特許第6726786号(P6726786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6726786クランプ力制限機構を有する止血鉗子型超音波手術用器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6726786
(24)【登録日】2020年7月1日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】クランプ力制限機構を有する止血鉗子型超音波手術用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20200713BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   A61B17/00 700
   A61B17/32 510
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-88227(P2019-88227)
(22)【出願日】2019年5月8日
(65)【公開番号】特開2019-213849(P2019-213849A)
(43)【公開日】2019年12月19日
【審査請求日】2019年5月8日
(31)【優先権主張番号】16/006,954
(32)【優先日】2018年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エス. カウリー
【審査官】 高松 大
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−514566(JP,A)
【文献】 特表2016−538071(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0224348(US,A1)
【文献】 特開2013−192953(JP,A)
【文献】 特表2010−534522(JP,A)
【文献】 特開2010−167084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0191713(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0148831(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波手術用器具であって、
第1のシャフト部材と、
前記第1のシャフト部材から遠位に延在する顎部材と、
第2のシャフト部材と、
前記第2のシャフト部材から遠位に延在し、前記顎部材に対向するように位置付けられている超音波ブレードと、
離間位置と近接位置との間での前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材の互いに対する移動により、前記顎部材及び前記超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備え、前記力制限ヒンジアセンブリが、前記第1のシャフト部材又は前記第2のシャフト部材のうちの一方にその第1の端部において固定的に係合され、前記第1のシャフト部材又は前記第2のシャフト部材の他方にその第2の端部において枢動可能に連結されているヒンジアームを含み、前記ヒンジアームが屈曲して、前記顎部材と前記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている、超音波手術用器具。
【請求項2】
前記ヒンジアームの前記第1の端部が前記第2のシャフト部材と固定的に係合されており、前記ヒンジアームの前記第2の端部が、前記第1のシャフト部材に枢動可能に連結されている、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項3】
前記ヒンジアームの前記第1の端部が、前記第1のシャフト部材又は前記第2のシャフト部材のうちの1つと一体的に形成される、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項4】
ピボットピンが、前記ヒンジアームの前記第2の端部を前記第1のシャフト部材又は前記第2のシャフト部材の他方と枢動可能に連結する、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項5】
前記ヒンジアームが弾性的に可撓性である、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項6】
前記顎部材が、構造体と、前記構造体上に支持された組織パッドと、を含む、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項7】
前記第2のシャフト部材によって支持されるトランスデューサ及び導波管アセンブリを更に備え、前記トランスデューサ及び導波管アセンブリは、超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサに連結され、前記超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管と、を含み、前記超音波ブレードが、前記超音波導波管の遠位端に画定される、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項8】
前記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、前記第2のシャフト部材から取り外し可能である、請求項7に記載の超音波手術用器具。
【請求項9】
前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材のそれぞれが、その近位端に向かって配置されたハンドルを含み、前記ハンドルは、前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材の、前記離間位置と前記接近位置との間での互いに対する移動を容易にするように構成されている、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項10】
前記第2のシャフト部材上に配設された起動ボタンを更に備え、前記起動ボタンが、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを供給するために選択的に起動可能である、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項11】
前記ヒンジアームが、前記顎部材と前記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を、前記クランプ力が最大クランプ力を超えることを阻止するように屈曲することによって調節する、請求項1に記載の超音波手術用器具。
【請求項12】
超音波手術用器具であって、
シャフト部分と、前記シャフト部分から遠位に延在する顎部材と、を含む、第1のシャフト部材と、
トランスデューサ及び導波管アセンブリを支持する第2のシャフト部材であって、前記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、超音波トランスデューサと、前記超音波トランスデューサに連結され、前記超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管とを含み、超音波ブレードが、前記超音波導波管の遠位端に画定され、前記顎部材に対向するように位置付けられている、第2のシャフト部材と、
離間位置と近接位置との間での前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材の互いに対する移動により、前記顎部材及び前記超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備え、前記力制限ヒンジアセンブリが、前記第2のシャフト部材にその第1の端部において固定的に係合され、前記第1のシャフト部材にその第2の端部において枢動可能に連結されているヒンジアームを含み、前記ヒンジアームが屈曲して、前記顎部材と前記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている、超音波手術用器具。
【請求項13】
前記ヒンジアームの前記第1の端部が、前記第2のシャフト部材と一体的に形成される、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項14】
ピボットピンが、前記ヒンジアームの前記第2の端部を前記第1のシャフト部材と枢動可能に連結する、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項15】
前記ヒンジアームが弾性的に可撓性である、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項16】
前記顎部材が、構造体と、前記構造体上に支持された組織パッドと、を含む、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項17】
前記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、前記第2のシャフト部材から取り外し可能である、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項18】
前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材のそれぞれが、その近位端に向かって配置されたハンドルを含み、前記ハンドルは、前記第1のシャフト部材及び前記第2のシャフト部材の、前記離間位置と前記接近位置との間の互いに対する移動を容易にするように構成されている、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項19】
前記第2のシャフト部材上に配設された起動ボタンを更に備え、前記起動ボタンが、前記超音波ブレードに超音波エネルギーを供給するために選択的に起動可能である、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【請求項20】
前記ヒンジアームが、前記顎部材と前記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を、前記クランプ力が最大クランプ力を超えることを阻止するように屈曲することによって調節する、請求項12に記載の超音波手術用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波手術用器具に関し、より具体的には、クランプ力を最大クランプ力に制限するように構成されている止血鉗子型超音波手術用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波手術用器具は超音波エネルギー、すなわち超音波振動を利用して組織の処置を行う。より具体的には、超音波手術用器具は、超音波周波数で伝達された機械振動エネルギーを利用して、止血をもたらす組織の凝固、焼灼、融着、封止、切開、乾燥、及び/又は電気破壊を行う。
【0003】
超音波手術用器具は、典型的には、超音波手術用器具のハンドルに連結され、導波管に沿って超音波エネルギーで組織を治療するように設計された超音波手術用器具のエンドエフェクタに伝達するための超音波エネルギーを生成するように構成されている、トランスデューサを利用する。トランスデューサは、超音波手術用器具のハンドル上又はハンドル内に搭載される超音波発生器によって駆動され、又は、例えば、手術用ケーブルを介して超音波手術用器具に接続されたセットトップボックスとして遠隔配置され得る。超音波手術用器具のエンドエフェクタは、組織に適用するために導波管からの超音波エネルギーを受容するブレードと、ブレードと顎部材との間に組織をクランプしてその治療を容易にするように構成されている顎部材と、を含んでもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここで用いる用語「遠位」は、使用者からより遠くにあると記載されている部分を意味し、また、「近位」は、使用者により近くにあると記載されている部分を意味する。更に、本明細書に記載される態様のいずれか又は全ては、矛盾しない範囲で、本明細書に記載される他の態様のいずれか又は全てと組み合わせて使用されてもよい。
【0005】
本開示の態様によれば、第1シャフト部材と、第1シャフト部材から遠位に延在する顎部材と、第2のシャフト部材と、第2のシャフト部材から遠位に延在し、顎部材に対向するように位置付けられた超音波ブレードと、離間位置と近接位置との間での第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材の互いに対する移動により、顎部材及び超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備える、超音波手術用器具が提供される。力制限ヒンジアセンブリは、第1のシャフト部材又は第2のシャフト部材のうちの一方にその第1の端部において固定的に係合され、第1のシャフト部材又は第2のシャフト部材の他方にその第2の端部において枢動可能に連結されている、ヒンジアームを含む。ヒンジアームは、屈曲して、顎部材と超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている。
【0006】
本開示の一態様では、ヒンジアームの第1の端部は、第2のシャフト部材に固定的に係合され、ヒンジアームの第2の端部は、第1のシャフト部材に枢動可能に連結される。
【0007】
本開示の別の態様では、ヒンジアームの第1の端部は、第1のシャフト部材又は第2のシャフト部材のうちの1つと一体的に形成される。
【0008】
本開示の更に別の態様では、ピボットピンは、ヒンジアームの第2の端部を第1のシャフト部材又は第2のシャフト部材の他方と枢動可能に連結する。
【0009】
本開示のなお別の態様では、ヒンジアームは、弾性的に可撓性である。
【0010】
本開示の更になお別の態様では、顎部材は、構造体と、構造体上に支持された組織パッドと、を含む。
【0011】
本開示の別の態様では、トランスデューサ及び導波管アセンブリは、第2のシャフト部材によって支持される。トランスデューサ及び導波管アセンブリは、超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに連結され、超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管と、を含む。超音波ブレードは、超音波導波管の遠位端に画定される。
【0012】
本開示の別の態様では、トランスデューサ及び導波管アセンブリは、第2のシャフト部材から取り外し可能である。
【0013】
本開示のなお別の態様では、第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材のそれぞれは、その近位端に向かって配設されたハンドルを含む。ハンドルは、第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材の、離間位置と近接位置との間の互いに対する移動を容易にするように構成されている。
【0014】
本開示の更に別の態様では、起動ボタンは、第2のシャフト部材上に配設される。起動ボタンは、超音波ブレードに超音波エネルギーを供給するために選択的に起動可能である。
【0015】
本開示の更になお別の態様では、ヒンジアームは、顎部材と超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を、クランプ力が最大クランプ力を超えることを阻止するように屈曲することによって調節する。
【0016】
本開示の態様によって提供される別の超音波手術用器具は、シャフト部分及びシャフト部分から遠位に延在する顎部材を含む第1のシャフト部材と、トランスデューサ及び導波管アセンブリを支持する第2のシャフト部材と、力制限ヒンジアセンブリと、を備える。トランスデューサ及び導波管アセンブリは、超音波トランスデューサと、超音波トランスデューサに連結され、超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管と、を含む。超音波ブレードは、超音波導波管の遠位端に画定され、顎部材に対向するように位置付けられる。力制限ヒンジアセンブリは、離間位置と近接位置との間での第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材の移動により、顎部材及び超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、第1のシャフト部材及び第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する。力制限ヒンジアセンブリは、第2のシャフト部材にその第1の端部において固定的に係合され、第1のシャフト部材にその第2の端部において枢動可能に連結されている、ヒンジアームを含む。ヒンジアームは、屈曲して、顎部材と超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている。超音波手術用器具は、上述又は本明細書の別の場所に詳述される他の態様及び/又は特徴のうちのいずれかを更に含んでもよい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
超音波手術用器具であって、
第1のシャフト部材と、
上記第1のシャフト部材から遠位に延在する顎部材と、
第2のシャフト部材と、
上記第2のシャフト部材から遠位に延在し、上記顎部材に対向するように位置付けられている超音波ブレードと、
離間位置と近接位置との間での上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材の互いに対する移動により、上記顎部材及び上記超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備え、上記力制限ヒンジアセンブリが、上記第1のシャフト部材又は上記第2のシャフト部材のうちの一方にその第1の端部において固定的に係合され、上記第1のシャフト部材又は上記第2のシャフト部材の他方にその第2の端部において枢動可能に連結されているヒンジアームを含み、上記ヒンジアームが屈曲して、上記顎部材と上記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている、超音波手術用器具。
(項目2)
上記ヒンジアームの上記第1の端部が上記第2のシャフト部材と固定的に係合されており、上記ヒンジアームの上記第2の端部が、上記第1のシャフト部材に枢動可能に連結されている、上記項目に記載の超音波手術用器具。
(項目3)
上記ヒンジアームの上記第1の端部が、上記第1のシャフト部材又は上記第2のシャフト部材のうちの1つと一体的に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目4)
ピボットピンが、上記ヒンジアームの上記第2の端部を上記第1のシャフト部材又は上記第2のシャフト部材の他方と枢動可能に連結する、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目5)
上記ヒンジアームが弾性的に可撓性である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目6)
上記顎部材が、構造体と、上記構造体上に支持された組織パッドと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目7)
上記第2のシャフト部材によって支持されるトランスデューサ及び導波管アセンブリを更に備え、上記トランスデューサ及び導波管アセンブリは、超音波トランスデューサと、上記超音波トランスデューサに連結され、上記超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管と、を含み、上記超音波ブレードが、上記超音波導波管の遠位端に画定される、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目8)
上記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、上記第2のシャフト部材から取り外し可能である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目9)
上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材のそれぞれが、その近位端に向かって配置されたハンドルを含み、上記ハンドルは、上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材の、上記離間位置と上記接近位置との間での互いに対する移動を容易にするように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目10)
上記第2のシャフト部材上に配設された起動ボタンを更に備え、上記起動ボタンが、上記超音波ブレードに超音波エネルギーを供給するために選択的に起動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目11)
上記ヒンジアームが、上記顎部材と上記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を、上記クランプ力が最大クランプ力を超えることを阻止するように屈曲することによって調節する、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目12)
超音波手術用器具であって、
シャフト部分と、上記シャフト部分から遠位に延在する顎部材と、を含む、第1のシャフト部材と、
トランスデューサ及び導波管アセンブリを支持する第2のシャフト部材であって、上記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、超音波トランスデューサと、上記超音波トランスデューサに連結され、上記超音波トランスデューサから遠位に延在する超音波導波管とを含み、超音波ブレードが、上記超音波導波管の遠位端に画定され、上記顎部材に対向するように位置付けられている、第2のシャフト部材と、
離間位置と近接位置との間での上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材の互いに対する移動により、上記顎部材及び上記超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で互いに対して移動するように、上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備え、上記力制限ヒンジアセンブリが、上記第2のシャフト部材にその第1の端部において固定的に係合され、上記第1のシャフト部材にその第2の端部において枢動可能に連結されているヒンジアームを含み、上記ヒンジアームが屈曲して、上記顎部材と上記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている、超音波手術用器具。
(項目13)
上記ヒンジアームの上記第1の端部が、上記第2のシャフト部材と一体的に形成される、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目14)
ピボットピンが、上記ヒンジアームの上記第2の端部を上記第1のシャフト部材と枢動可能に連結する、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目15)
上記ヒンジアームが弾性的に可撓性である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目16)
上記顎部材が、構造体と、上記構造体上に支持された組織パッドと、を含む、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目17)
上記トランスデューサ及び導波管アセンブリが、上記第2のシャフト部材から取り外し可能である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目18)
上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材のそれぞれが、その近位端に向かって配置されたハンドルを含み、上記ハンドルは、上記第1のシャフト部材及び上記第2のシャフト部材の、上記離間位置と上記接近位置との間の互いに対する移動を容易にするように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目19)
上記第2のシャフト部材上に配設された起動ボタンを更に備え、上記起動ボタンが、上記超音波ブレードに超音波エネルギーを供給するために選択的に起動可能である、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(項目20)
上記ヒンジアームが、上記顎部材と上記超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を、上記クランプ力が最大クランプ力を超えることを阻止するように屈曲することによって調節する、上記項目のいずれか一項に記載の超音波手術用器具。
(摘要)
超音波手術用器具は、第1シャフト部材と、第1シャフト部材から遠位に延在する顎部材と、第2のシャフト部材と、第2のシャフト部材から遠位に延在し、顎部材に対向するように位置付けられた超音波ブレードと、離間位置と近接位置との間でのシャフト部材の移動により、顎部材及び超音波ブレードが、それらの間に組織をクランプするために開放位置とクランプ位置との間で移動するように、シャフト部材を互いに動作可能に連結する力制限ヒンジアセンブリと、を備える。力制限ヒンジアセンブリは、シャフト部材のうちの一方にその第1の端部において固定的に係合され、シャフト部材の他方にその第2の端部において枢動可能に連結されている、ヒンジアームを含む。ヒンジアームは、屈曲して、顎部材と超音波ブレードとの間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を調節するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の上述及びその他の態様並びに特徴は、添付の図面と共に以降の詳細な説明を考慮することでより明白となる。添付の図面において、同様の参照符号は類似又は同一の要素を識別する。
【0018】
図1】本開示により提供される止血鉗子型超音波手術用器具の側面図である。
【0019】
図2図1の超音波手術用器具のトランスデューサ及び導波管アセンブリの拡大側面図である。
【0020】
図3】トランスデューサ及び導波管アセンブリが取り外された、図1に「3」と示す細部の領域の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照すると、本開示に従って提供される止血鉗子型超音波手術用器具は、一般に、参照番号10によって識別されて示される。超音波手術用器具10は、手術用超音波発生器(図示せず)に動作可能に連結するように構成されており、一般に、2つの細長いシャフト部材110a、110bと、起動ボタン140と、エンドエフェクタアセンブリ160と、力制限ヒンジアセンブリ180と、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200と、を備える。
【0022】
各シャフト部材110a、110bは、その近位端112a、112bに向かって配設されたハンドル111a、111bを含む。各ハンドル111a、111bは、その中にユーザーの指を受け入れるための指穴113a、113bを画定する。シャフト部材のうちの1つ、例えば、シャフト部材110aは、その遠位端114aから延在するエンドエフェクタアセンブリ160の顎部材164を含む。他のシャフト部材、例えばシャフト部材110bは、その中にトランスデューサ及び導波管アセンブリ200を受容するように構成されている細長い本体115を画定する。細長い本体115は、その上に起動ボタン140を取り付ける。トランスデューサ及び導波管アセンブリ200は、細長い本体115を通って着脱自在に挿入できてそれに係合してもよく、又は細長い本体115内に恒久的に取り付けられてもよい。いずれの構成においても、細長い本体115は、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200を内部に受容及び係合するように構成されており、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200のブレード162は、細長い本体115の遠位端114bから遠位に延在し、シャフト部材110aの顎部材164に対向するように位置付けられる。シャフト部材110a、110bは、以下に詳述するように、力制限ヒンジアセンブリ180を介してそれぞれ遠位端114a、114bに向かって互いに連結され、顎部材164がブレード162に対して枢動してそれらの間に組織をクランプすることを可能にする。
【0023】
図2を参照すると、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200は、ハウジング210と、ハウジング210内に配設された超音波トランスデューサ212、例えば圧電スタックと、ハウジング210内に配設され、超音波トランスデューサ212に連結された超音波ホーン214と、ハウジング210内で、例えば解除可能なねじ付き係合を介して超音波ホーン214に連結され、ハウジング210から遠位に延在して、ハウジング210から遠位に離間された超音波導波管220の遠位にあるエンドエフェクタアセンブリ160の超音波ブレード162を画定する、超音波導波管220と、を備える。トランスデューサ及び導波管アセンブリ200は、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200の超音波発生器(図示せず)への接続を可能にするために、ハウジング210から近位に延在するケーブル240を更に含む。あるいは、ケーブル240は、超音波手術用器具10上の別の好適な位置、例えばハンドル111bから延在してもよい。
【0024】
圧電スタック214は、それらの間に配置された電極と共に積み重ねられた複数の圧電素子を含み、超音波発生器(図示せず)によって提供され、ケーブル240(図1)を通って延在するワイヤ242を介してそこに供給される電気エネルギーを、超音波ホーン214を介して超音波導波管220に伝達される機械エネルギーに変換するように構成されている。超音波導波管220は次に、ブレード162が超音波周波数で振動するように、超音波導波管220の遠位端でブレード162に機械エネルギーを伝達するように構成されている。
【0025】
図1も参照すると、トランスデューサ及び導波管アセンブリ200は、ハウジング210上に配設され、ハウジング210及びケーブル240を通って超音波発生器(図示せず)まで延在するワイヤ252に電気的に結合された外部接点250を更に含んでもよい。接点250は、シャフト部材110bの細長い本体115内に配設され、超音波手術用器具10の起動ボタン140に電気的に結合された対応する接点142と嵌合し、超音波手術用器具10の選択的起動を可能にするように構成されている。起動ボタン140は、より具体的には、超音波発生器からの電気エネルギーをトランスデューサ及び導波管アセンブリ200に供給するための第1の位置及び第2の位置で選択的に起動可能であり、超音波器具10をそれぞれ低出力操作モード及び高出力操作モードで操作できる。
【0026】
引き続き図1及び2を参照すると、上記のように、超音波導波管220は、ハウジング210から遠位に延在し、その遠位端においてエンドエフェクタアセンブリ160のブレード162を画定する。シャフト部材110a、110bが、力制限ヒンジアセンブリ180を介してそれぞれそれらの遠位端114a、114bに向かって連結しているため、ハンドル111a、111bは、互いに対して移動し、それによって、顎部材164がブレード162から離間している開放位置と、顎部材164がブレード162に対してそれと並列配置で接近し、それらの間に組織をクランプするための閉鎖位置との間で、顎部材164をブレード162に対して枢動させることができる。
【0027】
エンドエフェクタアセンブリ160は、ブレード162及び顎部材164を含む。ブレード162は、直線構成又は、例えば、ブレード162の遠位先端部が顎部材164に向かって、顎部材164から離れる方向に、若しくは顎部材164に対して横方向(いずれかの方向)に湾曲するように、顎部材164に対して任意の方向に湾曲した湾曲構成を画定してもよい。ブレード162は、ブレード162が複数の曲線を含む、及び/又は複数の方向に湾曲している、多湾曲構成を更に画定してもよい。
【0028】
顎部材164は、実質的に剛性の(材料及び製造公差内)顎構造体165を含み、これは、シャフト部材110aの遠位端114aと一体的に形成されるか、ないしは別の方法で係合され得る。顎部材164は、顎構造体165上に支持され、ブレード162に対向するように位置付けられた組織パッド166を更に含む。組織パッド166は、柔軟な材料、例えば、PTFEから少なくとも部分的に形成され、ブレード162が起動されると、組織のクランプを容易にし、組織上でクランプを維持するように機能する。組織パッド166はまた、ブレード162と顎構造体165との間の接触を防ぐことによって、ブレード162、顎構造体165、及び周囲を損傷から保護する。
【0029】
図1と共に図3を参照すると、上記のように、第1のシャフト部材110a及び第2のシャフト部材110bは、力制限ヒンジアセンブリ180を介して、そのそれぞれの遠位端114a、114bに向かって互いに連結されている。力制限ヒンジアセンブリ180は、ピボットピン182及びリビングヒンジアーム184を含む。以下に詳述するリビングヒンジアーム184は、ブレード162と顎部材164との間にクランプされた組織に加えられるクランプ力を最大クランプ力に制限することによって、力制限機構を提供するように構成されている。リビングヒンジアーム184を形成する材料、リビングヒンジアーム184の長さ、リビングヒンジアーム184の形状、リビングヒンジアーム184の厚さ、及び/又はその他因子は、以下に詳述するように、クランプ力を所望の最大クランプ力に制限するための定荷重ばねとして作用するリビングヒンジアーム184が得られるように調整される。
【0030】
リビングヒンジアーム184は、第1の端部185及び第2の端部187を含む。リビングヒンジアーム184の第1の端部185は、シャフト部材のうちの1つ、例えば第2のシャフト部材110bの細長い本体115と一体的に形成されるか、ないしは別の方法で係合され、リビングヒンジアーム184の第2の端部187は、ピボットピン182を介してシャフト部材の他方、例えば第1のシャフト部材110aに枢動可能に連結される。第2の端部187は、より具体的には、第1のシャフト部材110aの一方の側に配設されてもよく、又は、リビングヒンジアーム184の第2の端部187を通って画定される枢動開口部188が、第1のシャフト部材110aを通って画定される枢動開口部119と整列するように、第1のシャフト部材110a内に画定されたスロット(明示的に示されていない)内に受容されてもよい。ピボットピン182は、位置合わせされた開口部119、188を通って延在し、リビングヒンジアーム184の第2の端部187を第1のシャフト部材110aと枢動可能に連結する。このようにして、第1のシャフト部材110aは、ピボットピン182の周りで第2のシャフト部材110bに対して移動可能である。より具体的には、シャフト部材110a、110b、のそれぞれのハンドル111a、111bの互いに対する移動に応じて、顎部材164は、ブレード162に対して、かつピボットピン182を中心に、顎部材164がブレード162から離間している開放位置から、顎部材164がブレード162に対してそれと並列配置で接近し、それらの間に組織をクランプするための閉鎖位置まで枢動する。特に、枢動点、例えばピボットピン182の位置は第1のシャフト部材110aに沿って配設されているが、枢動点は第2のシャフト部材110bから離間している。
【0031】
ピボットピン182を中心とした第2のシャフト部材110bに対する第1のシャフト部材110aの枢動可能な移動に加えて、第1のシャフト部材110aはまた、ピボットピン182を中心とした枢動とは無関係に、第2のシャフト部材110bに対しても移動可能である。より具体的には、顎部材164とブレード162との間の組織をクランプするための、シャフト部材110a、110bのそれぞれのハンドル111a、111bの互いに向かう初期移動中、シャフト部材110aと110bとの間の相対運動は、ピボットピン182の周りでの枢動である。しかしながら、顎部材164がブレード162に向かって十分に枢動して、最大クランプ力下でそれらの間に組織をクランプするように、シャフト部材110a、110bを十分に枢動させると、ハンドル111a、111bを互いに向かって更に付勢しても、シャフト部材110a、110bの互いに対する更なる枢動は生じず、その代わりに、リビングヒンジアーム184の第2の端部187がその第1の端部185に対して移動するようにリビングヒンジアーム184の屈曲をもたらし、それによって、顎部材164がブレード162に向かって更に枢動することなく、第1のシャフト部材110aが第2のシャフト部材110bに向かって更に移動することを可能にする。このようにして、ハンドル111a、111bが互いに向かって更に移動しても、顎部材164とブレード162との間にクランプされた組織に更なるクランプ力を加えないことによって、力制限機構が実装される。
【0032】
使用中、上記で詳述したように、顎部材164とブレード162との間に最大クランプ力で組織がクランプされている状態で、ブレード162を、例えば、起動ボタン140を押下することによって起動し、トランスデューサ212から導波管220に沿ってブレード162に超音波エネルギーを供給できる。ブレード162に供給された超音波エネルギーを用いて、顎部材164とブレード162との間にクランプされた組織の、例えば、凝固、焼灼、融着、封止、切開、乾燥、電気破壊などの処置を行う。そのクランプ力が最大クランプ力を確実に超えないことにより、一貫したクランプ力を達成することができ、その結果、より確実な組織処置を行うことができる。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上述の説明及び添付の図面は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。
図1
図2
図3