(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本実施の形態では、運搬対象の建屋間での搬送及びその周辺における作業を行う複数の作業装置による自律作業を管理対象とする場合を例示して説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る自律作業統合管理システムの全体構成を示す機能ブロック図である。
【0012】
図1において、自律作業統合管理システム54は、複数の作業グループ56〜59に属する複数の作業装置23〜29(後に詳述)による自律作業を制御するものであり、作業装置23〜29の作業に関する情報が格納された作業データベース37と、作業装置23〜29の状態を検出する複数の検出装置(装置状態検出装置群62)および作業装置23〜29の配置された作業エリア55の環境を検出する複数の検出装置(作業環境検出装置群63)を含む検出装置群60からの検出結果と作業データベース37に格納された情報とに基づいて、作業装置23〜29の作業状態を推定する作業状態推定部34と、作業装置23〜29の動作パターンに関する情報が格納された動作データベース38と、作業状態推定部34における作業装置23〜29の作業状態の推定結果、検出装置群60の検出結果、及び動作データベース38に格納された情報に基づいて、作業装置23〜29の動作状態を推定する装置状態推定部35と、オペレータ39により入力された作業指令を装置指令まで分解する指令入力部40と、装置状態推定部35における作業装置23〜29の動作状態の推定結果と指令入力部40からの装置指令とに基づいて、複数の作業装置23〜29のそれぞれの制御量を生成する指令生成部41と、検出装置群60等からのデータを受信するデータ受信部31及び指令生成部41で生成された制御量を作業装置23〜29に送信するデータ送信部32を含むインタフェースとしてのデータ送受信部30とから概略構成されている。
【0013】
検出装置群60の装置状態検出装置群62は、作業装置23〜29の状態を検出するために作業装置23〜29に搭載されたものである。作業装置23〜29に搭載された検出装置としては、駆動部の移動量や回転量を検出するセンサ(レーザ距離計、エンコーダ、ポテンショメータ、傾斜計、地磁気センサ、ジャイロセンサ等)、対象物との相互作用を検出するセンサ(カメラ、超音波距離計、レーザ距離計、力・トルクセンサ、温度計、感圧センサ等)、駆動部の動作を検出センサ(電流センサ等)、対象物の位置を検出するセンサ(作業員に携帯されるGPSセンサ等)などがある。
【0014】
検出装置群60の作業環境検出装置群63は、作業装置23〜29の配置された作業エリア55の環境を検出するために作業エリア55に配置されたものである。作業エリア55に配置された検出装置としては、作業環境の変化を検出するセンサ(圧力計、漏水検知器、温度計、放射線量計等)などがある。
【0015】
検出装置群60からのデータはデータ受信部31で受信され、作業状態推定部34へ入力される。作業状態推定部34では、事前トレーニングやシミュレーションで取得した各作業の作業手順や作業内容等が格納された作業データベース37を参照して、受信データをもとに類似事象を抽出し、各作業装置23〜29の現在の作業状態を推定して行動を決定する。装置状態推定部35は、作業状態推定部34での推定結果と、各作業装置23〜27の動作パターンが格納された動作データベース38とを参照して装置状態を推定し、予め決められたミッションを実現するために必要な各作業装置23〜27の動作を決定する。一方、オペレータ39により、統合管理システムへの指令の入力が行われる。指令の入力時期は、作業開始時のみ実施することを基本とするが、作業進行中に計画変更や状況変化があった場合は、都度入力可能である。オペレータ39は指令入力部40を介して指令生成部41へ指令を入力する。指令入力部40では、オペレータ39から入力された指令(例えば、「建屋1から保管庫5まで、収納管3を作業員の被曝が最小となるように運搬すること」=作業:建屋1から保管庫5までの収納管3の運搬、制約:作業員29の被曝量最小)を受けて、各作業装置23〜29の各種制約条件や作業目的・動作パターンなどに指令を分解して指令生成部41へ入力する。指令生成部41では、装置状態推定部35で推定された各作業装置23〜29の状態と指令入力部40で分解された指令(作業装置23〜29の目標動作に相等する)に基づいて、各作業装置23〜29の駆動部の制御量を算出する。指令生成部41で生成された各作業装置23〜29の制御量は、データ送信部32から作業装置群(作業装置23〜29)へ送信・展開される。
【0016】
図2は、作業データベースのデータ構成を示す図である。また、
図3は、動作データベースのデータ構成を示す図である。
【0017】
図2において、作業データベース37には、作業装置23〜29の作業に関する各種情報が格納されており、事前トレーニングデータ42、シミュレーションデータ43、想定不具合事象データ44、手動入力データ45、オンライン蓄積データ46、及び類似事象データ47により構成されている。
【0018】
図3において、動作データベース38には、作業装置23〜29の動作パターンに関する各種情報が格納されており、事前トレーニングデータ48、シミュレーションデータ49、想定不具合事象データ50、手動入力データ51、オンライン蓄積データ52、及び類似事象データ53により構成されている。
【0019】
図4及び
図5は、本実施の形態の自律作業統合管理システムの管理対象となる作業エリアの一例を模式的に示す図である。
図4は運搬台車により収納管を搬送していない状態での作業エリアの様子を示す図であり、
図5は運搬台車により収納管を搬送している状態での作業エリアの様子を示す図である。
【0020】
図4及び
図5において、本実施の形態に係る作業エリア55には、運搬対象である廃棄物が格納された建屋1での作業グループ56と、廃棄物を建屋1から廃棄物を保管する建屋である保管庫5に搬送する作業グループ57と、搬送されてきた廃棄物を保管庫5内に保管する作業グループ58と、作業グループ57における廃棄物の運搬路に隣接する場所で作業を行う作業グループ59とが配置されている。ここで、作業グループ56〜59のうち、作業グループ56〜58は第2の作業グループを構成し、作業グループ59は第1の作業グループを構成する。
【0021】
図6〜
図9は、運搬対象である廃棄物が格納された建屋の作業の様子を示す図である。
図6は取り出し装置による廃棄物を切断・把持する様子を示す図であり、
図7は取り出し装置により廃棄物を取り出しクレーンに載置する様子を示す図であり、
図8は取り出しクレーンから廃棄物を収納管に収納する様子を示す図であり、
図9は収納管を運搬台車に載置する様子を示す図である。
【0022】
図6〜
図9において、建屋1には、作業グループ56に属する作業装置23〜25として、取り出し装置23、取り出しクレーン24、及び収納管運搬クレーン25が配置されている。
【0023】
取り出し装置23は、例えば容器7の底部に内在する廃棄物8を取り出しクレーン24に積み込む作業を行う作業装置であり、容器7の内部に上下方向に伸縮可能に設けられた伸縮管10と、伸縮管10の上端を接続するように容器7の上方に設けられ、伸縮管10の水平方向への移動を可能とする並進移動ステージ9と、伸縮管10の伸縮によって昇降動作可能なように伸縮管10の下端に配置され、廃棄物8を切断・把持して取り出しクレーン24に積み込む作業ツール11とから構成されている。作業ツール11により切断・把持された廃棄物8は取り出しクレーン24の搬送台14に載置される(
図7参照)。
【0024】
取り出しクレーン24は、取り出し装置23により積み込まれた廃棄物8を容器7外の収納作業室15に配置された収納管3に収納する作業を行う作業装置であり、建屋1の内部上方に水平移動可能に設けられた並進移動ステージ12と、並進移動ステージ12の下方に伸縮可能に設けられたワイヤ13と、ワイヤ13の下端に設けられた搬送台14とから構成されている。廃棄物8が取り出し装置23により搬送台14に載置されると、搬送台14はワイヤ13の伸縮および並進移動ステージ12の移動により収納作業室15に移動され、搬送台14の廃棄物8は収納作業室15の収納管3に逐次収納される(
図8参照)。
【0025】
収納管運搬クレーン25は、廃棄物8が収納された収納管3を収納作業室15から作業グループ57の運搬台車2に積み込む作業を行う作業装置であり、建屋1の内部上方に水平移動可能に設けられた並進移動ステージ16と、並進移動ステージ16の下方に伸縮可能に設けられたワイヤ17と、ワイヤ17の下端に設けられた収納管吊り下げツール18とから構成されている。収納管3に収納された廃棄物8予めさだめた規定量に達すると、収納管3は収納管運搬クレーン25により吊り下げられ、建屋1の所定の位置まで進入してきて停止した運搬台車2に載置される(
図9参照)。
【0026】
作業グループ57に属する作業装置26としての運搬台車2は、収納管3の建屋1からの搬出作業、及び保管庫5への搬送作業を行うものである。運搬台車2は、建屋1と保管庫5の間に設けられた道路4を介して建屋1と保管庫5の間を往復することにより収納管3の搬送を行う。
【0027】
図10〜
図13は、廃棄物が収納された収納管が保管される保管庫の作業の様子を示す図である。
図10は収納管が載置された運搬台車が保管庫に進入する様子を示す図であり、
図11は運搬台車が保管庫の所定の位置に停車する様子を示す図であり、
図12は収納管運搬クレーンにより収納管が運搬台車から吊り上げられる様子を示す図であり、
図13は収納管運搬クレーンにより収納管が保管プールに格納される様子を示す図である。
【0028】
図10〜
図13において、保管庫5には、作業グループ58に属する作業装置27としての収納管運搬クレーン27が配置されている。
【0029】
収納管運搬クレーン27は、運搬台車2により搬送された収納管3を保管庫5の内部に設置された保管プール19に格納する作業を行う作業装置であり、保管庫5の内部上方に水平移動可能に設けられた並進移動ステージ20と、並進移動ステージ20の下方に伸縮可能に設けられたワイヤ21と、和やの下端に設けられた収納管吊り下げツール22とから構成されている。廃棄物8が収納された収納管3を載置した運搬台車2が保管庫5の所定の位置まで進入して停止すると(
図11参照)、収納管3が運搬台車2から収納管運搬クレーン27により吊り下げられ(
図12参照)、保管庫5の内部に設置された保管プール19に格納される(
図13参照)。
【0030】
作業グループ59は、作業グループ57における廃棄物の運搬路に隣接する場所で作業を行う作業グループであり、任意の作業を設定することが可能であるが、本実施の形態では、作業装置28としての作業機械28及び作業員29により環境整備(例えば瓦礫撤去、機器の据付等)に関わる作業を行うものである場合を例示して示す。作業員29の作業についても、自律作業統合管理システムにより設定された作業スケジュール・作業手順等に基づいて管理されるため、自律作業統合管理システムにより制御される作業装置と同様に作業グループ59に属する自律作業の制御対象と見なすことが可能である。
【0031】
ここで、収納管3に収納される廃棄物8が例えば放射性廃棄物のような廃棄物の場合は作業員等の安全管理の考慮が必要であり、運搬台車2による収納管3の搬送の場合には、その搬送路(道路4)の近隣からの作業員29の退避が行われる必要がある。本実施の形態に係る自律作業統合管理システムでは、複数の作業装置28,29(作業機械28および作業員29)で構成された第1の作業グループの自律作業により第1のミッション(瓦礫撤去や機器の据付等を行うミッション)を実行するための制御量を生成する場合に、第1の作業グループと異なる他の複数の作業装置23〜27で構成された第2の作業グループの自律作業により実行される第2のミッション(例えば、建屋1の廃棄物を収納管3に収納して搬送し、保管庫5の保管プール19に格納するミッション)の制御量に基づいて、第1のミッションに関する作業装置28,29の制御量を生成する。このため、収納管3に収納されている廃棄物が放射性廃棄物のように作業員29の退避を必要とするものである場合にも、運搬台車2による収納管3の搬送の場合には、第2の作業グループのミッションとは直接関係の無い第1の作業グループのミッションへの影響を考慮することができ、道路4の近隣の作業区画6から安全の確保された作業区画61への作業員29の退避が行われるように自律作業を制御することができる(
図5参照)。
【0032】
ここで、本実施の形態に係る自律作業統合管理システムにおける自律作業制御処理について説明する。
【0033】
図14は、自律作業統合管理システムによる自律作業制御処理の処理内容を概略的に示すPAD図である。
【0034】
図14において、自律作業統合管理システムは、まず、予め定められた作業計画、作業グループに関する情報、作業装置状態を取り込む(ステップS10)。ここでは、各作業グループ56〜59に属する作業装置23〜29を定義する。作業計画には、作業エリア55において実行される作業全体に関わるものと各作業グループ56〜59で行われる作業に関わるものとがあって、作業時間や作業期間、作業条件、作業内容等の情報を含んでおり、オペレータ39等によって予め入力されるとともに指令入力部40に設けられた記憶領域40aに記憶されている。
【0035】
次に、オペレータ39によって作業指令が入力されると(ステップS20)、入力された作業指令を装置指令に分解して作業の制約条件や全体作業フローを抽出し(ステップS21)、その結果に基づいて、各作業グループ56〜59で目的とする作業を実現するために必要な各作業装置23〜29の役割を指令として生成する(ステップS22)。なお、ステップS20の処理は、予め各作業グループの作業内容と各作業装置の動作や役割を詳細に定義できる場合は省略可能である。
【0036】
次に、ステップS22で生成された各作業装置23〜29への指令に基づいて作業手順の生成を行う(ステップS30)。ステップS30では、予め作業データベース37及び動作データベース38に格納された情報から作業に必要な要素動作を選択し(ステップS31)、その要素動作を作業フローとして連結して一連の流れを構築し(ステップS32)、各作業グループ56〜59に構築された作業フローをもとに、作業全体のフローを作業手順と時系列順に結合する(ステップS33)。
【0037】
次に、作業グループ間において連携動作が必要な作業装置の組み合わせとその動作を決定して作業グループ間の連携処理を行う(ステップS40)。ステップS40では、同じ作業グループ間に属する作業装置間の連携、および異なる作業グループに属する作業装置間の連携部分を抽出して定義する(ステップS41)。そして、連携する作業装置間で必要な動作とその条件(例えば、センサの値の変化、作業時間等)を設定する(ステップS42)。
【0038】
次に、作業装置群から送信される各種センサ信号をもとに、各作業グループの作業状況、各装置の動作状況を監視するモードへ移行し、作業状況の監視処理を行う(ステップS50)。そして、収集した作業や作業装置に関わるデータ等を全て保存して(ステップS60)、処理を終了する。
【0039】
図15は、作業状態推定処理を概略的に示すPAD図である。
【0040】
図15において、自律作業統合管理システムは、まず、作業を監視する作業環境検出装置群63等のセンサ及び作業装置に搭載した装置状態検出装置群62等のセンサ情報を読み込む(ステップS100)。
【0041】
次に、作業グループ56の作業状態の推定を行う(ステップS110)。ステップS110では、運搬対象物である収納管3の位置を把握し(ステップS111)、作業装置23〜25の位置情報と収納管3の収納量から作業状態としての作業進捗状況を推定する(ステップS112)。
【0042】
次に、作業グループ57の作業状態の推定を行う(ステップS120)。ステップS120では、収納管3を運搬するための作業装置26(運搬台車2)の位置を把握する(ステップS121)。続いて、ステップS110で得られた作業グループ56の作業進捗状況を取得し(ステップS122)、作業グループ56の作業進捗状況から収納管3の運搬が必要であると判断される場合には、運搬台車2の位置を監視しながら作業装置(収納管運搬クレーン)25を用いて収納管3を運搬台車2に搭載する作業を実施する(ステップS123)。
【0043】
次に、作業グループ58の作業状態の推定を行う(ステップS130)。ステップS130では、作業装置(収納管運搬クレーン)27と作業装置26(運搬台車2)の位置情報を取得して収納管3の受入可否を判断し(ステップS131)、受入可能であれば作業装置26(運搬台車2)の状態を把握しながら保管庫5の内部へ入るよう指令を生成する(ステップS132)。
【0044】
次に、作業グループ59の作業状態の推定を行う(ステップS140)。ステップS140では、作業装置(作業機械)28と作業員29の位置を把握し(ステップS141)、作業装置25(運搬台車2)位置情報及び収納管3の搭載の有無を検出して、収納管3を搭載した運搬台車2が作業グループ59の周辺を通過する場合は、作業グループ59での作業を一次的に停止して作業員29を安全の確保された作業区画61に退避させる信号(指令)を発信する(ステップS142)。その後、推定した作業状態を保存し(ステップS150)、処理を終了する。
【0045】
図16は、装置状態推定処理の処理内容を概略的に示すPAD図である。本実施の形態では、作業グループ56を構成する作業装置23〜25に関する作業状態推定処理を例示して説明し、作業グループ57〜59については同様の装置状態推定処理を行うものとして説明を省略する。
【0046】
図16において、自律作業統合管理システムは、まず、作業状態推定処理での作業状態の推定結果、及び、各作業装置23〜29に搭載している検出装置群60からの検出結果を読み込む(ステップS200)。
【0047】
次に、作業装置(取り出し装置)23の装置状態の推定を行う(ステップS210)。ステップS210では、駆動部に備えた移動量や回転量を検出するセンサ信号に基づいて、建屋1内での作業装置(取り出し装置)23の3次元的な位置及び姿勢を推定し(ステップS211)、力センサや感圧センサの情報を用いて把持対象物の把持を検出する(ステップS212)。
【0048】
次に、作業装置(取り出しクレーン)24の装置状態の推定を行う(ステップS220)。ステップS220では、駆動部に備えた移動量や回転量を検出するセンサ信号をもとに、建屋1内での作業装置(取り出しクレーン)24の3次元的な位置及び姿勢を推定し(ステップS221)、搬送対象である廃棄物8が搬送台14へ積載可能かどうかを形状計測センサで計測した寸法情報や作業装置(取り出し装置)23の先端に搭載した力センサからの情報で判断する(ステップS222)。次に、対象物との相互作用を検出するセンサである力センサや温度計の情報をもとに、搬送台14への廃棄物8の積載可否を判断する(ステップSS223)。
【0049】
次に、作業装置(収納管運搬クレーン)25の装置状態の推定を行う(ステップS230)。ステップS230では、駆動部に備えた移動量や回転量を検出するセンサ信号をもとに、建屋1内での作業装置(収納管運搬クレーン)25の3次元的な位置及び姿勢を推定し(ステップS231)、廃棄物8を収納する収納管3の設置位置を確認する(ステップS232)。次に、収納管3内の廃棄物量の情報から新規廃棄物の収納または運搬後に新規収納管を準備するか否かを判断する(ステップS233)。そして、各作業装置23〜25の状態を記憶部に保存して処理を終了する(ステップS240)。
【0050】
図17は、自律作業統合管理システムにより生成される結果(出力)の一つである各作業グループの作業装置の稼動スケジュールを示す図である。
【0051】
図17では、縦方向に作業項目名(作業グループ名)および各作業グループに属する作業装置名が配置され、横方向に各作業装置の稼動状況が時系列で配置されている。
図17においては、斜線で示した部分が各作業グループにおける各作業装置の稼動時間を表している。
【0052】
図17では、作業グループ56における、作業装置(取り出し装置)23による廃棄物8の切断・把持作業、作業装置(取り出しクレーン)24による収納管3への廃棄物8の収納作業、作業グループ57の作業装置26(運搬台車2)の建屋1への進入・待機時に並行した、作業装置(収納管運搬クレーン)25による収納管3の搬出準備作業が計画されている。また、作業グループ57の運搬台車2が収納管3を積載して保管庫5まで移動する運搬作業が計画されている。
【0053】
また、運搬台車2による収納管3の運搬期間(すなわち、収納管3が道路4上に位置する可能性がある期間)では、作業グループ59の作業装置(作業機械)28を待機状態とし、作業員29を安全な場所(作業区画61等)へ退避させることが計画されている。この場合、併せて警告を発生する。なお、収納管3が道路4上を運搬する以外の時間では、作業装置(作業機械)28および作業員29の作業区画6での作業が可能であり、作業が計画されている。
【0054】
また、作業グループ57の運搬台車2が収納管3を積載して保管庫5まで接近したら、作業グループ58の作業装置(収納管運搬クレーン)27が収納管3を受け入れる状態へ移行し、運搬台車2から収納管3を回収し、その後、運搬台車2が建屋1へと再び移動することが計画されている。
【0055】
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
【0056】
従来技術においては、一つのミッションを複数の装置で実行する場合の自律作業を制御対象としており、異なるミッションを実行する装置間の連携については考慮されていなかった。つまり、異なる複数のミッションのそれぞれの作業状況によって互いの作業に影響がでる場合については考慮されないため、複数のミッションを並行して実行するような現場においては、他のミッションによって生じる作業環境の変化によって作業効率が低下してしまうおそれがあった。
【0057】
これに対して本実施の形態に係る自律作業統合管理システムでは、複数の作業装置28,29(作業機械28および作業員29)で構成された第1の作業グループの自律作業により第1のミッション(瓦礫撤去や機器の据付等を行うミッション)を実行するための制御量を生成する場合に、第1の作業グループと異なる他の複数の作業装置23〜27で構成された第2の作業グループの自律作業により実行される第2のミッション(例えば、建屋1の廃棄物を収納管3に収納して搬送し、保管庫5の保管プール19に格納するミッション)の制御量に基づいて、第1のミッションに関する作業装置28,29の制御量を生成する。このため、他のミッションなどによって生じる作業環境の変化に柔軟に対応することができる。すなわち、収納管3に収納されている廃棄物が放射性廃棄物のように作業員29の退避を必要とするものである場合にも、運搬台車2による収納管3の搬送の場合には、第2の作業グループのミッションとは直接関係の無い第1の作業グループのミッションへの影響を考慮することができ、道路4の近隣の作業区画6から安全の確保された作業区画61への作業員29の退避が行われるように作業装置の稼動スケジュールを計画して自律作業を制御することができる。したがって、作業の遅延回避やリスクの低減が可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。