(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
実質的に円形の軸方向断面を有する外管を使用する製造工程であって、前記軸方向断面が、軸方向中心を有し、前記軸方向中心から径方向に一方向に延在する基準方向をさらに有する、中空コア・ファイバの製造工程において、
前記軸方向中心のところに中空領域を有するマトリックスを形成するように、前記外管内にキャピラリ管を配列するステップと、
前記マトリックス内に、前記軸方向中心から所定の径方向距離且つ前記基準方向から所定の方位角度に位置する複数のシャント・コアを形成するステップと、
前記キャピラリ管に混じって前記シャント・コアの間に修正管を配置するステップであって、前記修正管が、修正特性を有し、前記軸方向中心からさまざまな径方向距離のところに配置され、さらに前記基準方向からさまざまな方位角度のところに配置され、さらに前記軸方向中心から径方向外側に延在する直線状経路に沿って配置され、前記修正特性が、
径方向に変化する特性、
方位角方向に変化する特性、および
径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性との組合せ
からなる群から選択される、配置するステップと
を含み、
前記配置するステップが、追加のクラッド・モードを形成して、該追加のクラッド・モードを、中空コアと前記クラッド・マトリックスとの間の表面モードとモードカップリングさせるステップを含む、
中空コア・ファイバの製造工程。
各修正管が、そのそれぞれに対応する空孔径、壁部厚さ、ノード・ガラス領域、表面粗さ、材料組成、ドーパント・タイプ、およびドーパント濃度を有し、前記径方向に変化する特性が、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化する空孔径、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化する空孔形状、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化する壁部厚さ、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化するノード・ガラス領域、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化する表面粗さ、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化する材料組成、
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化するドーパント・タイプ、および
そのそれぞれに対応する修正空孔の径方向距離の関数として変化するドーパント濃度
からなる群から選択される、請求項16に記載の工程。
各修正管が、そのそれぞれに対応する空孔径、壁部厚さ、ノード・ガラス領域、表面粗さ、それぞれに対応する材料組成、ドーパント・タイプ、およびドーパント濃度を有し、前記方位角方向に変化する特性が、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化する空孔径、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化する空孔形状、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化する壁部厚さ、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化するノード・ガラス領域、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化する表面粗さ、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化する材料組成、
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化するドーパント・タイプ、および
そのそれぞれに対応する修正空孔の方位角度の関数として変化するドーパント濃度
からなる群から選択される、請求項16に記載の工程。
【発明を実施するための形態】
【0008】
中空コア・ファイバ(HCF)は、中空中心コアを含むクラッド・マトリックスを備えて製造される。そのような構造のため、HCFは多くの場合、(中空コアに閉じ込められる)コア・モード、ならびに中空コアとクラッド・マトリックスとの間の境界面に閉じ込められるモード(表記の便宜上「コア表面モード」または単に「表面モード」と称される)を保持する。これらの表面モードは、時にノイズを導入し、分散特性を変更し、マルチパス干渉を招くことがあるので、多くの場合望ましくない。したがって、表面モードは多くの場合、出力信号を損ねる。
【0009】
シグナル・インテグリティを維持するために、これらの望まれない表面モードは通常、抑制または除去される。表面モードを抑制しようとするこれまでの取り組みの中で、(部分的にコラプスした空孔が実質的に均一に並んだものなどの)径方向に周期的な共振特徴物(resonant feature)が、HCFのクラッド・マトリックスに導入されていた。これらのタイプの共振特徴物は、クラッドに異方性を導入し、それにより、ある一定の表面モードを抑制する。しかし、そのような手法は、基本モード信号にもある程度まで影響を及ぼす。さらに、空孔を部分的にコラプスしようとする従来の取り組みでは、部分的にコラプスした空孔を実現するために、異なる圧力を用いていた。残念なことには、圧力だけを使用して微細構造を変更することには限界があり、というのも、異なる構造は、ファイバ線引き工程中に異なる圧力を用いてしか成し遂げることができないためである。そのような異なる圧力の印加(と同時に異なる微細構造を生み出すこと)は、スケーラブルではなく、実際のところ、複雑な微細構造が必要とされる場合には、ほとんど不可能である。
【0010】
表面モードを抑制すると同時に、基本モードに及ぶ影響を低減させるために、本開示は、クラッド・マトリックス内に修正空孔を備えたHCFについて教示し、それを実施可能にする。修正空孔は、軸方向中心から径方向外側に延在する複数の直線状経路に沿って位置し、これは、2本以上の径方向線が修正されることを意味する。軸方向中心からさまざまな径方向距離のところかつ基準方向からさまざまな方位角度のところに位置する修正空孔は、不均一な修正特性(例えば径方向に変化する特性、方位角方向に変化する特性、または径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性との組合せ)を有する。修正特性は、径方向に周期的または非周期的であってよい。さらに、空孔の修正は、規則的なクラッド空孔を異なる数の修正空孔で置き換えること、例えば1つの規則的なクラッド空孔をいくつかのより小さな修正空孔で置き換えること、もしくはいくつかの規則的なクラッド空孔を1つの大きな修正空孔で置き換えること、またはより一般的には、いくつかの規則的なクラッド空孔をより多数の修正空孔もしくはより少数の修正空孔で置き換えることによって、達成することができる。置換えには、中実ロッドが含まれてもよく、または、例えば、六角形格子に正方形または多角形を挿入する、元の格子とは異なる形状が含まれてもよい。複数の径方向延在経路に沿って不均一な特性を組み合わせると、望まれない表面モードの抑制と、基本モード信号に及ぶ影響の低減の両方が得られる。これは、そのうち一部が1つまたは複数の望まれない表面モードとほぼ同じ実効屈折率を有するクラッド・モードのための損失性導波路を効果的に生み出すことによって、達成される。
【0011】
一般的な解決策を提示してきたが、ここで、
図2から
図12(f)に示す実施形態についての説明を詳細に参照されたい。具体的には、
図2から
図6は、中空コア・ファイバ(HCF)のさまざまな実施形態の軸方向断面を示し、一方、
図7(a)から
図12(f)は、さまざまなHCF実施形態の特性を解説するグラフを示す。ファイバのコアは実質的に円形なので、HCF幾何形状について説明するのに都合の良い基準点は、中心(本明細書では軸方向中心とも称される)を基準とすることによるものである。さらに、軸方向中心から延在するどんな方向が、方位角度について説明するための基準方向として選択されてもよいが、便宜上、(軸方向中心から延在する)12時の位置が、直線ファイバについての基準方向として選択される。換言すれば、
図2から
図6の軸方向断面の各々について、方位角度は12時の位置を基準として説明される。角度は、数学的に正の反時計回り方向に測定されるが、本発明者らはここでは、角度を、簡単のため時計回り方向に測定する。したがって、0°は12時の位置を指し、60°は2時の位置を指し、120°は4時の位置を指し、180°は6時の位置を指し、240°は8時の位置を指し、300°は10時の位置を指す。いくつかの実施形態については、これらの図面に関連して説明されるが、本開示を、本明細書に開示する1つまたは複数の実施形態に限定する意図はない。それとは反対に、意図するところは、あらゆる代替手段、修正形態、および等価物を包含するということである。
【0012】
これを念頭に置いて、
図2は、クラッド空孔220、およびクラッド・マトリックス240を形成する支柱部230を有する、光ファイバ210の軸方向断面を示す図である。支柱部230が交差する点は、ノードとして知られる。実質的に均一な特性を有する支柱部230は、隣接するクラッド空孔220間に位置する。通常は、クラッド空孔220も実質的に均一な特性を有するが、本発明は、不均一な特性を有する微細構造クラッドを備えたHCFにも適用することができる。
【0013】
光ファイバ210は、中空コア250を備え、中空コア250は、実質的に軸方向中心のところに位置し、したがって、クラッド・マトリックス240が中空コア250を取り囲む。中空コア250に加えて、
図2の実施形態は、クラッド・マトリックス240内に配設されたシャント・コア260a、260b、260c、260d、260e、260f(まとめて260)も備える。
図2に示すように、各シャント・コア260は、軸方向中心からそのそれぞれに対応する径方向距離のところ、かつ基準方向からそのそれぞれに対応する方位角度のところ(例えば、基準方向から約30°、90°、150°、210°、270°、および330°のところ)にも位置する。シャント・コア260は、望まれない高次モード(HOM)を減衰させること、および一部の実施形態の場合は、オプションの特徴物であることを理解されたい。
【0014】
光ファイバ210は、クラッド・マトリックス240内の、軸方向中心からさまざまな径方向距離のところ、かつ基準方向からさまざまな方位角度のところにも配設された、修正空孔270、280、290をさらに備える。本開示では、「修正空孔」という語句は、内径ゼロ(0)および有限の外径をもつ空孔を含む。話を進めると、修正空孔270、280、290は、軸方向中心から径方向外側に延在する直線状経路に沿って位置する。例えば、
図2の実施形態では、それらの直線状経路は、基準方向から約0°、60°、120°、180°、240°および300°のところに位置し、これは、修正空孔270、280、290が、クラッド・マトリックス240内の、隣接するシャント・コア260間に配置されていることを意味する。(望まれないHOMを減衰させる)シャント・コア260とは異なり、修正空孔270、280、290は、望まれない表面モードを減衰させる。したがって、HOMは表面モードとは異なるので、シャント・コア260を支配する動作原理は、修正空孔270、280、290を支配する動作原理とは異なる。
【0015】
径方向延在直線状経路に従うことに加えて、修正空孔270、280、290は、実質的に均一なクラッド空孔特性とは異なる不均一な特性(修正特性とも称される)を有する。例えば、修正特性としては、空孔径、(より丸いかまたはそれほど丸くはない、より凸状もしくは凹状の表面かまたはそれほど凸状もしくは凹状ではない表面をもつ、などの)空孔形状、壁部厚さ、材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度、空孔表面の粗さ、異なる損失特性(loss characteristic)、あるいはこれらおよび他の特性の組合せがある。具体的には、
図2は、(異なる線タイプで示すように)方位角方向に変化する特性と、(異なる線の太さで示すように)径方向に変化する特性の両方を有するものとしての、修正空孔270、280、290を示す。
図2に示すように、60°および240°のところの修正空孔270は、0°および180°のところの修正空孔290と比較して異なる特性を有することができる。さらに、同じ直線状経路内でさえ(例えば60°のところの修正空孔270を参照)、より径方向中心の修正空孔は、より径方向周辺の修正空孔と比較して異なる特性を有することができる。
【0016】
理解できるように、(径方向にも方位角方向にも)適切に修正すると、光学特性のより細かな制御が可能になり、それにより、表面モード抑制と基本モード・インテグリティの両方が改善する。さらに、修正空孔270、280、290が属する複数の径方向経路を導入することによって、表面モードのより大きな損失を達成することが可能である。
【0017】
図3から
図12(f)に移る前に、中空コア光ファイバ210は、一部の実施形態では、ガラス外管内に異なるキャピラリ管(capillary tube)が配列されてプリフォームを形成し、それが後に線引きされてファイバになる、スタック・アンド・ドロー法(stack−and−draw process)を使用して製造されることを理解されたい。したがって、製造工程は、軸方向中心のところに(最終的に中空コアになる)中空領域を有するマトリックスを形成するように、外管内にキャピラリ管を配列することを含む。製造工程は、キャピラリ管に混じって直線状経路に沿って修正管(modified tube)を配置することをさらに含む。異なる修正管(例えば、異なる外径または内径をもつ管、(より丸いかまたはそれほど丸くはない、より凸状もしくは凹状の表面かまたはそれほど凸状もしくは凹状ではない表面をもつ、内側にネストした形状のあるまたはない)異なる形状の管、異なる壁部厚さをもつ管、異なる材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度をもつ管、異なる表面粗さをもつ管、異なる損失をもつ管、異なる光学特性をもつ管など)を、さまざまな径方向距離およびさまざまな方位角度のところに配置することによって、中空コアファイバ(HCF)を、径方向に変化する特性、方位角方向に変化する特性、または径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性との組合せを伴って製造することができる。本開示では、「修正管」という語句は、(内径ゼロ(0)および有限の外径を有する)修正ロッドを含むものと明示的に定義される。
【0018】
次に、(径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性の両方を示す)
図2とは異なり、
図3の実施形態は、方位角方向に変化する修正空孔370、380のみを示す。加えて、(直線状経路に沿った3つの空孔が修正された状態を示す)
図2とは異なり、
図3は、直線状経路に沿った2つの空孔のみが修正された状態を示す。したがって、
図2と
図3はどちらも、径方向漏れ経路(leakage path)(すなわち直線状径方向経路)を示すが、
図3の漏れ経路の特性は、
図2の漏れ経路の特性とは異なる。
【0019】
別の言い方をすると、
図3は、光ファイバ310が類似構造のクラッド空孔320、支柱部330、クラッド・マトリックス340、中心中空コア350、およびシャント・コア360a、360b、360c、360d、360e、360f(まとめて360)を備えているという点で
図2に類似しているが、
図3の光ファイバ310は、より少数の修正空孔370、380があり、かつ修正空孔370、380が、方位角方向に変化するが径方向には変化しないので、
図2の実施形態とは異なる。したがって、例えば、60°のところの修正空孔370は、実質的に同じ形状、壁部厚さ、空孔径、材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度、表面粗さ損失(surface roughness loss)などを有する。しかし、60°のところの壁部厚さ、空孔径、材料、表面粗さは、120°のところの修正空孔380に見られるものとは異なる。
【0020】
図4は、方位角方向に変化する修正空孔を備えた光ファイバ410の別の実施形態の断面を示す。クラッド空孔420、支柱部430、クラッド・マトリックス440、中空コア450、およびシャント・コア460a、460b、460c、460d、460e、460f(まとめて460)については
図3を参照して論じてきたので、
図4を参照したこれらの構造的特徴についてのさらなる議論は省略する。しかし、(6組の修正空孔、すなわち0°、60°、120°、180°、240°、および300°のところの修正空孔を示す)
図3とは異なり、
図4の実施形態は、4組の修正空孔470、480、すなわち60°、240°、120°、および300°のところの修正空孔のみを含む。
図3と同様に、
図4の光ファイバ410内の修正空孔470、480は、方位角方向に変化するが、径方向には変化しない。このタイプの変化についても、
図3を参照して詳細に論じているので、
図4を参照して一部省略した議論が行われるにすぎない。
【0021】
次に
図5に移ると、光ファイバ510のこの実施形態は、径方向に変化するが方位角方向には変化しない、修正空孔570、580、590を備える。径方向の変化については
図2を参照して論じているので、
図5を参照して一部省略した議論が行われるにすぎない。また、クラッド空孔520、支柱部530、クラッド・マトリックス540、中空コア550、およびシャント・コア560a、560b、560c、560d、560e、560f(まとめて560)については、上で論じているので、
図5を参照したこれらの構造的特徴についてのさらなる議論は省略する。
【0022】
次に、
図6は、その修正空孔が軸方向中心から径方向外側に延在する直線状経路に制限されている(簡単のため「イン・ライン」修正空孔と呼ばれる)のではなく、前記イン・ライン修正空孔に隣接する「オフ・ライン」修正空孔も有することのできる、HCFの一実施形態の断面を示す図である。イン・ライン修正空孔とオフ・ライン修正空孔はどちらも、径方向にも方位角方向にも変化することができる。この場合もやはり、クラッド空孔620、支柱部630、クラッド・マトリックス640、中空コア650、およびシャント・コア660a、660b、660c、660d、660e、660f(まとめて660)については上で
図2を参照して論じているので、
図6を参照したこれらの構造的特徴についてのさらなる議論は省略する。これを念頭に置いて、
図6の修正空孔670、680、690は、
図2に示す直線状経路と同様に、クラッド・マトリックス640内の、軸方向中心からさまざまな径方向距離のところ、また基準方向からさまざまな方位角度のところにも配設される。しかし、(イン・ラインである修正空孔のみを示す)
図2とは異なり、修正空孔670、680、690は、イン・ラインとオフ・ラインの両方に位置する。オフ・ライン修正空孔は
図6に、イン・ライン修正空孔に隣接するものとして示されているが、オフ・ライン修正空孔は、イン・ライン修正空孔のすぐ近隣にあるものに限定されるのではなく、より広い幾何学的範囲にわたってよいことを理解されたい。
【0023】
(
図2を参照して説明した)イン・ライン修正空孔と同様に、
図6のオフ・ライン修正空孔も、径方向に変化する特性、方位角方向に変化する特性、または径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性の両方の組合せを含むことができる。さらに、実施形態に応じて、イン・ライン特性は、オフ・ライン特性と同じでもよく、オフ・ライン特性とは異なってもよい。例えば、オフ・ライン修正空孔の平均空隙率(air filling fraction)(AFF)は、クラッド空孔の平均AFFよりも高くてよく、一方、イン・ライン修正空孔のガラス領域は、クラッド空孔の平均AFFよりも低くてよい。理解できるように、修正クラッド空孔670、680、690は、空孔径、(より丸いかまたはそれほど丸くはない、より凸状もしくは凹状の表面かまたはそれほど凸状もしくは凹状ではない表面をもつ、内側にネストした形状のあるまたはない)形状、壁部厚さ、支柱部厚さ、ノード領域、空孔形状、材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度、表面粗さ、損失、光学特性などの、さまざまな組合せおよび順列を含むことができる。
【0024】
図2から
図6の実施形態に示すように、表面モードを抑制するために、HCFを、径方向に変化する形状、壁部厚さ、空孔径、表面粗さ、光損失特性(optical loss property)などを有するように修正することができる。同様に、修正は、方位角方向に変化する形状、壁部厚さ、空孔径、表面粗さ、光損失特性などとすることもできる。同様に、修正は、径方向に変化する特性と方位角方向に変化する特性の両方の組合せとすることもできる。
【0025】
次に、径方向に変化するまたは方位角方向に変化する修正空孔を、例えば空隙率(AFF)、コア径、シャント・コア数、クラッド・ピッチ、クラッド層数などのような、特定の設計パラメータに関わらず、どんな微細構造または中空コア・ファイバ(HCF)にも適用できることを理解されたい。しかし、例示を目的として、(組立段階とは対照的に線引きした)開示したHCFは、6つのシャント・コア、約0.5マイクロメートル(約0.5μm)から約50μmの間のクラッド・ピッチ、約20パーセント(約20%)から約99.9%の間のAFF、およびクラッド・マトリックス内の支柱部の平均厚さの約10%から約1000%の間のコア壁部厚さを備える。より中心にありかつ中空コアにより近い、ある一定の個々のクラッド空孔は、特定の光波長(λ)のときの特定の光学特性を達成するために、他のクラッド空孔の平均支柱部厚さの約5%から約5000%の間の支柱部厚さを有することができる。修正空孔は、クラッド・マトリックス内の他のクラッド空孔の平均支柱部厚さの約5%から約5000%の間で変化する支柱部厚さを有することもできる。
【0026】
開示したHCF210、310、410、510、610の作製において、断面ガラス領域は、修正管について異なる内径または異なる外径を選択することによって修正されることを理解されたい。断面ガラス領域を修正することに加えて、ノード領域も、キャピラリ間に中実ロッドを追加することによって、またはファイバ線引き中に、異なる圧力をキャピラリに印加すること(圧力の印加は、制御された異なる圧力を同時に印加することに伴う複雑さのため、それほど好ましくなく、単純な構造のみに限定されるが)により空孔のサイズを変更することによって、修正できることも理解されたい。他の実施形態の場合、線引きファイバの微細構造内の支柱部の長さを、この支柱部の端点のところの空孔のサイズを低減させる(それにより支柱部をその端点から効果的に引き伸ばす)ことによって、または代替手段として、この支柱部によって隔てられた隣接する空孔のサイズを増大させる(それにより、より大きなキャピラリ間により小さな間隙スペースを効果的に生み出し、したがって支柱部をその中心から引き伸ばす)ことによって、増大させることができることを理解されたい。一部の実施形態の場合、(線引き前の)組立段階での修正管の外径は、好ましくは、組立体のクラッド・マトリックス内の他のクラッド管の平均外径の約10%から約1000%の間(より好ましくは約80%から約120%の間)である。他の一部の実施形態の場合、修正管の空隙率(AFF)は、好ましくは、非修正のクラッド空孔用のキャピラリ管の平均AFFの約10%から1000%の間(より好ましくは20%から200%の間、さらにより好ましくは約30%から約70%の間)である。別の手法は、異なる光損失特性、異なる吸光特性(absorption property)、異なる散乱特性、または異なる表面粗さをもつ修正管を使用するというものである。適切な寸法、(より丸いかまたはそれほど丸くはない、より凸状もしくは凹状の表面かまたはそれほど凸状もしくは凹状ではない表面をもつ、内側にネストした形状のあるまたはない)適切な形状、適切な材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度、またはそれらの組合せを賢明に選択することによって、望まれない表面モードをより良好に抑制し、一方、同時に(基本モードのうちの1つなどの)好ましいモードのインテグリティを維持することができる。
【0027】
修正微細構造を備えたHCFのいくつかの実施形態について教示し、それを実施可能にしてきたが、そのような構造が信号にどのように影響を及ぼすかについての例を、2つの特定のHCF(便宜上HCF1およびHCF2と称される)において提示し、それらを
図8、
図9、
図11、および
図12に示す。比較のために、修正微細構造のない参照用HCF(便宜上HCF0と称される)を、
図7および
図10に示す。
【0028】
図7(a)は、クラッド内に非修正の空孔を備えたHCFの一例(便宜上HCF0と称される)における、水平偏波基本コア・モードを示すモード形状マップであり、
図7(b)は、HCF0におけるさまざまなモード形状についての、波長の関数としての実効屈折率を示すグラフであり、
図7(c)は、HCF0における望まれない表面モードを示す別のモード形状マップであり、
図7(d)は、HCF0における垂直偏波基本コア・モードを示すモード形状マップであり、
図7(e)は、HCF0における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図7(f)は、HCF0における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップである。根本的に、
図7(a)から
図7(f)(まとめて
図7)は、修正されていないHCFであるHCF0についての、実効屈折率とさまざまなモード形状を示している。
【0029】
図7から
図12の各モード形状マップは、特定のモードの電界のユークリッド・ノルム(ベクトル成分の平方絶対値の和のルート)を1に等しい最大値に正規化した、正規化ユークリッド・ノルムを示す。
【0030】
図8(a)は、微細構造クラッド内に修正空孔を備えたHCFの一例(便宜上HCF1と称される)における、望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図8(b)は、HCF1におけるさまざまなモード形状についての、波長の関数としての実効屈折率を示すグラフである。点810、820、および830は、望まれない表面モードとクラッド・モードとの交点(より正確には交差回避(avoided crossing))を示す。
図8(c)は、HCF1におけるいくつかの修正空孔間のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図8(d)は、HCF1における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図8(e)は、HCF1における、クラッド・モードに結合されている望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図8(f)は、HCF1におけるいくつかの修正空孔間の別のクラッド・モードを示すモード形状マップである。根本的に、
図8(a)から
図8(f)(まとめて
図8)は、
図3の実施形態に従って修正されたHCFであるHCF1についての、実効屈折率とさまざまなモード形状を示している。具体的には、HCF1における修正空孔370、380用のプリフォーム・キャピラリは、他のクラッド空孔320用のキャピラリの平均空隙率(AFF)の約30%から約70%の間のAFFを有していた。
【0031】
約30%から約70%の間の好ましい範囲が示されているが、約10%から約200%の間のより広い範囲を適用することができ、さらにより一般的な場合、約1%から約1000%の間の範囲を適用することもできることを理解されたい。
【0032】
次に、
図9(a)は、微細構造クラッド内に修正空孔を備えたHCFの別の例(本明細書では便宜上HCF2と称される)における、個別の修正空孔内のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図9(b)は、HCF2におけるさまざまなモード形状についての、波長の関数としての実効屈折率を示すグラフであり、
図9(c)は、HCF2における望まれない表面モードを示す別のモード形状マップであり、
図9(d)は、HCF2における別の修正空孔内のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図9(e)は、HCF2における、クラッド・モードに結合されている望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図9(f)は、HCF2における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップである。根本的に、
図9(a)から
図9(f)(まとめて
図9)は、
図4の実施形態に従って修正されたHCFであるHCF2についての、実効屈折率とさまざまなモード形状を示している。HCF1と同様に、HCF2における修正空孔470、480用のプリフォーム・キャピラリは、他のクラッド空孔420用のキャピラリの平均AFFの約30%から約70%の間のAFFを有している。
【0033】
本発明者らが「表面モード」と呼ぶモードの一部は、その合計光パワーのかなりの割合を微細構造クラッド内に有することがあり、例えば
図9(f)を参照されたい。同様に、「コア・モード」の一部は、その合計光パワーのかなりの割合を微細構造クラッド内のコアの付近に有することがあり、この割合は、波長に応じて決まり得る。例として、
図7(d)の垂直偏波基本「コア・モード」は、1560.4nmより下の波長について、その合計光パワーのかなりの割合を微細構造クラッド内に有する。しかし、
図7(b)に1560.4nmのところの点線から実線への遷移によって示すように、この特定のモードは、1560.4nmより上の波長について、その光パワーの大部分を微細構造クラッド内のコアの付近に有し、したがって1560.4nmより上の波長では表面モードと見なされる。このより長波長の範囲内では、別のモードが垂直偏波基本モード(
図7(b)の点線)になる。
図7(b)の垂直方向の点線は、モードの実効屈折率の不連続性を示しているのではなく、波長1560.4nmを示す視覚的マーカとしての役割を果たしており、波長1560.4nmは、これらの2つのモードが、垂直偏波基本モードを表すというその役割を交換するところであり、同じ原理が、
図8(b)および
図9(b)にも当てはまる。便宜上、本発明者らはそのようなモードを「偏波保持(PM:polarization maintaining)表面モード」と呼ぶことがあり、というのも、それらは複屈折および偏波依存損失(PDL)を生み出し、したがって、ある一定の応用分野に有用となり得るためである。
【0034】
次に、
図10(a)は、HCF0における望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図10(b)は、HCF0におけるさまざまなモード形状についての、波長の関数としての合計損失を示すグラフであり、
図10(c)は、HCF0における別の望まれない表面モードを示す別のモード形状マップであり、
図10(d)は、HCF0における水平偏波基本モードを示すモード形状マップであり、
図10(e)は、HCF0における垂直偏波基本モードを示すさらに別のモード形状マップであり、
図10(f)は、HCF0における別の望まれない表面モードを示す別のモード形状マップである。換言すれば、
図10(a)から
図10(f)(まとめて
図10)は、修正空孔を有していないHCF0における損失スペクトルおよび選択されたモード形状を示している。
【0035】
次に、
図11(a)は、HCF1における望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図11(b)は、HCF1におけるさまざまなモード形状についての、波長の関数としての合計損失を示すグラフである。表面モード損失スパイク1110、1120、および1130は、高損失性クラッド・モードへの結合(
図8(b)の点810、820、および830を参照されたい)によって生じている。
図11(c)は、HCF1におけるいくつかの修正空孔間のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図11(d)は、HCF1における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図11(e)は、HCF1における、クラッド・モードに結合されている望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図11(f)は、HCF1におけるいくつかの修正空孔間の別のクラッド・モードを示すモード形状マップである。換言すれば、
図11(a)から
図11(f)(まとめて
図11)は、HCF1についての、合計損失とさまざまなモード形状を示している。
【0036】
次に、
図12(a)は、HCF2における個別の修正空孔内のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図12(b)は、HCF2におけるさまざまなモード形状についての波長の関数としての、合計損失を示すグラフであり、
図12(c)は、HCF2における望まれない表面モードを示す別のモード形状マップであり、
図12(d)は、HCF2における別の修正空孔内のクラッド・モードを示すモード形状マップであり、
図12(e)は、HCF2における、クラッド・モードに結合されている望まれない表面モードを示すモード形状マップであり、
図12(f)は、HCF2における別の望まれない表面モードを示すモード形状マップである。換言すれば、
図12(a)から
図12(f)(まとめて
図12)は、HCF2についての、合計損失とさまざまなモード形状を示している。
【0037】
合計損失はこの場合、実効屈折率の虚部に比例する閉じ込め損失(トンネリング損失(tunneling loss)とも呼ばれる)と、コアを含む空孔内部のガラス−空気境界面のところの表面粗さおよび電界に応じて決まる散乱損失との和として定義される。
図7から
図12に示すシミュレーションは、修正クラッド空孔の効果を示した例であり、線引きファイバの損失または実効屈折率を正確に定量化するようには意図されていない。その代わりに、このタイプの線引きファイバの最低測定基本モード損失は、著しくより低いかまたはより高くなり得る。例として、さまざまな実施形態における基本モード損失の範囲は、設計波長のときの0.01デシベル・パー・キロメートル(dB/km)から1000dB/kmの間、または設計波長のときの0.1dB/kmから100dB/kmの間などに調整することができる。典型的には、このタイプの線引きファイバの最低測定基本モード損失は、1dB/kmから10dB/kmの間である。さらに、
図7から
図12は、ファイバの微細構造部分のみについて示しているが、周囲の中実クラッドについては示していない。
【0038】
図8および
図9に示すように、修正が適切に選択されると、追加のクラッド・モードを、実効屈折率という点で望まれない表面モードの近くに、両モード・タイプが伝播中に効率的に結合するようにもたらすことができる。実際上は、損失性クラッド・モードが、望まれない表面モードの抑制を、(
図7および
図10に示されている)修正空孔を備えていないHCFと比較して増大させる。望まれない表面モードの抑制の改善は、(
図9と
図10を比較することによって示される)中空コアの周辺に沿った電界振幅のわずかな増大による散乱損失の小さな増大も観察できるものの、主として(実効屈折率の虚部に比例する)トンネリング損失の増大によるものである。
【0039】
修正特性(例えばAFF、外径、内径、形状、表面粗さ、材料、ドーパント・タイプ、ドーパント濃度など、またはそれらの任意の組合せ)を変更することによって、追加のクラッド・モード(
図8および
図9を参照)の実効屈折率(n
eff)が、波長位置と傾きdn
eff/dλ(波長(λ)に対する実効屈折率の導関数である)の両方に従って変わる。λのときの実効屈折率n
eff(λ)をもつモードの場合、このモードの群屈折率(grоup index)は、
n
group=n
eff−λ(dn
eff/dλ) [式1]
である。
【0040】
式1を書き直すと、
dn
eff/dλ=(n
eff−n
group)/λ [式2]
となる。
【0041】
したがって、例として、追加のクラッド・モードの実効屈折率の傾きは一般に、望まれない表面モードの傾きの約20%から約80%の間、またはより一般に、望まれない表面モードの傾きの約5%から約300%の間となり得る。
【0042】
直線ファイバの場合、本発明者らは、(軸方向中心から延在する)12時の位置を、方位角度を定量化するための基準方向として選択した。曲げファイバについての以下の数学的な説明では、本発明者らは、軸方向中心から、曲げの中心から遠ざかる方向に向く、基準方向を使用する。換言すれば、方位角度Θ=0°のところで、ファイバ軸からの増加距離rは、曲げの中心からの増加距離に対応する。反対に、曲げの中心は、方位角度Θ=180°のところかつファイバ軸から(曲げ半径である)距離Rのところに位置する。当業者には良く知られるように、半径Rの曲げは、光ファイバの屈折率プロファイルn(r,Θ)を、
n
bent(r,Θ)=n(r,Θ)・[1+cos(Θ)r/R] [式3]
に従って事実上偏らせる。
したがって、曲げの中立面から概算距離cоs(Θ)rのところのクラッド内に存在する、実効屈折率n
effをもつモードの実効屈折率は、おおよそ
Δn
eff=n
eff・cos(Θ)・r/R [式4]
だけ変わる。
直線ファイバにおける実効屈折率がわずかな量Δn
eff、すなわち|Δn
eff|<<n
effだけ隔たっている2つのモードを断続的に結合するために、式4から十分な曲げ半径、
R=cоs(Θ)・r・n
eff/Δn
eff [式5]
が導かれる。
一例として、クラッド・モードが、曲げの中立面から概算距離cоs(Θ)・r約30μmのところに存在する場合、かつその実効屈折率n
eff約1が、表面モードの実効屈折率とはΔn
eff=0.0003だけ異なる場合、非常に緩やかな曲げ半径R=30μm/0.0003=10cmはすでに、式5によれば、クラッド・モードを表面モードに位相整合させ、したがって望まれない表面モードから高損失性クラッド・モードにパワーを伝達するのに、十分なほどタイトである。それと等価には、曲げ半径と方位角度Θのコサインの商R/cоs(Θ)が、R/cоs(Θ)=10cmを満足させる場合、曲げファイバにおいてモード結合をなお達成しながら、クラッド・モードの実効屈折率は、望まれない表面モードの実効屈折率とは(直線ファイバにおける)Δn
eff=0.0003と同程度だけ異なることができる。表面モードの実効屈折率の傾き|dn
eff/dλ|が、
図8(b)の点810のところの例と同様に、交差するクラッド・モードの実効屈折率の傾きよりも例えば5.4・10
−5/nm大きな(すなわち急峻である)場合、Δn
eff=0.0003というこの変化は、
図8(b)の結合点810および
図11(b)の損失スパイク1110の概算シフトΔλ約0.0003/(5.4・10
−5/nm)=5.5nmに対応する。表面モードの、曲げにより誘発される実効屈折率変化が、無視できるほどではない場合、このスペクトル・シフトは、より大きくなることもあり、より小さくなることもある。このファイバが半径R=10cmの曲げに沿って捻られる場合、表面モード損失スパイク1110はしたがって、それぞれの1回捻り(360°の方位角方向回転)にわたって幅2・5.5nm=11nmの波長範囲を走査して、この波長範囲全体にわたって表面モードを効果的に減衰させる。より小さな値R/cоs(Θ)=1cmでは、同様に計算すると、波長シフトΔλ約55nmが得られる。同様の計算が、
図11(b)の損失スパイク1120および1130についても成り立つ。特定のファイバ設計に応じて、表面モードおよびクラッド・モードの屈折率の傾き|dn
eff/dλ|は、実質的により大きくなる(例えば10倍大きくなる)こともあり、より小さくなる(例えば10分の1になる)こともあり、それがずっと大きなまたは小さな波長シフトΔλに対応する。
【0043】
以上、例示的実施形態について示し説明してきたが、説明した本開示に対するいくつかの変更、修正、または改変を行えることが、当業者には明白であろう。例えば、HCFについての実施形態が開示されているが、修正は、フォトニック・バンドギャップ・ファイバ、カゴメ・ファイバ、フォトニック結晶ファイバなどにも等しく適用可能である。かかるすべての変更、修正、および改変はしたがって、本開示の範囲内にあるものと見なされるべきである。