(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728627
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】天板付家具
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20200713BHJP
A47B 13/08 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B13/08 A
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-208294(P2015-208294)
(22)【出願日】2015年10月22日
(65)【公開番号】特開2017-79819(P2017-79819A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】山西 学
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸花
【審査官】
新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−095360(JP,A)
【文献】
特開2003−235649(JP,A)
【文献】
特開2005−102742(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0081559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00 − 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線挿通窓を有した天板と、前記配線挿通窓の開口縁との間に配線挿通用の隙間を形成した状態でその配線挿通窓に配された配線カバーと、この配線カバーを前記天板に対して開閉動作可能に支持させるカバー支持機構とを備えた天板付家具であって、
前記カバー支持機構が、前記配線挿通窓に固定配置された第一、第二の枢支部と、前記配線カバーに設けられ前記第一、第二の枢支部に選択的に支持される被支持部とを備えたものであり、前記配線カバーが、前記第一の枢支部又は前記第二の枢支部に支持されて前記天板に対して起立した開放位置と、前記天板と同様な水平姿勢をとる閉止位置との間で回動可能に構成されたものであり、
前記被支持部を第一の枢支部に支持させた場合と、前記被支持部を第二の枢支部に支持させた場合とで、前記配線カバーの外縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に形成される隙間の形態が相互に異なるように構成されている天板付家具。
【請求項2】
前記カバー支持機構が、前記配線カバーの被支持部を第一の枢支部に支持させた場合に、前記第二の枢支部が前記配線カバーの回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し、前記配線カバーの被支持部を第二の枢支部に支持させた場合に、前記第一の枢支部が前記配線カバーの回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し得るように構成されている請求項1記載の天板付家具。
【請求項3】
前記カバー支持機構が、前記配線カバーの両側部に位置させて前記配線挿通窓に設けられる左右一対のベースと、これら各ベースの前後方向一端側に設けられた前記第一の枢支部と、前記各ベースの前後方向他端側に設けられた前記第二の枢支部と、前記配線カバーにおける一方の端縁部近傍に設けられた左右対をなす前記被支持部とを備えたものである請求項1又は2記載の天板付家具。
【請求項4】
前記配線カバーと前記カバー支持機構との組合せ構造体を二組備えており、
前記配線挿通窓の一方の片半部に前記一方の組合せ構造体を配するとともに前記配線挿通窓の他方の片半部に前記他方の組合せ構造体を配している請求項3記載の天板付家具。
【請求項5】
前記二組の組合せ構造体が、前記配線挿通窓内に前後対称に配置されており、前記配線カバーの一方の端縁側に設けられた前記被支持部を、前記第一の枢支部にそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバーの他方の端縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に前記隙間が形成され、
前記被支持部を、前記第二の枢支部にそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバーの他方の端縁間に前記隙間が形成されるように構成されている請求項4記載の天板付家具。
【請求項6】
前記配線カバーの左右両側端縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に、常時開口する隙間が形成されるように構成されている請求項5記載の天板付家具。
【請求項7】
前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材である請求項1、2、3、4、5又は6記載の天板付家具。
【請求項8】
前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材であって、
前記配線カバーが、両側縁部に前記軸受部材に連続し前記第一の片持ち軸、又は、第二の片持ち軸がスライド可能に構成された溝を備えている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の天板付家具。
【請求項9】
前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材であって、
前記配線カバーの両側縁部における一方の端縁側近傍と他方の端縁側近傍に、一方の軸受部材と他方の軸受部材が設けられており、
前記配線カバーが、前記一方の軸受部材と他方の軸受部材との間に、前記第一の片持ち軸、又は、第二の片持ち軸がスライド可能に構成された溝を備えている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の天板付家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に使用される天板付家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天板に配線を挿通させるための配線挿通窓が形成され、この配線挿通窓に、当該配線挿通窓をカバーする配線カバーを着脱及び開閉動作可能に設けてなるテーブルが種々知られている(例えば、特許文献1を参照)。この種のテーブルにおいては、配線カバーを装着した状態においても、当該配線カバーの縁部と前記配線挿通窓の開口縁との間に、配線を挿通させるための隙間が形成されたものもある。
【0003】
ところが、従来のテーブルでは、前記隙間が単一の決められた態様にしか形成されない構造となっており、種々の使用態様に適応させて、前記隙間の態様を変更させることができないものとなっていた。
【0004】
なお、以上の事情は、テーブルに限られず、天板を有した家具全般においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−121650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたもので、少なくとも、配線挿通窓と配線カバーとの間に形成される隙間の形態を変更可能に構成した天板付家具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0008】
請求項1に記載の発明は、配線挿通窓を有した天板と、前記配線挿通窓の開口縁との間に配線挿通用の隙間を形成した状態でその配線挿通窓に配された配線カバーと、この配線カバーを前記天板に対して開閉動作可能に支持させるカバー支持機構とを備えた天板付家具であって、前記カバー支持機構が、前記配線挿通窓に固定配置された第一、第二の枢支部と、前記配線カバーに設けられ前記第一、第二の枢支部に選択的に支持される被支持部とを備えたものであり、
前記配線カバーが、前記第一の枢支部又は前記第二の枢支部に支持されて前記天板に対して起立した開放位置と、前記天板と同様な水平姿勢をとる閉止位置との間で回動可能に構成されたものであり、前記被支持部を第一の枢支部に支持させた場合と、前記被支持部を第二の枢支部に支持させた場合とで、前記配線カバーの外縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に形成される隙間の形態が相互に異なるように構成されている天板付家具である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記カバー支持機構が、前記配線カバーの被支持部を第一の枢支部に支持させた場合に、前記第二の枢支部が前記配線カバーの回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し、前記配線カバーの被支持部を第二の枢支部に支持させた場合に、前記第一の枢支部が前記配線カバーの回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し得るように構成されている請求項1記載の天板付家具である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記カバー支持機構が、前記配線カバーの両側部に位置させて前記配線挿通窓に設けられる左右一対のベースと、これら各ベースの前後方向一端側に設けられた前記第一の枢支部と、前記各ベースの前後方向他端側に設けられた前記第二の枢支部と、前記配線カバーにおける一方の端縁部近傍に設けられた左右対をなす前記被支持部とを備えたものである請求項1又は2記載の天板付家具である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記配線カバーと前記カバー支持機構との組合せ構造体を二組備えており、前記配線挿通窓の一方の片半部に前記一方の組合せ構造体を配するとともに前記配線挿通窓の他方の片半部に前記他方の組合せ構造体を配している請求項3記載の天板付家具である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記二組の組合せ構造体が、前記配線挿通窓内に前後対称に配置されており、前記配線カバーの一方の端縁側に設けられた前記被支持
部を、前記第一の枢支部にそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバーの他方の端縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に前記隙間が形成され、前記被支持
部を、前記第二の枢支部にそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバーの他方の端縁間に前記隙間が形成されるように構成されている請求項4記載の天板付家具である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記配線カバーの左右両側端縁と前記配線挿通窓の開口縁との間に、常時開口する隙間が形成されるように構成されている請求項5記載の天板付家具である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材である請求項1、2、3、4、5又は6記載の天板付家具である。
【0015】
請求項8に記載の発明は、前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材であって、前記配線カバーが、両側縁部に前記軸受部材に連続し前記第一の片持ち軸、又は、第二の片持ち軸がスライド可能に構成された溝を備えている請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の天板付家具である。
【0016】
請求項9に記載の発明は、前記第一、第二の枢支部が、片持ち軸であり、前記被支持部が、前記片持ち軸に弾性的に外嵌する軸受部材であって、前記配線カバーの両側縁部における一方の端縁側近傍と他方の端縁側近傍に、一方の軸受部材と他方の軸受部材が設けられており、前記配線カバーが、前記一方の軸受部材と他方の軸受部材との間に、前記第一の片持ち軸、又は、第二の片持ち軸がスライド可能に構成された溝を備えている請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の天板付家具である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、配線挿通窓と配線カバーとの間に形成される隙間の形態を変更可能に構成した天板付家具をすることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図10】同実施形態における要部の部分拡大平面図。
【
図13】同実施形態における要部の部分拡大断面図。
【
図14】他の実施形態を説明するための底面側から見た分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜13を参照して説明する。なお、本明細書では、説明の便宜上、
図1に示すX方向を前後方向と呼ぶものとし、
図1に示すY方向を左右方向と呼ぶものとする。
【0020】
この実施形態は、本発明を、オフィス等において好適に使用される天板付家具たるテーブルAに適用したものである。テーブルAは、例えば、天板1上において給電が必要なパソコン等の電子機器を使用した執務形態において好適に使用されるものとなっている。
【0021】
テーブルAは、主として電子機器の配線類を挿通させるための配線挿通窓11を有した天板1と、前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に配線挿通用の隙間Sを形成した状態でその配線挿通窓11に配された配線カバー2と、この配線カバー2を前記天板1に対して開閉動作可能に支持させるカバー支持機構3とを備えたものである。
【0022】
天板1は、平面視略正方形状をなすもので、その中央部に前記配線挿通窓11を有している。この配線挿通窓11は、平面視略正方形状をなしており、開口端面における天板1の下面側に近い部位には、前記配線挿通窓11の左右両側端縁に関連させてねじ孔h1を有した取付台座12が凹設されている。
【0023】
この実施形態では、テーブルAは、前記配線カバー2と前記カバー支持機構3との組合せ構造体Ca、Cbを二組備えている。すなわち、配線挿通窓11の一方の片半部11aに一方の組合せ構造体Caを配しており、配線挿通窓11の他方の片半部11bに他方の組合せ構造体Cbを配している。これら一方の組合せ構造体Caと他方の組み合わせ構造体Cbとは、前記配線挿通窓11内に前後対称に配置されている。
【0024】
以下、組み合わせ構造体Ca、Cbを構成する配線カバー2について説明する。
【0025】
配線カバー2は、平面視略長方形状をなす天壁21と、この天壁21の一方の端縁j1から下方に垂下する垂下壁22と、前記天壁21の下面に設けられた補強リブ23とを備えたもので、合成樹脂により一体に形成されている。この配線カバー2は、第一の片持ち軸D又は第二の片持ち軸Eに支持されて天板1に対して起立した開放位置と、天板1と同様な水平姿勢をとる閉止位置との間で回動可能に構成されている。天壁1に設けられた軸受部材Fは、前記天壁21の下面における一方の端縁j1の近傍に左右に振り分けて一対設けられている。換言すれば、軸受部材Fは、天壁21の両側部における垂下壁22に近接した部位に対をなして配されている。
【0026】
次いで、組み合わせ構造体Ca、Cbを構成するカバー支持機構3について説明する。
【0027】
カバー支持機構3は、配線挿通窓11に固定配置された第一、第二の枢支部たる第一、第二の片持ち軸D、Eと、前記配線カバー2の基端部に設けられ前記第一、第二の片持ち軸D、Eに選択的に支持される被支持部たる軸受部材Fとを備えたものである。そして、このカバー支持機構3は、前記軸受部材Fを第一の片持ち軸Dに支持させた場合と、前記軸受部材Fを第二の片持ち軸Eに支持させた場合とで、前記配線カバー2の外縁Jと前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に形成される隙間Sの形態が相互に異なるように構成されている。
【0028】
すなわち、前記配線カバー2の一方の端縁j1側に設けられた軸受部材Fを、第一の片持ち軸Dにそれぞれ支持させた状態では、
図1〜9に示すように、前記各配線カバー2の他方の端縁j2と前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に前記隙間S(s1)が形成されるものとなる。また、前記軸受部材Fを、前記第二の片持ち軸Fにそれぞれ支持させた状態では、
図10〜13に示すように、前記各配線カバー2における他方の端縁j2間に前記隙間S(s2)が形成されるように構成されている。なお、前記配線カバー2の左右両側端縁j3と前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間には、常時開口する隙間S(s3)が形成されるように構成されている。
【0029】
カバー支持機構3は、配線カバー2の軸受部材Fを第一の片持ち軸Dに支持させた場合に、前記第二の片持ち軸Eが閉止位置にある前記配線カバー2の回動端側すなわち他方の端縁j2近傍部を係止するストッパとしての機能を発揮し得るように構成されている。また、カバー支持機構3は、配線カバー2の軸受部材Fを第二の片持ち軸Eに支持させた場合に、前記第一の片持ち軸Dが閉止位置にある前記配線カバー2の回動端側すなわち他方の端縁j2近傍部を係止するストッパとしての機能を発揮し得るように構成されている。
【0030】
具体的に説明すれば、カバー支持機構3は、前記配線カバー2の両側部に位置させて前記配線挿通窓11に設けられた左右一対のベース4と、これら各ベース4の前後方向一端側に設けられた第一の片持ち軸Dと、前記各ベース4の前後方向他端側に設けられた第二の片持ち軸Eと、前記配線カバー2における一方の端縁j1寄りに設けられた左右対をなす軸受部材Fとを備えたもので、前記各ベース4が、天板1の取付台座12にビスv1を用いて取付けられている。
【0031】
ベース4は、第一の片持ち軸Dを支持する第一のブロック41と、第二の片持ち軸Eを支持する第二のブロック42と、前記第一、第二のブロック41、42を連結する連結部43とを備えたもので、前記連結部42に前記ビスv1を挿通させるためのビス挿通孔h2が形成されている。前記連結部43は、前記取付台座12に嵌合し得る形状をなしている。第一、第二のブロック41、42の内方端面は、前記連結部43の内方端面よりも内方に位置しており、前記第一、第二のブロック41、42間に、前記配線カバー2の両側に常時開口する隙間S(s3)に連通する空間が形成されている。なお、第一、第二のブロック41、42には、開放位置にある配線カバー2における一方の端縁j1側の部位に係わり合う回動範囲規制用の突部t1、t2が設けられている。
【0032】
第一の片持ち軸Dは、
図9に示すように、ベース4における第一のブロック41の内方端面に突設されたもので、大径部d1と小径部d2とを円周方向に隣接させて設けたものである。
【0033】
第二の片持ち軸Eは、ベース4における第二のブロック42の内方端面に突設されたもので、大径部d1と小径部d2とを円周方向に隣接させて設けたものである。なお、第一の片持ち軸Dと第二の片持ち軸Eとは前後対称形状をなしている。
【0034】
軸受部材Fは、配線カバー2の下面における左右両側縁部に設けられたもので、第一の片持ち軸Dの小径部d2、又は、第二の片持ち軸Eの小径部e2に爪先f11を常時係接させた係止壁f1を備えるとともに、第一の片持ち軸Dの小径部d2から大径部d1に至る部位、又は、第二の片持ち軸Eの小径部e2から大径部e1に至る部位に爪先f21を係接させた弾性爪f2とを備えたもので、これら係止壁f1と弾性爪f2とが協働して第一の片持ち軸D、又は、第二の片持ち軸Eを回転可能に包持するようになっている。これらの係止壁f1、及び、弾性爪f2は、前記配線カバー2の下面に一体に形成されている。配線カバー2が開放位置にある場合は、弾性爪f2の爪先f21が、前記第一、第二の片持ち軸D、Eの小径部d2に添接しつつ、大径部d1との境界部分に形成される段部において係止され得るようになっている。これにより、開放位置にある配線カバー2が閉止位置へ滑らかに遷移してしまうのを規制している。
【0035】
配線カバー2の下面における他方の端縁j2側の両側部には、ストッパとして機能する場合の第二の片持ち軸E、又は、ストッパとして機能する場合の第一の片持ち軸Dに弾接する補助弾性爪Gが設けられている。この補助弾性爪Gは、配線カバー2を閉止位置にクリックストップさせておくためのものである。
【0036】
以上説明した天板1の下面には、前後方向に延びる対をなす第一の補強ビーム5と、左右方向に延びる対をなす第二の補強ビーム6とが前記配線挿通窓11を囲繞するようにして止着されている。そして、前記第一の補強ビーム5に関連させて前記天板1を支持するための脚7が設けられている。
【0037】
前記脚7は、前記第一の補強ビーム5に係わり合わせて前記天板1に取付けられたブラケット71と、このブラケット71に止着された上下方向に延びた脚本体72とを備えたものである。
【0038】
なお、
図4における符号44は、第一のブロック41に上から嵌着され前記隙間Sの形を整えるための化粧用キャップである。また、符号8は、天板1の配線挿通窓11の小口端面を隠すためのカバー枠8である。このカバー枠8は、四つのベース4の外周囲に嵌め合わされた状態で配線挿通窓11に装着されている。符号9は、前記配線挿通窓11の下方に位置させて前記天板1の下面に取付けられた配線ダクトである。配線ダクト9には、水平壁91の上に電気供給用の機器や配線等が配置され得るようになっている。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係るテーブルAは、配線挿通窓11を有した天板1と、前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に配線挿通用の隙間Sを形成した状態でその配線挿通窓11に配された配線カバー2と、この配線カバー2を前記天板1に対して開閉動作可能に支持させるカバー支持機構3とを備えている。そして、カバー支持機構3が、前記配線挿通窓11に固定配置された第一、第二の片持ち軸D、Eと、前記配線カバー2に設けられ前記第一、第二の片持ち軸D、Eに選択的に支持される軸受部材Fとを備えたものであり、前記軸受部材Fを第一の片持ち軸Dに支持させた場合と、前記軸受部材Fを第二の片持ち軸Eに支持させた場合とで、前記配線カバー2の外縁Jと前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に形成される隙間Sの形態が相互に異なるように構成されている。このため、配線挿通窓11と配線カバー2との間に形成される隙間Sの形態を変更可能に構成したテーブルを提供することができるものとなる。
【0040】
つまり、配線カバー2の軸受部材Fを、第一の片持ち軸Dに支持させた場合には、
図1〜10に示すように、配線カバー2における他方の端縁j2と配線挿通窓11における開口縁Kとの間、及び、配線カバー2における左右両側端縁j3と配線挿通窓11における開口縁Kとの間にそれぞれ隙間S(s1、s3)が形成されることになり、概ね平面視コ字形をなす隙間Sを構成するものとなる。なお、この実施形態では、前記配線カバー2と前記カバー支持機構3との組合せ構造体Ca、Cbを二組備えており、前記配線挿通窓11の一方の片半部11aに前記一方の組合せ構造体Caを配するとともに前記配線挿通窓11の他方の片半部11bに前記他方の組合せ構造体Cbを配し、両組み合わせ構造体Ca、Cbは前後対称に配されている。このため、二組の組み合わせ構造体Ca、Cbと配線挿通窓11との間には、二つのコ字形の隙間が連続することにより構成されたロ字形の隙間Sが構成されたもの(以下、この配線カバー2の配設態様を「ロ字形隙間形成タイプ」と称する。)となっている。なお、ロ字形隙間形成タイプでは、両配線カバー2の回動端が近接して配され、両配線カバー2の基端部が離間して配された内開き態様を構成するものとなっている。
【0041】
その一方で、配線カバー2の軸受部材Fを、第二の片持ち軸Eに支持させた場合には、
図11〜13に示すように、配線カバー2における他方の端縁j2同士間、及び、配線カバー2における左右両側端縁j3と配線挿通窓11における開口縁Kとの間にそれぞれ隙間S(s2、s3)が形成されることになり、全体として概ね平面視H字形をなす隙間Sが構成されたもの(以下、この配線カバー2の配設態様を「H字形隙間形成タイプ」と称する。)となっている。なお、H字形隙間形成タイプでは、両配線カバー2の基端部が近接して配され、両配線カバー2の回動端が離間して配された外開き態様を構成するものとなっている。
【0042】
このように、本実施形態のテーブルAであれば、閉止位置にある配線カバー2と配線挿通窓11との間の隙間Sの形態を、相互に異なる形態、すなわち、ロ字形隙間形成タイプとH字形隙間形成タイプとに変更可能に構成することができるものであるため、そのテーブルAの利用形態に応じて好適なタイプを選択的に使用することができるものとなっている。
【0043】
カバー支持機構3が、前記配線カバー2の軸受部材Fを第一の片持ち軸Dに支持させた場合に、第二の片持ち軸Fが前記配線カバー2の回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し得るものとなっている。一方で、カバー支持機構3は、前記配線カバー2の軸受部材Fを第二の片持ち軸Eに支持させた場合に、第一の片持ち軸Dが前記配線カバー2の回動端側を係止するストッパとしての機能を発揮し得るものとなっている。このため、第一、第二の片持ち軸D、Eは、配線カバー2の回動軸としての機能を発揮するだけでなく、配線カバー2の回動端側のストッパとしての機能を発揮し得るものとなっている。
【0044】
カバー支持機構3が、配線カバー2の両側部に位置させて前記配線挿通窓11に設けられる左右一対のベース4と、これら各ベース4の前後方向一端側に設けられた前記第一の片持ち軸Dと、前記各ベース4の前後方向他端側に設けられた前記第二の片持ち軸Eと、前記配線カバー2における一方の端縁部近傍に設けられた左右対をなす前記軸受部材Fとを備えたものである。このため、ベース4に第一、第二の片持ち軸D、Eを設けたものであるため、配線挿通窓11に、第一、第二の片持ち軸D、Eを設けるための設計の自由度に優れたものとなる。
【0045】
二組の組合せ構造体Ca、Cbを備えており、これらが配線挿通窓11内に前後対称に配置されている。そして、前記配線カバー2の一方の端縁j1側に設けられた前記軸受部材Fを、前記第一の片持ち軸Dにそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバー2の他方の端縁j2と前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に隙間S(s1、s3)が形成され、前記軸受部材Fを、前記第二の片持ち軸Dにそれぞれ支持させた状態で、前記各配線カバー2の他方の端縁j2間に前記隙間S(s2)が形成されるように構成されている。このため、閉止位置にある配線カバー2と配線挿通窓11との間の隙間Sの形態を、相互に異なる形態、すなわち、二組の組み合わせ構造体Ca、Cbの配設によって、ロ字形隙間形成タイプとH字形隙間形成タイプとに変更可能に構成することができるものとなっている。
【0046】
配線カバー2の左右両側端縁j3と前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に、常時開口する隙間S(s3)が形成されるように構成されている。このため、配線カバー2の付け替えに伴って配線類を移動させる必要のない常時開口する隙間S(s3)が存在することになるため、執務の便宜に資するものとなる。
【0047】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0048】
上述した実施形態では、配線カバーを2つ使用した態様、すなわち、一方、他方の組み合わせ構造体を配してなるものについて説明していたが、このようなものには限られず、例えば、配線カバーを1つだけ使用した態様、すなわち、一の組み合わせ構造体のみを用いてなるものであってもよい。また、組み合わせ構造体の配設箇所は、天板の中央部に限られるものではないのはもちろんのことである。
【0049】
ここで、
図14では、天板1の端縁部1eに、切欠状の配線挿通窓11を有し、この配線挿通窓11に組み合わせ構造体である配線カバー2及びカバー支持機構3を配してなる態様を示している。このようなものであっても、軸受部材Fを、第一の片持ち軸Dに支持させた場合と、軸受部材Fを第二の片持ち軸Eに支持させた場合とで、前記配線カバー2の外縁Jと前記配線挿通窓11の開口縁Kとの間に形成される隙間Sの形態が相互に異なるように構成することができるため、所期の目的を達成することができるものとなる。
図14の例では、配線挿通窓11の開口縁Kと配線カバー2の一方の端縁j1との間、及び、配線挿通窓11の開口縁Kと配線カバー2の左右両側端縁j3との間に隙間(s1、s3)が形成されることとなる。なお、当該他の実施形態の説明においては、同一又は対応する構成については同一の符号を付して説明し、詳細な説明を省略している。
【0050】
第一、第二の枢支部、及び、被支持部の形状は種々のものを採用することができる。例えば、第一、第二の枢支部を軸受部材とし、被支持部を片持ち軸としてもよい。
【0051】
配線カバーが、第一、第二の枢支部に対してスライド移動し得る構成を備えたものであってもよい。このようなカバー支持機構の構成としては、例えば、次のようなものが考えられる。
【0052】
すなわち、ベースに設けた第一、第二の枢支部を、それぞれ片持ち軸とするとともに、配線カバーに設けた被支持部を、前記片持ち軸を保持し得る軸受部材とする。ここで、軸受部材は、配線カバーの両側縁部にそれぞれ二箇所ずつ設けられている。具体的には、配線カバーは、その両側縁部における一方の端縁側近傍と他方の端縁側近傍に、一方の軸受部材と他方の軸受部材を備えている。しかして、配線カバーは、その両側縁部における前記一方の軸受部材と他方の軸受部材との間に、前記第一の片持ち軸、又は、第二の片持ち軸がスライド可能に構成された溝(長溝)を設けたものとしている。溝は、一方及び他方の軸受部材に連続したものとなっている。前記一方の軸受部材と他方の軸受部材は、第一、第二の片持ち軸と節度係合し得るものとなっており、当該第一、第二の片持ち軸を回転可能に保持し得るように構成されている。
【0053】
このようなものであれば、例えば、配線カバーを天板に対して起立した状態にし、この状態で、一方又は他方の軸受部材に係合させた第一又は第二の片持ち軸を、溝内をスライドに移動させることにより、配線カバーが、起立した状態で(開放位置にある状態で)下方に移動することができるものとなる。
【0054】
上述した明細書においては説明の便宜上、
図1に示すX方向を前後方向と呼び、
図1に示すY方向を左右方向と呼ぶものとしたが、Y方向を前後方向とし、X方向を左右方向とした構成としてもよい。
【0055】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…天板
2…配線カバー
3…カバー支持機構
11…配線挿通窓
A…テーブル(天板付家具)
D…第一の片持ち軸(第一の枢支部)
E…第二の片持ち軸(第二の枢支部)
F…軸受部材(被支持部)
S…隙間