(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6727369
(24)【登録日】2020年7月2日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】電力供給デバイス
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20200713BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20200713BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
H02M3/00 K
H02J1/00 306D
B60R16/03 S
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-76870(P2019-76870)
(22)【出願日】2019年4月15日
(65)【公開番号】特開2019-198217(P2019-198217A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2019年4月15日
(31)【優先権主張番号】15/954,851
(32)【優先日】2018年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(72)【発明者】
【氏名】モハマッド・エルグラウィ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エム・ボート
【審査官】
麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−033232(JP,A)
【文献】
特開2016−213965(JP,A)
【文献】
特開2016−131021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
B60R 16/03
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給デバイス(10)であって、該電力供給デバイス(10)は、
入力電圧(30)を受け取り、第1の出力電圧(24)、または前記第1の出力電圧(
24)よりも小さい第2の出力電圧(24)を生成するDC/DC電力コンバータ(14
)を備えており、前記第1の出力電圧(24)および第2の出力電圧(24)は、それぞ
れ前記入力電圧(30)よりも小さく、
前記電力供給デバイス(10)は、また、前記DC/DC電力コンバータ(14)と通
信するデバイスコントローラ(16)を備えており、
前記デバイスコントローラ(16)は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを有
し、
前記メモリは、
前記入力電圧(30)が閾値電圧(32)以上であるときに、前記第1の出力電圧(2
4)を出力するよう前記DC/DC電力コンバータ(14)に指令することを、前記デバ
イスコントローラ(16)に行わせる命令と、
前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)未満であるときに、前記第2の出力電圧
(24)を出力するよう前記DC/DC電力コンバータ(14)に指令することを、前記
デバイスコントローラ(16)に行わせる命令とを含み、
前記閾値電圧(32)が、前記第1の出力電圧(24)以上であり、
前記DC/DC電力コンバータ(14)が、前記入力電圧(30)よりも大きい出力電
圧(24)を提供することができなく、
前記電力供給デバイス(10)が、ユニバーサルシリアルバス(USB)ハブと通信す
るUSBポート内に配設され、
前記メモリは、さらに、前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)以上に維持され
ることを示す第1のUSB信号を、前記デバイスコントローラ(16)が前記USBハブ
から受け取ったことに応じて、前記第1の出力電圧(24)を出力するよう前記DC/D
C電力コンバータ(14)に指令することを、前記デバイスコントローラ(16)に行わ
せる命令を含み、
前記メモリはさらに、前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)未満に落ちるかも
しれないことを示す第2の信号を、前記デバイスコントローラ(16)が前記USBハブ
から受け取ったことに応じて、前記第2の出力電圧(24)を出力するよう前記DC/D
C電力コンバータ(14)に指令することを、前記デバイスコントローラ(16)に行わ
せる命令を含む、電力供給デバイス(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記電力供給デバイス(10)が、さらに、前記デバイスコントローラ(16)と通信
する入力電圧(30)検出回路を備えており、
前記メモリは、前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)より小さいと前記入力電
圧(30)検出回路が判定したとき、前記第2の出力電圧(24)を出力するよう前記D
C/DC電力コンバータ(14)に指令することを、前記デバイスコントローラ(16)
に行わせる追加の命令を含む、電力供給デバイス(10)。
【請求項3】
請求項1に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記電力供給デバイス(10)が、前記デバイスコントローラ(16)と通信するスタ
ート/ストップコントローラ(20)を有する自動車内に配設され、
前記メモリは、さらに、前記デバイスコントローラ(16)が前記スタート/ストップ
コントローラ(20)から走行信号を受け取ったことに応じて、前記第1の出力電圧(2
4)を出力するよう前記DC/DC電力コンバータ(14)に指令することを、前記デバ
イスコントローラ(16)に行わせる命令を含み、
前記メモリは、さらに、前記デバイスコントローラ(16)が前記スタート/ストップ
コントローラ(20)からストップ信号を受け取ったことに応じて、前記第2の出力電圧
(24)を出力するよう前記DC/DC電力コンバータ(14)に指令することを、前記
デバイスコントローラ(16)に行わせる命令を含む、電力供給デバイス(10)。
【請求項4】
請求項3に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記スタート/ストップコントローラ(20)が、コントローラエリアネットワーク(
CAN)通信バスによって、前記デバイスコントローラ(16)に接続される、電力供給
デバイス(10)。
【請求項5】
請求項3に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記スタート/ストップコントローラ(20)が、ローカル相互接続ネットワーク(L
IN)通信バスによって、前記デバイスコントローラ(16)に接続される、電力供給デ
バイス(10)。
【請求項6】
請求項3に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記走行信号は、前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)以上に維持されること
を示し、
前記ストップ信号は、前記入力電圧(30)が前記閾値電圧(32)未満に落ちるかも
しれないことを示す、電力供給デバイス(10)。
【請求項7】
請求項1に記載の電力供給デバイス(10)において、
前記第1の出力電圧(24)が約9ボルトであり、前記第2の出力電圧(24)が約5
ボルトである、電力供給デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本明細書は、2018年4月17日に出願された米国特許出願第15/954,851号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本発明は一般に、電力供給デバイス、および電力供給デバイスを操作する方法に関する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】USBパワーデリバリ規格3.0
【発明の概要】
【0004】
[0003]ここで例として添付図面を参照しながら、本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】[0004]一実施形態による電力供給デバイスの概略図である。
【
図2】[0005]一実施形態による電力供給デバイスを操作する方法のフロー図である。
【
図3】[0006]一実施形態による電力供給デバイスの入力電圧および出力電圧のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0007]添付図面に例が示されている実施形態を、ここで詳細に参照する。以下の詳細な説明では、記載される様々な実施形態を完全に理解するために、多くの具体的な詳細事項が述べられる。しかし、記載される様々な実施形態はこれらの具体的な詳細事項がなくても実施可能であることが、当業者には明らかであろう。他の例、よく知られた方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要にあいまいにすることがないように、記載されていない。
【0007】
[0008]ユニバーサルシリアルバス(USB)は、制限された電力を供給することができるデータインターフェースから、データインターフェースを用いた電力の主要な供給源へと進化してきた。今日、多くのデバイスが、ラップトップ、車、航空機、またはさらには壁のソケットに組み込まれたUSBポートから、電力を充電または取得する。USBは、携帯電話、デジタルメディアプレーヤ、および/または他の携帯型デバイスなど多くのコンピュータデバイス用の広く普及した電力ソケットになった。ユーザは、データに関する自らの必要性を満たすためだけでなく、「従来の」USB機能を実行するために、簡単に、多くの場合ドライバをロードする必要なく、自らのデバイスに電力を供給する、またはそれらを充電するためにUSBを利用する。
【0008】
[0009]USBパワーデリバリ(PD)規格は、単一のケーブルを介してデータとともに、例えばバッテリ充電のためにより柔軟な電力送達を実現することによって、USBの機能性を最大限にすることができる。その目的は、既存のUSBエコシステムを用いて動作しこのエコシステムを拡張の土台にすることである。USBパワーデリバリ規格3.0は、USBインプリメンターズフォーラム(Implementer’s Forum,Inc)によって発行され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0009】
[0010]USBパワーデリバリ規格に準拠したUSBPDデバイスの、自動車用途における従来の実装では、典型的な車両の入力電圧である12〜14ボルトより高くかつ低い5ボルト〜20ボルトの電圧を生成するために、「降圧/昇圧」DC/DC電力コンバータが使用されてきた。入力電圧より大きい、またはそれより小さいDC出力電圧を供給することができる降圧/昇圧DC/DCコンバータは、入力電圧より小さいDC出力電圧のみを供給することができる降圧のみのDC/DCコンバータよりもさらに高価であり、物理的に大きく、エネルギー効率が低い。本発明者らは、降圧のみのDC/DCコンバータ設計を使用した、高効率で、低コストで、初歩的なUSBPDデバイスを本明細書において提案する。
【0010】
[0011]厳しい燃費基準および排気基準を満たすために、自動車の相手先ブランド製造業者(OEM)は、内燃機関を自動的に停止および再始動させてエンジンがアイドリングで費やす時間量を短縮し、それにより車両の燃料消費および排気を低減させるスタート/ストップ技術を、自社の車両に組み込んでいる。
【0011】
[0012]OEMは、車両のバッテリ電圧を一時的に6ボルトまで落としてウォームスタート中の車両のクランキングをシミュレートする「スタート/ストップ」過渡試験に適合することを求める要件を、車両のバッテリによって電力供給されるUSBPDデバイスおよび他の自動車電気モジュールに課した。この過渡中、USBPDデバイスは、消費者体験のために中断することなく機能し続けることが期待される。過渡中のほんの6ボルトの入力電圧では、降圧のみのDC/DCコンバータが、入力電圧よりも高い出力電圧、例えば9ボルトを、消費者デバイスに対して充電中に維持することは不可能である。
【0012】
[0013]提案される革新的な解決策は、車両の電力状態を示すために信号を車両からUSBPDデバイスに提供することである。通常の車両走行モードの間、車両の電圧は典型的には12〜14Vの範囲にあると見込まれ、降圧のみのDC/DCコンバータは、高速充電モードで消費者充電デバイスによって使用される9ボルトの出力を生成することができる。車両がストップ/スタートモードに入ると、すなわち、車両が移動をストップし、自動的にエンジンを切ると、モードの変化が信号によって車両からUSBPDデバイスのコントローラに通信され、次いでUSBPDデバイスは、消費者デバイスとの充電接触を再ネゴシエーションして、通常の充電動作を行えるように5ボルトの出力電圧を提供する。その後、車がクランクサイクルの過渡に置かれたとき、降圧コンバータは、充電セッションを妨げることなく5ボルトの出力を維持することができる。エンジンがスタートして走行モードに戻った後、USBPDデバイスは、別の信号によって再び通知を受け、9ボルトの出力に戻る。この革新によって、フル機能を備えた高コストのUSBPDデバイスに重きを置かない、低コストの「初歩的な」PD解決策が提供される。
【0013】
[0014]
図1は、電力供給デバイス、例えば、以下でPDデバイス10と呼ばれるユニバーサルシリアルバス(USB)電力送達(PD)デバイスを示しており、PDデバイス10は、モータ車両12で使用されるように設計されている。PDデバイス10は、車両12においてUSB対応デバイス(図示せず)のバッテリ充電をサポートするために使用することができる。PDデバイス10は、以下でDCコンバータ14と呼ばれる降圧のみのDC/DC電力コンバータを含んでおり、DCコンバータ14は、車両の電気システムから入力電圧を受け取る。出力電圧は、少なくとも2つの異なる電圧のうちの1つ、例えば速いUSB充電速度をサポートするための9ボルト出力、または通常のUSB充電速度をサポートするための5ボルト出力とすることができる。降圧のみのDC/DC電力コンバータであるDCコンバータ14は、入力電圧よりも大きい出力電圧を提供することができない。
【0014】
[0015]PDデバイス10は、DCコンバータ14と通信するデバイスコントローラ16も含む。デバイスコントローラ16は、1つまたは複数のプロセッサおよびメモリを有する。プロセッサは、マイクロプロセッサ、もしくは特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよく、または個々の論理回路およびタイミング回路(図示せず)から構築されてもよい。プロセッサをプログラムするソフトウェア命令は、不揮発性(NV)メモリデバイス(図示せず)に記憶されてもよい。NVメモリデバイスは、マイクロプロセッサもしくはASICに組み込まれてもよく、または別個のデバイスであってもよい。使用することができるNVメモリの種類の非限定的な例は、電気的に消去可能でプログラム可能な読取り専用メモリ(EEPROM)、マスク読取り専用メモリ(ROM)、およびフラッシュメモリを含む。メモリは、入力電圧が閾値電圧以上であるときに、高い出力電圧、例えば9ボルトを出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる命令、および入力電圧が閾値電圧未満である、または今後そうなるときに、低い出力電圧、例えば5ボルトを出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる命令を記憶する。閾値電圧は、高い出力電圧以上である。
【0015】
[0016]また、PDデバイス10は、コントローラエリアネットワーク(CAN)トランシーバ、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)トランシーバ、USBトランシーバ、および/または入力電圧検出回路、例えばアナログ/デジタルコンバータ回路など、車両12内の他のデバイスとの電気通信をPDデバイス10が確立できるようにするためのインターフェース回路18を含む。
【0016】
[0017]入力電圧検出回路を含む実施形態では、この回路は、車両の電力供給部、例えば車両のバッテリ(図示せず)、およびデバイスコントローラ16と通信し、車両のバッテリからPDデバイス10への入力電圧を判定し、この情報をデバイスコントローラ16に送信するように構成されている。メモリは、入力電圧が閾値電圧より大きい、例えば9.5または10ボルトであると入力電圧検出回路が判定したとき、高い出力電圧、例えば9ボルトを出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる追加の命令、および入力電圧が閾値電圧より小さいと入力電圧検出回路が判定したとき、低い出力電圧、例えば5ボルトを出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる追加の命令を含む。
【0017】
[0018]別の実施形態では、PDデバイス10は、CANトランシーバ、LINトランシーバを介して、スタート/ストップコントローラ20と通信する。メモリはさらに、スタート/ストップコントローラ20からの走行信号をデバイスコントローラ16が受け取ったことに応じて、高い出力電圧を出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる命令を含む。スタート/ストップコントローラ20からのストップ信号をデバイスコントローラ16が受け取ったことに応じて、低い出力電圧を出力するようDCコンバータ14に指令することを、走行信号を受け取ることによって、デバイスコントローラ16に行わせる。走行信号は、ICエンジン22が走行中であることを示し、したがって、入力電圧は閾値電圧以上に維持されることになる。ストップ信号は、ICエンジン22が走行していないこと、および入力電圧が、例えばクランキング過渡中に、閾値電圧未満に落ちるかもしれないことを示す。
【0018】
[0019]さらに別の実施形態では、PDデバイス10は、USBハブと通信するUSBポート内に配設される。メモリは、入力電圧が閾値電圧以上に維持されることを示す第1のUSB信号を、デバイスコントローラ16がUSBハブから受け取ったことに応じて、高い出力電圧を出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる命令と、入力電圧が閾値電圧未満に落ちるかもしれないことを示す第2の信号を、デバイスコントローラ16がUSBハブから受け取ったことに応じて、低い出力電圧を出力するようDCコンバータ14に指令することを、デバイスコントローラ16に行わせる命令と、を含む。
【0019】
[0020]
図2は、DCコンバータ14およびデバイスコントローラ16を含むPDデバイス10を操作する方法100を示す。方法100は以下のステップを含む。
[0021]入力電圧を受け取るステップ102は、PDデバイス10が、電力源、例えば車両の電気システムから入力電圧を受け取るステップを含む。
【0020】
[0022]信号を受け取るステップ104は、入力電圧が、閾値電圧に等しいか、それより大きいか、それより小さいかを示す信号を、PDデバイス10が受け取るステップを含む。
【0021】
[0023]入力電圧が閾値電圧に等しいとデバイスコントローラが判定したことに応じて、DCコンバータによって第1の出力電圧を生成するステップ106は、入力電圧が閾値電圧に等しいとデバイスコントローラ16が判定したことに応じて、PDデバイス10が、DCコンバータ14によって、高い出力電圧、例えば9ボルトを生成するステップを含む。
【0022】
[0024]入力電圧が閾値電圧より大きいとデバイスコントローラが判定したことに応じて、DC/DC電力コンバータによって第1の出力電圧を生成するステップ108は、入力電圧が閾値電圧より大きいとデバイスコントローラ16が判定したことに応じて、PDデバイス10が、DCコンバータ14によって、高い出力電圧を生成するステップを含む。
【0023】
[0025]入力電圧が閾値電圧より小さいとデバイスコントローラが判定したことに応じて、DC/DC電力コンバータによって第2の出力電圧を生成するステップ110は、入力電圧が閾値電圧より小さいとデバイスコントローラ16が判定したことに応じて、PDデバイス10が、DCコンバータ14によって、第1の出力電圧よりも小さい第2の出力電圧を生成するステップを含む。
【0024】
[0026]第1および第2の出力電圧は、それぞれ入力電圧よりも小さい。閾値電圧は、第1の出力電圧以上である。
[0027]特定の実施形態によれば、
図3に示されるように、PDデバイス10が、27ワット、すなわち出力電圧24が9Vかつ電流容量が3Aで、消費者デバイス(図示せず)とPDコントラクト(パワーデリバリのための契約)をネゴシエーション(取り決め)済みであり、スタート/ストップ事象26が車両12において発生した場合、PDデバイス10は、電力ネゴシエーションを27ワットから15ワットに、すなわち出力電圧24が5Vかつ電流容量が3Aに変える。USBPDの仕様ごとに、消費者デバイスは新しい15ワット性能を選択することになる。ストップ/スタート事象が終わると、PDデバイス10は、27ワット性能を再ネゴシエーションし、消費者デバイスは必要な最も高い電力を選択する。
【0025】
[0028]この実施形態では、入力電圧30がPDデバイス10によって継続的に監視される。入力電圧30が電圧閾値32まで落ちると、PDデバイス10は、消費者デバイスと15ワットのみのコントラクトをネゴシエーションする。入力電圧30が電圧閾値32より上がると、PDデバイス10は、消費者デバイスと27ワットのコントラクトをネゴシエーションする。
【0026】
[0029]代替的な実施形態では、PDデバイス10は、車両12からスタート/ストップ信号、例えばCAN信号/LIN信号/個々の信号を受け取り、スタート/ストップ信号を受け取ったときには、消費者デバイスと15ワットのコントラクトをネゴシエーションし、スタート/ストップ信号をもはや受け取らない、またはスタート/ストップ事象の完了を示す信号を受け取った場合には、高い電力、例えば27ワットのコントラクトをネゴシエーションする。
【0027】
[0030]したがって、電力供給デバイス、例えばUSBPDデバイス10、およびこのようなデバイスを操作する方法100が提供される。このデバイスは、スタート/ストップシステムを有するモータ車両12において、従来のUSBPDデバイス設計よりも低いコストで確実に動作することができるUSBPDデバイス10の利益を提供する。
【0028】
[0031]本発明は、その好ましい実施形態に関して記載されたが、そのように限定されるものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に述べられた範囲にのみ限定されるものである。例えば、上に記載の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。それに加えて、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の教示に対して特定の状況または材料を構成するように、多くの修正形態が作られてもよい。本明細書に記載の様々な構成要素の寸法、材料の種類、向き、ならびに様々な構成要素の数および位置は、特定の実施形態のパラメータを定義するものであり、決して限定するものではなく、単なるプロトタイプの実施形態に過ぎない。
【0029】
[0032]上の記載を精査すれば、特許請求の範囲に記載の趣旨および範囲内で、多くの他の実施形態および修正形態が当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とともに、これらの特許請求の範囲が権利付与される等価物の全範囲を参照して、判定されるべきである。
【0030】
[0033]本明細書で使用されるとき「1つまたは複数の」は、1つの要素によって実行される1つの機能、2つ以上の要素によって、例えば分散された状態で、実行される1つの機能、1つの要素によって実行されるいくつかの機能、いくつかの要素によって実行されるいくつかの機能、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0031】
[0034]また、第1の、第2のなどの用語は、いくつかの事例では、様々な要素を記載するために本明細書において使用されるが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されよう。これらの用語は、1つの要素を別の要素から区別するためだけに使用される。例えば、記載された様々な実施形態の範囲から逸脱することなく、第1の接触部が第2の接触部と呼ばれてもよく、同様に、第2の接触部が第1の接触部と呼ばれてもよい。第1の接触部および第2の接触部は、両方とも接触部であるが、同じ接触部ではない。
【0032】
[0035]本明細書に記載された様々な実施形態の説明において使用される用語は、単に特定の実施形態を記載することを目的としたものであり、限定するものではない。記載された様々な実施形態の説明および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別段に明記されていないかぎり、複数形も含むものとする。また、本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、列挙される関連項目のうちの1つまたは複数の項目のありとあらゆる可能な組合せを指し、これらを包含することが理解される。本明細書で使用されるとき、「含む(includes)」、「含む(including)」、「備える(comprises)」、および/または「備える(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在を排除しないことがさらに理解される。
【0033】
[0036]本明細書で使用されるとき、「〜の場合(if)」という用語は、任意選択で文脈に応じて、「〜するとき」、または「〜すると」、または「判定したことに応じて」、または「検出したことに応じて」を意味すると解釈される。同様に、「〜と判定された場合」、または「(述べられた条件または事象が)検出された場合」というフレーズは、任意選択で文脈に応じて、「判定すると」、または「判定したことに応じて」、または「(述べられた条件または事象を)検出すると」、または「(述べられた条件または事象を)検出したことに応じて」を意味すると解釈される。
【0034】
[0037]それに加えて、順序または向きの用語が、本明細書で使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。順序または向きのすべての用語は、別段の記載がないかぎり、1つの要素を別の要素から区別する目的で使用されており、別段の記載がないかぎり、いかなる特定の順番、動作の順番、方向、または向きも指定しない。
【符号の説明】
【0035】
10 電力供給デバイス
12 車両
14 DC/DC電力コンバータ
16 デバイスコントローラ
18 インターフェース回路
20 スタート/ストップコントローラ
22 ICエンジン
24 出力電圧
26 スタート/ストップ事象
30 入力電圧
32 閾値電圧