特許第6726571号(P6726571)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726571
(24)【登録日】2020年7月1日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】包装具
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/14 20060101AFI20200713BHJP
【FI】
   B65D71/14
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-162246(P2016-162246)
(22)【出願日】2016年8月22日
(65)【公開番号】特開2018-30596(P2018-30596A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三森 正美
【審査官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−255962(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158739(JP,U)
【文献】 特開2016−52899(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3071975(JP,U)
【文献】 特開2016−222280(JP,A)
【文献】 特表2010−536668(JP,A)
【文献】 特開2018−12531(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0298780(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 71/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向に延びる円筒状の缶胴部を互いに当接させて横方向に並べた2つの缶体の外周に装着することにより両缶体を包装する環状の紙製の包装具であって、
横方向に延びて、2つの缶体の外周に密着する帯部を有し、
前記帯部の内周寸法は、下端において両缶胴部の外周以上であるとともに、該下端より上側において、該外周未満に形成されていることを特徴とする包装具。
【請求項2】
請求項1記載の包装具であって、
前記帯部の上縁に設けられ、前記高さ方向及び前記横方向に交差する方向に延びて、缶胴部の上端において天蓋を巻締める巻締め部を係止する舌片を備えることを特徴とする包装具。
【請求項3】
請求項2記載の包装具であって、
前記舌片は、前記帯部の上縁に対向して一対設けられ、前記帯部と2つの缶体とによって形成される隙間を覆う形状に形成されていることを特徴とする包装具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の包装具であって、
前記舌片は、帯部の上縁に折目線を介して設けられ、
前記帯部、または、帯部及び舌片には、高さ方向に延びて包装具を扁平に折り畳むための折目線が少なくとも一対設けられていることを特徴とする包装具。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項に記載の包装具であって、
帯部に高さ方向に延びて設けられ、該帯部を上縁から下縁にわたって帯状に破断するための帯状破断部を有し、
前記舌片の下端と、前記帯状破断部の上端とが連設されていることを特徴とする包装具。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の包装具であって、
前記帯部は、表示部を有することを特徴とする包装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体を包装する包装具に関する。
【背景技術】
【0002】
缶ビール、缶ジュースなどの缶体を、複数本ごとにまとめて収容して、展示及び持ち運びさせる包装具が求められている。
【0003】
この種の包装具として、従来、両側端を開口した箱体の底板及び天板の両端部に、半円形状に形成した離脱防止用の舌片を折り曲げ自在に連続させ、前記離脱防止用の舌片が、底板及び天板の両端部の裏面側に当接するよう折り曲げた缶類の包装具が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
かかる包装具によって缶体を包装するときには、缶体が収納されたラップアラウンド式の段ボール箱を開梱して上半部を取り除き、缶体を取り出して前記箱体の両側端から夫々挿入して、舌片を折り返して缶体を係止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−101459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記包装具では、缶体を1個ずつ段ボール箱から取り出して、包装具の左右から夫々挿入する必要があるので、包装作業に手間かがかるという不都合がある。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、缶体を簡便に包装できる包装具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の包装具は、高さ方向に延びる円筒状の缶胴部を互いに当接させて横方向に並べた2つの缶体の外周に装着することにより両缶体を包装する環状の紙製の包装具であって、横方向に延びて、2つの缶体の外周に密着する帯部を有し、前記帯部の内周寸法は、下端において両缶胴部の外周以上であるとともに、該下端より上側において、該外周未満に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の包装具において、前記帯部の内周寸法は、下端において前記両缶胴部の外周以上であるので、缶胴部を互いに当接させて横方向に並べた2つの缶体を、2本まとめて下端から挿入することができる。そして、帯部の内周寸法は、該下端より上側において、該外周未満に形成されているため、2つの缶体を下端から挿入していくと、缶体は帯部によって締めつけられて挟持される。
【0010】
したがって、本発明の包装具によれば、ラップアラウンド式の段ボール箱の下半部に整列された缶体に対して、上から被せることで装着することができるので、缶体を1個ずつ段ボール箱から取り出す手間が省略できるので、簡便に包装することができる。
【0011】
また、本発明の包装具において、前記帯部の上縁に設けられ、前記高さ方向及び前記横方向に交差する方向に延びて、缶胴部の上端において天蓋を巻締める巻締め部を係止する舌片を備えることが好ましい。
【0012】
これによれば、帯部に挟持された缶体は舌片によっても係止されるので、帯部に挟持された缶体が、包装具から外れることを確実に防止できる。
【0013】
また、本発明の包装具において、前記舌片は、前記帯部の上縁に対向して一対設けられ、前記帯部と2つの缶体とによって形成される隙間を覆う形状に形成されていることが好ましい。
【0014】
これによれば、前記帯部と2つの缶体とによって形成される隙間に塵埃が侵入することを防止できる。
【0015】
また、本発明の包装具において、前記舌片は、帯部の上縁に折目線を介して設けられ、前記帯部、または、帯部及び舌片には、高さ方向に延びて包装具を扁平に折り畳むための折目線が少なくとも一対設けられていることが好ましい。
【0016】
これによれば、使用の前後において、包装具を扁平にすることができるため、輸送又は廃棄の際に嵩張ることがない。
【0017】
また、本発明の包装具において、帯部に高さ方向に延びて設けられ、該帯部を上縁から下縁にわたって帯状に破断するための帯状破断部を有し、前記舌片の下端と、前記帯状破断部の上端とが連設されていることが好ましい。
【0018】
これによれば、缶体を包装して、展示・持ち運んだ後において、舌片をもって下方に引っ張ることで、包装を解いて缶体を取り出すことができる。
【0019】
また、本発明の包装具において、前記帯部は、表示部を有することが好ましい。
【0020】
これによれば、2つの缶体の缶胴部の外周を覆う帯部に設けた表示部に商品案内やイラスト等を表示することができ、意匠性の向上や販売促進効果の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の包装具の一実施形態を示す斜視図。
図2図1の包装具の展開図。
図3A図1の包装具による包装工程を示す第1の斜視図。
図3B図1の包装具による包装工程を示す第2の斜視図。
図3C図1の包装具による包装工程を示す第3の斜視図。
図3D図1による包装具の包装工程を示す第4の斜視図
図4図1の包装具のIV−IV線断面を示した断面図。
図5図1の包装具の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
本実施形態の包装具1は、図1に示すように、2本の缶体Kの外周に装着することにより両缶体を包装するものである。具体的には、2本の缶体Kを、高さ方向に延びる円筒状の缶胴部K1を互いに当接させた状態で横方向に並べて、包装具1を装着させる。
【0024】
包装具1は、横方向に延びて、缶胴部K1の外周に密着して巻きつけられたリング状の帯部10を備える。帯部10は、高さ方向において、缶胴部K1の半分以上全部以下の長さに形成されている。そして、帯部10の外側面は、文字やイラスト等を施すための表示部11となっている。
【0025】
帯部10の上縁には、水平方向に延びる一対の舌片20,20が設けられている。舌片20,20は、缶体Kの缶胴部K1の上端において天蓋K2を巻締める巻締め部K3を夫々係止する。
【0026】
帯部10には、高さ方向に延びて、該帯部10を上縁から下縁にわたって帯状に破断するための帯状破断部12が形成されている。帯状破断部12は、一端が内側に屈曲する複数の切れ目によって構成される所謂ジッパーによって形成されている。この帯状破断部12の上端は、舌片20の下端と連設されている。
【0027】
包装具1は、図2に示すように、大略矩形状に打ち抜かれた板紙2から組み立てられる。なお、図2は板紙2の裏面を示している。
【0028】
板紙2は、大略矩形状の帯部10と、帯部10の上縁に谷折り可能な折目線aを介して連設された大略等脚台形状の舌片20,20とを備えている。
【0029】
帯部10は、上縁より下縁の方が長く形成されて、緩やかな扇形状になっている。具体的には、包装具1を平面視小判形状として説明すると、横に並べた缶胴部K1,K1の外周に対して、帯部10の内周寸法は、下端において該外周以上、下端より上側において該外周未満に形成されている。
【0030】
また、帯部10の左側縁には、境界線bを介して接着片13が連設されている。包装具1を形成する際には、接着片13の外側面を帯部10の右側縁の内側面に接着することで、図1に示す環状の帯部10が形成される。
【0031】
舌片20は、大略等脚台形状であり、台形の脚が巻締め部K3の外周に沿うように内側に湾曲して弧状になっている。
【0032】
板紙2は、高さ方向(図2の上下方向)に沿って、谷折り可能な折目線c、cが設けられている。折目線c,cは、各舌片20の左右方向の中心を通って、舌片20の上縁から、帯部10の下縁まで延びている。
【0033】
次に、図3A乃至図3Dを参照して、包装具1を用いて缶体Kを包装する手順について説明する。
【0034】
まず、図3Aに示すように、缶胴部を互いに当接させた状態で2つの缶体を横方向に並べておく。この点、缶体が収納されたラップアラウンド式の段ボール箱を開梱して上半部を取り除いたものは、段ボール箱の下半部に、缶体が縦横に整列されて収納されているので、そのまま包装具1による包装作業を行うことができる。
【0035】
包装具1は、包装する前においては、折目線c,cで折り曲げることで扁平にすることができる。そこで、図3Bに示すように、外側面から折目線c,c近傍を中心軸方向に両側から押すことで、包装具1を環状に回復させる。
【0036】
次に、図3B及び図3Cに示すように、包装具1の下端側から缶体を挿入していく。
【0037】
さらに、図3Dに示すように、帯部10の上端が缶胴部K1の上端を超える位置まで、包装具1を下方に押し下げていく。
【0038】
次に、図3Dに示すように、舌片20,20を折目線a,aで内側に夫々折り曲げる(図3Dの矢印方向)。そして、図4に示すように、舌片20,20を、缶胴部K1の上端において天蓋K2を巻締める巻締め部K3に係止する。
【0039】
なお、巻締め部K3の上端付近に舌片20を配置することで、舌片20が天蓋K2の下端によって掛止されるようにしてもよい。
【0040】
以上で、図1に示すように、包装具1を用いた缶体Kの包装が完了する。
【0041】
上記本実施形態の包装具1は、以下の作用効果を有する。すなわち、本実施形態の包装具1は、使用の前後において、包装具を扁平にすることができるため、輸送又は廃棄の際に嵩張ることがない。
【0042】
また、本実施形態の包装具1は、ラップアラウンド式の段ボール箱の下半部に整列された缶体Kに対して、上から被せることで装着することができる。したがって、缶体Kを1個ずつ段ボール箱から取り出す手間が省略できるので、簡便に包装することができる。
【0043】
このとき、図4で示すように、帯部10の下端の内周は、両缶胴部K1,K1の外周以上に形成されているため、包装具1は両缶体Kを容易に挿入することができる。また、図4で示すように、帯部10の下端より上側の内周は、両缶胴部K1,K1の外周未満に形成されているため、包装具1は両缶体Kに密着して該缶体Kを挟持することができる。
【0044】
さらに、本実施形態の包装具1は、舌片20,20によっても缶体Kを係止できるので、缶体Kの保持を確実にできる。また、図5に示すように、舌片20,20は巻締め部K3の外周に沿うよう形状になっているため、帯部10と両缶体K,Kとによって形成される隙間に塵埃が侵入することを防止できる。
【0045】
また、本実施形態の包装具1は、帯部に表示部が設けられているため、商品案内やイラスト等を表示することができ、意匠性の向上や販売促進効果の向上を図ることができる。特に、本実施形態の包装具1では、帯部10の高さ方向の幅を、缶胴部K1の半分以上全部以下の長さに形成しているため、表示部を大きく取ることができるとともに、缶体Kに密着する範囲を増やして挟持力を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の包装具1は、舌片20の一方の下端に連設され帯部10を縦断する帯状破断部12を有しているため、缶体を包装して、展示・持ち運んだ後において、舌片20をもって下方に引っ張ることで、包装を解いて缶体を簡単に取り出すことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、帯部10は、上下縁が略直線上のものとして説明したが、本発明はこれに限られることなく、帯状破断部12で破断しやすいように上縁を波状やジグザク状にしてもよく、缶体Kを挿入しやすいように下縁を波状やジグザク状にしても良い。
【0048】
また、本実施形態では、舌片20は帯部10の上縁に対向して一対設けられたものを説明したが、本発明はこれに限られることなく、帯部の上縁に鼓形状舌片が1個設けられ、対向する該上縁に架け渡されるようにしても良い。
【0049】
また、本実施形態では表示部11は、帯部10の外周面に設けられたものを説明したが、本発明はこれに限られることなく、帯状破断部12の内周面に設けてくじ引きとすることもできる。
【0050】
また、本実施形態では折目線cは、各舌片20の左右方向の中心を通るものを説明したが、本発明はこれに限られることなく、左右方向に対称であればこれに限られず、また、折目線cを増やすことで、さらに折りたたみ可能にすることもできる。
【0051】
また、本発明の包装具1においては、帯状破断部12、舌片20、折目線cを省略することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1…包装具、10…帯部、11…表示部、12…帯状破断部、20…舌片、a…折目線、c…折目線、K…缶体、k1…缶胴部、K2…天蓋、K3…巻締め部。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5