋状体の内面を構成するように互いの縁部どうしが絶縁接合されている上記1)〜5)のいずれか1つの複数の飲料改質用電極材よりなり、総数よりも少ない1つ以上の飲料改質用電極材が陽極となされ、残りのうち少なくとも1つの飲料改質用電極材が陰極となされている、飲料改質用電極ユニット。
【0014】
7)各飲料改質用電極材の絶縁性樹脂層が絶縁性熱可塑性樹脂よりなり、複数の飲料改質用電極材の互いの縁部どうしの絶縁接合が、両縁部の絶縁性樹脂層どうしの熱融着によって行われている、上記6)の飲料改質用電極ユニット。
【発明の効果】
【0015】
上記1)の飲料改質用電極材は、導電性金属箔層および絶縁性樹脂層を有する積層シートよりなるので、金属板よりなる電極材と比べて、コストが安くなり、また、軽量で取扱性にも優れている。
また、上記1)の飲料改質用電極材では、絶縁性樹脂層に設けられた除去部を通じて、導電性金属箔層の片面が部分的に露出させられ、同露出部が飲料と接触させられるため、導電性金属箔層の劣化が進みにくく、金属板よりなる電極材と比べて交換の頻度を低くすることができる。
従って、上記1)の飲料改質用電極材によれば、所期の性能を確保しつつ、衛生的に使用するために、適切なタイミングで交換を行ったとしても、コストが抑えられるので、電解処理による飲料の改質を行い易くなる。
【0016】
上記2)の飲料改質用電極材によれば、導電性金属箔層の片面が耐食性下地皮膜で覆われているため、導電性金属箔層の腐食による劣化が抑えられ、それだけ製品寿命を延ばすことができる。
【0017】
上記3)の飲料改質用電極材によれば、保護樹脂層によって導電性金属箔層の他面が覆われているため、導電性金属箔層の劣化がより一層抑制され、また、積層シート全体としての強度が高められるため、破れたり破損したりし難くなる。
【0018】
上記4)の飲料改質用電極材によれば、導電性金属箔層としてアルミニウム箔が使用されているので、コストを抑えることができ、また、耐食性や加工性にも優れたものとなる。
【0019】
上記5)の飲料改質用電極材によれば、絶縁性樹脂層の除去部が複数の穴よりなるので、除去部を設けるための加工が容易であり、製造コストも抑えられる。
【0020】
上記6)の飲料改質用電極ユニットにあっては、全体が筒状体または袋状体よりなるので、これを例えば飲料流通管や飲料貯留タンクの内部に配置して、陽極および陰極に電圧を付加することにより、飲料の電解処理による改質が行われる。しかも、飲料流通管や飲料貯留タンクの内面が飲料改質用電極ユニットで覆われるため、同内面が飲料から発生する有機酸等により腐食するのを効果的に防止することができる。
また、上記6)の飲料改質用電極ユニットは、導電性金属箔層および絶縁性樹脂層を有する積層シートよりなる複数の電極材を接合してなるものであって、金属板よりなる電極材を使用した場合と比べて、価格が安く抑えられる上、交換の頻度も低くなるので、所期の性能を確保しつつ、衛生的に使用するために、適切なタイミングで交換を行ったとしても、コストが抑えられる。
従って、上記6)の飲料改質用電極ユニットによれば、特別な設備を設けなくても、電解処理による飲料の改質を、低コストで簡易に行うことができる。
【0021】
上記7)の飲料改質用電極ユニットによれば、複数の飲料改質用電極材どうしの接合が熱融着によって行われるので、製造が容易であり、コストも抑えられる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜
図4を参照して説明する。
【0024】
図1および
図2は、この発明による飲料改質用電極材の1実施形態を示すものである。
図示の電極材(20)は、導電性金属箔層(21)と、導電性金属箔層(21)の片面(
図2では上面)に積層された絶縁性樹脂層(22)と、導電性金属箔層(21)の他面(
図2では下面)に積層された保護樹脂層(23)とを備えている積層シートよりなる。
絶縁性樹脂層(22)には、導電性金属箔層(21)の片面を部分的に露出させて飲料と接触させるための除去部(221)が設けられている。
【0025】
導電性金属箔層(21)は、飲料を電解処理する際の陽極または陰極として機能するものである。
導電性金属箔層(21)を構成する金属箔は、導電性を有していて電極として機能するものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、チタン箔、ステンレス鋼箔等が挙げられるが、好適には、安価でありかつ耐食性および加工性にも優れているアルミニウム箔が用いられる。アルミニウム箔としては、例えばJIS H4160で規定されるA1N30H−O、A8079H−O等が用いられる。
導電性金属箔層(21)の厚さも、特に限定されないが、通常15〜100μm程度となされる。
【0026】
導電性金属箔層(21)の両面のうち少なくとも絶縁性樹脂層(22)が積層される面には、耐食性下地皮膜(211)が形成されている。これにより、導電性金属箔層(21)の腐食が抑えられ、電極としての製品寿命がのびる。
上記の下地皮膜は、金属箔に化成処理を施すことによって形成される。具体的には、例えば金属箔に次のようなクロメート処理を施す。即ち、例えば、脱脂処理を行った金属箔の表面に、
1)リン酸と、
クロム酸と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
2)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
3)リン酸と、
アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、
クロム酸およびクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、
フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と、を含む混合物の水溶液
上記1)〜3)のうちのいずれかの水溶液を塗工した後、乾燥することにより、化成処理を施す。
前記化成皮膜は、クロム付着量(片面当たり)を0.1mg/m
2〜50mg/m
2とするのが好ましく、特に、2mg/m
2〜20mg/m
2とするのが好ましい。
【0027】
絶縁性樹脂層(22)は、絶縁性を有する樹脂材料で構成されていればよいが、好適には、絶縁性熱可塑性樹脂よりなる。具体的には、例えば無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルムが材料として用いられ、同フィルムが、例えば熱硬化型アクリル樹脂接着剤、熱硬化型酸変性ポリプロピレン樹脂接着剤、熱硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤等の熱硬化型接着剤よりなる接着剤層(図示略)を介して、下地皮膜(211)が形成された導電性金属箔層(21)の片面に積層されることにより、絶縁性樹脂層(22)が形成される。
また、絶縁性樹脂層(22)の厚さも特に限定されないが、通常、20〜80μm程度である。
【0028】
絶縁性樹脂層(22)に形成される除去部(221)は、絶縁性樹脂層(22)に所定パターンであけられた複数の穴よりなる。
穴の形状およびサイズならびに穴の配置のパターンは特に限定されないが、
図1の電極材(20)では、多数の円形の穴(221)が絶縁性樹脂層(22)のほぼ全面にわたって千鳥状に配置されている。これらの穴(221)を通じて、導電性金属箔層(21)の片面が部分的に露出させられ、同露出部(21a)が飲料(B)と接触させられる(
図3,4参照)。なお、導電性金属箔層(21)の表面に下地皮膜(211)が設けられている場合、下地皮膜(211)には穴は形成されない。
絶縁性樹脂層(22)に除去部(221)を形成する方法としては、例えば、積層シート(20)の絶縁性樹脂層(22)および同層と導電性金属箔層(21)との間の接着剤層(図示略)に、CO
2レーザーやエキシマレーザー等を用いて穴あけ加工する方法が挙げられる。より好適には、導電性金属箔層(21)の片面に、未塗布部ができるように接着剤をパターン塗工して、絶縁性樹脂層(22)を構成する絶縁性樹脂フィルムを貼り合せた後、同樹脂フィルムのみにCO
2レーザー等で穴あけ加工を行う方法が用いられる。さらに好適には、導電性金属箔層(21)の片面に未塗布部ができるように接着剤をパターン塗工し、予め穴あけ加工した絶縁性樹脂フィルムを、未塗布部と穴とが合致するように位置決めして、貼り合せる方法が用いられる。
【0029】
保護樹脂層(23)は、導電性金属箔層(21)の腐食等による劣化を抑制すると共に、積層シート(20)全体としての強度を高めるためのものである。
保護樹脂層(23)の構成材料としては、例えば、ポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム、二軸延伸ナイロン樹脂フィルム等のポリアミド樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムやポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリテトラフルオロエチレン樹脂フィルム等のフッ素樹脂フィルムが用いられる。これらのフィルムが、例えば熱硬化型アクリル樹脂接着剤、熱硬化型酸変性ポリプロピレン樹脂接着剤、熱硬化型ポリウレタン樹脂系接着剤等の熱硬化型接着剤よりなる接着剤層(図示略)を介して、導電性金属箔層(21)の他面に積層され、保護樹脂層(23)を形成する。
保護樹脂層(23)の厚さは特に限定されないが、通常、6〜25μm程度である。
図示は省略したが、保護樹脂層(23)には、通常、これが積層されている導電性金属箔層(21)の他面に電源の正極または負極を接続するために、穴等よりなる除去部が形成されている。なお、例えば、電極材として積層シート(20)の両面が飲料と接する状態で使用されるような場合を考慮すれば、保護樹脂層(23)にも、絶縁性樹脂層(22)と同様の除去部を形成してもよい。
【0030】
図3は、この発明による飲料改質用電極ユニット(1)の1実施形態を示すものである。
図示の電極ユニット(1)は、全体として断面略円形の筒状体となるようにかつ絶縁性樹脂層(22)が筒状体の内面を構成するように互いの縁部どうしが絶縁接合されている2つのシート状の飲料改質用電極材(20)よりなる。そして、一方の飲料改質用電極材(20)が陽極(2A)となされ、他方の飲料改質用電極材(20)が陰極(2B)となされている。
各飲料改質用電極材(20)の絶縁性樹脂層(22)は、絶縁性熱可塑性樹脂よりなる。具体的には、前述した通り、例えば、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムやポリエチレン樹脂フィルム等の熱可塑性を有するポリオレフィン系樹脂フィルムによって、絶縁性樹脂層(22)が構成されている。そして、2つの飲料改質用電極材(20)の対向縁部どうしが、両縁部の絶縁性熱可塑性樹脂よりなる絶縁性樹脂層(22)どうしを熱融着することによって、絶縁接合されている。熱融着の手段は特に限定されないが、例えば、熱板等を用いたヒートシール装置によるものの他、超音波シール装置や高周波シール装置によるものでも構わない。
陽極(2A)を構成する一方の飲料改質用電極材(20)の導電性金属箔層(21)には、電源の正極が接続されており、また、陰極(2B)を構成する他方の飲料改質用電極材(20)の導電性金属箔層(21)には、電源の負極が接続されている。電源の正極・負極の接続は、通常、各飲料改質用電極材(20)の保護樹脂層(23)に形成された除去部(図示略)を通じて行われている。
この飲料改質用電極ユニット(1)は、
図3に示すように、飲料流通管(P)の中にその内面を被覆するように挿通されている。アルコール飲料等の飲料(B)は、飲料改質用電極ユニット(1)の中を流通させられて、飲料流通管(P)の内面とは接触しないようになされる。したがって、飲料流通管(P)が金属製のものであっても、飲料との接触に起因する腐食や詰まり等が起こり難く、設備全体の耐久性やメンテナンス性が向上する。
電極ユニット(1)の内部を飲料(B)が流通させられている状態で、陽極(2A)、陰極(2B)をそれぞれ構成している2つの電極材(20)の導電性金属箔層(21)に電圧を印加すると、絶縁性樹脂層(22)の穴(除去部)(221)から電極ユニット(1)の内面に臨んでいる導電性金属箔層(21)の露出部(21a)を通じて、飲料(B)に電流が流れ、酸化還元反応が起きる。特に、飲料(B)がワインや日本酒などのアルコール飲料である場合、電解処理によって水和性が高められ、それによって熟成効果が得られる。
【0031】
図4は、この発明による飲料改質用電極ユニットの他の実施形態を示すものである。
図示の電極ユニット(1X)は、全体として断面略方形の筒状体となるようにかつ絶縁性樹脂層(22)が筒状体の内面を構成するように互いの縁部どうしが絶縁接合されている4つのシート状の飲料改質用電極材(20)よりなる。そして、いずれか1つ(
図4の上側)の飲料改質用電極材(20)が陽極(2A)となされ、これと向かい合う他の1つ(
図4の下側)の飲料改質用電極材(20)が陰極(2B)となされている。なお、残りの2つの電極材(
図4の左右両側)(20)のうち一方を陽極、同他方を陰極として、すべての電極材を電極として機能させることも勿論可能である。また、残りの2つの電極材(20)については、電極として機能させない場合には、これらに代えて、絶縁性樹脂層(22)に除去部(221)を有しない積層シート等を用いてもよい。
電極ユニット(1X)のその他の構成は、
図3に示す電極ユニット(1)と実質的に同じである。なお、
図4に示す電極ユニット(1X)は、その用途については、
図3の電極ユニット(1)と変わらないが、全体径が大きいものを製造しやすいため、特に、大径の飲料流通管や大きな飲料貯留タンクにおける飲料の改質に際して、好適に用いることができる。また、
図4の電極ユニット(1X)の場合、陽極(2A)および陰極(2B)を構成する2つの積層シート(電極材)(20)の縁部どうしが、これらとは別の積層シート(20)を介して熱融着されているため、短絡が起こりにくい。
【0032】
なお、上記の実施形態では、電極ユニット(1)(1X)を飲料流通管(P)の内部に挿通させているが、飲料を貯留した飲料貯留タンク(図示略)の内部に、同タンクの内周面を被覆するように電極ユニットを配置して、飲料貯留タンク内の飲料の電解処理による改質を行うことも可能である。この場合、飲料貯留タンクの内径や高さに応じて、電極ユニットのサイズも適宜変更させられる。また、飲料貯留タンク内に電極ユニットを配置する場合、
図3または
図4のような筒状体の電極ユニット(1)(1X)に代えて、その一端開口を、2つの電極材の開口縁部どうしを熱融着して塞ぐか、または2つの電極材の開口縁部に他のシート状電極材を熱融着して塞ぐことにより袋状体に形成したものを用いてもよい。このような袋状体の電極ユニットを用いれば、飲料貯留タンクの底面も被覆されるので、飲料貯留タンクの腐食等をより一層効果的に防止して、耐久性やメンテナンス性を高めることが可能になる。
【実施例】
【0033】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。但し、この発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
厚さ30μmのアルミニウム箔(JIS H4160で規定されるA8079H−O)の両面に、化成処理により下地皮膜となるクロメート皮膜を形成した。そして、アルミニウム箔の片面に、下地皮膜の上から、直径10mmの円形の未塗布部がほぼ全面に亘って20mmピッチで千鳥状に形成されるように酸変性ポリプロピレン樹脂接着剤をグラビア塗工により塗布し、絶縁性樹脂層として厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを貼り付けた。また、アルミニウム箔の他面に、下地皮膜の上から、接着剤の未塗布部が1箇所に方形状に形成されるように酸変性ポリプロピレン樹脂接着剤をグラビア塗工により塗布し、保護樹脂層として厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを貼り付けた後、40℃で5日間のエージング処理を行うことにより、積層シートを作製した。
次に、積層シートの絶縁性樹脂層および保護樹脂層の未塗布部を、CO
2レーザーを用いて除去することにより、各層に所定パターンの穴をあけ、アルミニウム箔層の露出部を形成した。こうして、飲料改質用電極材を得た。
【0035】
次に、縦200mm、横500mmの帯板状に裁断した2枚の電極材を、これらの絶縁性樹脂層どうしが向かい合うように重ねて、両電極材の左右各縁部どうしおよび下縁部どうしを、熱板を備えたヒートシール装置を用いてそれぞれ熱融着することにより、袋状体を形成した。
そして、袋状体の一方の電極材のアルミニウム箔層に保護樹脂層の穴を通じて電源の正極を接続することにより、同電極材を陽極とし、また、袋状体の他方の電極材のアルミニウム箔層に保護樹脂層の穴を通じて電源の負極を接続することにより、同電極材を陽極とした。こうして、飲料改質用電極ユニットを得た。
【0036】
得られた電極ユニット内に、市販のワイン、日本酒、焼酎、ビール、緑茶、ミネラルウォーターよりなる飲料を、順次100ml注入し、この状態で、電極ユニットの陽極および陰極に600Vの電圧を3分間印加して、電解処理を行った。
そして、10人のモニターに、各飲料について、電解処理後のものと、未処理のものとを飲んでもらい、両者の味の違いを比較評価してもらった。
結果を、以下の表1に示す。なお、表1中、モニターの評価結果は、「電解処理した飲料の方が好ましい」を○、「未処理の飲料の方が好ましい」を×、「両者で変わらない」を△とし、数字はその人数を示している。
【0037】
【表1】
【0038】
表1から明らかなように、いずれの飲料についても、電極ユニットを用いた電解処理を行ったものの方が未処理のものよりも好ましいという評価を下したモニター数が多く、電解処理によって飲料の改質効果が得られていることがわかる。