特許第6727596号(P6727596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6727596
(24)【登録日】2020年7月3日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】カルバリゾホスファチジン酸
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/38 20060101AFI20200713BHJP
   A61K 31/662 20060101ALI20200713BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   C07F9/38 B
   A61K31/662
   A61P43/00 111
   A61P43/00 105
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-211367(P2019-211367)
(22)【出願日】2019年11月22日
【審査請求日】2020年4月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305013910
【氏名又は名称】国立大学法人お茶の水女子大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】室伏 きみ子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 真里
(72)【発明者】
【氏名】深澤 桂子
(72)【発明者】
【氏名】青木 淳賢
【審査官】 高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−211921(JP,A)
【文献】 特開2018−80118(JP,A)
【文献】 後藤真里 ほか,環状ホスファチジン酸の生理活性,生化学,2018年,Vol.90,No.6,pp.757-765
【文献】 MUKAI, M. et al.,Inhibition of tumor invasion and metastasis by a novel lysophosphatidic acid(cyclic LPA),Int. J. Cancer,1999年,Vol.81,pp.918-922
【文献】 ENDO, T. et al.,Lysophosphatidylmethanol is a pan lysophosphatidic acid receptor agonist and is produced by autotaxin in blood,J. Biochem.,2009年,Vol.146, No.2,pp.283-293
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/38
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
【請求項2】
Rが、炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
−CO−Rが、パルミトイル基又はオレオイル基である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の化合物を含む、オートタキシン阻害剤。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載の化合物を含む、LPA受容体活性化剤。
【請求項6】
請求項1から3の何れか一項に記載の化合物を含む、ERKリン酸化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートタキシン阻害活性、LPA受容体活性化作用、及びERKリン酸化作用を有するカルバリゾホスファチジン酸に関する。
【背景技術】
【0002】
1992年に、真性粘菌Physarum polycephalumの単相体ミクソアメーバから、真核細胞のDNA複製酵素であるDNAポリメラーゼαの活性を抑え、動物培養細胞の増殖を抑制する脂溶性物質が見いだされ、単離・精製された(非特許文献1)。この物質はグリセロール骨格のsn-1位にシクロプロパンを含むヘキサデカン酸が結合し、2位と3位にリン酸が環状エステル結合した物質であることがわかり、Physarum由来のLPA様物質であることから、PHYLPAと命名された。PHYLPAがsn-1位に特徴的な脂肪酸を有することから、一般的な脂肪酸に置換した誘導体を化学合成し、その活性を検討した結果、細胞増殖を抑制することが示され、PHYLPAの増殖抑制作用が、2位と3位の環状リン酸基によることが明らかになった。現在では、このような環状リン酸基を持つLPA類似体を総称して、環状ホスファチジン酸(cPA、cyclic phosphatidic acid)と呼んでいる。
【0003】
【化1】
【0004】
環状ホスファチジン酸及びその誘導体については、神経栄養因子作用と神経変性疾患への適用(特許文献1及び2)、癌細胞の増殖と浸潤・転移の抑制(特許文献3)、鎮痛作用(特許文献4)、アトピー性皮膚炎への適用(特許文献5)、神経軸索の脱髄抑制作用(特許文献6)などについての報告がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−308778号公報
【特許文献2】特開2002−308779号公報
【特許文献3】国際公開WO2002/94286号公報
【特許文献4】国際公開WO2008/81580号公報
【特許文献5】特開2012−56853号公報
【特許文献6】国際公開WO2014/115885号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Murakami-Murofushi,K.,他, J.Biol.Chem. 267,21512-21517 (1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、環状ホスファチジン酸誘導体であるカルバ環状ホスファチジン酸の新規な類縁体を同定し、その生理活性を明らかにすることを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、カルバ環状ホスファチジン酸の新規な類縁体であるカルバリゾホスファチジン酸を発見及び同定した。本発明者らはさらに、上記カルバリゾホスファチジン酸が、オートタキシン阻害活性、LPA受容体活性化作用、及びERKリン酸化作用を有することを実証した。本発明は上記の知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1> 下記式(1)で示される化合物。
【化2】
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
<2> Rが、炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基である、<1>に記載の化合物。
<3> −CO−Rが、パルミトイル基又はオレオイル基である、<1>又は<2>に記載の化合物。
<4> <1>から<3>の何れか一に記載の化合物を含む、オートタキシン阻害剤。
<5> <1>から<3>の何れか一に記載の化合物を含む、LPA受容体活性化剤。
<6> <1>から<3>の何れか一に記載の化合物を含む、ERKリン酸化剤。
【0010】
本発明によればさらに、式(1)で示される化合物を、対象(被験者)に投与することを含む、オートタキシンを阻害する方法が提供される。
本発明によればさらに、式(1)で示される化合物を、対象(被験者)に投与することを含む、LPA受容体を活性化する方法が提供される。
本発明によればさらに、式(1)で示される化合物を、対象(被験者)に投与することを含む、ERKをリン酸化する方法が提供される。
【0011】
本発明によればさらに、オートタキシンの阻害において使用するための、式(1)で示される化合物が提供される。
本発明によればさらに、LPA受容体の活性化において使用するための、式(1)で示される化合物が提供される。
本発明によればさらに、ERKのリン酸化において使用するための、式(1)で示される化合物が提供される。
【0012】
本発明によればさらに、オートタキシン阻害剤の製造のための、式(1)で示される化合物の使用が提供される。
本発明によればさらに、LPA受容体活性化剤の製造のための、式(1)で示される化合物の使用が提供される。
本発明によればさらに、ERKリン酸化剤の製造のための、式(1)で示される化合物の使用が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、新規なカルバリゾホスファチジン酸が提供される。本発明のカルバリゾホスファチジン酸は、オートタキシン阻害活性、LPA受容体活性化作用、及びERKリン酸化作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、TLCを用いた2carbaLPAの新規スポットの同定を示す。
図2図2は、化合物の質量分析の結果を示す。
図3図3は、化合物の質量分析の結果を示す。
図4図4は、化合物の質量分析の結果を示す。
図5図5は、2carbaLPAをautotaxin(ATX)を用いて合成した結果を示す。
図6図6は、質量分析装置を用いて2carbaLPAによるATX活性阻害を測定した結果を示す。
図7図7は、LPCを基質としたATXによるLPA合成活性が2carbaLPAにより阻害されることを測定した結果を示す。
図8図8は、2carbaLPAのERKリン酸化作用を測定した結果を示す。
図9図9は、2carbaLPAのラット体内での産生を測定した結果を示す。
図10図10は、2ccPA及び2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
図11図11は、2ccPA及び2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
図12図12は、2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
図13図13は、2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
図14図14は、2ccPA及び2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
図15図15は、2ccPA及び2carbaLPAについて、human LPAに対するアゴニスト活性を測定して結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について更に具体的に説明する。
本発明は、下記式(1)で示される化合物に関する。
【化3】
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
【0016】
式(1)において、置換基Rが示す炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが挙げられる。
【0017】
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基の具体例としては、例えば、アリル基、ブテニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデカジエニル基、ヘキサデカトリエニル基などが挙げられ、より具体的には、8−デセニル基、8−ウンデセニル基、8−ドデセニル基、8−トリデセニル基、8−テトラデセニル基、8−ペンタデセニル基、8−ヘキサデセニル基、8−ヘプタデセニル基、8−オクタデセニル基、8−イコセニル基、8−ドコセニル基、ヘプタデカ−8,11−ジエニル基、ヘプタデカ−8,11,14−トリエニル基、ノナデカ−4,7,10,13−テトラエニル基、ノナデカ−4,7,10,13,16−ペンタエニル基、ヘニコサ−3,6,9,12,15,18−ヘキサエニル基などが挙げられる。
【0018】
置換基Rが示す炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基の具体例としては、例えば、8−デシニル基、8−ウンデシニル基、8−ドデシニル基、8−トリデシニル基、8−テトラデシニル基、8−ペンタデシニル基、8−ヘキサデシニル基、8−ヘプタデシニル基、8−オクタデシニル基、8−イコシニル基、8−ドコシニル基、ヘプタデカ−8,11−ジイニル基などが挙げられる。
【0019】
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうるシクロアルカン環の具体例としては、例えば、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環などが挙げられる。シクロアルカン環は、1個以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、そのような例としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環、テトラヒドロフラン環、N−メチルプロリジン環などが挙げられる。
【0020】
上記のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基に含有されうる芳香環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、フラン環、チオフェン環などが挙げられる。
【0021】
従って、置換基Rがシクロアルカン環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、例えば、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルエチル基、8,9−メタノペンタデシル基などが挙げられる。
【0022】
置換基Rが芳香環によって置換されたアルキル基である場合の具体例としては、ベンジ
ル基、フェネチル基、p−ペンチルフェニルオクチル基などが挙げられる。
【0023】
Rは、好ましくは、炭素数9〜17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数9〜17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数9〜17の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基である。Rは、さらに好ましくは、炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、又は炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基である。Rは、特に好ましくは、炭素数9、11、13、15又は17の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基である。
【0024】
特に好ましくは、式(1)において、−CO−Rは、パルミトイル基又はオレオイル基である。
【0025】
式(1)におけるMは、水素原子又は対カチオンである。Mが対カチオンである場合の例としては、例えば、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、置換若しくは無置換アンモニウム基が挙げられる。アルカリ金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属原子としては、例えば、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。置換アンモニウム基としては、例えば、ブチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基などが挙げられる。
【0026】
式(1)で示される化合物はその置換基の種類に応じて、位置異性体、幾何異性体、互変異性体、又は光学異性体のような異性体が存在する場合があるが、全ての可能な異性体、並びに2種類以上の該異性体を任意の比率で含む混合物も本発明の範囲内のものである。
【0027】
式(1)で示される化合物は、水あるいは各種溶媒との付加物(水和物又は溶媒和物)の形で存在することもあるが、これらの付加物も本発明の範囲内のものである。さらに、式(1)で示される化合物及びその塩の任意の結晶形も本発明の範囲内のものである。
【0028】
式(1)で示される化合物は、例えば、後記の実施例1又は実施例2に記載の方法に準じて製造することができる。
【0029】
具体的には、下記構造:
【化4】
(式中、R及びMは、式(1)における定義と同義である)
を有するカルバ環状ホスファチジン酸誘導体を、適当なバッファー(リン酸バッファーなど)に溶解した溶液を、人工胃液(例えば、塩化ナトリウム水溶液(2g NaCl,12M HCl 7 mL/1000mL水,pH1.2))で希釈する。上記で得られた溶液をインキュベートすることにより、式(1)で示される化合物を製造することができる。
【0030】
あるいは、式(1)で示される化合物は、autotaxin(ATX)を用いて製造することができる。ATXと、上記構造を有するカルバ環状ホスファチジン酸誘導体を適当な緩衝液(例えば、Tris緩衝液など)に所定の濃度になるように溶解する。得られた溶液を37℃でインキュベートして反応させることにより、式(1)で示される化合物を製造することができる。
【0031】
本発明の式(1)で示される化合物は、オートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤として使用することができる。
【0032】
オートタキシン(ATX)は、リン脂質代謝酵素であり、リゾホスファチジルコリン(LPC)を分解し、リゾホスファチジン酸(LPA)を産生する。
リゾホスファチジン酸(LPA)は、シグナル伝達にかかわる脂質メディエーターの一つであり,LPA受容体(6種類のGタンパク質共役型受容体)に結合する。
ERK(Extracellular Signal-regulated Kinase)は、EGF、血清刺激、酸化ストレスなどによって活性化されるMAPKのサブファミリーである。上皮増殖促進因子受容体 (EGFR) などの受容体にリガンドが結合することによりシグナルが流れ、その結果としてERKの活性化ループに存在するTEYモチーフがリン酸化されて活性化する。
【0033】
本発明によるオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤は、有効成分である式(1)で示される化合物と、1又は2以上の製剤学的に許容される製剤用添加物とを含む、試薬組成物又は医薬組成物の形態で提供されてもよい。
【0034】
本発明のオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤は、種々の形態で投与することができるが、好適な投与形態としては、経口投与でも非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は皮内等への注射、直腸内投与、経粘膜投与など)でもよい。経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などを挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、経皮吸収剤などを挙げることができるが、本発明のオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤の剤形はこれらに限定されることはない。さらに、公知の技術によって持続性製剤とすることもできる。例えば、ゼラチンを基剤としたハイドロゲル中に、有効成分である本発明の化合物を封入することによって、徐放性製剤とすることができる。
【0035】
本発明のオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤の製造に用いられる製剤用添加物の種類は特に限定されず、当業者が適宜選択可能である。例えば、賦形剤、崩壊剤又は崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、基剤、溶解剤又は溶解補助剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、抗酸化剤、防腐剤、等張化剤、pH調節剤、溶解剤、安定化剤などを用いることができ、これらの目的で使用される個々の具体的成分は当業者に周知されている。
【0036】
経口投与用の製剤の調製に用いることができる製剤用添加物として、例えば、ブドウ糖、乳糖、D-マンニトール、デンプン、又は結晶セルロース等の賦形剤;カルボキシメチルセルロース、デンプン、又はカルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤又は崩壊補助剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はゼラチン等の結合剤;ステアリン酸マグネシウム又はタルク等の滑沢剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、白糖、ポリエチレングリコール又は酸化チタン等のコーティング剤;ワセリン、流動パラフィン、ポリエチレングリコール、ゼラチン、カオリン、グリセリン、精製水、又はハードファット等の基剤を用いることができる。
【0037】
注射あるいは点滴用の製剤の調製に用いることができる製剤用添加物としては、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール、界面活性剤等の水性あるいは用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤又は溶解補助剤;ブドウ糖、塩化ナトリウム、D-マンニトール、グリセリン,等の等張化剤;無機酸、有機酸、無機塩基又は有機塩基等のpH調節剤等の製剤用添加物を用いることができる。
【0038】
本発明のオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤はヒトなどの哺乳動物に投与することができる。
本発明のオートタキシン阻害剤、LPA受容体活性化剤、又はERKリン酸化剤の投与量は患者の年齢、性別、体重、症状、及び投与経路などの条件に応じて適宜増減されるべきであるが、一般的には、成人一日あたりの有効成分の量として1μg/kgから1,000mg/kg程度の範囲であり、好ましくは10μg/kgから100mg/kg程度の範囲である。上記投与量の薬剤は一日一回に投与してもよいし、数回(例えば、2〜4回程度)に分けて投与してもよい。
【0039】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0040】
実施例1:2carbaLPAの同定
(1)TLCを用いた新規スポットの発見
以下の構造を有する2ccPAを使用した。
【化5】
【0041】
2ccPA(5mg)を1mLのリン酸バッファーに溶解した後、2ccPA/PBS溶液を第十七改正日本薬局方に記載されている人工胃液(塩化ナトリウム水溶液(2g NaCl,12M HCl 7 mL/1000mL水,pH1.2))で最終濃度が1 mg/mLになるように希釈した。その後、この溶液を37℃にし、10,30,60分間インキュベートした。反応後の溶液を薄層クロマトグラフィープレート(TLC silica gel 60 plate,(Merck))上に展開溶媒(クロロホルム/メタノール/水=60:30:4(v/v/v))を用いて展開させた。分離後のプレートは、酢酸銅−リン酸試薬(3% 酢酸銅(II)一水和物(w/v)、8%リン酸(v/v)、2%硫酸(v/v))を噴霧し、150℃で5分熱することで、化合物のスポットを可視化した(図1)。各スポットのシグナル強度はImageQuant LAS 4000(GE healthcare UK Ltd.,Buckinghamshire, UK)で測定し、ImageQuant TL,version8.1(GE healthcare)を用いて定量した(図1内の数値)。その結果、2ccPAのスポット(Rf値=約0.35)よりもRf値が低下した位置(Rf値=約0.29)に新しいスポットが現れることが確認された。また、このスポットのシグナル強度は、インキュベート時間経過とともに増加することが示された。
【0042】
そこで、新しく得られたRf値=約0.29のスポットの化合物の同定を質量分析装置Sciex Triple TOF4600 (QqTOF)を用いて行うために、新規スポットの化合物の精製を行った。
【0043】
(2)新規スポットの精製
2ccPA(10mg)を2mLの上記人工胃液(塩化ナトリウム水溶液(2g NaCl,12M HCl 7mL/1000mL水,pH1.2))に溶解した。その後、この溶液を37℃にし、2時間後に8mLクロロホルム:メタノール(2:1,v/v)を加えた。溶液を懸濁した後、遠心(1500g×5分)により溶液を二層に分離させ下層を分取した。得られたクロロホルム含有下層溶液を薄層クロマトグラフィープレート上に展開溶媒(クロロホルム:メタノール:水=60:30:4(v/v/v))を用いて展開させた。その後、新規スポットが展開された部分のシリカゲルをかき取り、8mLクロロホルム:メタノール(1:9、v/v)溶液に懸濁し、超音波処理をウォーターバスの中で3分間行い、遠心(1500g×10分)し、上清を回収した。この作業を3回繰り返した。回収した上清を窒素乾固し、メタノール1mLに溶解後、フィルターろ過(0.2μm Captiva Premium syringe filter,アジレントテクノロジー)した。ろ液を窒素乾固し、約4.2mgのRf値約0.29の化合物を得た。
【0044】
前述の薄層クロマトグラフィーにおける新規スポットの位置の同定は、溶液を薄層クロマトグラフィープレートに展開後、プレートの一部を切り落とし、切り落としたプレートに酢酸銅−リン酸試薬(3%酢酸銅(II)一水和物(w/v)、8%リン酸(v/v)、2%硫酸(v/v))を噴霧し、150℃で5分熱することで、可視化し行った。
【0045】
(3)Sciex Triple TOF4600(QqTOF)を用いた化合物の質量分析
(2)で得られた化合物(約4.2mg)を10mLのメタノールに懸濁し、溶液を5mMギ酸アンモニウム含有メタノール/水(95:5,v/v)にて100倍希釈しSciex Triple TOF4600(QqTOF)質量分析装置のサンプルとした(測定条件は下表に記す)。50−500m/zでフルイオンスキャンを行った結果、433.2760に分子イオンピークを得た(図2)。次に、この分子イオンをコリジョンエナジー(−30又は−75eV)でフラグメント化し、得られるフラグメントイオンの質量測定を行った。その結果、コリジョンエナジーが−30eVでは、149.0012,151.0174,169.0274,281.2494のフラグメントイオンが得られ(図3)、コリジョンエナジーが−75eVでは、78.9602,121.0064のフラグメントイオンも得られた(図4)。それぞれの分子量から想定される構造式を図中に示す(図2から図4)。これらの結果から、新規に現れたスポットの分子量は433.3の2ccPAが加水分解してできる化合物であることが示され、2carbaLPAと名付けた。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2:2carbaLPAのautotaxin(ATX)を用いた合成法
ATX(Cayman chemical,MI) と2ccPAをTris緩衝液(50mM Tris−HCl,pH8.0,140mM NaCl,5mM KCl,1mM CaCl,1mM MgCl)40μLにそれぞれ終濃度50nM,10μMになるように溶解した。その後、37℃で0,2,4時間反応させた。反応後の溶液に160 μLの酸性メタノール(pH4.0)を添加し、よく懸濁した。その後、溶液をフィルターろ過(0.2μm Captiva Premium syringe filter,Agilent Technologies)し、QTRAP(登録商標)5500 triple quadrupole/linear ion trap mass spectrometer(SCIEX,Framingham,MA)のサンプルとした。測定は論文(Journal of Chromatography B 1076 (2018)15−21,Quantitative determination of cyclic phosphatidic acid and its carba analog in mouse organs and plasma using LC-MS/MS)と同様に行い、2ccPAはQ1/Q3=415.26/281.25、2carbaLPAはQ1/Q3=433.27/151.02で測定を行った。結果、ATXと反応させた溶液では時間依存的に2ccPA量が減少し(図5(A))、2carbaLPAが合成されてくることが示された(図5(B))。
【0048】
実施例3:2carbaLPAのATX活性阻害
(1)質量分析装置を用いたATX活性測定
ATXとLPC16:0をそれぞれ終濃度50nM,10μMになるように、2ccPAあるいは2carbaLPAは終濃度10μMになるように、Tris緩衝液(50 mM Tris−HCl,pH8.0,140mM NaCl,5mM KCl,1mM CaCl,1mM MgCl)40μLに懸濁した。その後37℃でインキュベートした。各反応時間ごとに溶液に160μLの酸性メタノールを添加し、よく懸濁した。その後、溶液をフィルターろ過(0.2μm Captiva Premium syringe filter,Agilent Technologies)し、QTRAP(登録商標)5500 triple quadrupole/linear ion trap mass spectrometer(SCIEX, Framingham, MA)のサンプルとした。測定は論文(Journal of Chromatography B 1076(2018)15−21,Quantitative determination of cyclic phosphatidic acid and its carba analog in mouse organs and plasma using LC−MS/MS)と同様に行い、2ccPAはQ1/Q3=415.26/281.25、2carbaLPAはQ1/Q3=433.27/151.02、LPAはQ1/Q3=409.24/153.00で測定を行った。各反応時間ごとに合成されてくるLPA16:0量を測定した。その結果、2ccPA, 2carbaLPAを含まない反応液では、時間依存的にLPAが合成されるのに対し、2ccPA, 2carbaLPAを含む反応液ではLPAの合成が抑制されていることが示された(図6)。
【0049】
(2)LPCを基質としたcholine oxidaseによるATX活性測定
ATXとLPC16:0をそれぞれ終濃度50nM,300μMになるように、2ccPAあるいは2carbaLPAは終濃度0.01−10μMになるようにCholine oxidase反応液(0.05% 4−aminoantipyrine,0.05% TOOS(N−Ethyl−N−(2−hydroxy−3−sulfopropyl)−3−methylaniline, sodium salt, dihydrate),1unit peroxidase,1unit choline oxidase,50mM Tris−HCl,pH8.0,140mM NaCl,5mM KCl,1mM CaCl, 1mM MgCl)100μLに溶解し、96well plateに分注した(100μL/well)。その後、プレートを120分、37℃でインキュベートした。インキュベート後、吸光(555nm)をプレートリーダー(Biotek(Winooski,VT)Cytation 3 plate reader)で測定した。阻害活性は、阻害活性%=(1−阻害剤入り120分後の増加吸光度/阻害剤なし120分後の増加吸光度)×100で算出した。その結果、2ccPA, 2carbaLPAは濃度依存的にATX活性を阻害することが分かった(図7)。
【0050】
実施例4:2carbaLPAのERKリン酸化作用
SW1353細胞を6well plateに3×10cells/wellの密度で播種した。翌日、細胞培養液を血清フリーの培養液に交換し、6時間培養した後、終濃度が10μMになるように0.1%BSA/PBSに溶かした2carbaLPA、あるいは0.1%BSA/PBS(Vehicle)を添加した。30分間37℃でインキュベートした後、細胞をサンプルバッファー(0.125M Tris−HCl,pH6.8,4%SDS,20%glycerol,0.01%BPB,10% 2−メルカプトエタノール)で回収した。その後、SDS−PAGEでタンパク質を分離した後、Western−blotting法によりSDS−PAGEゲルのタンパク質をPVDF膜に転写した。転写したタンパク質を一次抗体anti−pERK抗体、anti−ERK抗体、anti−β−tublin抗体、二次抗体anti−rabbit IgG抗体を用いて検出した。その結果、図8のようにpERKのバンドが濃くなり、ERKをリン酸化できることが示された。
【0051】
実施例5:2carbaLPAのラット体内での産生
2ccPA(19.70±1.39mg)をカプセル(size 9,Torpac Inc.,Fairfield, NJ))に封入した。カプセルを腸溶化するために、カプセルをEudragit S100/ L100(4/1,11 mg/cm,pH6.8)にてコーティングした(Evonik Japan Co.,Ltd.,Tsukuba,Japan)。得られたカプセルを7週齢のあらかじめ経静脈にカニューレが挿入してあるSDラット(body weight 190−220g)にカプセルインジェクター(Natsume Seisakusho,Tokyo,Japan)を用いて経口投与した。カニューレ挿入ラットはオリエンタル酵母から購入した。時間ごとに300μLずつ血液を頸動脈カテーテルから回収した。回収した血液はEDTA-Na(1mg/mL)を加えたのち、遠心(1000×g、10分、4℃)することで、血漿を得た。血漿サンプルは、すぐに液体窒素にて凍結し、測定するまで−80℃で保存した。血漿サンプルからの脂質画分抽出はJournal of Chromatography B 1076(2018)15−21,Quantitative determination of cyclic phosphatidic acid and its carba analog in mouse organs and plasma using LC-MS/MS)と同様に行い、2ccPA, 2carbaLPAの質量分析装置を用いた測定は、実施例3(1)の質量分析装置を用いたATX活性測定と同様に行った。結果、2ccPAは2時間後をピークとして血液サンプルから検出され(図9A)、ほぼ同じ時間をピークとして2carbaLPAが血液サンプルから検出される(図9B)ことが示された。
【0052】
実施例6:human LPA 受容体に対する活性評価
HEK293AまたはΔLPA2/5/6 HEK293AをDulbecco−modified Eagle’s medium(DMEM、10%fetal calf serum、100U/mLpenicillin、100μg/mLstreptomycin含有)中で2×10cells/mLとなるように懸濁後、100mm径dishに播種した(10mL/dish)。その後、37℃、5%CO下で24時間インキュベーションした。
【0053】
下記のプラスミド溶液とPolyethyleneimine(PEI、Polysciences) 溶液を500μLずつ混合し、室温下で20分間インキュベーションした後、培養上清中に滴下した(1mL/dish)。その後、細胞を37℃、5%CO下で24時間インキュベーションした。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
mock−transfected細胞には、GPCR発現ベクターの代わりにempty vectorをトランスフェクションした。また、LPA、LPA発現細胞とそのコントロール細胞は、Gαq/i1発現ベクターも合わせてトランスフェクションした (0.5μg/dish)。LPA、LPA発現細胞とそのコントロール細胞は、Gαq/s発現ベクターも合わせてトランスフェクションした(0.5μg/dish)。HEK293A細胞は、LPA及びLPAを発現させるために使用した。ΔLPA2/5/6HEK293Aは、LPA、LPA、LPA、LPAを発現させるために使用した。いずれのLPA受容体についても、ヒト遺伝子を使用した。
【0057】
HEK293A、ΔLPA2/5/6HEK293AをPBSで洗浄後、0.05%Trypsin/0.53mM EDTAで剥がし(2mL/dish)、DMEMで中和した (3mL/dish)。遠心した後(190×g、5min)、Hank’s balanced salt solution(HBSS、5mM HEPES(pH7.4)含有)で再懸濁し(10mL/dish)、室温下で15分間インキュベーションした。遠心した後(190×g、5min)、HBSSで再懸濁し、96−well plate(細胞プレート) に播種した(LPA、LPA、LPA発現細胞とそのmock−transfected細胞:90μL/well、LPA、LPA、LPA発現細胞とそのmock−transfected細胞:80μL/well、1−2×10cells/well)。
【0058】
37℃、5%CO下で30分間インキュベーションした後、終濃度の10倍濃度のアゴニスト(2ccPA、又は2carbaLPA)を添加した(10μL/well、化合物は0.01%bovine serum albumin含有HBSSで希釈した)。なお、LPA、LPA、LPA発現細胞とそのmock−transfected細胞を添加したウェルについては、100μM Ki16425をアゴニスト添加5分前に添加した(10μL/well)。
【0059】
37℃、5%CO下で60分間インキュベーションした後、プレートを遠心し(190×g、2min)、上清を別の96−well plate(上清プレート) に移動した (80μL/well)。上清プレート、細胞プレートのそれぞれのウェルに、1M- p−nitrophenyl phosphate(120mM Tris−HCl(pH 9.5)、40mM NaCl、10mM MgCl含有)を分注し(80μL/well)、分注直後及び分注1時間後のOD405を測定した。
【0060】
計算方法
AP−TGFα release(%)=ΔOD405Sup/(ΔOD405Sup+ΔOD405Cell) × 125
GPCRactivation(%)= AP−TGFα release under stimulated conditions − AP−TGFα release under non−stimulated conditions
【0061】
EC50及びEmaxは、Graphpad Prism 6(Graphpad)を用いて、データを4パラメーターロジスティック曲線にフィッティングすることで算出した。
【0062】
実験の測定結果を図10図15に示す。
2carbaLPAは、全てのLPA受容体(LPA、LPA、LPA、LPA、LPA、LPA)に対してアゴニスト活性を示した。
2carbaLPAについて、LPA、LPA、LPA、LPA、LPA、LPAに対するアゴニスト活性(EC50)はそれぞれ10nM、90nM、1.2nM、0.7nM、27nM、43nMであった。
【要約】
【課題】環状ホスファチジン酸誘導体であるカルバ環状ホスファチジン酸の新規な類縁体を同定し、その生理活性を明らかにすること。
【解決手段】下記式(1)で示される化合物。
【化1】
(式中、Rは、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルケニル基、又は炭素数2〜30の直鎖状若しくは分岐状アルキニル基であり、これらの基はシクロアルカン環又は芳香環を含んでいてもよい。Mは、水素原子又は対カチオンである。)
【選択図】なし
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