特許第6728488号(P6728488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728488
(24)【登録日】2020年7月3日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】大腿トンネル誘導機
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20200713BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/16
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-518248(P2019-518248)
(86)(22)【出願日】2017年9月27日
(65)【公表番号】特表2019-530515(P2019-530515A)
(43)【公表日】2019年10月24日
(86)【国際出願番号】KR2017010694
(87)【国際公開番号】WO2018066873
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2019年4月4日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0129087
(32)【優先日】2016年10月6日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326683
【氏名又は名称】サムスン ライフ パブリック ウェルフェア ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG LIFE PUBLIC WELFARE FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハ、チョル ウォン
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/056279(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0157081(US,A1)
【文献】 Jun Young chung et al.,Anatomic placement of the femoral tunnel by a modified transtibial techinique using a large-offset femoral tunnel guide:A cadaveric study,The Knee,Elsevier,2016年 8月,Vol.23, No.4,p659-665
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手と、
前記取っ手と結合し、一方向に延設される誘導管と、
前記誘導管の一端部に形成され、前記一方向において、前記誘導管の延長線上からの離隔距離が変更可能であるように形成されるオフセット部と、
前記オフセット部と連結され、前記オフセット部と前記誘導管との離隔距離を制御するオフセット制御部と、を含み、
前記オフセット部は、
前記誘導管から延設された連結部と、
前記連結部の一端部に形成される舌状部ベースと、
前記誘導管に対して引き入れられたり引き出されたりするガイド部と、
前記舌状部ベースと前記ガイド部とを連結する1以上のリンクと、を含み、
前記連結部、前記ガイド部、前記1以上のリンク、及び前記舌状部ベースは、4節リンクを形成することを特徴とする、
大腿トンネル誘導機。
【請求項2】
前記オフセット部と前記誘導管との離隔距離は、8mm以上15mm以下に制御されることを特徴とする請求項1に記載の大腿トンネル誘導機。
【請求項3】
前記大腿トンネル誘導機は、
前記大腿トンネル誘導機が、硬骨トンネルを介して大腿骨に挿入された状態で、前記誘導管を貫通した誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の大腿トンネル誘導機。
【請求項4】
前記大腿トンネル誘導機は、
前記大腿トンネル誘導機が、前記硬骨トンネルを通過した状態で、前記大腿トンネル誘導機を一定程度回転させることにより、前記誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するように形成されることを特徴とする請求項3に記載の大腿トンネル誘導機。
【請求項5】
前記オフセット制御部を調節すれば、前記ガイド部が、前記誘導管に対して引き入れられたり引き出されたりしながら、前記誘導管と前記オフセット部との離隔距離が変更されることを特徴とする請求項に記載の大腿トンネル誘導機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腿トンネル誘導機に係り、さらに詳細には、前方十字靭帯再建術に使用される大腿トンネル形成のための大腿トンネル誘導機に関する。
【背景技術】
【0002】
スポーツ活動及び余暇活動の増加により、十字靭帯損傷患者が続けて増加している状況であり、それを治療するための前方十字靭帯再建術は、整形外科領域で多く施行されている手術のうち一つである。
姑息的前方十字靭帯再建術は、解剖学的位置ではない等尺点(isometric point)部位に新たな靭帯を再建する方法であり、成功率は80%ほどと知られているが、回転不安定性に対して、制限(constraint)役割を行えないという問題点が存在すると知られている。従って、最近では、本来の前方十字靭帯(native ACL(anterior cruciate ligament)を再建するために、解剖学的位置(すなわち、前方十字靭帯が、正常の人体において、骨に付着される位置)に、前方十字靭帯を再建する概念に関心が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、前方十字靭帯再建術時、硬骨トンネルを介する方法で、解剖学的位置に、大腿トンネルを形成する大腿トンネル誘導機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、取っ手と、前記取っ手と結合し、一方向に延設される誘導管と、前記誘導管から延設され、前記一方向において、前記誘導管の延長線上から所定間隔離隔されるように形成されたオフセット部と、を含む大腿トンネル誘導機を開示する。
【0005】
本実施形態において、前記所定間隔は、8mm以上15mm以下でもある。
【0006】
本実施形態において、前記大腿トンネル誘導機は、前記大腿トンネル誘導機が、硬骨トンネルを介して大腿骨に挿入された状態で、前記誘導管を貫通した誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するようにも形成される。
【0007】
本実施形態において、前記大腿トンネル誘導機は、前記大腿トンネル誘導機が、前記硬骨トンネルを通過した状態で、前記大腿トンネル誘導機を一定程度回転させることにより、前記誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するようにも形成される。
【0008】
本実施形態において、前記オフセット部は、前記誘導管から延設された連結部と、前記連結部から延設され、前記誘導管と実質的に平行に形成される舌状部と、を含んでもよい。
【0009】
本発明の他の実施形態は、取っ手と、前記取っ手と結合し、一方向に延設される誘導管と、前記誘導管の一端部に形成され、前記一方向において、前記誘導管の延長線上からの離隔距離が変更可能であるように形成されるオフセット部と、前記オフセット部と連結され、前記オフセット部と前記誘導管との離隔距離を制御するオフセット制御部と、を含む大腿トンネル誘導機を開示する。
【0010】
本実施形態において、前記オフセット部と前記誘導管との離隔距離は、8mm以上15mm以下にも制御される。
【0011】
本実施形態において、前記大腿トンネル誘導機は、前記大腿トンネル誘導機が、硬骨トンネルを介して大腿骨に挿入された状態で、前記誘導管を貫通した誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するようにも形成される。
【0012】
本実施形態において、前記大腿トンネル誘導機は、前記大腿トンネル誘導機が、前記硬骨トンネルを通過した状態で、前記大腿トンネル誘導機を一定程度回転させることにより、前記誘導ピンが、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するようにも形成される。
【0013】
本実施形態において、前記オフセット部は、前記誘導管から延設された連結部と、前記連結部の一端部に形成される舌状部ベースと、前記誘導管に対して引き入れられたり引き出されたりするガイド部と、前記舌状部ベースと前記ガイド部とを連結する1以上のリンクと、を含んでもよい。
【0014】
本実施形態において、前記連結部、前記ガイド部、前記1以上のリンク、及び前記舌状部ベースは、4節リンクを形成することができる。
【0015】
本実施形態において、前記オフセット制御部を調節すれば、前記ガイド部が、前記誘導管に対して引き入れられたり引き出されたりしながら、前記誘導管と前記オフセット部との離隔距離が変更される。
【0016】
前述のところ以外の他の側面、特徴、利点は、以下の図面、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0017】
本発明の大腿トンネル誘導機により、経硬骨方法を利用した前方十字靭帯の解剖学的再建が容易になり、他の手術法に比べ、手術時間が短く、手術技術が容易であり、また解剖学的位置にトンネルを形成することができ、患者にも良好な臨床結果をもたらす効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による大腿トンネル誘導機の側面図である。
図2図1の大腿トンネル誘導機を利用し、十字靭帯再建術を遂行する過程に係わる概念図である。
図3図1の大腿トンネル誘導機を利用し、十字靭帯再建術を遂行する過程において、大腿トンネル誘導機を回転させて誘導ピンを解剖学的位置に位置させる過程を示す図面である。
図4図1の大腿トンネル誘導機を利用し、十字靭帯再建術を遂行する過程において、大腿トンネル誘導機を回転させて誘導ピンを解剖学的位置に位置させる過程を示す図面である。
図5】本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態にも具現されるのである。以下の実施形態において、第1、第2のような用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用される。また、単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、「含む」または「有する」というような用語は、明細書上に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するものであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性を事前に排除するものではない。また、図面においては、説明の便宜のために、構成要素がその大きさが誇張されていたり縮小されていたりする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0020】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明するとき、同一であるか、あるいは対応する構成要素は、同一図面符号を付し、それについての重複説明は、省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による大腿トンネル誘導機の側面図であり、図2は、図1の大腿トンネル誘導機を利用し、十字靭帯再建術を遂行する過程に係わる概念図である。そして、図3及び図4は、図1の大腿トンネル誘導機を利用し、十字靭帯再建術を遂行する過程において、大腿トンネル誘導機を回転させて誘導ピンを解剖学的位置に位置させる過程を示す図面である。
【0022】
まず、図1及び図2を参照すれば、本発明の一実施形態による大腿トンネル誘導機100は、取っ手110、誘導管120及びオフセット(offset)部130を含む。それらについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0023】
最近、本来の前方十字靭帯(native ACL(anterior cruciate ligament)を再建するために、解剖学的位置に、前方十字靭帯を再建する概念に対して関心が高まっており、多様な手術方法が紹介されている。すなわち、姑息的前方十字靭帯再建術は、解剖学的位置ではない等尺点(isometric point)部位に新たな靭帯を再建する方法であり、トンネルが、解剖学的位置より前上方に位置する場合が多く、解剖学的位置具現が容易ではないという短所がある。その場合、成功率が80%ほどであると知られているが、回転不安定性に対して制限(constraint)役割を行うことができないという問題点が存在するとのことである。
【0024】
従って、既存の姑息手術技術に使用された経硬骨トンネルを通過して使用される大腿トンネル誘導機(すなわち、7mm固定オフセットなど)は、その効用性に多くの疑問が提起されている。最近では、本来の前方十字靭帯(native ACL)を再建するために、解剖学的位置に、前方十字靭帯を再建する概念に対して関心が高まっている。
【0025】
硬骨トンネルの場合、解剖学的位置にトンネル形成を行うための手術方法及び器具について意見が一致しているが、大腿トンネルの場合、解剖学的位置にトンネル形成を行うために付加的前内側挿入口を利用する方法、二重切開outside−in方法、経硬骨方法のような多様な方法が使用されている。そのうち、付加的前内側挿入口を利用する方法は、膝を過度に屈曲させた状態で、トンネルを形成する方法であり、視野が良好ではなく、後方皮質骨が破壊される可能性が高いという短所がある。一方、二重切開outside−in方法は、比較的過度な屈曲なしに、解剖学的位置にトンネルを形成することができるが、大腿部位にさらなる切開が必要であるという短所がある。すなわち、付加的前内側挿入口を利用する方法と、二重切開outside−in方法は、手術方法が容易ではなく、さらなる切開、及び合併症発生の可能性が高いという短所が存在する。
【0026】
また、既存の経硬骨方法で大腿トンネルを形成するとき、大腿トンネルが前上方に位置する場合が多くなり、誘導機に内回転を与え、解剖学的位置に到達可能になるが、既存に使用された7mmオフセットの大腿トンネル誘導機では、内回転を行っても、後方大腿皮質からの距離が7mmに限定され、さらに大きいオフセットが要求される解剖学的位置に到逹することが不可能であるという問題点が存在した。
【0027】
そのような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による硬骨トンネル誘導機は、およそ10mm前後のオフセットを有するように形成され、大腿トンネルの形成時、解剖学的位置に、大腿トンネル形成を容易にすることを一特徴にするが、以下では、それに対ついてさらに説明する。
【0028】
再び、図1及び図2を参照すれば、大腿トンネル誘導機100は、取っ手110、誘導管120及びオフセット部130を含む。
【0029】
取っ手110は、ユーザが把持することができるように、多様な形状及び大きさにも形成される。
【0030】
誘導管120は、中空の管状に形成され、取っ手110の一側に、取っ手110と連結されるように形成され、第1方向(図面のX軸方向)に延設される。誘導管120の一端部は、取っ手110と連結され、誘導管120の他端部には、オフセット部130が形成される。そのような誘導管120は、図2に図示されているように、硬骨トンネル内に挿通されるように、硬骨トンネルより薄く形成され、硬骨トンネル内に挿通された状態で回転可能になるようにも形成される。そして、そのような誘導管120を貫通し、誘導ピン140が挿入される。
【0031】
オフセット部130は、誘導管120の他端部から延設され、前記一方向(すなわち、X軸方向)において、誘導管120の延長線上から所定間隔離隔されるように形成される。ここで、オフセット部130は、誘導管120から延設される連結部132、及び連結部132の一端部に形成される舌状部(tongue)131を含む。このとき、舌状部131は、ほぼ誘導管120と平行に形成され、従って、舌状部131は、X軸方向において、誘導管120の延長線上から所定間隔離隔されるように形成されるのである。それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0032】
大腿トンネル誘導機100は、すでに形成された硬骨トンネル311を通過し、大腿骨320切痕部位の後方皮質骨表面を基準に、大腿トンネルの位置を決定する。詳細には、既存の経硬骨方法で大腿トンネルを形成する場合、該大腿トンネルが前上方に位置する場合が多くなり、大腿トンネル誘導機に内回転を与える方法などにより、誘導ピンをできるだけ解剖学的位置に近いように位置させようと努める。しかし、従来のように、等尺点部位に、大腿トンネルを形成するために使用された大腿トンネル誘導機の場合、誘導管とオフセット部とが7mmまたはそれ以下ほど離隔されており、回転後にも、後方皮質骨表面からの距離がまだ短いという問題が残存し、誘導ピンが解剖学的位置に到逹するが容易ではないという問題点が存在した。
【0033】
そのような問題点を解決するために、本発明の一実施形態による大腿トンネル誘導機100は、オフセット部130の舌状部131が、誘導管120の延長線上から所定間隔d、すなわち8mm以上15mm以下ほど離隔されて形成させることにより、大腿トンネル誘導機100が、硬骨トンネル311を介して、大腿骨320に挿入された状態で、誘導ピン140が、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するように形成されることを特徴とする。
さらに詳細には、図3に図示されているように、大腿トンネル誘導機100が、硬骨トンネル311を通過した状態で、図4に図示されているように、大腿トンネル誘導機100が矢印方向に一定程度回転されることにより、誘導ピン140を前方十字靭帯の解剖学的位置に位置させるのである。
このとき、前方十字靭帯の解剖学的位置の一般的な場合を考慮すれば、オフセット部130の舌状部131が、誘導管120の延長線上から、およそ10mm離隔されて形成されることが最も望ましいのである。
【0034】
そのような本発明の実施形態についての大腿トンネル誘導機により、経硬骨方法を利用した前方十字靭帯の解剖学的再建が容易になり、他の手術法に比べ、手術時間が短く、手術技術が容易であり、また解剖学的位置にトンネルを形成することができ、患者にも良好な臨床結果をもたらす効果を得ることができる。
【0035】
以下では、本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機について説明する。
【0036】
図5は、本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機の側面図である。
【0037】
図5を参照すれば、本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機200は、取っ手210、誘導管220、オフセット部230及びオフセット制御部240を含む。それについて、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0038】
前述のように、本発明の一実施形態による大腿トンネル誘導機は、解剖学的位置に大腿トンネルを形成するためのものである。しかし、全ての患者が、同じ位置に前方十字靭帯取付部を有するものではなく、患者別に、さらに正確な解剖学的位置に、大腿トンネルを形成するためには、多様なオフセットを有した大腿トンネル誘導機が要求された。
【0039】
そのために、本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機200は、誘導管220からの離隔距離が調節可能であるオフセット部230、及び誘導管220とオフセット部230との離隔距離を調節するためのオフセット制御部240を具備し、患者別に、さらに正確な解剖学的位置に、大腿トンネルを形成するように、手術の視野から、オフセット調整が可能である稼動型オフセット大腿トンネル誘導機を提供することを一特徴とする。
【0040】
取っ手210は、ユーザが把持することができるように、多様な形状及び大きさにも形成される。
【0041】
誘導管220は、中空の管状に形成され、取っ手210の一側に、取っ手210と連結されるように形成され、第1方向(図面のX軸方向)に延設される。誘導管220の一端部には、取っ手210及びオフセット制御部240が形成され、誘導管220の他端部には、オフセット部230が形成される。そのようなオフセット部230は、硬骨トンネル内に挿通されるように、硬骨トンネルより薄く形成され、硬骨トンネル内に挿通された状態で回転可能になるようにも形成される。
【0042】
オフセット部230は、誘導管220の他端部から延設され、前記一方向(すなわち、X軸方向)において、誘導管220の延長線上から所定間隔離隔されるように形成される。ここで、本発明の他の一実施形態による大腿トンネル誘導機200は、オフセット部230と誘導管220との離隔距離が変更可能であるように形成されることを一特徴とする。
【0043】
そのために、オフセット部230は、誘導管220から延設される連結部231、連結部231の一端部に形成される舌状部ベース232、舌状部ベース232の一端部に形成される舌状部236を含む。このとき、舌状部ベース232及び舌状部236は、ほぼ誘導管220と平行に形成され、従って、舌状部236は、X軸方向において、誘導管220の延長線上から所定間隔離隔されるように形成されるのである。一方、オフセット部230は、誘導管220に対して引き入れられたり引き出されたりするガイド部233、及び舌状部ベース232とガイド部233とを連結する1以上のリンク234,235をさらに含む。
【0044】
また、誘導管220の一側に形成されたオフセット制御部240は、オフセット選択部241を含み、オフセット選択部241の操作により、ガイド部233が、誘導管220に対して引き入れられたり引き出されたりしながら、オフセット部230と誘導管220との離隔距離が調節されるのである。図面には、オフセット選択部241が、ノブ形状で回転自在に形成され、オフセット選択部241の回転により、ガイド部233が、誘導管220に対して引き入れられたり引き出されたりするように図示されている。すなわち、オフセット選択部241の一側に、ラック及びピニオンのように、回転運動を直線運動に変換する動力伝達部材(図示せず)が具備され、オフセット選択部241が回転すれば、それをガイド部233の直線運動に変換することにより、ガイド部233が誘導管220に対して引き入れられたり引き出されたりする。ただし、本発明の思想は、それに制限されるものではなく、オフセット選択部241の操作を、ガイド部233の直線運動に変換することができる多様な構成要素が借用可能であろう。
【0045】
一方、連結部231、ガイド部233、第1リンク234及び舌状部ベース232は、4節リンクをなすようにも形成される。すなわち、ガイド部233が、誘導管220から引き出されれば、4節リンク部が、全体的に時計回り方向に回転し、オフセット部230と誘導管220との離隔距離がd1にもなる。一方、ガイド部233が、誘導管220内に引き入れられれば、4節リンク部が、全体的に反時計回り方向に回転し、オフセット部230と誘導管220との離隔距離がd2にもなる。
【0046】
このとき、オフセット部230と誘導管220との離隔距離は、8mm以上15mm以下の範囲内で調節可能になるように形成され、大腿トンネル誘導機200が、硬骨トンネル311(図2)を介して大腿骨320(図2)に挿入された状態で、誘導管220を貫通した誘導ピン(図示せず)が、前方十字靭帯の解剖学的位置に位置するように形成されることを特徴とする。
【0047】
そのような本発明の実施形態についての大腿トンネル誘導機により、経硬骨方法を利用した前方十字靭帯の解剖学的再建が容易になり、特に、オフセット部230と誘導管220との離隔距離を調節することができるようになり、患者別に、さらに正確な解剖学的位置に、大腿トンネルを形成するように、手術の視野で、オフセット調整を可能ならしめることにより、治療効果が顕著に向上する効果を得ることができる。
【0048】
そのように、本発明は、図面に図示された一実施形態を参照して説明したが、それらは、例示的なものに過ぎず、当該分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び実施形態の変形が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の実施形態は、大腿トンネル誘導機に係り、さらに詳細には、前方十字靭帯再建術に使用される大腿トンネル形成のための大腿トンネル誘導機に利用される。
図1
図2
図3
図4
図5