(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芳香族ポリフェノールが、レゾルシノール、フロログルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、これらのフェノール類の少なくとも1種から事前縮合させた樹脂およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項記載のゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
“ベースとする樹脂”なる表現は、この樹脂において使用する各種ベース構成成分の混合物および/または反応生成物、好ましくはこの樹脂において使用する各種構成成分の正しい反応生成物を意味するものとして理解すべきである;これらのベース構成成分の幾つかは、上記組成物、複合体またはタイヤの製造方法の各種段階において、特に、硬化段階において、互いにまたはそれらベース構成成分の中間化学周辺物と少なくとも部分的に反応し得るか或いは反応するように意図することができる。
【0019】
“互いに対してメタ位置”とは、各ヒドロキシル官能基が上記芳香環の1個の他の炭素によって互いに分離されている上記芳香環の各炭素によって担持されていることを意味するものとする。
“官能基に対してオルト位置”とは、その官能基を担持している芳香環の炭素に直接隣接している芳香環の炭素によって占められた位置を意味するものとする。
【0020】
そのように、上記ゴム組成物は、少なくとも1種(即ち、1種以上)の架橋補強用樹脂を含み、この補強用樹脂は、上記フェノール/アルデヒド樹脂からなる;このフェノール/アルデヒド樹脂は、少なくとも1種(即ち、1種以上)の芳香族ポリアルデヒドと少なくとも1種(即ち、1種以上)の芳香族ポリフェノールとをベースとする;これらの構成成分を以下で詳細に説明する。
【0021】
本発明のもう1つの主題は、下記の成分:
・少なくとも1種のエラストマー;
・少なくとも2個のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持する少なくとも1個の芳香環を含み、少なくとも1個の上記ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていない少なくとも1個の芳香族ポリフェノール;および、
・1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドおよびこれらの化合物の混合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族ポリアルデヒド;
を混合する工程を含むゴム組成物の製造法であり、上記ゴム組成物は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、25MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
【0022】
本発明のもう1つの主題は、上記で説明したようなゴム組成物中に埋込んだ少なくとも1個の補強要素で補強したゴム複合体である。
本発明のもう1つの主題は、上記で説明したようなゴム複合体を含むタイヤまたは上記で説明したゴム複合体である。
【0023】
ゴム組成物とは、その組成物がエラストマーまたはゴム(これら2つの用語は同義である)と少なくとも1種の他の成分を含むことを意味するものとする。従って、ゴムは、少なくとも上記他の成分を分散させているエラストマーまたはゴムのマトリックスを含む。ゴム組成物は、未硬化(非架橋)状態においては塑性状態に、そして、硬化(架橋)状態においては弾性状態にあるが、決して液体状態にはならない。ゴム組成物は、エラストマーラテックスと混同してはならない;エラストマーラテックスは、液体溶媒、一般的には水と、この液体溶媒中に分散させてエマルジョンを形成するようにした少なくとも1種のエラストマーまたはゴムとを含む液状の組成物である。従って、上記ゴム組成物は、水性接着剤組成物ではない。
【0024】
本説明においては、特に明確に断らない限り、示す百分率(%)は、全て質量パーセントである。頭字語“phr”は、エラストマー100質量部当りの質量部を意味する。
【0025】
さらにまた、“aとbの間”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、aよりも大きくからbよりも小さいまでに及ぶ値の範囲を示し(換言すれば、限界値aとbは排除される)、一方、“a〜b”なる表現によって示される値の範囲は、いずれも、限界値“a”から限界値“b”までに及ぶ値の範囲を意味し、換言すれば、限定値“a”および“b”を包含する。
【0026】
上記ゴム組成物の芳香族ポリフェノール
好ましい実施態様においては、上記芳香族ポリフェノールの芳香環は、互いに対してメタ位置に3個のヒドロキシル官能基を担持する。
【0027】
各ヒドロキシル官能基に対しての2つのオルト位置は、好ましくは置換されていない。このことは、ヒドロキシル化炭素原子(即ち、ヒドロキシル官能基を担持する炭素原子)の両側に(オルト位置に)位置する2個の炭素原子が水素原子のみを担持していることを意味する。
【0028】
さらにより好ましくは、上記芳香族ポリフェノールの芳香環の残余部は、置換されていない。このことは、上記芳香環の残余部の他の炭素原子(ヒドロキシル官能基を担持している炭素原子以外の炭素原子)が水素原子のみを担持していることを意味する。
【0029】
1つの実施態様においては、上記芳香族ポリフェノールは、複数個の芳香環を含み;これら各々の少なくとも2個は、互いに対してメタ位置に少なくとも2個のヒドロキシル官能基を担持し;少なくとも1個の芳香環の少なくとも1個のヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は、置換されていない。
【0030】
好ましい実施態様においては、上記芳香族ポリフェノールの少なくとも1個の芳香環は、互いに対してメタ位置に3個のヒドロキシル官能基を担持する。
少なくとも1個の芳香環の各ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は、好ましくは置換されていない。
【0031】
さらにより好ましくは、各芳香環の各ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は、置換されていない。
有利には、上記芳香族ポリフェノールの上記または各芳香環は、ベンゼン環である。
【0032】
1個のみの芳香環を含む芳香族ポリフェノールの例としては、下記の拡大式のレゾルシノールおよびフロログルシノールを挙げることができる:
【化1】
【0033】
例えば、上記芳香族ポリフェノールが複数個の芳香環を含む場合、これらの芳香環の少なくとも2個は、同一または異なるものであって、下記の一般式の芳香環から選ばれる:
【化2】
(式中、Z
1およびZ
2符号は、同一または異なるものであって、同じ芳香環上に複数個のZ
1およびZ
2が存在する場合、定義によれば、上記芳香族ポリフェノール分子の残余部に少なくともこれら2個の芳香環を結合させる原子(例えば、炭素、イオウまたは酸素)または少なくとも2価の結合基を示す)。
【0034】
芳香族ポリフェノールのもう1つの例は、下記の拡大式の2,2',4,4'−テトラヒドロキシジフェニルスルフィドである:
【化3】
(IV)
【0035】
芳香族ポリフェノールのもう1つの例は、下記の拡大式の2,2',4,4'−テトラヒドロキシジフェニルベンゾフェノンである:
【化4】
(V)
【0036】
各化合物IVおよびVは2個の芳香環を含む芳香族ポリフェノール(式III‐cを有する)であって、これらポリフェノールの各々は、少なくとも2個(この場合は2個)のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持していることに留意されたい。
【0037】
式III‐bに従う少なくとも1個の芳香環を含む芳香族ポリフェノールの場合、少なくとも1個の芳香環の各ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていないことに留意されたい。式III‐bに従う複数個の芳香環を含む芳香族ポリフェノールの場合、各芳香環の各ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていない。
【0038】
本発明の1つの実施態様によれば、上記芳香族ポリフェノールは、レゾルシノール(I)、フロログルシノール(II)、2,2',4,4'−テトラヒドロキシジフェニルスルフィド(IV)、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン(V)、これらのフェノール類の少なくとも1種から事前縮合させた樹脂およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。特に有利な実施態様においては、上記芳香族ポリフェノールは、フロログルシノールである。
【0039】
上記芳香族ポリフェノールがこれらのフェノール類の少なくとも1種から事前縮合させた樹脂である実施態様においては、この樹脂は、好ましくは、繰返し単位を含み、この単位は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持する芳香環を含む。この樹脂が繰返し単位を含まない場合、上記樹脂は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持する少なくとも1個の芳香環を含む。
【0040】
上記ゴム組成物の芳香族ポリアルデヒド
本発明によれば、上記芳香族ポリアルデヒドは、1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドおよびこれらの化合物の混合物から選ばれる。
【0041】
特に有利な実施態様においては、上記芳香族ポリアルデヒドは、下記の拡大化学式で示すような1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドである:
【化5】
(VI)
【0042】
上記組成物は、好ましくは、ホルムアルデヒドを含まない。
上記フェノール/アルデヒド樹脂は数種のアルデヒドをベースとしており、その少なくとも1種は、本発明に従う芳香族ポリアルデヒドであり、本発明に従う上記芳香族ポリアルデヒド以外の各アルデヒドは、好ましくは、ホルムアルデヒドとは異なる。上記組成物は、その場合も、好ましくはホルムアルデヒドを含まない。
【0043】
換言すれば、また、好ましくは、上記フェノール/アルデヒド樹脂の上記または各アルデヒドは、ホルムアルデヒドとは異なる。
“ホルムアルデヒドを含まない”とは、上記1種以上のアルデヒドの総質量によるホルムアルデヒドの質量による含有量が厳格に1%未満であることを意味する。
【0044】
幾つかの実施態様においては、上記組成物は、ホルムアルデヒドを含み得る。好ましくは、上記組成物は、その場合、10%以下、好ましくは5%以下、さらに好ましくは2%以下の、上記1種以上のアルデヒドの総質量による質量による含有量のホルムアルデヒドを含む。
【0045】
ゴム組成物
幾つかの実施態様においては、0.1〜30phrの範囲の芳香族ポリアルデヒド量を使用する。同様に、0.1〜30phrの範囲の芳香族ポリフェノール量を使用する。
【0046】
本発明によれば、上記ゴム組成物は、硬化状態において、1998年の規格ASTM D 412 (試験標本C)に従って測定して、25MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラス、即ち、MA10を有する。上記MA 10は、好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは35MPa以上、さらにより好ましくは39MPa以上である。
【0047】
上記ゴム組成物は、好ましくは、ジエンエラストマーを含む。
“ジエン”タイプのエラストマーまたは“ゴム”(これら2つの用語は同義である)とは、一般に、ジエンモノマー(2個の共役型または非共役型炭素・炭素二重結合を担持するモノマー)に少なくとも部分的に由来する1種以上のエラストマー(即ち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味するものとする。
【0048】
特に好ましくは、上記組成物のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物からなる群から選ばれる。そのようなコポリマーは、好ましくは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)およびそのようなコポリマーの混合物からなる群から選ばれる。
【0049】
上記ゴム組成物は、1種のみのジエンエラストマーまたは数種のジエンエラストマーの混合物を含有し得る;上記1種以上のジエンエラストマーは、ジエンエラストマー以外の任意のタイプの合成エラストマーと或いはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーさえと組合せて使用し得る。
【0050】
上記ゴム組成物は、好ましくは、補強用充填剤を含む。
補強用充填剤を使用する場合、タイヤの製造において使用することのできるゴム組成物を補強するその能力について知られている任意のタイプの補強用充填剤、例えば、カーボンブラックのような有機充填剤、シリカのような補強用無機充填剤、或いはこれら2つのタイプの充填剤のブレンド、特に、カーボンブラックとシリカのブレンドを使用することができる。
【0051】
タイヤにおいて通常使用するカーボンブラック(“タイヤ級”ブラック類)の全てがカーボンブラックとして適している。さらに詳細には、例えば、100、200または300シリーズの補強用カーボンブラック類(ASTM級)を挙げることができる。
【0052】
カーボンブラックをイソプレンエラストマーと共に使用する場合、これらのカーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形で、イソプレンエラストマー中に既に混入させていてもよい(例えば、出願 WO 97/36724号またはWO 99/16600号を参照されたい)。
【0053】
カーボンブラック以外の有機充填剤の例としては、出願 WO‐A‐2006/069792号およびWO‐A‐2006/069793号に記載されているような官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0054】
“補強用無機充填剤”とは、本出願においては、定義によれば、その色合いおよびその由来(天然または合成)に関わりなく、カーボンブラックと対比して“白色充填剤”、“透明充填剤”とも、または“非黒色充填剤”とも称し、それ自体単独で、中間カップリング剤以外の手段によることなく、タイヤの製造を意図するゴム組成物を補強し得る、換言すれば、その補強役割において、通常のタイヤ級カーボンブラックと置換わり得る、任意の無機または鉱質充填剤を意味するものと理解すべきである。そのような充填剤は、一般に、知られているとおり、その表面でのヒドロキシル(−OH)基の存在に特徴を有する。
【0055】
補強用無機充填剤を供給する物理的状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズまたは任意の他の適切な濃密化形のいずれの形状であれ重要ではない。勿論、用語“補強用無機充填剤”は、種々の補強用無機充填剤、特に、下記で説明するような高分散性シリカ質および/またはアルミナ質充填剤の混合物を意味することも理解されたい。
【0056】
シリカ質タイプの鉱質充填剤、特にシリカ(SiO
2)、またはアルミナ質タイプの鉱質充填剤、特にアルミナ(Al
2O
3)は、補強用無機充填剤として特に適している。使用するシリカは、当業者にとって既知の任意の補強用シリカ、特に、共に450m
2/g未満、好ましくは30〜400m
2/gであるBET表面積とCTAB比表面積を示す任意の沈降またはヒュームドシリカであり得る。高分散性沈降シリカ(“HDS”)としては、例えば、Evonik社からのUltrasil 7000およびUltrasil 7005シリカ類;Rhodia 社からのZeosil 1165MP、1135MPおよび1115MPシリカ類;PPG社からのHi‐Sil EZ150Gシリカ;Huber社からのZeopol 8715、8745または8755シリカ類;または、出願 WO 03/16837号に記載されているような高比表面積を有するシリカ類が挙げられる。
【0057】
最後に、当業者であれば、この項において説明した補強用無機充填剤と等価の充填剤として、もう1種の、特に有機性を有する補強用充填剤を、この補強用充填剤がシリカのような無機層で被覆されているか、或いは、その表面に、充填剤とエラストマー間の結合を形成させるためにカップリング剤の使用を必要とする官能部位、特にヒドロキシルを含むかを条件として使用し得ることを理解されたい。
【0058】
補強用充填剤全体(カーボンブラックおよび/またはシリカのような補強用無機充填剤)の含有量は、好ましくは5〜120phr、より好ましくは5〜100phr、さらにより好ましくは5〜90phrの範囲内である。
補強用充全体の含有量は、好ましくは10〜120phr、より好ましくは10〜100phr、さらにより好ましくは10〜90phrの範囲内である。
【0059】
補強用充全体の含有量は、さら好ましくは、20〜120phr、より好ましくは20〜100phr、さらにより好ましくは20〜90phrの範囲内である。
補強用充全体の含有量は、さらにより好ましくは、30〜120phr、より好ましくは30〜100phr、さらにより好ましくは30〜90phrの範囲内である。
【0060】
カーボンブラックは、有利には、単独の補強用充填剤または主要補強用充填剤を構成し得る。勿論、1種のみのカーボンブラックまたは異なるASTM級の数種のカーボンブラックのブレンドを使用することは可能である。また、カーボンブラックは、他の補強用充填剤、特に上述したような補強用無機充填剤、特に、シリカとのブレンドとしても使用し得る。
【0061】
無機充填剤(例えば、シリカ)を、上記ゴム組成物において、単独でまたはカーボンブラックとのブレンドとして使用する場合、その含有量は、0〜70phr、好ましくは0〜50phr、特に5〜70phrの範囲内であり、さらにより好ましくは、この割合は、5〜50phr、特に5〜40phrで変動する。
【0062】
上記ゴム組成物は、好ましくは、種々の添加剤を含む。
また、上記ゴム組成物は、例えば、可塑剤または増量剤オイル(後者は性質的に芳香族性または非芳香族性のいずれかである);顔料;オゾン劣化防止ワックス、化学オゾン劣化防止剤、酸化防止剤のような保護剤;疲労防止剤或いは接着促進剤のような、タイヤの製造を意図するエラストマー組成物において慣用的に使用する標準の添加剤の全部または1部も含み得る。
【0063】
上記ゴム組成物は、好ましくは架橋系、さらに好ましくは加硫系を含む。
上記加硫系は、イオウ供与剤、例えばイオウを含む。
上記加硫系は、好ましくは、酸化亜鉛およびステアリン酸のような加硫活性化剤を含む。
上記加硫系は、好ましくは、加硫促進剤および/または加硫遅延剤を含む。
【0064】
上記イオウまたはイオウ供与剤は、0.5〜10phrの範囲内、さらに好ましくは0.5〜8.0phrの範囲内の好ましい含有量で使用する。上記組合せた加硫促進剤、遅延剤および活性化剤は、0.5〜15phrの範囲内の好ましい含有量で使用する。上記加硫促進剤(1種以上)は、0.5〜12phrの範囲内の好ましい含有量で使用する。
【0065】
適切な加硫系は、好ましくは、イオウと、一次加硫促進剤、特に、スルフェンアミドタイプの促進剤とをベースとする。この加硫系に、各種既知の二次加硫促進剤または加硫活性化剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸またはグアニジン誘導体(特に、ジフェニルグアニジン)等を添加する。
【0066】
(一次または二次)促進剤としては、イオウの存在下にジエンエラストマーの加硫促進剤として作用し得る任意の化合物、特に、チアゾールタイプの促進剤およびその誘導体並びにチウラムおよびジチオカルバミン酸亜鉛タイプの促進剤を使用し得る。これらの促進剤は、さらに好ましくは、2−メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド(“MBTS”と略記する)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“CBS”と略記する)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“DCBS”と略記する)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(“TBBS”と略記する)、N−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンイミド(“TBSI”と略記する)、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛(“ZBEC”と略記する)およびこれらの化合物の混合物からなる群から選ばれる。好ましくは、上記スルフェンアミドタイプの一次促進剤を使用する。
【0067】
上記ゴム組成物は、未硬化形、即ち、未加硫状であり得る。上記ゴム組成物は、硬化形、即ち、加硫状であり得る。
【0068】
上記ゴム組成物は、好ましくは、タイヤにおいては層の形で使用し得る。層とは、任意の形状および任意の厚さを有する任意の三次元要素、特に、シート、ストリップ、或いは例えば矩形または三角形の任意の断面を有する他の要素を意味するものとする。
【0069】
本発明に従うゴム組成物
上記ゴム複合体は、本発明に従うゴム組成物内に埋込んだ少なくとも1種の補強要素によって補強する。
【0070】
このゴム複合体は、少なくとも下記の工程を含む方法に従って製造し得る:
・第1工程において、少なくとも1種の補強要素をゴム組成物 (またはエラストマー;これら2つの用語は同義である)と結合させて上記補強要素で補強したゴム複合体を形成する;
・その後、第2工程において、硬化することによって、例えば、好ましくは圧力下の加硫によって、この方法で形成させた複合体を架橋する。
【0071】
補強要素のうちでは、繊維、金属または繊維・金属ハイブリッド補強要素を挙げることができる。
【0072】
“繊維”とは、当業者にとっては周知の通り、天然または合成いずれかの、任意の適切な変換方法によってスレッドまたは繊維に変換することのできる金属物質以外の物質から製造した任意の材料を意味するものとする。例えば、以下の例に限定ことなく、例えば、溶融紡糸、溶液紡糸またはゲル紡糸のようなポリマー紡糸法を挙げることができる。
【0073】
この繊維材料は、スレッドまたは繊維、或いはスレッドまたは繊維から製造した織布、例えば、縦糸および横糸を有する織布、或いは交差スレッドを有するあや織物からなり得る。
【0074】
本発明のこの繊維材料は、好ましくは、モノフィラメント(または、個々のスレッド)、マルチフィラメント繊維、そのようなスレッドまたは繊維の集合体、およびそのような材料の混合物から選ばれる。上記繊維材料は、さらに詳細には、モノフィラメント繊維、マルチフィラメントまたは合撚糸である。
【0075】
スレッドまたは繊維なる用語は、一般に、その断面に対比して大きい長さを有する任意の細長い要素を意味するものとし、この断面の形状、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形または平坦形とは関係ない;このスレッドは、直線状または非直線状、例えば、撚り形または波形であり得る。その断面の最大寸法は、好ましくは5mm未満、さらに好ましくは3mm未満である。
【0076】
このスレッドまたは繊維は、任意の既知の形状を取り得る。例えば、このスレッドまたは繊維は、大直径(例えば、また、好ましくは、50μm以上)の個々のモノフィラメント、マルチフィラメント繊維(典型的には30μm未満の小直径を有する複数本の個々のフィラメントからなる)、一緒に撚りまたは編み加工した複数本の織物繊維モノフィラメントから形成した織物合撚糸またはコード、或いは、例えば、一緒に集合させた、例えば、直線または非直線いずれかの主方向に沿って配列させた複数本のこれらのモノフィラメント、繊維、合撚糸またはコードを含むバンドまたはストリップのような、スレッドまたは繊維のアッセンブリ、集合体または列であり得る。
【0077】
上記繊維材料は、有機、高分子または無機物質から製造し得る。
無機物質の例としては、ガラスまたは炭素を挙げることができる。
【0078】
本発明は、好ましくは、熱可塑性および非熱可塑性タイプ双方の高分子物質から製造した材料によって実施する。
非熱可塑性タイプの高分子物質の例としては、例えば、アラミド(芳香族ポリアミド)、並びに、天然および人工双方の、綿、レーヨン、亜麻または大麻のようなセルロースを挙げることができる。
【0079】
好ましくは、熱可塑性タイプの高分子寿司の例としては、脂肪族ポリアミドおよびポリエステルを挙げることができる。特に、脂肪族ポリアミドのうちでは、ポリアミド4‐6、6、6‐6、11または12を挙げることができる。ポリエステルのうちでは、例えば、PET (ポリエチレンテレフタレート)、PEN (ポリエチレンナフタレート)、PBT (ポリブチレンテレフタレート)、PBN (ポリブチレンナフタレート)、PPT (ポリプロピレンテレフタレート)およびPPN (ポリプロピレンナフタレート)を挙げることができる。
【0080】
定義によれば、金属製とは、主として(即ち、その質量の50%よりも多くの)または完全に(その質量の100%)金属材料から構成された1以上のスレッド様要素を意味する。上記金属材料は、好ましくは鋼、さらに好ましくは、有利には0.4質量%と1.2質量%の間の炭素を含むパーライト(またはパーライト・フェライト)炭素鋼である。
【0081】
金属補強要素は、モノフィラメント、複数本の金属モノフィラメントを含むコードまたは複数本のコードを含むマルチストランドロープ(その場合、ストランドと称する)であり得る。
【0082】
上記補強要素が複数本の金属モノフィラメントまたは複数本のストランドを含む好ましい例においては、上記金属モノフィラメントまたは上記ストランドは、撚りまたは編み加工によって集合させる。集合のためには下記のいずれかの2つの実施可能な技法があることを思い起されたい:
・撚り加工による:上記金属モノフィラメントまたは上記ストランドは、それら自体の軸の周りで集合的撚りおよび個々の撚りの双方を被り、それによって解撚トルク(untwisting torque)を上記モノフィラメントまたは上記ストランドの各々上に発生させる;
・編み加工による:上記金属モノフィラメントまたは上記ストランドは、集合的撚りを受けるのみで、それら自体の軸の周りで個々の撚りは受けない。
【0083】
上記補強要素は、必要に応じて、複数本のモノフィラメントを含み、現場タイプのゴム引きを有する、即ち、上記補強要素は、内側から、その実際の製造中に、充填用ゴムによってゴム引きする。そのような金属スレッド状要素は、当業者にとって既知である。上記充填用ゴムの組成は、上記補強要素を埋込むゴム組成物と同一であり得或いは同一であり得ない。
【0084】
各補強要素は、繊維である場合、好ましくは、接着剤組成物または接着剤の層でコーティングする。使用する接着剤は、例えば、RFL (レゾルシノール・ホルムアルデヒドラテックス)タイプであり、或いは、WO2013017421号、WO2013017422号、WO2013017423号またはWO2015007642号に記載されている。結果として、本発明に従うゴム組成物は、接着剤組成物と直接接触している。上記接着剤組成物は、本発明に従うゴム組成物と上記補強要素の間に存在する。
【0085】
本発明に従うタイヤ
そのようなタイヤは、例えば、乗用車タイプの自動車;SUV (“スポーツ用多目的車”);二輪車(特に自転車およびオートバイ);航空機;または、バン類、“大型”車両(即ち、地下鉄列車、バス、重量道路輸送車両(トラック、トラクター、トレーラー)、または重量農業用車両もしくは土木工事機械のような道路外車両)、並びに他の輸送または操作用車両から選ばれる産業用車両に装着することを意図する。
【0086】
例えば、一葉の添付図面は、大型タイプの車両用の本発明に従うタイヤの半径断面を極めて略図的に示している(特定の縮尺に従っていない)。
【0087】
このタイヤ1は、クラウン補強材即ちベルト6によって補強されたクラウン2、2枚の側壁3および2本のビード4を含み、これらのビード4の各々は、ビードワイヤー5によって補強されている。クラウン2は、この略図においては示していないトレッドが取付けられている。カーカス補強材7は、各ビード4内の2本のビードワイヤー5の周りに巻付けられており、この補強材7の上返し8は、例えば、タイヤ1の外側に向って位置しており、この場合、その車輪リム9上に取付けて示している。カーカス補強材7は、それ自体知られている通り、例えば繊維または金属製の“ラジアル”コードによって補強されている少なくとも1枚のプライからなる、即ち、これらのコードは、実際上、互いに平行に配置されて一方のビードから他方のビードに延びて円周正中面(2つのビード4の中間に位置しクラウン補強材6の中央を通るタイヤの回転軸に対して垂直の面)と80°と90°の間の角度をなしている。
【0088】
本発明のこのタイヤ1は、例えば、少なくともカーカス補強材6および/またはそのカーカス補強材7が本発明に従うゴム組成物または複合体を含むという特徴を有する。
【0089】
本発明に従う方法
上記および下記において説明している製造方法は、本発明に従う組成物の製造を可能にしている。
【0090】
上記ゴム組成物は、適切なミキサー内で、当業者にとって周知の下記の2つの連続する製造段階を使用して製造し得る:
・110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温において熱機械的に加工または混練する第1段階(“非生産”段階);
・その後の、典型的110℃よりも低い、例えば、40℃と100℃の間の低めの温度に下げて機械的に加工する第2段階(“生産段階”)、この仕上げ段階において、架橋系を混入する。
【0091】
1つの実施態様においては、上記方法は、下記の各工程を含む:
・充填剤を、ジエンエラストマー中に、第1(“非生産”)工程において混入し、全てを、110℃と190℃の間の最高温度に達するまで熱機械的に混練する工程;
・混ぜ合わせた混合物を100℃よりも低い温度に冷却する工程;
・その後、第2(生産)工程において、架橋系、上記芳香族ポリフェノールおよび上記芳香族ポリアルデヒドを混入する工程;
・すべてを110℃よりも低い最高温度まで混練する工程。
【0092】
例えば、上記非生産段階は、1回の熱機械的工程において実施し、その間に、先ず、全ての必須ベース構成成分(ジエンエラストマー、補強用充填剤)を標準の密閉ミキサーのような適切なミキサー内に導入し、次いで二次的に、例えば1〜2分間の混練後、架橋系を除いて、任意構成成分としての充填剤被覆用のさらなる薬剤または任意構成成分としてのさらなる加工助剤を導入する。この非生産段階における総混練時間は、好ましくは、1分と15分の間である。
【0093】
そのようにして得られた混合物を冷却した後、上記架橋系、上記芳香族ポリアルデヒドおよび上記芳香族ポリフェノールを、この場合、低温(例えば、40℃と100℃の間の温度)に維持したオープンミルのような開放ミキサー内で混入する。その後、混ぜ合せた混合物を、数分間、例えば、2分と15分の間の時間混合する(生産段階)。
【0094】
そのようにして得られた最終組成物は、引続き、例えば、特に試験室特性決定用のシートまたはスラブの形にカレンダー加工するか、或いは押出加工して、例えば、タイヤの製造において使用するゴム形状要素に成形し得る。
【0095】
本発明に従う複合体と同様、タイヤの製造方法は、下記の工程を含む:
・上記の組成物を製造する工程;および、
・この組成物を、例えば、加硫により、好ましくは加圧下に架橋して本発明に従うタイヤを形成する工程。
【0096】
本発明およびその利点は、以下の典型的な実施態様に照らせば容易に理解し得るであろう。
【0097】
本発明の典型的な実施態様および比較試験
これらの試験は、下記のことを実証する:
・上記ゴム組成物の剛性は、メチレン供与体としてのHMTまたはH3Mと一緒のメチレン受容体をベースとするゴム組成物と比較して大いに改良されていること;および、
・上記ゴム組成物の剛性は、高温において、特に150℃までの範囲の温度において維持されていること。
さらに、本発明に従う組成物の上記フェノール/アルデヒド樹脂は、ホルムアルデヒドを含まず、その調製中に何らのホルムアルデヒドを発生させない。
最後に、本発明に従う組成物は、配合装置内での上記組成物の残留を防止するための更なる補強用樹脂の使用を必要としない。
【0098】
この目的において、以下T0〜T7および8〜16で示す複数種のゴム組成物を上記で示したように調製して、下記に添付の表1に要約している。
【0099】
組成物T0〜T7および8〜16は、それらの配合において以下の共通部分を有する(phr、即ち、エラストマー100質量部当りの質量部で表して):100phrの天然ゴム、75phrのカーボンブラックN326 ,1.5phrのN−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、1.5phrのステアリン酸、5phrのZnO、1phrのN−(tert−ブチル)−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドおよび2.5phrの不溶性イオウ 20H。
【0100】
組成物T0は、この共通部分に添加する補強用樹脂を何ら含んでいない。
共通部分以外に、組成物T1は、ヘキサメチレンテトラミン(1.6phr)と事前縮合フェノール樹脂(4phr)をベースとする補強用樹脂を含む。組成物T1は、従来技術の通常の組成物であり、組成物T0の剛性よりも高い剛性を有する。
【0101】
共通部分以外に、組成物T1aは、ヘキサメチレンテトラミン(3phr)と事前縮合フェノール樹脂(6phr)をベースとする補強用樹脂、さらにまた、ヘキサメトキシメチルメラミン(6phr、72%のH3M)と(4,4−ジヒドロキシ−2,2−ジフェニルプロパン) (ビスフェノールA) (8phr)をベースとするさらなる樹脂を含む。組成物T1aは、従来技術の通常の組成物であり、組成物T0の剛性よりも高い、比較的高い剛性を有する。
【0102】
共通部分以外に、各組成物T2〜T7は、14phrのフェノールおよび14phrのアルデヒドを含み、表1に示している。
【0103】
共通部分以外に、各組成物8〜14は、14phrの芳香族ポリフェノールおよび14phrの芳香族ポリアルデヒドを含み、表1に示している。
共通部分以外に、各組成物15および16は、28phrの芳香族ポリフェノールおよび28phrの芳香族ポリアルデヒドを含み、表1に示している。
【0104】
組成物T0〜T8は、本発明に従っている組成物8〜16とは異なり、本発明に従っていない。
【0105】
本発明に従う各ゴム組成物8〜16は、下記の成分:
・少なくとも2個のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持する少なくとも1個の芳香環を含み、少なくとも1個の前記ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていない少なくとも1種の芳香族ポリフェノール;および、
・1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド、1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドおよびこれらの化合物の混合物から選ばれる少なくとも1種の芳香族ポリアルデヒド;
をベースとするフェノール/アルデヒド樹脂を含み、該ゴム組成物は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、25MPa以上、好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは35MPa以上、さらにより好ましくは39MPa以上の10%の伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
【0106】
本発明に従う各組成物8〜16の上記樹脂の各芳香族ポリフェノールは、レゾルシノール、フロログルシノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、これらのフェノール類の少なくとも1種から事前縮合させた樹脂およびこれらの化合物からなる群から選ばれる。
【0107】
本発明に従う各組成物8および9の各芳香族ポリフェノールは、互いに対してメタ位置において2個、2個のみのヒドロキシル官能基を担持する1個の芳香環、この場合は、ベンゼン環を含む。適切な場合、このものは、レゾルシノールである。
【0108】
本発明に従う各組成物10、11、15および16の各ポリフェノールは、互いに対してメタ位置において3個、3個のみのヒドロキシル官能基を担持する1個の芳香環、この場合は、ベンゼン環を含む。適切な場合、このものは、フロログルシノールである。
【0109】
本発明に従う各組成物8〜11の芳香族ポリフェノールにおいては、上記芳香族ポリフェノールの芳香環の残余部は置換されていない。特に、各ヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていない。
【0110】
本発明に従う各組成物12〜14の各芳香族ポリフェノールは、複数個の芳香環、この場合は、ベンゼン環を含み、これら各々の少なくとも2個は、少なくとも2個のヒドロキシル官能基を互いに対してメタ位置に担持する。各芳香環の少なくとも1個のヒドロキシル官能基に対する2つのオルト位置は置換されていない。
組成物14の芳香族ポリフェノールは、レゾルシノールとホルムアルデヒドから事前縮合させた樹脂である。
【0111】
本発明に従う各組成物8〜16の各芳香族ポリアルデヒドは、1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒドまたは1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドのいずれかである。変形としては、このものは、1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒドと1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒドとの混合物である。
【0112】
組成物T1〜T7および8〜16を上記で説明した方法に従って製造し、その後、各組成物を下記で説明する幾つかの特性決定試験によって特性決定した。
【0113】
最初に、高温での剛性を、混合物を150℃に最高レオメトリートルクが得られるまで加熱することによって特性決定した。
加硫させた時点で、組成物の23℃での剛性を引張試験において特性決定した。
【0114】
製造方法全体に亘って、本発明に従う組成物のうちで、架橋後の、この場合は加硫後の比較的高い剛性にもかかわらず、配合装置内で残留するものはなかったことは、特筆される。
【0115】
高温における剛性の特性決定(最高レオメトリートルク)
測定は、規格DIN 53529−パート3 (1983年6月)に従い、振動ディスクレオメーターによって150℃で実施する。時間の関数としてのレオメトリートルクの変化により、上記フェノール/アルデヒド樹脂の加硫および架橋後の組成物の剛性化の変化を説明する。上記レオメトリートルクの変化から、最高レオメトリートルクCmaxを判定し、表1に報告している。最高レオメトリートルクCmaxが高いほど、組成物は、高温において維持することのできる高い剛性を有する。
【0116】
23℃における剛性の特性決定(引張試験)
これらの引張試験は、弾性応力および破断点諸特性の測定を可能にする。特に断らない限り、これらの試験は、1998年の規格ASTM D 412 (試験標本C)に従って実施する。10%の伸びにおける“公称”割線モジュラス(または見掛け応力、MPaでの) (“MA10”で示す)は、2回目の伸びにおいて(順応サイクル後に)測定する。これらの試験は、全て、1999年の規格ASTM D 1349の標準温度および相対湿度条件下に実施し、表1に報告している。
【0117】
先ずは最初に、表1からの結果は、従来技術(T1)の補強用樹脂の使用が補強用樹脂を含まない組成物(T0)よりも良好である23℃における剛性およびこの剛性のより高温での保持を可能にしていることを証明している。とはいえ、組成物T2〜T7におけるよりも高温における剛性の良好な保持にもかかわらず、組成物T1の23℃における剛性は、本発明に従う各組成物8〜16のそれをはるかに下回っている。
【0118】
さらにまた、表1からの結果は、芳香族モノフェノールの使用(T2)は、23℃における十分な剛性を得ることを可能にしてなく、本発明に従う組成物(8〜16)の芳香族ポリフェノールと異なり、より高温でのこの剛性の保持もないことを証明している。
【0119】
さらに、表1からの結果は、1個のアルデヒド官能基を担持するベンゼン核を含む芳香族アルデヒドの使用(T3およびT4)が、組成物8〜16の芳香族ポリアルデヒドと異なり、組成物T1と比較して23℃におけるより両粉剛性を得ることを可能にしておらず、この剛性をより高温において維持することも可能にしていないことを証明している。これらの結果は、組成物9、11および16の芳香族ポリアルデヒドが、組成物8、10および15の芳香族ポリアルデヒドを正に上回って、組成物T3およびT4の芳香族モノアルデヒドの反応性よりも低い反応性を有するという先験による事実を考慮すれば、当業者にとっては相対的に予期に反するものである。
【0120】
また、表1の結果は、1,2−ベンゼンジカルボキシアルデヒドの使用(T5)は、組成物T1と比較して改良された23℃における剛性を得ることを可能にしているものの、1,3−ベンゼンジカルボキシアルデヒド(8)および1,4−ベンゼンジカルボキシアルデヒド(9)と異なり、高温でのこの剛性の維持を可能にしていないことも証明している。
【0121】
その2個のヒドロキシル官能基が互いに対してパラ位置(T6)にある芳香族ポリフェノールの使用は、組成物T1と比較して改良された23℃における剛性を得ることを可能にしていない。さらにまた、そのようなポリフェノールは、より高温におけるこの剛性の維持を可能にしていない。
【0122】
最後に、表1からの結果は、その2個のヒドロキシル官能基が互いに対してオルト位置(T7)にある芳香族ポリフェノールの使用は、組成物T1と比較して改良された23℃における剛性を得ることを実際に可能にしているものの、しかしながら、本発明に従う芳香族ポリフェノール(8〜14)と異なり、この剛性の高温での満足裡の保持を可能にしていなことを証明している。
【0123】
組成物8は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、25MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
組成物9、11および12は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、30MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
【0124】
組成10、13および14は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、23MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
組成物15および16は、1998年の規格ASTM D 412に従って測定して、厳格に39MPa以上の10%伸びにおける公称割線モジュラスを有する。
【0125】
本発明は、上記で説明した各実施態様に限定されない。