(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728533
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】ビード缶端部を成形するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
B21D 51/44 20060101AFI20200713BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
B21D51/44 R
B21D22/26 C
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-506670(P2019-506670)
(86)(22)【出願日】2018年7月19日
(65)【公表番号】特表2020-504009(P2020-504009A)
(43)【公表日】2020年2月6日
(86)【国際出願番号】US2018042855
(87)【国際公開番号】WO2019108269
(87)【国際公開日】20190606
【審査請求日】2019年3月27日
(31)【優先権主張番号】15/825,154
(32)【優先日】2017年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515247266
【氏名又は名称】アルフォンス ハール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ターナー, スティーヴン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】フィンレー, ショーン ピー.
【審査官】
永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−528274(JP,A)
【文献】
米国特許第05823040(US,A)
【文献】
特開平05−177284(JP,A)
【文献】
特開昭60−193834(JP,A)
【文献】
特開平05−305360(JP,A)
【文献】
米国特許第08684211(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/44
B21D 22/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形プレス内で缶端部を成形する方法であって、前記方法が、
前記成形プレス内で上部パンチアセンブリと固定ベースアセンブリとの間にシート材料を配置するステップと、
前記シート材料から缶端部ブランクを切断するステップと、
前記缶端部ブランクの周辺部分をクランプするステップと、
前記上部パンチアセンブリを後退位置から進出位置に向かって移動させ、前記缶端部ブランクの中心部を上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間にクランプして、前記缶端部ブランクに中心パネルセクションを形成するステップであって、前記中心パネルセクションは、前記固定ベースアセンブリ上の前記下部パネルパンチに隣接して配置された環状内側ビードダイの下方にある、ステップと、
前記缶端部ブランクの前記中心部をクランプした後に前記上部パンチアセンブリを進出させて、前記缶端部ブランクの前記周辺部分の隣に初期的な環状カウンターシンクアール部を成形するステップであって、前記初期的な環状カウンターシンクアール部と前記環状内側ビードダイとの間には実質的に未変形の中間領域が広がる、ステップと、
を含む、缶端部を成形する方法。
【請求項2】
前記上部パンチアセンブリを進出させて、環状第1中間ビードパンチを前記缶端部ブランクに係合させ、第1中間ビード谷アール部を前記缶端部ブランクの前記中間領域に初期的に成形するステップと、同時に前記環状カウンターシンクアール部の深さを増加させるステップと、を含む、請求項1に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項3】
前記上部パンチアセンブリを更に進出させて、環状第2中間ビードパンチを前記缶端部ブランクに係合させ、第2中間ビード谷アール部を前記缶端部ブランクの前記中間領域に初期的に成形するステップであって、前記第1中間ビード谷アール部および前記環状カウンターシンクアール部の深さを同時に増加させるステップを含む、請求項2に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項4】
前記初期的な環状カウンターシンクアール部を成形するステップが、前記上部パネルパンチを前記缶端部ブランクに初期的に係合させた後に前記缶端部ブランクを前記上部パンチアセンブリの外側ビードパンチと係合させる工程を含む、請求項1に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項5】
前記環状カウンターシンクアール部の初期的な成形が、前記上部パネルパンチが前記中心パネルセクションを前記下部パネルパンチにクランプしている間に、前記上部パネルパンチを前記外側ビードパンチに対して上方に変位させることを含む、請求項4に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項6】
前記缶端部ブランクの前記周辺部分が、前記固定ベースアセンブリのクラウンリングにクランプされ、前記外側ビードパンチが、前記クラウンリングの内壁と協働して、前記環状カウンターシンクアール部の略垂直な外壁を成形する、請求項4に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項7】
前記上部パンチアセンブリが、環状外側ビードパンチ、環状中央ビードパンチ、および環状内側ビードパンチを含み、前記固定ベースアセンブリが、環状外側ビードダイ、環状中央ビードダイ、および前記環状内側ビードダイを含み、前記環状外側ビードパンチが前記缶端部ブランクに初期的に係合した後に、
前記缶端部ブランクの前記未変形の中間領域が、前記環状外側ビードダイ、前記環状中央ビードダイ、および前記環状内側ビードダイと係合して広がり、
前記環状中央ビードパンチおよび前記環状内側ビードパンチが、前記缶端部ブランクから間隔を開けて配置される、請求項1に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項8】
前記環状内側ビードパンチが前記缶端部ブランクに係合する前に、前記環状中央ビードパンチが前記缶端部ブランクと係合する、請求項7に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項9】
前記環状外側ビードパンチおよび前記環状内側ビードパンチが、前記環状中央ビードパンチよりも更に下方に延びている、請求項8に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項10】
前記上部パンチアセンブリを前記上部パンチアセンブリの進出位置に移動させることにより、環状カウンターシンクアール部、中央ビード谷アール部、および内側ビード谷アール部を有する缶端部への前記缶端部ブランクの成形が完了し、ビード成形の全体にわたって、前記中心パネルセクションが、前記上部パネルパンチと前記下部パネルパンチとの間にクランプされたままである、請求項9に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項11】
成形プレス内で缶端部を成形する方法であって、前記方法が、
前記成形プレス内で上部パンチアセンブリと固定ベースアセンブリとの間にシート材料を配置するステップと、
前記シート材料から缶端部ブランクを切断するステップと、
前記缶端部ブランクの周辺部分をクラウンリングとノックアウトリングとの間にクランプするステップと、
複数の環状ビードパンチと、前記複数の環状ビードパンチに対して移動するように支持された上部パネルパンチとを有する上部パンチアセンブリを用意するステップと、
前記複数の環状ビードパンチと協働する複数の環状ビードダイと、下部パネルパンチとを有する固定ベースアセンブリを用意するステップと、
前記上部パンチアセンブリを後退位置から進出位置に向かって移動させるステップであって、前記上部パンチアセンブリの移動は、
前記缶端部ブランクを前記複数の環状ビードパンチのそれぞれと係合させるより前かつ前記缶端部ブランクを前記複数の環状ビードダイのそれぞれと係合させるより前に、前記缶端部ブランクの中心部を前記上部パネルパンチと係合させる工程と、
引き続き前記上部パンチアセンブリを移動させて、前記缶端部ブランクを前記複数の環状ビードパンチのうちの1つのみおよび前記環状ビードダイのうちの1つのみと係合させた状態で、前記缶端部ブランクの前記中心部を前記上部パネルパンチと前記下部パネルパンチとの間にクランプする工程と、を含む、ステップと、
を含む、缶端部を成形する方法。
【請求項12】
前記缶端部の前記中心部をクランプした後に前記上部パンチアセンブリを進出させ、それにより前記環状ビードパンチのうちの1つのみが前記缶端部ブランクを下方に移動させ、前記環状ビードダイの残りのうちの1つ以上と係合させるステップを含む、請求項11に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項13】
前記缶端部ブランクを移動させて前記環状ビードダイの残りのうちの1つ以上と係合させた後、前記上部パンチアセンブリを更に移動させることにより、前記環状ビードパンチの残りを移動させ、前記缶端部ブランクと係合させる、請求項12に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項14】
前記環状ビードパンチのうちの1つのみは、半径方向で最も外側の環状ビードパンチを構成し、前記環状ビードダイのうちの1つのみは、半径方向で最も内側の環状ビードダイを構成する、請求項11に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項15】
実質的に未変形の中間領域が、前記最も外側の環状ビードパンチと前記最も内側の環状ビードダイとの間に広がる、請求項14に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項16】
前記下部パネルパンチが、前記環状ビードダイに対して不動に固定されている、請求項11に記載の缶端部を成形する方法。
【請求項17】
固定ベースアセンブリと可動上部パンチアセンブリとを有する単動式プレスにて、シート材料から缶端部を成形するための装置であって、前記装置は、
前記固定ベースアセンブリに堅固に支持されたクラウンリングであって、前記缶端部のクラウンの外形を規定する上面を有するクラウンリングと、
前記可動上部パンチアセンブリによって支持されたノックアウトリングであって、前記クラウンリングと位置合わせされ、前記可動上部パンチアセンブリが前記固定ベースアセンブリに向かって移動すると、工作物と係合して前記工作物の周辺部分にクラウンを成形するノックアウトリングと、
前記可動上部パンチアセンブリに支持された複数の環状ビードパンチ、および前記可動上部パンチアセンブリに移動可能に支持され前記複数の環状ビードパンチに対して移動する上部パネルパンチと、
前記固定ベースアセンブリに支持され、前記複数の環状ビードパンチおよび前記上部パネルパンチとそれぞれ協働する、複数の環状ビードダイおよび下部パネルパンチと、を備え、
前記可動上部パンチアセンブリが後退位置から進出位置に移動することにより、前記工作物を前記クラウンリングと前記ノックアウトリングとの間に係合し、前記工作物を前記環状ビードパンチのそれぞれと係合するより前かつ前記工作物を前記環状ビードダイのそれぞれと係合するより前に前記上部パネルパンチを前記工作物と係合するように位置決めし、引き続き前記可動上部パンチアセンブリが移動することにより、前記工作物を、前記複数の環状ビードパンチのうちの1つのみおよび前記複数の環状ビードダイのうちの1つのみと係合した状態で、前記上部パネルパンチと前記下部パネルパンチとの間にクランプする、装置。
【請求項18】
単動式プレスにてシート材料から缶端部を成形するための、請求項17に記載の装置であって、前記上部パネルパンチと前記下部パネルパンチとの間に前記工作物をクランプした後に、前記上部パネルパンチは、前記可動上部パンチアセンブリが前記進出位置に向かって移動する間に、前記可動上部パンチアセンブリの中に変位する、装置。
【請求項19】
単動式プレスにてシート材料から缶端部を成形するための、請求項18に記載の装置であって、前記可動上部パンチアセンブリの前記複数の環状ビードパンチは互いに固定された関係で支持されており、前記上部パネルパンチは前記複数の環状ビードパンチに対して移動可能である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の缶端部を成形するための製造方法および装置に関し、より詳細には、缶端部の成形中に延伸がほとんどないか、または全くなく、かつ材料が薄くなることを最小限にした、缶端部を成形する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製の飲料缶端部は、缶端部の周囲または周辺部に隣接して缶端部の周りに延びる、1つ以上の補強ビードを有するように設計されている。これらのビードは、典型的には、缶端部の半径方向に互いに交互配置されたビードアール部およびビード谷アール部が相互接続されて形成される。ビードはカウンターシンクアール部、またはチャック壁アール部から内側に成形され、缶端部の中心パネル部分から外側に配置することができる。
【0003】
飲料缶本体および缶端部は、高い内圧、ならびに出荷および取り扱いから生じる外力にも耐えるために十分に強くなければならない。加えて、飲料缶本体および缶端部は、製造コストおよび最終製品の重量を低減するために、極めて薄くかつ耐久性のある材料から製造されなければならない。これらの両立しないように思われる高強度および軽量の要求は、相互に影響し合う雄型工具および雌型工具の組み合わせを使用して、薄い材料を積極的に加工することによって達成することができる。残念なことに、積極的な材料加工は、缶端部が作られる材料の過度の延伸または薄肉化ゆえに、缶端部の所与の外形または形状への不整合をもたらす可能性がある。成形中に生じるそのような不整合により強度は低下し、缶端部の他の特性が変化する可能性がある。
【0004】
缶端部の被成形部の延伸および薄肉化を制御するための技術は、必要とされる強度を示しかつ改善された整合性を有する、缶端部を薄い原料から成形するための方法および装置において示される。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、成形プレス内で缶端部を成形する方法が提供される。この方法は、成形プレス内で上部パンチアセンブリと固定ベースアセンブリとの間にシート材料を配置するステップと、シート材料から缶端部ブランクを切断するステップと、缶端部ブランクの周辺部分をクランプするステップと、上部パンチアセンブリを後退位置から進出位置に向かって移動させるステップと、缶端部ブランクの中心部を、上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間でクランプして、缶端部ブランク上で中心パネルセクションを形成するステップであって、中心パネルセクションは、固定ベースアセンブリ上の下部パネルパンチに隣接して配置された環状内側ビードダイの下方にある、ステップと、缶端部ブランクの中心部をクランプした後に、上部パンチアセンブリを進出させて、缶端部ブランクの周辺部分の隣に初期的な環状カウンターシンクアール部を成形し、初期的な環状カウンターシンクアール部と環状内側ビードダイとの間には実質的に未変形の中間領域が広がる、ステップと、を含む。
【0006】
上部パンチアセンブリを進出させて、環状第1中間ビードパンチを缶端部ブランクに対して係合させてもよく、第1中間ビード谷アール部を缶端部ブランクの中間領域に初期的に成形してもよく、カウンターシンクアール部の深さを同時に増加させてもよい。
【0007】
上部パンチアセンブリを更に進出させて、環状第2中間ビードパンチを缶端部ブランクに対して係合させ、第2中間ビード谷アール部を缶端部ブランクの中間領域で初期的に成形してもよく、このとき第1中間ビード谷アール部およびカウンターシンクアール部の深さを同時に増加させてもよい。
【0008】
環状カウンターシンクアール部を初期的に成形することは、上部パネルパンチを缶端部ブランクに初期的に係合させた後に、缶端部ブランクを上部パンチアセンブリ上の外側ビードパンチと係合させることを含むことができる。
【0009】
環状カウンターシンクアール部の初期的な成形は、上部パネルパンチが中心パネルセクションを下部パネルパンチにクランプしている間に、外側ビードパンチに対する上部パネルパンチの上方への変位を含むことができる。
【0010】
缶端部ブランクの周辺部分は、固定ベースアセンブリのクラウンリング上でクランプされてもよく、外側ビードパンチはクラウンリングの内壁と協働してカウンターシンクアール部の略垂直な外壁を形成してもよい。
【0011】
上部パンチアセンブリは、環状外側ビードパンチ、環状中央ビードパンチ、および環状内側ビードパンチを含むことができ、固定ベースアセンブリは、環状外側ビードダイ、環状中央ビードダイ、および環状内側ビードダイを含むことができ、外側ビードパンチが缶端部ブランク上に初期的に係合した後に、缶端部ブランクの未変形の中間領域は、外側ビードダイ、中央ビードダイ、および内側ビードダイと係合して広がってもよく、中央ビードパンチおよび内側ビードパンチは、缶端部ブランクから間隔を開けて配置されてもよい。
【0012】
中央ビードパンチは、内側ビードパンチが缶端部ブランクと係合する前に、缶端部ブランクと係合することができる。
【0013】
外側ビードパンチおよび内側ビードパンチは、中央ビードパンチよりも更に下方に延びることができる。
【0014】
上部パンチアセンブリをその進出位置に移動させることにより、缶端部ブランクを、カウンターシンクアール部、中央ビード谷アール部、および内側ビード谷アール部を有する缶端部に成形することを完了させることができ、ビード成形の全体にわたって、中心パネルセクションは上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間にクランプされたままであってもよい。
【0015】
本発明の別の態様によれば、成形プレス内で缶端部を成形する方法が提供される。この方法は、成形プレス内で上部パンチアセンブリと固定ベースアセンブリとの間にシート材料を配置するステップと、シート材料から缶端部ブランクを切断するステップと、缶端部ブランクの周辺部分をクラウンリングとノックアウトリングとの間にクランプするステップと、複数の環状ビードパンチ、およびビードパンチに対して移動するように支持された上部パネルパンチを有する上部パンチアセンブリを用意するステップと、ビードパンチと協働する複数の環状ビードダイ、および下部パネルパンチを有する固定ベースアセンブリを用意するステップと、上部パンチアセンブリを後退位置から進出位置に向かって移動させるステップと、を含む。加えて、上部パンチアセンブリの移動は、缶端部ブランクをビードパンチまたはビードダイと係合させる前に、缶端部ブランクの中心部を上部パネルパンチと係合させるステップと、引き続き、上部パンチアセンブリを移動させて、缶端部ブランクの中心部を上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間にクランプさせ、缶端部ブランクをビードパンチのうちの1つのみおよびビードダイのうちの1つのみと係合させるステップと、を含む。
【0016】
缶端部の中心部をクランプした後に、上部パンチアセンブリを進出させてもよく、それによりビードパンチのうちの1つのみが缶端部ブランクを下方に移動させ、残りのビードダイのうちの1つ以上と係合させる。
【0017】
缶端部ブランクを移動させて残りのビードダイのうちの1つ以上と係合させた後、上部パンチアセンブリを更に移動させることによりビードパンチの残りを移動させ、缶端部ブランクと係合させることができる。
【0018】
ビードパンチのうちの1つのみは半径方向に最も外側のビードパンチを構成し、ビードダイのうちの1つのみは半径方向に最も内側のビードダイを構成する。
【0019】
実質的に未変形の中間領域は、最も外側のビードパンチと最も内側のビードダイとの間に広がってもよい。
【0020】
下部パネルパンチはビードダイに対して不動に固定されてもよい。
【0021】
本発明の更なる態様によれば、固定ベースアセンブリと可動上部パンチアセンブリとを有する単動式プレスにおいてシート材料から缶端部を成形するための装置が提供される。この装置は、固定ベースアセンブリ上に堅固に支持され、缶端部のクラウンの外形を規定する上面を有するクラウンリングを備える。ノックアウトリングが上部パンチアセンブリによって支持され、ノックアウトリングはクラウンリングと位置合わせされ、上部パンチアセンブリが固定ベースアセンブリに向かって移動すると、工作物と係合して工作物の周辺部分にクラウンを成形する。複数の環状ビードパンチが上部パンチアセンブリ上に支持され、上部パネルパンチが上部パンチアセンブリ上に流動的に支持されビードパンチに対して移動する。複数の環状ビードダイおよび下部パネルパンチが固定ベースアセンブリ上に支持され、それぞれビードパンチおよび上部パネルパンチと協働する。上部パンチアセンブリが後退位置から進出位置に移動することにより、工作物はクラウンリングとノックアウトリングとの間に係合され、工作物がビードパンチまたはビードダイと係合する前に、上部パネルパンチは工作物と係合するように位置決めされる。引き続き上部パンチアセンブリが移動することにより、工作物は上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間でクランプされ、工作物はビードパンチのうちの1つのみおよびビードダイのうちの1つのみと係合する。
【0022】
上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間に工作物をクランプした後に、上部パネルパンチは、パンチアセンブリが進出位置に向かって移動する間に、上部パンチアセンブリの中に変位してもよい。
【0023】
上部パンチアセンブリ上の複数のビードパンチは互いに固定された関係で支持されてもよく、上部パネルパンチは複数のビードパンチに対して移動可能であってもよい。
【0024】
本明細書は、本発明を具体的に指摘しかつ明確にその権利を請求する特許請求の範囲で完結するが、本発明は以下の説明を添付の図面と併せ読むことで、よりよく理解されるものと考えられ、図面では同様の参照番号は同様の要素と見なす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本明細書の態様に従って動作可能な成形プレスを示す概略断面図であり、缶端部を成形するためのブランク成形プロセスの開始時に、下降位置にある成形プレスの上部パンチアセンブリを示す。
【
図2】打ち抜き作業の準備のために、ドローパンチとドローパッドとの間に工作物をクランプした直後の、
図1の成形プレスの拡大概略断面図である。
【
図3】ノックアウトリングとクラウンリングとの間にブランクがクランプされ係合されたこと示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図4】上部パネルパンチと下部パネルパンチとの間にブランクがクランプされ係合された直後の、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図5】缶端部用の外側ビードを成形する際の初期ステップを示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図6】上部パンチアセンブリが更に下方に移動し、ブランクを上部ビードダイに隣接するように位置決めすることを示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図7】上部パンチアセンブリが更に下方に移動し、ブランクを外側ビードダイと係合するように位置決めして缶端部の外側ビードを成形することを示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図8】上部パンチアセンブリが更に下方に移動して缶端部の中央ビードを成形することを示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図9】上部パンチアセンブリが更に下方に移動して缶端部の内側ビードを成形することを示す、
図1の成形プレスの一部を示す拡大概略断面図である。
【
図10】本明細書の態様に従って成形された例示的な缶端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明では、本明細書の一部をなす添付の図面を参照するが、これらの図面には、本発明を実施することができる特定の好ましい実施形態が限定ではなく例示として示される。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、変更がなされてもよいことを理解すべきである。
【0027】
本出願は、パネル、シェルまたは缶端部を成形する方法および装置を開示し、それにより、缶端部の被成形部の薄肉化が制御されており、薄肉化が制御されない場合に起こり得る反り、ねじれおよび/または割れを実質的に防止している。開示された方法および装置の態様によれば、缶端部の被成形部は、成形工程中に材料の延伸がないか、または無視できる程度の延伸で製造することができる。
【0028】
ここで
図1を参照すると、可動上部パンチアセンブリ102および下部固定ベースアセンブリ104を有する成形プレス100を示す。上部パンチアセンブリ102は、成形プレス100の下死点位置において、固定ベースアセンブリ104から間隔を置いた後退位置と固定ベースアセンブリ104に隣接した進出位置との間で移動可能である。上部パンチアセンブリ102は、上部ダイシュー108内に取り付けられたパンチピストン106を含み、下部固定ベースアセンブリ104は下部ダイシュー110を含む。
【0029】
ビードパンチアセンブリ112は上部ダイシュー108に対して固定された関係で固着され、環状外側ビードパンチ112a、環状中央ビードパンチ(第1中間ビードパンチ)112b、および環状内側ビードパンチ(第2中間ビードパンチ)112cを含む。パンチビードスペーサ115を設けて、中央ビードパンチ112bと内側ビードパンチ112cを互いに、かつ外側ビードパンチ112aに対して位置決めできるようにしてもよい。更に、追加のビードパンチスペーサ117を外側ビードパンチ112aの上方に設けて、外側ビードパンチ112a、中央ビードパンチ112b、および内側ビードパンチ112cを上部ダイシュー108に対して位置決めできるようにしてもよい。代替として、ビードパンチアセンブリ112は、一体として形成された外側ビードパンチ112a、中央ビードパンチ112b、および内側ビードパンチ112cを備えてもよく、すなわち、ビードパンチ112a、112b、112cの位置が互いに固定された単一のユニットとして備えてもよい。
【0030】
上部パンチアセンブリ102は更に、パンチピストン106に固定され、ビードパンチアセンブリ112に対する移動に対して支持された上部パネルパンチ114を含む。1つ以上のスペーサ119をパンチピストン106と上部パネルパンチ114との間に設けて、上部ダイシュー108内での上部パネルパンチ114の垂直位置を調整することができる。図示した構成では、異なる直径の2つのスペーサ119が示され、スペーサ119の一方または両方の厚さを研削して上部パネルパンチ114の垂直位置を調整することができる。代替構成では、本明細書に示す2つのスペーサ119の代わりに、階段状の直径を有する単一のスペーサを設けることができる。図示した実施形態では、内側ビードパンチ112cは外側ビードパンチ112aと同じ高さか、または外側ビードパンチ112aのわずか上に配置することができ、中央ビードパンチ112bは外側ビードパンチ112aおよび内側ビードパンチ112cの両方の上方の高さに配置することができ、
図3を参照のこと。
【0031】
下部固定ベースアセンブリ104は下部ビードダイアセンブリ116を含み、成形プレス内でシート材料から切断された工作物またはブランク130に対して行われる成形プロセス中にビードパンチアセンブリ112と協働する。ビードダイアセンブリ116は、環状外側ビードダイ116a、環状中央ビードダイ116b、および環状内側ビードダイ116cを備える。加えて、下部ビードダイアセンブリ116は、上部パネルパンチ114と協働する下部パネルパンチ118を含む。
【0032】
ダイスペーサ120を設けて、中央ビードダイ116bと内側ビードダイ116cを互いに対して、かつ外側ビードダイ116aに対して位置決めすることができ、下部パネルパンチスペーサ122を設けて、下部パネルパンチを内側ビードダイ116cに対して位置決めすることができる。代替として、下部ビードダイアセンブリ116は、一体として形成された外側ビードダイ116a、中央ビードダイ116b、内側ビードダイ116c、および下部パネルパンチ118を備えてもよく、すなわち、ビードダイ116a、116b、116cの位置が互いに対して固定され、かつ下部ダイアセンブリ116に対して固定された単一のユニットとして備えてもよい。
【0033】
図1に示すように、下部パネルパンチ118の上面は、内側ビードダイ116cの高さよりも低い高度または高さに配置されている。更に、図示した実施形態では、中央ビードダイ116bは内側ビードダイ116cよりも高い高さに配置されてもよく、外側ビードダイ116aは中央ビードダイ116bよりも高い高さに配置されてもよい。ビードパンチ112a、112b、112cと、ビードダイ116a、116b、116cの互いに対する高さは、ブランク材料の延伸がないか、または延伸が制限された缶端部の成形を容易にする、缶端部のビードの連続成形を提供するように選択されることを理解すべきであり、以下に更に説明する。
【0034】
図1に示すように、上部パンチアセンブリ102は後退位置から進出位置に向かって移動し、固定ベースアセンブリ104に隣接して配置されて、缶端部ブランク130をシートまたは工作物Wから切断する。缶端部ブランク130は、上部パンチアセンブリ102によって支持されたブランクパンチまたはドローパンチ124、および固定ベースアセンブリ104によって支持されたカットエッジ126によって、シートまたは工作物Wから切断される。缶端部ブランク130の外側周辺部分130Aは、ドローパンチ124と、成形プレス100の固定ベースアセンブリ104上に移動可能に支持されたドローパッド128との間の外側クランプ領域128Aでクランプされるので、図示したように缶端部ブランクは略水平方向に保持される。
図2で更に分かるように、上部パンチアセンブリ102によって支持されたノックアウトリング132は、ブランク130の外側周辺部分130Aに隣接するクラウン部分130Bに対して係合する。
【0035】
図3を参照すると、上部パンチアセンブリ102が進出位置に向かって下方に移動する間に、ノックアウトリング132はクラウンリング134と連動して動き、ノックアウトリング132とクラウンリング134との間のクラウンクランプ領域134Aでクラウン部分130Bをクランプする。ドローパッド128は、エアクッション上の固定ベースアセンブリ104内で支持されている。
【0036】
クラウンクランプ領域134Aでのクランプに続いて、ドローパンチ124を上部パンチアセンブリ102と共に更に下方に移動させると、外側クランプ領域128Aがクラウンクランプ領域134Aの下方に移動し、それにより周辺部分130Aが外側クランプ領域128Aから引き抜かれる。
【0037】
周辺部分130Aが外側クランプ領域128Aから解放されるのと実質的に同時に、またはその後に、上部パネルパンチ114は中心パネル部分130Cに対して係合することができる。クラウンリング134は下部固定ベースアセンブリ104内に堅固に支持されており、ノックアウトリング132は上部パンチアセンブリ102内で下方にばね付勢されている。従って、ノックアウトリング132は、クラウンクランプ領域134A内でクラウン部分130Bをクランプした後に、かつ上部パンチアセンブリ102が固定ベースアセンブリ104に向かって移動し続けるにつれて、上部パンチアセンブリ102の中に後退することができる。上部パンチアセンブリ102が更に継続して下方に移動すると、上部パネルパンチ114は
図3に示す位置でブランク130の中心パネルセクション131に対して係合する。
【0038】
上部パンチアセンブリ102の下方への行程の間、
図1に示すパンチピストン106の上方のチャンバ107に空気圧が加えられて、上部パンチアセンブリ102の下方への行程の全体にわたって、上部パネルパンチ114をビードパンチアセンブリ112に対して下方に付勢することに留意されたい。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図2に示す位置と
図3に示す位置との間で約0.749cm(0.295インチ)下方に移動することができる。
図2〜
図9を参照して説明した、成形プロセスのステップにおける工具の移動に関して確認された特定の寸法は、例示の目的のためだけで提供されており、特許請求の範囲で請求される発明を限定することを意図しないことを理解されたい。すなわち、工具移動の寸法は、成形プロセス全体にわたる相対的な移動の程度を示すために提供され、工具の特定の移動または運動の程度における変動は、本明細書に記載される成形プロセスの中に含まれ得る。
【0039】
図4を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、上部パネルパンチ114は中心パネル部分130Cを、上部パネルパンチ114と下部パネルパンチ118との間のパネルクランプ領域118A内でクランプするように位置決めされ、中心パネルセクション131に実質的に対応する、ブランク130の中心パネル谷部130Cを形成する。上部パネルパンチ114が定位置に移動して中心パネル谷部130Cを形成するのと概略同時に、外側ビードパンチ112aはクラウンクランプ領域134Aに隣接するブランク130と係合し、クラウンリング134の上面の周りにクラウン部分130Bを部分的に成形し、外側周辺部分の部分130Aをクラウンリング134の周りに引き寄せる。
【0040】
加えて、上部パネルパンチ114の下面が内側ビードダイ116cの下方に移動するにつれて、中心パネル部分130Cに隣接するブランク130の一部が内側ビードダイ116cの上に係合して位置決めされる。缶端部成形のこの段階では、上部ビードパンチ112aと内側ビードダイ116cとの間にまたがるブランク130の中間領域130Dは、中央ビードパンチ112bおよび内側ビードパンチ112cとの係合から外れ、かつ外側ビードダイ116aおよび中央ビードダイ116bとの係合から外れる、ブランク130の実質的に未変形の部分を備える。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図3に示す位置と
図4に示す位置との間で約0.170cm(0.067インチ)下方に移動することができる。
【0041】
図5を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、中心パネルセクション131はパネルクランプ領域118Aにクランプされたままであり、外側ビードパンチ112aは中間セクション130Dの外側周辺部を下向きに押し続け、ブランク130の外側周辺部分130Aから追加の材料をクラウンリング134の周りに引き出す。ビードパンチアセンブリ112が下方に移動するにつれて、上部パネルパンチ114は、チャンバ107内の空気圧に抗してビードパンチアセンブリ112に対して上方に変位する。加えて、外側ビードパンチ112aは、缶端部用の環状外側ビードを成形する初期ステップとして、ブランク130の材料の変形を開始することができる。材料が外側周辺部分130Aから引き出されるにつれて、材料は、ドローパンチ124の内壁125とクラウンリング134の外壁135との間に画定されたダイ領域を通過して、缶端部用の略垂直な外壁を形成することに留意されたい。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図4に示す位置と
図5に示す位置との間で約0.025cm(0.010インチ)下方に移動することができる。
【0042】
図6を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、中心パネルセクション131はパネルクランプ領域118Aにクランプされたままであり、外側ビードパンチ112aは中間セクション130Dの外側周辺部を下向きに押し続け、ブランク130の外側周辺部分130Aから追加の材料をクラウンリング134の周りに引き出す。ビードパンチアセンブリ112が下方に移動するにつれて、上部パネルパンチ114は、チャンバ107内の空気圧に抗してビードパンチアセンブリ112に対して更に上方に変位する。外側ビードパンチ112aは、中間セクション130Dを外側ビードダイ116aおよび中央ビードダイ116bの一方または両方と接触するまで、または接触するほど近くまで移動させ、一方で、中央ビードパンチ112bおよび内側ビードパンチ112cは中間セクション130Dと非接触のまま留まることができる。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図5に示す位置と
図6に示す位置との間で約0.025cm(0.010インチ)下方に移動することができる。
【0043】
図7を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、中心パネルセクション131はパネルクランプ領域118Aにクランプされたままであり、外側ビードパンチ112aは中間セクション130Dの外側周辺部を下向きに押し続け、ブランク130の外側周辺部分130Aから追加の材料をクラウンリング134の周りに引き出す。ビードパンチアセンブリ112が下方に移動し続けるにつれて、上部パネルパンチ114は、チャンバ107内の空気圧に抗してビードパンチアセンブリ112に対して更に上方に変位する。
図7に示す成形段階では、ブランク130は第1ビードダイ116aと係合している可能性があり、外側ビードパンチ112aはブランク130の材料を、クラウンリング134と外側ビードダイ116aとの間の第1ダイ空間S
1の中に、外側ビードダイ116aの高さを過ぎるように、または下回るように押し込んで、チャック壁アール部とも称されるカウンターシンクアール部V
1を成形することができる。更に、カウンターシンクアール部V
1が成形されるにつれて、中央ビードパンチ112bおよび内側ビードパンチ112cは中間セクション130Dと非接触のまま留まることができる。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図6に示す位置と
図7に示す位置との間で約0.025cm(0.010インチ)下方に移動することができる。
【0044】
図8を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、中心パネルセクション131はパネルクランプ領域118Aにクランプされたままであり、外側ビードパンチ112aは中間セクション130Dの外側周辺部を下向きに押し続け、ブランク130の外側周辺部分130Aから追加の材料をクラウンリング134の周りに引き出す。ビードパンチアセンブリ112が下方に移動し続けるにつれて、上部パネルパンチ114は、チャンバ107内の空気圧に抗してビードパンチアセンブリ112に対して更に上方に変位する。中央ビードパンチ112bはブランク130の材料を、外側ビードダイ116aと中央ビードダイ116bとの間の第2ダイ空間S
2の中に、外側ビードダイ116aの高さを過ぎるように、または下回るように押し込んで、第1中間谷アール部または中央ビード谷アール部V
2を成形し、更に第1谷アール部V
1および第2谷アール部V
2を隔てる第1ビードアール部B
1を形成することができる。第2ビード谷アール部V
2が成形されるにつれて、ビードパンチアセンブリ112と共に外側ビードパンチ112aが下方に移動することにより、カウンターシンクアール部V
1は深くなり続ける。ブランク130の材料は、上部ビードパンチアセンブリ112の下方への移動と共に、外側ビードダイ116a、外側ビードパンチ112a、およびクラウンリング134を横切って半径方向に内側に引き込まれて、ブランク130の材料を、ほとんどまたは全く延伸させることなく、ビードを成形するための材料を提供し得ることに留意されたい。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図7に示す位置と
図8に示す位置との間で約0.025cm(0.010インチ)下方に移動することができる。
【0045】
図9を参照すると、上部パンチアセンブリ102が更に進出位置に向かって下方に移動する間、中心パネルセクション131はパネルクランプ領域118Aにクランプされたままであり、外側ビードパンチ112aは中間セクション130Dの外側周辺部を下向きに押し続け、ブランク130の外側周辺部分130Aから追加の材料をクラウンリング134の周りに引き出す。ビードパンチアセンブリ112が下方に移動し続けるにつれて、上部パネルパンチ114は、チャンバ107内の空気圧に抗してビードパンチアセンブリ112に対して更に上方に変位する。内側ビードパンチ112cは、ブランク130の材料を、中央ビードダイ116bおよび内側ビードダイ116cの高さを過ぎてまたは下回って、中央ビードダイ116bと内側ビードダイ116cとの間の第3ダイ空間S
3の中に押し込み、第2中間谷アール部または内側ビード谷アール部V
3を成形することができる。内側ビード谷アール部V
3を成形することは更に、中央ビード谷アール部V
2と内側ビード谷アール部V
3とを分離する第2ビードアール部B
2を成形すること、および内側ビード谷アール部V
3と中心パネル谷部130Cとを分離する第3ビードアール部B
3を成形または完成することと同期している。内側ビード谷アール部V
3が成形されるにつれて、ビードパンチアセンブリ112と共に外側ビードパンチ112aおよび中央ビードパンチ112bが下方に移動することにより、カウンターシンクアール部V
1および中央ビード谷アール部V
2は深くなり続ける。上述のように、ブランク130の材料は、上部パンチアセンブリ102が下方に移動するにつれて半径方向に内側に引き込まれ得る。特に、ブランク130の材料は、上部ビードパンチアセンブリ112の下方への移動と共に、外側ビードダイ116aおよび中央ビードダイ116b、外側ビードパンチ112a、中央ビードパンチ112b、および内側ビードパンチ112c、ならびにクラウンリング134を横切って引き込まれて、ブランク130の材料を、ほとんどまたは全く延伸させることなく、カウンターシンクアール部V
1、ならびに中央ビード谷アール部V
2および内側ビード谷アール部V
3を成形するための材料を提供し得る。
【0046】
図9に示す成形段階は、上部パンチアセンブリ102の進出位置またはその近くへの下方への移動を表し、ブランク130の外側周辺部分130Aを、缶端部のクラウンCの外壁を形成する最終長さに仕上げる。クラウンCは、クラウンリング134の上面によって規定される最終的な外形を有し、
図10で更に示し得るように、クラウンリング134の内壁138と外側ビードパンチ112aの外壁140との間に成形された垂直外側カウンターシンク壁136において、カウンターシンクアール部V
1に接続される。図示した例示的実施形態では、上部パンチアセンブリ102は、
図8に示す位置と
図9に示す位置との間で約0.079cm(0.031インチ)下方に移動することができる。
【0047】
缶端部を成形するためのステップは、カウンターシンクアール部V
1の成形を開始するステップに続いて、中央ビード谷アール部V
2を第1中間ビード谷アール部として成形することを開始することを含むが、本発明の更なる態様では、ビード谷アール部の成形の異なる順序を含んでもよいことを理解すべきである。例えば、ビードパンチアセンブリ112およびビードダイアセンブリ116は、第1中間ビード谷アール部として内側ビード谷アール部V
3の成形を開始し、続いて第2中間ビード谷アール部として中央ビード谷アール部V
2の成形を開始するように構成されてもよい。
【0048】
上記の説明から、缶端部は谷アール部の連続的な成形で成形され、谷アール部の初期的な成形は、成形プロセスの異なる時点で起こるように段階的に行われる得ることが理解されよう。特に、カウンターシンクアール部の成形が最初に開始されてもよく、引き続いて連続的な中間谷アール部が成形されてもよく、下部工具を「固体上(on solid)」、または固定し、一方、上部成形工具を「浮遊(on air)」で提供することを組み合わせる結果、缶端部の成形に必要なプレストン数の減少につながる。
【0049】
缶端部の成形において、ブランク130を成形する材料の曲げを徐々に行うことができ、材料の曲げは、ブランク130の外側部分130Aから追加の材料を引き込むことによって、またはビードアール部または谷アール部における材料を局所的に薄くすることのいずれかによって適応できる。
図2〜
図9に示すように、ビードパンチアセンブリ112およびビードダイアセンブリ116の工具上で材料を逐次的にドレープ成形で成形作業を実施することにより、外側部分130Aからの材料の移動に対する制限が減少し、それによりブランク130の材料を内側に引っ張ることがより容易になり、そうしない場合に起こるであろう薄肉化の量が減少する。従って、
図2〜
図9を参照して説明した工程を通して、ビード谷アール部およびビードアール部を成形するための材料、特に中間セクション130Dの材料は実質的に延伸されず、むしろ、比較的小さい逐次的な変形を伴って、材料が薄くなる量を最小にしてビードが成形され、一方で中心パネルセクション131は静止位置にクランプされたままであることが理解されよう。例えば、本明細書に記載された缶端部成形プロセスは、約6%を超えない材料の薄肉化を伴って、および材料の延伸がないか、または無視できる程度で実施されてもよい。
【0050】
本発明の特定の実施形態を例示し説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を加えることができることは当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲内にある、そのような全ての変更および修正を添付の特許請求の範囲で網羅することを意図している。