(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の熱硬化性組成物の一態様は、
(a1)固形ゴム、
(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマー、
(a3)組成物の総重量に対して0〜22重量%の炭化水素系樹脂、および
(a4)液状ポリジエン
を含む成分(a)と、
(b1)組成物の総重量に対して1〜3重量%の硫黄、および
(b2)組成物の総重量に対して0〜0.2重量%の有機加硫剤
を含む成分(b)と
を含む。
【0013】
本発明の熱硬化性組成物から、広い温度領域において制振性を有し、かつ、高温硬化による強度の低下が抑制された硬化生成物を得ることができる。本明細書においては、硬化生成物のことを「硬化物」とも記載する。
【0014】
ここで、硬化生成物が制振性を有するとは、硬化生成物が内在性の音響減衰特性(振動減衰特性)を有することを意味し、具体的には、機械的振動エネルギーを熱に変換することができる散逸振動減衰特性を有することを意味する。このような制振性を有する硬化物においては、開始した振動の振幅は短時間で急速に減衰する。なお、硬化物の制振性は、後述するように動的機械分析(DMA)により振動減衰挙動を測定することにより評価することができる。
【0015】
以下に、本発明に係る熱硬化性組成物、その硬化物、及びそれらの使用、製造方法について、詳細に説明する。
【0016】
なお、本明細書においては、「熱硬化性組成物」のことを単に「組成物」と記載することがある。また、本明細書の組成物の記載において、「%」で記載される量は、他に明示しない限り、組成物の総重量に対する重量%を表す。本明細書において、「平均分子量」は、他に明示しない限り、ポリマーの質量平均分子量を表し、具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、標準物質として単分散分子量のポリスチレンを使用した検量線を用いて分子量を換算することにより求められる。
【0017】
<成分(a):樹脂成分>
(a1)固形ゴム
固形ゴム(室温(22℃)においてエラストマー弾性を示す熱可塑性ポリマーを含む)(a1)としては、例えば、ポリブタジエンに基づく固形ゴム、スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBS))、ブタジエン/アクリロニトリルゴム、スチレン/イソプレンゴム(スチレン/イソプレン/スチレンコポリマー(SIS))、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンコポリマー(SEPS)、スチレン−エチレン/エチレン/プロピレン−スチレンコポリマー(SEEPS)、合成または天然イソプレンゴム、ポリシクロオクテナマー、ブチルゴム、ポリウレタンゴム等を好適に用いることができる。これらは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0018】
固形ゴムの分子量等は、室温(22℃)においてエラストマー弾性を示す範囲であれば特に限定されない。例えば、固形ゴムのムーニー粘度(ML
1+4(100℃))は、特に限定されるものではないが、好ましくは20〜60の範囲、より好ましくは30〜50の範囲を例示することができる。なお、ムーニー粘度はJIS K 6300に準拠して測定することができる。
【0019】
「ポリブタジエンに基づく固形ゴム」としては、ブタジエン単重合体、及び、ブタジエンモノマー(1,3−ブタジエン)以外のモノマー単位を少量(例えば、10モル%以下)含む共重合体が挙げられる。ここで、ブタジエンモノマー以外のモノマー単位としては、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、4−メチルペンタジエン、2,4−ヘキサジエン等の共役ジエン;エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等の非環状モノオレフィン;シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の環状モノオレフィン;ジシクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン等の非共役ジオレフィン等が挙げられる。また、ポリブタジエンに基づく固形ゴムは高いシス含量を有するものであることが好ましく、シス−1,4−二重結合含量が80%以上であることが好ましく、85%より大きいことが好ましい。
【0020】
本発明において、固形ゴム(a1)の含有量は、特に限定されないが、組成物の総量に対して1.2重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましい。固形ゴムの含有量が1.2重量%以上であると、垂れ性を確保できる。また、固形ゴムの含有量は、8重量%以下であることが好ましく、4重量%以下であることがより好ましい。固形ゴムの含有量が8重量%以下であると、硬化物の制振性を良好に維持することができる。
【0021】
(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマー(音響減衰性樹脂)
22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマーは、硬化物に音響減衰特性を付与するように機能することができる。なお、本明細書において、「22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)」のことを、「音響減衰性樹脂」、または「オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)」とも記載する。
【0022】
オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)は、室温(22℃)で液体またはペーストであることが好ましく、加えて、室温をはるかに下回らないガラス転移温度を有することが好ましい。具体的には、ガラス転移温度が−30℃以上であることが好ましく、−20℃以上であることがより好ましく、また、20℃以下であることが好ましく、15℃以下であることがより好ましい。ここで、「液体」とは、重力の影響下で容器から流出することができる状態を意味し、「ペースト」とは、平らな均一層に伸ばし得る状態を意味する。また、本明細書において、ガラス転移温度は、JIS K 6240に準拠して「示差走査熱量測定(DSC)」を用いて測定した値を意味する。なお、ポリマーは単重合体であっても共重合体であってもよい。
【0023】
オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)は、ジエンおよび/または芳香族置換オレフィンのポリマーであることが好ましく、硬化物の制振性を向上させる観点から、スチレンとジエンのコポリマーであることがより好ましい。ジエンは、ブタジエン、イソプレン、及びそれらの組合せから選択することができる。スチレンとジエンのコポリマーのスチレン含量は、10重量%以上であることが好ましく、15重量%以上であることがより好ましく、また、60重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。スチレン含量が上記範囲内であると、優れた散逸振動減衰特性(すなわち、機械的振動エネルギーを熱へ転換する特性)を達成することができる。
【0024】
なお、「コポリマー」は2種以上の異なるモノマーから構成される全てのポリマーを意味する。コポリマー中に存在するコモノマーの配置は任意である。コポリマーは、ブロックコポリマーであってもよいし、ランダムコポリマーであってもよいが、制振性を付与する観点から、ランダムコポリマーがより好ましい。
【0025】
本発明の一実施形態では、上記オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)は、スチレンとジエンのブロックコポリマーであることが好ましい。
【0026】
また、本発明の別の実施形態では、上記オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)は、スチレンとジエンのランダムコポリマーであることが好ましい。
【0027】
ジエン成分は、未置換であっても、置換基を有していてもよく、置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基およびアミノ基が挙げられる。置換基を有することにより、金属基材への組成物の接着性を改善できる場合がある。
【0028】
ジエンの重合によりポリマー鎖中に形成されるオレフィン性二重結合の位置は特に限定されないが、加硫性と音響減衰挙動の観点から、オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)が不飽和ジエン画分を含み、かつ、このジエン画分中のビニル画分の比率(すなわち、オレフィン性二重結合全体に対する1,2ビニル結合の比率)が、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、また、好ましくは98モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下となるように構成される。
【0029】
また、別の実施形態では、オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)が不飽和ジエンブロック画分を含み、かつ、このジエンブロック画分中のビニル画分の比率(すなわち、オレフィン性二重結合全体に対する1,2ビニル結合の比率)が、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、また好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下となるように構成される。
【0030】
オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)の質量平均分子量は、特に限定されないが、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、さらに好ましくは5,000以上であって、また、好ましくは50,000以下、より好ましくは35,000以下、さらに好ましくは25,000以下である。オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)の質量平均分子量が5,000〜18,000の範囲にあることが特に好ましい。オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)は、上記構造と上記質量平均分子量を有することが好ましい。
【0031】
オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)として、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0032】
オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)の含有量は、十分な制振性能を得るために、組成物の総重量に対し、5重量%以上であることが好ましく、7重量%以上であることがより好ましい。また、オレフィン性二重結合を含有するポリマー(a2)の含有量は、強度保持のために、組成物の総重量に対し、15重量%以下であることが好ましく、12重量%以下であることがより好ましい。
【0033】
(a3)炭化水素系樹脂
炭化水素系樹脂(a3)は、硬化物のガラス転移温度を−5℃〜40℃の所望する範囲にするのに寄与する。これにより、硬化物は、通常の周囲温度を含む広い温度範囲で優れた音響減衰特性を示す。炭化水素系樹脂の含有量は、組成物の総重量に対して、好ましくは0〜22重量%であり、下限はより好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であり、上限は、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。炭化水素系樹脂を含むことにより、上記のとおり、硬化物が制振性を示し、また、含有量が22重量%以下であることにより、組成物を高温で加熱した場合の硬化物の強度低下を抑制することができる。
【0034】
炭化水素系樹脂は、完全に脂肪族であってもよく、完全に芳香族であってもよく、あるいは脂肪族構造および芳香族構造の両方を有していてもよい。さらにこれらは芳香族的に修飾された脂肪族炭化水素樹脂であってもよい。いずれの場合にも、他のポリマー成分との相溶性を有することが特に好ましい。
【0035】
炭化水素系樹脂としては、テルペン系樹脂(例えば、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等)、ロジン系樹脂(例えば、ロジン、及び、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン等の変性ロジン等)等の天然炭化水素樹脂;及び、石油系炭化水素樹脂、クマロン・インデン樹脂、キシレン系樹脂、スチレン系樹脂等の合成炭化水素樹脂が挙げられ、中でも、石油系炭化水素樹脂が好ましい。
【0036】
石油系炭化水素樹脂は、石油ナフサ等の熱分解により副生する不飽和炭化水素モノマーを含有する留分を重合した石油系炭化水素樹脂を好適に用いることができ、具体的には、C5系脂肪族石油樹脂、C9系芳香族石油樹脂、C5/C9系石油樹脂、並びに、C9系またはC5/C9系石油樹脂を水素添加した水添系石油樹脂およびジシクロペンタジエン系石油樹脂等の脂環族系石油樹脂等が挙げられる。
【0037】
炭化水素系樹脂として好ましく用いられる市販製品としては、例えば、Escorez(商標)1102、Escorez(商標)2173、Escorez(商標)2184、Escorez(商標)2101、Escorez(商標)2105、Novares(商標)TK、Novares(商標)TV、Novares(商標)TA、Novares(商標)TP、Novares(商標)TR、Novares(商標)TS、Nova(商標)TWおよびNevtac(商標)10等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0038】
炭化水素系樹脂(a3)として、他のポリマー成分との相溶性を有する、好ましくは10℃を超える(>10℃)軟化点を有する樹脂、より好ましくは40℃を超える(>40℃)軟化点を有する樹脂、さらに好ましくは70℃を超える(>70℃)軟化点を有する樹脂を組成物中に所定の比率で配合することにより、硬化物のガラス転移温度を−5℃〜40℃の所望する範囲に調整し、損失係数(tanδ)の最大値を大きくすることができる。また、炭化水素系樹脂の軟化点は、特に限定されるものではないが140℃以下であることが好ましい。ここで、軟化点は、JIS K 2207に準拠した値である。
【0039】
(a4)液状ポリジエン
液状ポリジエン(a4)は、室温(22℃)で液状であるポリジエンであることが好ましい。
【0040】
液状ポリジエンのジエンモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられ、ポリジエンとしては、これらの単重合体または共重合体、及びその水素添加物等が挙げられる。中でも、ポリジエンとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が好ましく、ポリブタジエンが特に好ましい。
【0041】
また、液状ポリジエンは、主鎖及び/又は側鎖官能基を持つものも有効である。官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシ基およびアミン基を挙げることができ、2種以上の官能基を組み合せて含有してもよい。金属基材への接着性の観点からカルボキシル基を含むことが好ましい。官能基は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に存在していればよく、また、主鎖及び側鎖の鎖末端および鎖中のいずれに存在してもよいが、少なくとも鎖末端に存在することが好ましい。
【0042】
液状ポリジエン化合物の質量平均分子量は、500〜50,000の範囲が好ましく、1000〜10,000の範囲がより好ましい。また、液状ポリジエンのガラス転移温度は、−30℃未満であることが好ましい。
【0043】
液状ポリジエン(a4)の含有量は、組成物の総量に対して、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。また、液状ポリジエンの含有量は、組成物の総量に対して、20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。液状ポリジエン(a4)を3重量%以上20重量%以下で含むことにより、組成物から得られる硬化物の制振性および接着性が向上しやすくなる。
【0044】
<成分(b):加硫系成分>
本発明に係る組成物は、加硫系成分として、(b1)組成物の総重量に対して1〜3重量%の硫黄(単体としての硫黄を意味する)、および(b2)組成物の総重量に対して0〜0.2重量%の有機加硫剤を含む。有機加硫剤は、有効成分(すなわち加硫効果のある化合物)と、それ以外の化合物との混合物として組成物中に配合されてもよいが、本明細書において、有機加硫剤の含有量は有効成分のみの含有量を表す。組成物中の硫黄および有機加硫剤の含有量が、それぞれ上記範囲内であることにより、硬化物が接着強度を十分有し、かつ、組成物を高温加熱により硬化させたときの強度低下を抑制することができる。
【0045】
硫黄は、粉末状の硫黄を用いることが好ましい。硫黄の含有量は、組成物の総量に対して1〜3重量%であることが好ましい。硫黄の含有量が1重量%以上であることにより、硬化物の接着力が高くなり、含有量が3重量%以下であることにより、高温加熱により硬化された硬化物の強度低下を抑制することができる。組成物の総量に対する硫黄の含有量の下限は、好ましくは1.2重量%以上、より好ましくは1.5重量%以上、さらに好ましくは1.8重量%以上であり、上限は、好ましくは2.8重量%以下、より好ましくは2.5重量%以下である。
【0046】
加硫系として、硫黄に加えて加硫促進剤(単に「促進剤」とも記載する)を含むのが好ましい。促進剤としては、例えば、(アンモニウム塩または金属塩の形態の)ジチオカルバメート、キサントゲン酸塩、チウラム化合物(モノスルフィドおよびジスルフィド)、チアゾール化合物、アルデヒド/アミン促進剤(例えばヘキサメチレンテトラミン)ならびにグアニジン促進剤等の有機促進剤が挙げられる。ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、その亜鉛塩(ZMBT)、ジベンジルジチオカルバミド酸亜鉛(ZBEC)、N−シクロヘキシルベンゾジチアジルスルフェンアミド(CBS)およびジフェニルグアニジンが特に好ましい。このような促進剤の含有量は、後述する亜鉛化合物をさらに含む場合は亜鉛化合物との合計で、組成物の総量に対して0.25重量%以上30重量%以下であることが好ましく、0.8重量%以上20重量%以下であることがさらに好ましい。また、接着剤の特に高い熱安定性および戻り強度を達成するために、加硫系は、2官能架橋剤を含有することもできる。その具体例としては、2官能ジチオカルバメート、例えば、1,6−ビス(N,N−ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンに基づく架橋剤が挙げられる。そのような架橋剤は、組成物の総量に対して0〜2重量%、好ましくは0〜1重量%の量で含まれていてよい。
【0047】
また、促進剤として上記以外の亜鉛化合物を用いることもできる。促進剤として作用する亜鉛化合物については、脂肪酸の亜鉛塩、ジチオカルバミド酸亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、および酸化亜鉛が挙げられる。酸化亜鉛は微粉化されていることが好ましい。亜鉛化合物の含量は、組成物の総量に対して好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0.2〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%の範囲内である。これらの亜鉛化合物は上述の促進剤と併用することができ、併用することがより好ましい場合もある。さらに、他の通常のゴム加硫補助剤、例えば脂肪酸(例えばステアリン酸)が、組成物中に存在していてもよい。
【0048】
本発明の組成物中の有機加硫剤の含有量は、組成物の総重量に対して0〜0.2重量%であるのが好ましく、0〜0.2重量%未満であるのがより好ましく、含まない(すなわち0重量%である)のがさらに好ましい。本発明の発明者は、熱硬化性組成物中の加硫系として、組成物の総重量に対し、有機加硫剤を0.2重量%以下とし、かつ硫黄を所定量含むことにより、高温で加熱して硬化させた硬化物の強度低下を抑制できることを見出した。本発明の組成物は、特に、熱硬化性組成物に従来から用いられている有機加硫剤を含まないことにより高温加熱(オーバーベイク)による硬化物の強度低下を抑制することができる。
【0049】
有機加硫剤としては、例えば、ペルオキシド加硫系、ジスルフィド加硫系等が挙げられる。
【0050】
ペルオキシド加硫系としては、たとえば加硫系として添加し得る既知の有機ペルオキシドが挙げられる。ペルオキシド加硫系の例としては、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、および、特に1,1−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル−4,4−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)吉草酸、ジクミルペルオキシド、ジ−(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tert−ブチルクミルペルオキシド2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサ−3−イン、及びトリアリルイソシアヌレート等の架橋剤が挙げられる。ジスルフィド加硫系、すなわち、ジスルフィドに基づく加硫系としては、例えば、チウラムジスルフィドが挙げられる。
【0051】
有機加硫剤として、上記以外のその他の加硫系も挙げられる。その他の加硫系としては、キノン、キノンジオキシム、ニトロソベンゼン、およびジニトロソベンゼン(特にp−ジニトロソベンゼン)等が挙げられる。これらは、ゴムの加硫系としても既知である。キノンジオキシムの例としてはp−ベンゾキノンジオキシムが挙げられる。
【0052】
本発明の組成物の一実施形態では、上述の必須成分に対して、以下の発泡剤、フィラー、水分吸収剤等の添加剤、及び可塑剤等を組み合わせて使用してもよい。
【0053】
<成分(c):発泡剤>
本発明の一実施形態では、組成物は、熱硬化の前または間に不可逆的に膨張(発泡)するように、発泡剤を含んでもよく、発泡剤として(c1)組成物の総重量に対して0〜3重量%の物理的発泡剤および(c2)組成物の総重量に対して0〜0.2重量%の化学的発泡剤を含むのが好ましい。発泡剤の不可逆的な膨張により硬化物の体積を不可逆的に増加させることによって、構造体の空洞または中間領域を硬化物でより完全に満たすことができるようになる。
【0054】
組成物中の(c1)物理的発泡剤の含有量は、特に限定されないが、組成物の総重量に対して、0〜3重量%であることが好ましく、0.1重量%〜2.5重量%であることがより好ましく、0.2重量%〜2.0重量%であることがさらに好ましい。
【0055】
「物理的発泡剤」としては、熱により膨張する樹脂発泡剤(熱膨張性樹脂発泡剤)が好ましく、熱により膨張する発泡性プラスチック中空微小球がより好ましい。熱膨張性樹脂発泡剤としては、例えば、ポリ塩化ビニリデンコポリマーまたはアクリロニトリル/(メタ)アクリレートコポリマーに基づくものが挙げられる。これらは、例えば、「Dualite(登録商標)」または「Expancel(登録商標)」の名称のもと、それぞれPierce & StevensおよびCasco Nobelから市販されている。
【0056】
「化学的発泡剤」としては、分解により気体を放出するものが挙げられ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4'−オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3'−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドが挙げられる。
【0057】
組成物中の(c2)化学的発泡剤の含有量は、組成物の総重量に対して、0〜0.2重量%であるのが好ましく、0〜0.2重量%未満であるのがより好ましく、含まない(すなわち0重量%である)のがさらに好ましい。本発明の発明者は、通常熱硬化性組成物中の発泡剤として用いられる化学的発泡剤の含有量を、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.2重量%未満、さらに好ましくは含まないことにより、組成物の高温硬化による強度低下を抑制することができることを見出した。よって、本発明の組成物が発泡剤を含む場合は、物理的発泡剤を含み、化学的発泡剤を含まない態様が特に好ましい。
【0058】
本実施形態において、発泡剤の使用の有無は組成物の用途などに応じて適宜選択することができる。例えば、車での使用においては、組成物は焼付け硬化時に発泡した方が外板ひずみに対して有効であることがあり、適切な範囲にて発泡剤を添加していることが望ましい。
【0059】
<成分(d):フィラー>
本発明の組成物は、フィラー(d)を含有してもよい。フィラーの含有量は、特に限定されないが、組成物の総量に対して、下限は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは25重量%以上であり、上限は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、よりさらに好ましくは36重量%以下である。
【0060】
フィラーは種々の物質から選択することができ、例えば、白亜、天然または粉砕炭酸カルシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、シリカ、タルク、マイカ、およびバライト等が挙げられる。一実施形態では、フィラーの少なくとも一部が表面処理されていることが好ましい。例えば、硬化物に取り込まれる水分を減少させるため、および硬化物の水分感受性を低下させるためにフィラーをステアリン酸で被覆することが好ましく、その例としては、ステアリン酸で被覆した炭酸カルシウム及び白亜が挙げられる。また、一実施形態では、高いアスペクト比を有するフィラー、例えば、フレーク面の大きさと比較して厚みの小さいフレーク状フィラーを好適に用いることができる。フレーク状フィラーとしては、アスペクト比が10以上の(すなわち、フレーク面に垂直な方向の厚みがフレーク面の最小面積の1/10以下である)フィラー、例えば、層状ケイ酸塩(好ましくはマイカ、タルク)およびグラファイトが、良好な音響減衰特性を付与する観点から好ましい。比重を調整するための一般的な無機軽量骨材(ガラスバルーン、セラミックバルーン等)の使用も可能である。
【0061】
(水分吸収剤)
本発明の組成物は、水分を結合させるために、上記のフィラーに加えて、組成物の総量に対して0〜8重量%の、好ましくは1〜6重量%の、より好ましくは1.5〜5.5重量%の酸化カルシウムをさらに含有してもよい。
【0062】
また本発明の組成物は、カーボンブラックを含んでもよい。カーボンブラックの含有量は、組成物の総重量に対して、0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、また、3重量%以下が好ましく、2重量%以下がより好ましい。
【0063】
<成分(e):可塑剤>
本発明の組成物は、さらに可塑剤(e)を含んでもよい。可塑剤を含むことにより、組成物の加工性を改善するとともに、硬化物の機械的特性を改善することができる。
【0064】
可塑剤の含有量は特に限定されないが、一般的には組成物の総量に対して40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下であり、また、好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。
【0065】
可塑剤の例としては、フタル酸エステル、炭化水素油、例えばホワイトオイル、22℃で液体の天然油(例えば、いわゆるトリグリセリドのような脂肪酸グリセリンエステル、例えば、菜種油、大豆油、くるみ油、亜麻仁油、ヒマワリ油、オリーブ油など)等が挙げられる。
【0066】
特に、組成物中に、可塑剤と上述の炭化水素系樹脂(a3)とを含有することにより、−5℃〜40℃の温度範囲において、音響減衰特性をより向上させることができる。
【0067】
本発明の組成物は、さらに強化フィラーを含んでもよい。強化フィラーとしては、好ましくはアラミド繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維またはポリエステル繊維に基づく強化フィラーが挙げられる。これらの繊維は、好ましくは、パルプ繊維またはステープル繊維の形態である短繊維である。これらの繊維は、100〜250μmの平均繊維長および5〜20μmの直径を有することが好ましい。ここで、最も長い繊維の繊維長が1000〜2000μmを超えないことが好ましい。ここで特に好ましいのは、ガラス繊維、アラミド繊維系のポリアミド繊維、さらにはポリエステル繊維である。組成物の繊維含量は、特に限定されないが、組成物の総量に対して0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0068】
本発明の組成物は、上述の成分(a)と成分(b)とを含み、さらに、(c)発泡剤、(d)フィラー、および(e)可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、(c)フィラー、(d)発泡剤および(e)可塑剤の全てを含むことがより好ましい。
【0069】
本発明の熱硬化性組成物を構成する成分の好ましい態様の一例を表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0071】
本発明の組成物は、上記表1に記載の組成に限定されるものではなく、各成分の配合量を変更してもよいし、また、上記に例示した成分に加えて、または、上記に例示した成分のいずれかに代えて、繊維、他の典型的な加硫促進剤及び/または架橋剤、他の酸化防止剤、共活性剤、触媒、油、樹脂、抗老化剤、レオロジー助剤、接着促進剤、顔料、熱可塑性ポリマー等を含有することができる。
【0072】
本発明の組成物は、例えば、上述の各成分をビーズミル、擂潰機、ポットミル、三本ロールミル、回転式ミキサー、二軸ミキサー等の混合機に導入し、混合することにより製造することができる。
【0073】
本発明の組成物は22℃で液体または固体である複数の成分の混合物であり、本発明の効果を損なわない範囲で、各成分の混合比を適宜調整することができるという利点がある。従って、本発明の一実施形態では、各成分の比率を、自動車産業における接着剤および封止剤用の標準的な塗装装置を用いて60℃以下の温度で機械的に塗布(例えばロボットによる)または手動で塗布できるように調節することができる。このためには、上述の音響減衰性樹脂が22℃で液体またはペーストであること、及び、上記詳述したように、固形ゴム、音響減衰性樹脂、炭化水素系樹脂及び液状ゴムを好適な比率で配合することが好ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態に係る組成物は、好ましくは15〜60℃の範囲の温度における組成物の粘度が、ポンプ(回転ポンプ、ギアポンプまたはくみ上げ式ピストンポンプ)により送り出すことのできる粘度であることを特徴とする。本実施形態によれば、特定の押出技術を用いる必要がない、また、予め射出成形品等を作製する必要がない等の利点がある。
【0074】
本発明の別の態様は、本発明の組成物の塗布に関する。したがって、本発明は、15〜60℃の範囲の温度で、ポンプ(例えば上述したポンプ)により本発明の組成物を適用箇所に注入し、潤滑基材、未処理基材または清浄基材上に液状またはペースト状で塗布することを特徴とする本発明の組成物の塗布方法に関する。
【0075】
塗布した後の本発明の組成物は熱的に硬化させることが可能であり、この硬化のために焼付け塗料コーティング用の車両構築および機材構築の産業分野で一般的に使用し得るオーブンを使用することができる。熱硬化、および必要に応じて発泡するための活性温度は、好ましくは160〜220℃の範囲である。この温度を10〜60分間維持することが好ましい。
【0076】
なお、本発明の組成物は、ポンプ塗布での使用のみならず、本発明の組成物の焼付け硬化物を成型品としてトリムショップ(艤装工程)、アフターマーケット(補修市場)等において、後付部品として使用することも可能である。
【0077】
本発明のさらなる一態様は、本発明に係る組成物を硬化させることによって得られる硬化生成物(硬化物)に関する。本実施形態に係る硬化物は、制振性(音響減衰特性)に優れ、高温における強度低下が小さい。
【0078】
本実施形態において、硬化物のガラス転移温度は、−5〜40℃の範囲、好ましくは0〜30℃の範囲にあることが好ましい。ガラス転移温度が、上記の範囲にあると、広い温度範囲において良好な制振性(音響減衰挙動)が実現される。なお、硬化物のガラス転移温度は、損失係数(tanδ)が最大となる温度と定義することができる。
【0079】
また、本実施形態では、0〜40℃の温度範囲における硬化物の損失係数(tanδ)(測定周波数50Hz)の最小値が0.2以上であることが好ましい。また、本発明の一実施形態においては、20〜40℃における硬化物の損失係数(tanδ)(測定周波数50Hz)が、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。損失係数(tanδ)値が上記範囲にあることにより、広い温度範囲で、良好な音響減衰特性を発現することができる。
【0080】
なお、本明細書において、硬化物の損失係数(tanδ)は、JIS K 6394に準拠して動的機械分析(DMA)により以下のように測定した値である。
【0081】
測定試料:硬化物(硬化条件:170℃×20分保持)
測定機器:JIS K 6394に適合できる装置
(SII(セイコーインスツルメンツ)社製DMS6100等)
測定モード:圧縮
測定温度:−20℃〜80℃
昇温温度:2℃/min
測定周波数:0.1〜100Hz
損失係数(tanδ)及びガラス転移温度測定における選択周波数:50Hz
【0082】
本実施形態に係る硬化生成物は、本発明の組成物を、例えば160〜220℃の温度範囲で、10〜60分間加熱することにより製造することができる。ここで、組成物を使用部位に直接塗布して硬化させてもよいし、後付部品としての焼付け硬化物として製造してもよい。また、射出成形等公知の成形方法を適用することもできる。
【0083】
本発明のさらなる一態様は、本発明に係る組成物及びその硬化物の使用に関する。本発明の組成物は、特に構造的付属部材(例えばドア、エンジンフードおよびトランクリッド、ルーフ、フロントおよびシャーシ部分)用に、さらには、車両の客室(自動車、バス等)において、及び鉄道車両の製造用に、下塗り材および接着/封止剤として好適に使用することができる。さらに、本発明の組成物は、機材構築において、モーター、ギア、ポンプから生じ得る音響的振動(例えば、回転機械類により生じる振動)を減衰すべき場合にも好適に使用することができる。したがって、本発明は、車両構築および機材構築における音響減衰材料および下塗り材としての本発明の組成物の使用に関する。
【実施例】
【0084】
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0085】
各成分を表2に記載の比率で混合して、実施例1〜5、および比較例1〜5の組成物を調製した。さらに、調製した各組成物の熱硬化を高温で行った場合の強度低下率と、熱硬化させて得られた硬化物の動的粘弾性を以下のとおり評価した。
【0086】
<高温における強度低下率の測定>
厚さ0.8mm、サイズ100×25mmのSPCC鋼板を洗浄後に防錆油を塗布し、25×25×3mm厚で組成物を塗布して
図1のようなせん断試験片を作った。
図1(a)はせん断試験片の断面図を表し、(b)は正面図を表す。このせん断試験片を、170℃×20分キープ(初期)、190℃×20分キープ/200℃×20分キープ/210℃×20分キープ/220℃×20分キープ(オーバーベイク)の条件で焼付けた。
【0087】
試験は一般的な引張り試験機を使用し、つかみ具の移動速度は50mm/minとした。オーバーベイク時の初期に対する強度低下率は下記式:
A=100×(1−B/C)
(式中、Aは強度低下率(%)、Bはオーバーベイク時のせん断強度(MPa)、Cは初期せん断強度(MPa)を表す。)
により求めた。
【0088】
実施例、比較例の組成物の各温度における強度低下率を表2に示す。表2中、組成物の組成(配合)に関する数値の単位は、すべて、組成物の総量に対する重量%であり、強度低下率Aの単位は%である。強度低下率が、190℃〜220℃で加熱したすべての場合において30%以内にある組成物は合格と判断し、いずれかの温度で強度低下率が30%を超える組成物は不合格と評価した。
【0089】
<動的粘弾性の評価>
硬化物の損失係数(tanδ)の測定方法を以下に記載する。
【0090】
1.鋼板に直径50〜60mm、厚み4〜8mmとなるように試験体組成物を塗布し、170℃で20分間保持することにより硬化させる。
【0091】
2.硬化した試験体を直径7〜10mm、厚み4〜8mmの円型に成形する。
【0092】
3.上記成型した試験体の各測定周波数における損失係数(tanδ)を、以下の測定条件に従い測定する。
(測定条件)
測定機器:SII(セイコーインスツルメンツ)社製DMS6100
測定モード:圧縮
測定温度:−20℃〜80℃
昇温条件:2℃/分
測定周波数:0.1,1.0,10,20,50Hz
【0093】
図2に実施例1の熱硬化性組成物の硬化物について、各測定周波数におけるtanδの測定結果を示す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2に示したように、実施例1〜5の組成物は、190℃〜220℃での加熱による強度低下率がすべて30%以下であった。一方、比較例1は炭化水素系樹脂の含有量が23重量%と多いため、200℃以上で加熱したときの接着力の低下率、すなわち強度低下率が大きかった。比較例2は、0.3重量%の有機加硫剤を含むため、190℃以上で加熱した場合の強度低下率が大きかった。比較例3は、硫黄の含有量が3.2重量%と多いため、190℃以上で加熱したときの強度低下率が大きかった。比較例4は、硫黄の含有量が0.9重量%と少ないため、通常加熱時に硬化することができず、強度低下率の測定を行うことができなかった。比較例5は、発泡剤として、化学的発泡剤を0.3重量%含むため、190℃以上で加熱した場合の強度低下率が大きかった。
【0096】
また、図
2に示したように、実施例1の熱硬化性組成物から得られた硬化物は、広い温度範囲において良好なtanδ値が維持されていた
。
(付記)
本発明の好ましい態様は以下の事項にも関する。
(付記1)
(a1)固形ゴム、
(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマー、
(a3)組成物の総重量に対して0〜22重量%の炭化水素系樹脂、および
(a4)液状ポリジエン
を含む成分(a)と、
(b1)組成物の総重量に対して1〜3重量%の硫黄、および
(b2)組成物の総重量に対して0〜0.2重量%の有機加硫剤
を含む成分(b)と
を含む熱硬化性組成物。
(付記2)
さらに、
(c1)組成物の総重量に対して0〜3重量%の物理的発泡剤、および
(c2)組成物の総重量に対して0〜0.2重量%の化学的発泡剤
を含む成分(c)を含む、付記1に記載の熱硬化性組成物。
(付記3)
前記有機加硫剤を含まない、付記1または2に記載の熱硬化性組成物。
(付記4)
前記化学的発泡剤を含まない、付記2または3に記載の熱硬化性組成物。
(付記5)
前記(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマーのスチレン含量が10重量%以上60重量%以下である、付記1〜4のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記6)
前記(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマーの質量平均分子量が1,000以上50,000以下である、付記1〜5のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記7)
前記(a2)22℃で液体又はペーストであるオレフィン性二重結合を含有するポリマーがジエン画分を含み、ジエン画分中のビニル画分が20モル%以上98モル%以下である、付記1〜6のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記8)
さらに、組成物の総重量に対して0.25重量%以上20重量%以下の加硫促進剤を含む、付記1〜7のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記9)
さらに、組成物の総重量に対して10重量%以上45重量%以下の(d)フィラーを含む、付記1〜8のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記10)
さらに、組成物の総重量に対して2重量%以上40重量%以下の(e)可塑剤を含む、付記1〜9のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記11)
15〜60℃の温度範囲でポンプにより輸送し得るような粘性を示す、付記1〜10のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記12)
熱硬化後、20〜40℃においてDMA法により測定した損失係数Tanδ(50Hz)が0.5以上である付記1〜11のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物。
(付記13)
自動車構築産業または機材構築産業における音響減衰材料としての、付記1〜12のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物の使用。
(付記14)
付記1〜12のいずれか一項に記載の熱硬化性組成物を塗布する方法であって、組成物を15〜60℃の範囲の温度でポンプにより適用箇所に注入し、基材上に液状またはペースト状で塗布する方法。