特許第6728025号(P6728025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6728025ボイルオフガス再凝縮装置およびそれを備えるLNG供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728025
(24)【登録日】2020年7月3日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】ボイルオフガス再凝縮装置およびそれを備えるLNG供給システム
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20200713BHJP
【FI】
   F17C13/00 302A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-222702(P2016-222702)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-80738(P2018-80738A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 献児
(72)【発明者】
【氏名】永田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ジョリ ロイク
(72)【発明者】
【氏名】富田 伸二
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2015/0000334(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0000242(US,A1)
【文献】 特許第5148319(JP,B2)
【文献】 特開2008−196682(JP,A)
【文献】 米国特許第02944405(US,A)
【文献】 米国特許第07493778(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C1/00−13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGのBOGを再凝縮するボイルオフガス再凝縮装置であって、
LNGターミナルタンクからBOGを導出するBOG導出ラインと、
前記LNGターミナルタンクからLNGを導出するLNG導出ラインと、
前記LNG導出ラインに設けられ、LNGを冷媒で冷却するサブクーラーと、
前記LNGターミナルタンクの作動圧力より低圧下で、前記BOG導出ラインから送られるBOGを前記LNG導出ラインから送られる、前記サブクーラーで冷却されたLNGと接触させて再凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器でBOGが液化されたLNGを、前記LNGターミナルタンクへ戻すリターンラインと、を有する、ボイルオフガス再凝縮装置。
【請求項2】
前記冷媒が流れる冷媒ラインに設置される圧力調整弁または流量調整弁によって、LNGがLNG凝固点より高い温度になるように制御する、請求項1に記載のボイルオフガス再凝縮装置。
【請求項3】
LNGターミナルタンクと、
請求項1または2に記載のボイルオフガス再凝縮装置と、を備えるLNG供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイルオフガス再凝縮装置(Boil of Gas Recondenser)およびそれを備えるLNG供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、BOG再凝縮装置は、タンク圧力で飽和温度にあるLNGによってBOGを凝縮(液化)するために、BOG圧縮機(compressor)を必要とする。しかしそのようなBOG圧縮機(compressor)は、特に小規模LNGターミナルのために、通常非常に高価である。
【0003】
特許文献1は、LNGタンクからBOGをBOG圧縮機でBOG再凝縮器に送り込み、凝縮させるための冷却源としてLNGタンクから送り込まれたLNGを利用することを開示している。
【0004】
特許文献2は、LNを冷媒に用いてLNGを冷却することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許 7493778号公報
【特許文献2】米国特許 3302416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のBOG圧縮機は、非常に高価である。また、圧縮機の回転機構(例えば、レシプロケーション、ピストンリグなど)の信頼性が低く、回転機構を構成する部材は摩損があり、定期的なメンテナンスが必要である。
【0007】
また、特許文献2の目的は、入熱で気化したNGを冷却してタンク中のLNGを安定化させることであり、LNGターミナルでLNG船からタンクへのLNGの移送の際などに発生する大量のBOGを管理することでもなく、LNGタンクの作動圧力より低圧下で、BOGを再凝縮することでもない。
【0008】
本発明は、BOG圧縮機を使用することなく、LNGタンクの作動圧力より低圧下でBOG(ボイルオフガス)を再凝縮することができるボイルオフガス再凝縮装置およびそれを備えるLNG供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1のボイルオフガス再凝縮装置は、
LNGのBOGを再凝縮するボイルオフガス再凝縮装置であって、
LNGターミナルタンクからBOGを導出するBOG導出ラインと、
前記LNGターミナルタンクからLNGを導出するLNG導出ラインと、
前記LNG導出ラインに設けられ、LNGを冷媒で冷却するサブクーラーと、
前記LNGターミナルタンクの作動圧力より低圧下で、前記BOG導出ラインから送られるBOGを前記LNG導出ラインから送られ、かつ前記サブクーラーで冷却されたLNGで再凝縮(液化)する凝縮器と、
前記凝縮器でBOGが液化されたLNGを、前記LNGターミナルタンクへ戻すリターンラインと、を有する。
【0010】
この構成によれば、従来のBOG圧縮機を使用することなく、LNGタンクの作動圧力より低圧下でBOGを再凝縮することができる。本発明では、LNなどの冷媒を用いてLNGをまず冷却し、この冷却したLNGでBOGを液化する。これにより、LNGタンクの作動圧力より低圧下で、BOGの再凝縮を効果的に行える。
【0011】
本発明において、前記サブクーラーは、冷媒が流れる冷媒ラインに設置される圧力調整弁、または流量調整弁によって、LNGがLNG凝固点より高い温度になるように制御されてもよい。
【0012】
本発明の第2のボイルオフガス再凝縮装置は、
LNGのBOGを再凝縮するボイルオフガス再凝縮装置であって、
LNGターミナルタンクからBOGを導出するBOG導出ラインと、
冷媒が送られる冷媒ラインと、
前記LNGターミナルタンクの作動圧力より低圧下で、前記BOG導出ラインから送られるBOGを前記冷媒ラインから送られる冷媒で再凝縮(液化)する凝縮器と、
前記凝縮器でBOGが液化されたLNGを、前記LNGターミナルタンクへ戻すリターンラインと、を有する。
【0013】
この構成によれば、従来のBOG圧縮機を使用することなく、LNGタンクの作動圧力より低圧下でBOGを再凝縮することができる。本発明では、例えばLNを直接冷媒として用いBOGを液化する。これにより、LNGタンクの作動圧力より低圧下で、BOGの再凝縮を効果的に行える。
【0014】
本発明において、前記冷媒は、前記凝縮器内に設けられる熱交換器に導入され、かつ、前記BOGは、前記熱交換器に導入されてもよい。
これにより、熱交換器の態様でBOGを効果的に液化できる。
【0015】
本発明において、前記冷媒は、前記凝縮器内に設けられる熱交換器に導入され、
前記熱交換器の体積が前記凝縮器の内部体積よりも小さく、かつ前記熱交換器が前記凝縮器の内部空間に配置されていてもよい。
これにより、熱交換器の態様でBOGを効果的に液化できる。液化したLNGは、凝縮器の底に溜まる。この溜まったLNGは、液送ポンプでリターンラインからLNGタンクへ送ることができる。
【0016】
凝縮器内あるいは熱交換器内の圧力を以下のように調整してもよい。
(1)BOGを送る前に、LNを送り、凝縮器内あるいは熱交換器内をプレクールする。所定時間経過後または凝縮器内あるいは熱交換器内が所定温度になれば、BOGの導入を開始する。
(2)導入されたBOGが液化され、凝縮器または熱交換器の底に溜まる。底に溜まった液化されたLNGをポンプ、加圧装置で液送または動力源なく重力によって、LNGターミナルタンクへまたは他の供給先へ送ることができる。
(3)再凝縮処理が終了後、各ラインの弁を閉じ、LNの液送を終了する。
【0017】
他の本発明は、LNG供給システムであって、
LNGターミナルタンクと、
上記に記載のボイルオフガス再凝縮装置とを備える。
【0018】
上記において、BOG導出ラインに、例えば、自動開閉弁、圧力調整弁、流量調整弁が設けられていてもよい。
上記において、LNG導入ラインに、例えば、流量調整弁が設けられていてもよい。
上記において、リターンラインに、例えば、液送ポンプ、加圧器が設けられていてもよい。
上記において、LNGターミナルタンクに、安全弁が設けられていてもよい。
上記において、冷媒ラインに、例えば、流量調整弁、圧力調整弁が設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1のLNG供給システムの構成例を示す図である。
図2】実施形態2のLNG供給システムの構成例を示す図である。
図3】別実施形態のLNG供給システムの構成例を示す図である。
図4】実施形態3のLNG供給システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1のLNG供給システムについて図1を用いて説明する。ボイルオフガス再凝縮装置1は、LNGターミナルタンク20からBOGを導出するBOG導出ラインL1と、LNGターミナルタンク20からLNGを導出するLNG導出ラインL2と、LNG導出ラインL2に設けられ、かつLNGを冷媒で冷却するサブクーラー15と、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低圧下で、BOG導出ラインL1から送られるBOGを前記LNG導出ラインL2から送られ、かつサブクーラー15で冷却されたLNGで再凝縮(液化)する凝縮器10と、凝縮器10でBOGが液化されたLNGを、LNGターミナルタンク20へ戻すリターンラインL3とを有する。各構成について以下に詳述する。
【0022】
LNGターミナルタンク20にはLNGを導入するためのLNG導入ラインL5が設けられ、LNGを導入する際に自動開閉弁35の開閉が行われる。また、LNGターミナルタンク20にはLNGを所定の供給先へ送り出すためのLNG供給ラインL6が設けられ、LNGを送り出す際に自動開閉弁36の開閉が行われる。また、LNGターミナルタンク20には、LNGを送り出するためのインタンクポンプ(不図示)が設置され、LNG供給ラインL6に接続される。
【0023】
BOG導出ラインL1には、LNGターミナルタンク20内の圧力が異常に高くなった時のために安全弁21が設けられている。また、BOG導出ラインL1には、BOGを凝縮器10へ送り込み制御をするための自動開閉弁32が設けられている。また、BOG導出ラインL1には、圧力調整弁31が設けられている。
【0024】
LNGターミナルタンク20内の作動圧力は、絶対圧力で平均1.2barA(120KPaA)であり、上・下限値として±15%以内で管理されている。BOGが多量に発生した場合にタンク内圧が高くなる。タンク内圧を圧力計で測定し、その測定結果(換算結果)に基づいて、弁制御部(不図示)が自動開閉弁32の開閉を制御する。例えば、タンク内圧が1.2barA(120KPaA)の1.3倍になったら、BOGを凝縮器10へ送る。圧力調整弁31は、BOG導出ラインL1の配管内圧力を測定し、測定結果に基づいて弁開度を制御する。
【0025】
サブクーラー15には、LNGターミナルタンク20からLNG導出ラインL2を通ってLNGが導入される。弁制御部(不図示)がLNG導出ラインL2に設けられた自動開閉弁33を開閉制御すると共に、液送ポンプP1を制御することで、LNGがLNGターミナルタンク20からサブクーラー15へ送られ、そして後段の凝縮器10へ送られる。サブクーラー15の冷媒は、LNGの沸点よりも低い温度の媒体であればよく、本実施形態ではLNを用いる。LNは、LN源(例えば、LNタンク)から冷媒ラインL4を通ってサブクーラー15へ導入され、サブクーラー15内を通るLNGを冷却するための冷熱源として利用される。LNは、サブクーラー15から排出される際に、ガス化されていてもよく、液体と気体とが混じった流体として排出されてもよい。排出される流体(LNおよび/またはGN)は、大気へ排出処理されてもよく、リサイクル処理されてもよい。
【0026】
サブクーラー15において、冷媒(LN)が流れる冷媒ラインL4に設置される圧力調整弁(不図示)、または流量調整弁(不図示)によって、LNGがLNG凝固点より高い温度になるように制御されていてもよい。
【0027】
凝縮器10の内圧は、BOG再凝縮処理において、LNGターミナルタンク20の作動圧力(絶対圧力で平均1.2barA(120KPaA))より低圧下になるように管理される。凝縮器10の内圧は、圧力計で測定され、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低くなるように調整されている。
本実施形態では、サブクーラー15で冷却されたLNGが凝縮器10内でBOGと接触することで、BOGの体積が液化によって減少して凝縮器10内の圧力が低下する。運転中は冷却されたLNGが継続的に供給されることで低圧状態を維持する。凝縮器10の内圧は冷却されたLNGの流量を制御することで調整される。サブクーラー15と凝縮器10との間のLNG導出ラインL2に流量調整弁を設け、上記凝縮器10の内圧を測定する圧力計の計測結果に応じて、流量調整弁でLNGの流量を制御してもよく、自動開閉弁33の開度を制御することで、LNGの流量を制御してもよく、これら両方を制御してもよい。
凝縮器10に導入されたBOGは、冷却されたLNGと接触させることで、BOGが液化されてLNGとなり、凝縮器10の底にLNGが溜まる。両者を接触させる方法として、例えば、LNGをシャワーで吹き付ける手段、充填剤を用いて接触させる手段などがある。
【0028】
凝縮器10の下部とリターンラインL3が接続されている。弁制御部(不図示)がリターンラインL3に設けられた自動開閉弁34を開閉制御すると共に、液送ポンプP2を制御することで、LNGを凝縮器10からLNGターミナルタンク20へ送り返すことができる。
【0029】
BOGの再凝縮処理の処理手順について以下に説明する。各弁31〜34は再凝縮処理以外では閉じた状態である。
(1)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第1閾値を超えた場合に、サブクーラー15にLNを送る。
(2)サブクーラー15が所定温度以下に達した場合に、LNGターミナルタンク20からLNGをサブクーラー15へ送りこみ、冷却させる。例えば、冷却されるLNGの温度は、LNG凝固点より高く、LNGターミナルタンク20内のLNGの温度よりも低い温度にすることが好ましい。BOGの量と冷却されるLNGの量に基づいて、冷却されるLNGの温度を設定してもよい。
(3)冷却されたLNGを凝縮器10へ送りこみ、凝縮器10をプレクールする。リターンラインL3の自動開閉弁34は閉じている。
(4)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第2閾値(第2閾値>第1閾値)を超えた場合に、自動開閉弁32、圧力調整弁31を開けて、BOGをLNGターミナルタンク20から凝縮器10へ導入させる。
(5)凝縮器10は、プレクールされており、かつ冷却されたLNGがBOGと共に凝縮器10に導入されることで、BOGが冷却されてLNGに状態変化し、LNGは凝縮器10の底に溜まる。
(6)凝縮器10の底に溜まったLNGは、所定量溜まると(あるは所定のタイミングで)、自動開閉弁34を開け、液送ポンプP2を制御して、LNGを凝縮器10からLNGターミナルタンク20へ送り返す。
(7)再凝縮処理が終了したら、各弁を閉じる。
なお、(1)〜(3)の処理中に(4)の条件(タンク内圧>第2閾値)になることも想定されるため、LNGターミナルタンク20からBOGを安全弁21で排出されるように構成してもよく、あるいは、不図示のベントで外気排出をしてもよい。
上記「第1閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.26倍の圧力である。
上記「第2閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.3倍の圧力である。
【0030】
(別実施形態)
上記実施形態において、各自動開閉弁、圧力調整弁、液送ポンプを各ラインに設けていたが、上記配置に限定されず、目的に応じてそれらの一部または全部を省略してあってもよい。
【0031】
また、上記実施形態において、BOG再凝縮処理において、凝縮器10へBOGを送り込む前に、冷却されたLNGを送り込んで凝縮器10をプレクールしていたが、これに制限されず、冷却されたLNGとBOGとを一緒に送り込んでもよい。この場合は、冷却されたLNGの送り込み量(VL)とBOGの送り込み量(VB)を、VL>VBに制御してもよい。LNG導入ライン、BOG導入ラインのそれぞれに流量調整弁を設けて各送り込み量の流量制御を行ってもよい。
【0032】
また、上記実施形態において、リターンラインL3に液送ポンプP2が設けられていたが、リターンラインL3に液送ポンプが設けられていない構成であってもよい。凝縮器10内でBOGから状態変換したLNGは、重力によって、LNGターミナルタンク20へ送り込まれる。
【0033】
(実施形態2)
実施形態2のLNG供給システムについて図2を用いて説明する。実施形態1のLNG供給システムと同じ符号の構成要素は同じ機能を有するため、その説明を省略または簡単に説明する。
【0034】
ボイルオフガス再凝縮装置2は、LNGターミナルタンク20からBOGを導出するBOG導出ラインL1と、冷媒が送られる冷媒ラインL41と、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低圧下で、BOG導出ラインL1から送られるBOGを冷媒ラインL41から送られる冷媒で再凝縮(液化)する凝縮器210と、凝縮器210でBOGが液化されたLNGを、LNGターミナルタンク20へ戻すリターンラインL3とを有する。
【0035】
本実施形態において、冷媒としてLNを用いる。LNは、LN源(例えば、LNタンク)から凝縮器210内に設けられる熱交換器211に直接導入される。LNは、熱交換器211から排出される際に、ガス化されていてもよく、液体と気体とが混じった流体として排出されてもよい。排出される流体(LNおよび/またはGN)は、大気へ排出処理されてもよく、リサイクル処理されてもよい。
【0036】
冷媒ラインL41には、圧力調整弁(不図示)または流量調整弁(不図示)が設置されていてもよく、LNの送り込み量(VN)とBOGの送り込み量(VB)を、VN>VBに制御してもよい。
【0037】
凝縮器210の熱交換器211の内圧は、BOG再凝縮処理において、LNGターミナルタンク20の作動圧力(絶対圧力で平均1.2barA(120KPaA))より低圧下になるように管理される。熱交換器211の内圧は、圧力計で測定され、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低くなるように調整されている。
本実施形態では、BOGが熱交換器211でLNと熱交換することで、BOGの体積が液化によって減少して熱交換器211内の圧力が低下する。運転中は冷却されたLNが継続的に供給されることで低圧状態を維持する。熱交換器211の内圧はLNの流量を制御することで調整される。冷媒ラインL41に流量調整弁を設け、上記熱交換器211の内圧を測定する圧力計の計測結果に応じて、流量調整弁でLNの流量を制御してもよく、冷媒ラインL41に設けられた自動開閉弁の開度を制御することで、LNの流量を制御してもよく、これら両方を制御してもよい。
【0038】
熱交換器211の上部と、BOG導入ラインL1が直接接続されている。また、熱交換器211の下部とリターンラインL3が直接接続されている。
【0039】
BOGの再凝縮処理の処理手順について以下に説明する。各弁31〜34は再凝縮処理以外では閉じた状態である。
(1)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第1閾値を超えた場合に、熱交換器211へLNを送り、熱交換器211をプレクールする。LNの温度は、例えば、LNG凝固点より高く、LNGターミナルタンク20内のLNGの温度よりも低い温度にすることが好ましい。BOGの量と冷却されるLNGの量に基づいて、冷却されるLNGの温度を設定してもよい。
(2)熱交換器211が所定温度以下になった場合に、その温度を維持するように、冷媒ラインL41に設けられた流量調整弁(不図示)によってLNの供給量を調整する。
(3)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第2閾値(第2閾値>第1閾値)を超えた場合に、自動開閉弁32、圧力調整弁31を開けて、BOGをLNGターミナルタンク20から凝縮器210の熱交換器211へ直接導入させる。このBOGを導入させる際に、熱交換器211へのLNの供給量の調整を行い、熱交換器211内を負圧下(またはLNGターミナルタンク20の作動圧力より低圧下)に維持する。
(4)熱交換器211は、プレクールされており、BOGがすぐに冷却されLNGに状態変化し、LNGは熱交換器211の底へ落ちる。
(5)LNGは、リターンラインL3を通ってLNGターミナルタンク20へ送り返えされる。
(6)再凝縮処理が終了したら、各弁を閉じる。
なお、(1)および/または(2)の処理中に(3)の条件(タンク内圧>第2閾値)になることも想定されるため、LNGターミナルタンク20からBOGを安全弁21で排出されるように構成してもよく、あるいは、不図示のベントで外気排出をしてもよい。
上記「第1閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.26倍の圧力である。
上記「第2閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.3倍の圧力である。
【0040】
(別実施形態)
上記実施形態において、リターンラインL3に液送ポンプP2が設けられていたが、図3ではリターンラインL31に液送ポンプが設けられていない構成である。熱交換器211内でBOGから状態変換したLNGは、重力によって、LNGターミナルタンク20へ送り込まれる。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3のLNG供給システムについて図4を用いて説明する。実施形態1、2のLNG供給システムと同じ符号の構成要素は同じ機能を有するため、その説明を省略または簡単に説明する。
【0042】
ボイルオフガス再凝縮装置3は、LNGターミナルタンク20からBOGを導出するBOG導出ラインL1と、冷媒が送られる冷媒ラインL41と、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低圧下で、BOG導出ラインL1から送られるBOGを冷媒ラインL41から送られる冷媒で再凝縮(液化)する凝縮器410と、凝縮器410でBOGが液化されたLNGを、LNGターミナルタンク20へ戻すリターンラインL3とを有する。
【0043】
本実施形態において、冷媒としてLNを用いる。LNは、LN源(例えば、LNタンク)から凝縮器410内に設けられる熱交換器411に直接導入される。LNは、熱交換器411から排出される際に、ガス化されていてもよく、液体と気体とが混じった流体として排出されてもよい。排出される流体(LNおよび/またはGN)は、大気へ排出処理されてもよく、リサイクル処理されてもよい。
【0044】
冷媒ラインL41には、圧力調整弁(不図示)または流量調整弁(不図示)が設置されていてもよく、LNの送り込み量(VN)とBOGの送り込み量(VB)を、VN>VBに制御してもよい。
【0045】
凝縮器410に、熱交換器411が設けられている。本実施形態では、熱交換器411の体積が凝縮器410の内部体積よりも小さく、かつ熱交換器411が凝縮器410の内面から所定の間隔を有して配置されている。
【0046】
凝縮器410の内部空間上部(熱交換器411の上方が好ましい)と、BOG導入ラインL1が直接接続されている。また、凝縮器410の内部空間下部とリターンラインL3が直接接続されている。
【0047】
凝縮器410の内圧は、BOG再凝縮処理において、LNGターミナルタンク20の作動圧力(絶対圧力で平均1.2barA(120KPaA))より低圧下になるように管理される。凝縮器410の内圧は、圧力計で測定され、LNGターミナルタンク20の作動圧力より低くなるように調整されている。
本実施形態では、LNが熱交換器411に送られ、これにより、凝縮器410内が冷却される。冷却された凝縮器410内にBOGが導入されると、BOGの体積が液化によって減少して凝縮器410内の圧力が低下する。運転中はLNが継続的に熱交換器411に供給されることで凝縮器410を冷却し続け、BOGを液化して、凝縮器410内を低圧状態に維持する。凝縮器410の内圧はLNの流量を制御することで調整される。冷媒ラインL41に流量調整弁を設け、上記凝縮器410の内圧を測定する圧力計の計測結果に応じて、流量調整弁でLNの流量を制御してもよく、冷媒ラインL41に設けられた自動開閉弁の開度を制御することで、LNの流量を制御してもよく、これら両方を制御してもよい。
【0048】
BOGの再凝縮処理の処理手順について以下に説明する。各弁31〜34は再凝縮処理以外では閉じた状態である。
(1)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第1閾値を超えた場合に、熱交換器411へLNを送り、凝縮器410をプレクールする。LNの温度は、例えば、LNG凝固点より高く、LNGターミナルタンク20内のLNGの温度よりも低い温度にすることが好ましい。BOGの量と冷却されるLNGの量に基づいて、冷却されるLNGの温度を設定してもよい。
(2)凝縮器410が所定温度以下になった場合に、その温度を維持するように、冷媒ラインL41に設けられた流量調整弁(不図示)によってLNの供給量を調整する。
(3)LNGターミナルタンク20のタンク内圧力が第2閾値(第2閾値>第1閾値)を超えた場合に、自動開閉弁32、圧力調整弁31を開けて、BOGをLNGターミナルタンク20から凝縮器410へ導入させる。このBOGを導入させる際に、熱交換器411へのLNの供給量の調整を行い、凝縮器410内を負圧下(またはLNGターミナルタンク20の作動圧力より低圧下)に維持する。
(4)凝縮器410は、プレクールされており、BOGがすぐに冷却されLNGに状態変化し、LNGは凝縮器410の底へ溜まる。
(5)凝縮器410の底に溜まったLNGは、リターンラインL3を通ってLNGターミナルタンク20へ送り返えされる。
(6)再凝縮処理が終了したら、各弁を閉じる。
なお、(1)および/または(2)の処理中に(3)の条件(タンク内圧>第2閾値)になることも想定されるため、LNGターミナルタンク20からBOGを安全弁21で排出されるように構成してもよく、あるいは、不図示のベントで外気排出をしてもよい。
上記「第1閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.26倍の圧力である。
上記「第2閾値」は、例えば、1.2barA(120KPaA)の1.3倍の圧力である。
【0049】
(別実施形態)
上記実施形態において、リターンラインL3に液送ポンプP2が設けられていたが、リターンラインL3に液送ポンプが設けられていない構成であってもよい。凝縮器410内でBOGから状態変換したLNGは、重力によって、LNGターミナルタンク20へ送り込まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 ボイルオフガス再凝縮装置
10 凝縮器
15 プレクーラー
20 LNGターミナルタンク
L1 BOG導出ライン
L2 LNG導出ライン
L3 リターンライン
P1 液送ポンプ
図1
図2
図3
図4