特許第6726722号(P6726722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6726722多孔質外面を有する食用物品を汚染除去する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726722
(24)【登録日】2020年7月1日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】多孔質外面を有する食用物品を汚染除去する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/3445 20060101AFI20200713BHJP
   A23L 3/20 20060101ALI20200713BHJP
   A23L 15/00 20160101ALI20200713BHJP
   A23B 5/10 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   A23L3/3445
   A23L3/20
   A23L15/00 Z
   A23B5/10
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-200458(P2018-200458)
(22)【出願日】2018年10月25日
(62)【分割の表示】特願2018-521910(P2018-521910)の分割
【原出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2019-54795(P2019-54795A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2018年11月8日
(31)【優先権主張番号】14/923,546
(32)【優先日】2015年10月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505214191
【氏名又は名称】ステリス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】特許業務法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミールニック、サディアス、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バーク、ピーター、エー.
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−016033(JP,A)
【文献】 特開平11−235135(JP,A)
【文献】 特開平11−178515(JP,A)
【文献】 特表2014−510546(JP,A)
【文献】 特表2005−534305(JP,A)
【文献】 特表2000−514772(JP,A)
【文献】 特表2004−537316(JP,A)
【文献】 米国特許第05535667(US,A)
【文献】 国際公開第2015/143008(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/30− 3/3598
A23L 13/00−17/00;17/10−17/50
A61L 2/00− 2/28;11/00−12/14
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質外面を有する物品を汚染除去する方法であって、
汚染除去チャンバを設けるステップと、
前記物品が予め定められた期間にわたって前記汚染除去チャンバ内に配置されるように選択された予め定められた速度で、前記汚染物除去チャンバを通して前記物品を搬送するステップと、
前記物品が前記汚染除去チャンバを通って搬送されるときにコンベヤに対する前記物品の動きが生じるように、アクチュエータが前記コンベヤに係合するステップと、
滅菌剤蒸気の供給源を設け、前記供給源は温度が予め定められた許容温度範囲内であり濃度が予め定められた許容濃度範囲内である滅菌剤蒸気を供給するものとするステップと、
前記滅菌剤蒸気の供給源から前記汚染除去チャンバに滅菌剤蒸気を運搬するステップと、
前記物品を前記滅菌剤蒸気に曝露するステップと、
を含み、
前記予め定められた期間および前記滅菌剤蒸気の前記予め定められた許容濃度範囲は、前記滅菌剤蒸気が前記物品の前記多孔質外面を貫通しないように選択される方法。
【請求項2】
前記物品が卵である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予め定められた期間が30秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予め定められた許容濃度範囲が1.0×10-9kg/Lと0.01kg/Lの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記滅菌剤蒸気の前記予め定められた許容温度範囲が15℃と90℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物品の前記最大許容温度が90℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記滅菌剤蒸気が、過酸化水素、オゾンおよび過酢酸のうち1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物品を前記滅菌剤蒸気に曝露する前記ステップが、前記物品を前記コンベアに対して継続的に動かすステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記物品を前記滅菌剤蒸気に曝露する前記ステップの後に、
前記滅菌剤蒸気を中和する中和剤に前記物品を曝露するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記中和剤が、チオ硫酸ナトリウム、メチル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、またはその他の還元剤の1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
通気チャンバを設けるステップと、
清浄な乾燥空気の供給源を設けるステップと、
前記清浄な乾燥空気の供給源から前記通気チャンバへ前記清浄な乾燥空気を運搬するステップと、
前記通気チャンバを通して前記物品を搬送するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
多孔質外面を有する物品を汚染除去するシステムであって、
汚染除去チャンバと、
前記汚染除去チャンバを通して前記物品を搬送するコンベヤと、
滅菌剤蒸気の供給源と、
前記滅菌剤蒸気の供給源から前記汚染除去チャンバに滅菌剤蒸気を運搬する運搬手段と、
前記コンベヤおよび前記滅菌剤蒸気の供給源を制御する制御器と、
を備え、
前記制御器は、
前記滅菌剤蒸気の供給源を制御して前記滅菌剤蒸気を予め定められた許容濃度範囲内かつ予め定められた許容温度範囲内に維持するように制御するとともに、
予め定められた速度で前記物品が前記汚染除去チャンバを通るように前記コンベヤを制御し、前記予め定められた速度は、前記物品が予め定められた期間にわたって前記汚染除去チャンバ内に配置されるように選択される
ようにプログラムされており、
また、前記汚染除去チャンバ内に配置されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータは前記汚染除去チャンバを通して前記物品を搬送するときに前記コンベヤに対する前記物品の動きが生じるように、前記コンベヤに係合するよう配置され、
前記予め定められた期間および前記滅菌剤蒸気の前記予め定められた許容濃度範囲は、前記滅菌剤蒸気が前記物品の前記多孔質外面を貫通しないように選択される前記システム。
【請求項13】
前記物品が卵である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記汚染除去チャンバの入口端に配置された、離間した壁の第1の対をさらに備え、
前記離間した壁の間に画定される空間が、そこを通って流れる加圧空気の流路を画定し、前記加圧空気が、前記汚染除去チャンバの内部空間を周囲環境から分離するための空気のカーテンを形成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記コンベヤがメッシュ面を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記滅菌剤蒸気の供給源に接続されたマニホールドをさらに備え、
前記マニホールドは、前記コンベアの下方で、前記コンベヤ上に配置された前記物品表面へとほぼ上向きに前記滅菌剤蒸気を運搬するように配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記滅菌剤蒸気が、過酸化水素、オゾンおよび過酢酸のうち1つ以上を含む、請求項12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大まかには物品の汚染除去に関するものであり、より詳細には、多孔質外面を有する食用物品を汚染除去する滅菌剤蒸気を供給する方法およびシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景として、多孔質外面(例えば、卵、ロブスターなど)を有する食用物品用の近年の汚染除去システムは、物品を高温化された水浴中に置いてから、物品を乾燥させてサルモネラ菌などの病原体を除去する必要がある。(以下、「汚染除去」および「除染」という用語は、微生物や病原体を除滅するように設計された消毒、不活化、汚染物処理、滅菌などのプロセスを指すために使用される)。長期間(およそ2時間)にわたって病原体が物品の表面に留まっていると、病原体が多孔質外面を通って移動し、それにより物品を人間が摂取するには危険なものとする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第11/741,299号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に加えて、水浴の温度は、部分的に食用物品に火を通してしまう恐れを低減するために慎重に制御されなければならない。部分加熱された食用物品は、消費者にとって望ましくなく、消費者に健康上の危険をもたらす可能性がある。さらに、低温殺菌用の水浴は、卵が連続的に処理されるときに潜在的な汚染蓄積を起こしやすい。
【0005】
本発明は、多孔質外面を有する食用物品を汚染除去するための方法およびシステムを提供する。本発明は、汚染除去チャンバを通して食用物品を搬送し、そのチャンバにて食用物品を汚染除去するのに十分な濃度で、食用物品に望ましくない副作用を避けるために十分短い期間にわたり、食用物品を滅菌剤蒸気に曝露する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、多孔質外面を有する物品を汚染除去する方法が提供される。この方法は、前記物品が予め定められた期間にわたって前記汚染除去チャンバ内に配置されるように選択された予め定められた速度で、前記汚染物除去チャンバを通して前記物品を搬送するステップと、前記物品が前記汚染除去チャンバを通って搬送されるときにコンベヤに対する前記物品の動きが生じるように、アクチュエータが前記コンベヤに係合するステップと、滅菌剤蒸気の供給源を設け、前記供給源は温度が予め定められた許容温度範囲内であり濃度が予め定められた許容濃度範囲内である滅菌剤蒸気を供給するものとするステップと、前記滅菌剤蒸気の供給源から前記汚染除去チャンバに滅菌剤蒸気を運搬するステップと、前記物品を前記滅菌剤蒸気に曝露するステップと、を含む。前記予め定められた期間および前記滅菌剤蒸気の前記予め定められた許容濃度範囲は、前記滅菌剤蒸気が前記物品の前記多孔質外面を貫通しないように選択される。
【0007】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、多孔質外面を有する物品を汚染除去するためのシステムが提供される。このシステムは汚染除去チャンバを含む。コンベヤが前記汚染除去チャンバを通して前記物品を搬送する。滅菌剤蒸気の供給源が設けられる。運搬手段が前記滅菌剤蒸気の供給源から前記汚染除去チャンバに滅菌剤蒸気を運搬する。制御器が前記コンベヤおよび前記滅菌剤蒸気の供給源を制御する。前記制御器は、前記滅菌剤蒸気の供給源を制御して前記滅菌剤蒸気を予め定められた許容濃度範囲内かつ予め定められた許容温度範囲内に維持するように制御するとともに、予め定められた速度で前記物品が前記汚染除去チャンバを通るように前記コンベヤを制御し、前記予め定められた速度は、前記物品が予め定められた期間にわたって前記汚染除去チャンバ内に配置されるように選択されるようにプログラムされており、また、前記汚染除去チャンバ内に配置されたアクチュエータを備え、前記アクチュエータは前記汚染除去チャンバを通して前記物品を搬送するときに前記コンベヤに対する前記物品の動きが生じるように、前記コンベヤに係合するよう配置され、前記予め定められた期間および前記滅菌剤蒸気の前記予め定められた許容濃度範囲は、前記滅菌剤蒸気が前記物品の前記多孔質外面を貫通してその内部の食品に接触することのないように選択される。
【0008】
本発明の利点は、食用物品を迅速に除染するのに十分な濃度で滅菌剤蒸気を供給する方法およびシステムというところにある。
【0009】
本発明の別の利点は、上記のような方法およびシステムであって、食用物品が滅菌剤蒸気に曝される時間が、感覚刺激の観点から食用物品に望ましくない副作用を起こさないように選択されることにある。
【0010】
本発明のさらに別の利点は、上記のような方法およびシステムであって、食用物品が滅菌剤蒸気に曝される時間が、滅菌剤蒸気が食用物品の多孔質外面を通って移動しないように選択されることにある。
【0011】
本発明のさらに別の利点は、上記のような方法およびシステムであって、食用物品の多孔質表面が閉鎖された領域を通って連続的に移動しながら汚染除去されることにある。
【0012】
本発明の別の利点は、上記のような方法およびシステムであって、食用物品の表面全体が滅菌剤蒸気に曝されるように、除染プロセスの間に食用物品がかすかに動くことにある。
【0013】
これらの利点およびその他の利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲と共に以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、特定の部品の物理的形状および部品の配置について、本明細書にて詳細に記載され本明細書の一部を形成する付属の図面に図示される好ましい実施形態をとることができる。
図1】本発明の好ましい実施形態を示す図であり、処理ラインに沿って移動する物品の汚染除去システムを概略的に示す図。
図2図1に示すシステムの制御器の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで参照する図面は、本発明の好ましい実施形態を例示するためのものに過ぎず、本発明を限定する目的のものではなく、図1は、システム10の処理ラインに沿って移動する物品12を汚染除去するためのシステム10を示す。システム10は、食品包装施設内の処理ラインに沿って移動する食用物品を汚染除去することについて説明される。ただし本発明は、自身に沿って移動する他の物品を有する処理ラインに滅菌剤蒸気を供給する他のシステムにおいて有利な用途を見出すことができると考えられる。
【0016】
大まかには、システム10(図1に示す)は、コンベヤ14、汚染除去チャンバ30、通気チャンバ60、滅菌剤供給システム100、および制御器160を含む。コンベヤ14は、施設の処理ラインを表す。コンベヤ14に載置された物品12を搬送方向「L」に移動させるモータ16が設けられている。図示の実施形態では、コンベヤ14は、物品12を自身の上に支持するためのメッシュ面を含む。図示の実施形態では、アクチュエータ18はアーム(図示せず)を備えている。アクチュエータ18は、アクチュエータ18のアームの動作を生じさせるための、ソレノイド、空気ピストン、あるいは類似の装置を含み得る。アクチュエータ18のアームの遠位端は、以下において詳細に説明するように、コンベヤ14と係合するように配置される。
【0017】
コンベヤ14は、汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60を通って延びる。汚染除去チャンバ30は、入口端部32a、出口端部32bを有し、物品12がコンベヤ14によって搬送方向「L」に搬送される内部空間または領域32cを画定する包囲体または筐体32を含む。筐体32の底部はトラフ形状をしており、その下部に出口ポート34が形成されている。
【0018】
筐体32は、離間した入口壁36a、36bおよび出口壁38を含む。開口42は、離間した入口壁36a、36bを通り抜けて延びて、内部空間または領域32cへの入口を画定する。開口44は、出口壁38を通り抜けて延びて、内部空間または領域32cからの出口を画定する。図示の実施形態では、離間した入口壁36a、36bは、互いにほぼ平行に配置され、上壁46aと下壁46bとによって結合されている。
【0019】
加熱ユニット52は、筐体32の内部空間または領域32cで筐体32の入口端部32a近くに配置される。加熱ユニット52は、筐体32を通って移動する物品12を加熱するために設けられる。図示の実施形態では、加熱器のユニット52は二基(2つ)のユニットを含み、1つはコンベヤ14の上方に配置され、もう1つはコンベヤ14の下方に配置される。このように、加熱ユニット52は、物品12を所望の温度に均一に加熱するように設計される。
【0020】
第1の温度センサ54は、コンベヤ14の上方で加熱ユニット52の片脇の位置に配置され、第2の温度センサ56は、コンベヤ14の上方で加熱ユニット52の逆側脇の位置で配置される。具体的には、第1の温度センサ54は、離間した入口壁36a、36bと加熱ユニット52との間に配置されている。図1に示すように、汚染除去チャンバ30を通って搬送方向「L」に搬送された物品12は、第1温度センサ54、次いで加熱ユニット52、次に第2温度センサ56を通過する。こうして、第1温度センサ54は、加熱ユニット52前の物品12の温度を示す信号を発し、第2の温度センサ56は、加熱ユニット52後の物品12の温度を示す信号を発する。図示の実施形態では、第1の温度センサ54および第2の温度センサ56はそれぞれ、物品12に物理的に接触することなく物品の温度を検出するための赤外線センサである。
【0021】
通気チャンバ60は、入口端部62a、出口端部62bを有し、物品12がコンベヤ14によって搬送方向「L」に搬送される内部空間または領域62cを画定する包囲体または筐体62を含む。筐体62の底部はトラフ形状をしており、その下部に出口ポート64が形成されている。
【0022】
筐体62は、入口壁66および離間した出口壁68a、68bを含む。開口72は、入口壁66を通り抜けて延びて、内部空間または領域62cへの入口を画定する。開口74は、離間した出口壁68a、68bを通り抜けて延びて、内部空間または領域62cからの出口を画定する。図示の実施形態では、離間した出口壁68a、68bは、互いにほぼ平行に配置され、上壁76aと下壁76bとによって結合されている。
【0023】
汚染除去チャンバ30は、通気チャンバ60に隣接して配置されて、筐体32の出口壁38が筐体62の入口壁66に隣接するように配置される。上壁82aおよび下壁82bは、筐体32の出口壁38を筐体62の入口壁66と接続する。図示の実施形態では、筐体32の開口42,44は、コンベヤ14が汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60を通って実質的に直線的に物品12を搬送するように、筐体62の開口72,74とほぼ一直線上に並べられる。汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60は、本発明から乖離することなく他の形状をとってもよいことが企図されており、物品12が汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60の両方を通って搬送される限り、例えば円形であったり、角度が付いていたりしてもよい。
【0024】
大まかに言えば、滅菌剤供給システム100は、液体滅菌剤供給ユニット110と、空調ユニット120と、蒸気化ユニット130と、通気ユニット140と、分解ユニット150とを備える。以下、これらのユニットについて簡単に説明する。前述のユニットの詳細な説明は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献1にて述べられている。
【0025】
液体滅菌剤供給ユニット110は、液体滅菌剤を蒸気化ユニット130に運搬する。供給ライン112は、液体滅菌剤供給ユニット110の貯留機構114を液体滅菌剤の外部供給源116に接続する。滅菌剤供給ライン118は、一端が貯留機構114に接続され、他端が気化器ユニット130に接続される。貯留機構114は、蒸気化ユニット130に連続的で中断のない液体滅菌剤の流れを供給する。液体滅菌剤は、過酸化水素または過酢酸といった滅菌剤を含むことが企図される。
【0026】
空調ユニット120は、以下に詳細に説明するように、清浄で乾燥したキャリアガス(例えば空気)を蒸気化ユニット130、通気ユニット140、および筐体32と筐体62の箇所に運ぶ。空調ユニット120は、蒸気化ユニット130、通気ユニット140、および筐体32および筐体62の箇所で使用される空気を調整、すなわち濾過および乾燥させるために設けられている。
【0027】
空調ユニット120は、空調ユニット120を通過する空気から塵芥を除去するためのフィルタ(図示せず)を含んでいるとよい。空調ユニット120は、空調ユニットを通過する空気を乾燥させるための乾燥剤(図示せず)を含んでいてもよい。空気導入導管122は、環境、すなわち室内気と連通する第1の端部と、空調ユニット120に接続される他端とを有する。第1の空気供給ライン124は、一端が空調ユニット120に接続され、他端が蒸気化ユニット130に接続される。第2の空気供給ライン126は、一端が空調ユニット120に接続され、他端が通気ユニット140に接続される。第3の供給ライン128は、一端が空調ユニット120に接続され、他端が筐体32および筐体62に接続される。具体的には、第3の供給ライン128の一端は、三本(3つ)の分岐、すなわち、第1の分岐128a、第2の分岐128bおよび第3の分岐128cに分かれる。第1の分岐128aは、上壁46aに接続する。第2の分岐78bは、上壁82aに接続する。第3の分岐128cは、上壁76aに接続する。ここで、第1の分岐128aは、離間した入口壁36a、36bの間に画定された空間に空気を運搬する。第2の分岐128bは、出口壁38と入口壁66との間に画定された空間に空気を運搬する。第3の分岐128cは、離間した出口壁68a、68bの間に画定された空間に空気を運搬する。
【0028】
蒸気化ユニット130は、液体滅菌剤供給ユニット110からの滅菌剤供給ライン118に接続されるとともに、空調ユニット120からの第1の空気供給ライン124に接続される。蒸気化ユニット130は、液体滅菌剤供給ユニット110によって供給される液体滅菌剤を気化させる気化器(図示せず)を含んでいるとよい。滅菌剤が過酸化水素である実施形態では、気化器は、液体過酸化水素を蒸気化させるためのホットプレートまたは噴霧ノズルを含んでいるとよい。また、NOやオゾンのようなガス状の滅菌剤も企図されており、液体滅菌剤と組み合せて物品12の汚染除去に使用されてもよい。またNOやオゾンのようなガス状の滅菌剤のみが物品12の汚染除去に使用されてもよいことが企図されている。ガス状の滅菌剤のみが使用される実施形態では、ガス状の滅菌剤が汚染除去チャンバ30に供給され、液体滅菌剤供給ユニット110および蒸気化ユニット130は不要である。
【0029】
蒸気化ユニット130は、導管132によって汚染除去チャンバ30に接続される。マニホールド134が導管132の端部に取り付けられる。マニホールド134は、汚染除去チャンバ30の筐体32内でコンベヤ14下方の位置に配置される。マニホールド134は、汚染除去チャンバ30の筐体32内の内部空間または領域32cと連絡する複数の離間した開口部またはノズル(図示せず)を含む。ノズルは、汚染除去チャンバを通って移動する物品12の表面に加圧された滅菌剤蒸気をほぼ上向きに噴霧する。物品12に滅菌剤蒸気を他の方向で噴霧するために、マニホールド134または追加のマニホールド(図示せず)をコンベヤ14に対して他の位置に(例えば、コンベヤ14の上方や側面に沿って)配置してもよいことが企図されている。
【0030】
通気ユニット140は、空調ユニット120から第2の空気供給ライン126に接続されている。空調ユニット120からの第2の空気供給ライン126は、濾過された空気を通気ユニット140に供給する。通気ユニット140は、送風機、流量計、圧力センサ、温度センサ、フィルタ、およびヒータを含む。上記の構成要素は、参照により本明細書に組み込まれる特許文献1に詳細に記載されている。
【0031】
空気供給導管142は、通気ユニット140を通気チャンバ60に接続する。空気供給導管142に沿った空気の流れを制御するために空気供給導管142にバルブ(図示せず)が配置されているとよい。空気供給導管142の端部にマニホールド144が接続されている。マニホールド144は通気チャンバ60の筐体62内に配置される。マニホールド144は、濾過および加熱された空気を通気チャンバ60に分配するための複数のノズルまたはポート(図示せず)を含む。図示の実施形態では、マニホールド142はコンベヤ14の上方に配置されている。通気ユニット140は、大まかには通気チャンバ60へと加熱、濾過された空気を供給してコンベヤ14上の物品12から滅菌剤蒸気を除去する。加熱、濾過された空気を物品12上に他の方向で噴霧するために、マニホールド144または追加のマニホールド(図示せず)をコンベヤ14に対して他の位置に配置してもよいことが企図されている。
【0032】
排気導管152が、汚染除去チャンバ30の包囲体または筐体32の出口ポート34を分解ユニット150に接続する。第2の排気導管154が、その一端にて分解ユニット150に接続される。第2の排気導管154の他端は、分岐導管154a、154b、154c、154dに分かれる。分岐導管154aは、離間した入口壁36a、36bの間の下壁46bに接続する。分岐導管154bは、出口壁38と入口壁66との間の下壁82bに接続する。分岐導管154cは、包囲体または筐体62の出口ポート64に接続する。分岐導管154dは、離間した出口壁68a、68bの間の下壁76bに接続する。
【0033】
出口導管156は、分解ユニット150を周囲環境に流体的に接続する。分解ユニット150は、分解器(図示せず)を含む。分解器は、大まかにはそこを流れる滅菌剤蒸気を分解するように動作可能な触媒装置である。滅菌剤蒸気が過酸化水素蒸気である実施形態では、触媒装置は、過酸化水素蒸気を水および酸素に変換する。
【0034】
本発明では、複数のセンサが汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60に関連付けられている。複数のセンサは、制御器160(以下に詳細に説明する)に接続され、システム10の動作を示す信号を発する。
【0035】
内部空間または領域32c内でコンベヤ14に近い位置に温度センサ162および滅菌剤蒸気センサ164が配置される。図示の実施形態では、温度センサ162および滅菌剤蒸気センサ164は、汚染除去チャンバ30の筐体32内のマニホールド134内に配置されている。温度センサ162は、マニホールド134を出る滅菌剤蒸気の温度を示す信号を発する。滅菌剤蒸気センサ164は、マニホールド134を出る滅菌剤蒸気の濃度を示す信号を発する。滅菌剤蒸気が過酸化水素である実施形態では、センサ164は近赤外線(IR)センサであることが好ましい。
【0036】
内部空間または領域62c内でコンベヤ14に近い位置に、温度センサ166が配置されている。図示の実施形態では、温度センサ166は通気チャンバ60の筐体62のマニホールド144内に配置されている。温度センサ166は、マニホールド144を出る空気の温度を示す信号を発する。
【0037】
コンベヤ14に対してコンベヤセンサ168が配置されている。コンベヤセンサ168は、汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60を通るコンベヤ14の動きを示す信号を発する。例えば、コンベヤセンサ168は、コンベヤ14が動いているときの速度を示す信号を発するとよい。センサ168は、コンベヤ14の動きを検出するのに有用な、従来知られているセンサ、例えば近接センサとできることが企図されている。
【0038】
制御器160(図2に示す)は、マイクロプロセッサ、メモリデバイス、および無線通信インターフェースを含むことができる。入力/出力手段172(例えばLEDやLCDディスプレイ)が制御器160に接続されている。制御器160は、モータ16、アクチュエータ18、加熱ユニット52、そして液体滅菌剤供給ユニット110、空調ユニット120、蒸気化ユニット130、通気ユニット140、および分解器150の様々な構成要素に接続されており、制御器160がその動作を制御することが可能になっている。
【0039】
制御器160は、システム10に関連付けられた様々なセンサからの信号を受信する。特に、制御器160は、センサ54,56,162,164,166,168、そして液体滅菌剤供給ユニット110、空調ユニット120、蒸気化ユニット130、通気ユニット140、および分解器150の様々なセンサからの信号を受信する。制御器160は、以下に説明するように、システム10の動作を制御するために、上記のセンサからの信号を連続的に監視するようにプログラムされる。
【0040】
ここで、本発明の動作について述べると、制御器160は、コンベヤ14によって搬送方向「L」に沿って搬送される物品12が汚染除去されるように、システム10を動作させるようにプログラムされる。
【0041】
物品12を滅菌剤蒸気に曝露する前に、制御装置160は、汚染除去サイクルの調整フェイズでシステム10を制御する。調整フェイズの間、制御器160は、空調ユニット120が第3の空気供給ライン128に沿って清浄な乾燥空気を運搬するようにシステム10を制御する。すると空気は第1の分岐導管128a、第2の分岐導管128bおよび第3の分岐導管128cに沿って流れる。第1の分岐導管128aを出る空気は、離間した入口壁36a、36bの間を下方向に流れて下壁46bに接続された分岐導管154aへと流れる。離間した壁36a、36bの間を流れる空気は、入口端部32aを周囲環境から分離する「空気のカーテン」を形成する。こうして、「空気のカーテン」は、汚染除去チャンバ30内の空気が周囲環境に逃げるのを防止し、周囲環境からの湿気および周囲空気が汚染除去チャンバ30に入るのを防止する。
【0042】
空調ユニット120から第2の分岐導管128bに沿って流れる空気は、筐体32の出口壁38と筐体62の入口壁66との間を下方向に流れ、下壁82bに接続された分岐導管154bへと流れる。出口壁38と入口壁66との間を流れる空気は、筐体32の出口端部32bを筐体62の入口端62aから流体的に隔離する「空気のカーテン」を形成する。
【0043】
空調ユニット120から第3の分岐導管128cに沿って流れる空気は、離間した出口壁68a、68bの間を下方向に流れて、下壁76bに接続された分岐導管154dへと流れる。離間した出口壁68a、68bの間を流れる空気は、筐体60の出口端部62bを周囲環境から分離する「空気のカーテン」を形成する。第1の分岐導管128a、第2の分岐導管128bおよび第3の分岐導管128cからそれぞれ分岐導管154a、154bおよび154dに流れ込む空気は、その後、分解ユニット150へ運搬される。
【0044】
上述した「空気のカーテン」が形成された後、制御器160は、空調ユニット120に、乾燥した清浄空気を蒸気化ユニット130および通気ユニット140へと運搬させる。また制御器160は、液体滅菌剤供給ユニット110に、液体滅菌剤を蒸気化ユニット130へと運搬させる。制御器160は、通気ユニット140を制御して、通気チャンバ60内のマニホールド144へと運搬される空気の温度を、温度センサ166による測定下で予め定められた許容温度範囲内に維持するようにさせる。制御器160は、蒸気化ユニット130を制御して、滅菌剤蒸気を、温度センサ162による測定下で予め定められた許容温度範囲内の温度、かつ滅菌剤蒸気センサ164による測定下で予め定められた許容濃度範囲内の濃度で、汚染除去チャンバ30内のマニホールド134へと供給するようにさせる。本発明の実施形態の一例においては、滅菌剤蒸気は、約1.0×10−9kg/Lと約0.01kg/Lの間の濃度、かつ約15℃と約90℃の間の温度に維持される。本発明の別の実施形態においては、滅菌剤蒸気は、約7.0×10−4kg/Lと約8.5×10−3kg/Lの間の濃度に維持される。
【0045】
汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60を出る空気は、それぞれ、排気管152および第3の分岐導管154cに沿って、分解ユニット150へと流れる。分解ユニット150に運搬された滅菌剤蒸気は分解された後、出口導管156を通って周囲環境へ排気される。
【0046】
制御器160は、筐体32の内部空間または領域32cが負圧に維持されるように空調ユニット120および分解ユニット150を制御する。この負圧は、汚染除去プロセス中に有害な病原体が汚染除去チャンバ30から逃げるかもしれないというリスクを低減するように選択される。また制御器160は、筐体32の内部空間または領域32cが大気圧に維持されるように、空調ユニット120および分解ユニット150を制御することもできることが企図される。
【0047】
マニホールド134内の滅菌剤蒸気の温度および濃度、およびマニホールド144内の空気の温度が上述の予め定められた許容範囲内に入ると、制御器160は、調整フェイズを終了する。次に制御器160は、汚染除去フェイズの間、システム10を制御する。汚染除去フェイズの間に、制御器160はモータ16を動作させて、コンベヤ14が汚染除去チャンバ30および通気チャンバ60を通して物品12を搬送するようにさせる。物品12が離間した入口壁36a、36bの間に形成される空気のカーテンを通過した後、第1の温度センサ54が物品12の温度を測定する。物品12の温度が予め定められた温度範囲の下限を下回る場合、制御器160は加熱ユニット52を動作させて物品12を予め定められた温度範囲内の温度へと加熱する。第2の温度センサ56は、加熱ユニット52後の物品12の温度を測定し、物品12が予め定められた温度範囲内の温度に加熱されたかどうかを判定する。
【0048】
制御器160は、加熱ユニット52に供給される電力およびコンベヤ14の速度を調節して、物品12を上述の予め定められた温度範囲内へと加熱するようにプログラムされている。ここで、制御装置160は、物品12が上述の予め定められた温度範囲の上限を超える温度に加熱された場合、コンベヤ14の速度を増加させ、かつ/または加熱ユニット52に供給される電力を減少させるようにプログラムされている。同様に、制御器160は、物品12が上述の予め定められた温度範囲の下限を超える温度に加熱されない場合、コンベヤ14の速度を低下させ、かつ/または加熱ユニット52に供給される電力を増加させるようにプログラムされている。
【0049】
当然ながら、システム10が、物品12が予め定められた温度範囲内の温度に加熱される定常状態条件が達成されるまでの間に、汚染除去チャンバ30を通して複数の物品12を搬送することが必要な場合がある。予め定められた温度範囲内の温度まで加熱されない物品12は廃棄されるか、元に戻してシステム10内で再処理されるかされる。
【0050】
物品12の予め定められた温度範囲の上限は約90℃であることが企図されている。物品12が卵である本発明の実施形態では、制御器160は、物品12を約60℃未満の温度に加熱するように加熱ユニット52を制御する。上記の上限は、卵が火を通されないようにするか、または他の有害な作用(例えば、凝固)を引き起こさないように選択される。
【0051】
また物品12の予め定められた温度範囲の下限は、マニホールド134を出る滅菌剤蒸気の温度よりも高い温度であることが企図されている。こうして、マニホールド134から出る滅菌剤蒸気は、物品12上で凝縮することが防止される。物品12が卵である実施形態では、物品12上での滅菌剤の凝縮は滅菌剤が卵の多孔質外面を貫通し得る可能性を増加させる。卵の外面を貫通した滅菌剤の除去は困難であることと、滅菌剤が人間に与える有害な影響のことから、卵上での滅菌剤の凝結を防ぐことが望ましい。
【0052】
物品12がマニホールド134上を通過するとき、アクチュエータ18は、その上に配置された物品12がかすかに動くように、コンベヤ14と繰り返し係合する。物品12のかすかな動きは、物品12のどこかの部分が汚染除去フェイズの全体にわたってコンベヤ14と接触したままになることを防止するように意図されている。物品12のかすかな動きにより、物品12とコンベヤ14との間の接触点が変化し、それによって物品12の表面全体が滅菌剤蒸気に曝される。
【0053】
またマニホールド134からの空気の流速は、物品12がコンベヤ14の上方で「空気のクッション」上にわずかに浮かぶように選択されてもよいことが企図されている。これにより、滅菌剤蒸気に曝される間、物品12のいかなる部分もコンベヤ14に接触せず、それによって物品12の外面全体が滅菌剤蒸気に曝される。
【0054】
また制御器160は、コンベヤセンサ168によって測定されるコンベヤ12の速度が、予め定められた期間にわたって物品12が汚染除去チャンバ30内に配置されるものとなるように、モータ16を制御する。物品12の外面を滅菌剤蒸気が貫通しないようにしながら物品12が汚染除去されることを保証するように、ユーザによって予め定められた期間が選択される。物品12が卵である実施形態では、滅菌剤蒸気が卵の殻を貫通しないように、予め定められた期間は約三十(30)秒未満である。予め定められた期間および滅菌剤蒸気の予め定められた濃度は、サルモネラなどの病原体の5logの減少をもたらするように選択される。
【0055】
次に、コンベヤ14は、物品12を、汚染除去チャンバ30と通気チャンバ60との間に配置された空気のカーテンに通し、筐体62の内部空間または領域62cへと搬送する。内部空間または領域62cに入ると、物品12は、マニホールド144を出る乾燥した清浄空気に曝される。乾燥した清浄空気は物品12から滅菌剤蒸気を除去する。空気および除去された滅菌剤蒸気は、分岐導管154cに沿って出口ポート64を通って内部空間または領域62cを出て、滅菌器150に運ばれる。
【0056】
通気チャンバ60が中和剤の供給源に接続してもよいことが企図されている。滅菌剤蒸気が過酸化水素蒸気である実施形態では、中和剤が物品12上の過酸化水素蒸気を中和して、物品12が人間の摂取に関して安全であるようにする。中和剤は、チオ硫酸ナトリウム、メチル硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムあるいはその他の還元剤を含むとよい。
【0057】
物品12がユーザの定義した期間にわたって通気チャンバ60内に留まった後、コンベヤ14は、物品12を、離間した出口壁68a、68bの間に形成された空気のカーテンを通して運ぶ。必要であれば、物品12はさらなる処理のためにシステム10を出る。
【0058】
このように、本発明は、多孔質外面を有する食用物品を汚染除去するための方法およびシステムを提供する。具体的には、本発明は、所定の速度で汚染除去チャンバを通して食用物品を搬送し、所定の濃度を有する滅菌剤蒸気に食用物品を曝露する。本発明は、滅菌剤蒸気が食用物品の外側多孔質表面を貫通するのを防止するように選択された所定期間、食用物品を滅菌剤蒸気に曝露する。さらに、本発明は、食用物品の外面全体が滅菌剤蒸気に曝露されるように、汚染除去フェイズの間、食用物品を動かし続けるか、コンベヤの上で浮かべる。さらに、滅菌剤蒸気の温度は、食用物品の汚染を除去し、食用物品に望ましくない副作用(例えば部分加熱)を引き起こさないように選択される。本発明の実施形態の一例では、食用物品の多孔質外面上での滅菌剤蒸気の凝縮を防止する温度まで食用物品を加熱する。
【0059】
これまで知られていた方法およびシステムは、食用物品を滅菌剤蒸気に過度に曝露したり、食用物品を過度に熱したりするものであり、それによって、部分的に調理された食用物品といった望ましくない副作用や食用物品への滅菌剤蒸気の貫通を引き起こしがちであった。本発明は、上記の問題を克服し、これまで知られているシステムと比較して、食用物品の効率的で迅速な汚染除去を可能にする。
【0060】
以上の説明は、本発明の特定の実施形態の一例である。この実施形態は説明のためだけに記述されたものであり、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく様々に変形および改善を当業者が実施できることを理解されたい。そそうしたあらゆる変形および改善は、それが特許請求の範囲に記載されたものまたはその均等物に属する限り本発明の範囲に含まれることが意図されている。
図1
図2