(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一般式(1)において、Yはベンゼン、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルエーテル、トリフェニルエーテル、ジフェニルメタン、またはジフェニルヘキサフルオロプロパンを含む有機基を表す請求項1または2に記載の不織布。
【背景技術】
【0002】
近年、電子デバイスでは低誘電率化が求められ、そのため空隙のある耐熱材料が求められている。このような材料の基材として半田プロセスに耐える耐熱性のある不織布は有力な候補の一つである。また、耐熱性不織布は金属メッキをすることにより、イオン透過性に優れ、かつ高い機械強度と耐熱性を有した材料として注目されている。具体的な用途としては、軽量で優れた電磁波シールド材、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシターの軽量で高容量になる電極材、工場などから出る燃焼ガスにある粉じんを除去する耐熱バグフィルター、気体分離膜や水分離膜、リチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシターのセパレーターなどが挙げられる。
【0003】
また、航空機などでは高温、低温環境で高い信頼性のある空隙の多い断熱吸音材への要求が高まっている。
【0004】
特許文献1には、高温で使用するバグフィルター用に電界紡糸法(ESP法)に適した特定の構造を有するポリイミド組成物と不織布の製造方法が開示されている。
特許文献2には、ポリイミド溶液をノズルから吐出させ、これと交差する高速の気流をあてることでポリイミド繊維を得て、それを用いた耐熱バグフィルター、断熱吸音材、耐熱服などへの適用が開示されている。
特許文献3には、ポリアミド酸とエポキシ基を含有するアルコキシシラン部分縮合物を反応させた樹脂溶液を用いたリチウムイオン二次電池用のセパレーターが開示されている。
特許文献4には、高分枝ポリマーを不織布などの多孔質構造材料に塗布したセパレーターが開示されている。
特許文献5には、特定の構造のポリイミドを用いた発泡体を叩解することで、ポリイミド短繊維からなる不織布が開示されている。
特許文献6には、リチウムイオン二次電池に多孔質フィルムと不織布を積層したセパレーターを用いることで、電解液の吸液速度が高まるとともに、高い絶縁性を有したセパレーターが開示されている。
特許文献7には、脂肪族ポリケトン不織布を用いた高エネルギー密度で内部抵抗の低いコンデンサーの生産に適した薄く強靱で、耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性、耐薬品性、低吸水性に優れ、均一で多孔性のコンデンサー用電極セパレーターが開示されている。
特許文献8には、10nm〜50μmの直径を有するポリイミド繊維を電気紡績して、複数のポリイミド繊維よりなる不織布を形成し、この不織布をパーフルオロポリマーで処理した高性能疎油性ポリイミド膜が開示されている。
特許文献9には、ナノサイズの微細繊維を特定の構造を有するポリイミド溶液を用いることで、電界紡糸法が得られることが開示されている。
特許文献10には、ポリイミド繊維を含む集合体をリチウムイオン電池セパレーター、バグフィルター、燃料排ガスフィルターに用いることで、耐熱性と可溶性の両立を図ることが開示されている。
特許文献11には電界紡糸法(ESP法)で作製した有機繊維の層を含むセパレーターにポリアミドイミド、ポリアミド、ポリイミドを使用することで、リチウムイオン電池の容量低下を抑制できることが開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のポリイミド溶液は、一般式(1)で表される構造単位を樹脂全体の50モル%以上含む樹脂と、(b)溶剤を含有したポリイミド溶液である。
ポリイミド構造については、溶剤に可溶な構造であることが必須であり、安定な形状の糸を形成させる観点から好ましくは比誘電率が3.2以上であることが好ましい。
また、本発明の不織布は、ポリイミド溶液を電界紡糸法で紡糸することによって得ることを特徴とする。
【0016】
一般式(1)で表される構造は、ポリイミドの構造単位である。一般式(1)で表される構造単位は、スルホン基、ケトン基、水酸基などの高極性成分を含んでおり、ポリイミド溶液の溶媒内に水が混入してもポリイミドが溶媒から析出しにくいという特徴を有する。また、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性有機溶媒への溶解性を高める。電界紡糸法では、ポリイミド溶液に高電圧を印加することで、ノズル先端の液滴に電荷が集まり、それが互いに反発することで液滴が広がり、溶液流が引き伸ばされることで紡糸することができる。電界紡糸法は、特にμmサイズ以下の細い径の糸を得るのに適している。しかし、このポリイミド溶液に電圧を印加して飛ばす雰囲気の湿度が高い場合、ポリイミド溶液に水が浸入する。その結果、途中でポリイミドがポリイミド溶液から析出し、白色のもろい膜状の固形物が発生してしまう。これを抑制するため、これまでは一般に電界紡糸を行う雰囲気の湿度を低く制御する必要があった。
【0017】
本発明のポリイミド溶液に用いるポリイミドは、溶媒に水分が入ってきても、ポリイミドに導入した高極性成分のために白色化しにくくなっている。
【0018】
本発明における(a)一般式(1)で表される構造中、Xは下記に示す構造で表されるいずれかの構造であり、Zは水酸基またはカルボキシル基を表し、p、qは0〜4の整数である。安定な微細形状の糸を形成させる観点から高誘電率化に寄与する水酸基、カルボキシル基の導入のためp+q>1である。
【0019】
また、 安定な微細形状の糸を形成させる観点からXが高誘電率化に寄与する極性基であるスルホン基、ケトン基の場合においてのみp=q=0であっても良い。
【0021】
R
3およびR
4は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を表す。
得られるポリイミド溶液の吸湿を押さえ、さらに安定な微細形状の糸を形成させる観点から、R
3およびR
4は、炭素数1〜4のアルキル基、フルオロアルキル基が好ましく、イソプロピル基、6フッ化イソプロピル基がより好ましい。
R
5〜R
11は、炭素数1〜4のアルキル基、フルオロアルキル基、またはフェニル基を表し、全てが同一でも異なっていても良い。tは0〜3の整数である。
【0022】
水酸基またはカルボキシル基を有するジアミンとしては、例えば2,2−ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)フルオレンなどを挙げることができる。また、この他にも、ビス(アミノヒドロキシフェニル)アントラセン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ナフタレン、またはビス(アミノヒドロキシフェニル)パーフルオロブタンなどを用いることも好ましい。また、この他にも、ジアミノトルエン、ジアミノトリフルオロメチルベンゼン、ジアミノキシレン、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ジアミノジメチルビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ジアミノジエチルビフェニル、ビス(トリペンタフルオロエチル)ジアミノビフェニルなどのジアミン化合物である芳香族環に付加した水素原子を、水酸基またはカルボキシル基で置換したジアミン化合物を挙げることができる。
【0023】
Xが高誘電率化に寄与する極性基であるスルホン基、ケトン基の場合、好ましいジアミンとしては、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトンを挙げることができる。
【0024】
本発明における一般式(1)で表される構造は、R
1およびR
2で示される炭素数1〜10のアルキル基、フルオロアルキル基、シアノ基、またはニトロ基がベンゼン環に結合した構造を含む。R
1およびR
2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、またはパーフルオロブチル基が1つ以上ベンゼン環に結合している構造を含むことが好ましい。このような例としては、ジアミノトルエン、ジアミノトリフルオロメチルベンゼン、ジアミノキシレン、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ジアミノジメチルビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、ジアミノジエチルビフェニル、ビス(トリペンタフルオロエチル)ジアミノビフェニルなどを挙げることができる。また、この他にも、2,2−ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)フルオレンなどに含まれる芳香族環に付加した水素原子を、R
1およびR
2で示される炭素数1〜10のアルキル基、フルオロアルキル基、シアノ基、またはニトロ基で置換したジアミン化合物の残基を挙げることができる。
r、sは0〜4の整数である。得られるポリイミド不織布の強度の点からr=s=0であることが好ましい。
Xの構造としてより好ましいのは、5〜50モル%が下記に示すいずれかの構造であることである。この範囲より小さいと、吸湿抑制による安定な微細形状の糸を形成させる効果がなく、この範囲より大きいと吸湿抑制よりも極性低下による糸の不安定化の寄与が大きくなる。
【0026】
安定な微細形状の糸を形成させる観点から、さらにはXの40〜95モル%が下記に示すいずれかの構造であることが最も好ましい。
【0028】
本発明における(a)一般式(1)で表される構造はポリイミドの構造単位である。ポリイミドは、ジアミンとテトラカルボン酸とを反応させることで得ることができる。
特に反応を容易に進行させるためには、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させるのが良い。また、テトラカルボン酸のジクロリドやジエステルとジアミンを反応させて得ることもできる。
一般式(1)で表される構造のうち、テトラカルボン酸の残基は、Yで示された部分に該当し、Yは炭素数4〜30の4価の有機基を表す。また、Yで示されるテトラカルボン酸の残基は、ベンゼン、シクロブタン、シクロヘプタン、シクロヘキサン、ナフタレン、ビフェニル、ターフェニル、ジフェニルエーテル、トリフェニルエーテル、ジフェニルメタン、またはジフェニルヘキサフルオロプロパン、ジフェニルスルホン、ジフェニルケトンを含む有機基を含むことが好ましい。
このような構造を含むテトラカルボン酸の例として、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ターフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、トリフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルメタンテトラカルボン酸、ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ジフェニルケトンテトラカルボン酸などの芳香族系のテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロヘプタンテトラカルボン酸などの単環状のテトラカルボン酸などが挙げられる。
この他にも、パーフルオロペンタンテトラカルボン酸、ビス(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ビス(パーフルオロエチル)ピロメリット酸、シクロプロパンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロオクタンテトラカルボン酸、シクロノナンテトラカルボン酸、シクロデカンテトラカルボン酸、シクロウンデカンテトラカルボン酸、シクドデカンテトラカルボン酸などの単環状のテトラカルボン酸、芳香族系のベンゾフェノンテトラカルボン酸、縮合環構造を有する、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ペンタシクロ[8.2.1.1
4,70
2,9.0
3,8]テトラデカン−5,6,11,12−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ペンタシクロ[8.2.1.1
4,70
2,9.0
3,8]テトラデカン−5,6,11,12−テトラカルボン酸、ペンタシクロ[8.2.1.1
4,7.0
2,9.0
3,8]テトラデカン−5,6,11,12−テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、ペンタシクロ[8.2.1.1
4,7.0
2,9.0
3,8]テトラデカン−5,6,11,12−テトラカルボン酸、1,2,4,5−ビシクロヘキセンテトラカルボン酸などのテトラカルボン酸、これらのエステル化合物、酸クロリド化合物、アミド化合物などを組み合わせて用いることができる。
【0029】
また、より溶解性を高めるために、トリメリット酸などのトリカルボン酸、テレフタール酸、イソフタール酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、ペンタンジカルボン酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸を酸成分の50モル%以下で共重合することができる。
【0030】
安定な微細形状の糸を形成させる観点から、Yで示されるテトラカルボン酸の残基の好ましい具体例としては、高誘電率化に寄与する極性基の割合の多いジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ジフェニルケトンテトラカルボン酸である。また、これらの残基がYの40モル%以上であることがさらに好ましい。
【0031】
さらにポリマー全体の極性基の割合を増やすため、Yの40モル%以上がジフェニルスルホンテトラカルボン酸および/またはジフェニルケトンテトラカルボン酸の残基であると同時にYの5〜50モル%はピロメリット酸の残基であることが最も好ましい。 上記の残基がこの範囲に含まれない場合、糸形成が不安定化しやすい。
【0032】
本発明に用いられる樹脂は、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸やポリアミド酸エステルの状態の溶液の場合は、電界紡糸後に加熱して閉環しポリイミドとする必要があるため、ポリイミドを用いることが望ましい。本発明に用いられる(a)成分は、一般式(1)で表されるポリイミドの構造単位を樹脂全体の50モル%以上含むのであれば、ポリイミド前駆体構造を含んでいてもよい。
【0033】
また本発明のポリイミド溶液は、一般式(2)で表される樹脂、および(b)溶剤を含有し、不織布形成用である、ポリイミド溶液である。
【0035】
R
12はジアミンの残基を表す。R
12は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基であり、なかでも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
【0036】
ジアミンの具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジ(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノフェニル)スルホンあるいはこれらの芳香族環の水素原子の少なくとも一部をアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
【0037】
安定な形状の糸を形成させる観点から、好ましい具体例としては高誘電率化に寄与する極性基の割合の多い9,9−ビス(アミノヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2−ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(アミノヒドロキシフェニル)スルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトンなどが挙げられる。
R
13は酸二無水物の残基を表す。R
13は少なくとも2個以上の炭素原子を有する4価の有機基であり、なかでも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
酸二無水物の具体的な例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物および下記に示した構造の酸二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物や、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族のテトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。
安定な形状の糸を形成させる観点から、好ましい具体例としては高誘電率化に寄与する極性基の割合の多いピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物などが挙げられる。
【0038】
本発明に用いられるポリイミド前駆体、およびポリイミドは、一般に知られているN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性溶媒中で酸無水物とジアミンを反応させることで得られる。この反応は60℃以下ではポリアミド酸が得られ、それ以上の温度ではポリイミドが得られる。また、ポリアミド酸エステルを得る場合、一般的には酸無水物とアルコールをピリジンやトリエチルアミンなどの触媒の存在下で反応させ、その後、ジカルボン酸をスルホニルクロリド、コハク酸クロリド、チオニルクロリドなどで酸クロリド化するか、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いて重合させることで得ることが出来る。
【0039】
反応溶媒として用いる有機溶媒は、本発明のポリイミドが溶解する溶媒であれば使用することができる。一般的には非プロトン性極性溶媒が好ましい。例えば、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルスルホン、ジエチルスルホキシド、1,4−ジメチルベンダゾリジノン、ヘキサメチルトリアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノンなどが挙げられる。
また、シクロヘキサノンなどの高沸点のケトン系溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどのグリコール系溶媒、およびこれらにトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチル−メトキシブタノールアセテートなどのエステル系溶媒などを加えることもできる。
【0040】
重縮合で使用される溶媒の量は、全モノマーの重量100重量部に対して50重量部以上が好ましく、200重量部以上がより好ましい。溶媒の量を全モノマーの重量に対して50重量部以上とすることにより、撹拌などの操作が容易となり、重縮合反応が順調に進行し易くなる。一方、2000重量部以下が好ましく、800重量部以下がより好ましい。2000重量部以下とすることによって、溶媒中のモノマー濃度が高くなり重合速度が向上するため、重量平均分子量30,000以上の高分子量の重合体を容易に得ることができる。本発明においては、樹脂の反応溶媒として用いた溶媒をそのままポリイミド溶液の溶剤として用いることも可能である。
【0041】
本発明における樹脂の重量平均分子量は5,000〜100,000の範囲が好ましく、特に好ましくは10,000〜100,000の範囲が良い。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、NMP/H
3PO
4の混合溶媒に1Mの濃度の塩化リチウムを加えた溶媒を用いてポリイミド樹脂の分子量を測定し、標準ポリスチレンの校正曲線を用いて算出した値を指す。
【0042】
また、本発明のポリイミド溶液には、界面活性剤を添加することもできる。また、分解性を向上させるために光分解性のジアゾナフトキノン化合物、クマリン化合物、接着性を高めるためにシランカップリング剤、チタンキレート、アルミキレートなどを添加することも可能である。さらに、耐薬品性を高める目的で架橋性の化合物である2官能以上のエポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物、アルコキシメチロール化合物などを添加することもできる。また、硬度を高めるためにシリカなどの微粒子を添加することもできる。これらの添加成分は、ポリイミド成分に対して1ppmから30重量%程度まで添加することができる。
【0043】
本発明のポリイミド溶液を用いて、形成される不織布について説明する。本発明のポリイミド溶液を用いて製造する不織布は、電界紡糸法によって製造される。電界紡糸法は、ポリイミド溶液に高電圧を印加することによって、ノズル先端の液滴に電荷が集まり、それが互いに反発することで液滴が広がり、溶液流が引き伸ばされることで紡糸する方法である。この方法では、細径の糸を得ることが可能である。そのため、電界紡糸法によると数十nm〜数μmの径の細い糸が得られ、結果として厚みが10μmの薄い不織布を形成することができる。さらにこの不織布は既にイミド化の完了したポリイミド溶液から紡糸するために、紡糸した後にイミド化のための加熱処理を必要とせず、極めて簡便に耐熱性、機械特性に優れた不織布を得ることができる。
【0044】
また、本発明のポリイミド溶液は、高極性のスルホン基、ケトン基、水酸基またはカルボキシル基を含むという特徴がある。そのため、ポリイミド溶液の溶媒内に水が混入したとしても、ポリイミド自体の溶解性を高く保つことができるためポリイミドが溶媒から析出しにくいという特徴を有する。したがって、これまでは電界紡糸工程を高湿度の雰囲気中で行ったとき、ポリイミド溶液に水が浸入して紡糸工程の途中でポリイミド溶液中にポリマーが析出し、白色のもろい膜状の固形物が発生するという問題があった。しかし、本発明のポリイミド溶液を用いた場合は、ポリイミド溶液からのポリマーの析出が起こりにくく、電界紡糸工程の湿度が多少変化したとしても安定な形状の糸を形成することができる。その結果、電界紡糸装置を大がかりな温度および湿度管理できるブースに入れる必要なく、簡便なブース内で安定的に不織布を得ることができる。
【0045】
また、高極性のポリイミド構造はポリマーの分子間力が強いため、電界紡糸後の脱溶媒状態においては高いガラス転移点を示す。耐熱不織布への適用の観点からガラス転移点は200℃以上であることが好ましい。これより低いと、熱による軟化によって不織布の構造が変性するため、経時変化による性能低下が起こる可能性がある。
【0046】
本発明の不織布は、高次加工品として、耐熱バグフィルター、電磁波シールド材、低誘電率基板のコア材、ガス分離膜、電池やキャパシターの電極、セパレーター、断熱吸音材などに用いることが出来る。特に、本願発明の不織布をセパレーターとして用いた電池、電気二重層キャパシターは、セパレーターの耐熱性が高くかつ厚みが薄い。そのため空孔度が大きくなり、短時間の充電や放電特性に優れた電池、キャパシターを得ることが出来る。
【実施例】
【0047】
以下実施例および技術をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<吸水率の測定>
ポリイミド溶液を6インチのシリコンウェハーに、120℃で4分乾燥後の膜厚が約15μmになるようにスピン塗布した。スピン塗布後に120℃で4分、大日本スクリーン製造製の塗布現像装置SCW−636に付随しているホットプレートで乾燥後、光陽サーモシステム社製イナートオーブン INH−9CDを用いて300℃で1時間加熱処理を行い、ポリイミドフィルムを得た。このフィルムを形成したウェハーを45%のフッ化水素酸水溶液に室温で3分浸漬し、脱イオン水で10分間水洗し、ウェハーから剥がした。このフィルムの重量を測定し、その後、200℃で1時間乾燥させて、絶乾重量を求めた。吸水時の重量と絶乾重量から下記式を用いて吸水率を求めた。
吸水率=(吸水重量−絶乾重量)/絶乾重量×100(%)。
<比誘電率の測定>
アルミ基板にポリイミド溶液をスピン塗布した。スピン塗布後に120℃で4分、大日本スクリーン製造製の塗布現像装置SCW−636に付随しているホットプレートで乾燥後、光陽サーモシステム社製イナートオーブン INH−9CDを用いて300℃で1時間加熱処理を行い、厚み5μmのポリイミドフィルムを得た。この膜の上に上部アルミ電極を日本真空技術(株)製真空蒸着機EBH−6を用いて蒸着し測定サンプルとした。
次いで1MHzにおける静電容量を横川ヒューレットパッカード製のLCRメーター4284Aを用いて測定し、下記式により比誘電率(ε)を求めた。
ε=C・d/ε
0・S(但し、Cは静電容量(単位:F)、dは試料膜厚(単位:m)、
ε
0は真空中の誘電率、Sは上部電極面積(単位:m
2)である。)
<ガラス転移点の測定>
シリコン基板にポリイミド溶液をスピン塗布した。スピン塗布後に120℃で4分、大日本スクリーン製造製の塗布現像装置SCW−636に付随しているホットプレートで乾燥後、光陽サーモシステム社製イナートオーブン INH−9CDを用いて300℃で1時間加熱処理を行い、厚み10μmのポリイミドフィルムを得た。このフィルムを形成したウェハーを45%のフッ化水素酸水溶液に室温で3分浸漬し、脱イオン水で10分間水洗し、ウェハーから剥がした。この膜を120℃で2時間乾燥して脱水し、5mgの重さになるよう切り出しサンプルとした。このサンプルについて島津製作所製DSC−50を用いて、昇温速度10℃/minで室温から400℃まで加熱し、ガラス転移点の測定を行った。
【0048】
参考例1
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 3.66g(0.01モル、AZマテリアルズ製)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル 3.20g(0.01モル、和歌山精化製)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学製)30g、トルエン(東京化成製)10gに40℃以下で溶解させた。ここにピロメリット酸二無水物4.36g(0.02モル、ダイセル化学工業製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
【0049】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかった。
また、吸水率は1.9%、比誘電率は2.9、ガラス転移点は170℃であった。
【0050】
実施例2
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン22.8g(0.06モル、AZマテリアルズ製)と、2,4−ジアミノトルエン4.88g(0.04モル、東京化成製)NMP235g、トルエン(東京化成製)10gに40℃以下で溶解させた。ここに3,3‘,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物31.0g(0.1モル、マナック製)、を添加し、40℃で1時間、その後溶液の温度を180℃にして6時間撹拌を行った。
【0051】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかった。
また、吸水率は1.5%、比誘電率は3.2、ガラス転移点は200℃であった。
【0052】
参考例2
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−カルボキシル−4−アミノフェニル)メタン11.5g(和歌山精化製、0.05モル)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル12.8g (和歌山精化製、0.04モル)、1,3−ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.48g(信越化学製、0.01モル)を NMP、240gに40℃以下で溶解させた。ここにピロメリット酸二無水物10.9(ダイセル化学工業製0.05モル)、2,2−ビス(ヘキサフルオロプロパン)フタル酸無水物22.2g(0.05モル、ダイキン工業製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
【0053】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかった。
また、吸水率は2.5%、比誘電率は3.0、ガラス転移点は180℃であった。
【0054】
参考例3
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン28.0g(0.1モル、AZマテリアルズ製)をNMP230gトルエン10gに40℃で溶解させた。ここにピロメリット酸二無水物 10.9g(0.05モル、ダイセル化学工業製)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物17.9g (0.05モル、新日本理化製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかったが、吸水率は9.0%、比誘電率は3.6、ガラス転移点は220℃であった。
【0055】
参考例4
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン14.9g(0.05モル、東京化成製)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル 12.8g (0.04モル、和歌山精化製)、1,3−ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン2.48g(0.01モル、、信越化学製)をNMP205gに40℃以下で溶解させた。ここにピロメリット酸二無水物10.9(0.05モル、ダイセル化学工業製)、シクロブタン酸二無水物9.8g(0.05モル、東京化成製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
【0056】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかった。
また、吸水率は1.4%、比誘電率は2.9、ガラス転移点は190℃であった。
【0057】
参考例5
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン1.04g(0.05モル、東京化成製)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル (0.05モル、和歌山精化製)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学(株)製)40gに40℃以下で溶解させた。ここにピロメリット酸二無水物10.9(0.05モル、ダイセル化学工業製)、シクロブタン酸二無水物22.2g(0.05モル、東京化成製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
【0058】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、120秒放置しても溶液が白化することはなかった。
【0059】
また、吸水率は1.5%、比誘電率は2.9、ガラス転移点は180℃であった。
【0060】
比較例1
窒素導入管、撹拌棒、温度計を取り付けた500mLの3つ口フラスコに乾燥窒素気流下、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル 2.8g(0.05モル、和歌山精化製)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル1.60g(0.05モル、和歌山精化製)をNMP40gトルエン(東京化成(株)製)10gに40℃で溶解させた。ここに2,2−ビス(ヘキサフルオロイソプロピリデン)フタル酸無水物 22.2g(0.05モル、ダイキン工業製)を添加し、40℃で2時間撹拌を行い、その後、液温を180℃に昇温し、さらに4時間撹拌を行ない、留出するトルエンと水を除去しながら反応を行った。
【0061】
このようにして得られた樹脂溶液を2μmのポリテトラフルオロエチレン製のメンブレンフィルターでろ過を行い、ポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートしたところ、コート後、30秒で吸湿のために塗膜全体が白化した。
【0062】
また、吸水率は1.0%、比誘電率は2.6、ガラス転移点は170℃であった。
【0063】
参考例6
参考例1で得たポリイミド溶液を濃度12%に希釈して、エレクトロスプレーコーターを用いて、アースしたアルミ箔上に、温度24℃、湿度50%の環境下、ノズルの内径が0.84mm(G18)のニードルを用いて、ノズルとアルミ箔の距離を250mmとして、溶液を20μL/minの総液量で送り、電圧15kVで塗布した。この結果、ポリイミドの不織布がアルミ箔上に得られた。
【0064】
比較例2
比較例1で得られたポリイミド溶液を
参考例6と同じようにしてポリイミドの不織布を作成したが、吸湿が起こり、白色のもろい膜が形成され、強靱な不織布にならなかった。
実施例
10〜13、16〜21、参考例7〜14、比較例3
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン 3.66g(0.01モル、AZマテリアルズ製)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル 3.20g(0.01モル、和歌山精化製)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP、三菱化学製)30g、および、ピロメリット酸二無水物4.36g(0.02モル、ダイセル化学工業製)の代わりに表1および表2に示したジアミン、NMP量、酸二無水物を使用する以外は実施例1と同様にしてポリイミド溶液を得た。このポリイミド溶液を室温、湿度50%の雰囲気で4インチシリコンウェハー上にスピンコートし塗膜全体の白化の有無、吸水率、比誘電率、ガラス転移点を測定した。
実施例26
、33〜36、39〜44、参考例15〜26、比較例4
実施例
2、10〜13、16〜21、参考例2〜5、7〜14、比較例3で得られたポリイミド溶液を
参考例6と同様の方法で不織布形成テストを実施し、不織布形成状態、不織布を形成している繊維直径の平均値を測定した。
実施例
、参考例および比較例の結果を表1、表2および表3に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】