特許第6727310号(P6727310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6727310新6XXXアルミニウム合金及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6727310
(24)【登録日】2020年7月2日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】新6XXXアルミニウム合金及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/02 20060101AFI20200713BHJP
   C22C 21/06 20060101ALI20200713BHJP
   C22F 1/043 20060101ALI20200713BHJP
   C22F 1/05 20060101ALI20200713BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20200713BHJP
【FI】
   C22C21/02
   C22C21/06
   C22F1/043
   C22F1/05
   !C22F1/00 602
   !C22F1/00 630K
   !C22F1/00 640A
   !C22F1/00 681
   !C22F1/00 683
   !C22F1/00 685Z
   !C22F1/00 691B
   !C22F1/00 692
   !C22F1/00 694A
   !C22F1/00 623
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-534812(P2018-534812)
(86)(22)【出願日】2016年12月30日
(65)【公表番号】特表2019-505681(P2019-505681A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2016069495
(87)【国際公開番号】WO2017120117
(87)【国際公開日】20170713
【審査請求日】2018年7月11日
(31)【優先権主張番号】62/276,648
(32)【優先日】2016年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520119242
【氏名又は名称】アーコニック テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】ARCONIC TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン,ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホッシュ,ティモシー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】バトラー,ジュニア,ジョン エフ.
【審査官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−009262(JP,A)
【文献】 特表2014−532114(JP,A)
【文献】 特表2013−525608(JP,A)
【文献】 特開2011−202273(JP,A)
【文献】 特開2007−131889(JP,A)
【文献】 特開2003−231955(JP,A)
【文献】 特開2007−136464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00−21/18
C22F 1/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6XXXアルミニウム合金から成るアルミニウム合金製品であって、
前記6XXXアルミニウム合金が、
1.00〜1.45重量%のSi及び;
0.32〜0.51重量%のMgであって;
ここにおいてSiの重量%対Mgの重量%の比率が、2.0:1(Si:Mg)〜4.5:1(Si:Mg)の範囲内にあるSi及びMgと;
0.12〜0.44重量%のCuと;
0.08〜0.30重量%のFeと;
0.02〜0.09重量%のMnと;
0.01〜0.06重量%のCrと;
0.01〜0.14重量%のTiと;
0.25重量%以下のZnとを含み
残部はアルミニウム及び不純物であり、前記アルミニウム合金は0.05重量%以下の少なくとも1つの不純物を含み、前記不純物は合計0.15重量%以下であり、
前記アルミニウム合金製品は、強度、成形性及び腐食耐性の特性を有し、
前記強度は、(i)自然時効状態で、ASTM B557に従って測定された引張降伏強度(LT)が、100〜170MPaであるか、及び/又は(ii)人工時効状態で、ASTM B557に従って測定された引張降伏強度(LT)が、160〜330MPaであり、
前記成形性は、ISO基準がドームの頂点から離れた15%より大きなパンチ径の割れ目が有効であるとカウントされるように修正されたISO12004−2:2008基準に従って測定されたときのFLDoが、1.0mmのゲージで28.0〜33.0(Engr%)であり、
前記腐食耐性は、ピーク時効近傍条件がピーク強度の10%以内であって、ISO基準11846(1995)(方法B)に従って試験されたときの前記ピーク時効近傍における攻撃深さが350ミクロン以下である、アルミニウム合金製品
【請求項2】
前記6XXXアルミニウム合金が、1.03重量%〜1.40重量%のSi、または1.06重量%〜1.35重量%のSi、または1.09重量%〜1.30重量%のSiを有する、請求項1に記載のアルミニウム合金製品
【請求項3】
前記6XXXアルミニウム合金が、0.32重量%〜0.51重量%のMg、または0.34重量%〜0.49重量%のMg、または0.35重量%〜0.47重量%のMg、または0.36重量%〜0.46重量%のMgを有する、請求項1または2のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項4】
Siの重量%対Mgの重量%の前記比率は、2.10:1〜4.25:1(Si:Mg)の範囲内、またはSiの重量%対Mgの重量%の前記比率は、2.20:1〜4.00:1(Si:Mg)の範囲内、またはSiの重量%対Mgの重量%の前記比率は、2.30:1〜3.75:1(Si:Mg)の範囲内、またはSiの重量%対Mgの重量%の前記比率は、2.40:1〜3.60:1(Si:Mg)の範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項5】
前記6XXXアルミニウム合金が、0.12重量%〜0.25重量%のCu、または0.12重量%〜0.22重量%のCu、または0.12重量%〜0.20重量%のCu、または0.15重量%〜0.25重量%のCu、0.15重量%〜0.22重量%のCu、または0.15重量%〜0.20重量%のCuを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項6】
前記6XXXアルミニウム合金が、0.23重量%〜0.44重量%のCu、または0.25重量%〜0.42重量%のCu、または0.27重量%〜0.40重量%のCuを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項7】
前記6XXXアルミニウム合金が、0.02重量%〜0.08重量%のMn及び0.01重量%〜0.05重量%のCr、または0.02重量%〜0.08重量%のMn及び0.015重量%〜0.045重量%のCrを有する、請求項1〜6のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項8】
前記6XXXアルミニウム合金が、0.10重量%を超えないZn、または0.05重量%を超えないZn、または0.03重量%を超えないZnを有する、請求項1〜7のいずれかに記載のアルミニウム合金製品
【請求項9】
アルミニウム合金製品を製造する方法であって、
(a)請求項1〜8のいずれかに記載の6XXXアルミニウム合金を、鋳造厚さを有する6XXXアルミニウム合金ストリップ(「6AAS」)に連続的に鋳造するステップと、
(b)前記6AASを目標の厚さに圧延するステップであって、前記圧延は少なくとも2つの圧延スタンドを介して前記6AASインラインを、前記目標の厚さに圧延することを含み、前記圧延は、目標の厚さを達成するために、前記少なくとも2つの圧延スタンドを介して、鋳造厚さを15%〜80%減少させることを含
(i)前記6AASの前記鋳造厚さは、第1の圧延スタンドによって1%〜50%減少され、これにより中間の厚さを生成し、
(ii)前記6AASの前記中間の厚さは、少なくとも第2の圧延スタンドによって1%〜70%減少される、圧延ステップと
(c)前記圧延ステップ(b)の後、インラインまたはオフラインで前記6AASを溶体化熱処理するステップと、
(d)前記ステップ(c)で前記6AASの前記溶体化熱処理した後、前記6AASを急冷するステップと、
(e)前記急冷するステップ(d)の後、前記6AASを自然時効又は人工時効するステップと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の圧延スタンドは、高温圧延スタンドであり、圧延は、400〜1000°F(204.4〜537.8℃)の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の圧延スタンド及び第2の圧延スタンドは、高温圧延スタンドであり、圧延は、400〜1000°F(204.4〜537.8℃)の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の圧延スタンドは高温圧延スタンドであって、圧延は、400〜1000°F(204.4〜537.8℃)の温度で行われ、前記第2の圧延スタンドは、低温圧延スタンドであって、圧延は、周囲温度〜400°F(204.4℃)未満の温度で行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記圧延ステップ(b)は、いかなるアニーリング処理もしない、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記6AASは、700〜1000°F(371.1〜537.8℃)の温度で前記第1の圧延スタンドに進入し、前記6AASは、400〜800°F(204.4〜426.7℃)の温度で第2の圧延スタンドに進入する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
6xxxアルミニウム合金は、析出ケイ化マグネシウムを生成するためのシリコン及びマグネシウムを有するアルミニウム合金である(MgSi)。合金6061は、数十年の間、様々な用途に使用されてきた。しかし、他の特性を劣化させずに6xxxアルミニウム合金の1つ以上の特性を改善することは理解しづらい。自動車用途では、高強度(典型的な塗料焼き付け熱処理後)を伴う優れた成形性を有するシートが望ましい。
【発明の概要】
【0002】
広い意味では、本開示は、強度、成形性、及び/または腐食耐性、その他の改善された組み合わせなどの、特性の改善された組み合わせを有する新6xxxアルミニウム合金に関する。
【0003】
一般に、新6xxxアルミニウム合金は1.00〜1.45重量%のSiと、0.32〜0.51重量%のMgと、0.12〜0.44重量%のCuと、0.08〜0.30重量%のFeと、0.02〜0.09重量%のMnと、0.01〜0.06重量%Crと、0.01〜0.14重量%のTiと、0.10重量%までのZnとを有し、バランスはアルミニウム及び不純物であり、アルミニウム合金は≦0.05(以下)重量%(以下)のいずれか1つの不純物を含み、アルミニウム合金は合計≦0.15(以下の)不純物を含む。以下にさらに詳しく記述するとおり、新6xxxアルミニウム合金は、ストリップに連続的に鋳造することができ、次いで1つ以上の圧延スタンドを介して、最終ゲージに圧延することができる。最終ゲージ6xxxアルミニウム合金製品は、次いで溶体化熱処理及び急冷されうる。急冷された6xxxアルミニウム合金製品は、次いでT4またはT43テンパーに加工され、その後、製品は最終加工(例えば、自動車用途に使用するとき、形成し、塗料焼き付けする)のためにエンドユーザに提供されうる。
【0004】
<I.組成>
新6xxxアルミニウム合金におけるシリコン(Si)及びマグネシウム(Mg)の量は、特性(例えば、強度、成形性、腐食耐性)の改善された組み合わせに関しうる。従って、シリコン(Si)は、新6xxxアルミニウム合金に含まれ、一般に1.00重量%〜1.45重量%の範囲内でSiを含む。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、1.03重量%〜1.40重量%のSiを含む。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、1.06重量%〜1.35重量%のSiを含む。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、1.09重量%〜1.30重量%のSiを含む。
【0005】
マグネシウム(Mg)は、新6xxxアルミニウム合金に含まれ、一般に0.32重量%〜0.51重量%の範囲内でMgを含む。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.34重量%〜0.49重量%のMgを含む。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.35重量%〜0.47重量%のMgを含む。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.36重量%〜0.46重量%のMgを含む。
【0006】
一般に、新6xxxアルミニウム合金は、Siの重量%がMgの重量%の2倍以上となるように、すなわち、Siの重量%対Mgの重量%の比率が、少なくとも2.0:1(Si:Mg)であるが、4.5(Si:Mg)を超えないように、Si及びMgを含む。一実施形態では、Siの重量%対Mgの重量%の比率は、2.10:1〜4.25(Si:Mg)の範囲内である。別の実施形態では、Siの重量%対Mgの重量%の比率は、2.20:1〜4.00(Si:Mg)の範囲内である。さらに別の実施形態では、Siの重量%対Mgの重量%の比率は、2.30:1〜3.75(Si:Mg)の範囲内である。別の実施形態では、Siの重量%対Mgの重量%の比率は、2.40:1〜3.60(Si:Mg)の範囲内である。
【0007】
新6xxxアルミニウム合金における銅(Cu)の量は、特性(例えば、腐食耐性、成形性)の改善された組み合わせに関しうる。銅(Cu)は、新6xxxアルミニウム合金に含まれ、一般に0.12重量%〜0.45重量%の範囲内でCuを含む。1つのアプローチでは、新6xxxアルミニウム合金は、0.12重量%〜0.25重量%のCuを含む。このアプローチに関する一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.12重量%〜0.22重量%のCuを含む。このアプローチに関する別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.12重量%〜0.20重量%のCuを含む。このアプローチに関する別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.15重量%〜0.25重量%のCuを含む。このアプローチに関する別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.15重量%〜0.22重量%のCuを含む。このアプローチに関する別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.15重量%〜0.20重量%のCuを含む。別のアプローチでは、新6xxxアルミニウム合金は、0.23重量%〜0.44重量%のCuを含む。このアプローチに関する一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.25重量%〜0.42重量%のCuを含む。このアプローチに関する別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.27重量%〜0.40重量%のCuを含む。
【0008】
鉄(Fe)は、新6xxxアルミニウム合金に含まれ、一般に0.08重量%〜0.30重量%の範囲内でFeを含む。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.08重量%〜0.19重量%のFeを含む。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.09重量%〜0.18重量%のFeを含む。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.09重量%〜0.17重量%のFeを含む。
【0009】
マンガン(Mn)及びクロム(Cr)の両方が、新6xxxアルミニウム合金に含まれる。Mn+Crの組み合わせは、熱処理された製品中に独特な結晶粒組織制御を提供し、Mnだけ、またはCrだけを伴う合金に比べて、強度及び成形性の改善された組み合わせなどの、特性の改善された組み合わせをもたらす。その際、新6xxxアルミニウム合金は、一般に0.02重量%〜0.09重量%のMn及び0.01重量%〜0.06重量%のCrを含む。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.02重量%〜0.08重量%のMn及び0.01重量%〜0.05重量%のCrを含む。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.02重量%〜0.08重量%のMn及び0.015重量%〜0.045重量%のCrを含む。
【0010】
チタン(Ti)は、新6xxxアルミニウム合金に含まれ、一般に0.01〜0.14重量%の範囲内でTiを含む。1つのアプローチでは、新6xxxアルミニウム合金は、0.01〜0.05重量%のTiを含む。このアプローチに関する一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.014〜0.034重量%のTiを含む。別のアプローチでは、新6xxxアルミニウム合金は、0.06〜0.14重量%のTiを含む。このアプローチに関する一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.08〜0.12重量%のTiを含む。改善された腐食耐性を容易にするために、より高チタンを用いることもできる。
【0011】
亜鉛(Zn)は、新6xxxアルミニウム合金に任意に含むことができ、0.25重量%までの量でZnを含むことができる。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.10重量%までのZnを含むことができる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.05重量%までのZnを含むことができる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.03重量%までのZnを含むことができる。
【0012】
上述したように、新6xxxアルミニウム合金のバランスは、アルミニウム及び不純物である。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.05重量%を超えない、いずれか1つの不純物をそれぞれ含むが、これらの不純物の組み合わせの総量が、新アルミニウム合金内で、0.15重量%を超えないようにする。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、0.03重量%を超えない、いずれか1つの不純物をそれぞれ含むが、これらの不純物の組み合わせの総量が、新アルミニウム合金内で、0.10重量%を超えないようにする。
【0013】
記述されない限り、元素の量を示すとき、表現「までの」は、その元素組成が任意であり、特定の組成成分の量がゼロであることを含むことを意味する。記述されない限り、すべての組成割合は、重量%(wt.%)である。以下の表は、新6xxxアルミニウム合金の非限定的実施形態をいくつか提供する。
【表A】
【0014】
<II.処理>
図1を参照すると、6xxxアルミニウム合金ストリップの1つの製造法が示される。この実施形態では、連続的鋳造アルミニウム6xxxアルミニウム合金ストリップ供給材料1は、任意に剪断及びトリミングステーション2を通り、溶体化熱処理前に任意にトリミング8が行なわれる。加熱ステップ及びその後の急冷ステップの温度は、所望のテンパーにより変化するだろう。他の実施形態では、急冷は、鋳造1及びトリミング2の間などの、フロー図の任意のステップの間に発生しうる。さらなる実施形態では、巻き取りが、圧延6とその後のオフライン冷間加工または溶体化熱処理後に発生しうる。他の実施形態では、製造法は鋳造ステップを溶体化ステップとして利用することができ、従って本明細書に参照としてその全体が組み込まれている共有の米国特許出願発行第US2014/0000768号に記述される通り、いかなる溶体化熱処理またはアニールも行わなくてよい。一実施形態では、アルミニウム合金ストリップは急冷後巻き取られる。コイル状の製品(例えば、T4またはT43テンパー内の)は、顧客(例えば、形成された自動車パネルなどの、形成された自動車ピース/部品の製造に使用するため)に輸送されうる。顧客は形成された製品を、塗料焼き付け及び/またはさもなくば熱処理(例えば、人工時効させる)し、最終強化製品(例えば、以下に記述する通り、T6テンパーの最高強度に近い、T6テンパー内の)を達成する。
【0015】
図2は、多くの代替的実施形態のうちの1つのための装置を図式的に示し、そこで、追加の過熱及び圧延ステップが行われる。金属は炉80で加熱され、溶融金属は溶融ホルダ81、82に保持される。溶融金属は、トラフ84を通過し、さらに脱気86及びフィルタ88によって調製される。タンディッシュ90は、溶融金属を、これに限定するものではないが、ベルト鋳造として例示される、連続鋳造92に供給する。鋳造92から現れる金属供給材料94は、端トリミング及び横断切断のために、任意の剪断96及びトリミング98ステーションを移動し、その後、圧延温度を調整するために任意の急冷ステーション100へと移動する。急冷100後、供給材料94は、圧延ミル102を通過し、そこから中間の厚さで現れる。供給材料94は、次いで追加の高温ミル(圧延)104及び任意に低温ミル(圧延)106、108にさらされ、所望の最終ゲージに到達する。低温ミル(圧延)は、示される通りインラインまたはオフラインで実施されてもよい。
【0016】
本明細書で使用される通り、用語「供給材料」は、アルミニウム合金のストリップ形態を指す。本発明の実践で使用される供給材料は、当業者には周知の連続鋳造技術を何回でも行うことにより調製できる。このストリップを作成するための好ましい方法は、Wyatt−Mair及びHarringtonに発行された、米国特許第5,496,423号に記述される。別の好ましい方法は、米国特許出願第10/078,638号(現米国特許第6,672,368号)及び米国特許出願第10/377,376号に記述され、どちらも本発明の譲受人に譲渡される。一般に、鋳造ストリップは、所望の連続した加工及びストリップの最終使用により、約43〜254cm(約17〜100インチ)の幅を持つようになる。供給材料は一般に、第1の圧延ステーション(本明細書に「スタンド」として時に示される)に好適な圧延厚さ(例えば、1.524〜10.160mm(0.060〜0.400インチ))で進入する。圧延スタンド後のストリップの最終ゲージ厚さは、0.1524〜4.064mm(0.006〜0.160インチ)の範囲内でありうる。一実施形態では、ストリップの最終ゲージ厚さは、0.8〜3.0mm(0.031〜0.118インチ)の範囲内である。
【0017】
一般に、急冷ステーション100では、連続鋳造から現れる供給材料の温度を850〜1050°F(454.4〜565.6℃)から所望の圧延温度(例えば、高温または低温圧延温度)に低下させる。一般に、供給材料は、所望される合金及びテンパーに応じて、100〜950°F(37.8〜510℃)の範囲の温度で、急冷ステーション100を出る。この目的のために、水噴霧または空気冷却を用いることができる。別の実施形態では、急冷により、供給材料の温度を900〜950°F(482.2〜510℃)から800〜850°F(426.7〜454.4℃)低下させる。別の実施形態では、供給材料は、600〜900°F(315.6〜482.2℃)の範囲の温度で、急冷ステーション100を出る。
【0018】
高温圧延102は一般に400〜1000°F(204.4〜537.8℃)の範囲内の温度で実施され、好ましくは400〜900°F(204.4〜482.2℃)、より好ましくは700〜900°F(371.1〜482.2℃)である。低温圧延は一般に周囲温度〜400°F(204.4℃)未満の温度で実施される。高温圧延時、高温圧延スタンドの出口でのストリップの温度は、圧延の間ストリップがロールで冷却されうるため、100〜800°F(37.8〜426.7℃)、好ましくは100〜550°F(37.8〜287.8℃)の間でありうる。
【0019】
ヒーター112で実施される加熱は、最終製品で望まれる合金及びテンパーによって決定される。1つの好ましい実施形態では、供給材料は、以下に記述されるアニールまたは溶体化熱処理温度で、インラインで熱処理された溶液となる。
【0020】
本明細書で使用される通り、用語「アニール」は、金属が生じるように(例えば、成形性を改善するために)回復及び/または再結晶を起こす加熱プロセスを指す。アルミニウム合金をアニーリングするのに用いられる典型的な温度は、500〜900°F(260〜482.2℃)の範囲にわたる。アニールされた製品は、好ましくは空気または水で、110〜720°F(43.3〜382.2℃)に急冷することができ、次いで巻き取られる。アニーリングは、最終ゲージに到達するための追加の低温圧延前に、圧延(例えば、高温圧延)後に実施することができる。この実施形態では、供給材料は、少なくとも2つのスタンド、アニーリング、低温圧延、任意のトリミング、インラインまたはオフラインの溶体化熱処理、及び急冷を介して、圧延を通して進められる。追加のステップは、テンションレベリング及び巻き取りを含んでもよい。アニーリングは、図示されるようにインラインで実施するか、バッチアニーリングを通してオフラインで実施してもよいと、理解されよう。
【0021】
一実施形態では、供給材料94は、次いで任意にトリミングされ110、次いでヒーター112内で溶体化熱処理される。ヒーター112内での溶体化熱処理後、供給材料94は、任意にプロファイルゲージ113を通り、任意に急冷ステーション114で急冷される。得られたストリップは、X線116、118及び表面検査120にさらされ、次いで任意に巻き取られる。溶体化熱処理ステーションは、最終ゲージに達したのちに配置することができ、その後に急冷ステーションを配置する。追加のインラインアニールステップ及び急冷は、必要に応じて、溶液中に溶質を保つために、中間アニールのための圧延ステップ間に配置されうる。
【0022】
さらに本明細書に使用されるとおり、用語「溶体化熱処理」は、治金プロセスを指し、そこでは金属が、高温度で保持され、少なくとも部分的に第2の固溶体(例えば、第2相粒子を完全に溶解する)に溶解するように合金要素の第2の相粒子を引き起こすようにする。溶体化熱処理時、加熱は一般に、合金を確実に溶体化するのに十分だが、アルミニウム合金の初期溶解のない温度と時間で実施される。溶体化熱処理は、Tテンパーの製造を容易にする。溶体化熱処理に使用される温度は、一般にアニーリングに使用されるものより高いが、905°F〜1060°F(485〜571.1℃)までの範囲内の温度など、合金の初期融点より低い。一実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも950°F(510℃)である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも960°F(515.6℃)である。さらに別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも970°F(521.1℃)である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも980°F(526.7℃)である。さらに別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも990°F(532.2℃)である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも1000°F(537.8℃)である。一実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも1050°F(565.6℃)を超えない。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも1040°F(560℃)を超えない。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも1030°F(554.4℃)を超えない。一実施形態では、溶体化熱処理温度は、少なくとも950°〜1060°F(510〜571.1℃)の温度で、である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、960°〜1060°F(515.6〜571.1℃)の温度で、である。さらに別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、970°〜1050°F(521.1〜565.6℃)の温度で、である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、980°〜1040°F(526.7〜560℃)の温度で、である。さらに別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、990°〜1040°F(532.2〜560℃)の温度で、である。別の実施形態では、溶体化熱処理温度は、1000°〜1040°F(537.8〜560℃)の温度で、である。
【0023】
溶体化熱処理された供給材料は、一般に急冷されてTテンパーを達成し、好ましくは70〜250°F(21.1〜121.1℃)、好ましくは100〜200°F(37.8〜93.3℃)に空気及び/または水で急冷され、次いで巻き取られる。別の実施形態では、溶体化熱処理された供給材料は、一般に急冷されてTテンパーを達成し、好ましくは70〜250°F(21.1〜121.1℃)、好ましくは70〜180°F(21.1〜82.2℃)に空気及び/または水で急冷され、次いで巻き取られる。好ましくは、急冷は水急冷または空気急冷または組み合わせた急冷であり、その中で水は最初に適用し、ストリップの温度をライデンフロスト温度(多くのアルミニウム合金にとっては約550°F(287.8℃))のすぐ上までもってきて、連続して空気急冷する。この方法は、水急冷の急速に冷却する利点と、製品に高品位の表面を提供し、ゆがみを最小限にする、ストレスの低い空気噴流の急冷を組み合わせる。熱処理された製品のためには、250°F(121.1℃)以下の出口温度が好ましい。さまざまな急冷装置のいくつかが、本発明の実践に使用されうる。一般に、急冷ステーションでは、高温の供給材料上に液体または気体状のどちらかで、冷却流体が噴霧され、急速にその温度が減少される。好適な冷却流体は、水、空気、二酸化炭素などの液化ガス、などを含む。高温の供給材料の温度を急速に減少させ、固溶体からの合金要素の相当の析出を防ぐため、急冷はすぐに実施されることが好ましい。
【0024】
溶体化熱処理及び急冷後、新6xxxアルミニウム合金は、例えば、T4またはT43テンパーへと自然に時効しうる。いくつかの実施形態では、自然時効後、コイル状の新6xxxアルミニウム合金製品は、さらなる加工のために顧客に輸送される。
【0025】
いくつかの自然時効後、新6xxxアルミニウム合金は、析出硬化する析出物を発生させるため、人工的に時効させることができる。人工的時効は、1つ以上の高温(例えば93.3°〜232.2°C(200°〜450°F))で1つ以上の期間(例えば、数分から数時間)、新6xxxアルミニウム合金を加熱することを含みうる。人工的時効は、新6xxxアルミニウム合金(例えば、アルミニウム合金が自動車用途に使用されるとき)の塗料焼き付けを含みうる。人工的時効は、任意に塗料焼き付け(例えば、新6xxxアルミニウム合金を自動車構成要素に形成された後)の前に実施してもよい。いかなる塗料焼き付け後の追加の人工的時効は、必要/適当としても完了されうる。一実施形態では、最終6xxxアルミニウム合金製品が、T6テンパーにあり、最終6xxxアルミニウム合金製品が、溶体化熱処理され、急冷され、及び人工的に時効されたことを意味する。人工的時効は、必ずしもピーク強度まで時効させる必要はないが、人工的時効は、ピーク強度またはピーク時効強度近く(ピーク時効近くとは、ピーク強度の10%以内を意味する)を達成するために、完了されうる。
【0026】
<III.複数の圧延スタンド>
一実施形態では、本明細書に記述されている新6xxxアルミニウム合金は、連続的に鋳造されるとき、多くの圧延スタンドを用いて加工されうる。例えば、連続的なインライン配列における6xxxアルミニウム合金の製造法の一実施形態は、(i)供給材料として、連続的に鋳造する6xxxアルミニウム合金ストリップを提供するステップと、(ii)6xxxアルミニウム合金供給材料を、少なくとも2つのスタンドを介してインラインで必要な厚さに、任意に最終製品ゲージまで圧延(例えば高温圧延及び/または低温圧延)するステップを含みうる。圧延後、6xxxアルミニウム合金供給材料は、(iii)溶体化熱処理及び(iv)急冷されうる。溶体化熱処理及び急冷後、6xxxアルミニウム合金ストリップは、(v)人工的に時効(例えば、塗料焼き付けを介して)させられうる。任意の追加のステップは、オフライン低温圧延(例えば、溶体化熱処理の直前または直後)、テンションレベリング、及び巻き取りを含む。この方法は、アルミニウム合金ストリップが、特性の改善された組み合わせ(例えば、強度及び成形性の改善された組み合わせ)を有することにつながりうる。
【0027】
圧延ステップにより影響された厚さにおける減少の範囲は、必要とされた最終ゲージまたは中間ゲージに到達するように意図されており、そのどちらも目標の厚さになりうる。以下の例で示すとおり、2つの圧延スタンドを用いることは、特性の予期しない、及び改善された組み合わせを容易にする。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜80%減少させて、目標の厚さを達成する。ストリップの鋳放し(鋳造)ゲージは、目標の厚さを達成するために、少なくとも2つの圧延スタンド上で適切な総減少を達成するように調整されうる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを少なくとも25%減少させうる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを少なくとも30%減少させうる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを少なくとも35%減少させうる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを少なくとも40%減少させうる。これらの実施形態のうちのいずれかでは、第1の高温圧延スタンドプラス少なくとも第2の高温圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを75%を超えない範囲で減少させうる。これらの実施形態のうちのいずれかでは、第1の高温圧延スタンドプラス少なくとも第2の高温圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを65%を超えない範囲で減少させうる。これらの実施形態のうちのいずれかでは、第1の高温圧延スタンドプラス少なくとも第2の高温圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを60%を超えない範囲で減少させうる。これらの実施形態のうちのいずれかでは、第1の高温圧延スタンドプラス少なくとも第2の高温圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを55%を超えない範囲で減少させうる。
【0028】
1つのアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを15%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0029】
別のアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを20%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを20%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを20%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを20%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを20%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0030】
別のアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを25%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを25%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを25%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを25%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを25%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0031】
別のアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを30%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを30%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを30%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを30%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを30%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0032】
別のアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを35%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを35%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを35%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを35%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを35%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0033】
別のアプローチでは、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを40%〜75%減少させて、目標の厚さを達成する。一実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを40%〜70%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを40%〜65%減少させて、目標の厚さを達成する。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを40%〜60%減少させて、目標の厚さを達成する。別の実施形態では、第1の圧延スタンドプラス少なくとも第2の圧延スタンドの組み合わせは、鋳放し(鋳造)厚さを40%〜55%減少させて、目標の厚さを達成する。
【0034】
第1の圧延スタンドに関して、一実施形態では、第1の圧延スタンドによって1〜50%の厚さ減少が達成され、厚さ減少は、鋳造厚さから中間厚さである。一実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを5〜45%減少させる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを10〜45%減少させる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを11〜40%減少させる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを12〜35%減少させる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを12〜34%減少させる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを13〜33%減少させる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを14〜32%減少させる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを15〜31%減少させる。さらに別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを16〜30%減少させる。別の実施形態では、第1の圧延スタンドは、鋳放し(鋳造)厚さを17〜29%減少させる。
【0035】
第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、1〜70%の厚さ減少を達成する。数学を用いて、当業者は、目標の厚さを達成するのに必要な総減少に基づいた、適切な第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラス追加の圧延スタンドの組み合わせ)減少、及び第1の圧延スタンドによって達成された減少量を選ぶことができる。
(1)目標の厚さ=鋳造ゲージ厚さ×(第1のスタンドによる減少%)×(第2及びいずれかの後続のスタンドによる減少%)
(2)目標の厚さを達成するための総減少=第1のスタンド減少+第2(またはそれ以上)のスタンド減少
一実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、5〜70%の厚さ減少を達成する。別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、10〜70%の厚さ減少を達成する。さらに別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、15〜70%の厚さ減少を達成する。別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、20〜70%の厚さ減少を達成する。さらに別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、25〜70%の厚さ減少を達成する。別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、30〜70%の厚さ減少を達成する。さらに別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、35〜70%の厚さ減少を達成する。別の実施形態では、第2の圧延スタンド(または第2の圧延スタンドプラスいずれかの追加の圧延スタンドの組み合わせ)は、第1の圧延スタンドによって達成された中間厚さに関して、40〜70%の厚さ減少を達成する。
【0036】
多数の圧延スタンドを用いるとき、適切な目標の厚さに到達するために、いずれかの好適な数の高温及び低温圧延スタンドを使用しうる。例えば、薄いゲージのための圧延ミルアレンジメントは、高温圧延ステップを含み、その後必要に応じて、高温及び/または低温圧延ステップを含む。
【0037】
<IV.特性>
上記に示す通り、新6xxxアルミニウム合金は、特性の改善された組み合わせを実現しうる。一実施形態では、特性の改善された組み合わせは、強度及び成形性の改善された組み合わせに関する。一実施形態では、特性の改善された組み合わせは、強度、成形性、及び腐食耐性の改善された組み合わせに関する。
【0038】
6xxxアルミニウム合金製品は、自然時効状態で、ASTM B557に従って測定するとき、100〜170MPaの引張降伏強度(LT)を実現することができる。例えば、溶体化熱処理、任意のストレスリリーフ(例えば、ストレッチまたはレベリングを介して)、及び自然時効後、6xxxアルミニウム合金製品は、T4またはT43テンパーのひとつにあるように、100〜170MPaの引張降伏強度(LT)を実現することができる。T4またはT43テンパーにおける自然時効強度は、30日の自然時効時に測定されることになる。
【0039】
一実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも130MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも135MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも140MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも145MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも150MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも155MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも160MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T4テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも165MPaまたはそれ以上の引張降伏強度(LT)を実現しうる。
【0040】
一実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも110MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも115MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも120MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも125MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも130MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも135MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも140MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、T43テンパー内の新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも145MPaまたはそれ以上の引張降伏強度(LT)を実現しうる。
【0041】
6xxxアルミニウム合金製品は、人工的時効状態で、ASTM B557に従って測定するとき、160〜330MPaの引張降伏強度(LT)を実現することができる。例えば、溶体化熱処理、任意のストレスリリーフ、及び人工的時効後、新6xxxアルミニウム合金製品は、160〜330MPaのピーク強度に近い値を実現することができる。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも165MPa(例えば、ピーク強度近くまで時効したとき)の引張降伏強度(LT)を実現することができる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも170MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも175MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも180MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも185MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも190MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも195MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも200MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも205MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも210MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも215MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも220MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも225MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも230MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも235MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも240MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも245MPaの引張降伏強度(LT)を実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも250MPaまたはそれ以上の引張降伏強度(LT)を実現しうる。
【0042】
一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、ISO12004−2:2008基準に従って測定するとき、1.0mmのゲージにつき、28.0〜33.0(Engr%)のFLDを実現し、ISO基準は、ドームの頂点から離れた15%以上のパンチ径の割れ目は有効であるとカウントされるよう修正される。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも28.5(Engr%)のFLDを実現する。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも29.0(Engr%)のFLDを実現する。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも29.5(Engr%)のFLDを実現する。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも30.0(Engr%)のFLDを実現する。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも30.5(Engr%)のFLDを実現する。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも31.0(Engr%)のFLDを実現する。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも31.5(Engr%)のFLDを実現する。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも32.0(Engr%)のFLDを実現する。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、少なくとも32.5(Engr%)またはそれ以上のFLDを実現する。
【0043】
新6xxxアルミニウム合金は、ISO基準11846(1995)(方法B)に従って試験するとき、350ミクロン(例えば、上述するように、ピーク時効近くの)を超えない攻撃測定の深さを実現するような、優れた粒間腐食耐性を実現しうる。一実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、340ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、330ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、320ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、310ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、300ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、290ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、280ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、270ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、260ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、250ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、240ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、230ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、220ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、210ミクロンを超えない攻撃の深さを実現しうる。さらに別の実施形態では、新6xxxアルミニウム合金は、200ミクロンを超えない、またはそれ未満の攻撃の深さを実現しうる。
【0044】
本明細書に記述する新6xxxアルミニウム合金ストリップ製品は、さまざまな製品適用における使用を見つけることができる。一実施形態では、本明細書に記述される新しいプロセスによって作られた新6xxxアルミニウム合金製品は、閉被パネル(例えば、フード、フェンダー、ドア、ルーフ、トランクのふた、その他)、及びホワイトボディ(例えば、支柱、補強材)適用、その他などの自動車適用に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本発明の加工ステップの一実施形態を図示したフローチャートである。
【0046】
図2図2は、本発明の方法を実施するのに使用される装置の追加の実施形態である。このラインは、より細かい最終ゲージに到達するために、4つの圧延ミルを備える。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、本発明を図示するためのもので、いかなる方法でも本発明を限定するものではないと解釈されたい。
【0048】
<実施例1>
2つの6xxxアルミニウム合金は、連続的に鋳造され、次いで2つの圧延スタンド上で、インラインで中間ゲージに圧延された。これらの6xxxアルミニウム合金を、次いで最終ゲージまで低温圧延し(オフラインで)、次いで溶体化熱処理し、次いで急冷し、次いで数日間自然に時効させた。これらの合金のさまざまな機械的特性が、次いで測定された。これらの合金の組成、さまざまな加工条件、及びさまざまな特性は、以下の表1〜4に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0049】
30日間の自然時効に際し、いくつかのサンプルを人工的時効の前にストレッチすることによりプリストレインし(PS)、次いで2つの6xxxアルミニウム合金のさまざまなサンプルを人工的に時効させた。これらの合金のさまざまな機械的特性及び粒間腐食耐性が次いで測定され、その結果を以下の表5〜6に示す。
【表5】
【表6】
【0050】
示す通り、合金CC1〜CC2は、強度、成形性、及び腐食耐性の改善された組み合わせを実現する。
【0051】
<実施例2>
実施例1につき、5つの追加の6xxxアルミニウム合金が調製された。これらの合金の組成、さまざまな加工条件、及びさまざまな特性は、以下の表7〜10に示す。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0052】
30日間の自然時効に際し、いくつかのサンプルを人工的時効の前にストレッチすることによりプリストレインし(PS)、次いで5つの6xxxアルミニウム合金のさまざまなサンプルを人工的に時効させた。これらの合金のさまざまな機械的特性及び粒間腐食耐性が次いで測定され、その結果を以下の表11〜12に示す。
【表11】
【表12】
【0053】
示す通り、合金CC3〜CC4は、強度、成形性、及び腐食耐性の改善された組み合わせを実現する。
【0054】
<測定基準>
降伏強度、引張強度、伸長測定は、すべてASTM E8及びB557に従って行われる。
【0055】
FLDo(Engr%)は、ISO12004−2:2008基準に従って測定され、ISO基準は、ドームの頂点から離れた15%以上のパンチ径の割れ目は有効であるとカウントされるよう修正される。
【0056】
本明細書で使用される通り、「R値」は、等式r値=εw/εtに示されるように、真の厚さひずみに対する、塑性ひずみ比または真の幅ひずみである。R値は、伸び計を用いて縦ひずみを測定しながら、引張試験中に伸び計を用いて幅ひずみデータを集めることにより、測定される。次いで、縦及び幅の真の塑性ひずみが計算され、等積仮定から厚さひずみが測定される。次いで、R値は、引張試験から得られた真の塑性幅ひずみ対真の塑性厚さひずみの図のスロープとして計算される。「デルタR」は、以下の等式(1)に基づき計算される:
(1)デルタR=絶対値[(r_L+r_LT−2×r_45)/2]
式中、r_Lは、アルミニウム合金製品の縦方向におけるR値であり、r_LTは、アルミニウム合金製品の長横方向におけるR値であり、r_45はアルミニウム合金製品の45°方向におけるR値である。
【0057】
粒間腐食耐性は、すべてISO基準11846(1995)(方法B)(1つのサンプルにつき5つの部位を伴う2つのサンプルの最大値は、上記実施例に報告される)に従って行われた。
【0058】
一方、本発明の特定の実施形態は、図示の目的で上に記述してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される通り、本発明から逸脱することなく、本発明の詳細の数々の変形を作れるということは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2