特許第6728172号(P6728172)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6728172ヘリコプタのロータに推力を供給するのに適した補助エンジンを制御する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728172
(24)【登録日】2020年7月3日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】ヘリコプタのロータに推力を供給するのに適した補助エンジンを制御する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/28 20060101AFI20200713BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20200713BHJP
   F02C 3/10 20060101ALI20200713BHJP
   F02C 6/02 20060101ALI20200713BHJP
   G05B 11/42 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   F02C9/28 D
   G05B11/36 M
   F02C3/10
   F02C6/02
   G05B11/42 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-530142(P2017-530142)
(86)(22)【出願日】2016年1月11日
(65)【公表番号】特表2018-508680(P2018-508680A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】FR2016050038
(87)【国際公開番号】WO2016113489
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2018年12月10日
(31)【優先権主張番号】1550209
(32)【優先日】2015年1月12日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マラン,ジャン・フィリップ・ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ガロ,マテュー
(72)【発明者】
【氏名】エチュパール,フィリップ
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02992024(FR,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0145028(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0254282(US,A1)
【文献】 特開昭58−190528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 9/28
F02C 3/10
F02C 6/02
G05B 11/36
G05B 11/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主エンジン(10)によって供給される推力に加えてヘリコプタに推力を供給するために、ヘリコプタのロータ(12)と機械的に接続可能となるのに適したガス発生器および自由タービンを備える補助エンジン(8)を制御する装置であって、前記制御装置は、比例利得(Kp)および積分利得(Ki)を有する比例積分コントローラ(30)を備え、これらはヘリコプタの前記補助エンジン(8)の前記ガス発生器の回転速度に依存し、前記コントローラ(30)は、誤差信号(Se)と称される、前記補助エンジン(8)の前記自由タービンの速度誤差を表す信号を受信するように、および前記補助エンジンの前記ガス発生器の駆動速度を補正するための信号(Sc)を生成するように、構成されており、前記補正信号(Sc)は、前記比例利得(Kp)にしたがって前記誤差信号に比例する信号と、前記積分利得(Ki)にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算によって生じる、積分信号(Si)と称される信号と、前記積分信号(Si)のフィードバックループ(31)によって供給される、メモリ信号(Sm)と称される信号と、を加算することによって取得され、前記メモリ信号(Sm)は、前記補助エンジン(8)の前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存することを特徴とする、制御装置。
【請求項2】
前記フィードバックループ(31)が、
前記積分信号(Si)のイメージであるメモリ信号(Sm)を供給するように構成された第一回路(41)と、
1未満の、キャンセル利得(Ka)と称される利得にしたがって前記積分信号(Si)に比例するメモリ信号(Sm)を供給するように構成された第二回路(42)と、
前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果にしたがって前記第一回路(41)または前記第二回路(42)を選択するように構成されたセレクタ(33)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記セレクタ(33)によって実行される前記テストが、速度誤差の絶対値が所定のドループ閾値(So)よりも大きい場合に前記第一回路(41)を起動することができ、速度誤差の絶対値が前記閾値(So)よりも小さい場合に、前記積分信号が徐々にキャンセルされるよう前記第二回路(42)を起動することができるように、前記誤差信号(Se)を前記所定のドループ閾値(So)と比較するステップからなることを特徴とする、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第二回路(42)の前記キャンセル利得(Ka)が、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差に依存することを特徴とする、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記補助エンジンの前記ガス発生器に設定点信号(Scons)を供給するため、前記比例積分コントローラ(30)によって生成された前記補正信号(Sc)およびヘリコプタの飛行条件に依存する前記補助エンジンの標的動作点に対応する信号(Sa)を加算するように構成された、加算器(50)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
ヘリコプタのロータ(12)を駆動する動力伝達ボックス(11)に接続されるのに適した主エンジン(10)と、ガス発生器および自由タービンを備える補助エンジン(8)と、を備える推力ユニットを備えるマルチエンジンヘリコプタのアーキテクチャであって、前記補助エンジンは、第一に地上で搭載システムに電気エネルギーを供給可能にするためにヘリコプタの前記搭載システム(9)に接続され、第二にヘリコプタの飛行中に余剰推力を供給可能にするために前記推力ユニットに接続されるのに、適しており、前記アーキテクチャは、前記主エンジンと補助エンジンとの間のいかなる均衡とも無関係に、ヘリコプタの飛行中に、前記補助エンジン(8)によって供給される推力を前記推力ユニットに適用可能となるように、請求項1から5のいずれか一項に記載の前記補助エンジン(8)を制御する装置(7)をさらに備えることを特徴とする、アーキテクチャ。
【請求項7】
請求項6に記載のアーキテクチャを備えるヘリコプタ。
【請求項8】
ヘリコプタロータに推力を供給するのに適した、ガス発生器および自由タービンを備える補助エンジン(8)を制御する方法であって、方法は、
誤差信号と称される、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差を表す信号を受信するステップ(61)と、
比例利得(Kp)にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる前記補助エンジンの前記ガス発生器の駆動速度を補正するための信号と、積分利得(Ki)にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる、積分信号と称される信号(Si)と、前記補助エンジン(8)の前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存する、メモリ信号(Sm)と称される信号と、を生成するステップ(62)と、
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記メモリ信号(Sm)が、前記積分信号(Si)のイメージである信号と、1未満の、キャンセル利得(Ka)と称される利得に応じた前記積分信号(Si)に比例する信号との間の選択によって取得される信号であり、選択は、前記補助エンジン(8)の前記自由タービンの回転速度を表す測定の選択テストの結果に依存することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記選択テストが、前記誤差信号(Se)を所定のドループ閾値(So)と比較するステップと、速度誤差の絶対値が前記所定のドループ閾値(So)よりも大きい場合に積分信号(Si)のイメージである前記信号を選択し、速度誤差の絶対値が前記所定の閾値(So)よりも小さい場合に前記キャンセル利得(Ka)に応じて前記積分信号(Si)に比例する前記信号を選択するステップと、からなることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチエンジンヘリコプタのアーキテクチャ内に配置された補助エンジンの制御に関し、より具体的にはヘリコプタの主エンジンによって供給される推力に加えて余剰推力を供給するのに適した補助エンジンの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘリコプタは一般的に、ヘリコプタを推進するために使用される主エンジン、および1つ以上の補助エンジンを備える。補助エンジンは小型のガスタービン(一般的には補助動力装置を略して頭字語APUと称される)であり、その主な機能は、(地上、離陸または着陸段階、捜索段階などで)主エンジンがそのようにする状態にない飛行段階において非推力−電力、機械力、油圧および/または空気圧力−を供給することである。
【0003】
米国特許出願公開第2014/145028号明細書は、2つの推力エンジンと、これら2つのエンジンを制御するためのメインシステムと、を備えるヘリコプタを記載している。
【0004】
このヘリコプタは、主制御システムから独立した第二制御システムに関連付けられた二次推力エンジンも備える。この第二制御システムは、一定の設定点にしたがって二次エンジンを制御する。このため、二次エンジンは、二次エンジンの自由タービンの速度誤差を用いて制御されることは不可能であり、これは場合によりヘリコプタの主エンジンとの均衡を必要になる場合があるという欠点を有する。
【0005】
本出願人によって、具体的には仏国特許出願公開第2992024号明細書において、非推力を提供するのみならず、特定の飛行段階において、主エンジンの推力に加えて余剰推力を供給するためにも、補助エンジンを使用することも、提案されている。
【0006】
推力および非推力の両方を供給するため、補助エンジンのこのような使用を背景として、現在直面している困難の1つは、ヘリコプタの飛行条件にしたがってこのエンジンによって送達される推力を適応させられるように、低く制御されたドループでこの補助エンジンを制御できるようにすることである。特に、主エンジンの機能に影響を及ぼすことなく補助エンジンを制御できるようにするという問題が課されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】仏国特許出願第2992024号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/145028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明は、主エンジンに加えて、推力を供給するのに適したヘリコプタの補助エンジンを制御する装置および方法を提供することを目指す。
【0009】
本発明は特に、ヘリコプタの主エンジンとの均衡を必要としない補助エンジンを制御する装置および方法を提供することを目指す。
【0010】
本発明はまた、主エンジンの機能および性能に影響を及ぼさない補助エンジンを制御する装置および方法を提供することも目指す。言い換えると、本発明は、ヘリコプタパイロットにとって透明な制御方法を提供することを目指す。
【0011】
本発明はまた、本発明による制御装置を備えるヘリコプタアーキテクチャを提供することも目指す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これを行うため、本発明は、主エンジンによって供給される推力に加えてヘリコプタに推力を供給するために、ヘリコプタのロータと機械的に接続可能となるのに適したガス発生器および自由タービンを備える補助エンジンを制御する装置に関する。
【0013】
本発明による制御装置は、比例利得および積分利得を有する比例積分コントローラを備え、これらはヘリコプタの前記補助エンジンの前記ガス発生器の回転速度に依存し、前記コントローラは、誤差信号と称される、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差を表す信号を受信するように、および前記補助エンジンの前記ガス発生器の駆動速度を補正するための信号を生成するように、構成されており、前記補正信号は、前記比例利得にしたがって前記誤差信号に比例する信号と、前記積分利得にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算によって生じる、積分信号と称される信号と、前記積分信号のフィードバックループによって供給される、メモリ信号と称される信号と、を加算することによって取得され、前記メモリ信号は、前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存することを、特徴とする。
【0014】
したがって、本発明による補助エンジンを制御する装置は、ヘリコプタのこの補助エンジンと主エンジンとの間のデータ交換を必要とすることなく、補助エンジンの動作速度を制御できるようにする。具体的には、本発明による制御装置は、主エンジンとの均衡を必要とすることなく、補助エンジンによってヘリコプタのロータに供給される推力の制御を可能にする。制御装置は自己完結型であり、補助エンジンの自由タービンの回転速度およびガス発生器の回転速度のみに基づいている。
【0015】
入力として、制御装置は、例えば設定点速度と自由タービンの速度の測定との差を計算することが可能な減算器によって取得される、誤差信号を受信する。
【0016】
そして補正信号は、前記誤差信号に比例する信号と、積分信号と称される信号と、を加算することによって決定され、前記積分信号は、前記積分利得にしたがって前記誤差信号に比例する信号と、前記積分信号のフィードバックループによって供給される、メモリ信号と称される信号と、を加算することによって取得され、前記メモリ信号は前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存する。
【0017】
有利なことに、本発明によれば、前記フィードバックループは、
前記積分信号のイメージであるメモリ信号を供給するように構成された第一回路と、
1未満の、キャンセル利得と称される利得にしたがって前記積分信号に比例するメモリ信号を供給するように構成された第二回路と、
前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果にしたがって前記第一回路または前記第二回路を選択するように構成されたセレクタと、
を備える。
【0018】
この変形例によれば、前記誤差信号に比例する信号およびメモリ信号を加算することによって取得される積分信号は、従来の積分制御(フィードバックループの第一回路)によって、あるいはそのフィードバックループがメモリキャンセル利得によって補正される、補償された積分制御(フィードバックループの第二回路、以下、補償回路とも称される)によって、取得される。2つのタイプの制御からの選択は、前記補助エンジンの自由タービンの回転速度を表す測定のテストにしたがって行われる。
【0019】
言い換えると、この有利な変形例によれば、積分制御は、従来のやり方の積分誤差のイメージ(ループの第一回路)か、またはキャンセルされる傾向にある補正(補償回路)の、いずれかの補正を提供する。第一のケースでは、制御装置はその後、従来の比例積分コントローラとして振る舞う。第二のケースでは、(主エンジンによって制御されるため)自由タービンの回転速度の制御誤差が小さいときに漸進的にキャンセルされ、制御装置が選択された標的動作点でのエンジンの制御を可能にする。言い換えると、この変形例による制御装置は、補助エンジンの自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果に応じて、2つの動作モードを有する。
【0020】
有利なことに、本発明によれば、前記セレクタによって実行される前記テストは、速度誤差が所定のドループ閾値よりも大きい場合に前記第一回路を起動することができ、速度誤差が前記閾値よりも小さい場合に前記積分信号が徐々にキャンセルされるよう、前記第二回路を起動することができるように、前記誤差信号を前記所定のドループ閾値と比較するステップからなる。
【0021】
この変形例によれば、制御誤差が所定のドループ閾値よりも大きい場合、コントローラは従来の比例積分コントローラとして振る舞う。その一方で、制御誤差が所定のドループ閾値よりも小さい場合には、コントローラは、例えば期待される出力に関して、補助エンジンを選択された標的動作点で動作させることができる。
【0022】
言い換えると、必要な出力の急速な変動を伴わない飛行段階では、制御装置は、積分器を徐々にキャンセルすることによって、選択された動作点でエンジンを制御することを可能にする。
【0023】
出力の急速な変動を要する飛行段階では、コントローラは、従来の比例積分コントローラ挙動を取り戻す。
【0024】
別の変形例によれば、前記第二ループの前記キャンセル利得は、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差に依存する。
【0025】
この変形例によれば、キャンセル利得は補助エンジンの自由タービンの速度の誤差に依存し、これにより閾値条件セレクタを省略することができる。
【0026】
有利なことに、本発明による制御装置は、前記補助エンジンの前記ガス発生器に設定点信号を供給するため、前記比例積分コントローラによって生成された前記補正信号およびヘリコプタの前記飛行条件に依存する前記補助エンジンの標的動作点に対応する信号を加算するように構成された、加算器を備える。
【0027】
本発明はまた、ヘリコプタのロータを駆動する動力伝達ボックスに接続されるのに適した主エンジンと、ガス発生器および自由タービンを備える補助エンジンと、を備える推力ユニットを備えるマルチエンジンヘリコプタのアーキテクチャにも関し、前記補助エンジンは、第一に地上で搭載システムに電気エネルギーを供給可能にするためにヘリコプタの前記搭載システムに接続され、第二にヘリコプタの飛行中に余剰推力を供給可能にするために前記推力ユニットに接続されるのに、適している。
【0028】
本発明によるアーキテクチャは、前記アーキテクチャが、前記主エンジンと補助エンジンとの間のいかなる均衡とも無関係に、ヘリコプタの飛行中に、前記補助エンジンによって供給される推力を前記推力ユニットに適用可能となるように、本発明による前記補助エンジンを制御する装置をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
本発明によるアーキテクチャは、ヘリコプタが地上にいるときに、ヘリコプタの搭載システムに非推力、具体的には電力を供給し、特定の飛行段階においては推力を供給する、補助エンジンを有することを可能にするが、この推力はヘリコプタの主エンジンとの動力の均衡を必要とすることなく制御される。
【0030】
したがって、本発明によるアーキテクチャは特に効率的であり、それでもなおアーキテクチャのその他の構成要素、特に主エンジンの機能に影響を及ぼすことなく補助エンジンの使用を最適化できるようにする。
【0031】
本発明はまた、本発明によるアーキテクチャを備えるヘリコプタにも関する。
【0032】
本発明はまた、ヘリコプタロータに推力を供給するのに適した補助エンジンを制御する方法にも関し、方法は、
誤差信号と称される、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差を表す信号を受信するステップと、
比例利得にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる前記補助エンジンの前記ガス発生器の駆動速度を補正するための信号と、積分利得にしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる、積分信号と称される信号と、前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存する、メモリ信号と称される信号と、を生成するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0033】
有利なことに、本発明によれば、前記メモリ信号は、前記積分信号のイメージである信号と、1未満の、キャンセル利得と称される利得に応じた前記積分信号に比例する信号との間の選択によって取得される信号であり、選択は、前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果に依存する。
【0034】
言い換えると、この変形例によれば、積分制御は、従来の積分制御と、1未満の利得を用いて積分器を戻すことによって取得される、補償積分制御と称される積分制御との間の選択によって取得される制御であり、選択は、前記補助エンジンの自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果に依存する。
【0035】
有利なことに、本発明によれば、前記選択テストは、前記誤差信号を所定のドループ閾値と比較するステップと、速度誤差の絶対値が前記所定のドループ閾値よりも大きい場合に積分信号のイメージである前記信号を選択し、速度誤差の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に前記キャンセル利得に応じて前記積分信号に比例する前記信号を選択するステップと、からなる。
【0036】
言い換えると、速度誤差が前記所定のドループ閾値よりも大きい場合には従来の積分制御が選択され、速度誤差が前記閾値よりも小さい場合には補償された積分制御が選択される。
【0037】
本発明による制御装置は、本発明による制御方法を有利に実現し、本発明による制御方法は、本発明による制御装置によって有利に実現される。
【0038】
本発明はまた、上述のまたは以下に述べられる特徴のすべてまたは一部との組み合わせを特徴とする、制御装置、アーキテクチャ、ヘリコプタ、および制御方法にも関する。
【0039】
本発明のその他の目的、特徴、および利点は、非限定的にのみ提供されて以下の添付図面を参照する、以下の説明を読むと明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第一の動作モードによる本発明の一実施形態による制御装置の概略図である。
図2】第二の動作モードによる本発明の一実施形態による制御装置の概略図である。
図3】本発明の一実施形態によるヘリコプタのアーキテクチャの概略図である。
図4】本発明の一実施形態によるヘリコプタの概略図である。
図5】本発明の一実施形態による制御方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図中、図解および明確さのため、縮尺および割合は厳密には配慮されていない。
【0042】
図3は、本発明の一実施形態によるツインエンジンヘリコプタのアーキテクチャを簡単に示す。図3では、明確さのため1つの主エンジン10のみが示されるが、他のエンジンも同一であって動力伝達ボックス11に対称的に接続されており、これ自体がヘリコプタのロータ12に接続されている。図示される主エンジン10などの主エンジンは、それ自体がタービン23と結合された、燃焼チャンバ22と結合された圧縮機21からなるアセンブリによって構成された、ガス発生器20を備える。エンジンはまた、動力伝達シャフト31を駆動する自由タービン3も備える。ガス発生器20および自由タービン3は、吸気口14と排ガス管15との間に設けられる。
【0043】
動作中、チャンバ22には噴射装置24によって燃料が供給され、その中に、圧縮機21によって圧縮された空気も吸い込まれる。チャンバ22内の空気/燃料混合物の燃焼は高速エネルギーガスを供給する。これらの高温ガスは、第一にタービン23の中で膨張するが、これにより高圧駆動シャフト25を介して圧縮機21を機械的に駆動し、その後自由タービン3の中で膨張する。
【0044】
主エンジン10は、それ自体が動力伝達ボックス11に接続された、減速ボックス6を介して、ヘリコプタのロータ12に、および装備または付属品に、機械力を伝達する。
【0045】
本発明によるアーキテクチャはまた、主エンジンと同様に、圧縮機8a、燃焼チャンバ86、およびタービン8cを備えるガス発生器81を備える、補助エンジン8も備える。補助エンジンもまた自由タービン8dを備える。補助エンジン8の自由タービン8dの駆動シャフト82は、シャフト82によって伝達された機械エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機83に結合されている。したがって、補助エンジン8は、非推進電気エネルギーをヘリコプタの搭載システム9に供給することができる。
【0046】
補助エンジンもまた、ヘリコプタの特定の飛行段階において、命令に基づいてヘリコプタのロータに推力を供給することができるように制御された着脱機構84によって、動力伝達ボックス11に接続されている。
【0047】
アーキテクチャは、補助エンジン8の速度を制御するための装置7を、さらに備える。この制御装置7は、ヘリコプタのロータの速度7aを表す情報および補助エンジン8の自由タービン8dの回転速度7bを表す情報を受信し、速度設定点7cを出力する。この速度設定点は例えば、燃焼チャンバ86の中に注入された燃料のための設定点に変換される。
【0048】
以下、制御装置7が、特に図1および図2に関連して、詳細に説明される。
【0049】
制御装置7は、比例利得Kpおよび積分利得Kiを有する比例積分コントローラ30を備えるが、これらは補助エンジン8のガス発生器8aの回転速度に依存する。
【0050】
コントローラ30は、補助エンジン8の自由タービン8dの速度誤差7bを表す信号Seを受信するように構成されている。この信号Seは、文中を通じて、誤差信号という用語で指定される。
【0051】
コントローラ30はまた、補助エンジン8のガス発生器81の駆動速度を補正するための信号Scを生成するようにも構成されている。
【0052】
これを行うため、コントローラ30は、誤差信号に比例する信号Spを供給するように比例利得Kpを備える比例モジュールを備える。レギュレータ30はまた、積分信号Siを供給するように、積分利得Kiおよびフィードバックループ31を備える積分モジュールを備える。利得KpおよびKiは、補助エンジン8のガス発生器81の回転速度に依存する。
【0053】
積分モジュールのフィードバックループ31は、2つの回路41、42と、条件に応じて2つの回路のうちのどちらを起動すべきかを決定するように構成されたセレクタ33と、を備える。第一および第二回路41、42は、2つの回路の各々に信号Siのイメージを伝達するフィードバックループ31の部位40を共有する。
【0054】
第一回路41は、積分信号Siのイメージであるメモリ信号Smを供給するように構成されている。
【0055】
第二回路42は、制御誤差が小さいときに積分モジュールによって出力された積分信号Siが徐々にキャンセルされるように、1未満のキャンセル利得にしたがって前記積分信号Siに比例するメモリ信号Smを供給するように構成されている。そのため、この第二回路42は補償回路を構成する。
【0056】
セレクタ33は、前記補助エンジンの前記自由タービンの回転速度を表す測定のテストの結果にしたがって、第一回路または第二回路を選択するように構成されている。
【0057】
したがって、積分信号Siは、従来の積分制御によって、あるいはその帰還ループがキャンセル利得Kaによって補正される補償された積分制御によって取得されるが、この選択は、補助エンジンの自由タービンの回転速度を表す測定に基づく基準に基づいて行われる。
【0058】
フィードバックループ31は、2つの回路41、42の各々に供給される積分信号Siを時間内にオフセットするためのタイマー34を、さらに備える。
【0059】
セレクタ33は2つの入力を備える:補償回路42に接続された入力と、第一回路41に接続された入力である。セレクタは、選択されたメモリ信号Smを送達する出力を備える。
【0060】
セレクタ33は、誤差信号Seを所定のドループ閾値Soと比較するように構成された比較器を、さらに備える。
【0061】
セレクタは、速度誤差の絶対値が所定のドループ閾値よりも大きいことを比較器が示す場合に、第一回路に接続されたセレクタの入力を出力に接続するように構成されている。言い換えると、セレクタは、速度誤差の絶対値が所定のドループ閾値よりも大きい場合に、積分信号Siをメモリ信号Smとして供給する。
【0062】
セレクタはまた、速度誤差の絶対値が所定のドループ閾値よりも小さいことを比較器が示す場合に、補償回路に接続された入力を出力に接続するようにも構成されている。言い換えると、セレクタは、速度誤差の絶対値が前記閾値よりも小さい場合に、補償回路によって送達された信号をメモリ信号Smとして供給する。この場合、積分器によって出力された積分信号Siは徐々にキャンセルされる。
【0063】
図1は、セレクタが補償回路によって使用される補償に対応する位置に切り替えられた、制御装置の概略図である。言い換えると、セレクタの出力は、積分信号Siをキャンセルするためのメモリ信号を供給する。図2は、セレクタが非補償位置に切り替えられた、制御装置の概略図である。言い換えると、セレクタの出力は積分信号を供給する。2つの位置(補償および非保証)は、スイッチ36の位置によって概略的に示されている。
【0064】
制御装置はまた、補助エンジンのガス発生器に設定点信号Sconsを供給するために、ヘリコプタの飛行条件に応じて、比例積分コントローラ30によって生成された補正信号Scおよび補助エンジンの標的動作点に対応する信号Saを加算するように構成された、加算器50も備える。
【0065】
別の実施形態(図示せず)によれば、補償回路のキャンセル利得は補助エンジンの自由タービンの回転速度誤差に依存し、これによりセレクタ33および閾値条件Soを置き換えられるようにする。
【0066】
図4は、動力伝達ボックス11に接続された2つの主エンジン10、16および補助エンジン8を備える、ヘリコプタの概略図である。補助エンジン8は、本発明による制御装置によって制御される。
【0067】
図5は、本発明の一実施形態による制御方法の概略図である。
【0068】
これは、誤差信号と称される、前記補助エンジンの前記自由タービンの速度誤差を表す信号を受信するステップ61と、前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる補助エンジンの駆動速度を補正するための信号と、積分利得Kiにしたがって前記誤差信号に比例する信号の加算から生じる、積分信号と称される信号と、前記補助エンジン8の前記自由タービンの回転速度を表す測定に依存する、メモリ信号Smと称される信号と、を生成するステップ62と、を備える。
【0069】
本発明による方法は本発明による制御装置によって有利に実現され、本発明による制御装置は本発明による方法を有利に実現する。
図1
図2
図3
図4
図5