(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成)
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の本体を示す分解斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の本体と受電装置を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、誘導加熱調理器の本体100の上部には、鍋等の被加熱物5が載置される天板4を有している。また、天板4上には、本体100から電力が伝送される受電装置200が着脱可能に載置される。本実施の形態1に係る誘導加熱調理器においては、受電装置200は、被加熱物5の温度を検知する温度センサを備えている。詳細は後述する。
【0010】
本体100の天板4には、被加熱物5を誘導加熱するための加熱口として、第1の加熱口1、第2の加熱口2、第3の加熱口3とを備え、各加熱口に対応して、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、第3の加熱手段13を備えている。本体100は、それぞれの加熱口に対して被加熱物5を載置して誘導加熱を行うことができるものである。
本実施の形態1では、本体100の手前側に左右に並べて第1の加熱手段11と第2の加熱手段12が設けられ、本体100の奥側ほぼ中央に第3の加熱手段13が設けられている。なお、各加熱口の配置はこれに限るものではない。例えば、3つの加熱口を略直線状に横に並べて配置しても良い。また、第1の加熱手段11の中心と第2の加熱手段12の中心との奥行き方向の位置が異なるように配置しても良い。また、加熱口の個数もこれに限るものではなく、1つや2つの場合でも良く、あるいは4つ以上の加熱口を有していても良い。
【0011】
天板4は、全体が耐熱強化ガラスや結晶化ガラスやホウケイ酸ガラス等の赤外線を透過する材料で構成されており、本体100の上面開口外周との間にゴム製パッキンやシール材を介して水密状態に固定される。天板4には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13の加熱範囲(加熱口)に対応して、鍋の大まかな載置位置を示す円形の鍋位置表示が、塗料の塗布や印刷等により形成されている。
【0012】
天板4の手前側には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13で被加熱物5を加熱する際の投入火力(投入電力)や調理メニュー(湯沸しモード、揚げ物モード等)を設定するための入力装置として、操作部40a、操作部40b、及び操作部40c(以下、操作部40と総称する場合がある)が設けられている。また、操作部40の近傍には、本体100の動作状態や操作部40からの入力・操作内容等を表示する表示部41a、表示部41b、及び表示部41c(以下、表示部41と総称する場合がある)が設けられている。
【0013】
なお、操作部40a〜40cと表示部41a〜41cは加熱口毎に設けられている場合や、加熱口を一括して操作部40と表示部41を設ける場合など、特に限定するものではない。なお、操作部40a〜40cは、例えばプッシュスイッチやタクトスイッチなどの機械的なスイッチや、電極の静電容量の変化により入力操作を検知するタッチスイッチなどにより構成されている。また、表示部41a〜41cは、例えばLCD(Liquid Crystal Device)やLED等で構成されている。
なお、以下の説明においては、操作部40と表示部41とを一体に構成した操作表示部43を設ける場合について説明する。操作表示部43は、例えば、LCDの上面にタッチスイッチを配置したタッチパネルなどによって構成される。
【0014】
天板4の下方であって本体100の内部には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13を備えており、各々の加熱手段は加熱コイルで構成されている。なお、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13の少なくとも1つを、例えば輻射によって加熱するタイプの電気ヒータ(例えばニクロム線やハロゲンヒータ、ラジエントヒータ)で構成しても良い。
【0015】
加熱コイルは、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミニウムなど)からなる導電線を巻き付けることにより構成される。駆動回路50により高周波電力が各加熱コイルに供給されることで、各加熱コイルからは高周波磁界が発生される。
【0016】
誘導加熱調理器の本体100の内部には、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12、及び第3の加熱手段13の加熱コイルに高周波電力を供給する駆動回路50と、駆動回路50を含め誘導加熱調理器全体の動作を制御するための制御部45とが設けられている。
【0017】
本体100の天板4の下方には、磁気共鳴により、受電装置200へ電力を送る送電コイル65が設けられている。送電コイル65は、絶縁皮膜された任意の金属(例えば銅、アルミニウムなど)からなる導電線を巻き付けることにより構成される。送電コイル65は、インダクタンスが加熱コイルと比較して小さく構成される。
図1に示すように、送電コイル65は、例えば、天板4の縁に沿うように配置されている。また、送電コイル65は、平面視において、第1の加熱手段11、第2の加熱手段12及び第3の加熱手段13を囲むように設けられている。これにより、天板4のうち加熱手段が配置されていない領域に、一つの送電コイル65が配置される範囲を大きくすることができる。
なお、送電コイル65の形状及び配置はこれに限定されるものではない。例えば、送電コイル65を、平面視において1つの加熱手段(加熱コイル)を囲むように設けても良い。また、送電コイル65を複数設けても良い。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の本体及び受電装置の構成を示すブロック図である。
この
図3は、誘導加熱調理器の本体100の天板4上の加熱口に被加熱物5が載置され、天板4の加熱口以外の領域に受電装置200が載置されている状態を示している。
非接触電力伝送装置として機能する誘導加熱調理器の本体100と、受電装置200とにより非接触電力伝送システムを構成する。
【0019】
図3に示すように、誘導加熱調理器の本体100には、加熱コイル11a、操作表示部43、制御部45、本体側通信装置47、駆動回路50、送電回路60、及び送電コイル65が配置されている。
【0020】
制御部45は、マイコン又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等で構成される。制御部45は、操作表示部43からの操作内容及び本体側通信装置47から受信した通信情報に基づいて、駆動回路50を制御する。また、制御部45は、動作状態などに応じて、操作表示部43への表示を行う。
本体側通信装置47は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、NFC(Near Field Communication:近距離無線通信)など、任意の通信規格に適合した無線通信インターフェースによって構成される。本体側通信装置47は、受電装置200の受電側通信装置85と無線通信を行う。
送電回路60は、送電コイル65に電力を供給する。詳細は後述する。
【0021】
受電装置200は、例えば天板4の上に載置され、本体100から非接触で電力を受電する。受電装置200は、受電コイル80、受電回路81、受電側制御部83、受電側通信装置85、及び負荷回路である温度センサ90を備えている。
【0022】
受電コイル80は、磁気共鳴により、送電コイル65から電力を受ける。受電回路81は、受電コイル80が受けた電力を負荷へ供給する。詳細は後述する。
【0023】
受電側制御部83、受電側通信装置85、及び温度センサ90は、受電回路81から供給された電力によって動作する。
温度センサ90は、例えば赤外線センサにより構成され、天板4の上に載置された被加熱物5の側面の温度を非接触で検知する。なお、温度センサ90は、例えばサーミスタなどの接触式のセンサで構成しても良い。温度センサ90は、検知した温度に相当する電圧信号を受電側制御部83へ出力する。
【0024】
受電側制御部83は、マイコン又はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)等で構成される。受電側制御部83は、温度センサ90が検知した温度の情報を、受電側通信装置85に送信させる。
受電側通信装置85は、本体側通信装置47の通信規格に適合した無線通信インターフェースによって構成される。受電側通信装置85は、本体側通信装置47と無線通信を行う。
【0025】
なお、本実施の形態1における温度センサ90は、本発明における「負荷回路」を構成する。
受電側通信装置85は、本発明における「第1通信装置」に相当する。
本体側通信装置47は、本発明における「第2通信装置」に相当する。
【0026】
(駆動回路)
図4は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の駆動回路を示す図である。
なお、駆動回路50は加熱手段毎に設けられているが、その回路構成は同一であっても良いし、加熱手段毎に変更しても良い。
図4では1つの駆動回路50のみを図示する。
図4に示すように、駆動回路50は、直流電源回路22と、インバータ回路23と、共振コンデンサ24とを備える。
【0027】
入力電流検出手段25は、例えば電流センサで構成され、交流電源(商用電源)21から直流電源回路22へ入力される電流を検出し、入力電流値に相当する電圧信号を制御部45へ出力する。
【0028】
直流電源回路22は、ダイオードブリッジ22a、リアクタ22b、平滑コンデンサ22cを備え、交流電源21から入力される交流電圧を直流電圧に変換して、インバータ回路23へ出力する。
【0029】
インバータ回路23は、スイッチング素子としてのIGBT23a、23bが直流電源回路22の出力に直列に接続された、いわゆるハーフブリッジ型のインバータである。インバータ回路23は、フライホイールダイオードとしてダイオード23c、23dがそれぞれIGBT23a、23bと並列に接続されている。IGBT23aとIGBT23bは、制御部45から出力される駆動信号によりオンオフ駆動される。制御部45は、IGBT23aをオンさせている間はIGBT23bをオフ状態にし、IGBT23aをオフさせている間はIGBT23bをオン状態にし、交互にオンオフする駆動信号を出力する。これにより、インバータ回路23は、直流電源回路22から出力される直流電力を規定周波数の交流電力に変換して、加熱コイル11aと共振コンデンサ24とからなる共振回路に電力を供給する。なお、規定周波数の交流電力とは、例えば、20kHz以上100kHz未満の高周波の交流電力である。
【0030】
共振コンデンサ24は、加熱コイル11aに直列接続されており、この共振回路は加熱コイル11aのインダクタンス及び共振コンデンサ24の容量等に応じた共振周波数を有する。なお、加熱コイル11aのインダクタンスは被加熱物5(金属負荷)が磁気結合した際に金属負荷の特性に応じて変化し、このインダクタンスの変化に応じて共振回路の共振周波数が変化する。
【0031】
このように駆動回路50を構成することで、加熱コイル11aには数十A程度の高周波電流が流れ、流れる高周波電流により発生する高周波磁束によって加熱コイル11aの直上の天板4上に載置された被加熱物5を誘導加熱する。
【0032】
なお、スイッチング素子であるIGBT23a、23bは、例えばシリコン系からなる半導体で構成されているが、炭化珪素、あるいは窒化ガリウム系材料などのワイドバンドギャップ半導体を用いた構成でも良い。スイッチング素子にワイドバンドギャップ半導体を用いることで、スイッチング素子の通電損失を減らすことができ、またスイッチング周波数(駆動周波数)を高周波(高速)にしても駆動回路50の放熱が良好であるため、駆動回路50の放熱フィンを小型にすることができ、駆動回路50の小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0033】
コイル電流検出手段26は、加熱コイル11aと共振コンデンサ24とからなる共振回路に接続されている。コイル電流検出手段26は、例えば、電流センサで構成され、加熱コイル11aに流れる電流を検出し、コイル電流値に相当する電圧信号を制御部45に出力する。
【0034】
なお、
図4では、ハーフブリッジ駆動回路を示したが、4つのIGBTと4つのダイオードから構成されるフルブリッジ駆動回路でも良いことは言うまでもない。
【0035】
(磁気共鳴方式による電力伝送)
図5は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の本体及び受電装置の構成を示す図である。
図6は、
図5の構成の具体的な回路図である。
なお、
図5及び
図6は、誘導加熱調理器の本体100及び受電装置200の、磁気共鳴方式による電力伝送に関する構成を示している。
誘導加熱調理器の本体100と受電装置200とは、共振特性を利用して電力伝送を行う磁気共鳴方式(共振結合型)の非接触電力伝送システムを構成する。即ち、誘導加熱調理器の本体100は、磁気共鳴によって受電装置200へ電力を送電する共振型電力送電装置を構成する。また、受電装置200は、磁気共鳴によって本体100から電力を受電する共振型電力受電装置を構成する。
【0036】
図5及び
図6に示すように、本体100の送電回路60は、共振型電源60a及び整合回路60bにより構成されている。
共振型電源60aは、送電コイル65への電力の供給を制御するものであり、直流又は交流の入力電力を所定の周波数の交流に変換して出力するものである。この共振型電源60aは、共振スイッチング方式による電源回路で構成され、出力インピーダンスZo、共振周波数fo及び共振特性値Qoを有する。
また、共振型電源60aの共振周波数foは、MHz帯域の周波数に設定されている。
共振周波数foは、例えば、6.78MHzである。なお、共振周波数foは、これに限らず、MHz帯域において、6.78MHzの整数倍の周波数としても良い。
【0037】
整合回路60bは、共振型電源60aの出力インピーダンスZoと送電コイル65の通過特性インピーダンスZtとの間のインピーダンス整合を行うものである。この整合回路60bは、インダクタL及びキャパシタCによるπ型やL型のフィルタで構成され、その通過特性インピーダンスZpを有する。
【0038】
送電コイル65は、整合回路60bを介した共振型電源60aからの交流電力を入力して共振動作を行い、非放射型の電磁界を近傍に発生させることで、受電装置200の受電コイル80に対して電力伝送を行うものである。この送電コイル65は、コイルとキャパシタC5とにより共振回路が形成され、共振型のアンテナとして機能する。送電コイル65は、通過特性インピーダンスZt、共振周波数ft及び共振特性値Qtを有する。
【0039】
また、共振型電源60aの共振周波数fo及び共振特性値Qoは、共振型電源60aの出力インピーダンスZoと整合回路60bの通過特性インピーダンスZpから決まる。送電コイル65の共振周波数ft及び共振特性値Qtは、送電コイル65の通過特性インピーダンスZtと整合回路60bの通過特性インピーダンスZpから決まる。
そして、この2つの共振特性値Qo、Qtから、誘導加熱調理器の本体100は、下式(1)の共振特性値Qtxを有することになる。
【0040】
[数1]
Qtx=√(Qo・Qt) (1)
【0041】
受電装置200の受電回路81は、整流回路81a及び変換回路81bにより構成されている。
受電コイル80は、送電コイル65からの非放射型の電磁界と共振結合動作を行うことで電力を受電し、交流電力を出力するものである。この受電コイル80は、コイルとキャパシタC11とにより共振回路が形成され、共振型のアンテナとして機能する。受電コイル80は、通過特性インピーダンスZrを有する。
【0042】
整流回路81aは、受電コイル80からの交流電力を直流電力に変換する整流機能と、受電コイル80の通過特性インピーダンスZrと変換回路81bの入力インピーダンスZRLとの間のインピーダンス整合を行う整合機能を有する整合型整流回路である。整合機能は、インダクタL及びキャパシタCによるπ型やL型のフィルタで構成される。また、整流回路81aは、通過特性インピーダンスZsを有する。なおここでは、整流回路81aが整流機能及び整合機能を有するものとしたが、これに限るものではなく、整流効率は下がるが整流機能のみで構成してもよい。
【0043】
変換回路81bは、整流回路81aからの直流電力を入力し、所定の電圧へ変換して負荷回路(温度センサ90等)へ供給するものである。この変換回路81bは、高周波電圧リップルを平滑するためのLCフィルタ(平滑フィルタ)と、所定の電圧へ変換するためのDC/DCコンバータ等で構成され、その入力インピーダンスZRLを有している。なお、DC/DCコンバータを設けず、平滑フィルタのみで構成してもよい。
【0044】
また、受電装置200の共振特性値Qr及び共振周波数frは、受電コイル80の通過特性インピーダンスZrと、整流回路81aの通過特性インピーダンスZsと、変換回路81bの入力インピーダンスZRLから決まる。
【0045】
そして、共振型電源60aの共振特性値Qo、送電コイル65の共振特性値Qt及び受電装置200の共振特性値Qrに相関関係を持たせるように、各機能部の特性インピーダンスを設定する。すなわち、本体100の共振特性値Qtx(=√(Qo・Qt))と受電装置200の共振特性値Qrとを近づける(下式(2))。
具体的には下式(3)の範囲内が望ましい。
【0046】
[数2]
√(Qo・Qt)≒Qr (2)
【0047】
[数3]
0.5Qr≦√(Qo・Qt)≦1.5Qr (3)
【0048】
このように、共振型電源60aの共振特性値Qo、送電コイル65の共振特性値Qt及び受電装置200の共振特性値Qrという3つの共振特性値に、上記のような相関関係を持たせることにより、電力伝送効率の低減を抑制することができる。したがって、磁気共鳴方式(共振結合型)による電力伝送は、電磁誘導方式(電磁誘導結合型)による電力伝送と比較して、送電コイル65と受電コイル80との間の距離を長くすることができる。
【0049】
(動作)
次に、本実施の形態1における誘導加熱調理器の動作について説明する。
【0050】
使用者は、鍋などの被加熱物5を本体100の天板4の加熱口に載置する。
また、使用者は、受電装置200を天板4の上に載置する。例えば、受電装置200の温度センサ90が、赤外線センサなどの非接触式のセンサで有る場合、使用者は、受電装置200を天板4上の任意の位置に載置する。また例えば、受電装置200の温度センサ90が、サーミスタなどの接触式のセンサで有る場合、使用者は、受電装置200を、天板4上であって被加熱物5の側面と接触する位置に載置する。上述したように、磁気共鳴方式(共振結合型)による電力伝送は、電力伝送が可能となる距離が長いため、受電装置200を送電コイル65と対向する位置に配置しなくても良い。
【0051】
次に、使用者は、操作表示部43により加熱開始(火力投入)の操作を行う。
制御部45は、設定された電力(火力)に応じて、インバータ回路23を制御する。インバータ回路23のIGBT23a及び23bに、例えば20kHz〜100kHz程度の高周波の駆動信号を入力し、IGBT23a及び23bを交互にオンオフのスイッチングをさせることで加熱コイル11aと共振コンデンサ24で構成される共振回路に高周波電流を供給する。加熱コイル11aに高周波電流が流れると高周波磁界が発生し、被加熱物5の底には磁束変化を打ち消す方向に渦電流が流れ、その流れる渦電流の損失よって被加熱物5が加熱される。
【0052】
また、制御部45は、送電回路60を動作させ、送電コイル65への電力の供給を開始させる。これにより、磁気共鳴によって送電コイル65から受電装置200の受電コイル80へ電力が供給される。受電コイル80が受電した電力は、受電回路81から、受電側制御部83、受電側通信装置85、及び温度センサ90へ供給される。
【0053】
受電装置200の温度センサ90は、被加熱物5の温度を検知する。受電側制御部83は、温度センサ90が検知した温度の情報を、受電側通信装置85に送信させる。
本体100の本体側通信装置47は、受電側通信装置85から送信された温度の情報を受信し、制御部45へ出力する。本体100の制御部45は、受電装置200の温度センサ90から取得した温度の情報に応じて、駆動回路50の駆動を制御する。
【0054】
(効果)
以上のように本実施の形態1においては、本体100は、被加熱物5が載置される天板4と、天板4の下方に配置され、被加熱物5を誘導加熱する加熱コイル11aと、加熱コイル11aに電力を供給する駆動回路50と、磁気共鳴により電力を送電する送電コイル65と、送電コイル65に電力を供給する送電回路60とを有する。また、受電装置200は、送電コイル65から磁気共鳴により電力を受電する受電コイル80と、受電コイル80が受電した電力によって動作する負荷回路とを有する。
このため、電磁誘導結合による電力伝送と比較して、誘導加熱調理器の本体100から電力が伝送される受電装置200の、設置位置の制約を軽減することができる。
【0055】
また、誘導加熱調理器の本体100から受電装置200へ、磁気共鳴により電力が伝送されるので、送電コイル65と受電コイル80とが対向配置されていない状態であっても電力伝送が可能となる。よって、天板4に載置する受電装置200の設置位置の自由度を向上することができ、使い勝手を向上することができる。例えば、送電コイル65と受電コイル80との間の距離が、天板4の幅又は奥行の半分以上の距離において、電力伝送を可能とするように構成することで、受電装置200を天板上のどこに設置しても安定して電力伝送を行うことができるようになる。このため、受電装置200の設置位置の自由度の高い、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。
【0056】
また、送電コイル65と受電コイル80とが対向配置されていない状態であっても電力伝送が可能となるので、受電装置200を載置する位置毎に複数の送電コイル65を設ける必要がなくなり、安価な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0057】
また、磁気共鳴による電力伝送の共振周波数と、誘導加熱を行う加熱コイル11aに流れるコイル電流の周波数とは大きく異なるので、本体100から受電装置200への電力伝送が、加熱コイル11aに流れるコイル電流による磁界の影響を受けることがない。このため、被加熱物5の誘導加熱と受電装置200への電力伝送とを同時に行うことが可能となる。
【0058】
例えば電磁誘導結合による電力伝送の場合、電力伝送の周波数と加熱コイル11aに流れるコイル電流の周波数とが近似するため、電磁誘導結合による電力伝送の磁界と加熱コイル11aから生じた磁界とが干渉して誤動作することがある。このため、電磁誘導結合による電力伝送の場合、誘導加熱と電力伝送とを同時に行うことが困難となる。よって、電磁誘導結合による電力伝送では、対策として、誘導加熱の投入電力を低下させたり、あるいは一旦停止させる必要がある。
一方、本実施の形態1の誘導加熱調理器においては、磁気共鳴による電力伝送を行うので、誘導加熱を低下又は停止させる必要がない。よって、短時間で調理が可能な、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。
【0059】
また、例えば電磁誘導結合による電力伝送の場合、送電コイルの位置と受電コイルの位置とにずれが生じると、電力伝送の効率が大きく低下する。このため、電磁誘導結合による電力伝送では、送電コイルに流れる電流が過大となり、送電コイルの発熱が大きくなる。更に位置ずれが大きくなると受電装置へ電力伝送をすることができなくなる。
一方、本実施の形態1の誘導加熱調理器においては、磁気共鳴による電力伝送を行うので、送電コイル65の位置と受電コイル80の位置とにずれが生じても、つまり対向配置されていなくても、安定して電力伝送を行うことができる。
【0060】
また、本実施の形態1においては、送電コイル65は、平面視において、複数の加熱手段を囲むように設けられている。例えば、送電コイル65は、天板4の下方であって、天板4の縁に沿うように配置されている。
このため、天板4のうち加熱手段が配置されていない領域に、一つの送電コイル65が配置される範囲を大きくすることができる。また、磁気共鳴による電力伝送の共振周波数と、加熱コイル11aの駆動周波数とは大きく異なるので、加熱コイル11aを囲むように送電コイル65を設ける構成であっても、本体100から受電装置200への電力伝送が、加熱コイル11aに流れるコイル電流による磁界の影響を受けることがない。
【0061】
例えば電磁誘導結合による電力伝送を行う場合、加熱コイルへ流れるコイル電流の周波数と、電力伝送の周波数とが近似するため、本体から受電装置への電力伝送が、加熱コイルに流れるコイル電流による磁界の影響を受けやすくなる。そのため、電磁誘導結合による電力伝送を行う場合には、加熱コイルの存在しない位置に電力伝送の送電コイルを設置する必要があり、送電コイルの設置箇所が制約されてしまう。
一方、本実施の形態1の誘導加熱調理器においては、磁気共鳴による電力伝送を行うので、送電コイル65の設置箇所の制約を軽減することができる。
【0062】
また、本実施の形態1においては、磁気共鳴の共振周波数は、MHz帯域の周波数である。例えば、駆動回路50の駆動周波数は、20kHz以上100kHz未満であり、磁気共鳴の共振周波数は、6.78MHz又は6.78MHzの整数倍である。
このように、磁気共鳴による電力伝送の共振周波数と、加熱コイル11aに流れるコイル電流の周波数とは大きく異なるので、本体100から受電装置200への電力伝送が、加熱コイル11aに流れるコイル電流による磁界の影響を受けることがない。そのため、コイル電流の大小、すなわち投入電力の大小によらず、安定して電力伝送を行うことができる。
また、送電コイル65から発生した磁界によって、天板4上に載置された導電体(金属)が誘導加熱されることがない。例えば金属製の調理器具などが天板4上に載置された場合であっても、送電コイル65から発生した磁界によって誘導加熱されることがない。
【0063】
また、磁気共鳴の共振周波数は、加熱コイル11aに流れる高周波電流の周波数と比較して極めて高いため、送電コイル65のインダクタンスを加熱コイル11aと比較して極めて小さくすることができる。よって、送電コイル65にフェライトなどの磁性体を設ける必要が無い。したがって、本体100を小型化することができ、安価な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0064】
また、本実施の形態1においては、受電装置200は、被加熱物5の温度を検知する温度センサ90が検知した温度の情報を送信する受電側通信装置85を備える。また、本体100は、受電側通信装置85から送信された温度の情報を受信する本体側通信装置47と、温度の情報に応じて、駆動回路50の駆動を制御する制御部45とを備える。
このため、被加熱物5の温度を検知する温度センサ90の設置位置の制約を軽減することができ、天板4に載置する温度センサ90の設置位置の自由度を向上することができる。よって、被加熱物5の形状や大きさなどに応じて、温度センサ90の設置位置を任意に変更することができる。したがって、使い勝手を向上することができる。
【0065】
また、温度センサ90を、例えばサーミスタなどの接触式のセンサで構成し、受電装置200を被加熱物5の側面に接触する位置に配置した場合であっても、本体100から受電装置200への電力伝送が、加熱コイル11aに流れるコイル電流による磁界の影響を受けることがない。
よって、温度センサ90を直接、被加熱物5の側面に取り付けることで、側面温度を直接検知することができ、温度検知精度の高い誘導加熱調理器を得ることができる。
【0066】
例えば電磁誘導結合による電力伝送の場合、金属製の被加熱物の側面に受電装置を取り付けると、電磁誘導で発生した磁束が、被加熱物の側面の金属部に鎖交することで、磁界が遮蔽されてしまい、電力伝送を行うことができない。
一方、本実施の形態1の誘導加熱調理器は、磁気共鳴により電力が伝送されるので、被加熱物5の金属部の影響を受けにくくなり、電力伝送が可能となる。
【0067】
(変形例1)
図7は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の受電装置の変形例1を示す斜視図である。
図7に示すように、受電装置200を複数備える構成でも良い。このような構成においても、複数の受電装置200は、それぞれ、1つの送電コイル65から電力を受電する。
【0068】
複数の受電装置200の受電側制御部83は、それぞれ、温度センサ90から取得した温度の情報を受電側通信装置85に送信させる。本体100の制御部45は、複数の受電装置200のそれぞれから温度の情報を取得し、複数の温度の情報を用いて、駆動回路50の駆動を制御する。
【0069】
例えば、1つの被加熱物5の温度を、複数の受電装置200の温度センサ90によって検知する。そして、制御部45は、受信した複数の温度の情報から、平均温度、最大温度、又は最低温度などを算出し、算出した値に基づいて、駆動回路50の駆動を制御する。
【0070】
また例えば、複数の受電装置200を、加熱口ごとに設けても良い。複数の受電装置200の受電側制御部83は、それぞれ、温度センサ90から取得した温度の情報に、加熱口を示す識別情報を付して受電側通信装置85に送信させる。本体100の制御部45は、複数の受電装置200のそれぞれから温度の情報を、識別情報と共に取得する。そして、制御部45は、受信した複数の温度の情報から、各加熱口に載置されている被加熱物5の温度を取得し、各加熱手段の駆動回路50の駆動をそれぞれ制御する。
【0071】
以上のように、温度センサ90を有する受電装置200を複数設けることで、温度検知の精度が高くなり、被加熱物5の温度ばらつきを抑制することが可能となり、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。また、複数の被加熱物5を同時に加熱する場合においても、それぞれの被加熱物5の温度を同時に検知することができ、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。
【0072】
(変形例2)
図8は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の受電装置の変形例2を示す模式図である。
図8に示すように、受電装置200の負荷回路として振動センサ90bを設けても良い。なお、受電装置200は、上述した温度センサ90に代えて振動センサ90bを設けても良いし、温度センサ90に加えて振動センサ90bを設けても良い。
振動センサ90bは、受電回路81から供給された電力によって動作する。振動センサ90bは、測定対象からの振動を検知するものである。
【0073】
なお、振動センサ90bは、本発明における「負荷回路」を構成する。
【0074】
このような構成において、受電装置200が被加熱物5の側面に接触する位置に配置されることで、振動センサ90bは、被加熱物5の振動を検知する。例えば、被加熱物5内の水を加熱し、水が沸騰すると、水泡が破裂することで被加熱物5の振動が変化する。振動センサ90bは、検知した振動に相当する電圧信号を受電側制御部83へ出力する。
【0075】
受電装置200の受電側制御部83は、振動センサ90bから取得した振動の情報を受電側通信装置85に送信させる。本体100の制御部45は、受電装置200から取得した振動の情報を用いて、駆動回路50の駆動を制御する。
【0076】
制御部45は、例えば、振動センサ90bが検知した振動の変化量がしきい値を超えた場合、被加熱物5の水が沸騰したと判定する。そして、制御部45は、沸騰を判定した場合には、投入火力を下げる制御を行う。また、制御部45は、操作表示部43に沸騰した旨の報知をしても良い。
【0077】
このように、振動センサ90bを設けることで、沸騰を検知することができる。また、沸騰後は投入火力(投入電力)を低くしても、沸騰を維持することができるため、投入電力を下げることが可能となる。投入電力を下げることで、無駄な電力投入を抑制することができ、省電力を実現する誘導加熱調理器を得ることができる。
【0078】
(変形例3)
図9は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の受電装置の変形例3を示す模式図である。
図9に示すように、受電装置200に、当該受電装置200を被加熱物5の側面に保持する保持手段210を備えても良い。
【0079】
上述したように、磁気共鳴方式(共振結合型)による電力伝送は、電磁誘導方式(電磁誘導結合型)による電力伝送と比較して、送電コイル65と受電コイル80との間の距離を長くすることができる。
したがって、
図9に示すように、受電装置200を天板4より上側(天板から浮かした方向)に配置した場合においても、電力伝送が可能であり、使い勝手の良い誘導加熱調理器を得ることができる。
【0080】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、受電装置の負荷回路として操作表示部43を備えた構成について説明する。
なお、以下の説明では、上記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0081】
図10は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の本体を示す分解斜視図である。
図11は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の本体と受電装置を示す斜視図である。
図12は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の本体及び受電装置の構成を示すブロック図である。
図10〜
図12に示すように、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の本体101は、操作部40、表示部41、及び操作部40と表示部41とを一体に構成した操作表示部43を備えていない。本体101のその他の構成は、上述した実施の形態1の本体100と同様である。
【0082】
本実施の形態2に係る誘導加熱調理器の受電装置201は、負荷回路として操作表示部43を備えている。
受電装置201の操作表示部43は、受電回路81から供給された電力によって動作する。操作表示部43は、誘導加熱調理器の本体101に対する入力操作を行う操作部40と本体101の動作に関する表示を行う表示部41とを一体に構成したものである。受電装置201のその他の構成は、上述した実施の形態1の受電装置200と同様である。
【0083】
なお、本実施の形態2における操作部40、表示部41、及び操作表示部43は、本発明における「負荷回路」を構成する。
【0084】
このような構成において、受電側制御部83は、操作表示部43からの入力操作の情報を、受電側通信装置85に送信させる。この入力操作の情報は、例えば、被加熱物5を加熱する際の投入火力(投入電力)や調理メニューなどの設定情報である。
本体101の制御部45は、本体側通信装置47が受信した入力操作の情報に応じて、駆動回路50の駆動を制御する。
【0085】
また、制御部45は、本体101の動作に関する表示情報を、本体側通信装置47に送信させる。受電装置201の受電側制御部83は、受電側通信装置85が受信した表示情報を、操作表示部43に表示させる。この表示情報は、例えば、被加熱物5を加熱する際の投入火力(投入電力)や調理メニューなどの設定、及び動作状態などの情報である。
【0086】
以上のように本実施の形態2においては、受電装置201は、誘導加熱調理器の本体101に対する入力操作を行う操作部40と本体101の動作に関する表示を行う表示部41とを一体に構成した操作表示部43を備えている。
このため、上記実施の形態1の効果に加え、操作表示部43の設置位置の自由度を向上することができ、使い勝手を向上することができる。
また、本体101に、操作部40、表示部41、及び操作部40と表示部41とを一体に構成した操作表示部43を備えていないので、本体101の構成を簡素化することができ、小型化を実現できる。
【0087】
なお、本実施の形態2では、操作部40と表示部41とを一体に構成した操作表示部43を受電装置201に備える構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。操作部40又は表示部41の一方のみを受電装置201に備える構成でも良い。
また、本実施の形態2では、本体101に、操作部40、表示部41、及び操作表示部43を備えない構成を説明したが、本発明はこれに限定されない。操作部40又は表示部41の一方を、本体101に備える構成でも良い。また、操作部40及び表示部41を、本体101と受電装置201の両方に備える構成でも良い。また、操作部40及び表示部41の一部を備える構成でも良い。
【0088】
(変形例)
図13は、実施の形態2に係る誘導加熱調理器の受電装置の変形例を示す斜視図である。
図13に示すように、誘導加熱調理器の本体101は、シンクなどが設けられたキッチン家具300に設置される。キッチン家具300の内部には、誘導加熱調理器の本体101が嵌め込まれる収容部(図示せず)が形成され、キッチン家具300の天面には平板状の作業台301が設けられている。誘導加熱調理器の本体101がキッチン家具300に組み込まれた状態において、作業台301の上に誘導加熱調理器の天板4が露出している。キッチン家具300の作業台301は、例えば木材、樹脂(例えば、人工大理石など)、石材など絶縁性(非金属)の材質で形成されている。
【0089】
このような構成において、操作表示部43を有する受電装置201は、キッチン家具300の作業台301に載置されても良い。
誘導加熱調理器の本体101から受電装置201へ、磁気共鳴により電力が伝送されるので、送電コイル65と受電コイル80とが対向配置されていない状態であっても電力伝送が可能である。また、作業台301は絶縁性の材質であるため、送電コイル65と受電コイル80との間が遮蔽されることはない。
このため、受電装置201を作業台301に載置した場合であっても、本体101からの電力伝送が可能となる。よって、受電装置201を作業台301に載置して操作表示部43の操作及び表示を行うことができ、誘導加熱調理器の使い勝手を向上することができる。
【0090】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、受電装置の負荷回路としてヒータを備えた構成について説明する。
なお、以下の説明では、上記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0091】
図14は、実施の形態3に係る誘導加熱調理器の構成を示す模式図である。
なお、
図14においては、本体100及び受電装置202を前面側から見た縦断面を模式的に示している。
【0092】
図14に示すように、実施の形態3に係る誘導加熱調理器の受電装置202は、負荷回路として上面ヒータ91を備えている。
上面ヒータ91は、受電回路81(図示省略)を介して受電コイル80と接続されている。上面ヒータ91は、受電コイル80が受電した電力によって発熱する発熱体によって構成される。上面ヒータ91は、例えば、抵抗発熱体であるシーズヒータを用いている。なお、上面ヒータ91は、具体的構成はこれに限らず、ハロゲンヒータや遠赤外線ヒータなど任意の発熱体を用いることができる。また、上面ヒータ91は、支持手段220によって、被加熱物5の上方に支持される。
【0093】
支持手段220は、例えば、受電装置202の外郭を構成する筐体によって形成される。支持手段220は、受電コイル80を収納する底面部から上方向に延びたあと水平方向に延びる、断面L字形に形成されている。即ち、支持手段220は、受電装置202を天板4上に載置した際に、上面ヒータ91が加熱コイル11a及び被加熱物5の上方に位置するように、上面ヒータ91を支持する。
【0094】
なお、受電装置202を天板4上に配置した際の、天板4と上面ヒータ91との距離は、被加熱物5として想定される鍋やフライパンなどの高さよりも高くなるように設定する。なお、支持手段220は、上面ヒータ91を上下方向に駆動可能な構成としても良い。
【0095】
なお、本実施の形態3における上面ヒータ91は、本発明における「負荷回路」を構成する。
【0096】
このような構成において、本体100の制御部45は、送電回路60を動作させ、送電コイル65への電力の供給を開始させる。これにより、磁気共鳴によって送電コイル65から受電装置200の受電コイル80へ電力が供給される。受電コイル80が受電した電力は、受電回路81から上面ヒータ91へ供給される。
【0097】
これにより、上面ヒータ91は、被加熱物5内の被調理物5bを上面から熱輻射により加熱する。つまり、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による調理と非接触電力伝送による調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。即ち、駆動回路50と送電回路60によって、被加熱物5からの熱による誘導加熱と上面ヒータ91による上面加熱とを個別制御することができるため、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0098】
実施の形態4.
本実施の形態4においては、受電装置の負荷回路として攪拌装置を備えた構成について説明する。
なお、以下の説明では、上記実施の形態1と同一部分には同一の符号を付し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0099】
図15は、実施の形態4に係る誘導加熱調理器の構成を示す模式図である。
なお、
図15においては、本体100及び受電装置203を前面側から見た縦断面を模式的に示している。
【0100】
図15に示すように、実施の形態4に係る誘導加熱調理器の受電装置203は、負荷回路として攪拌装置92を備えている。
攪拌装置92は、モータ92aと、シャフト92bと、羽根部92cとを備えている。攪拌装置92は、支持手段220によって、被加熱物5の上方に支持される。例えばシチューや炒め物などの被調理物5bが投入された鍋やフライパンなどの被加熱物5が、天板4の加熱口に載置されると、攪拌装置92の羽根部92cが被加熱物5内に配置される。
モータ92aは、例えば受電装置203の筐体の上部に設けられ、受電コイル80が受電した電力によって回転駆動する。シャフト92bは、回転軸が上下方向に配置され、一端がモータ92aに接続されてモータ92aの駆動力を伝達する。羽根部92cは、シャフト92bに取り付けられ、シャフト92bの回転駆動によって被調理物5bを攪拌する。
【0101】
なお、本実施の形態4における攪拌装置92は、本発明における「負荷回路」を構成する。
【0102】
このような構成において、本体100の制御部45は、送電回路60を動作させ、送電コイル65への電力の供給を開始させる。これにより、磁気共鳴によって送電コイル65から受電装置200の受電コイル80へ電力が供給される。受電コイル80が受電した電力は、受電回路81から攪拌装置92へ供給される。
【0103】
これにより、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを同時に行うことができる。また、誘導加熱による加熱調理と非接触電力伝送による攪拌調理とを個別に制御することができる。したがって、短時間で美味しく調理することが可能な誘導加熱調理器を得ることができる。
【0104】
なお、上記実施の形態1〜4においては、受電装置の負荷回路が一種類である場合を説明したが、上記実施の形態1〜4の負荷回路を複数組み合わせても良い。つまり、複数の受電装置を備え、そのうちの少なくとも1つの負荷回路の種類を他の種類と異ならせる構成であっても良い。
【0105】
また、受電装置の負荷回路は、上記実施の形態1〜4の例に限らず、例えば、食品の調理を行う調理機器(フライヤー、蒸し器、ロースター、トースター等)でも良い。また例えば、受電装置の負荷回路は、料理の下準備及び下拵え等を行う調理機器(ブレンダー、ミキサー、ミル、泡だて器、フードプロセッサー等)でも良い。また例えば、受電装置の負荷回路は、被加熱物5内に配置され食品の成分(例えば、塩分、糖度など)を検知する成分検知センサでも良い。
【0106】
実施の形態5.
図16は、実施の形態5に係る誘導加熱調理器の天板と送電コイルを示す図である。
図16(a)は、天板4の裏面側から見た平面図であり、
図16(b)は、天板4の側面図である。
図16に示すように、送電コイル65は、天板4の裏面(下面)側に接触して配置されても良い。例えば、送電コイル65は、プリント配線によって天板4の裏面に設けても良い。
このような構成により、本体100を小型化することができる。また、本体100の組立工程が簡易になり、安価な誘導加熱調理器を得ることができる。