【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (試験日) 平成28年 5月23日 (試験場所) 愛媛県四国中央市柴生町 南柴生橋 (試験を行った者) ショーボンド建設株式会社 (試験内容) ショーボンド建設株式会社は、上記試験場所にて、封止構造及び封止工法の試験施工を実施した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、非特許文献1に開示される支承防食工法は、鋼製支承の周囲に耐候性に優れた透明型枠が設置されるとともに、透明型枠の内部に特殊樹脂が充填されて、特殊樹脂及び透明型枠の透明性を利用することで、封入箇所の目視確認ができるとされている。そして、非特許文献1に開示される支承防食工法は、柔らかい特殊樹脂に鋼製支承が封入されるため、鋼製支承の移動、回転等の支承機能を阻害しないものとされている。
【0006】
しかし、非特許文献1に開示される支承防食工法は、特殊樹脂の周囲がアクリル板等の透明型枠に取り囲まれた状態で長期的に設置されるため、現実の鋼製支承では、鋼製支承の移動、回転等がアクリル板等の透明型枠により阻害されるという問題点があった。
【0007】
また、非特許文献1に開示される支承防食工法は、特殊樹脂とともに透明型枠が長期的に設置されるため、精度の高い透明型枠の成形作業が必要となる。このとき、非特許文献1に開示される支承防食工法は、既設鋼製支承が設けられた橋梁の狭隘部では、透明型枠の成形作業に困難が伴うため、防食工法の施工コストが増大するという問題点があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであって、その目的とする
ところは、透明性封止体で防食される構造部材の視認性を確保しながら、構造部材の長期
的な防食性能を実現することのでき
る封止工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第
1発明に係る封止工法は、土木構造物又は建築構造物に用いられる封止工法であって、型枠を組み立てるとともにシリコーン樹脂を充填する充填工程と、前記型枠を撤去して透明性封止体が設けられる撤去工程とを備え、前記充填工程では、構造部材の周囲を取り囲むように組み立てられた型枠の内面に型
枠剥離テープ及び塗装剥離テープが貼付されるとともに、前記型枠の内面の前記塗装剥離テープに透明性樹脂塗料が塗布された状態で、前記型枠の内部に前記シリコーン樹脂を充填して、前記撤去工程では、前記型枠の内部に充填された前記シリコーン樹脂を硬化させてから
前記型枠剥離テープを前記塗装剥離テープから剥離しながら前記型枠を撤去
し、前記シリコーン樹脂の外面に塗布された状態となった前記透明性樹脂塗料から前記塗装剥離テープを剥離することで、硬化させた前記シリコーン樹脂の外面に前記透明性樹脂塗料が塗布された状態で、前記構造部材を取り囲むように前記透明性封止体が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
特に、第
1発
明によれば、構造部材の周囲の型枠が撤去された状態で、硬化させたシリコーン樹脂により透明性封止体が設けられるため、構造部材を取り囲んだシリコーン樹脂の変形が型枠により阻害されないものとして、シリコーン樹脂に柔軟な変形をさせることで、長期的かつ確実な防食効果を実現することが可能となる。
【0018】
特に、第
1発
明によれば、構造部材の周囲の型枠が撤去されることで、精度の高い型枠の成形作業が要求されないことから、支承が設けられた橋梁の狭隘部等における型枠の成形作業を容易にして施工コストを抑制することが可能となる。
【0019】
特に、第
1発
明によれば、型枠の内面に型枠剥離テープを貼付させたままの状態で、型枠剥離テープを塗装剥離テープから剥離しながら型枠を撤去することで、型枠剥離テープと塗装剥離テープとの接着が必要以上に強固でなく、型枠剥離テープを塗装剥離テープから容易に剥離できるため、型枠の撤去作業を容易に実施することが可能となる。
【0020】
特に、第
1発
明によれば、シリコーン樹脂の外面の粘着性が高いのに対して、透明性樹脂塗料の粘着性は高くないため、塗装剥離テープと透明性樹脂塗料との接着が必要以上に強固でないことから、塗装剥離テープを透明性樹脂塗料から容易に剥離できるものとして、シリコーン樹脂の被覆作業を容易に実施することが可能となる。
【0021】
特に、第
1発明によれば、型枠を組み立てるとともにシリコーン樹脂を充填する充填工程と、型枠を撤去して透明性封止体が設けられる撤去工程とを経ることで、透明性樹脂塗料で被覆された透明性封止体が構造部材を取り囲んで設けられるため、構造部材の長期的な視認性を確保しながら、長期的かつ確実な防食性能を実現することが可能となる。
【0022】
特に、第
1発明によれば、型枠の内部にシリコーン樹脂を充填する前の段階で、型枠の内面の略全面に透明性樹脂塗料が塗布されるため、表面張力の低いシリコーン樹脂が型枠の内部に充填されるにもかかわらず、型枠の隙間が透明性樹脂塗料で塞がれて、型枠の内部からのシリコーン樹脂の漏出を防止することが可能となる。
【0023】
特に、第
1発明によれば、型枠の内面の略全面に透明性樹脂塗料が塗布された状態でシリコーン樹脂を硬化させることで、シリコーン樹脂の外面に透明性樹脂塗料が一体化して、硬化させたシリコーン樹脂の外面に透明性樹脂塗料が略均一に塗布されるため、高品質な被覆状態を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明を適用した封止構造が用いられる橋梁の支承を示す斜視図である。
【
図2】本発明を適用した封止構造で変位する鉄柱の基端部を示す正面図である。
【
図3】本発明を適用した封止構造で変位する支承を示す側面図である。
【
図4】(a)は、本発明を適用した封止構造で型枠が撤去される前の状態を示す正面図であり、(b)は、型枠が撤去された後の状態を示す正面図である。
【
図5】(a)は、本発明を適用した封止構造で型枠が撤去される前の状態を示す拡大正面図であり、(b)は、型枠が撤去された後の状態を示す拡大正面図である。
【
図6】本発明を適用した封止構造で組み立てられる型枠を示す斜視図である。
【
図7】(a)は、本発明を適用した封止構造で変位する前の支承を示す側面図であり、(b)は、変位した後の支承に追従する透明性封止体を示す側面図である。
【
図8】(a)は、本発明を適用した封止工法の充填工程で型枠を組み立てた状態を示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
【
図9】本発明を適用した封止工法の充填工程で型枠の内面に透明性樹脂塗料を塗布した後に硬化前のシリコーン樹脂を充填する過程を示す拡大正面図である。
【
図10】本発明を適用した封止工法の撤去工程で型枠を撤去した後に透明性樹脂塗料から塗装剥離テープを剥離する過程を示す拡大正面図である。
【
図11】(a)は、本発明を適用した封止工法で透明性封止体が設けられた状態を示す正面図であり、(b)は、その側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を適用した封止構造1及び封止工法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
本発明を適用した封止構造1は、土木構造物又は建築構造物に用いられるものであって、例えば、
図1に示すように、橋梁8の支承71等を防食するものとして設けられる。
【0027】
本発明を適用した封止構造1は、土木構造物又は建築構造物における構造部材7を対象として、橋梁8の支承71等の構造部材7が雨水等により錆び、腐食することを防止するために、構造部材7の周囲を取り囲むように透明性封止体2が設けられるものとなる。
【0028】
本発明を適用した封止構造1は、主に、鋼鉄製等の金属製の構造部材7を防食の対象とする。このとき、本発明を適用した封止構造1は、橋梁8の支承71となる構造部材7を取り囲むように透明性封止体2が設けられるほか、例えば、橋桁72等となる構造部材7を取り囲むように透明性封止体2が設けられてもよい。
【0029】
本発明を適用した封止構造1は、必要に応じて、
図2に示すように、鉄柱73等の構造部材7が防食の対象となってもよい。このとき、本発明を適用した封止構造1は、例えば、地震又は風等により変位Hが生じる鉄柱73の基端部73aで、鉄柱73の基礎となるコンクリート70との境界に、鉄柱73を取り囲むように透明性封止体2が設けられる。
【0030】
本発明を適用した封止構造1は、
図3に示すように、橋梁8の支承71等の構造部材7を取り囲むように設けられる透明性封止体2と、透明性封止体2に塗布される透明性樹脂塗料3とを備える。本発明を適用した封止構造1は、支承71を防食の対象とする場合には、H形鋼等の橋桁72とコンクリート70等の橋脚との間隙に支承71が設置されて、橋梁8の供用時に橋桁72が移動することで、支承71に変位Hが生じるものとなる。
【0031】
透明性封止体2は、構造部材7を取り囲むようにシリコーン樹脂20を硬化させることで設けられる。透明性封止体2は、所定の厚みとなるシリコーン樹脂20で構造部材7の周囲を取り囲むことで、構造部材7が雨水等の腐食環境にさらされることを防止する。
【0032】
シリコーン樹脂20は、ケイ素を含む有機化合物であって物理的性状が樹脂状のものが用いられる。シリコーン樹脂20は、透明又は半透明の透明性を有するものが用いられて、構造部材7の周囲を取り囲んだ状態で、構造部材7の腐食状況等を目視確認できるものとなる。ここで、シリコーン樹脂20は、硬化させた後の伸び率が200%〜1500%程度のものが用いられて、例えば、400%以上の伸び率となるものが用いられる。
【0033】
透明性封止体2は、
図4(a)に示すように、構造部材7の周囲を取り囲むように組み立てられた型枠4の内部40にシリコーン樹脂20が充填されることで、シリコーン樹脂20で構造部材7の周囲を取り囲んだものとなる。そして、透明性封止体2は、特に、
図4(b)に示すように、型枠4の内部40に充填されたシリコーン樹脂20を硬化させてから、構造部材7の周囲の型枠4が撤去された状態で設けられるものとなる。
【0034】
透明性封止体2は、
図5(a)に示すように、構造部材7の周囲を取り囲んだ型枠4の内面41に型枠剥離テープ5及び塗装剥離テープ6が貼付されて、塗装剥離テープ6に透明性樹脂塗料3が塗布された状態で、型枠4の内部40にシリコーン樹脂20が充填されるものとなる。そして、透明性封止体2は、塗装剥離テープ6に塗布された透明性樹脂塗料3がシリコーン樹脂20の外面21に一体化して、
図5(b)に示すように、硬化させたシリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3が塗布されるものとなる。
【0035】
透明性樹脂塗料3は、例えば、サンシャインウェザーメーター試験による3000時間後の光沢保持率が80%以上の耐候性を有して、JIS K 5658で規定される建築用耐候性上塗り塗料等が用いられる。透明性樹脂塗料3は、主に、伸縮性を有するフッ素樹脂塗料が用いられて、硬化させたシリコーン樹脂20の外面21が透明性樹脂塗料3に被覆された状態となる。そして、透明性樹脂塗料3は、透明又は半透明の透明性を有するものが用いられて、透明性を有するシリコーン樹脂20の外面21に塗布された状態で、構造部材7の腐食状況等を目視確認できるものとなる。
【0036】
型枠4は、
図6に示すように、主に、型枠剥離テープ5が貼付される内面41が略平滑面状に形成された木質ボードの化粧合板が用いられる。そして、型枠4は、木質ボードの化粧合板等が用いられることで、現場の施工環境に応じて、化粧合板等を容易に切断等できるものとなり、型枠4の成形作業を容易に実施できるものとなる。
【0037】
型枠剥離テープ5は、ポリエチレン繊維等で織られた養生テープ等の片面テープが用いられて、型枠剥離テープ5の粘着面が型枠4の内面41に貼付される。塗装剥離テープ6は、ポリプロピレン繊維等を材質とするPPテープ等の片面テープが用いられて、塗装剥離テープ6の粘着面が型枠剥離テープ5の非粘着面に貼付されることで、型枠剥離テープ5とともに型枠4の内面41に貼付されるものとなる。
【0038】
透明性封止体2は、構造部材7の周囲から型枠4が撤去されて、
図7(a)に示すように、シリコーン樹脂20の外面21が伸縮性を有する透明性樹脂塗料3のみに被覆された状態となる。そして、透明性封止体2は、
図7(b)に示すように、シリコーン樹脂20が所定の伸び率を有するとともに、透明性樹脂塗料3が伸縮性を有することで、構造部材7の変位Hに追従してシリコーン樹脂20が変形できるものとなる。
【0039】
本発明を適用した封止工法は、土木構造物又は建築構造物における構造部材7を対象に、既設又は新設の構造部材7の防食対策工として用いられる。本発明を適用した封止工法は、
図8〜
図11に示すように、型枠4を組み立てるとともにシリコーン樹脂20を充填する充填工程と、型枠4を撤去して透明性封止体2が設けられる撤去工程とを備える。
【0040】
充填工程では、必要に応じて、最初に、橋桁72、支承71及びコンクリート70等において、シリコーン樹脂20が接する部分に、4種ケレン等により下地処理をしたうえで、プライマー等を塗布する。充填工程では、次に、型枠4の内面41に型枠剥離テープ5及び塗装剥離テープ6が貼付された状態で、
図8に示すように、構造部材7の周囲を取り囲むように成形された型枠4が組み立てられて、型枠4の内部40に構造部材7が配置される。
【0041】
このとき、充填工程では、
図9(a)に示すように、型枠4の内面41に型枠剥離テープ5及び塗装剥離テープ6が貼付された状態で、型枠4が組み立てられたものとなる。充填工程では、次に、
図9(b)に示すように、型枠4の内面41の塗装剥離テープ6に透明性樹脂塗料3が塗布されて、型枠4の内面41の略全面に透明性樹脂塗料3が塗布された状態となる。そして、充填工程では、
図9(c)に示すように、型枠4の内面41に透明性樹脂塗料3が塗布された状態で、型枠4の内部40に硬化前のシリコーン樹脂20を充填する。
【0042】
撤去工程では、
図10(a)に示すように、型枠4の内部40に充填されたシリコーン樹脂20を硬化させる。このとき、撤去工程では、必要に応じて、硬化させたシリコーン樹脂20の上面22に透明性樹脂塗料3を塗布する。撤去工程では、次に、
図10(b)に示すように、型枠4の内面41に型枠剥離テープ5を貼付させたままの状態で、型枠剥離テープ5を塗装剥離テープ6から剥離しながら型枠4を撤去する。
【0043】
このとき、撤去工程では、型枠4の内面41に透明性樹脂塗料3が塗布された状態で、型枠4の内部40に充填されたシリコーン樹脂20を硬化させることで、塗装剥離テープ6に塗布された透明性樹脂塗料3が硬化させたシリコーン樹脂20の外面21に一体化する。そして、撤去工程では、型枠剥離テープ5を塗装剥離テープ6から剥離しながら型枠4を撤去することで、硬化させたシリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3が塗布された状態で、透明性樹脂塗料3が塗装剥離テープ6で被覆された透明性封止体2が設けられる。
【0044】
撤去工程では、最後に、
図10(c)に示すように、シリコーン樹脂20の外面21に塗布された状態となった透明性樹脂塗料3から塗装剥離テープ6を剥離して、シリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3のみが残されるものとする。そして、撤去工程では、シリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3のみが残されて、
図11に示すように、支承71等の構造部材7を取り囲むように透明性封止体2が設けられるものとなる。
【0045】
本発明を適用した封止構造1は、透明性を有する透明性樹脂塗料3が、長期的な透明性を有するシリコーン樹脂20の外面21に塗布された状態で、構造部材7を取り囲むように透明性封止体2が設けられる。これにより、本発明を適用した封止構造1は、支承71等の構造部材7の雨水等による腐食状況等を長期的に目視確認できるものとして、透明性封止体2で防食される構造部材7の長期的な視認性を確保することが可能となる。
【0046】
また、本発明を適用した封止構造1は、
図7に示すように、シリコーン樹脂20が所定の伸び率を有するとともに、透明性樹脂塗料3が伸縮性を有することで、供用時における構造部材7の変位Hに追従してシリコーン樹脂20が変形できるものとなる。これにより、本発明を適用した封止構造1は、シリコーン樹脂20を柔軟に変形させて供用時の構造部材7の変位Hに追従させることで、透明性封止体2で構造部材7が取り囲まれた状態を長期的に維持して、長期的な防食効果を実現することが可能となる。なお、本発明を適用した封止構造1は、透明性樹脂塗料3が伸縮性を有さない場合でも、シリコーン樹脂20の外面21を被覆する透明性樹脂塗料3に亀裂等を生じさせることで、構造部材7の変位Hに追従してシリコーン樹脂20を変形させることができる。
【0047】
本発明を適用した封止構造1は、特に、
図4に示すように、構造部材7の周囲の型枠4が撤去された状態で、硬化させたシリコーン樹脂20により透明性封止体2が設けられる。これにより、本発明を適用した封止構造1は、構造部材7を取り囲んだシリコーン樹脂20の変形が型枠4により阻害されないものとして、シリコーン樹脂20に柔軟な変形をさせることで、長期的かつ確実な防食効果を実現することが可能となる。
【0048】
そして、本発明を適用した封止構造1は、構造部材7の周囲の型枠4が撤去された状態であっても、透明性封止体2に透明性樹脂塗料3が塗布されることで、透明性封止体2となるシリコーン樹脂20の長期的な形状保持が可能となる。また、本発明を適用した封止構造1は、構造部材7の周囲の型枠4が撤去されることで、精度の高い型枠4の成形作業が要求されないことから、支承71が設けられた橋梁8の狭隘部等における型枠4の成形作業を容易にして施工コストを抑制することが可能となる。
【0049】
本発明を適用した封止構造1は、
図5に示すように、粘着性の高いシリコーン樹脂20の外面21が透明性樹脂塗料3に被覆された状態となる。これにより、本発明を適用した封止構造1は、シリコーン樹脂20の粘着性の高い外面21に、埃、ゴミ及び虫等が付着することを防止して、構造部材7の長期的な視認性を確保することが可能となる。
【0050】
本発明を適用した封止工法は、型枠4を組み立てるとともにシリコーン樹脂20を充填する充填工程と、型枠4を撤去して透明性封止体2が設けられる撤去工程とを経ることで、透明性樹脂塗料3で被覆された透明性封止体2が構造部材7を取り囲んで設けられる。これにより、本発明を適用した封止工法は、構造部材7の長期的な視認性を確保しながら、構造部材7の長期的かつ確実な防食性能を実現することが可能となる。
【0051】
本発明を適用した封止工法は、
図9に示すように、型枠4の内部40にシリコーン樹脂20を充填する前の段階で、型枠4の内面41の略全面に透明性樹脂塗料3が塗布される。これにより、本発明を適用した封止工法は、表面張力の低いシリコーン樹脂20が型枠4の内部40に充填されるにもかかわらず、型枠4の隙間が透明性樹脂塗料3で塞がれるため、型枠4の内部40からのシリコーン樹脂20の漏出を防止することが可能となる。
【0052】
また、本発明を適用した封止工法は、
図10に示すように、型枠4の内面41の略全面に透明性樹脂塗料3が塗布された状態で、型枠4の内部40でシリコーン樹脂20を硬化させることで、シリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3が一体化する。これにより、本発明を適用した封止工法は、硬化させたシリコーン樹脂20の外面21に透明性樹脂塗料3が略均一に塗布されるため、高品質な被覆状態を実現することが可能となる。
【0053】
また、本発明を適用した封止工法は、
図10(b)に示すように、型枠4の内面41に型枠剥離テープ5を貼付させたままの状態で、型枠剥離テープ5を塗装剥離テープ6から剥離しながら型枠4を撤去するものとなる。これにより、本発明を適用した封止工法は、型枠剥離テープ5と塗装剥離テープ6との接着が必要以上に強固でなく、型枠剥離テープ5を塗装剥離テープ6から容易に剥離できるため、型枠4の撤去作業を容易に実施することが可能となる。
【0054】
また、本発明を適用した封止工法は、
図10(c)に示すように、シリコーン樹脂20の外面21の粘着性が高いのに対して、透明性樹脂塗料3の粘着性は高くないため、塗装剥離テープ6と透明性樹脂塗料3との接着が必要以上に強固でないものとなる。これにより、本発明を適用した封止工法は、型枠4又は型枠剥離テープ5を透明性樹脂塗料3から直接剥離する場合と比較して、塗装剥離テープ6を透明性樹脂塗料3から容易に剥離できるため、シリコーン樹脂20の被覆作業を容易に実施することが可能となる。なお、透明性樹脂塗料3の耐候性は高いのに対して塗装剥離テープ6の耐候性は低いことから、透明性樹脂塗料3から塗装剥離テープ6を剥離した状態とすることが望ましいものとなる。
【0055】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。